産業連携・地域支援部会(第9期)地域科学技術イノベーション推進委員会(第8回) 議事録

1.日時

平成30年11月30日(金曜日) 15時00分から17時00分

2.場所

文部科学省 16階 科学技術・学術政策研究所 大会議室

3.議題

  1. 関係機関からの調査報告
  2. 自由討議
  3. その他

4.議事録

【須藤主査】  それでは、時間となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会第9期地域科学技術イノベーション推進委員会を開催いたします。
 お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。まず、本日は議題1としまして、関係機関に実施していただいた調査について報告していただきます。それから議題2としましては、関係機関からの調査報告を受けて、委員の皆様の御意見を頂くということで進めたいと思います。
 それでは、まず最初に配付資料の確認をお願いします。
【植原専門官】  本委員会はペーパーレス会議となっておりますことから、配付資料は、皆様のお手元にございますタブレットのデスクトップに全てダウンロードされております。資料は、お手元の議事次第に記載のとおり、資料1-1から資料3、及び、参考資料1から参考資料2-2です。議事次第と照らし合わせながら資料を御確認くださいますようお願い申し上げます。
 御不明な点等がございましたら事務局までお知らせください。
【須藤主査】  それでは、議題1、関係機関からの調査報告です。
 本委員会運営規則第3条第2項に基づきまして、まず、本日は、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)より、上席研究官の新村様、それから株式会社NTTデータ経営研究所より、シニアマネジャーの小島様、それからマネジャーの木村様に御出席いただいております。
 それでは、まず、議題1の進め方について、事務局より説明をお願いします。
【植原専門官】  議題1の関係機関からの調査報告につきましては、これまでの委員会で行われてきたヒアリングと同様の進め方で実施いたします。
 まず、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の新村様から、前回の委員会でのQBキャピタル合同会社の坂本様からの御発表内容にもリンクする内容ですけれども、大学発ベンチャーに関するデータから見えてきた、地域から大学発ベンチャーを創出するに当たっての課題などについて御発表いただきます。
 次に株式会社NTTデータ経営研究所の小島様、木村様より、昨年度、文部科学省産業連携・地域支援課の委託調査として実施した「地域の産学官金の集積を基にした、国際競争力のある継続的なイノベーション・エコシステム拠点の創出に関する調査」を基に、海外のイノベーション・エコシステム拠点形成に向けた先進事例を中心に御発表いただきます。
 最初に、NISTEPの新村様から、次に株式会社NTTデータ経営研究所の小島様、木村様から、それぞれ20分程度で御発表いただきます。発表時間残り5分前にベルを1度、残り2分前にベルを2度鳴らしますので、まとめに入っていただきますようお願い申し上げます。
 それぞれの御発表の後で、10分程度、質疑応答の時間を設けますので、委員の皆様からの御質問、御意見を頂戴したいと思います。以上です。
【須藤主査】  それでは、NISTEPの新村様、よろしくお願いいたします。
【科学技術・学術政策研究所(新村)】  本日は、お忙しい中、お時間を頂きましてありがとうございます。NISTEPの新村と申します。私からは、こちらの「大学等発ベンチャーと地域イノベーションの関連性分析」ということで発表させていただきたいと思います。
 全体の内容の簡単な御紹介です。まず、今回分析に用いましたデータベースを簡単に紹介させていただきまして、これを用いた地域イノベーションとの関連性分析、それから、今までの委員会で取り上げた地域の可視化ということで、データベースを用いてマッピングしたものの御紹介をさせていただきたいと思います。それから、地域イノベーションのプレーヤーは、大学発ベンチャーに限らないかと思いますので、研究開発型ベンチャー、それから中小企業といった属性別の成長戦略について、ケーススタディーした結果を御紹介させていただきたいと思います。それから、最後に研究開発型大学等発ベンチャーの課題に対してのアンケート調査について御紹介させていただきます。
 こちら、「背景」については簡単に御紹介させていただきますけれども、大学発ベンチャーの設立数の推移ということで、一時期のピークからがたっと落ちたのですけれども、最近また伸びているという状況にございます。
 ただ一方で、インパクトのある大学発ベンチャーはどうであるかということをもう少し細かく見ますと、こちらは時価総額でだけ見ているのですけれども、上位に来ている大学というものは、大学発ベンチャーの中でも研究開発型という特徴があるかと考えております。そこで、まず初めに私は、大学発ベンチャーといっても、組織によって定義が異なりますので、これはアメリカと少し近づけるという意味合いと、研究開発型に特化したデータベースを構築しようとしまして、特許出願を指標とした研究開発型大学等発ベンチャーというものを作成いたしました。
 特許出願を指標とすることは、もう一つメリットがありまして、特許出願の発明者という素子情報を用いることができますので、その素子情報から、大学に所属する研究者というものを特定いたしました。研究者を特定することで、大学発ベンチャーの特許出願に、研究者がどれだけ関与したかというものをx軸に取りまして、それから、それぞれの特許出願がどれくらい引用されたかというものをy軸に取って、各研究者をプロットしたのがこちらのスライドとなります。ご覧のとおり、積極的に大学発ベンチャーに関与している研究者群というものを浮かび上がらせることができます。実際にこれがどのように活用できるかということをケーススタディー的に御紹介させていただきます。
 事例としましては鶴岡を取り上げさせていただきます。こちらは御承知のとおり、最近、Spiber等、注目される研究開発型のベンチャーが連続的に創出されている地域でございまして、ここでなぜ地域イノベーションが起きていったかというものを、細かくケーススタディーを行いました。
 こちらが、そのケーススタディーにおけるクラスター形成のプロセスを示しております。非常に細かいスライドで恐縮ですけれども、要旨としましては、産学官金、それぞれのプレーヤーを縦軸にとりまして、横におきましては、鶴岡市と、誘致をしました慶應大学の研究所の支援協定のフェーズを時系列で並べております。それぞれについて、各産学官金のプレーヤーのアクションを並べておりますけれども、ここから読み取れることとしましては、最初に緑色でお示しいたします慶應大学の研究所、それから鶴岡市の支援協定におきまして、研究所誘致という、世界レベルの研究を行うという研究拠点の形成の萌芽段階がございます。ここでのトップレベルの研究から、最初の大学発ベンチャーができまして、そこから連続的にできていっております。これは最初に作った先生の教え子等が、先生を見ながら、メンター的な働きを先生がなされて生まれていったことの影響もございます。ここでベンチャーができたことによりまして、地域イノベーションは地域内だけで完結するものではなく、地域外の大企業様が研究開発型ベンチャーの技術に注目して、中に資源ですとか人材といったものが入ってくるというような流入過程が、オレンジ色の域外との連携という形で形成されていきます。
 域外の金融機関からも、ベンチャーキャピタル等の投資が行われることで、産学官金それぞれのプレーヤーが複雑に絡み合うことで、地域イノベーションが起きていっていると。その中で、赤色で書きました研究開発型大学等発ベンチャーというものがハブとして形成されていっているというようなことが観察されました。
 先ほどのデータベースを用いて、要は国の競争的資金等がどう寄与していったかということについて観察したものがこちらとなります。こちらも細かいスライドで恐縮です。最初に設立されましたヒューマン・メタボローム・テクノロジーズという会社、その設立前には、慶應大学の単願の特許出願がございます。ここで発明者として主要な役割を果たしました2人の先生の競争的資金がどうであったかということを観察いたしますと、設立前の特許出願の前段階におきまして、基礎的な研究を実施なされております。それから、設立から上場までの期間におきましては、基礎研究も実施しているのですけれども、応用型のグラントというものを獲得されております。したがいまして、大学発ベンチャーの創出、それから成長過程におきまして、公的資金、国の研究資金による基礎研究、それから応用型の研究というものが同時的に行われておりまして、これらが寄与しているのではないかということは推察できます。
 このような分析がなぜ有用かと申し上げますと、こちらは内閣府のRESASを用いまして、鶴岡市の人口の予測というものを出しております。ご覧のとおり、右側が鶴岡市なんですけれども、人口動態の予測におきましては、少子高齢化が進みまして、人口が減っていくという状況が観察されます。先ほどの地域イノベーションが起きている状況があるにも関わらず、人口の減っていく予測ということで、地域イノベーションが起きたとしても、必ずしも市全体の人口増加をカバーするような増加、雇用の促進というものは、なかなか難しいという現状を示していることと、仮に地方創生、人口動態というものを指標にした場合には、地域イノベーションの兆しというものは、なかなか捉えることができないのではないかと考えております。そこで先ほどのようなデータベースを用いて、細かく地域イノベーションが起きているということを観察していくことができるというのがデータベースの有用性と考えております。
 実際にこのデータベース、内部で抱えているだけでは、なかなか有用性というものは示せないかと思いますので、現在、地図上へのマッピングということを進めておりまして、今年中の公開に向けて、現在、最終調整に入っているところでございます。事例といたしまして、今まで地域委員会で取り上げた地域について御紹介させていただきます。
 こちらがまず長野県でございます。長野県全域としまして、基本的には分布しているのですけれども、産業の集積地域に研究開発型ベンチャー、それからベンチャーが集積している傾向がございます。
 それから徳島県でございます。こちらは徳島大学の近くに分布している傾向がございます。
 こちらは兵庫県。数が多い傾向があるのですけれども、こちらは臨海部といった産業集積地域に多く見られます。
 こちらは石川県でございますけれども、金沢市のあたり、大学と市がある領域に集積が見られます。
 こちらは静岡県でございます。浜松と静岡といった都市部におきまして集積が見られます。
 こちらは福井県です。こちらも福井市、それから福井大学がある近辺に集積が見られます。
 福岡県に関しましても、福岡市、それから北九州市といった産業集積がある地域に分布を確認することができます。
 それから三重県におきましては、こちらも全域的に見られるのですけれども、やはり産業の集積しているあたり、それから大学のある津市のあたりに集積を確認することができます。
 こちらのマップは基本的には、地理的な県ごとのソーティングもできますので、地域イノベーション、各自治体様等が、一地域がどうなっているかといったことについて細かく見ていくことができるシステムとして、今年中にリリース予定でございます。
 それから次に、企業の属性を踏まえた成長戦略の分析ということで、今までは大学発ベンチャーについての御紹介ですけれども、必ずしも地域の主要なプレーヤーは大学発ベンチャーだけには限らないかと思いますので、大学発ベンチャーであるアミンファーマ、それから研究開発型ベンチャーである悠心、それから中小企業であります不二機販について、ケーススタディーをした結果を御紹介させていただきたいと思います。
 簡単に企業様の説明となります。アミンファーマ研究所におきましては、脳梗塞のマーカーの開発をしていらっしゃいます。悠心様におかれましては、醤油のパック等に使われる、ふたをしなくても気密性が保てるフィルムの開発をなさっております。不二機販様におかれましては、表面加工技術ということで、特定のものに対して摩擦係数をなくすという加工処理をなさっております。
 このそれぞれの企業様が、どのような成長戦略を取ったかということを細かく見ていっているんですけれども、注目すべき点としましては、赤枠で示しましたように、大学発ベンチャーさんは、やはりシーズドリブンであること。それからほかの企業様はニーズドリブンであるということで、とっている戦略が異なります。それから大学との関連におきましては、産学連携というところで書かせていただいていますけれども、アミンファーマ研究所様は基礎研究ですとか人材、それから臨床研究での関わりが強く、それから悠心様におきましては、機能の科学的証明という点で共同研究をなさっております。不二機販様におきましては、現象のメカニズム解明ということで、今までノウハウ的にやっているところを科学的にどうであるかというような、技術相談的な関わり方が見られました。
