資料1 第4回検討委員会で提起されたポイント

 
<プレゼン>

(産学連携の在り方について)
・新技術の開発に取り組むためには、サイエンスにおけるブレイクスルーが必須であり、外部知識(研究シーズ)を取り込み、従来技術の壁を乗り越える目的指向の研究を推進することで、商品につなげることができる。
・トヨタでは、M&Aや技術買いではなく、共同研究を通じ外部の知を取り込み、自らの技術とする形でオープンイノベーションを推進している。例えば2008年には、電池研究部を発足し、国内外の著名研究者とのネットワークを構築し、次世代電池の研究を加速している。
・大学に期待するものは、ブレイクスルーのための基礎研究。特定の大学は強みを伸ばし、産業との連携を強化すべき。
・imec等研究開発機関は、顧客第一主義であり、クライアントの要望に対しては絶対に応えようとする姿勢を持っている。また、意思決定がトップダウン式で早いことも魅力。企業との連携を進める上では、大学にもこうした姿勢が必要か。
・オープンイノベーションを進めるためには、技術のオープン化(技術ニーズの公開、保有技術の公開)とともに、組織内部のイノベーション・エージェントと、アライアンス先のイノベーション・エージェントを通じた連携が極めて重要。
・イノベーション実現の鍵はマーケティング。大学も競争戦略・ブランド戦略が必要ではないか。

(寄附の重要性について)
・トヨタの実績では、寄付金は共同研究の約10分の1であり、特に研究支援目的の寄附は少数。この部分を戦略的に増やしていくことが重要。
・寄附優遇税制として所得控除から税額控除への変更が実現されれば、寄附のインセンティブは高まる。寄附金を税金の前払いと整理し、法人税から控除する形にして欲しい。


<第1次提言に関して>

(マネジメント人材について)
・大学執行部をいかに作るかという点をもっと議論して欲しい。特に人材をどのように育てていくか。若手を経営層に入れて教育するような形で進められるようなガイドラインをMEXT主導で作ることができないか。
・経営者は経営に長けた人物+大学の雰囲気が分かっている人物であることが必要。

(産学連携の在り方について)
・センター長や学長がトップダウンで意思決定できるような仕組みにして欲しい。


(間接経費について)
・間接経費に関しては、必要性さえ示されれば、同じ全体額の中で直間比率をどうするかは大学側の自由。(上野山委員)
・企業側の意見を聞いていると、共同研究を行う研究者は「何を根拠に(直接経費を減らして)間接経費をとるのか」について関心が高いが、企業側は「トータルが一緒だったら直間比率の変更には柔軟に対応する」という風にも聞こえる。→それでも、オーバーヘッドとして取るからには、上納金ではないという説明が必要。
・国と大学との間(競争的経費における直間比率)は国が決めるということに異存ないが、民間との共同研究であまりにリジッドな比率を決めるべきではない。あくまで、ファクトを整理して、大学側にモデルケースを提示するという役割にとどめるべき。
・間接経費の比率を積み上げて示せるということは、大学全体のことが分かっているのと同じ。やはりきちんと積み上げていくことが必要。
・間接経費は「運営費交付金の減分を埋めるためのものではない」ということははっきり言わないと、産業界側に逃げられてしまうので気をつけるべき。
・ビジネス的な目線で言えば、何を価値として売るかによって、直間比率も変わってくるはず。必要経費について可視化することは重要。

(寄附について)
・アメリカのアカデミアを変革させてきたのは寄附。アカデミアはとかく基礎研究に寄りがちであり、これを軌道修正するのが民間資金の役割。寄附はphilanthropy(慈善事業)ではなく、企業が戦略的に大学を動かすために使うべきもの。
・企業でも、寄附はあげるもの、頼まれたときにするものという考えが強く、戦略的にやる場合は共同研究でと考える経営陣が未だに多い。
・寄附によって進められた研究は公共性が高いので、寄附を行った企業が専有することは困難だが、オープン戦略の中で寄附(及びそれを原資とした研究成果)をどのように位置づけるかは重要。→企業の利潤追求と寄附との関係については調査が必要か。
・寄附は戦略的に進めたとしても、企業が直接的な対価を専有できるわけではないので、説明としてはいわば(ふるさと納税ならぬ)「アカデミア納税」な言い方が良いかも知れない。
・世界の大学と戦うためには基金の運用が重要だが、その原資は寄附であり、大学経営にとって寄附は極めて重要なもの。

(その他)
・1次提言をとりまとめた後に何を検討していくのか課題を明記すべき。また、「はじめに」のところで、大学はステークホルダーとの関係がかつてないほど重要になってきている点をきちんと書き込むべき。さらに、「現行制度の中でできること」/「制度改正すればできること」を明らかにすべき。

(以上)

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