第9期産業連携・地域支援部会における研究開発評価について(案)

平成30年1月26日
科学技術・学術審議会
産業連携・地域支援部会


○文部科学省内部部局における競争的資金制度の研究開発課題については、文部科学省における研究及び開発に関する評価指針(以下、「評価指針」とする)に基づき、科学技術基本計画に基づく評価(研究開発評価)を実施することが求められている。
○評価指針においては、文部科学省内部部局は、資金制度毎に適切な評価体制・スキームを確立するとともに、評価の公平さを高め、幅広い視野を評価に取り入れるため、外部の専門家等を評価者とする外部評価により実施することが求められている。
○これを踏まえ、科学技術・学術審議会運営規則(平成29年3月14日一部改正)第4条第7項に基づき、第9期産業連携・地域支援部会においては、前期までの本部会の検討等の経緯も踏まえ、下記の事業に関する評価について、外部評価の観点から取り扱うことを決定する。



 1)先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム
 ・ 同事業は科学技術振興調整費によって実施してきた事業であり、公募要領においては、文部科学省委託機関に設置される評価作業部会による外部評価結果を研究計画・評価分科会に報告し、評価を決定することとなっていた。
・ 他方、平成23年度以降、同事業が、行政事業レビュー等により補助金化されたことを踏まえ、外部評価作業部会における評価結果を本部会に報告したうえで決定することとされたことから、前期までの経緯も踏まえ、第9期においても本部会において引き継ぐこととする。

2)地域イノベーション戦略支援プログラム及び戦略推進地域
・ 同事業及び戦略推進地域では、文部科学省に外部評価委員会を設置し、外部評価を実施していたところ。同事業は、文部科学省、総務省、経済産業省、農林水産省の連携施策のうちの一つであることから、第8期までにおいては、外部評価委員会の評価結果を本部会に報告していた。
・ 前期までの経緯も踏まえ、第9期においても本部会において引き継ぐこととする。

○なお、機動的な審議を行う観点から、上記2事業の研究開発評価に係る検討等については、地域科学技術イノベーション推進委員会の議決を部会の議決とすることができることとする。
○また、本決定については、必要に応じて見直すこととし、第9期部会の間のみ有効とする


以上



【先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム 公募要領(平成19年度公募)抜粋】

11 業務の実施
 (9) 実施機関は、業務開始後7年目及び業務終了後、拠点化構想及びミッションステートメントの達成状況等について成果報告書を速やかに作成し、科学技術振興機構を通じて文部科学省に提出する。
(10) 成果報告書等をもとに、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会研究評価部会(以下「評価部会」という。)において、業務開始後7年目に中間評価、業務終了後に事後評価を実施する。評価に当たっては、必要に応じて総括責任者等からのヒアリングを行うものとする。なお、成果報告書及び評価部会による評価結果は、文部科学省が公表するとともに、文部科学省から総合科学技術会議に報告する。

【評価を行う根拠について】
○科学技術施策に関する主な評価については、
1 行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)に基づく評価(政策評価)と、
2 科学技術基本計画(閣議決定)に基づく評価(研究開発評価)
の二つが存在。

○文部科学省における1 の政策評価では、「政策評価に関する有識者会議」を設置し、行政機関が行う政策の評価に関する法律第3条2項の定めに基づき、学識経験を有する者の知見の活用を図っているところ。

(参考)行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)【抜粋】
 第三条 行政機関は、その所掌に係る政策について、適時に、その政策効果(当該政策に基づき実施し、又は実施しようとしている行政上の一連の行為が国民生活及び社会経済に及ぼし、又は及ぼすことが見込まれる影響をいう。以下同じ。)を把握し、これを基礎として、必要性、効率性又は有効性の観点その他当該政策の特性に応じて必要な観点から、自ら評価するとともに、その評価の結果を当該政策に適切に反映させなければならない。
 2 前項の規定に基づく評価(以下「政策評価」という。)は、その客観的かつ厳格な実施の確保を図るため、次に掲げるところにより、行われなければならない。
 一 政策効果は、政策の特性に応じた合理的な手法を用い、できる限り定量的に把握すること。
二 政策の特性に応じて学識経験を有する者の知見の活用を図ること。

○2 の研究開発評価については、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成28年12月21日内閣総理大臣決定)に基づき、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(平成14年6月20日文部科学大臣決定(最終改定平成29年4月1日))を定めている。

○文部科学省における研究及び開発に関する評価指針においては、
1 )評価は、文部科学省内部部局(評価者)が資金制度等の下で評価活動を実施。課題の採否判断や、研究開発の質の向上や運営改善、計画の見直し等に活用することが目的
2 )評価者は、評価の公平さを高め、幅広い視野を評価に取り入れるため、外部の専門家等を評価者とする外部評価により実施
3 )評価の実施時期は、事前評価、中間評価、事後評価、追跡評価。
とされている。

(参考2)文部科学省における研究及び開発に関する評価指針 平成14年6月20日(最終改定 平成29年4月1日)【抜粋】
2.2 研究開発課題の評価
 文部科学省内部部局及び研究開発機関等は、研究開発課題の目的・目標や規模、実施期間や性格、当該研究開発課題が位置付けられている研究開発プログラムの目的・政策上の位置付けや評価実施時期、研究開発課題の実施者の評価に係る負担等を考慮し、評価の実施の要否や実施時期、評価目的、評価結果の活用の仕方、評価項目・評価基準等を的確に設定し、また、必要となる評価実施体制等を整備して評価を実施する。