 さらにここで、各支援というものを考えたときに、アワードと公的資金の状況について、各社様に御協力いただきまして、全て洗い出したものがこちらとなります。矢印の上にはアワード、下には公的資金を記載させていただきます。ご覧のとおり、大学発ベンチャーであるアミンファーマ研究所様におかれましては、かなり公的資金の獲得、設立前から獲得状況がございまして、シーズドリブンで大学発のベンチャー、大学発の技術を実用化していくということには、かなりの公的資金の投入というものが必要であろうということがこちらから伺えます。一方で研究開発型のベンチャーである悠心様ですとか不二機販様におかれましては、公的資金というものは、部分的に悠心様は獲得されておられますけれども、そこまでなされておらず、ニーズドリブンでありますので、どちらかと言いますと、アワード等の表彰等による確保、取引先との信頼性の獲得といったところでの寄与が大きいといったことがうかがえます。
 最後にアンケート調査の結果の御紹介となります。その前に背景論でございますけれども、こちらはリスクマネーがどうであるかという状況になります。投資先のリスクマネーの投資件数、それから金額といったものをグラフにしております。こちらから申し上げたいこととしましては、リスクマネーに関しましては、初期設備投資が相対的に低くて済むIT関連に関しましては、リスクマネーがリターンとして期待できるということから、件数それから金額ともに半額、半数程度を占めているということで、ここに関しましては、イノベーション・エコシステムと言いますか、民間のリスクマネーが供給される状況が形成されているかと思います。一方で、バイオ等のいわゆるサイエンス型産業におきましては、なかなかリスクマネーが入りにくいというような状況がうかがえます。
 したがいまして、こちらがスキームとなるのですけれども、データベースを用いまして、特許出願の有無で分類したというのがこちらでも効いてくるんですけれども、VCの投資意欲の高い分野と、高くはない研究開発型大学発ベンチャーというものは、その成長戦略におきまして、どういった支援が必要かということも異なるかと思いますので、まず分野として分類し、さらに成長段階においてどういった支援が必要かということもあるかと思いますので、時期的な分類もいたしました。
 こちらがアンケート調査の概要でございます。全て御紹介することは時間の問題上難しいので、ヒト・モノ・カネと、どういった点に課題があったかという、この3ファクターについて中心に御紹介させていただきたいと思います。
 まずは基本的な情報としまして、大学発ベンチャーの属性としまして、大学との関わり合いについて聞いております。こちらは分野についてを聞いているんですけれども、基本的にはバイオ関連が多いというような結果となります。それから、どのように大学の知識・技術を活用したかというデータでございますけれども、共同研究ですとか技術相談といったパラメータが高くなっております。
 ここからはヒト・モノ・カネに関する情報でございます。まず、「ヒト:雇用が困難となる人材の職種」ということで、地域イノベーションで、雇用等の促進というものが期待されるかと思いますが、どういったところを必要としているかというのをベンチャーに聞いたという情報になります。これも時系列としましては、創業時、それから現在でどう変化していったかが読み取れるような設計となっております。ご覧のとおり、赤枠で書きましたように、技術人材の獲得ということに困難性を、創業時に強く、それから現在においても必要としているというような状況が読み取れます。
 それでは、次に「雇用の困難性解消に貢献した組織」。つまりどこから雇ったかということなんですけれども、「創業時」におきましては、大学が相対的に高い値を示しております。一方で「現在」となると、民間企業からの雇用ということで、民間企業からも雇用が生まれるというような形となっております。つまり大学発ベンチャーも、創業段階におきましては、28.6%ございますので、なかなか民間企業から獲得することは、一定程度はできるんですけれども、そこで大学の果たす役割が高いということが読み取れるかと思います。
 次にモノということで、「資源面での困難性」、これは特に設備とか機器とか、先ほど申し上げましたように、初期設備投資がやはりサイエンス型産業では重要となりますので、その設備・機器に関して、どれくらい困難と感じているかということにリサーチクエスチョンとして聞いているわけでございます。想定どおりと言いますか、設備・機器の確保というところに、創業時、特に困難であったというような回答が得られております。
 ではこちら、「困難性解消に貢献した組織」はどこであったかということで、自治体ですとか大学が、創業時において相対的に高いというような値を示しまして、最近、インキュベーション施設と大学などは、鶴岡でも見られたのですけれども、そのような自治体等の組織というものが、最初の創業時において機能しているであろうということがうかがえます。
 最後に資金調達のカネに関してです。こちらは資金調達の、シード、アーリー、エクスパンション、レイターで、どの程度困難であったかというものです。二次的にもう少し突っ込んだアンケート調査をしたいとは考えているんですけれども、現状どうであったかというと、まずはプレミナリー的な聞き方をしております。結果でございますけれども、シード、アーリー、エクスパンション、レイターと進んでいくと、「該当しない」がもちろん出てきますので、それを、該当しないを除いて、百分率にして補正したものが下のスライドとなります。この結果、やはりシード、アーリーにおきまして困難であったという傾向が高いというような結果がうかがえます。
 それから重要な点ですけれども、それではどこから資金調達をしたかというものがこちらのスライドとなります。最初に補助金とか助成金を青で示しているんですけれども、シード、アーリーが高く、次第に減っていくということで、これは呼び水効果として機能しているであろうということがうかがえます。当然、自己資金に関しましても、シード、アーリー、エクスパンション、レイターと次第に下がっていくので、これもよい傾向かと思うんですけれども、若干高いかなというような印象はございます。
 では逆に、レイターに行くに従って何が上がっているかという情報になりますと、こちらは予想と反したんですけれども、金融機関からの借り入れというものが上がってくるということで、ベンチャーに関しましては、リスクマネーが入ってレバレッジが効いて急成長していくであろうということを予測しているんですけれども、あくまで2000年から2016年に設立されたという、最近の二、三年のトレンドは捉え切れていないのですけれども、研究開発型のベンチャー様におかれましても、金融機関の借り入れというものが、成長していくに当たって使っていらっしゃったというような、回顧的な分析結果となります。この点に関しまして、リスクマネーがどれだけ入っていくかというような形になるかが、今後イノベーション・エコシステムを形成するに当たって重要な点ではなかろうかと考えております。
 こちらがアンケート結果のまとめとなります。まず、大学技術の活用に関しましては、創業後の共同研究が多いと。ただし、特許権譲渡ですとかライセンスは少ないといった傾向がございます。分野は薬事法規制のライフサイエンス系が多いという結果でございました。人材面に関しましては、技術人材の雇用の困難性が継続している状況にございました。雇用の困難性解消には、創業時に大学の貢献性が高く、その後、民間企業が上昇するというような結果でございます。モノに関しましては、創業時の設備・機器の確保の困難性が高いという状況でございました。この解消には大学、自治体の貢献性が、相対的でございますけれども高いという傾向を示しました。お金の面に関しましては、創業当時に補助金・助成金の貢献性は高いという結果となりました。一方で現在、ステージが進んだ研究開発型大学等発ベンチャーにおいて、自己資金ですとか金融機関の借り入れの利用割合が高いというような結果を示しました。
 これはあくまでも、先ほど申しましたように2000年から2016年ということで、最近かなりVCさんも、リスクマネー等を入れているような傾向がうかがえますので、もう少しこのアンケートについては掘り下げて、2次、3次と御協力をお願いしていく必要があろうかと思いますけれども、最新の結果として、2016年までに設立されたベンチャー様の傾向としましては、このような結果を示したということになります。
 私からの発表は以上となります。ありがとうございました。
【須藤主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの新村様の御発表につきまして、御質問、御意見等ございますか。どうぞ。
【徳増委員】  ありがとうございました。少し質問で教えていただきたいのですけれども、23ページを見ると、ベンチャーが2社ありましたね。あれは上の方がやはり公的資金を投入していると。下の方、悠心の方はそんなにないということですけれども、これはやはり公的資金、完全公的の中で育っちゃったということと、下は外へ放り出されて強くなってきたという。この傾向の差というのは、何か出てくるんですか。
【科学技術・学術政策研究所(新村)】  御質問ありがとうございます。傾向の差という形にすると、もう少しケースを増やしたいなというのが率直な感想でございます。ただ、ここからは、あくまで私見でございますけれども、アミンファーマ研究所様ですと、脳梗塞のマーカーとか、ある種、社会的意義のあるものを大学の技術で活用させようと、どうしても市場がすぐには見えないと言いますか、そういったところに対してトライするためには、やはり公的資金等の支援が必要なのかなというところはございます。一方で悠心様に関しましては、醤油の気密性が高くて、すぐ大手企業さんが食卓に並べられるみたいな、明らかなニーズベースで行っておりますので、すぐに需要が見えるということで、すぐに稼ぐことができるので、その運転資金といいますか、そこでの戦略がやはり異なるといった傾向が出てくるのではなかろうかと思います。ただ、現状3つなので、もう少し分析する必要はあろうかと思います。
 一方で大学発ベンチャー様でも、もうかなりニーズドリブンに近いようなところに関しては、ひょっとしたらここまで要らないかもしれないかと考えております。
【徳増委員】  やっぱりニーズとシーズの話をすると、最終的にどう行くのかというところが、まだ今後のデータを見てみないと分からないというふうに理解してよろしいですね。
【科学技術・学術政策研究所(新村)】  はい。
【徳増委員】  分かりました。それからもう一つだけ教えてください。先ほど鶴岡の方を事例的に見させていただきましたけども、鶴岡は大学と行政の支援もかなりしたんですけれども、行政側からすると、これに対して非常にお金を突っ込んでいるんだけど、地元に対する成果というか、地域のイノベーションの成果をどう上げてきたのかというところが議会でも議論になったところなんですよね。そこら辺、何か聞いているようなところはありますでしょうか。
【科学技術・学術政策研究所(新村)】  御質問ありがとうございます。相当、多分お詳しいかと思いますので恐縮でございますけれども、私もお伺いして、いろいろ行政側と、それから様々なステークホルダーと実際にお伺いしてお話を聞いたんですけれども、やはり首長のトップダウンで、ここで研究拠点を作るんだという当時の首長の思いが非常に強く、ただ、議会で承認を得るためには、地域での雇用が増えますよということは、コンテキストとして用意していたという話は聞いております。ただ、それだけだとやはり推進力が弱いので、どうしてもここで研究拠点を作って、そこで新しい技術を生み出すんだという思いがかなり推進力になるのかなとは考えております。
【徳増委員】  それが先ほどのRESASで見たときの人口の増減では計れないというような、そういうふうに理解するということですね。
【科学技術・学術政策研究所(新村)】  そうですね。結局やはり人口という形はすぐには計れないとは思いますので。
【徳増委員】  そうですね。分かりました。ありがとうございました。
【科学技術・学術政策研究所(新村)】  ありがとうございます。
【須藤主査】  ほかにありますか。どうぞ。
【西村委員】  ありがとうございました。非常によくまとまっているんですけれども、ちょっと気になったのは、何かフェーズがずっとあって、平成10年ぐらい、がーっと上がって、ピークがあって、次が来ていますよね。
【科学技術・学術政策研究所(新村)】  はい。
【西村委員】  第1群のピークの中で、大分結果が出ているのもあるじゃないですか。
【科学技術・学術政策研究所(新村)】  はい。
【西村委員】  今回それがほとんど入っていなくて、例えばもうちょっと遡った形で、そのものは一体どういう影響を出したかというのは、恐らく今挙がっている名前のものの、もう1群前のやつを追っていくと出てくるのかなと思って、時価総額で見ると、そういうのはほとんどもう消えているんですよね。多分、そーせいグループぐらいしか残っていなくて、あとはほぼ入っていないということになると、先ほどの質問に関わってくるんですけども、神戸でいろいろなことが起こったり、大阪でいろいろ起こったり、札幌でもあったんですね。九州でもあったけど。そういうものは、地域の雇用に対してとか、その後の産業普及みたいなことで、スタンドアローンで行っていったのか、地域産業とくっついて大きくなったのか、クラスターを形成したのかとか、多分結構見れると思うんですが、その辺はいかがですか。
【科学技術・学術政策研究所(新村)】  御指摘ありがとうございます。おっしゃるとおり、非常に成功例的なところを中心に取り上げさせていただいたので、御指摘の点、ごもっともかと思います。実際、こちらは成功ベースになってしまうかもしれないんですけれども、ヘリオス様にお伺いして、神戸で拠点を作られたときのお話を聞いたんですけれども、その際にベンチャーブーム、確かにここが、いろいろな要因はあるかと思うんですけれども、千社計画によって、まだ大学が法人化する前後でございますし、大学技術移転法等、大学に知財が集積するような仕組み等、様々な背景あったかと思うんですけれども、ベンチャーがそこでできて、特にバイオ系を集積させるんだと神戸が参戦したときに、人材と言いますか、バイオ系の人材がそのあたりにいたことによって、人材雇用の面ではプラスであったというようなことは、ヘリオス様のときにはおっしゃられておりました。ただ、そこをダイレクトに期待したわけではないというので、非常に難しいところでございまして、御指摘のとおり、もうちょっと前段階のベンチャー様にフォーカスさせたものというのを、ちょっと拾っていく必要があろうかと思います。
