産業連携・地域支援部会 地域科学技術施策推進委員会(第1回) 議事録

1.日時

平成24年2月24日(金曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省東館3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 議事運営等について
  2. 今後の審議事項について
  3. 平成22年度地域イノベーションクラスタープログラム(グローバル型)中間評価について
  4. 地域イノベーションクラスタープログラム(都市エリア型)事後評価及び地域イノベーション戦略支援プログラム(都市エリア型)中間評価について
  5. 平成24年度当初予算について
  6. その他

4.議事録

 1.議事運営等について

(1)主査代理の選任について

有信主査の指名により、委員からの了承を得て、近藤主査代理が選任された。

(2)地域科学技術施策推進委員会運営規則について

資料に基づき事務局から説明後、原案のとおり了承を得て、決定された。

(3)オブザーバーの出席について

有信主査からの諮問により、今後、本委員会に経済産業省、農林水産省がオブザーバーとして参加することについて、委員から了承された。

 2.地域イノベーション戦略支援プログラム(グローバル型)中間評価、地域イノベーションクラスタープログラム(都市エリア型)事後評価及び地域イノベーション戦略支援プログラム(都市エリア型)中間評価について

資料2、3に基づき、事務局より説明後、原案の通り了承された。

 3.平成24年度地域科学技術振興予算案について

資料4に基づき、事務局より説明された。

 4.今後の審議事項等について

資料5-1、5-2に基づき、事務局から説明後、意見交換を行った。

 5.その他

各委員から自己紹介を行うとともに、問題意識等について発言を行った。

主な意見概要は以下のとおり。

【岩渕委員】産業によって事業化になりやすいもの、なりにくいものがある。例えば環境産業などは、政策とマッチングしないと進まないし、工学系、あるいはバイオ系の事業化は非常に難しい。

【岩渕委員】工学系と水産系などの一次産業は、事業化の視点が異なる。

【有信主査】入り口側から見て事業化を考えており、視点が広がらない。マーケットに向き合っている事業部門の人が、事業全体の構造を考え、必要な技術を集める構造にならないと事業が大きく広がらない。しかし、ベンチャーが主体だと必ずしもどう転ぶか分からない。ここが難しい。

【井上委員】グローバル化の視点がしっかりできていない地域が多い。海外との共同研究が中心となり、これが目的化してしまう。グローバル化は目標ではなく手段。クラスターがグローバル的に成功するためにグローバル化のプロセスを内包することが必要。

【坂本委員】地域産業の国際競争力を高め、地域を活性化する目的で事業化を図る際に、問題が出てくる場合は基本的には販売、マーケットが原因。

【清水委員】事業化の限界はおそらく企業の巻き込み体制の問題。

【清水委員】もし企業に知恵を出させて、リスクをとらせて、人を使わせるなどの戦略を立てるのであれば、企業への資金注入もある程度必要。

【松原委員】OECDでは、地域イノベーションについて深堀りしたレポートを毎年出している。客観的で、具体的な数字を記載しており、そういったものを参考にすれば、評価をより多軸に行えるのではないか。

【福士委員】地域へのメリットを具体的に言及し、計画に盛り込んでいるものが少ないように思われる。もう少し具体的なビジョンを描き、地域全体の理解を得ることで、大学、企業の中だけでなく、広く地域社会への理解を得ることができる。

【福士委員】各地域がお互いの取組や情報を共有できるようにする仕組みが必要。

【有信主査】それぞれの計画が地方公共団体の具体的な施策と関連して進められているが、それがよく見えていないことが課題。

【有信主査】評価において、地域産業がどれぐらい活性化しているかという指標を更に検討できるのではないか。

【野長瀬委員】自治体では2年交代の人事異動のため、工業試験場に専門家はいるが、科学技術政策のプロが育たない。自治体の中に科学技術のプロを育てるプログラムが必要。

【有信主査】地方公共団体からの支援の確保と、地方の国立大学がどれだけ地域に根をおろして、その地域の発展に取り組むかが重要。

【髙橋(一)委員】最先端の技術は、おそらく事業化するまでに相当な時間とコストがかかる。一方で、中小企業は、資金繰り、財務のバランスが非常に崩れており、事業計画もつくれない状況。企業の決算書が悪化していく中で、預貸率も低下している。こうした状況を打開するため、新しい分野に早い段階から金融機関が関わり、事業計画としてやっていけるのか。事業化するときの数値の使い方などについてサポートできるのではないか。

【有信主査】金融機関の方々が初期から参加されているケースも結構あるが、大学と企業のコミュニケーションが上手くいかず、企業側の指導が十分に発揮されないことがある。

【井上委員】ライフイノベーションに関するクラスターのうち、特にヘルスケアのクラスターについて、事業化のシナリオが書ききれていない。ITの環境が大きく変化し、スマートフォン、SNSが普及する中で、新しい事業化のシナリオを描く必要性が出てきている。

