産業連携・地域支援部会(第9期)地域科学技術イノベーション推進委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成30年7月26日(木曜日)15時00分から17時00分

2.場所

文部科学省 16階 科学技術・学術政策研究所 大会議室 (東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 関係機関からのヒアリング
  2. 自由討議
  3. その他

4.議事録

【須藤主査】  それでは定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会第9期地域科学技術イノベーション推進委員会を開催いたします。お忙しい中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、最初に議題1としまして、関係機関からのヒアリングを行います。
 その後、議題2としまして、ヒアリングを受けまして、委員の皆様の御意見を頂戴するとともに、議論をしていただきます。
 最後に議題3その他の案件としまして、文部科学省事務局から、第6期科学技術基本計画に向けた新たな地域科学イノベーション施策に関する方向性について説明していただきます。
 それではまず、配付資料の確認を事務局からお願いします。
【植原専門官】  本委員会は、これまで同様に、ペーパーレス会議となっておりますことから、配付資料は皆様のお手元にございますタブレットのデスクトップに全てダウンロードされております。
 資料は、お手元の議事次第に記載のとおり、資料1-1から資料4及び参考資料1から参考資料4です。議事次第と照らし合わせながら、資料の御確認をお願いいたします。
 なお、本日、徳島大学様から資料の差し替えを頂いております。こちら、時間の都合上、タブレットのダウンロードが間に合いませんでしたので、委員の皆様には紙で配付しております。なお、一般傍聴の方におかれましては、スクリーンで御確認くださいますようお願いいたします。後日、こちらはホームページに掲載させていただきます。
 御不明な点等ございましたら、事務局までお知らせください。
【須藤主査】  それではまず、議題1関係機関からのヒアリングでございます。
 本委員会運営規則第3条第2項に基づきまして、本日は、長野県より産業労働部ものづくり振興課課長の沖村様、それから国立大学法人徳島大学より学長の野地様に御出席いただいております。
 それでは最初に、議題1の進め方につきまして、事務局から説明してください。
【植原専門官】  議題1の関係機関からのヒアリングにつきましては、長野県及び徳島大学からそれぞれ科学技術イノベーション活動の具体的取組や成果等について御発表いただきますとともに、資料2の事務局による論点整理に沿って、1、「地域の科学技術イノベーション活動の基本的方向性の地域の捉え方」、「地域を構成する主体やそれらに期待される役割の具体事例」、「地域が科学技術イノベーション活動を行う意義・目的」、そして、「地方創生の流れにおける地域科学技術イノベーションの位置付け」について、関係機関の考えを御発表いただきます。
 さらに、関係機関が科学技術イノベーション活動に取り組む際に感じる障壁や課題、また、それらを乗り越えるために期待する国の役割やサポート、具体的な支援策等についても御発表いただきます。
 最初に長野県の沖村課長から、続きまして徳島大学の野地学長から、それぞれ20分程度で御発表いただきます。発表時間残り5分前にベルを1度、残り2分前にベルを2度鳴らしますので、まとめに入っていただきますようお願い申し上げます。
 それぞれの御発表の後で、10分程度質疑応答の時間を設けますので、委員の皆様からの御質問、御意見を頂戴したいと思います。以上です。
【須藤主査】  それでは最初に長野県の沖村様から、20分程度で御発表をお願いいたします。
【長野県(沖村)】  本日はお招きいただきまして、ありがとうございます。長野県産業労働部ものづくり振興課長の沖村と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、長野県における地域科学技術イノベーションということで説明をさせていただきます。次のページは目次となりまして、次に3ページでございますけれども、長野県でございますけれども、御承知のとおり、産業・経済の中心であります東京、名古屋に近接しておりまして、4ページも御覧いただきたいと思いますが、それらの地域とは比較的交通網で結ばれておりまして、これまでも産学官連携ですとか企業間取り引きが一般に行われている地域でございます。
 5ページをお願いします。長野県の総生産でございますけれども、製造業がトップ、4分の1を占めておりまして、本県の主たる産業と言えると思います。
 6ページをお願いいたします。製造業の中でも、円グラフを見ていただきますと、加工組立型産業と言われる電子ですとか機械ですとか、こういったところの比率が高いのが特徴で、全国3位の状況でございます。直接・間接的に世界的な市場展開を行っておりまして、グローバルな経済変動の影響を受けやすいというのも特徴でございます。
 7ページをお願いいたします。長野県でございますけれども、県として長野県科学技術振興指針を策定しておりまして、この中で地域課題の解決、また、ビジネス化による地域産業の活性化という観点で、科学技術の振興及び活用を図っているところでございます。
 8ページをお願いいたします。これまでの取組例として、文部科学省から採択を受けました知的クラスターを昔やっておりまして、これについて御紹介させていただきたいと思います。
 長野県としては初めて行った大型の地域科学技術振興施策でございまして、県にございますテクノ財団という産業支援機関を中核にいたしまして、信州大学ですとか東京理科大学、こういったシーズを産業界に波及させることによりまして事業化へ結び付ける展開を行ってまいりました。
 このとき鍵となりましたのが、この仕組みの中にもありますけれども、事業統括ですとか事業リーダーと言われる人々それぞれのリーダーシップによってこういった事業が成り立っておりまして、その仕組みが現在のいろいろなプロジェクトにも生かされていると考えております。
 9ページをお願いいたします。具体的なコア技術につきましては御覧のとおりでございますし、また、10ページには開発された新製品を示してございますけれども、多様な分野の実用化事例を展開してきました。
 11ページをお願いいたします。知的クラスターによるコア技術の強化、こういったものが、産学官連携の共同開発研究の体制作りという両面で、これがきっかけとなりまして、知的クラスターをやったことによりまして、終了後も県と大学が連携した大型プロジェクトが幾つか行われているところでございます。このような機会を与えていただきました文部科学省様には、大変感謝を申し上げる次第でございます。
 12ページをお願いいたします。これは現在実施されております地域イノベーション・エコシステム形成プログラムの事例でございますけれども、そのときのコア技術でありますカーボンナノチューブ等の技術を生かしまして、現在、事業化に向けた研究が行われているところでございます。
 13ページをお願いいたします。これらの取組は地域の企業と大学の産学官連携に結び付いておりまして、特に信州大学は同一県内企業との共同研究が盛んでございますし、また、地域貢献度のランキングも両方とも第2位ということで、地域と密着した研究等が行われている大学でございます。
 14ページをお願いいたします。ここからは長野県で独自に展開しております航空機産業の関係を御説明したいと思います。一昨年になりますけれども、長野県航空機産業振興ビジョンを策定いたしまして、アジアの航空機システム拠点を目指した取組を開始しております。
 ここで航空機システムというのは、飛行機は大きく分けて機体とエンジン、あと装備品と言われる航空機システムに分類されるわけでございますけれども、例えば操縦装置ですとか燃料供給装置ですとか、あとは座席などの装備品が航空機システムに当たります。
 ビジョンの推進に当たりまして、地域中堅企業の代表者、具体的には多摩川精機の萩本さんという前副会長さんでいらっしゃいますけれども、こういった方がリーダーシップをとりまして、地域クラスターを取りまとめて、その具現化に尽力されているということが、この事業の核にもなっているところでございます。
 この取組の中では、真ん中にございます拠点化と言われる事業が中核事業として位置付けられておりまして、具体的には3つございます。1つは、国内唯一の環境試験機を整備すること、また、研究開発支援機能を整備すること、さらに信州大学における人材育成拠点の設置というのが3本柱として実施されているところでございます。
 15ページをお願いいたします。私どもが航空機システムに目を付けた理由といたしましては、表の中にもございますけれども、飛行機の中で一番高い価値を持っているのが装備品、航空機システムでございますが、一方、我が国の装備品の状況を見ますと、全体で7%ぐらいしか作られていないということでございまして、そういったウイークポイントであるというところの力をしっかり付けて、国内外に展開していこうというのが1つ。2つ目といたしましては、ポツの2つ目に書いてございますけれども、本県産業の強みでございます精密・電子技術がしっかり生かせる分野というところで、ここをターゲットにしたわけでございます。
 続きまして16ページをお願いいたします。航空機産業におきましても、産学官連携による共同研究を推進しておりまして、この中で、経済産業省でやっております戦略的基盤技術高度化事業、サポインと呼ばれるものでございますが、これを活用することによりまして、信州大学の航空機システム共同研究講座という大学院のコースでございますけれども、この講座を核といたしまして、防爆型の油量計ですとかハイブリッドのブレーキといった研究開発を進めているところでございます。この研究開発に携わっている教官でございますけれども、柳原先生とおっしゃって、JAXAからお迎えした教官でございます。
 17ページをお願いいたします。これは先ほど申し上げました環境試験機の整備の状況でございますけれども、これまでは海外、特にアメリカに行って実施するしかなかった試験を、国内で実施することを可能にするための試験機を整備しているところでございまして、これは県と地元の自治体、飯田市を中心とした南信州広域連合でございますけれども、こちらとともに導入しているところでございます。
 一昨年につきましては、着氷試験機といいまして、気圧の低いところ、また、温度の低いところでも機械が作動するといった試験ができる装置を導入いたしましたし、昨年は、防爆試験機といいまして、燃料が空気中に漂っている状態のところで電気系統がスパークを起こして爆発しないような試験をするためのものを導入いたしました。両方とも1台導入するのに2億円弱かかる高価な機械でございます。
 これにつきましては、内閣府の地方創生加速化交付金とか推進交付金などを活用させていただいているところでございます。
 次に18ページをお願いいたします。航空機産業の課題でございますけれども、国内に完成機メーカーがないということで、今、完成機メーカーは、ボーイング、エアバスといった欧米企業と、あとボンバルディアとエンブラエルというカナダとブラジル、この辺が中心でございます。特に主戦場は欧米ということになっておりますのがまず弱点でございます。先ほど申し上げましたように、航空機システム、装備品に係る我が国の強みがないというところが、今の課題と考えております。
 右側に写真がございますが、今、国産旅客機としてMRJの開発が進められておりますけれども、この辺をターゲットにして開発を進め、こういった開発に期待をしているところでございます。
 19ページをお願いいたします。科学技術イノベーションにおける各主体の役割という観点でございますけれども、コア技術の創出といった観点では、やはり大学に担っていただくしかないと考えておりまして、ここは特に長野県では信州大学に担っていただいているところでございます。
 また、マネジメントでございますけれども、事業によりましてだんだん変遷しているように感じておりまして、例えば知的クラスターのときには、支援機関であるテクノ財団でマネジメントを持っていたわけでございますけれども、最近のエコシステム関係では、大学をマネジメント機関として、チームもそちらに置いているということになってきております。
 20ページをお願いいたします。各主体の関係についてでございますけれども、私ども自治体でございますので、自治体の考えからいきますと、自治体は、地域課題を把握して、それを踏まえたビジョンを策定いたします。その課題解決に向けて、大学のコア技術の強化を図ったり、また、企業にとっては、大学のコア技術をうまく活用してビジネス化することによりまして、地域を豊かにするということを期待しております。
 これは言うまでもなく、プロジェクトの成功の可否はマネジメントに懸かっていると考えております。各主体の役割を最大限に引き出すリーダーが必要だと思っているところでございます。
 次の21ページでございますけれども、宿題で頂いております論点について述べさせていただきたいと思います。科学技術イノベーションにおける地域の捉え方という観点で申しますと、私ども地方自治体でございますので、自治体から考えますと、管轄するエリア全体を地域として捉えることは原則であろうと考えているところでございますけれども、一方、産業面から見たときに、産業界というのは、県外若しくは国際的に展開しているというのが一般的でございまして、行政の区域に限らない連携も必要であると考えております。