2.2.1 競争的資金による研究開発課題
2.2.1.1 評価の目的
 競争的資金による研究開発課題とは、競争的資金制度等の上位の目的を達成するため、公募により複数の候補の中から優れたものが競争的に選択されて実施される個々の課題をいう。
 競争的資金による研究開発課題の評価は、文部科学省内部部局及び研究開発機関等が競争的資金制度等の下で評価活動を実施することにより、課題の採否を判断するとともに、実施されている研究開発の質の向上や運営改善、計画の見直し等につなげることを目的とする。

2.2.1.3 評価者
2.2.1.3.1 評価者の選任
 評価実施主体は、評価の公平さを高めるとともに、研究開発を取り巻く諸情勢に関する幅広い視野を評価に取り入れるため、外部の専門家等を評価者とする外部評価により実施する。(後略)

2.2.1.5.6 評価の実施
 評価実施主体は、設定・抽出した評価手法、評価の観点、評価項目、評価基準に従い、評価を実施する。
 (中略)
 中間・事後評価等においては、あらかじめ設定した目標に対する達成状況等を評価することを基本とするが、あわせて、実施したプロセスの妥当性や副次的成果、理解増進や研究基盤の向上、さらに、当該研究が次代を担う若手研究者の育成にいかに貢献したか等、次につながる成果を幅広い視野から捉える。また、失敗も含めた研究過程や計画外の事象から得られる知見、研究者の意欲、活力、発展可能性等にも配慮する。さらに、被評価者が達成状況を意識する余り当初の目標を低く設定することにつながらないよう、高い意義を有する課題に挑む姿勢を考慮する。あわせて、当該研究開発課題が位置付けられている研究開発プログラムの改善につながる事項の抽出にも留意する。

また、評価実施主体は、評価者の見識に基づく質的判断を基本とする。その際、評価の客観性を確保する観点から、評価対象や目的に応じて、論文被引用度や特許の取得に向けた取組等といった数量的な情報・データ等を評価の参考資料として利用することは有用であるが、数量的な情報・データ等を評価指標として過度に・安易に使用すると、評価を誤り、ひいては被評価者の健全な研究活動をゆがめてしまうおそれがあることから、これらの利用は慎重に行う。特に、掲載されている論文の引用数をもとに雑誌の影響度を測る指標として利用されるインパクトファクター等は、掲載論文の質を示す指標ではないことを認識して、その利用については十分な注意を払うことが不可欠である。

2.2.1.7 評価結果の取扱い
競争的資金制度等を企画立案し、公募により提案された複数の候補の中から制度等の目的に適合する研究開発課題を選定し、課題を実施させ、評価するとともに、評価結果を研究開発の質の向上や運営改善、計画の見直し等に適切に反映し、さらに、課題に対する評価から得られた情報を集積・分析して制度等の評価に活用するといった循環過程を確立しなければならない。
そのためには、競争的資金制度等による研究開発課題の評価については、あらかじめ評価目的及び活用方法を具体的に明確化し、評価結果を資源配分等に適切に反映して、研究開発の質の向上や資源の有効活用を図ることが重要である。評価結果の具体的な活用の例としては、評価時期別に、
○事前評価(審査)では、課題の採否、計画変更、優れた研究開発体制の構築、研究者又は研究代表者の責任の明確化等
○中間評価では、進捗度の点検と目標管理、計画の継続・中止・方向転換等の判断、効果・効用(アウトカム)の暫定的確認、研究開発の質の向上、機関運営の改善、研究者の意欲喚起等
○事後評価では、計画の目的や目標の達成状況の確認、効果・効用(アウトカム)の(暫定的)確認、研究者又は研究代表者の責任の明確化、国民への説明、評価結果のデータベース化や以後の評価での活用、次の段階の研究開発の企画・実施、次の政策・施策形成の活用、研究開発マネジメントの高度化、機関運営の改善等
○追跡評価では、効果・効用(アウトカム)や波及効果(インパクト)の確認、国民への説明、次の政策・施策形成への活用、研究開発マネジメントの高度化等が挙げられる。
また、中間評価においては、研究開発が一層発展するよう必要に応じて助言する。特に、進展の激しい研究開発については、柔軟に研究計画を変更することを提言する。
さらに、評価実施主体は、評価結果に応じて、研究者がその研究開発を発展させ、より一層の成果を上げることができるような事後評価を行うとともに、研究開発実施・推進主体は、必要に応じて事後評価を活用するなどして、ある制度で生み出された研究成果が適切に次の制度等で活用されるような仕組みの構築を図る。
 評価実施主体は、評価結果を原則として公表するとともに、研究開発の企画立案に責任を有する部門や資源配分等に責任を有する部門に適切に周知する。また、評価結果が他の評価にも有効であることに留意し、必要に応じ関係部門に周知する。それらの関係部門は、評価結果を受け、研究開発プログラムや機関運営等の改善、資源配分等へ適切に反映する。その上で、文部科学省内部部局及び研究開発機関等は、これらの検討結果や反映状況も含めて公表する。
 評価実施主体は、個人情報の保護、知的財産の保全、国家安全保障等について配慮しつつ評価結果等を公表する。また、評価結果の公表は、国民に対する説明責任を果たすとともに、評価の公正さと透明性を確保し、社会や産業において広く活用されることに役立つことから、インターネットを利用するなど、分かりやすく活用されやすい形で公表する。その際、評価の目的や前提条件を明らかにするなど、評価結果が正確に伝わるように配慮する。評価者の評価内容に対する責任を明確にするとともに、評価に対する公正さと透明性の確保の点から、適切な時期に評価者氏名も公表する。ただし、研究開発課題の評価の場合、研究者間に新たな利害関係を生じさせないよう、個々の課題に対する評価者氏名が特定されないように配慮することも必要である。
(後略)

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科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課

(科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課)