【西村委員】  当時、スタンドアローン的な形での、創薬ベンチャー型のものと、若干プラットフォーム型があったんです。プラットフォーム型は多分、地場のものとくっついて、結構ぺたっとしている可能性があるし、ただ、一点抜けのものは、もう結論が出始めていて、例えばアンジェスはどうなったんだろうとか、いろいろな疑問が出てくる中で、やっぱりそこら辺は、さっきの、後で資金をいっぱい投下しましたと。雰囲気は作っていきますよと。上場は行きましたよねと。上場の後、耐え得るものになっていたのかどうかという作り込みが、そういった資金で足りていたのかというのが結構重要で、クオリティーなんですよ。つまりやろうと思えば、上場まで持っていくのは行けるんですよ。流れによって。でもそのときに、それが耐え得るクオリティーかどうかということも含めて、第2群が、確かに来ている。ペプチドリームがここまで時価総額が上がってきたのは、その可能性がより高まったのかも分からない。とすると、その辺の比較をしていくと、恐らく公的資金の使い方みたいなものとか、若しくはそれを使わない方がいいのかも含めて、ペプチドリームは載っているけど、多分あまり使っていないはずなんですね。だから、何が鍵だったのかというのは、そこの比較から出てくるような気がするんですね。とすると、もう少し掘り下げてもいいのかなと思ったので、多分、何かまたいろいろやられているんだと思いますし。ちょっとそのように感じました。
【科学技術・学術政策研究所(新村)】  貴重な御質問、ありがとうございます。
【須藤主査】  ほかにありますか。いかがでしょうか。
【徳増委員】  1つだけ、すみません。ちょっと単純な話で、先ほどの3ページのところなんですけれども、この伸びというのが、一応、平成11年から伸びていますよね。これは、いろいろな法律とか、政府の支援が相当入ったということで伸びたということなんですかね。
【科学技術・学術政策研究所(新村)】  恐らくは、ちょうど千社計画というものを掲げられて、そのときに、ベンチャーを作るということすらなかったときに、まずは大学発ベンチャーを作るという文化を醸成したということがあって、数値目標もありましたので爆発的に増えたと。一方で、先ほど西村先生からも御指摘ありましたように、どううまく成長させていくかということについては、まだ試行錯誤段階であったことが、そこでの停滞にも少し関与したのかなというところもあるかと思います。あとはリーマンショックとか、外的要因もいろいろあるかと思いますので。
【徳増委員】  そうですね。
【科学技術・学術政策研究所(新村)】  はい。なかなか一概に、どれが原因であるか特定は難しいですけれども、伸びた原因としましては、千社計画という政府の方針があったことは事実であるかと考えております。
【徳増委員】  そうですね。そうすると、最近伸びてきているという、この伸びというのが、何が影響して少しずつ伸びてきているのか、それは先ほど言った民間側の力が伸びてきたのか、グローバルが伸びてきたのか、そこら辺の分析というのはどういう状況ですか。
【科学技術・学術政策研究所(新村)】  御指摘ありがとうございます。最近のこの伸びに関しましては、十分とらえていることも、エビデンスをもって申し上げるのは非常に難しいんですけれども、やはり成功例が出てきたことの要因というのも大きいのかなと思います。ペプチドリームさんですとか、大学発ベンチャーの時価総額がとか、最近やはりニュースでも出られているかと思うんですけれども、そうしたことによって、大学発ベンチャーに対する機運というのが再度全体的に高まっていることと、あとはやはり大学側でもかなり、法人化されて、大学技術移転促進法等で整備なさってきて、そこで地道に支援されてきたというのが、だんだんと使える特許という数も増えてくるかと思いますので、そうした累積という効果もあるんじゃなかろうかと思うんですけれども、ちょっとそのエビデンスというのは、申し上げるまでには至っていないという状況でございます。
【徳増委員】  はい、ありがとうございました。
【須藤主査】  よろしいでしょうか。いろいろな地域でマッピングしてもらっているんですけど、何が言えるんですかね。
【科学技術・学術政策研究所(新村)】  ありがとうございます。実際この鶴岡のようなものを分析していきたいというのと、RESASとかも多分、基本的に各自治体様が活用されるのが、一番有意義に使っていただけるのかなということで、うまくリリースに持っていきたいという思いがございます。
 どうしてもマンパワー的なところもありますし、直接じゃあこうすべきと、特定の地域に申し上げる立場にもないという状況もございますので、基本的に、自地域の産業集積がどうであるか、大学発ベンチャーですとか、研究開発型ベンチャーが、どういうものがあるか。それから、今回は御紹介はさせていただいていないのですけれども、クリックしますと、大学発ベンチャーに関与する研究者、先ほどプロットで出させていただいた各研究者、それから、その研究者がどういった公的資金を獲得していくかというものが全てひも付いて見れるような仕組みとなっていますので、技術相談ですとか、共同研究相手を探すというような形も、地域の企業間でできるかと思いますし、鶴岡のように、こういった技術が強い分野であるから、ここに力を入れていこうですとか、各地域様が活用できるのではなかろうかというふうには考えております。
 トレンドとなると、実際に今、データ分析しているところで、各地域の特徴というのは、傾向として見て取れるのではなかろうかと思うんですけれども、現状、まだそこまでできていないという状況でございます。
【須藤主査】  ほかによろしいですか。新村様、ありがとうございました。
【科学技術・学術政策研究所(新村)】  ありがとうございます。
【須藤主査】  時間の関係もありますので、続きまして、株式会社NTTデータ経営研究所の小島様、木村様、発表をお願いします。
【(株)NTTデータ経営研究所(小島)】  では、御紹介にあずかりました、NTTデータ経営研究所の小島でございます。よろしくお願いいたします。
 私どもでは、冒頭にもお話がございましたけれども、昨年度、文部科学省様から調査研究の御依頼を頂きまして、この調査を受託させていただいたというところでございます。私自身は、地域イノベーション戦略支援プログラムの方の中間評価、終了評価、平成28年度にもやらせていただきましたので、イノベーション・エコシステム拠点の創出に関する調査で去年、8か所回らせていただいて、イノベーションの方では一昨年14か所ぐらいですか、回らせていただきましたので、全部で20か所ぐらい、評価、それから成果把握の視点から現地を見させていただいているところでございます。昨年度の調査に関しましては、まず国内の方で文献調査及びヒアリング調査を8か所という形でやらせていただきまして、その成果を踏まえつつ、海外の先進事例につきまして、文献調査で5拠点、それからヒアリングで2拠点という形で調査をさせていただいたところでございます。
 本日は、海外調査を主にお話しをさせていただくということでございますので、実際に海外に行って調査をしてまいりました木村から、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【(株)NTTデータ経営研究所(木村)】  木村でございます。それでは、海外事例の御紹介をいたします。国外事例として以下の4つの調査を御紹介いたします。
 文献調査とヒアリング調査を行ない、実際、現地に参りましたのが、スウェーデンのスカニア郡にあるルンド。ここはコペンハーゲンとともに、メディコンバレーと言われるライフサイエンスクラスターに成長したクラスターでございます。もともとは、80年代にエリクソンの進出があって、ITを基盤とする産業の集積がございましたが、そこからEUファンドなどの受託などもございまして、今ではライフサイエンスクラスターに成長しております。
 それから、ドイツのザクセン州にありますドレスデンに参りました。こちらは旧東ドイツ時代から、国策として、マイクロエレクトロニクスの生産拠点がございました。それから国立の研究所、大学なども多くございます。ここはテクノロジークラスターとして有名で、業界団体のSilicon Saxonyという、こちらはEuropean Cluster Excellenceにおいて金賞を受賞している有名な団体がございます。
 それから、アメリカの2都市、テキサス州オースティンとポートランドにつきましては、文献調査のみといたしました。オースティンにつきましては、もともとハイテク産業などもございましたが、今ではテキサス大学のスタートアップ活動が非常に盛んでもございまして、大企業とベンチャーがともに併存するクラスターとして有名でございます。
 ポートランドにつきましては、シリコン・フォレストと呼ばれるクラスターとして有名でございます。
 なぜ、この地域を選んだかと言いますと、そもそも文部科学省様の調査でございますので、何らかの大学、研究機関が存在すること。それからクラスター形成に何らかの官の支援が存在していそうであったこと。それから、日本のクラスターに対しての何らかの示唆を得たいので、産業分野が類似していること。さらに、適度な規模感、あまり大き過ぎず、小さ過ぎずといったところで、この4拠点を選んでまいりました。
 海外調査に先立ちまして、先ほど小島が御紹介させていただきましたが、国内のエコシステム、クラスターのヒアリングも行っております。そこで日本の課題というものを認識いたしまして、それに対して何らかの示唆を得られるようにと海外調査の事例調査を設計いたしました。右側に、「イノベーションの課題」と赤字で記しておりますが、ちょうど皆様がこの場で取りまとめられている課題分野にも照合いたします。1番目がエコシステムの形成、2番目がマネジメントについて、3番目がお金の問題、4番目が人材確保と役割分担といった課題認識を持って、事例調査を御報告させていただきます。
 課題別に進めてまいりたいと思います。まず1番目、エコシステムの形成でございます。そもそも国とか自治体が、資金を提供したり、フレームワークを作ったりして、集積は形成されるんでしょうかというそもそも論から始めました。結論としましては、確かに官が何らかの資源を提供してはいるんですけれども、アメリカは民間主導のボトムアップ型でございます。一方で、ヨーロッパを見ますと、こちらは政府主導の事業でございます。メディコンバレーとございますのは、これは先ほど申し上げたスウェーデンのルンドのことでございますが、EUの地域連携推進ファンドという大規模なファンドを受けまして、形成が促されました。今でも非常に大きな額のEUファンドが投資されておりまして、いろいろな研究開発施設が建設中でございます。ドレスデンというのも、もともと国策で集積が形成されたところでございますし、それからザクセン州も研究開発資金の提供を非常に盛んに行っている。さらに、積極的な企業誘致も行っているということで、こちらは政府主導のクラスター形成が行われたと言うことができます。
 1つは、エコシステムの形成におきまして、日本では、集積していても横の連携がなくて、オープンイノベーションが生じていないとう課題がございます。さて、海外事例はどうでしょうと言いますと、確かに、日本と同じような問題を抱えているクラスターはございます。ポートランドにおきましては、やっぱりエコシステム内の連携というより、外から人材とか企業とか、投資を呼び込んでエコシステムが持続しているようです。と言いますのは、地場産業にある小さな企業を、Googleですとか、Yahooですとか、IBMとか、こういった大企業がどんどん買収していって、ここに事業拠点として進出しているという特徴がございます。
 一方で、ヨーロッパでは、M&Aというよりは、ネットワーキングに特化した団体というのがございまして、非常に盛んに活動しておりました。例えばルンドでは、Medicon Valley Allianceですとか、Innovation Skaneとか、複数のネットワーキング団体が様々なイベントを企画して、オープンイノベーションの場を提供しているようでございます。
 ドレスデンにおきましても、同じようにSilicon Saxonyとか、ほかの民間企業なども、ネットワークイベントを開催して、盛んに活動しているようでございます。
 さらにヨーロッパでは、地域の大学や研究所が連携するネットワークもございます。例えばメディコンバレーでしたら、ルンド大学とコペンハーゲン大学の交流促進というのが、クラスターのベースとして始まっておりますし、ドレスデンでは、州内の応用科学大学が連携して、技術移転を目指すプログラムがございますし、フラウンホーファー研究所と大学が連携するプログラムを通じて、機材の提供などが行われております。
 日本では、大学の研究が、社会実装を意識したものになっておらず、民間企業とギャップがあるという課題がございます。これにつきましては、欧州でもそのとおり、ギャップは認識されておりました。そもそも研究とビジネスというのは異なるものだろうというのが一般の常識みたいな形でございます。
 ただし、学術と産業の橋渡しの取り組みということも行われておりまして、例えば、高校で起業について学ぶとか、大学法学部でビジネスを必修化したりといった取組は行われているようでございます。