 先ほどの例であります航空機の関係で申し上げますと、左側にありますように、中部5県で広域クラスターを形成するようなプロジェクトを組んでおりまして、愛知県を中心といたしました特区の指定を受け、こういった広域エリアの中で動かしているということもございます。
 また、県の投資の面でいきますと、航空機産業が集積している飯田市を中心としたこの狭いエリアに長野県の資本を投下するという、逆に狭いエリアへの集中投資もやっているところでございます。
 続いて、22ページをお願いいたします。地域科学技術イノベーションを行う意義についてでございますけれども、みずからの地域のコア技術の強化というのが大変重要でございます。県の科学技術振興指針に示したとおり、地域課題の解決ですとか豊かな地域作りのために、コア技術を活用するということが大事でございます。このコア技術を産業界にしっかり使っていただいて、事業化、又はビジネス化、お金に変えるという産学融合があってこそ、地域で行う意義があろうと感じているところでございます。
 23ページをお願いいたします。ただ、知的クラスター創成事業の実績でございますけれども、右側の表でございますが、投入資金に比べて売上高を見ますと、ほぼ同じというか、若干少ないという感じでございまして、この事業については、事業効果は決して高いとは言えないと感じているところでございます。
 地方創生の観点で地域科学技術イノベーションを考えたときに、ものづくり産業を核とした本県産業の振興のために行うことというのは、左側にスマイルカーブみたいなものがあるんですけれども、長野県の製造業は加工、又は組み立てといった、真ん中の付加価値が余り上がらないこの辺が中心でございますので、科学技術を活用することによりまして、もっと川上の、例えば特殊素材ですとか特殊加工といったものができるような力を持っていただくことが大事かなと考えておりまして、科学技術によってこういった分野にシフトしていくということを、今、行っているところでございます。
 24ページをお願いいたします。地域科学技術イノベーションの課題でございますけれども、まず1つ目といたしましては、私ども自治体も決して裕福ではございませんので、継続するための財源の確保が難しいということでございます。特に予算というのは各部局に割り当てられた比率を余り大きく変えないというのが実態でございまして、この辺をスクラップアンドビルドで予算を確保しようにも、スクラップするものが少ないというところもございますので、この財源不足というのは大変大きな課題だと思っております。
 それから、次にノウハウの関係でございますけれども、プロジェクトが終わりますとチームが解散してしまうということもあったりして、その辺のノウハウの蓄積、又は後につなぐというところをどのようにやっていくかということが大変課題となっているところでございまして、こういった事業の継続性につきましてはしっかり考えていかなきゃいけないなと考えているところでございます。
 3つ目といたしましては、自治体の考え方ですとか企業の考え方、また、大学の考え方がそれぞれ若干異なっておりまして、大学でいきますとどちらかというと論文主体のところもあったりしますし、企業とすれば是非とも事業化してお金に換えるという観点で事業を進めておりますので、この辺をうまくマッチングしてやっていくことが大事かなと考えているところでございます。
 最後になりますけれども、国へのお願いという観点で、25ページになりますが、1つは、やっぱりコア技術をしっかり作っていくことが大変重要でございますので、コア技術の強化という観点で、大学にしっかりてこ入れをしていただきまして、強みを持った技術を次々と出していくというところの御支援をお願いしたいと思っているところでございます。
 それから、地域科学技術イノベーションの強化という観点では、地域という文字が付く以上、地域が豊かになる、また、仕事が作れるといった観点も大変重要でございますので、実用化とかビジネス化といったところにうまく持っていけるような仕組み作りが必要かなと思っておりまして、産学融合が図れるような支援を行っていただければ大変ありがたいなと感じております。
 最後になりますけれども、航空機産業みたいな本当に国家プロジェクトに近いようなことを地方が一地域でやるというのは、大変というか、財源的にも苦しいですし、人的にも苦しいですし、もともと航空機のノウハウというのは地方には余りないものでございますから、国立研究所、又はJAXAといったところのノウハウをしっかり頂くのと、そういった研究機関の協力なんかも含めまして、国を挙げてみたいな形で御協力いただければ大変ありがたいなと考えているところでございます。
 雑駁な説明でございましたけれども、以上でございます。よろしくお願いいたします。
【須藤主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの沖村様の御発表につきまして、10分程度、御質問、御意見を頂く時間をとってありますので、どなたかありますか。
 どうぞ。
【德増委員】  どうもありがとうございました。
 結構興味深いところがありまして、1つは、航空機産業を地域のコア技術として発展させるという、狙いとしては非常におもしろいんですけども、信州、飯田市の多摩川精機さんの力というのは相当大きいと思っております。過去、いろいろな生産技術を持っておられるということなのですけども、ビジネスの展開の中で、多分愛知県とか岐阜県、行ってみると、三菱重工なり川崎重工等のつながりが大きくなっていると思いまして、それにすると、地域として、多摩川精機さんのグループみたいな、その集積といいましょうか、それがどれほどあるのかなというのと、多摩川精機さんだけが広域的につながっているのか、グループとして広域的につながっているのか、そこら辺を教えてほしいなと思います。
【長野県(沖村)】  多摩川精機は、Tier1というボーイングから直接仕事を受ける、そういったところに属しておりまして、航空機システム、いわゆる装備品については、特に角度センサーですとかジャイロとかに強い企業でございます。三菱重工、川崎重工は、民間旅客機ではないんですけれども、軍事用の戦闘機とかを作られておりますので、そちらにも納入はしております。
 多摩川精機は、協力会というグループを形成しておりまして、協力会は30社程度が飯田・下伊那地域に散らばっているという状況でございまして、その協力会が多摩川グループとして間接的にボーイングにも納めているというような状況でございます。
 県としては、多摩川精機オンリーだと、多摩川のためにやっているような話になりますので、こういった集積を是非とも長野県全域に展開していきたいと考えておりまして、多摩川精機の下請けに入るということもそうですし、そういったつながりを通じて、三菱重工なりと直接取り引きができるような仕組みも作っていきたいなと思っております。
 その中では、中核企業の育成事業も展開しておりまして、加工トライアルをやっていただいて、その加工トライアルが、テストみたいなものなので、合格すれば、特に三菱とかスバルとか、ああいったところと直接取り引きできるような仕組みを作っているんですけれども、去年、2社、これにトライしていただいたところ、その1社が取引口座ができたという状況もございましたので、是非こういったものも成功事例として次々作り出していきたいなと考えております。
【須藤主査】  ありがとうございます。
 ほかにございますか。どうぞ。
【林委員】  林です。ありがとうございました。
 2点あるんですけども、1つは、地方自治体だと、知事の方が変わると政策方針もいろいろ変わると思いますが、産業振興をやっていくという方針の継続性ですね、どういうふうに確保されるような工夫をされているのか。これが1点目。
 それと2点目は、産業振興というと、今まではどちらかというと県内に工場を誘致し、工場での労働者の雇用機会を提供するという形だったんですが、なかなかそういうやり方もできなくなってくる中で、イノベーションとかこういう技術的なところから地元への雇用機会とか経済的な貢献というふうにやらざるを得ないと思うんですが、ここら辺の合意形成というのが、どうしても昔からいらっしゃる方は工場を何とかというふうにおっしゃると思うんですが、それをイノベーションだと……、先ほどスマイルカーブ、描いていらっしゃいましたけれども、物を生産するというルーチン作業は別に外にあってもいいじゃないかと。むしろそれを作り出すところを県内で雇用と結び付けるような工夫、これが合意形成ができていない、あるいは市民の方のサポートを得られきれていないようなところがあるのではないかなと推測するんですが、ここら辺、どういうふうに対応されるのかなと。
 この2点です。お願いします。
【長野県(沖村)】  まず、知事、首長の関係でございますけれども、長野県は、今現在、ちょうど知事選をやっている最中でございまして、今の知事は2期ちょうど終了して、3期目に入れるかどうかという状況でございます。
 皆さん御承知のとおり、長野県の前3代の知事を見ますと、田中康夫さん、それから村井仁さんといいまして、経済産業省出身の知事でございます。今の阿部知事は総務省出身ということでございまして、その間、やはりいろいろな産業政策は変わってきております。
 ただ、村井さんと阿部は、両方とも国家公務員出身ということもございまして、産業政策というのはしっかりわきまえてやっておりますので、大きな変遷はないかなと感じております。
 ただ一方、支持母体の関係もございますので、支持母体に約束したこと、若しくは言われたこと、こういったものによって若干変わりはあるのかなと思いますが、大きな変化はないだろうと思っております。
 特に私どもの知事、今の阿部は民主から出たんですけども、今は自民党の推薦も得ているということもございまして、保守系が多いものですから、その辺は産業界の御意見を聞きながら進めていくという形でございます。
 2つ目の工場誘致の関係でございますけれども、工場誘致も長野県は随分前からやっておりまして、ただ、成功と失敗があって、誘致しようとする工場というのはやっぱり生産工場が多いというのがこれまでの実態で、海外展開によってその工場はどこかに行ってしまうという事例が多々見られました。
 ですので、現在の長野県の誘致政策の1つとしては、研究所、若しくはマザー工場、こういったものを誘致したいなということで、特に航空機の関係におきましても、1億何千万もする環境試験機を整備しているというのも、そういった研究なりマザー工場的なところに是非この機械を使っていただきたいという、それによって誘致政策にもつながるというようなことを考えながらやっているところでございます。
 実は長野県茅野市に今度誘致しました企業、ディスコさんなんですけども、大きな工場を誘致して、この人手不足のときにそんな企業が来たらどうするんだというような状況も、今、発生しておりまして、既存の中堅企業の部長クラスが引き抜きにあうということもございまして、誘致政策というのはいろいろな形で考えながらやっていかなきゃいけないなということもございます。以上でございます。
【須藤主査】  よろしいですか。
【林委員】  はい、ありがとうございました。
【須藤主査】  ほかにございますか。どうぞ。
【串岡委員】  私もずっと広島で同じような仕事をやっていたので、大変参考になったのですが、1つ、大学との関係で、信州大学が地域の企業と非常にたくさん共同研究をやられているということなんですが、数字を見ると、受け入れ金額が3,300万円余りで、件数が62ですから、1社当たり50万円ぐらいということだと思うんですけれども、今、私が大学に参りますと、やっぱりある程度まとまった資金でないと、しっかりした共同研究にならないということも思っていまして、全国2位という評価と金額規模、そのあたりの評価はどのようにお考えでしょうか。
【長野県(沖村)】  信州大学の先生の中には、産業界とずっとつながりを持ってやっている先生が多いというところも、こういった2位になっている原因かなと思っておりますし、信州大学は特徴ある技術を持っておりまして、特に繊維学部につきましては全国唯一の繊維学部ということで、ファイバー技術についてはトップレベルに近いんじゃないかなと考えております。
 研究資金に関しては、実は最終的には国のプロジェクトを目指した実証みたいなところに県が関与して、資金提供いたしまして、そこで申請の種を作って、その種をここのプロジェクトにつなげながら事業展開をやっていくという仕組みでこれまでもやってきておりまして、特に文部科学省とか経済産業省の数千万のプロジェクトといったところへ、そういう形でつなげているという状況でございます。
 この中では、テクノ財団という私どもの産業支援機関がコーディネートする中で、申請書作りまでお手伝いするというような状況でございます。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 まだあるかと思いますけれども、時間になりましたので、後ほどいろいろ議論する時間がありますので、またそのときにこの話題を入れてもいいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは続きまして、徳島大学の野地学長から御説明をお願いします。