【岩渕委員】地域科学技術振興の観点から、地域における大学の役割や使命に言及できないか。

【岩渕委員】地域科学技術振興について、文部科学省、経済産業省、農林水産省、JST、NEDOなど、オールジャパン的な取組の観点から議論して欲しい。

【岩渕委員】広域的な地域科学技術振興の支援について議論が必要。

【受田委員】地域のイノベーション創出における文部科学省の役割について議論が必要ではないか。

【受田委員】国立大学法人に関しては、国立大学協会の「国立大学の機能強化-国民への約束-」において、地域の発展を担うことが役割として明確化されている。

【受田委員】大学自身は、地方の支援のために存在しているとは考えておらず、先行する課題の解決策を一緒に創出することで、日本あるいは世界のモデルをつくっていくという考え方で取り組んでいる。

【木村委員】国際化については、日本の中小企業も取り組んでいかないといけない非常に大きな課題であるが、地域の申請段階から具体的な計画が出てきていないのが現状。大きな壁になっているのはやはり言語の問題であると思われ、具体的な支援の議論が必要。

【木村委員】日本の産学連携をアメリカの大学モデルでいくのか、欧米の大学モデルでいくのか。欧米型で進める場合、日本の大学の制度についても考慮が必要。

【高橋(真)委員】これまで産学連携をつなぐ人材に関する様々な施策があった。こうした人材の育成と確保、キャリアパスなどが重要であるとともに、こういった人材を地域にストックされた資源、事業のアウトプットやアウトカムとして捉えてよいのではないか。

【川島委員】文部科学省として、イノベーションを達成することや事業化をすることも一つの大きな目標ではあるが、仕組みをつくることがやはり重要。イノベーションを起こす新しい制度をつくり、そこで養成される人材を定義していくことが重要。その観点だと、現在の事業は政策としてフォーカスが定まったもの。やはり研究者だけでなく、そのバックオフィスに関する部分の効率化や、大学におけるリサーチアドミニストレーターへの支援など、研究開発を推進する環境づくりのための人材育成について議論が必要。

【坂本委員】イノベーションを創出するシステムについて、国家戦略全体としてどう考えるのかを議論したい。

【坂本委員】イノベーションの目的は、地域技術開発などではなくて、人の幸せ、国民の幸せと思っている。

【清水委員】これまでの地域科学技術新興に関する事業は、草の根の企業やベンチャーを対象にしていた。こうした事業がなくなったことは非常に大きい。

【清水委員】地域科学技術振興における広域化の流れは、県にとって非常に衝撃的であったが、プロジェクトの立て方、マネジメントを優れた県と一緒にやることで洗練された。その中でいい事例が出てきている。

【清水委員】大学では、技術が地域でどう活用されるのかは分からないし、全国で産業としてどう扱われるのかも分からないことが多いが、これまでの地域科学技術振興に関する事業を通じて、そういった部分が広まった。

【清水委員】地域の主導、地域の主導性を重視するのであれば、大学ではなく、県がリーダーシップをとる事業の推進が必要。

【髙橋(一)委員】大きな時代変化の中で、中小企業、地域は厳しい状況にある。こうした中で、中小企業が基礎的な積み上げや、マーケットの要望に応じた、製品サービス、商品を変えていくことは困難。地域の大学を、企業が共通して活用することで、コスト回避やリスク軽減ができるとよい。

【髙橋(一)委員】中小企業と大学との出会いの場が限られている。地域の金融機関が、大学の技術や情報と企業の現場をつなぐ役目を果たさなければ、金融機関自身が生き残れなくなる。

【野長瀬委員】中小企業のうち、大学と組めるような企業や自社商品を持っているような企業のネットワーク構築について実証研究をした。その結果、企業間連携のマッチングが7割から8割、産学官連携が1割から2割であり、企業が主導するようなネットワークをつくることが必要である。

【福士委員】各地域が抱えている課題をどう抽出、整理していくか、そこに技術がどう寄与していくかということを当事者の目、第三者の目、いろいろな視点で見ていくことが大切。

【福士委員】新しいものを初めてつくって、人とものとお金を地域に集めるだけでなく、伝統的な生活や文化など豊かな資源を再価値化する場合にも、科学技術は寄与できる。

【福嶋委員】企業主導にするという、もう少しマーケットサイドの視点を入れていかないと事業化は難しい。

【福嶋委員】技術は県境などを越えて当たり前。そういった今までの壁、例えば地域、自治体の壁、省庁間の壁を越えないと前に進まない段階にある。

【松原委員】第4期科学技術基本計画の中で地域イノベーションシステムの構築が掲げられたが、システムという言葉をどういうふうに理解していくのか、あるいは地域という空間的なスケールのとらえ方をどう考えるかを議論したい。

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