 ここから先はそもそも論なのですが、ドイツでは、大学教育が基礎系と応用系に分かれている。大学の組織が総合系、基礎学問を教えるユニバーシティと、応用系、実学寄りのUniversity of Applied Scienceの2系統があります。応用科学大学では、その教授陣に産業界での経験がある方、産業界とネットワークのある方を引っ張ってきて教えています。
 さらに、ドイツの場合、大学は教育の場である、研究は研究所で行うものであるという分担意識があるようでございます。例えば研究所の中でも資金源、公的資金が投入される研究所と、民間分野から資金を獲得してくる研究所というので、非常に特徴が分かれているといった研究の風土があるようです。
 次にマネタイズの仕組みでございます。日本の場合ですけれども、研究機関の資金確保手段として、何らかの研究成果が製品として上市されて、それに応じてライセンスフィーがいくらかでも入ってきて、それで研究資金が回っていくのではないかという期待をしていたのですけれども、それが実際には非常に甘いと。ライセンス料というのは非常に少なくて、それは次の段階の研究に回せるほどのものではなかったという課題があります。
 一方で、大学とか研究所とかに最新鋭の機材がある場合、それを使って、検査とか評価試験を展開をしていくと、安定して一定の資金が得られていくような事例がございました。
 さて、海外ではどのようにして資金を獲得していくのかという課題がございまして、アメリカではもちろん、皆さん御存じのように、非常に大型の寄附が盛んに行われております。オースティンでは、地域のデル財団の大型寄附によって、学部が丸々1つ、ぼんとできたり、研究センターができたりといった事例がございます。
 一方、ヨーロッパでは、そのような大型寄附の習慣はあまりなさそうで、やはり公的競争資金が重要であるということが分かりました。スウェーデンのヒアリングですと、やっぱり製品化によるライセンスフィーというのは非常に小規模なもので、やはり長期的な、10年スパンでの公的な基礎研究資金が必要だということは、皆さん口々に言っておられました。
 とはいえ、民間資金の獲得というのも非常に重要視されておりまして、例えばドイツのフラウンホーファーの研究所ですが、国からも運営費は出るのですが、民間資金を獲得した場合、より基礎的な運営資金を多く支給されるという設計がされているそうです。応用科学大学においては、研究資金としては、民間から7割ぐらいを得ているという話でございました。
 日本における課題なのですが、金融機関の役割として、金融機関は非常によくマッチング機能を果たしているというケースが多かったように思われます。ただ、一方でファンディングについては、あまり機能を果たせていないようにも見受けられました。
 そこでですが、日本ではベンチャーキャピタルというのはもともと弱く、スタートアップの資金獲得が困難と言われております。IPOとか、買収等の出口も見つけられずに、スタートアップが中途半端に残ってしまうという課題がございます。
 海外事例ではどうなのかと言いますと、ちょっとここにアメリカの例を持ってくるのは適切ではないと思うのですが、非常にベンチャーキャピタルが活発でございます。アメリカでは州によって、ベンチャー投資をすれば、その一定額を税控除する制度というのもございます。オースティンでは、地元の民間投資家というのがベンチャーキャピタルとして非常に機能を果たしている。一方で、ポートランドはあまりベンチャーキャピタルは強くないんです。結局は政府とか、州外の民間投資が資金源となっているようです。
 欧州を見ますと、スウェーデンは、欧州の中では、かなりベンチャーキャピタルの活発な土壌であるという説明を受けました。Skypeですとか、非常にベンチャーとして成功した事例がございまして、その成功者が、また投資家になるというエコシステムがあるのだという説明を受けております。一方、ドレスデンというのは、地元のベンチャーキャピタルという話もそんなになくて、ただ、ネットワークイベントを通じて、グローバルな民間投資家を呼んできて、そこでマッチングさせるといった取り組みがなされておりました。
 スタートアップの出口としては、企業買収がアメリカでは非常に盛んなので、放っておいてもどんどん進んでいくのだろうと拝察します。スウェーデンもそのような状況にあるようです。大学発ベンチャーの成功例というのもございますが、ただ、ベンチャーというのは、ある一定の規模に成長するまでに10年くらいはかかるものだという話を受けて、それを見ると、大学側に利益の出るようなものではないというお話でございました。
 4番目、人材の確保及び主体の役割分担に対する日本の課題でございます。日本のエコシステムが傘下の推進機構ですとか支援機構に対して支援資金を出しているケースがほとんどですが、その機関に優秀なコーディネーターがいないとなかなか回っていかないという問題が見受けられます。一方で自治体の役割は何かと言いますと、自治体は研究資金を提供するというわけにもいかない一方で、実証実験のフィールドなど、自治体の強みを生かした支援というのもあるとは思うのですが、なかなかそれを実施している自治体は意外に少ないのではないかと思われます。
 それから、地方の大学にも、非常に研究成果の豊富な、スターと言われるような研究者様もおいでになって、そちらに研究資金が投下されるのですが、一方で、その方の研究分野と地場産業の分野というのが全く合わない。なので、その方に研究資金を提供して、その成果が出たとしても、地場への普及があまり見込めないといったミスマッチなケースというのもございます。
 海外のエコシステムにおける自治体の役割とは何だろうかと考えました。アメリカですと、自治体というのはあまり前に出てこない。間接的な支援を行う役割となっているようです。オースティンでは、自治体はインキュベーター、スタートアップの教育係ですが、そこに活動資金を提供します。インキュベーターはスタートアップに教育したり、投資家へのアクセスを提供したりします。スタートアップに支援するのは民間の投資家です。スタートアップが成功したら、地元経済に貢献が望めるでしょうという理想のサイクルを描いているようです。
 ポートランドにおいては、官民連携ファンドというか、これはローンです。スタートアップに優先的にローンの貸付を行う仕組みがあるようです。
 最後に、イノベーション・エコシステムに必要な要件とは何かというのを抽出してみました。下の欄に、生産拠点、知識人材の量と質、集団的意思、Collective willと、それから投資、マネー。それから生活の質、低コスト、新たなものを醸成していくための多様性・グローバル性といったキーワードが抽出できました。先行事例、持続性のあるエコシステムというのは、全てを備えているわけではなくて、1つ足りないところもあれば、何か強いものがあって、それを補っていくような力、例えばポートランドでしたら、オレゴン大学とか研究所は、ちょっといまいちなんですけれども、それを補ってあまいある生活の質ですとか、低コスト性などが企業活動を醸成していくといった相互関係、相殺して成長していくようなサイクルが見られます。
 海外事例の御報告は以上とさせていただきます。ありがとうございました。
【須藤主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの小島様、木村様の御発表につきまして、御質問、あるいは御意見等ありましたら、お願いします。
【徳増委員】  いろいろな情報ありがとうございました。少し海外の情報を、私もよく分からないところがあるので教えていただきたいのですけれども、1つは、先ほど、優秀なコーディネーターという1つのキーワードがありましたけれども、やはりオースティンなんかは結構、組織的なコーディネーターになっているのかな、大学の外にあるのでしょうか。そういうコーディネーターの役割といいましょうか、コーディネーターは企業との連携とか資金の確保とか、そういうことをどんどん支援のプログラムを皆さんに渡していくわけですけれども、コーディネーターというのはどのくらい大きな役割を持っているのか。これ、何ページか書いてあるんですけれども、日本では、産学連携におけるコーディネーターのポジションというのは、退職者によって構成されて機能していないという言葉が出ていたので、やはり外との違いというのは相当あるんだろうと思うんですけれども、これはどうでしょうか。
【(株)NTTデータ経営研究所(木村)】  ありがとうございます。私がざっと調査した印象でございますが、海外にはそれほどコーディネーターという人があまりいない。
【徳増委員】  いないんですか。
【(株)NTTデータ経営研究所(木村)】  ネットワークの場を提供する組織がいるのですけれども、もっとスタートアップ、資金が欲しい人というのは、自ら動くものだというものがあって、誰かがマッチングしてくれるのを待っているわけではない。もうちょっと積極的な気がいたします。得てして日本の場合は、自治体ですとか推進機構に、マッチングの役割を求めがちなんですけれども、もうちょっとボトムアップと言いましょうか、起業をして事業を展開していく強い意志というものを求めてもよいのではないかなとは思いました。
 ただ一方で、日本では金融機関がマッチングイベントなどの役割を非常に積極的になさっていると思いますが、海外では金融機関というより、それに特化したネットワーキング団体が、1つのエコシステムの中に複数ございまして、それぞれの強みがあるようなので、そういう場を提供する支援団体というものに強い特徴があるような気がいたしました。
【徳増委員】  例えばハノーバーのメッセとか、いろいろ大きいのをいくつかやっています。ドイツでも。ああいったものにコーディネーターが入ってくるということなんですかね。1回ちょっとのぞいたことはあるんですけれども。
【(株)NTTデータ経営研究所(小島)】  少々補足させていただくと、話を伺っていると、どちらかというと場を作ってあげると、勝手にくっついていくというイメージなんですね。なので、今、木村が申し上げたように、誰かが何かをしてくれる、仲人さんがお見合いをしてあげるようなコーディネーターというよりは、場をセットしてあげれば、勝手にその場で人たちが集まっていって、今こういう研究しているんだけどというので、じゃあいいねというので組み合わさっていくところの要素が非常に強いのではないかというところです。なので、先ほど来お話がありましたように、イベントをとにかくやるというのは、かなり積極的なイベンターがいると。日本でもやっているわけですけれども。
 やはり海外だと、ピッチイベントというのは、もともとエレベーターに乗っている間だったら話聞いてもいいよというところで、30秒で説明しろというところからスタートしていると聞いていますけれども、そういうバイタリティーだとか、積極的に取りに行くとか、積極的に仲間を作っていくというところの差が、やはり日本と海外のところ、そこはアメリカ、ヨーロッパだけではなくて、日本と海外との大きな差になっているのかなという印象ですね。
【徳増委員】  なるほど。ありがとうございました。よく分かりました。
【西村委員】  ちょっとよろしいですか。
【須藤主査】  どうぞ。
【西村委員】  多分いろいろなものが混在しながら、ごちゃまぜで話をされているので、多分、今の調査だと誤解を受けるかも分からないですよ。最初の組み上げのところの産学の、例えば共同研究を組み上げるところと、ベンチャーを作るというのは、また違ってくる話なので。ベンチャーを作るところだったら、そういう場を作れば、多分勝手に動いている人たちはやるかもしれないですね。でも、多分最初の組み上げのクラスター形成のとき、どこから全部をクラスターにしていくのかというときに、やっぱりどこかで、大学と産業界をつなぐような機能みたいなことでの産学連携的なことの組み上げみたいなところはあるんだと思うんです。それはコーディネーターという人たちなのか、そうじゃないかもしれないけど、僕も多分、ここも全部行っているし、あと、これ以外にもたくさんあるんですよね。大体見てきたけれどもそれぞれですよ。
 それと、今回の目的は、この規模感が重要なんですよね。地域発イノベーションのときの、ルンド、ドレスデン、オースティン、ポートランド。大体、人口規模がこれぐらいで、日本の地域科学技術イノベーションなので、多分、ナショナルイノベーションみたいな形のシリコンバレーとかを外したというのは、そういうことかなと思ったんですけれども。だからそういうカテゴライズのところで、特徴的な何かキーになっているものというのがちょっと浮かび上がって、この4つを比較した中で、共通項みたいなものとか、これが成功しているという前提だったらですね。これくらいの人口規模感で、コアになるような大学が1個か2個ぐらいで、それもトップ大学じゃなくて、ルンドはトップだとしても、そういう中で形成してきたときに、何が一番重要だったのか。今言っているのが全部そうかもしれないけれども、この共通項的なものを教えていただけると助かるんですけれども。
【(株)NTTデータ経営研究所(木村)】  ありがとうございます。共通項を示すかどうかというのを迷いましたが、結論としては、そこまでできない。言い切れないというのはございます。というのは、エコシステムの産業分野にかなりよりまして、訪問したところでは、やっぱり産業生産拠点がすごく必要だみたいなお話をされます。
【西村委員】  じゃあ、そしたら、この4つは成功しているから選んだと考えていいんですか。
【(株)NTTデータ経営研究所(木村)】  成功していると考えております。