【徳島大学(野地)】  徳島大学の野地と申します。よろしくお願いいたします。今日はこのような機会を頂きまして、ありがとうございます。
 徳島大学の地域科学技術イノベーションということで、最初に徳島大学の紹介を少しさせていただきまして、その後、徳島大学の取組を紹介させていただき、最後に国に期待することについてお話ししたいと思います。
 まず、徳島大学なんですけども、普通の新制大学と同じように、1949年、ですから、来年70周年記念を迎えます。学部についてはまた後ほど申しますけど、それぞれ色合いの異なる学部を持っております。
 右の基礎データですけども、学生数が7,500人ぐらいです。教職員が2,300人ぐらい。それで、財政的には収入が450億円近くあるんですけども、その半分が大学病院からの収入です。そのことは後ほどポイントとして挙げたいと思います。支出に関しては、もちろん同じだけ使っているんですけども、そのような状態でございます。
 御存じのように、運営費交付金が、全体は維持されているんですけども、我々としてはだんだん、徳島大学レベルで1億ずつ、既に13年以上続いて減っております。
 それで、学部は6学部あるんですけども、医・歯・薬学部がそろっているのは四国で徳島大学だけで、あと、理工学部と生物資源産業学部。生物資源産業学部は2016年にできましたが、農学系の学部でございます。その上に、右の大学院がございます。
 御覧のように、文系が少なく、総合科学部は文系なんですけども、あとは理系という感じの大学でございます。
 場所なんですけど、御存じのように四国の地図上でいうとこの場所にありまして、関西に近いというのが1つの特徴でございます。橋を渡って、神戸まで1時間半、大阪まで2時間ぐらい、バスで行けます。
 右にありますように、LEDバレー構想といいまして、徳島の日亜化学工業が青色LEDを発明いたしまして、それをした中村修二さん、徳島大学の卒業生なんですけれども、ノーベル物理学賞をもらいましたが、それを今回は重点の1つにしていこうとはしておりますけども、もう1つ、有名な企業として大塚製薬工業、大塚化学などがございます。そういう地域の産業、イノベーションを起こした企業が2つございまして、それが1つの我々のモデルなのではないかと思っています。
 徳島大学は、徳島の中で地域のそういう大塚とか日亜とかと一緒にやっていくということと、それから大学ベンチャーを支援していこうということをやっています。
 四国全体で四国4県の取組というのがあるんですが、それはなかなか地理的にも、物理的には近いんですけども、交通距離的には非常に遠いという大変なところがございます。
 もう1つは、関西に近いので、関西と一緒にやっていこうと。特に神戸が近いので、神戸との連携も現在考えております。
 これはこの間の日経新聞に知財収入というのが出ていまして、徳島は割にいい位置につけているんですけど、右にありますように、研究者1人当たりでは3位という非常にうれしいニュースなんですが、実はこれは多分この年だけということになりそうです。
 いずれにしても徳島大学は、組織対組織の産学連携をきちんと進めて、先ほど申しましたように、財源というか、予算が非常に厳しい状況になっていますので、収益を上げる産学連携を目指していきたいということで、今年4月から大学産業院という新しい組織を作って、今、対応しています。
 大学産業院の考えなんですけども、一番上の方が、医学部と大学病院で、そこでは収益を上げて200億使っているんですけども、そのシステムを見てみますと、基礎から臨床、臨床から実際の患者の治療というふうに、基礎から社会実装まできれいにできている仕組みであると。しかも最後のところで収益を上げているという、この仕組みが非常にいいなと思いまして、理工系あるいは他の学部にもこの仕組みが使えないかと考えました。
 それで、今、基礎系の方はある意味でたくさんおられるんですけども、応用系の方も理工学部なんかではもちろんおられる。しかし、応用系と意識して教員を採用しているわけはないんですね。応用系の先生が大学産業院で実際に企業を作るとか、他の企業と一緒になって収益を上げる構造を作りたいなと思っております。それを、大学病院というのに対応して、大学産業院という名前を付けました。
 それで、大学産業院は何をやるかといいますと、ニーズドリブンのイノベーションを起こしていきたいということで、しかもそこは、できればスタートアップ・スタジオと呼んで、スタートアップを専門的に作っていく場所にしたいと思っています。もちろんいろいろなこともやるんですが、そこには教員もそうですし企業の方にも来ていただくし、あるいは学生も参加して、新しいスタートアップをどんどん作っていくという専門の組織にしたいと思っています。
 それに資金とか、あるいはアイデアとか、いろいろ必要なので、それはクラウドから調達しようという考えを持っていまして、左側にアカデミック総合プラットフォームと書いていますけども、今、Otsucleというウエブサイトを作っているんですが、一般社団法人の中にそれを作りまして、そこがクラウドソーシングでアイデアを集めて、クラウドファンディングで資金を集めて、オンラインショップでそれを売っていこうという一連のシステムを大学としてオペレートしていきたいと考えています。
 四国5大学に関してちょっとお話ししておきますけど、文部科学省から予算を頂きまして、連携しております。スケールメリット等あるんですけども、なかなか厳しい状況ではございますが、皆さん一緒にやっていけばうまくいくだろうということで、現在頑張っておりますけども、補助金が切れた途端に縁の切れ目にもなりそうなので、何とかしたいと思っています。
 ちょっと飛ばします。
 あと、徳島大学はTLOと一緒に地銀との連携ということで、やはりこれもニーズドリブンなんですけど、企業の課題を解決するような、企業に銀行の方と大学の先生が一緒に行って、御用聞きをして、何か困ったことはありませんかとか何か課題はありませんかということで、それで大学の先生とマッチングをして、事業化等に持っていくという、銀行のノウハウを使いながら大学とのマッチングをやったということで、これは非常にうまくいきました。
 このニーズドリブン、シーズからいくよりはニーズからいく方がはるかに成功率が高いなという考えを持っています。
 やはりニーズドリブンで、徳島県って実は糖尿病の死亡率が、平成20年から平成25年にかけて連続で「全国ワースト1位」でありましたが,平成26年以降ワースト1位を脱却していました。しかしながら、平成29年は、再び「全国ワースト1位」になって、非常に不名誉な1位をとっているんですが、そうであれば、糖尿病を解決することをむしろ頑張ろうということで、これもニーズドリブンのイノベーションを起こそうということで、知的クラスターの一環なんですけども、やっております。
 それからもう1つは、徳島大学は生物資源産業学部という農学部系の学部を作りましたので、徳島県にいろいろなところを供与していただいて、例えば水産、林業、それから農業ですね、全て一緒に大学でやっていきましょうというシステムを作っていまして、それをアグリサイエンスゾーンとかフォレストサイエンスゾーンとか、そういう名前を付けて、現在、一緒にやっています。
 それで県も資金が必要なのでというので、クラウドファンディングをやりましょうということで、一番左は害虫を駆除するのにお金を集めましょうといって、県が一緒にやっていただきまして、真ん中は、これはちょっと違いますけども、徳島市が動物園をきれいにしたいというので、お金を集めましょうというので、やっています。右は、学生がソーラーカーを作ってコンテストに出たいというので、こういう形で結構お金が集まっています。
 さらにクラウドソーシングに関しましては、県にクラウドソーシングのシステムを支援していただくということで、クラウドソーシング実証実験を県主体でやっていただいていまして、我々のOtsucleというサイトを使っていただいて、県内のテレワークをきちんとやっていこうというシステムを作っております。
 こういう形で少しずつ、ウェブを利用した、クラウドを利用した動きが、何とか動き始めています。
 産業を興すためにはやはりベンチャーを支援しなくちゃいけないということで、大学としてはそれを一生懸命やっております。結構成果が上がっておりまして、徳島大学はベンチャー認定制度を最近始めたんですけども、色が付いているところがそれ以降にベンチャーができております。詳しいことは時間の関係で省かせていただきます。
 そういうわけで、少しずつ特許収入も上がっていますということを示しています。その中で非常にいい特許がございまして、それのライセンスで収入が入ったので、先ほど新聞の記事がありましたが、非常にうまくいっています。
 そういう新しいネタを、シーズドリブンの方もちゃんとやろうということで、研究クラスターを作って、分野が違う教員が組んで研究をスタートしていくというのもやって、学内で募集しましたところ、平成29年度は136ほどのチームができまして、その中から優秀なチームに資金を提供して、今、研究を支援しています。
 それで、産業院を先ほどの概念で作っておりまして、これはできたばかりなんですけど、今、やっています。
 先ほどから申していますように、我々は、TechPushといいますか、大学の中のテクノロジーで企業の方という、それがTLOだったんですが、それがなかなかうまくいかないので、むしろニーズドリブンでいく方がはるかに成功率が高いということを考えています。
 であれば、ニーズドリブンのやり方を徹底的に、デザイン思考というらしいんですけども、それをもって、資金等もクラウドで集めながらスタートアップを作っていきたい。そういう専門の場所をスタートアップ・スタジオと呼んでいるらしいんですけども、そういう名前でやっていければいいなと思っています。
 先ほどからクラウドソーシングなりクラウドファンディングという話をしているんですけども、大学独自でそれを運営するというのは非常に難しかったので、大学支援機構という一般社団法人を作りまして、そこで現在動かしています。
 これは最初はクラウドソーシング、クラウドファンディングだったんですけども、次第に地域のサポートもできるということになりましたし、また、最後にありますように、大学間の連携にもこの仕組みが使えるのではないかと、今、考えております。
 クラウドファンディングをもう少し詳しく述べますと、大学の中のURAの方に頑張っていただいて、現在、下の左にございますように、3,500万ぐらいの資金が、大した金ではないかもしれないんですけども、我々としては、だんだん増えているので、これはもうちょっと頑張っていくと、1つの大学でこれぐらいなので、連携してもっと、例えば10、20の大学がワンストップで一緒にやっていただけると、もっともっと効果が出るなと思っているんですけども、意外にこれがなかなか連携が難しいという状況でございます。
 これは特に研究費なんかの場合でしたら、科研費、採択されても30%ぐらいなので、残りの70%の人はやはり非常に研究費、苦しんでおられて、世界の人々から支援していただくという形をとりたいなということで皆さんには言っているんですが、実際はなかなか進みません。
 クラウドソーシングとクラウドファンディングを一緒にやるということで、これは1つの例なんですが、上のこれはスマホのカバーのデザインなんですが、スマホのカバーのデザインをクラウドソーシングで一般のクラウドから集めて、その中で一番評判のよかった3つを、今度はクラウドファンディングで製品化するためのお金を集めるというのをやっています。
 結構お金が集まってきていますし、それから、これはクラウドソーシング、クラウドファンディングがうまくいった例ですが、右の下は医学の例なんですけども、腰が痛かったりするのを治していくのに、特殊な内視鏡を使うというので、その研究にということであれしますと、これは1,000万円近く、現在、なっております。そういうことをやっています。
 また、先ほどブレーンストーミングとか、いろいろなアイデアを出していくために、フューチャーセンターという新しい場所を作って、皆さんを集めてアイデアを出してもらったりしています。
 徳島大学として、そういういろいろな動きをやっているんですけども、今後、我々がやっていきたいことというのは、先ほど申しましたようにスタートアップを組織的に進めることです。今まではスタートアップが偶然できてくるとか、偶然いいテクニックがあったらスタートアップができるかという、そういう形だったんですけど、そうではなくて、意図的にニーズを探しまくって、その中からスタートアップを作っていくという、その方が成功率が高いらしいので、そういうシステムを大学として、産業院としてやっていきたいと思っています。
 あとはいろいろあるんですが、それだけ強調します。
 国に対して期待することは、4つの大学で400億とかいう大学のファンドがありますけど、そういうので400億もなくてもいいので、10億でも20億でもいいので、是非あれば、我々としてもやりやすいなと思っています。
 その1つの考えが、これは先ほどの大学産業院を各大学に持っていただくと一番おもしろいんですけども、そうでなければ、左の方に大学共同ファンドというのがありますけども、そういうのがないと、なかなかベンチャーを作ってスタートアップを支援していくのは難しいので、そうしないと大学にお金が入ってこないということもあるので、何とか大学共同ファンドを作れるような形を、今でもできるんですけど、もう少しやりやすい仕組みを作っていただければと思っております。
 最後は、これはクラウドソーシングという、ちょっとずれていて申し訳ないんですが、今は非常に単純なデザインの募集とかということなんですけども、それ以外にも研究のテーマに関してはいろいろありますし、それから教育のテーマもいろいろありますし、あらゆることでクラウドソーシングは使えるので、是非これをいろいろな大学で使っていただけるようにしていきたいなと思っています。どうやったらそれができるのかなというのが、今、我々としては一番悩みどころであります。
 すいません、雑駁でございましたが、以上でございます。ありがとうございました。
【須藤主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御講演に対して、質疑応答したいと思います。
【福嶋委員】  大変興味深い御発表をありがとうございました。
 私も実は15年ぐらい前に徳島大学さんの産学連携のインタビューをさせていただいて、あの頃は既存企業との連携みたいな、たしか共同研究開発が地域の大学の中でかなり上位にあるといった、研究者1人当たりの連携が非常に積極的にやられているというところでお伺いしたんですけども、今回かなり様相が変わられているなという印象で、地域の企業との連携じゃなく、スタートアップとか、そちらの方に舵を切られた、その経緯について、何か教えていただけないでしょうか。
【徳島大学(野地)】  例えば私も経験あるんですけども、大学発のベンチャーを作ります。そうすると、だけど、本当に何の支援もないんですね。大学発ベンチャーとは名乗っているけども、大学にそれを支援するお金もないし、大学が支援する例えばマネジメントの支援もないし、結局、起業はしたものの非常に苦しい場面ばかりというのがほとんどなんです。
 最近はもう少し楽にはなっていますけども、ああやって10、20のスタートアップとかベンチャーができてくるんですが、それを支援する体制が、東京なんかは最近整備されていますけど、地方はほとんどないんですね。そうなると、やはりそれを支援するシステムをもう少しシステマティックに大学に作らないと、新しい企業が生まれてこない。
 しかも、いわゆる既存の概念で既存のものを作っていく、それを工夫したというスタートアップではなくて、これまでにない概念の本当のイノベーションを起こすスタートアップを作るには、やはりそれが必要なのではないかなと思っています。
 それで、そういうふうに考えてきたんですけど。
【福嶋委員】  大学の中で大きな転換があったんでしょうか。
【徳島大学(野地)】  いや、それはむしろトップダウン的に、今。
【須藤主査】  どうぞ。
【金子委員】  どうも有意義なお話を頂きまして、ありがとうございます。
今の福嶋先生の御質問にちょっと関係しているような気がするんですけれども、イノベーションはルールを壊して全く新しいものを作っていくというタイプと、既存の技術や、あるいは地域産業を、違う方向や違う分野で生かしていく形が、あり得るのではないかなと思っております。長野県さんのお話では、比較的今までの技術を生かしたような、産業との連携のところを強く意識した取組のようにお伺いいたしまして、一方で、徳島大学さんの場合は、地域企業との連携という観点よりは、むしろ新しいものを作っていこうというような形でお伺いしたんですが、もともと徳島県のそういう産業構造といいますか、地域における技術とか、そういうものとは大学との連携はなかなか難しいような産業構造なのかどうなのか、そのあたりをお聞かせいただけますとありがたいです。
【徳島大学(野地)】  ありがとうございます。実は大塚製薬、今は大きな会社になっているんですけども、最初は、例えば鳴門の塩をいかに使うかとか、あるいは抗生物質をどうするかとかというところ、ある意味で最初から大きな企業ではなくて、小さな企業だったんですね。その小さな企業のときに、徳島大学は支援しているんですね。
 昔は産学連携みたいなことを言わなかったんですけども、頼るところがないので、大学に来ていただいて、例えば患者さんを診てもらうとか、いろいろなことをやって、それがうまくいって今の企業になっているんですね。このような経緯もあり、昔の大塚の方なんかは大学に非常に感謝していただいて、寄附なんかもしていただける。
 同じことが実は日亜工業もありまして、やはり小さいときには、例えばLEDの高額な測定装置とかはないんですね。それを大学に使いにきていたわけです。そうやって大学が支援しながら、今は大きな企業になって、逆に我々が寄附いただいているという形です。
 そうすると、そういうイノベーションを起こしていくことが、次の産業を生むことになるので、既存の産業と一緒にやるということはもちろんやっているんですけども、そうじゃなくて、地方に新しい産業が生まれて、しかもそれがかなり大きなものになるには、スタートアップという呼び方の企業を作らないと、なかなかいけないのかなと。
 しかも、それも自然に起こってくるのを待つのではなくて、ニーズドリブンで、必要なこと、コンセプトを逆に考えて、新しいものを生かしていくという方向性を、それはスタンフォードでうまくいっているという話もあるので、それを今回導入するというのが考えなんです。
 それで、長くなって申し訳ないんですけども、大学の教員の採用というのが、今までは、先ほども言われました研究論文みたいな形で、いわゆる論文を書くことが得意な先生方を集めてきました。だけど、今度は産業と一緒につなぐというところだと、やはり違う人材が必要なんではないかと思っていまして、それで、産業院というところは、実は論文重視の教員の採用基準ではなくて、もっと実装型の、実務家教員という言い方はあれなのかもしれないんですけども、そういう方をもうちょっときちんと採れるように採用基準を変えて新しいところを、例えば医学部でも、臨床の教員、また、外科でしたら、手術ができないと採れないですよね。だったら、そういう人を採るような採用基準をとっていますから、それと同じように、産業を興せるとか、産業をちゃんと育てるとかという技術を持った人を採るというのが、1つの大学の改革の仕方ではないかと、今、考えています。
【金子委員】  どうもありがとうございました。
【須藤主査】  ほかにございますか。
【西村委員】  どうもありがとうございました。
 この産業院という考え方、非常におもしろいと思ったんですけど、スタートアップと先生はおっしゃっているんですが、本当にゼロから作るスタートアップだけなのか、例えばニーズから引っ張るのであれば、地元企業とかと一緒になって作り上げていくようなスタイルはないのか。
【徳島大学(野地)】  スタートアップ、強調しましたけども、コンセプトとしては、病院は、人、患者さんが対象です。産業院は、人じゃなくて企業、特に中小企業というイメージで考えていまして、中小企業の方がこんなことで困っているんだということで来られた場合に、今までは教授1人が対応していたんですけども、そうじゃなくて、多分1つの課題を解決するのに1人の専門家では無理なので、最適なチームを作って対応していくというのが産業院のコンセプトです。
 スタートアップもチームを作って、最適に対応していこうという考えです。
 だから、組織というのをちょっと意識しています。
【德増委員】  それは、地域は徳島県内だけではなくて、香川県とかほかの県にもある程度入れ込むという考えもあるんですか。
【徳島大学(野地)】  もちろん、まずはローカルからうまくいくということが分かっていただければ、皆さんに採用していただけると。別に我々だけがそれを独占的にやろうというわけではございません。
【須藤主査】  どうぞ。
【三木委員】  この委員会の第1回目のときにもスタートアップ・スタジオの話をしたんですけれども、スタートアップ・スタジオ、欧米でもいろいろやってきて、ポイントになるのは、やはり人なんですね。
 スタートアップ・スタジオのリーダーとそこのチーム、お金はそれほど、Vシートのアライアンスを組むというやり方で結構やれるので、それほどクラウドファンディングは重要ではない。むしろスイートスポットをどうやって見つけるかというところなんですね。
 それともう1つは、起業家群ですね。起業家をスタートアップ・スタジオは募集するんです。それでいいアイデアと結び付けているというスタイルが非常に一般的でして、ハーバードとかテキサスの方でも、大学がスタートアップ・スタジオをやっているんですけれども、これはやはりシリアルアントレプレナーを軸にしてやっているんですね。
 問題は、人の問題だと私は思っていまして、日本で成功するかどうか。まず、シリアルアントレプレナーがそれほど多くなくて、そういう人、どういう募集の仕方をやっていこうとするのか。それから、人に関しては国内に限らずやろうとしているのか。その辺のところをお聞かせいただけますか。
【徳島大学(野地)】  おっしゃるとおり、人にいかに来ていただけるかというのが1つポイントです。
 今、実は東京の方でいろいろなそういうスタートアップに関係している、あるいはベンチャーに関係している方といろいろコンタクトをとりながら、最適な人を集めようとしています。
 それは多分、徳島に来ていただいて徳島でというのはなかなか難しいので、例えば1週間に1日でもいいので、我々は産業院教授という称号を今作っているんですけども、産業院教授として、産業院の先生になっていただいて、その方が最初はアントレプレナーの教育をすると同時に、スタートアップの援助もしていただきたいと考えています。おっしゃるように、なかなか人の問題はすぐに単純には解決しないんですけども。
 それともう1つは、ニーズドリブンのところから出発すると、それはそれでまた欧米でやっているスタジオとは少し違うかなとは思ったりはしているんですけども、そこはまだ今からの話でございます。
【三木委員】  そうですね、欧米でやっているのも、シーズドリブンはほとんどなくて、技術をベースにして、一時期、ナノテク関係でもかなりスタートアップ・スタジオがいろいろ関わったものがあります。
 その場合も、見えていないニーズ、既存の大企業さんがまだ意識していない、まだ顕在化していないニーズ、ここをやって、最終的には大手企業がM&Aしていくというスタイルなんですね。
 日本もここ最近、CVCがかなり盛んになってきて、特にモバイルのところは今までのエンジンでベースの話はどんどん変わっていきますし、その中で新しい技術が必要になってくる。
 そういう中で、大企業が、今、大分CVCを作っているところもありますし、スタートアップ・スタジオにももう少し文部科学省としても興味をそそるようなものをやらなければいけない。
 スタートアップ・スタジオ自身は完全なビジネス体なので、基本的に1年間で何社起業していきますよといって、それで最終的にはちゃんと金が回っていくというものでデザインすることが必要なので、だから人が物すごく大事なんです。
 だから、これをどうするかというのは、全体的に非常に大きな課題かなとは思っていますけど、何とかこの構想が一歩でも前に進むことを期待しています。
【徳島大学(野地)】  ありがとうございます。
【須藤主査】  よろしいでしょうか。
 まだいろいろとあると思いますけども、次のテーマに行きたいと思います。
 今回の件を一緒にまた議論したいと思います。
 一応議題2となっていますけども、今のヒアリングの内容を踏まえて、資料2を見ていただけますか。前回は、大きな「1、地域の科学技術イノベーション活動の基本的方向性」、これについていろいろ議論をしまして、それはまた後でまとめてもらっていると思いますけども、ずっと行っていただいて、4ページ、そこに大きな2があって、国内外の地域科学技術イノベーション事例からの教訓、これは今いろいろとプレゼンテーションしてもらって、この後もまた毎回やっていこうと思っていますけど、この後のテーマとしては、3、地域の科学技術イノベーション活動の置かれている現状及び課題、それから4が、課題解決に向けて、今後国及び地域に期待されること。今日はこの辺を議論していきたいと思います。
 2つに分けまして、まず最初に、3の中の(1)、(2)、(3)、この辺までを1つのグループとして進めていきまして、その後、人材の話を後半にしたいと思っています。
 ということで、3の(1)、(2)、(3)、この辺について自由な意見を述べていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
【松原委員】  特に(1)と(2)、(3)も関わりますかね、お二人の報告、合わせてなんですけれども、特に徳島大学の学長様からの話で、私、関心を持ちましたのは、3つの地域戦略という形で、空間的なスケールを徳島県内と四国と、それから最近だと関西も含めた形で、3つのエリアを使い分けながら、しかし統合しているような形で、ここでいうと、エコシステムの形成のところの広域連携とも関わるし、あるいは場合によっては、広域ではなくて、かなり狭い範囲でベンチャーを起こしていくといったような形での、これはマネジメントも関わってくるかなとは思うんですけど、そういうことというのは、どういう背景で発想が出てくるのか。
 質問してもいいんですかね。
【須藤主査】  どうぞ、どうぞ。
【松原委員】  お聞きしたいのと、それから長野県も、実は知的クラスターのところは、信州大学の繊維なので、上田が中心なのかなと。その前のテクノ財団は長野市のあたりに中心があるのかなと。そして、今日の主な話は航空宇宙だったので、それは県内でいうと、長野は非常に県内が広いので、いろいろ中心都市がたくさんあるのかと思うのですが、飯田を中心としたところだと思うんですね。その間に諏訪があったりするし、そういう意味では、エコシステムを形成していくときに、空間性というか地域性というか、そういうものをどういうふうに統合しようとする……、切り分けながら統合というのが私は今後求められてくるのかなとは思うんですけど、その辺の在り方みたいなことを教えていただければと思います。