【西村委員】  その成功の定義と、それによっては、多分、分野は違ったとしても、何をもって成功かというのがあれば、その成功を支えていた推進のところは産業が違ったとしても、機能としてあるんじゃないかと思うんです。そういう意味で成功の共通の機能は何だろうということがね。このくらいの規模感の地域で何だろうというのをやっぱり示していただくと、参考になると思うんです。私たちは、これを聞いて何をするかを考えたいときに、ただ、羅列された情報だけを言われてもあまり意味がなくて。やっぱりそこまで調査したのなら、そこを教えていただけるとね、この後の議論につながると思うんですよ。
【(株)NTTデータ経営研究所(木村)】  御指摘のとおりです。これを皆様で議論していただければいいなと思ってまいりました。
【西村委員】  そうですか。
【須藤主査】  ちょっと私その前に、大学がどういう寄与をしているかがよく分からなかったんですけれども。
【西村委員】  そうですね。それを教えてもらうといいですね。じゃあ、それを1つ切り取って教えていただいたら。
【須藤主査】  そういう切り口で何かないんですか。
【(株)NTTデータ経営研究所(木村)】  ヨーロッパにヒアリングに行きましたところ、大学=高度人材といった、必ず企業を誘致する条件になり得るというお話でございました。それが、日本の感覚で言うと違和感がありまして、日本では、それほど大学というものが吸引力を持たないような気がしております。どっちかというと学生が企業のあるところに行ってしまう。地方の大学から人が残らずに外に出ていってしまうような状況を印象として持っていましたので。ところがヨーロッパ、スウェーデンとドイツ、ルンドとドレスデンで言われたことなんですけれども、大学があるからこそ、ここに企業が来て、調査研究が当然そこにあって、公的資金が取れるといったものが必須条件のようでございます。
【須藤主査】  ヨーロッパはそう。例えば米国はどうなんですか。ポートランドとか、アメリカの方は。
【(株)NTTデータ経営研究所(木村)】  オースティンでしたら、オースティンにはテキサス大学がすごく、スタートアップ人材かつ、インキュベータープログラムの提供者として。
【須藤主査】  テキサス大はありますね、そういうのが。
【(株)NTTデータ経営研究所(木村)】  はい。重要な役割を果たしていますが、ポートランドの方が、ちょっといまいちで、もちろんそこでコンペなどもやっているんですけれども、それほどポートランドの産業集積と大学が連携しているかというと、ちょっとはてなということは思いました。ポートランドの産業集積というのは、外から人が来る。外から高度人材が来るというのが特徴のようでございます。
【西村委員】  多分、地勢的に違っていて、ルンドはルンド大学のそばに産業集積があるのに戦略的に誘導していますよ。あと、ドレスデンは僕、わからないですけれども、ポートランドは、UOは残念ながらユージーンにあるので、ポートランドとの距離が離れていて、メインはUOです。ユージーンです。だからそういう地理的な問題もあると思うし、もともと違う政策として、多分、市は産業集積を図っていったので、大学と関係なしにポートランドはやっている可能性がある。背景が違うんだということをしっかり説明されていないと、間違うかなと少し思ったんで、客観的なデータとして、何かマトリックスみたいなのを出していただくとよかったかもしれませんね。
【須藤主査】  ほかにありますか。よろしいでしょうか。
【福嶋委員】  ちょっと個人的な質問ですけれども。
【須藤主査】  どうぞ。
【福嶋委員】  ポートランドを選ばれた理由は、ポートランドは何か集積、どんな産業の集積があって、どういうスタートアップが生み出されているのかというのを、ちょっとお話しいただければと思いまして。あまり集積でポートランドと出てこないので、どんなところなのかなと、ちょっとお伺いしたかったということです。
【(株)NTTデータ経営研究所(木村)】  そうですね。半導体系、計算機器メーカーがあって、インテルとかヒューレットパッカードとかがやってきて、日本企業も非常に進出していったということ。大企業からのスピンオフを中心に、スタートアップが誕生していって、今はシリコン・フォレストと呼ばれるクラスターに成長したということがございました。
【西村委員】  大体、西海岸は、土地が高くなってくると、シリコンバレーからだんだん北に上がっていくんですよ。それで、一番最初に行ったのがポートランドであって、僕が10年ぐらい前に行っていたときというのは、ポートランドはかなりそういう形での、ちょっと言い方悪いけれども、もう住環境プラス、土地安いということで移り住んでくる。ちょっとした成功をしたベンチャーが移ったのがその頃です。その頃は残念ながら、あんまり町はよくなかったんですけれども、そこから町の政策として非常にきれいな環境都市を作ったんです。だからそういう意味で、移住をうまくやっていったというのは、ここに書いてあるとおりだと思うんです。でも残念ながらポートランドも、今はものすごく高くなっていって、そういう動きはもうちょっと北に上がっていっています。それでシアトルなんかも相当行ったんだけれども、シアトルも高くなっているので、今度はそこから東の方に伸びています。だからアメリカというのは逆に、企業が移動しやすいので、そういう企業誘致を、場合によっては住環境と書いてあったし、土地の安さとか、あと人材提供ということで引っ張ってきたのかも分からないです。多分それが、今回、ポートランドを挙げられたのは、そういうふうに見ていくのも1つなのかなと思いました。これは個人的な感想になっちゃいますが。
【須藤主査】  それでは時間になりましたので、この辺で質疑応答は終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
 続いて、議題2に移ります。議題2は自由討議ですけれども、その前に、事務局から資料の説明があるんですね。
【生田室長】  今までヒアリングをしていただきまして、ここから自由討議ということに入っていただきますが、中間とりまとめの段階で、一番手薄だったところとして、上の産地部会からも言われております、マネタイズの話、それから、今日少し調査ということで出させていただいております海外の取組からの教訓みたいな、そういったところを中心に本日は御議論いただきたいとは思っているんですけれども、実は前回、第7回の委員会になりますが、そこでもQBキャピタルの合同会社の坂本代表と、株式会社阿波銀行の里副部長の両者から、特にマネタイズに関して御発表いただき、質疑応答、そして御議論をいただいておりますので、それを振り返りを少しさせていただければと思います。タブレット上の資料2を使って振り返りさせていただきたいと思うのですけれども、赤字のところが、要は前回の委員会での御議論を少しインプットしたところです。
 特にマネタイズというところになりますと、8ページ目のところです。ここの冒頭のところから、「マネタイズの仕組み」というのが書いてございます。マネタイズのところは2か所に分かれてしまっていますので、ここで書いてありますのは、囲みの中の一番下で、阿波銀行さんの御発言でございました。通常、銀行、地銀さんがベンチャー支援をする際には、一般論で言うとエクイティ、株主資本と負債とのバランスを見ながら投資はしていくのですけれども、地方の場合はそもそも投資をする先のシーズが限られていると。だから一般的な定石にとらわれずに、個別のケース・バイ・ケースで最適な支援を、支援先と一緒に考えていくことができるというのが、地方ならではの強みじゃないかみたいな御発言があったかと思います。
 そこから続いて9ページ目に行っていただきますと、これはマネタイズというか、マネタイズ的なベンチャーの人材、イノベーション人材という意味で、一番下のところなんですが、シンガポールの事例がございました。シンガポールでは、大学が海外のホットスポットと言われるようなスタートアップに、インターンシップと留学を兼ねて学生を送り込むと。それによって輩出されたイノベーション人材が、海外から国内に戻って、蓄積されて、今、ベンチャーというものの世界がシンガポールでは成長してきている。そのようなお話があったかと思います。
 次のページに行っていただいて、10ページ目の囲みの中の一番下ですけれども、これも阿波銀行さんからのお話として、確かプレゼンの中で、課題解決型の産学金連携の仕組み、こういったことをやっていましたというお話があったと思いますが、その成功要因として、これは結構特殊ケースだったかもしれないんですが、キーパーソンである、固有名詞も出ておりましたが、コーディネーターさんを介して、地銀側は地元企業とのネットワーク、そしてTLOが大学とのネットワーク、それぞれの持つ強みを生かして、ハブ・アンド・スポーク方式といった御発言もありましたが、そのような点を取ったというのがうまくいったのかな、このようなお話もあったかと思います。
 そして、続いて11ページ目に移っていただきますと、こちらはエコシステムの形成に向けた話でございましたけれども、この囲みの中、阿波銀行さんから出た御発言としては、特に自治体さんには、公設試で行われるような地道な活動にもう少し頑張って支援をしてほしいなというお話があったりですとか、若しくはQBキャピタルさんの方からは、同じように、自治体さんに対する期待として、何というんでしょう、とにかく外でやっているものを、全部そのままということではなくて、自分事として咀嚼をして、自分の地域に合う体制やエコシステムを作って欲しいと。そして、よくある首長が交代すると一気に支援が減るというのではなくて、長期的に一貫した支援を期待する。そのようなお話があったかと思います。
 そして、13ページに行きますと、ここもマネタイズの仕組みに関する部分なんですけれども、13ページ目の頭のところ、ここは委員からの御発言だったかと思いますが、マネタイズをうまく回すためには、要はお金もうけのために投入する資金そのもの、これはやはり、その主体自らが何とか工面すべきであって、国はどちらかというと、マネタイズをうまく回すために必要な体制整備に必要な資金を支援していく、そういったことが重要じゃないかと。そのような御発言があったかと思います。
 そして、同様、マネタイズの関係で、ヒアリングの中で出てきた話といたしましては、QBキャピタルさんの方からは、地域の企業や金融機関に対する期待として、ファンドに対するLP投資などのリスクマネーの供給を期待されていると。そして国に対しては、いわゆるFund of Fundsを期待し、大学には、リスクを取り得る体制構築、このようなものを期待するという御発言がございました。そして、QBキャピタルさんの方で1つあったのは、ファンドを作る際に、リスク分散を行って、シンジケーションを結成するというのがよくあるけれども、このQBキャピタルさんは九州で、すごく特化した御支援をしていますが、最近では、都心のVCから、QBキャピタルさんの方に声がかかって、協調して投資できる案件についての相談、そのようなものも出てくるようになった、そのようなお話があったかと思います。
 そして一番下のところ、阿波銀行さんのところでございますけれども、産学連携支援、地銀としてやっていたケース、御発言、このときあったんですけれども、なかなかやはり、地銀としての資金需要には、直接的にはつながりにくいと。だから短期的成果としては見えにくいがゆえに、支店にやらせてしまうと、やっぱり営業評価というものが目の前にちらつきますので、この活動は、実際は本部の方で行っていた。そのような御発言があったかと思います。
 そして最後の14ページ目、ここは人材の話ですけれども、地域の大学発ベンチャーが資金調達できる環境があれば、そこが人材の受け皿になって、地元出身者の若者が戻ってくる、そういう仕組みを作ることが重要ではないかというような御発言があったかと思います。
 ほかにも赤いところが前回の委員会で、委員若しくはヒアリングさせていただいた方々からの御発言でございましたが、簡単にリフレインのために説明させていただきました。以上でございます。
【須藤主査】  ありがとうございました。前回の議論の少しおさらいができたと思うんですけれども、それから、今日の2つの発表を頭にちょっと入れていただいて、議論したいと思います。あまり限定したくないんですけれども、少し重点を置くとすれば、今日いろいろ御発表ありましたので、マネタイズの仕組みとか、あるいは海外のイノベーション・エコシステムのことを少し頭に置きながら、そこから何かヒントのようなものがあるかどうか、そういったところを少し頭に置いて議論を進めたいと思います。大体今日で議論が終わるんですね。
【生田室長】  はい。そうですね、一応今予定しておりますのは、次回は、文部科学省の中教審の方で、特に大学に関する新しい答申が出ておりまして、その中でも、地域との連携、そのような内容が出てきております。それについて少しインプットさせていただいて、大学という側面から見た地域科学技術イノベーションというのを御議論いただこうと思っております。そこで個別の議論というのは一応収束をしたいなと思っておりまして、来年の2回で全体討論とさせていただければと思います。
【須藤主査】  そのときには、ほぼ報告書のような案が出てくるのですか。
【生田室長】  そのつもりでございます。
【須藤主査】  それについて皆さんが意見を言うということですので、今日と、もう一回が勝負になりますので、是非言いたいことをこの場で言っていただきたいと思います。
 はい、どうぞ。