【須藤主査】  最初に、じゃあ、野地先生からお願いします。
【徳島大学(野地)】  御質問にちゃんと答えられるかどうか分からないんですけども、事情は、徳島と本州というか、神戸との間が車で1時間半ぐらいでつながったという、橋ができたということがございまして、そうすると、今、神戸がいろいろな新しいことをやっていまして、理研があったり、最先端の医療設備があったりとか、あるいはいろいろな企業が集積しているというのがあって、特に生物系・生命系なんですけども、そこは我々、一緒にやっていくのが非常に有利ですねということで、今、神戸大学の医学部と連携を組んで、今回、卓越大学院とかいうのがあったんですけど、それも共同で申請して、一緒に教育をやっていきましょうと。
 もう1つは、ちょっとあれなんですが、例えば大学院生の数を考えて、神戸大学は希望者が多くて大学院生が希望者が全員入れないんですね。ところが、徳島大学はなかなか定員を埋めるのが大変であるという状況がございまして、だったら一緒にやればお互いハッピーになる可能性もあるなということで、そういう事情があって、関西連合みたいな話を今やっています。
 四国全体というのは、一応連携は強くやっていきましょうということは言っているんですけど、やっぱりそれぞれの大学の事情があって、なかなか厳しいのは厳しいです。でも、一緒にやろうという気持ちはあります。
【松原委員】  そこで聞きたかったのは、四国TLOの最近の動きって、いろいろ問題もあるのかもしれないんですけど、その辺、どういうふうに考えられているのか。
【徳島大学(野地)】  四国TLOは、むしろ今、知財とかいろいろなことを全部……、我々が例えば専門家を1人ずつ持つよりは、四国の5大学が1人の専門家をTLOで雇って、知財を管理してもらうとか、その方が非常にいいというので、実は我々、TLOからお金が欲しかったんですけども、逆で、我々がお金を出して、TLOを維持しているという状況です。
 ただ、それは例えば知財の管理とか、あるいは実際に企業との連携を作っていくのに、TLOはTLOで一応頑張っていただいて、でも、そこから我々が収入を得られるような状況にはまだ全然なっていません。
【長野県(沖村)】  知的クラスターの関係ですけれども、知的クラスター、長野県は欲張ったところもありまして、コア技術、3つございまして、1つは長野市の工学部にございますCNT、カーボンナノチューブ、それから繊維学部の有機系の材料、それから東京理科大学の界面技術といったところをコア技術として展開してまいりました。
 こういったものを活用できる企業が県内どこにあるかといいますと、やっぱり工業は諏訪地域が一番集積しているところでございまして、加工の観点でも、諏訪、又は上伊那あたりがそういった工業が盛んでございます。
 じゃあ、これをどうやってつなぐかというところが問題なんですけど、私どもが活用したのは公設試験場でございまして、やはり公設試験場は産業界の技術力も大体把握しておりまして、その辺とこの技術だったらつなげられるというような目利きといいますか、そういったものを行いながら、この技術をこの企業で使ってもらおうということで、デバイス試作創出というところは、公設試に担っていただいたところがございます。
 それから、航空の関係は飯田でやったりしているんですけど、私どもが考えているクラスター作りというのは、やはり強きを伸ばそうという観点でまず進めるのが大事だろうということで、県内全域で広く展開しても、それは浅く広くみたいになっちゃうものですから、まずは強みをもっと強くするという観点で、狭いクラスターをしっかり作り上げて、それを横展開で県内へ波及させていくというような考えで、今、進めております。
【松原委員】  どうもありがとうございました。
【須藤主査】  上田の繊維学部は、どちらかというと、地元というよりも日本国中の大手の会社が結構中に来てやっているような気がするんですけども、その辺は長野県としてはバランスを考えているんですか。
【長野県(沖村)】  本当におっしゃるとおりでございまして、帝人さんだとかクラレさんだとか、そういった企業がしっかり入り込んで、Fiiというインキュベート的な建物もあるんですけども、そういったところにもよくお見えになって、共同研究もしっかりやっております。
 ただ一方、繊維学部のファイバー技術は全国レベル、世界レベルでございますけど、中には感性工学の関係の先生だとか、若干機械系の先生もいらっしゃって、そういう先生については、地元企業とのつながりも強くなってきております。
 また最近は、エコシステムの拠点作りの補助金も頂きまして、新たにOVICというインキュベーション施設もできた中で、そこでは大学発ベンチャーを核として事業展開をやりたいということで、今、歩行アシストロボット、クララというものもやっておりますけども、そこの部品には長野県の企業の部品が結構使われているということもございまして、そういう連携が始まってきております。
【須藤主査】  ありがとうございます。
 そのほか、ございますか。重要なところですので、御意見でも何でも構わないんですけども。
【林委員】  林ですが、地方の大学とか地方自治体さん等のイノベーション活動、私も幾つかお付き合いがあるんですけども、課題として出てくるのが、地方だけで閉じちゃうというところをどうやって壊していくかなと。地方でまとまるのはいいことなんですけれども、そこで小さくまとまるんじゃなくて、どれだけ外と連携できて、例えばマネタイズとも関係するんですけども、市場は別に地方に限定する必要はなくて、日本市場、世界市場を目指していけばいいですよね。
 だから、そうなってくると、地域の外側とどういうふうにコミュニケーションするかとか連携活動をやっていくかで、それぞれの地方で結構課題があるような気がするんですけども、長野県、それから徳島、いかがですか。そういう現実的なところを聞かせていただければと思うんですが。
【長野県(沖村)】  私ども、外との連携につきましては、産学連携の観点でいきますと、先ほどのテクノ財団が、県内のみならず、県外大学との連携をしっかりやってきておりまして、コーディネーターが、企業から持ち込まれた案件にどの技術が一番使えてというところを探りながら、一番強い大学と結び付けるという、特に信州大学に限らず、例えば先ほどの知クラでも東京理科大学と結び付けるとか、また、日本工業大学とか、ああいったところとも結び付けたりしていますので、そういったコーディネート能力に期待しているところでございます。
 また、国際展開に関しましては、EU7か国で組織しています産業支援団体とのMOUをテクノ財団と結んだり、あと、タイの国立大学ともMOUを結んで、そういったMOUの中でつながりを付けながらやっている状況でございます。
【徳島大学(野地)】  徳島は、例のクラウドファンディング、クラウドソーシングという形で、そのクラウドが、今、実は本当のクラウドになっていなくて、徳島の人がメーンなんですけど、あるいは親戚・知人がメーンなんですが、本当のクラウドにしたいなと思って、その活動をいろいろしているんですけども、最終的というか、英語で発信するとか中国語で発信するとかというのを今後取り入れて、いわゆるネット上で世界とつながる方向というのを、今、考えています。
 それと、今、大学は連携・統合という話がいろいろあるんですけども、これの34ページには、今の産業院とかそういうのを結び付ける1つの仕組みとして、一般社団法人大学支援機構を作っていまして、これがハブとなることを想定しています。実際にはなかなかハブにならないんですけど。
 例えば国立大学だけでも86ありますし、あるいは帝大系を除いても70あるので、その70が例えば1つの一般社団法人、今、国立大学協会というのがあるんですけども、そこは全部の国立大学法人が集まっている社団法人なので、それと同じような仕組みを産学連携で作ればいいんですけど、それも意外に大学間の壁があって、非常に難しいのは事実なんです。
 そのためには、マネタイズっていう、次に入りますけど、これで例えば下の企業でもうかるよというのを我々が示すことができれば、皆さん、それはいいねといって乗ってくれるんじゃないかという期待はしているんです。
【長野県(沖村)】  すいません、ちょっと修正がございまして、先ほどのMOU、東南アジアは、タイじゃなくて、ベトナムでございました。
【須藤主査】  どうぞ。
【西村委員】  質問とかということじゃなくて、最初の(1)のエコシステムの形成とか、いろいろ考えたときに、さっき、林委員のおっしゃったことは非常に重要で、地域で閉じるということが非常にリスクになっている可能性があって、これは今のお二方の発表に関してではなくて、普通にこの地域の科学技術イノベーション活動の置かれた現状とか課題とかいうところから切り取ったときに、今のお話の中でもあったんですけど、地域の登場人物を地域の中に限定していくと、ちょっと言い方は悪いです、悪平等のようなことが起こって、すごくコアになる非常におもしろい技術があったりとか、すごく伸ばしたいなという企業があっても、そこにぴったり合う例えば技術開発系の先生がいなかったら、例えば三重県の場合だったら三重大学の先生の中にいない可能性があったときに、変にくっ付けちゃうと、下に集まるケースもあるんですね。
 だから、多分マッチングだとか人でこうやって……、さっきの産業院みたいなところでコーディネートする方々の立ち位置として、非常に厳しい言い方ですけど、戦略的不平等を起こしていかないと、その中で本当にこの仕上がりの最終形は、これは例えば1,000億のビジネスを作れるんだとか、これは500億作れるんだとか10億作れるんだとかいう目的の中で、きちんとした、先生たちについても、この研究でこの角度でちゃんとやらなければ、先生、無理ですよというのと、もうちょっと言い方は悪いけども、確かに先生の専門領域はこれだけども、申し訳ないけど先生以外の何とか大学の先生の方が絶対にキレがいいので、そっちを使わせていただきますよということを言い切れるかどうかなんですよね。
 だから、地域の中で閉じるって、地域発のイノベーションとかこういうのというのは、非常に難しいんですけども、何かそこでしかない、ものすごいよりどころのものを軸としながら、最適解を解くような形の集め方をそこに集積させるような感じなのかもしれないです。
 ですから、昔ながらのやり方は確かに、エコシステムじゃない、もう1つ前ぐらい、クラスターを作ったりっていうのは、多分、地域内のものをうまく活用しましょうというやり方だったんですけども、地域の特性を最大活用するためにそこに一番いいものを集めましょうという考え方があってもいいのかなと思いました。
 まだ私も結論は出ていないんですけども、最近、三重で起こっている現象で、突き抜けていく企業というのは、むしろ僕は三重大学を外した方がよかったです。そういうケースもあります。
 だから、そこら辺も含めて、今後のエコシステムの形成とかマネジメントとかマネタイズということを考えていくのがいいのかなと思いました。
【須藤主査】  今、言われたもので、エコシステムの形成で広域連携と書いてあるんですけども、広域連携もむしろ外して、世界中全部を見た方がいいということですね。
【西村委員】  それでもいいと思うんですよね。だから、そこで出てきたものを最大活用できるような何か、集まれるような仕組みみたいなものがむしろその地域が1つの特徴なのかと。もしそれがなかったら、別にその地域でやる必要はないかも分からないです。
 だから、何にこだわるかというのをどんどん消していくとゼロになってしまうかも分からないので怖いんですけども、私たちのやったケースでいうと、1つ、すごくおもしろい企業がいたので、人物もいたので、それを一気に伸ばしてあげようということで、私たちが公平に地域の中の人を集めたりとか、外から人を集めたときに、うまくいったというケースがあったので、抽象的で申し訳ないんですけれども、何かこのエコシステム、本気でやろうとするのであれば、そこにちょっとドライな発想を入れていくというのも必要なのかなと思います。
【須藤主査】  広い意味で、マネタイズも含めたマネジメント。
【西村委員】  また人に落ちてしまうんですけども。
 今の徳島大学さんのものが、そこにすごい人がついて、あの産業院のようなところがうまく動いて、ある特定の期間、世界中からそこに教授を呼べて、それで仕上げていくという形ができてくると、かなり理想に近いかなと思うんです。
【須藤主査】  そうですね。東京とかでいろいろ人を集めていると言われましたよね。
 それも1つのやり方だと思うんですけども。
【林委員】  私もとても大事だと思うのは、エコシステムって、それに関係する人たちがそこに行きたいなとか集まりたいなという動機をどう与えられるかだと思うんですよ。それはいろいろな動機があって、例えばそれは地方大学のあの先生と一緒にやりたいという非常に技術的な部分、研究的な部分がある。
 ほかにあるとしたら、例えばあそこは潤沢な資金がかなり有利に借りられるとか、そういうシステムがあると。なぜだか知らないけど、あそこだけ何で資金があるんだろうと。これでもいい。
 こういう社会制度であったり、例えば実用試験をやるにはあそこはすごくやりやすいとか、どういう理由を見付けてエコシステムの人が来てくれる動機にするかというあたりの仕組み作りに一番頭を使わなきゃいけないというか、大事なところかなと。
【須藤主査】  先生がいて、コア技術があるというのも1つなんですね。
【林委員】  もちろんです。コア技術はあって、あの先生と是非ともやりたいんだというと、自然にこれは集まる。これが全部できればいいですけど、それは2番目ぐらいの理由なんだけど、そのほかの実証試験がやりやすいとか。
【須藤主査】  実証試験に最適な場所があるとか、いろいろなのがありますね。
【林委員】  あの先生がいるよねというと、これも。
 1つだけじゃなくて、何かくっつけてということです。
【須藤主査】  いかがですか、ほか。どうぞ。
【串岡委員】  さっきの知クラの話、長野県では、60億の補助金に対して60億の売り上げがあったとか、あるいは四国TLO、著名ですけれども、実際は経費倒れになっているようなお話を伺って、やっぱり補助金だとかそういう仕組みのお金ではなくて、あるタイミングでは資本性のお金を入れなきゃいけないのかなと思っていまして、多分そういうことが一つ必要なので、今回もクラウドファンディングだとか、ここでのクラウドファンディングの意味は違いますけれども、さらにここに新しいホールディングスというか、出資というようなことをお書きになられているんですが、多分そういうものを地域でも導入していかなきゃいけないなと思っていまして、先ほどえこひいきの話がありましたけれども、私どもも広島大学発の例えばある企業に対して、県が作ったファンドで8億円ぐらい投資をするとか、そういったこともやっていますけれども、思い切った投資ができる仕組みを地域の中に導入していく必要があると思っています。
 もう1点言うと、大学の場合は、出資について、今、指定大学法人だとか、あるいは四大学、つまり産業競争力強化法に基づくものについては、法制度上もしっかり担保されていますけれども、ほかの普通の地方大学にもそういった仕組みが導入できることを、こういった議論をきっかけに考えていただければなと思います。
【須藤主査】  ほかにございますか。
 先ほど出た大学支援機構の絵がありましたよね。あれは今、あまりうまく回っていないと。確かにそんな急にはできないと思うんですけど、これにはいろいろと我々も絡んでいるんですが、やっぱり今、この仕組みだとうまく回らないというのが現状なんですか。
【徳島大学(野地)】  国大協は、昔からの国立大学の、法人となる前からの流れがあって、特に帝国大学時代からの流れがあって、歴史があるんですね。それできちんとした組織ができています。
 だけど、こういう言い方をしたらちょっとあれかもしれないですけど、そこは逆に、そういう歴史的な背景があるので、地域の、地方の大学の問題をなかなかきちんと取り上げていただけないんですね。
 今は国立大学法人は3つに分類されていて、そうであれば、地域の、それは55あるんですけど、その55が1つ、地域の問題を解決するための組織を作ってもいいのではないかと思って、それで作ったんですけど、そうすると、徳島大学のために作ったんじゃないかと言われていて、みんなが協力すると徳島大学だけ得するんじゃないかという雰囲気になっていまして、なかなかそれを払拭するのが大変なんです。
 ですから、もうちょっと組織をきちんと、いろいろな方で運営できるような、社団法人なので、やっていこうとは思っているんですけど、ただ、これがうまく回るということを我々は実際に見せたいというのが、まずはそれで頑張っているんです。まず地域からきっちりそれが動くというのを見せて、それから皆さんが一緒になってやってくれるというのが理想なんですけどね。
【須藤主査】  これはまだ続けて。
【徳島大学(野地)】  もちろん。
【須藤主査】  そうですよね。
【徳島大学(野地)】  やっております。お金も結構入ってきているので、クラウドファンディングなんかは結構うまくいっています。
 それともう1つ、これ、今、外部連携みたいな話、統合とかいう話があるんですけども、そこに使えるシステムになるので、そこも一つ売りにしていこうかなと思っています。
【須藤主査】  ありがとうございます。どうぞ。
【三木委員】  エコシステムは鶏と卵で、何が軸になってシステムができるかという観点と、それからエコシステムがあったって機能しないという部分があるので、やはり中核のものが大事なので、エコシステムの形成については、きちんとその状態をウォッチできているということがものすごく大事で、足りない部分はどこかから調達すればいいわけで、そんなにエコシステムの形成に関して地域の中で閉じる必要はないと僕は思っています。
 問題は、先ほどから出ているクラウドファンディングも含めて、お金の問題なんですけども、今日、自治体の方がおられるので、ちょっとだけお聞きしたいんですが、ふるさと納税をこういう投資的経費に回すような自治体はあるんでしょうか、ないんでしょうかというのが、端的な質問です。
【長野県(沖村)】  長野県では、特定目的のためのふるさと納税的なものを財政課の方でセッティングしてございまして、比較的ふるさと納税に受けがいいというか、一番は長野県は観光でございますし、若しくは日本酒・ワインの振興といったところには特別に割り当てが来ております。
 ただ、機械系とか、そういった産業振興というのは、納税される方からいきますと、余り共感が得られないのかなという部分もあって、回ってこないのが実態です。
【三木委員】  いや、私なんかは逆に、ふるさと納税するとしたら、自分の子供もそうなんですけども、東京で働いているんですが、基本的に地域で働く場所がなかったから東京へ来ているんですよ。産業が強くなるということ、そのための投資的経費、これだったら、私は絶対に納税しますけどね。東京都には納税しないけど。
 いや、そういう発想ってあるので、やはり今、常識で考えているようなこと以外のことを何かとらまえないと、イノベーションは絶対に起きないと思うんですよ。
 そういうことも今後、地域が軸になって何かを仕掛けるという点でいうと、お金の面は何かできそうな気がしなくもないと思います。
【須藤主査】  同じような議論を私もしたことがあります。
【串岡委員】  私も実はそれは内閣府に提案して、認めていただいて、やろうとしたら、役所の中で通らなかったのでやらなかったんですが、要するにお土産を配るような話ではなくて、何か新しいこういうプロジェクトをこの地域でやろうと。だから、それについて賛同していくことにして、成功したら、まさに成功報酬型で配布するというスキームを作って、内閣府でいいよというから、役所でいって、やろうといったら、いや、なかなか成功しない、失敗したらどうやって責任をとるんだというような話になって、結局、制度化されなかったんですけれども、制度上はできるんだと思うんですね、ふるさと納税の仕組みを使えば。
 だから、個人の方にとっても、払ったことに対してさらに上乗せがあるような、そういうところもあって、夢を売る話もあっていいなと思った次第です。
【三木委員】  サマージャンボもやっていることだしね。
【須藤主査】  結構こういう議論、いろいろなところで出てきますので、真面目に出すと、意外と共感を得るんじゃないかなと思うんですよね。
【長野県(沖村)】  検討させていただきます。ありがとうございます。
【須藤主査】  別に長野県だけじゃないですけどね。これは日本全体の話なので。
【松原委員】  よろしいですか。
【須藤主査】  はい。
【松原委員】  長野県の方に聞きたいんですけれども、地方創生交付金のことなんですが、飯田の先ほどスライドで見せていただきましたけれども、交付金を、私が思うにはうまく使って、立派な施設を整えてきていると思うんですが、ああいうものの価値みたいなものを、利用収入みたいなものにつなげていく可能性ってどれぐらいあるのか。地域の中だけではなくて、外から利用するような企業、そういったようなところからのものを収入として回していくような、自立化につなげていくということが可能なのかどうか。その辺も聞いていければと思うんですが。
【長野県(沖村)】  確かに環境試験機、先ほど申し上げましたように1億数千万する機械で、しかも企業にとっても年に数回しか使わないような機械ですので、企業が入れることはまずやらないですし、自治体レベルで入れるのも結構難しいものですから、交付金制度があるというのは大変ありがたく思っているところでございます。
 この導入に当たっては、実は大手3重工ですとか、それからナブテスコとか超一流の航空機関係メーカーが加盟しております日本航空宇宙工業会、SJACというところがあるんですけども、そこの協力を得ておりまして、国内になくて使う頻度が高いものはどんなものだろうという検討会をワーキンググループで開いていただいておりまして、それに基づいて順位付けをして、順次1年に1台ずつ入れているという状況でございます。
 一番最初に入れました着氷試験機につきましては、東京の企業に真っ先に使っていただいて、年間約2,000時間利用されたということもございますし、先ほど申し上げませんでしたけど、今年は燃焼耐火性試験といいまして、例えば座席のシートの燃えにくさとか、燃えたときのガスの発生状況だとかいうのを測定する装置なんですけども、これは本社立川で工場が新潟にある会社が使う予定で今動いておりますので、県内のみならず、国内全般、また、今のところアメリカとヨーロッパにしかない機械ですので、アジアの国もターゲットに入れながら、使っていただこうと考えております。
【松原委員】  その辺のアイデアというのは、どこから出てくるんですか。県の人が出すんですか。それとも公設試の方。どういう形で出てくるんですか。
【長野県(沖村)】  県にはそういったノウハウはほとんどないところもありまして、SJACの関係の皆様ですとか、先ほど話の中でもありました多摩川精機の前副会長の萩本さんからこういったことをやった方がいいんじゃないかというサジェスチョンを県に頂いて、それによって県が動いているというところもございます。
【松原委員】  地域の中核企業が。
【長野県(沖村)】  はい。
【松原委員】  ありがとうございます。
【須藤主査】  ちょうど話題がそういう話題になってきましたので、(4)も議論の中に入れたいと思います。
 今のはプレーヤーの役割分担ですよね。自治体か大学か企業か、あるいは金融機関か。それらがどうやって役割分担をすべきかということと、それに絡めまして、そのための人材確保というところも含めて、もちろん上の(1)、(2)、(3)でも構わないんですけども。どうぞ。
【西村委員】  さっきの人材不足って結構あると思うので、長野県さんとか徳島で、ただ、大学を出た人間がどれぐらい地域に残るのか。そのことが例えば、これはすみません、私、三重大学なので、三重大学の場合、例えば工学部は10%しか地域に残らなくなって、逆にいうと、それは地域の企業にとっては人材確保ができないというのと、もう1点、別のことをいうと、ここで確実にこの工学部の学生が採れるんだったら、投資して事業所を移してくるよという外資系の企業もいらっしゃったんですけども、やっぱりそういうふうな高度人材の供給と地域産業の育成みたいなところで、例えばさっきのスタートアップもそうかも分からないですし、長野県さんのやっているような企業誘致もそうかも分からないですけども、大学の人材供給が地域の活性化に対してどれぐらい寄与しているか、若しくはそれができていないのかという、その辺をちょっと教えていただけますか。
【長野県(沖村)】  人材供給の関係ですけど、工学部を持っているのは、私どもの県内では、信州大学と諏訪東京理科大学という私立から公立に変わったばかりの大学がございます。
 特に信州大学は、私、大学関係者じゃないので正確な数字は分かりませんが、長野県内、まず入学者でいきますと、20数%が長野県人で、愛知県人がトップと聞いておりますし、あと関西方面も結構お越しになっているということで、就職後、お帰りになる方が多いと聞いております。ですので、長野県に対する人材供給から考えると、信州大学の貢献度は低いのかなとは考えております。
 逆に、諏訪東京理科大学につきましては、地域の技術者というか、技能者っぽいところの育成に関与しておりまして、比較的就職率は高いんじゃないかと考えております。
 ただ一方、最近、人手不足ということが言われておりまして、県で工科短大という技能者関係を育成する大学校ですけども、これを2校作っておりますが、こちらはまず定員割れをしているのに加えまして、ここでせっかく育ったにも関わらず、いい企業からお声が掛かるとそちらに行ってしまうというような話も聞いておりまして、やっぱり地元残留率はだんだん下がっていっているなという感じはいたします。以上でございます。
【徳島大学(野地)】  徳島大学の状況は、まず入学者は3分の1が地元で、3分の2が兵庫、大阪です。ですから、そうすると必然的にその方たちは卒業すると帰っていくという状況になっていまして、地元に残る方はやっぱり30%ぐらいです。
 今、COC+というのがございまして、それで10%、地元定着の学生を上げようとしていますが、景気がよくなるとだんだん下がるという状況になっていまして、今は本当に徳島においても、いろいろな企業から人手不足で徳島大学の学生を何とかとか言われるんですけども、それがなかなか実現できない状況になっております。
 我々、ちょっと話は違うんですけど、人材確保というので、地元にいないんだったら、例えばテレワークで、クラウドソーシングでいろいろ、できるものとできないものがあるかもしれないんですけども、そういう形も一つあるんではないかなと、働き方改革とクラウドソーシングも位置付けてはいるんですが、実際にはなかなか難しいところです。以上です。