【加藤委員】  言いたいことというので、じゃあ。今日、静岡県の教育委員もやっていますので、県知事といろいろ論議してきたんですけれども、その中でも、ちょっと3つお話ししようかなと。1つは、やはり学校の役割をもうちょっと明確にした方がいいかなと思います。小中学校ですら、そういう議論が今、静岡県では出ていまして、部活やる、やらないとか、学校はどこまでやるとかという話なんですけれども。やっぱり明確にしないと、責任を公の方に押し付けてくるというのが一般の傾向にあるようなので、そういう意味で、大学になるともう少し地域との役割というか、依存具合というのはないんでしょうけれども、大学も、発表の中にもあったように、やっぱり基礎研究をやっていますよというブランディングするのと、テクノロジー系やっていますよと。サイエンスとテクノロジーの理解が曖昧なままだと、なかなか難しいのかなと。先ほど新村さんの発表あったように、1つの会社を作るにも、全然パスが違うので、そういう意味で、サイエンス系とテクノロジー系は分けて整理していくのがいいかなと思います。
 あと、実体験も含めてですけれども、国とか行政は、非常に大きい応援団になります。私もDBJさんのビジネスコンテストで拾い上げられ、そこから何かシンデレラストーリー的になっていますけれども、お金だけじゃない。種銭というのはもちろんあります。やはりいろいろな開発をするのに種銭になるというのは非常に大きな国や行政の役割かなというのは1つ。あと、広報的なところの役割ですね。拾い上げてもらえて、公的な何か、こういう委員会もそうですけれども、何かで発表してきたよというと、地方からすると、省庁に軽々行っているということ自体が結構ブランドになったりします。省庁にいらっしゃる人はちょっと分からないかもしれないですけれども、地方はそういう状況ですね。なのでそういうコネクションも含めて、国や行政が引っ張り上げると、それなりの知名度とか信用が付くというのを認識していただいて、引っ張り上げてもらえればいいんじゃないかなと。
 あとはキーパーソンですね。最近、いろいろな地方の政治的な構成のようなものがよく分かってきたのですけれども、地方、地域でやると、地域を取りまとめているおじ様たちがやっぱり何人かいらっしゃって、そこを仲間に付けると強いということがありますので、やっぱり首長さんしかり、民間のそういう取りまとめていらっしゃる方に、早めにベンチャーがアクセスできると良いと思います。私の場合は信金さんの頭取というんですか、今は会長になられた方が引っ張り上げて、そういう経済界のドンたちにつなげてくださったんですね。それがすごくよかったですし、ほかのベンチャーもやっぱり同じように、いろいろなビジネスコンテストとかで金融機関が拾い上げた後、経済界との連携ができているというのは、非常に大きな成長の糧になっているかなと思います。
 もう一つ、そういうキーパーソンとか、リーダーシップとか、コーディネーターという、人の話が出ているんですけれども、コンサルティング担当との付き合い方みたいなのも、ちょっと地方は蓄積がないかなと思います。地方交付税とかで、地方にお金を投げると、半分以上東京に戻ってきているのではないかというぐらい、東京がキラキラして見えて、東京のコンサルにどうしても丸投げしてしまうと。他人事ではだめだと、先ほどQBさんの方の意見として書いていましたけれども、コンサルはコンサルで、情報収集力とかまとめる力があるので、使いようだと思うんですけれども、主体がやっぱりベンチャーの代表であったり、それを生み出そう、成長させようとしている地域が主体なので、主体がきちんと動いた上で、足りない部分をコンサルに頼むという、何かそういう付き合い方というんですかね。
 ただ、東京のキラキラしたものに従わない。どうすればそれができるのか分からないですけれども、大体うまくいく事例は、リーダーシップある方が現地にいて、自分たちの意思できちんと歩みを進めている方たちで、適材適所でそういう外部のいろいろな知見を入れながらやっていると思うので、それを意図的に作るということを、どうすればできるのかが議論だとは思うんですけれども、やっぱりそういう成功事例を積み重ねながら、リーダーシップないところにお金を投下してもちょっと無理なのかなというのはすごく痛感しております。以上です。
【須藤主査】  ありがとうございました。質問していいですか。
【加藤委員】  はい。
【須藤主査】  加藤さんの場合、大学は何か絡んでいるんですか。今、信金の方とか、いろいろ行政とか話が出たのですが、大学の話が出なかったので、大学というのはあまり関係なく今まで来られているんですか。
【加藤委員】  もともと創業のきっかけは、静岡大学の社会人講座ですね。私は工業から農業へ転身したんですけれども、そのきっかけは静岡大学です。それぐらいですね。
【須藤主査】  特に大学と絡んで、一緒に連携しながら何かしたというわけではないんですか。
【加藤委員】  創業はそうですね。
【須藤主査】  ありがとうございます。ほかにございますか。どうぞ。
【徳増委員】  すみません。私今日、先ほども海外事例のときに質問させてもらったんですけれども、コーディネーターの役割というか、海外ではそんなにないということなんですけれども、私がオースティンに行ったときは、結構コーディネーター的な人が全てやってくれたので、企業もちゃんとやってくれるし、この人は結構すごいなと思っていたんですけれども、先ほどの話では、あまり必要ないのかなとちょっと思ったんですけれども、日本で、今までの阿波銀行さんとかの話を聞いていると、何かコーディネーターというのはやはり必要で、大学の先生は研究ができれば満足なので、結局商売とか、そういうところの頭の切り替えはできないので、そういうのをやる役割というか、こういうコーディネーターがやはり重要になるんじゃないかなと、つくづく思っているんですね。
 今まで、地域イノベーション戦略支援プログラムをやってきた中では、どこかコーディネーター的な人が成功しているところがあるんですね。多分、鶴岡でもそうだと思うんです。鶴岡でもコーディネーターが5、6人いて、その人が10年近くずっと引っ張っているわけですよね。そういう人材がいて、それは影で動いているので表面に出てこないんですけれども、そういう人をどう地域の中に入れ込みながら、エコシステムを回すかというところをやっていかないと、エコシステムはできないのではないかというふうに思います。何かそういうのがあると、もっとスムーズに行くんのではないかなという気がします。
 特に、今までの地域イノベーション戦略支援プログラムをやっている中では、完全に行政の方にコーディネーターの人を付けちゃっているので、それがいいのかどうかは非常に私は疑問があって、銀行寄りの方にコーディネーターがあった方がいいのか、大学の中にコーディネーターがあったらいいか。大学にあると、やはり大学発ベンチャーというのが出てくるので、そこら辺のところのコーディネーターの位置関係というか、こういう中でのポジションを明記しながら、どこに置いたら一番ベストなのかというところを入れていかないといけない。いつもコーディネーターが必要だと言っていながら、実際見てみると、全く機能していないというのが多くあるので、ちょっとそこら辺のことを考えていかなきゃいけない。数さえ集めればいいという話ではなく、どういうポジションでコーディネートをやらなきゃいけないかというところですね。
 結局、国の予算が終わってしまえば、コーディネーターもお金がないんでやめていくという。そうではなくて、やはりコーディネーターは10年なら10年、20年なら20年で、長期間で地域を考えながらやっていかないと、これは非常に進まないんじゃないかなと。技術はどんどん良いものが出るけど、それが社会、市場に出てこないというような感じがありましてこういったことを、少し思っています。そこら辺を少し入れてもらうとありがたいなと思います。
【須藤主査】  オースティンのときのコーディネーターは、どういう所属というか、どういう立場の方がやられていたんですか。
【徳増委員】  オースティンの場合は、さっき言ったテキサス大学の中の、その一部、例えばバイオだったら、バイオというセクションの方が、TLOみたいなところがあるんですけれども、そういうところにいまして、そこでいろいろやってくれるというものです。
【須藤主査】  プロフェッサーなんですか。
【西村委員】  キャリアパスがあるんです。そういう産学連携のセクションというのがあって、Ph.D.ぐらいを取った人が行っています。
【須藤主査】  本当にTLOの方に行っているような感じ。
【西村委員】  そうです。そこにキャリアパスがある。
【徳増委員】  そうですね。だからコーディネーターは地域だけを見ているんじゃなくて、もっと広い、日本で言えばオールジャパン的な、どこにこんな技術があるねといことが分かる人間というか、そういうコーディネーターは日本にはいないんですけど、西村さんみたいな人がいれば、できるんでしょうけど。
【福嶋委員】  今おっしゃっていたコーディネーターはかなり最近の話ですよね、恐らく。オースティンの当初のあれは、コーディネーターと言われているのは、オースティン・テクノロジー・インキュベーターというインキュベーターがありまして。
【徳増委員】  ありましたね。
【福嶋委員】  そこにLaura Kilcreaseというおばさんがいたんです。その方が多分、初期の頃のコーディネーターで、ほんとお節介おばさんみたいな、いろいろな人をつなぐみたいなことをやっていて、彼女はその蓄積を持って、最終的には自分がベンチャーキャピタルになったという、そういう人なんですね。
【徳増委員】  そうなんですか。そこはちょっと知らなかったですね。
【須藤主査】  その方がオースティンのコーディネーターの最初みたいなものなんですか。
【福嶋委員】  その方が多分、ネットワーカーというのか、コーディネーター。ここにも出たKozmetskyという人がいたんですけれども、その下で、実際に、実質的に働いていたというのは、多分Laura Kilcreaseというおばさんだと。
【徳増委員】  そうなのか。
【福嶋委員】  ええ。でもそうやってつながりを作っていくことによって、彼女自身にとっても、それがスキルになっていって、それがまた次、ベンチャーキャピタルになったときに、物すごい情報を持った投資家になれるという、そういうのもあると。
【徳増委員】  なるほど。
【福嶋委員】  あと日本にも、実はJSTのプラザサテライトで、各地域にコーディネーターがいたんですね。ただ、5年とかの有期で、でもいい仕事を結構していらっしゃって、結構つないでいたんですね。あの事業仕分けがあったときに全部切ってしまったので、そのつながりがもうだめになってしまったということがあるので、日本でもないわけじゃない。あと、例えば花巻の方の佐藤利雄さんとかですね。
【徳増委員】  ああ、佐藤利雄さん。民間上がりでしたよね、あの人は。
【福嶋委員】  民間で、地域が独自に持っている組織で雇われている方というのがいらっしゃいますね。そういう方は、所属は多分いろいろあるんでしょうけれども、少なくとも、官から雇われて、有期で勤めている方よりは、地域に根付いているし、ちゃんと有効な働き方をされているんじゃないかなと思います。
【徳増委員】  そうですね。そこが立ち位置として、佐藤さんみたいな方がやっぱり、民に近いところで動いているから、結構長く続けられているし。
【福嶋委員】  そうですね。
【徳増委員】  官だとどうしても予算がカットされれば、はい終わりという感じになるので、そこはちょっと問題。だから長く続けるには、やはり今回のこの中でも、エコシステムをどうするかというときにも、やっぱりそういう立ち位置をしっかりコーディネーターはしておかないと回らないような気がしているので。
【福嶋委員】  大学で雇われているのも、5年でまたどんどん人が変わっていくみたいな、あれは絶対よくないと思う。お互いにとってすごい不幸なことが起こっているので、あまりよろしくないんじゃないかな。何か地域に合った人というのか、根付いた人が長期にわたれるような、何か本当に、ある意味、プロフェッショナルみたいになっていけばいいなと思うんですけどね。
【須藤主査】  ありがとうございました。西村さん、コーディネーターについていかがですか。
【西村委員】  コーディネーターというよりも、僕、オースティンは知らないんですけれども、いろいろな大学へ行くと、やっぱりアメリカはキャリアパスがありますね。向こうでもコーディネーターと言っているかな。僕らは最近、プロデューサーという言い方をずっとしているんですけれども。キャリアパスとは何かというと、大学の中できちんとしたポジションとしてパーマネント職があって、そういうキャリアを積むと、いい大学に上がれるというのであるし、有名なのはAUTMとか、そういう人たちの、横のTLOの集まりがあって、そういうところの人的ネットワークは物すごく強固にあります。
 ただ、そこで産業おこしは無理です。どっちかというと、大学の中にいかに外部資金を入れてくるかというのが得意分野なので、そこから出てくるスピンアウトというか、ベンチャー的な要素に対して、ここからまた違うカテゴリーの人たちが出てくるはずなんです。ベンチャーキャピタルの方がかなり充実してきているので。日本は、一人の人が何でもできると思っていて、今日の発表でも、よく分かったのは、何となく上っ面だけ見て、全部分かったような気になるんだけれども、1個1個は、物すごくプロフェッショナルとして、かなり高度なことをやらなきゃいけないんです。だからアメリカではものすごい分業です。プロの分業がしっかりできていて、それがきちんとした、地域内で橋渡しをしていって、自分のネットワークの中で、すぐ渡していけるということがあるから生きているんだと思うんです。