【須藤主査】  人材が外に出ていってしまうということに対して、何か施策はあるんですか。ここの本題は、そういったときに人材をどうやって確保するのかという議論を少ししたいんですけど、やってうまくいくものかどうかは別として、何か取り組んでいることというのは。
【徳島大学(野地)】  3分の2の方が徳島県以外から来ておられるわけですから、徳島のことをよく知らないんですね。例えばどんな企業があって、どういうことをやっているかも分からないので、今は企業に行っていろいろ仕事をするというやり方、つまり地元の企業を知っていただくということを一生懸命やっています。それは講演会もですし、実際に現場に行ってというのもやって、とにかくこんな企業があるんだということを知らせるということを一生懸命やっています。
 それともう1つは、就職には親の意見が最近は重要なので、学生もそうなんですけども、父兄にも来ていただいて、一生懸命説得するというのを、今、やっております。
【須藤主査】  そういうのは、例えば自治体と連携して動いているんでしょうか。大学単独なんですか。
【徳島大学(野地)】  徳島県全部を挙げて、企業もそうですし、自治体もそうですし、ほかの高等教育機関も、私立の大学もありますので、それも一緒になって、COC+というので、一応全部のコンソーシアムを作っております。
【須藤主査】  どうぞ。
【松尾審議官】  付け加えて申し上げますと、多分大学の関係だと、COC+とかでやっておりますし、あと、私、前職がまち・ひと・しごとの担当次長でしたので、そこでやっているのは、例えば奨学金返還の免除というか、例えば徳島大学とかにそれぞれ基金を作ってもらって、そこから例えば、これは県でそれぞれ条件を決めるんですけれども、徳島のどういった業態に何年戻っておられれば、今まで奨学金の返還を一部、その基金から補填をして、返す額を減らすとか、そういうことはやってはいるんですけれども、それが今、実は全国でいうと24の県でやっておりまして、これは基金を作ってもらわなきゃいけないので、県に基金造成してもらいますので、そこで、さっき言われたふるさと納税の、それも裏で入れるような形にしてやっているんですけど、それでも、先生言われるように、経済がよくなると、親御さんなんかもやっぱりなかなか地元というか。
 それとあと、もう1つだけ触れさせていただきますと、各県によって大学の収容定数が随分違っていまして、例えば長野県さんなんかは多分、高校の卒業生に比べて大学の人数が半分くらいなんですね。一番多いのは京都と東京で、高校の卒業生に比べて2倍の定数があります。
 したがって、やっぱりどうしてもそういうところがあったりとか、産業と大学が、工学部でも、例えば宇宙産業がある長野県さんにはなかなか、信州大学はそれがないとか、そういったミスマッチが多分微妙にあるので、そういったところが少しあるのかなという現状でございます。
【須藤主査】  それは、多少効果が出てきているんですか、奨学金の話。
【松尾審議官】  奨学金についていいますと、ようやく28年度から開始しましたので、出てきてはいます。
 ただ、まだ開始したばかりでありますので、それは多分これからなんだと思います。それもやっぱり先ほど言われましたように、景気の動向であるとか、それから奨学金は今、全大学生の約4割が無利子ないしは有利子を借りておられますから、将来的には相当効いてくるんじゃないかなと思っています。
【須藤主査】  ありがとうございます。
【林委員】  地元への定着率というのはとても大事なところだと思いますが、それだけではなくて、外からどれだけ人が来やすいかという観点も必要だと思うんですね。
 人材育成、人材の確保のときに、徳島大学の産業院の考え方、とてもいいなと思いますのは、プロジェクトを大学の研究室から企業につなぐだけじゃなくて、人材もつなげますよね。例えば大学の研究室の卒業生が実は産業院で実際のプロジェクトをやっている。そのときに、企業がこの人材、優秀なので就職してみないかと。そこのエコシステムの中に大きい企業が来たら、就職先、違う場所に行っちゃうかもしれませんけれども、地元企業さんがそこでシステムに参加している場合は、地元のこの企業がこんなにおもしろいんだということで、定着率に変わってくるということもあると思うんですね。
 いずれにしても、大学の研究室と企業の間にある何らかの組織、これがやはり人材育成についても、人材のマッチングに関しても、すごく大切な役割をするんじゃないかなと思うんですね。
 これはドイツのフラウンホーファーが何かそういうことをやっていますし、企業もそれ目当てで有能な人材が欲しいという動機もあるみたいですから、こういう形の制度化というと堅くなり過ぎちゃうんですが、こういうやり方のベストプラクティスが地域ごとにできてくるといいかなと思います。
【西村委員】  三重大学は結構そこを意識していて、例えば地域イノベーション学研究科という、大学院が地域との共同研究に特化したところで人を育てるという、まさしく共同研究とか、3週間とか4週間のインターンシップをさせて、そこでプロジェクトを解かすんですよね。そうすると、地元の中でも魅力的な企業にはほぼ入っていくんですよ。必ずのような形で。
 さっきおっしゃったように、引き付ける企業というのはあって、全体像を見ると、三重大、三重県もわーっと出ていくんですよ。さっきの定員数としては、たしか三重県は下から2番目なので、3割ぐらいの高校生しか行けないんですよね。
 でも、引き付け力のあるような、各論に落としていったときにものすごく注目される企業、例えば紹介すると、うれし野アグリという会社とか、それを作ってきた浅井農園とか、これは私たちと一緒になってわっと作った会社で、そこは本当に全国から集まってきています。今年も多分京都大学とか琉球大学とか、全然違う大学からも来ていて、外から来ています。ですから、目立てば……。
 もう1つ、ゑびやという会社があるんですが、そこはITで顧客予測をして売り上げを5倍伸ばしたみたいなんですけど、そこが今度、EBILABという1つのIT企業を作っちゃって、そこは自分たちがやってきた顧客予測システムを、マイクロソフトと組んでちゃんとした商品にしてやるんですね。EBILABという会社を作ったんですけど、そこはまさしくクラウドでやっていて、社員はほとんどそこにいないんですよ。福島と沖縄と、あとどこだったかな、そういう社員がモニターで一緒に仕事をしながら、拠点は一番実装できる場所なので、三重県のおかげ横丁という、おはらい町というところの店をベースにしているんです。
 だから、そういう何か特徴がすごく出たときには、そこにふっと集まってくる。人が物理的にも集まってくるし、一緒にそこに向かってクラウドで仕事するということが起こる。地方でも起こるはずです。
 ですから、各論にはそういうモデルはできているんです。私もその経験があって、それはものすごく強いなと思った。ただ、それをどうエコシステムに持っていくかとなるときに、国として、制度としてどう持っていくかというのは、先ほどの奨学金のようなやり方とか、いろいろなやり方があると思うんですけど、ここに何かきちんとしたグリップの効くようなやり方を組まないといけない。答えは何となく見えてきているんです。
【須藤主査】  そうですね。その辺は重要な点かもしれないですね。
 広島はいかがですか。
【串岡委員】  おっしゃるとおりで、私も広島大学に参りましたけれども、今まで文系は結構地元に就職するんですが、工学部は大学院に行く率が7割8割で、さらに、やっぱり東京志向・中央志向があるんですね。
 でも、例えばある先生のところは、トヨタばかりに行こうするのが、マツダとずっと共同研究なんかをやっていると、やっぱりマツダというか、地元の企業の魅力も分かって、結構人数がそちらにも振られたとか、今、非常に地元の企業さんも大学に直接コミットして、いろいろな制度もできたので、共同研究講座をして、その研究者がそこに入って一緒にやっていると、学生が大学院のレベルで共同研究をしていると、興味が湧くということがあるようなんですね。
 大学の学長さんもそういうことを、マツダ車が非常にいいという、それから、カープとかサンフレッチェとか、郷土愛も含めて、打ち出していく、そのあたりは一つの戦略かなと思います。
【須藤主査】  北見はどうですか。
【内島委員】  私が所属する北見工業大学では、北海道への就職率は30%ぐらいです。しかし、北見という町は面積で香川県程の大きさですので、その規模感覚で私たちが地域と捉えると、北見市を中心とするオホーツク総合振興局管内(18市町村)において、就職率は10%に満たない状況です。
 そこで、先ほど徳島大学さんのお話にもありましたが、私たちは地域がどのような特徴を持っているのか、どのような、ほかにはない唯一無二のものがあるのか、それらを知る機会を教育として構築しています。自治体と一緒になって、学生目線で地域の課題解決に向けたPBL演習も行っておりまして、そういうことを行うことで、学生が地域に目を向けるようになってきているという傾向があります。地域の企業についても同様に知る機会を構築しています。
先ほど西村先生からのご発言もありましたが、その地域の特徴を最大限生かすようなこと、注目させること、目立たせること、そのことによりその地域へ全国から世界から集ってくる。それは学生に限ったことではなく、地域科学技術イノベーションを起こす仕組み作りとしても、その地域の特性を知らせる、伝える、そういうところはすごく重要になってきていて、それができると、私もまだ具体的なイメージはできていないですが、自然と学生の定着にも繋がるし、地域の魅力にも、地域の企業の魅力にもなり、人も集まり、その地域にある企業さんも活性化していく方向に向いていくのかなと感じているところです。
【須藤主査】  徳島大学でやっているような産業院みたいな発想は、北見工大ではやっていない。
【内島委員】  発想・取組はありません。ありませんが、地域を知ってもらうようなことには、強く力を入れていこうという意識は更に高まっています。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 何かございますか。
【德増委員】  いや、本当に産業院というのが非常に印象に残っていて、地域をどういうふうにしてPRしていくのか、学生ももちろんそうですけども、企業家に対して、この地域はこんなものがあるという。
 先ほど西村さんが言ったけれども、クラスターというのは、地元の資源を活用して世界に出していくのと逆な発想をするというのが、非常にそういうことかなと。
 エコシステムの中でも、やっぱり逆の発想で何かを考えると、今までは大学発ベンチャーというのはシーズから入っていっているから、前回の議論もそうなんですけど、ニーズから入っていくような、そういうものの仕組みを作っていかないといけない。
 それが一つ、徳島大学の産業院というのが、非常にその役割があるのかなと思いました。
【須藤主査】  福嶋先生。
【福嶋委員】  人材の話で、学生とか労働力という観点での議論が多かったと思うんですけど、今回、徳島大学さんのお話を聞いて、今までのやり方を変えてきたリーダーの方がいたんじゃないかなと思うんですね。
 この前も言ったんですけど、役割分担としちゃうと、この人がこの役割というようなイメージなんですけど、多分このプロセスは、今までの既存の役割をかなり超越したというのか、大学はこうだとか、金融はこうだとかという壁を超える人がかなりいたんじゃないのかなと思うんですよね。
 そういう人が地域にいたかいないかという、そういった人材という面も議論してもよかったかなと思いました。
【須藤主査】  まだ終わりじゃありませんので、また次回、続けてやりたいと思います。
 あとは金子委員、何か言い足りないことがあるような気がするんですが。
【金子委員】  皆さんにおっしゃっていただいたことでかなりカバーされていますけども、産業と、地域と、あるいは大学の研究とを結ぶというところで、今までの大学の教員の方々は、アカデミックな研究に力点が置かれていて、産業と結び付けることが難しいところがあったと。そこを結び付けられる人材の1つの在り方として、産業院という形で、教授なり講師という形で結び付ける方ができてくるというのは、しっかりとした立場で仕事ができるというポジションを作られたという意味で、非常に意味があるのかなという感じがいたしました。
 ただ、産業と地域・大学の研究との連携を特定の人の役割としてしまうと、みんなの意識が高まらないという問題も生じます。今、大学の中ではいろいろな形でアントレプレナー教育とかイノベーション教育が進められており、これは文部科学省の取組としてやってこられた成果だと思いますが、多少地域によって、ひょっとしたら意識の成熟度に濃淡もあるかもしれません。そういう中では、こういう産業院を作られて、そういう人をしっかりと、ポジションをとってもらってやっていただくというのは、非常に貴重なことかなと思いました。
【須藤主査】  どうもありがとうございました。
 時間も来ていますので、議論はここまでにしたいと思います。沖村課長、野地学長、今日は本当にありがとうございました。
 もう1つ、議題があります。これは文部科学省からの重要な提案ですので、是非説明していただいて、少しだけ議論したいと思います。
【生田室長】  資料3のポンチ絵をお開けいただけますでしょうか。説明はなるべく端的にしたいと思います。
 こちらの資料ですけれども、現在、この委員会におきまして1回目から3回目まで、皆様方に、もともとのこの議論の始まりというのは、第6期科学技術基本計画に向けて、地域の科学技術イノベーションはどうあるべきかという御議論を、まだ始まったばかりでございますけれども、これからもやっていただきたいと思っております。
 それと同時並行になってしまっていて申し訳ないですが、その検討を踏まえる形での新規施策を文部科学省でも検討させていただいている最中でございます。現時点での我々の考え方、案を本日ここに提示させていただいておりまして、正直、これがいつの段階で予算要求という形で花開くかというのは、まだこれからいろいろな所与の調整もございますので、逆に委員の皆様方からいろいろなインプットを頂いて、より現場から使ってもらえるような施策、本当のニーズに合ったものにしていきたいと思いますので、いろいろ御意見いただければと思います。
 タイトルはINSPIREという形で略称をさせていただいておりまして、上にScience and Technology Innovative Solutions for Social Problems In Regionsと書いておりますけれども、科学技術イノベーションによる地域社会課題の解決を目指して、特に地域、地方をインスパイアしたい、そういう思いでこのタイトルを付けさせていただいております。
 背景のところに書いてございますように、ここに書いている内容は、こちらの委員会で御議論いただいている内容をそのまま写してきておりますが、前回だったかと思いますが、各地域が抱えている社会課題を解決することで、地域経済の発展にもつながるし、地域住民の生活の質の向上、社会的価値、そういったものにもつながるのではないかという御議論があったかと思います。
 さらに、昨今、AI、IoTといったような複雑な技術開発の発展、その加速も増してきている中で、社会との関係も複雑になってきていて、将来予測が困難、こういう時代だからこそ、先ほどの議論にもありましたように、イノベーションを何とか生み出していかないと、そもそも地方の創生は難しい。科学技術の成果の社会実装によって、地域活性化というものは成り立っていくのではないかということで、背景に書かせていただいております。
 3つ目の観点、ここはあまりこの委員会では御議論いただいているわけではないですが、SDGsという大きな国連で採択された内容がございまして、こちらのSDGsが掲げるゴール、それと今回ここで設定して解決したあかつきに生まれるような社会というのは、SDGsのゴール達成ともある意味同じ内容ではないかということで、書かせていただいております。
 要は、SDGsが掲げる社会課題への対応に際して、破壊的イノベーションによる新たな価値創造をもたらす。さらに、強靭で環境に優しい魅力的なまちづくりにつながる。そういったことから、このINSPIREという事業をやっていきたいなという思いで書かせていただいております。
 具体的に何をやるかというのが、下の半分のところの事業概要に書かせていただいておりまして、先ほどからニーズドリブンという言い方、いろいろ出ていたと思います。まさに地域自身が抱える社会的な課題、これは産業ニーズから来る課題というのも当然あると思いますが、それだけじゃない形で、様々な社会的な課題に関して、自治体、大学、研究機関、企業、金融機関、そういったところのコミュニティが一体となって、STI、科学技術イノベーションを活用して何とかそれを解決できないか。解決したあかつきには、先ほどこれも御議論あったと思うんですけれども、各地域の特徴、強み、そういったものを最大限、トップクラスに持っていくことで、ある意味、新しい未来社会、未来像というものが各地域で実現できるのではないか。そういうものを目指す内容でございます。
 結果的に、それは地域のSDGsの達成につながるのではないかというふうに設定をさせていただいております。
 よりブレークダウンした具体的なイメージのところですけれども、そのためには、課題の設定、課題の見える化、課題の構造化というものを安易にやってはいけないんじゃないかと思っておりまして、そこの部分というのは、ここは1つの特徴として、例えば先ほども学生さんの地元に残る率が少ないという話もあったと思うんですけども、愛着を湧かせる、若しくは自分の住んでいるまちの問題を自分自身が見付け出す、そういったことをすることによって、定着率を高めたいという思いもありまして、地域の若者、将来を担う地元の高校生など、これは文部科学省でもSSH、スーパーサイエンスハイスクールという事業をやっておりますので、例えばそこの高校生とか、そういう方を巻き込んだ上で、様々なアクターが一緒になって、バックキャスト、それからデザイン思考、そういったいろいろな手法がございますので、課題の設定をしていただきたいなと。
 その際には、当然大学の持っているポテンシャルも大きく活用できるのではないかと思っておりまして、従来の自然科学だけじゃなくて、ELSI(Ethical, Legal and Social Issues)的な課題による部分については、人文社会科学の研究者の知見も入れることで、ここで文理融合というものを大学としても進めていっていただきたいなというのが、思いとしてございます。
 そしてさらに、それだけじゃなくて、今、SDGsというのは経団連さんが引っ張っているということもありますけれども、民間企業さんもかなりこれをビジネスチャンスとして捉えているところもございますので、ある意味、うまい具合にこのSDGsという柱も使っていただいて、地元の企業さん、若しくは地元だけじゃなくても、大企業さんですとかベンチャーさん、そういったところの参画も入れた上で、課題設定、未来社会のビジョン、そういうものを作っていただきたいというのが、まず1点目でございます。
 そして、それをまさに解決する手段、これは先ほど来、地域内だけじゃなくて外から引っ張ってくる、クラウドソーシング、ファンディング、いろいろな御議論がありましたけれども、まさに地域内外のいろいろな研究シーズ、研究ポテンシャル、そういうものをうまく活用して、さらにここにもやっぱり若者、これは大学に所属している、学生さんでもいいと思いますが、学生さんや若手研究者も巻き込んだ上で、学術の知識を生かして課題解決をし、将来に向けた新しい未来を作っていく。そういうような、小規模でいいと思いますが、社会実装、いわゆるやってみるということがまず重要ではないかなと。小さく回していく、そういう形でこの2つを同時に走らせる。こういう事業を第6期の基本計画に向けて、是非立ち上げていきたいなと思っている状況でございます。
 では、どんな課題があるのかというところについては、正直、いろいろな課題があると思います。逆にいうと、同じような課題がいろいろな地域から出てくるかもしれません。ただ、大きな意味では同じ課題かもしれませんけれども、結構その奥に潜んでいる本質的な部分というのは実は違っていたりするのではないかと思っておりますので、そこら辺、同類の課題であれば、右の方に大学と自治体が手を組むという形の絵があると思いますが、これは必ずしも一大学一自治体ということをイメージしているわけではなくて、大学さん同士が連携、そして自治体さん同士も、例えば県と政令指定都市さん、若しくは市町村さんが一緒になって出してくる、そういうのも当然あるかと思いますし、若しくは、自治体さんが地域的に離れたところ、そういうところも是非一緒にやりたいというのであれば、連携した形で出してくるというのもあり得るかもしれません。
 その辺については、この委員会でも御議論いただいていますように、地域の捉え方というところにも関係してくるんじゃないかと思っておりますので、あまり限定を掛けない形で考えていきたいなと思っている次第でございます。
 長くなりましたけれども、説明は以上でございます。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 まだ構想ですよね。
【生田室長】  はい。
【須藤主査】  今、一生懸命構想を練っているところですので、今、意見があったら、どんどん意見を言っていただけると、中に反映できると思うんですけども、何かございますか。
【松原委員】  時間も限られていますので、全体を見た印象なんですけれども、おとなしいというか、賭けだとは思うんだけど、社会的な課題というのを第6期で挙げることが受け入れられるかどうかは、検討課題かなとは思います。
 成長戦略自体がうまくいっていない部分もあって、国際競争力をどうするのかとか、第4次産業革命とか、いわゆるEUがやっているようなホライズンなんかもそうなんだけれども、やっぱりああいうようなものもにらみながら、第6期をどういうふうに考えるかというのは、社会課題、いいとは思うんですけども、そこにIoTとかAIとか、そういったものを入れていくような形でのたてつけもあるかなと私は思います。以上です。
【須藤主査】  どうぞ。
【西村委員】  実は同じようなことを三重県でもやっていて、三重県の来年度のビジョンを作るというので、同じような議論を実はしていて、松原先生がおっしゃっているように、社会課題解決だけでは確かに弱い。
 私は、どっちかというと、地域が持っている特徴、要は潜在的なポテンシャルとか、まだ価値化されていないものを有償化するような形で、最大に伸ばしていくというやり方ですね。そういうような地域資源の最大化みたいなことを活用しながら、何かそこに最先端のいろいろなものを落とし込みながら、価値に変えていくという方が、まだ課題解決という、ネガティブをプラスに、マイナスをゼロにするんじゃなくて、ゼロをプラスにしていくような発想の書き方の方が受けはいいかなと思いました。
 それとあと、母体ですね。何となくみんなの集合を会議体にしちゃうと、何となく楽しい会議で終わっちゃうんですよね。動かしていくその母体を、どういうものに作らせるか。先ほどの一般社団法人のようなものを作ってもいいかもしれませんし、極端な話、最後は株式会社化して、地域活性会社みたいなものを作れとか、何かそういうふうな落とし込みの最後の姿が見えないなと思いました。
【須藤主査】  松尾さんが官房の方でやられたもの(地方大学・地域産業創生交付金)、ありましたよね。あれとの差を出すには、今言われたような課題解決だけじゃなくて、少しプラス思考のことを入れていくと、文部科学省らしくて、差別化もできるんじゃないかなという気がしたんですけど、いかがでしょうか。
【松尾審議官】  全くおっしゃるとおりだと思います。さっき言われたように、マイナスをプラスにしてどうにかというんじゃなくて、本当に爆発的に、今までコストだったかもしれないけど、それをバリューに変えていくというような、もっと前向きな、がっとした……、すいません、何か擬態語を使えばいいわけじゃないんですけど。インスパイアなので。
 それで、多分言われたように、社会課題といっても、社会課題は予測がつかないと思うんですよね。したがって、さっき言われたように、地域のポテンシャル、変化するポテンシャルをどうキャッチアップして大きくしていくかという、なかなか難しいんですけど、そういうのを少し。
【須藤主査】  これはもともと最初に出たのは爆弾があった絵ですよね。すごい過激なものが、こんなおとなしくなっているので。
 ほかにございますか。どうぞ。
【三木委員】  地域の問題を考える場合は、投資、そして成長、やっぱりビジネスモデルなんですよね。地域のビジネスモデル。そのためには、成長を考えるときには、ブルーオーシャン分析をしないといけない。
 ブルーオーシャン分析ができるかどうかということで、いろいろな地域、地域リソースは全部違うので、そこでブルーオーシャンのところをしっかりやってサポートしていく。そういうようなキーワードをこの中に入れておかないと、どうもこのままだったらまずいのかなと思います。
 やはり価値を作っていって拡大すること、それからもう1つは、マーケティングの問題として、データドリブンマーケティングも含めて、IoTだけじゃなくて、もっとそこまで広げないと、データ活用というのはものすごく大事な時代になっていますので、その辺も入れていかれると、各地域がいろいろなプランを作る上でも参考になるし、大学側もそれに協力しやすくなる。そういうふうに作ったらいかがでしょうか。
【須藤主査】  まだ意見はあると思います。これ、受け付けますよね。
【生田室長】  はい、是非。
【須藤主査】  今考えている途中ですので、是非ダイレクトに意見を言っていただきたいと思います。
 それでは、この辺で今日は終わりにします。
 今後の予定について、お願いします。
【植原専門官】  最後に、今後の予定につきまして、事務局より説明させていただきます。資料4を御覧ください。
 次回の日程につきましては、8月23日木曜日、13時から15時を予定しております。
 場所は、本日と同じように、こちらの16階の科学技術・学術政策研究所大会議室となっております。
 次回の委員会も引き続き関係機関に対するヒアリングを実施する予定です。次回のヒアリング実施対象機関につきましては、自治体からは神戸市、大学からは金沢工業大学を予定しております。以上です。
【須藤主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、今日の委員会は終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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