 でも日本は、何かベンチャーというのを軽く考えているし、大学発で、特許を取ったら何かできるだろうということで、何となく一人のコーディネーターが全部最後まで見ていくとかやっていくんです。ちょっと言い方は悪いですが、虚構みたいなことをやっているんです。だから質管理と、僕が何回も言っているというのは、ビジネスをやるということと、共同研究をやるということと、知財を出すということは、全然違うんです。だからそれぞれで、大学のエンカレッジするために共同研究を組むというのは、やっぱりそれはそれのプロフェッショナルがいて、大学の教育と研究を進化させることに行くと。そこの知財が本当に将来、使えるかどうかは、その知財を見れる本当のプロがいて、企業に売れるものをしっかりと見ながら作っていくと。そのできてきたものを、ライセンスアウトして、ビジネスにしていくというときのベンチャーづくりについては、またそっちのプロがいると。本来そういう人たちが、ちゃんと存在しているような地域を作ってクラスターになるのだと思うんです。
 でも、日本はそういうことをあまり考えずに、ベンチャー作るときに、お金をバンバン入れていくんですけれども、公的資金は、本当に使えるような知財を作るための費用対効果として適切だったのかという分析はほとんどしていないんですね。だから過去のやつと、今のやつを調べてくださいと言ったのはそういう意味なんです。費用対効果についてしっかりと検証していないのに、また同じことをやっていっても、結局虚構というか、要はリアルビジネスをよく分かっていない人が、何となくこんな感じでいいだろうということで書いた書類とか、そういうので使っていけば、結局、適正に合っていないから、効果が出てこない。そんなことだと思うんです。
 だからそういう意味で、1回もう練習したので、10年、15年ぐらい前に相当練習しているんです。そのときのことを全部つぶさに見たら、費用対効果をきちんと当て込むような形の、適正なサイズで適正なお金を、適正な判断の下に評価もしながらやるというのは、もうできるはずなんですけれども、もう一回戻っちゃったような気がしちゃうんですね。すみません、この3人の方々、大変立派に調べられたと思うんですけれども、15年ぐらい前に調べていたことのもう一回焼き直しで、単語が変わっただけなんですね。そうじゃなくて、しっかりとしたものを見なきゃだめですよ。その後ろにあるリアルなビジネスの中でやるプロフェッショナルの集まりを作るということが。
 ちょっとだけ私たち三重大学の話をさせていただくと、コーディネーターが5年で変わっていくというのは、これはもう絶対問題なので、最初から僕たちはそんなことしないということで、全員がパーマネント職としています。そこでそれを、きちんとした学内発言をするために、研究科を作って、それが地域イノベーション学研究科なんです。大学の組織の中に、きちんとしたそういう機能を付けるんだったら、大学の中でワークする機能までちゃんと作らなきゃいけないということなんです。
 でも、そういうことも、何となく、今自分たちはここまでしかできないから、こんな感じで人数集めて、5年契約で、ほんとのリアルビジネス知らないような大企業の部長さんクラスを採っちゃうと、経営の分からない、何となくつなげる人たちで、やっぱり結局ぐちゃぐちゃになって、結果が出ないということになるんです。
 だからそういう意味でいくと、もうそろそろ、本気でビジネスを作るんだったら、エコシステムの最終的なゴールは、産業を作るんだったら、産業を作るというレベル感から落とし込んでいって、一つ一つの企業の作り込みをしなきゃいけないんですけれども、ここにまだ若干、プロじゃないというか、虚構でも何となくごまかせるようなスキームで今は動いている。非常にきつい言い方すると、地域に対する、いわば公共事業のようなもので、景気浮揚みたいな感じだと思うんですよ。その程度の効果はあったかもしれないけれども。景気浮揚じゃないですね、正確に言うと景気対策ですよ。
 そうじゃなくて、本当の意味で産業構築みたいに持っていくのだったら、そのリアル感というかな、適正なはめ方を知る、これはやっぱりプロの集団を作るしかないと思います。一人でもいたら変わるんですよ、それぞれのセクションに。でもそういうものが全部そろっている地域というのは、やっぱり少ないと思いますから、やっぱりそういうのを作るということを前提として、地域のクラスターを作るということを見ていくというのは重要かとは思います。
 リアルなビジネスというのは、地域の企業があるので、さっき企業の社長さんたちを巻き込んだらいいよと言ったけど、あの人たちは巻き込むべきなんです。お金に対しての値踏みは物すごく明確なので。やっぱりそういう目利きというのは、実はリアルビジネスをしている地域の人たちを活用するというのは、僕は意味があるような気がします。すみません、長くなりました。
【須藤主査】  ちょっと後半、分からなかったのは、三重に大学から産業の方に渡したときに、コーディネーター的な役割をする人が、今、現にいらっしゃるということですか。
【西村委員】  それで、私たちはあるところになると、もう第二創業ベンチャーみたいなのがあるんですね。だから、この前御見学に行かれた、辻製油みたいなところから、資金を数億円出せるという企業とつないでいく等々。ゑびやのケースは、自分たちの自己資金でできるというところを押し上げる。ゼロから作るケースというのはほとんどやっていないです。それは危なっかしくて僕はやらないです。
 ペプチドリームみたいな、よっぽどとがったものだったりとか、ユーグレナが出来てきたら、私たちもそれはするかも分からないですけども、三重大学から出てくるものに、百に一つぐらいあるかどうかというもので、それでもやっぱり突っ込むというのは結構しんどいので、あんまり私たちは、最近はそういうことはやらずに、むしろ出てきた技術を、どこかと照らし合わせをしながら、リアルなお金を入れて、ちゃんと事業にできるという見通しを立てて動かすと。そういうやり方をしています。だから規模の大きいのはあまりないです。夢を描くようなのはあまりないですけれども、その方が、地域にとっては確実に一歩一歩上がっていくという、そういう感触は持っています。
【須藤主査】  ありがとうございました。串岡さん、いかがですか。同じような立場で。
【串岡委員】  お話としては、マネタイズということだったので、私が最近考えたマネタイズについて、ちょっと見聞きしたことをお話ししたいんですけれども、確かに研究と事業は違うので、その事業を誰がやるかということ、どうつなげるかということが大事だと思います。研究を支援する補助金もたくさんあったり、いろいろな支援もあるし、最近は結構地方でも、ある程度事業化の目処が立ってくると、いろいろなベンチャーキャピタルが、話を聞きつけて、来るケースも結構あるんです。要するにそれをつなぐギャップファンドというのが、昔から言われている割には、なかなか地方ではないので、それをどうにかして、地域でどう作るかというのが大事だと思っています。
 寄附文化もないし、なかなか思い切ったお金がない中で、それをどう作るかということで、以前もちょっとふるさと納税のお話が出ましたけれども、実は、ちょっと調べたのですが、自治体で大学を持っているところ、例えば、大阪市立とか、大阪府立とか、奈良県立大学とか、あるいは神戸市外大とか。そういったところは、自治体がまさにふるさと納税を使って、大学に支援するようなファンドを作っているというのはあります。
 じゃあ国立大学にないかというと、例えば桐生市というところは、昔、桐生高等工業があったということもあって、群馬大学の研究開発を支援するような仕組みが現にあったり、あるいは山梨大学に対して国際交流を支援するとか、東大はカミオカンデがあるので、飛騨市が若手研究者を支援するとか、例がないわけではないんです。せっかくそういった仕組みが使えるのであれば、そういうものをもう少し、産業に近いところで使うような目的系な使い方もあるのかなというのはアイデアとして思いました。
 もう一点は、大学発ベンチャーということではなくて、つまり大企業と大学をもっとつなげてもいいんじゃないかという話なんですが、例えば広島にはマイクロンという会社が、もともとはエルピーダという会社ですけれども、マイクロンという会社の日本法人があって、大学とつながりたいと。半導体分野は日本では非常に小さくなってしまって、なかなか研究者がいないんだけれども、マイクロンというのは、アメリカだとアイダホ州ボイシというところなんですが、地元大学にたくさんお金を出して、しっかり自分のための研究をやってほしいというふうな取り組みなんですね。だけどなかなか日本の地方大学は、そういった大企業とがっつり組むという経験や文化がないということもあるので、そういうのをどう作っていくのか。マネタイズでは2つ、視点があるのかなと。感想ですけれども、そんなことを思いました。
【須藤主査】  ありがとうございました。斉藤さん、お願いします。
【斉藤委員】  マネタイズを促進するという目的において、助成金などの政策的な資金を投入することについては、しっかりと規律を入れるべきという考えを持っています。マネタイズという活動は、特定の会社の金もうけです。その特定の組織の金もうけのために助成金を出すというのは、よほどの波及効果など政策目的が現実に起きる蓋然性が高くないと公的資金の私的活用とも解釈できる。したがって、しっかりと資本市場、すなわち、製品サービス市場と、労働市場と、金融市場が、機能している場合には、本来は、あまり何もしなくていいはずです。ただし、前から言っていますが、その資本市場の失敗、たとえば、機能欠落や機能不全、何らかの障害などがある場合はあります。そのようなケースにおいて、国家としては、うまく介入することができれば、日本の資本市場はもっと動く、日本の国富に寄与する企業の競争優位が高まることも期待できる。その蓋然性が高い場合には、政策的な意義が見いだしやすくなるわけです。
 エコシステムについてですが、様々な仕組みの議論をしたからといって、現実に、金もうけをする主体者が入って次々に金を儲けられるようになっていかないと、経済価値を生み出す支えがないので、長期的には持続的ではない。マネタイズフェーズに近づいたところで、金もうけの主体であるスタートアップ企業、既存の大企業が事業を通じてマネタイズをしていくときの隘路を超えるように、また、市場規律がむしろ効いて個々のプレーヤーが切磋琢磨するように、政策を打ち出すべきだと思います。
 地域によって、あるいは分野によっても違うと思いますが、マネタイズに関係が深い過去の助成金などの政策を評価してみるべきだと感じています。当初の期待効果に対して、本当にこれ結果出たのとか、これ、ずっと続けているのは本当に良いのか、というような打ち手もあるので、政策的な打ち手を真摯に反省するということが必要なのではないかと。特に、資本市場の中におけるマネタイズに深くかかわる政策において、その評価は、重要だと思います。
 政策的にこういう産業を育てようとか、この地域にはこういうのをやりたいという種まき的な産業政策がありえますが、基本は、マネタイズに深く関係するテーマにおいて何か政策を打つ際には、「本当に足りないのは何で、それに対してどういう投資をし、どういうリターンを期待するのか」をクリアにしたうえで、「実際に、数年たってみて所期の期待効果が満たされているかどうかを、可能な限りフェアに結果管理をしていく」活動の質をもっと高めるべきいう気がしています。
【須藤主査】  ありがとうございました。ほかにありますか。もう少し時間ありますけれども。
【西村委員】  海外の件で、今日の事例もすごく参考になるし、私たちがちょっと参考にしていたケースでVIBというのがあって、これはベルギーのフランダース地方ですね。人口規模が500万人くらいで、一応1つの国家的に動いているんです。これ、三重県とは人口規模がちょっと倍くらいになっちゃうので、比べにくいかもしれないですけれども、VIBというのは、向こうの言葉で、バイオテクノロジー大学間研究所というもので、結構いろいろな研究はされていると思うんです。これは結構、政府主導で研究所を作って、そこで60ぐらいのテーマを決めて、それを各大学に、研究室として入れ込むんですね。そこでファンドを付けて、結構お金を出して、結構最先端の研究をさせるんです。そこで出てきた技術を基にして、VIBが一応、リードになるようなお金を出して、ベンチャーキャピタル的にお金を入れるんです。そうすると、それがシードになって、いろいろなベンチャーファンドが付いてベンチャーを作っていくと。
 そこからがちょっと重要なんですけれども、地域の中で、優先的にそれを使うということで、育てるという作業もしているんです。だから、1つそういうクラスターというのか、地域全体として何か取り組んでいくというやり方としては、行政と産業界と大学が組むのだったら、1つのモデルとして、ある規模感のところでは、ヨーロッパ的なやり方が、日本には合っているのかなという気はしました。ただ、残念ながら、そんな資金力が三重県にはなかったので、それは無理だなということにはなったんですけれども、それに近いことが、今やっているエコシステム的なことが、そういうふうになっているのかもしれないですけれども。
 何回も言ったんですけれども、やっぱり役割分担を地域内にしっかり作って、各役割は、その筋ではプロを集めて、多分、4種類、5種類ぐらいのプロを集めないと、エコシステムというのは回らないんだと思うんですね。そういう登場人物構成みたいなのをしっかりやっていくような動きと、あとは地域の中で育てるようなことで。育てるときには、やっぱりそれはリアルビジネスの中で鍛え上げるということをするような雰囲気を作るというかな。それが重要な気がするんで、そういう事例は多分、海外でも幾つか、成功事例あると思うんですよね。アリゾナ行ったときに、バイオファイブというのは、かなりうまくやっていたような気もするし、いくつかあると思います。いずれにせよ、そういう海外も、しっかり見れば、本当に地域のイノベーションに参考になるような事例があると思うので、そこも含めて、今回のやつをもう一度掘り下げていただくといいのかもしれないです。
【須藤主査】  VIBの資金というのは政府からなんですか。
【西村委員】  政府です。
【須藤主査】  全額政府?
【西村委員】  いや、違います。ヨーロッパのEUから持ってくるのもありますね。結果はものすごくシビアですよ。ペーパー数でいきます。インパクトファクター高いやつがどれだけ取れたかということで、その研究チームが最先端チームを作らせるということです。
【福嶋委員】  ちょっといいですか。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【福嶋委員】  もうそろそろ、回数が限られてきているということで、言いたい放題言わせていただきますけれども、やっぱり地域でいろいろプロを集めるというのは、確かにそのとおりなんですけれども、実際、日本でプロを、いろいろな地域で集めるというのは、まだプールが足りないと思うんですね。海外の、私もアメリカぐらいしか、あまりよく見ていないんですけれども、事例を見ますと、やっぱり初期の頃の成功している大学発ベンチャーの背後には、絶対に一流のVCが入っている。Kleiner Perkinsとか、Sequoiaとかというのが入っているんです。となると、ある意味で、プロチームみたいなのを、地域に関わらず、移動してでも育てるみたいな、こう言っては何なんですけれども、地域にはやっぱりそういうプロはなかなか集められないし、これから育てるといったら、多分20年後とか30年先になってしまうと思うんですね。ある意味、ここはもう育てるみたいなのを、国が大学発ベンチャーなりをえこひいきするというのもありなんじゃないかなと。地域でやっぱり、そういった1つでも成功事例みたいなのが出てくると、やっぱり自信を持つと思うんですね。
 海外の事例を見ても、その1つが成功したことによって、次から次に、後に続くということはよくある話で、ある会社が成功すると、そこの地域に関心が集まる、投資家も集まる、いろいろな人が集まってくるということはあるわけです。日本が同じようなメカニズムで動くかどうかというのは、多分いろいろ御意見あると思いますけれども。ただ、何か地域は、やっぱり可能性はあるのですけれども、注目されていないとか、プロが足りない。大切なところでプロがないがゆえに前に進まない、失敗しちゃうという、そういうケースはあるんじゃないか。ある意味でエクセレントチームというのか、突出したものを地域に人工的でも作っていくというのも、国策としてやっていいんじゃないかなと、私は個人的には思います。
【須藤主査】  地域ごとに作るのですか、それとも、あまりこだわらなくていいと最初言われていましたね。
【福嶋委員】  もちろん種がないと意味がないので、少しでも種がありそうな地域では、そういったプロフェッショナルなチームが行って育てるみたいなことを、あちらこちらでやっていただくと。
【須藤主査】  そのチームは別にその地域に置かなくてもいいと。
【福嶋委員】  日本でしたらね。
【須藤主査】  まあ、大きい国じゃないですからね。
【西村委員】  それが派遣できるようなプロフェッショナルチーム。これは医学でずっと考えていたんです。medU-netという、東京医科歯科大学と一緒に、皆さんで、弱小国立大学ネットワークを作って。やっぱり足りないんですよ、プロが。私は一応やった経験があるので、全部見ていました。だから一人プロというのをやったんだけれども、でも、やっぱりそういう人たちを地域で抱えるのは無理なんです。だから、東京医科歯科大学にmedU-netを作って、そこに人材をプールして、育て上げて、どこかに出てきたら派遣して、作り上げチームになっていくというのがね。
 そういうような人材プールみたいなことを、中央でやってしまうと、また中央ばっかりに行くかもしれないので、何となくもう一歩なんです。もう一歩。さっきのようなエクセレントチーム、が使命を持って3年間、そこに入り込んでやってくれるとか、そういうのがあって作り込んでくれるといいなと思うし、その人たちを本当は地域で、ブロックごとでもいいんですけれども、中部圏だったら中部圏で抱え込んでいるとか。そういう構想は昔もあったと思うんですけれども、何かそれが、やっぱり定着していかない。
【徳増委員】  すみません、ちょっと離れますけれども、1つの大学の連携というのが、実際、先ほど海外の事例で、ルンド大学とコペンハーゲン大学が連携して、一緒にやるというスタイル、こういうスタイルというのは、さっきブロックという言葉、中部圏でもいいんじゃないかという話が出ましたが、要するに、中部圏なら中部圏の大学全体として、どうしようかというところを、何か作り上げていくような、そんな仕組みがあると、何となく行けるんじゃないかという。何とくというと言葉は悪いんですけれども、これ、多分やっていないと思うんですね。うちの大学はという話ばっかりなので、いままでみると。もっとほかの大学と組めるというのはたくさんあるのになと思うんです。我々は地域イノベーション戦略支援プログラムで、いろいろな地域へ行きます。そうすると、これあそこでやっていたよな、これとこれをつなぎ合わせればいいのになと思うんだけれども、それがやっぱりできないというのがあるなという話。だから大きなネットワークというのが絶対必要になるなと思っています。
【須藤主査】  その辺いかがですか。報告書の中に私も入れたいなと思うんですけれども。文科省的には、困るということはないですね。むしろ推奨しているくらいですものね。
【生田室長】  そうですね。今の人材プールの話から始まって、結局、人の問題に何となく来ているような気がするんです。今、文科省の方で、地域イノベーション戦略支援プログラムの後の、地域イノベーション・エコシステムのプログラムの中でも、まさにその地域の中だけだと、そういうプロフェッショナル人材がいないので、外からリソースを、一番いいものを持ち込んで、事業化に向けて研究開発を進めようという、チープアップをトライしてはいます。三重地域はまさに西村先生がそのプロデューサーとして御活躍はいただいているのですけれども、やっぱり今、19地域走っていて、それを見ていると、チームアップにすごく困っているんですね。だからそこのノウハウをどうやっていったらいいのかなというのと、あとチームアップするときの大学の役割というんですか。大学が何をするべきかというのと、自治体は何ができるのかというの、一方で、じゃあ国はどこまでやらなきゃいけないのかとか、その辺が、人材エクセレントチームを作るに当たって、どうしていったらいいのかというのが、もし書けるのであれば、何か報告書に書いて、例えば自治体さんがそれを読んだときに、じゃあ我々はこういう政策を打つべきだとか、国の方は当然、それを受け止めて、国策としては、例えばお金じゃない何かのルールづくりかもしれないと思うんですけれども、そういったことができないかと。若しくは大学の人材育成の形だとか、そういうものができるんじゃないかとか、できるだけ具体的な提言はしていきたいと思っています。
【須藤主査】  大学の連携というのはどうなんですか。
【生田室長】  大学の連携はまさに、ちょっと次回。
【須藤主査】  結構過激な話になってくるんですけれども。
【生田室長】  そうですね。そこはただ、先ほど少し申し上げた、次回ちょっと御案内したいと思っている中教審答申でも、大学間の連携というのは強く言われています。そういう高等教育機関の連携、そして自治体との連携で、地域連携プラットフォームみたいなものを作っていくことが重要だということが、中教審答申でも言われていますので、まさにその辺は、今後地域の中で、イノベーションを起こすという意味合いでも、すごく重要になってくるんじゃないかなとは、我々としても思っております。
【須藤主査】  その辺は是非入れた方がいいんじゃないかなと思います。
【生田室長】  承知しました。
【西村委員】  いいですか。大学の中の人間なので、あまり言いたくないんですけれども、やっぱり自分の都合で全部考えちゃっているんですね、大学は。大学から見たときのできることで全部抑えちゃうので、ここをどう越えさせるかということを含めた改革を、本当はせなあかんのです。今、三重大学も、名古屋と岐阜と一緒にならないかというんだけれども、これも、僕は今のところは反対なんですけれども、ただし、それぞれが機能をしっかり補完し合って、相乗効果が出るのであればオーケーだと思っている。今、トライアルは実はしていて、僕らは現場を持って、リアルに物事を落とせるので、プラクティカム的なトレーニングはできるんですね。
 それで今、データサイエンティストの予算を、名古屋大学が取ったんですけれども、名古屋と岐阜は、どっちかというと、座学とか、基礎力をしっかり教える。それを使った応用展開については、現場に落とし込んで、リアルな題材を基にしてプロジェクトを仕上げる。このプロジェクトマネジメントというのは、やっぱり岐阜も名古屋も弱いといったので、ここに三重が入ることにして、私が入ることになった。これは三者が合うことによって、初めて光るようなものになると自負しているんですね、私たちは。そういう連携は絶対ありだと思うので、やっぱりそれぞれの特徴を生かした補完をし合うということは広域でやってもいいのかな。どこかで、今までのやつだったら、さっきおっしゃったように、それぞれのエゴがあって、大学同士で競争するような、もしかしたら、予算組みも、そういうのがあるのかも分からないです。私たちは岐阜に勝たないとお金取れないと思っているから、岐阜とは組まないというのが先生たちにはずっとしみついているのが、やっぱりそういう風土を変えていくようなこと、どこかで一歩を越えなきゃいけないのかなというのは、あまり言いたくなかったですけれども、あるんだと思います。
 ですから今回のもあるし、あんまりこれも言いたくなかったんですが、私はある程度、三重大学の中で型ができていると思ってきている。だから、1つ、私のような機能が地方の国立大学にあると、恐らく産官学をつなぎ合わせながら、有機的に動かすということができるような、多少、結果は出したと思うんです。
 それは、自分では説明できないので、1つそういう機能がということで、さっき言った大学院をしっかり作って、その大学院の中のプロジェクトマネージを専門にやる教員を置いて、それが教授職として、知事とも対等に話をしながら、産業界のトップとも話をしながら、産官学をトップマネジメントでまとめ上げるということをして、地域全体を客観的に構想しながら、理想的なところに持っていくというのをプロデュースする。それを大学の中のしっかりとした一組織の重要なポジションとして置くというのがあると、かなりできるかなと思っています。
 私はそれでやって、それで副学長というポジションも非常に使えています。1つの事例、私のがいいかどうかは別にして、それは客観評価を頂くとして、三重大学とやってきたというのは、私のような人物ではなくて、属人ではなくて、私のような機能を生かせば多分できるんじゃないかという気はするので、それは何か書いていただくと、1つの参考にはなるかと思います。
【須藤主査】  ありがとうございました。どうぞ。
【加藤委員】  何かやっぱり実務をやっていると、チームビルディングという、私もCTO的な人がいたり、法務関係的な人がいたりとか、やっぱりそれはプロで、全国というか、大体東京にいるんですけれども、そういう人たちと、やっぱりチームを組まないとなかなか1つの事業は成り立たないんです。まさにプロデューサーとか、プロジェクトマネジャーがいて、その周りにプロがいればいいんでしょうけれども、プロマネいなくして、多分プロだけ、プロフェッショナルなチームだけあっても、現地に行ったときにチームビルディングができないので、やっぱりお立場がすごい大事で、プロジェクトマネジャーがいる、いろいろなステークホルダーを取りまとめながら、何かプロも呼びながらというのがいいのかなと。
 地域にプロがいないわけじゃないと思うんです。静岡は恵まれているからあれかもしれないですけれども、プロはいっぱいいて、だけど、それをつむぐ人がいないだけとかだったりするので、やっぱりマネジメントです。それがコーディネーターなのかもしれないですけれども、私はどっちかというと、デザイナーとか、行政は地域デザインしなきゃいけないとよく言わせてもらうんですけれども、そういうデザインする人がコーディネーターだと、未来につながっていくのかなというのは思います。プロは決していなくはないので、デザイナーとか、プロマネがほんと大事なんだろうなと思っております。
【須藤主査】  デザインする人ですよね、本当に。
【加藤委員】  はい。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 時間になりましたので、今日の議論はここまでにしたいと思います。次回の予定、今後の予定をじゃあお願いします。
【植原専門官】  資料の3番をご覧ください。次回の日程につきましては、12月21日金曜日、15時半から17時半を予定しております。場所は文部科学省15階特別会議室となっております。
 次回の委員会では、先ほど来話がありました、文部科学省高等教育局より、今月26日の第119回中央教育審議会で示されました、2040年に向けた高等教育のグランドデザイン答申について、報告いただくとともに、地域科学技術イノベーション政策における高等教育の位置付けなどについて御議論いただく予定です。
【須藤主査】  ありがとうございました。何かありますか。なければこれで、本日の推進委員会を閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。

― 了 ―

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(科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課)