産業連携・地域支援部会 産学官連携推進委員会(第12回) 議事録

1.日時

平成24年8月24日(金曜日)13時~15時

2.場所

文部科学省 東館 3F1特別会議室

3.議題

  1. 産学官連携活動における教育の役割
  2. イノベーション創出能力の強化

4.議事録

【柘植主査】  時間がまいりましたので、産学官連携推進委員会第12回を開催いたします。

 本日は、産学官連携活動における教育の役割について、それからもう一つは、イノベーションの創出能力の強化について、この二つがメーンの議題でございます。

 開始に当たりまして、事務局から配付資料の確認をお願いします。

【石田室長補佐】  それでは、配付資料の確認の前に、事務局に異動がございましたので、御紹介いたします。

 8月1日付で磯谷科学技術・学術総括官が着任しております。

【磯谷課長】  磯谷です。よろしくお願いします。

【石田室長補佐】  それでは、引き続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。資料につきまして、お手元に用意してございますが、議事次第があるかと存じます。真ん中あたりに配付資料の一覧がございます。念のため、この順に確認させていただきます。

 資料の1番でございます。慶應義塾大学様から御用意いただいたリーディング大学院プログラム「超成熟社会発展のサイエンス」というパワポスライドの資料でございます。続きまして、資料2でございます。イノベーション・エコシステムの確立に向けて早急に措置すべき施策、ホチキスどめの資料になっております。続きまして、資料3でございます。A4判1枚ものでございますが、産学官連携推進委員会の予定でございます。

 引き続きまして、参考資料でございます。参考資料1といたしまして、産学官連携施策検討課題という1枚ものの資料がございます。そのほか参考資料といたしまして、お手元に紙のファイルにとじた資料を用意させていただいております。さらに追加をいたしまして、本日プレゼンいただく慶應義塾大学様からお預かりしておりますリーディング大学院プログラムに関するニューズレターを本日、お預かりしておりますので、追加配付をさせていただいておるところでございます。

 以上でございますけれども、落丁等がございましたら、御指摘いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【柘植主査】  ありがとうございます。

 それでは、早速、本日の第1の議題、産学官連携活動における教育の役割についてに入ります。本議題を議論するに当たりまして、慶應義塾の真壁常任理事をお招きしまして、同校におけるリーディング大学院についての御説明をいただきまして議論を深めたいと思います。真壁理事、よろしくお願いいたします。

【真壁理事】  ただいま御紹介いただきました慶應義塾、真壁でございます。多くの皆様方とは初対面だと思います。ひとつよろしくお願いします。

 時間が限られていますので、お話を十分にお伝えできない点があろうかと思います。そういった点につきましては、忌たんのない御意見を後でいただきたいと思います。

 また、私がお話しする内容には、私どもが現在考えております企画案といいますか、実施前のものが含まれておりますので、皆様方の御協力、高所からの御指導のもとで進めていきたいという点も多々含んでいることを御理解ください。

 私どもは文科省から2011年12月、「超成熟社会発展のサイエンス」を基軸としたリーディング大学院(オールラウンド型)プログラムの採択をいただきました。本日の主題は、現在この活動に入っている教育コンソーシアムを御紹介し、次に来る研究コンソーシアムをついて簡単な素案をお示ししたいと思います。 

それでは、まず2010年春に説明に使いました、「次代を担う高度博士人材、歴史的な役割と使命」、を再度ここで御説明させていただきたいと思います。

 大学教育研究機関では、21世紀に入り2002年に文科省21世紀COEプログラムが運用され始めました。私はこのプログラムリーダーを務め、大学院改革を念頭にプログラムを運用し、その修了後、慶應義塾理工学研究科では、このCOEで実施したカリキュラムの一部を大学院のプログラムに取り入れて現在に至っております。

 ここでは博士課程学生の育成、研究者育成ということがうたわれたわけで、我々教員研究者一同、社会で広く活躍できる博士研究者・技術者を育成するんだという意識のもと努力してきました。2007年度に後継のグローバルCOEプログラムが始まりました。この段階で、いい教育のもとで高度博士人材を育て社会に輩出する立場でプログラムは運用され現在に至っています。

 さて、このような高度博士人材育成プログラムを経て2011年度、リーディング大学院プログラムが採択される時期を迎えます。私どもは日本が超高齢者社会に急速に向かうなかで、本プログラムに日本再生・復活プログラムという位置づけをしました。同時に、グローバル社会で力づよく生きる高度人材育成という認識を深く共有しました。グローバルという言葉は、我が国ではひとり歩きをしております。私は、国際的に見てグローバルスタンダードをとれる高度博士人材育成プログラムにしたいと考えます。言い換えると、世界標準で通用する高度博士人材の国際社会への輩出です。

 さて、ここでは修士1年生から博士3年生までの5年間の一貫教育プログラムと位置づけています。慶應義塾では、主専攻修士+副専攻修士+主専攻博士を取得するかたちを主に、もう一つこれと並列に、主専攻修士+主専攻博士取得のかたちも設けています。いずれのかたちでも、リーディング大学院の独自カリキュラムを受講・単位取得させ、そのプログラムの前半で半年程度、連携企業などの国内外施設でのインターンシップ、あるいは、海外連携大学でのRAを経験させることになります。国際機関でのインターンを経験する学生の数も増やしたいと思います。いずれの形をとるかは、学外活動期間に依存することは確かで、学生がプログラムに採用されると、半年から1年かけてメンターや指導教授などとそれぞれのキャリア設計をまず行うことが基本です。現在、慶應義塾には13の大学院研究科があり、後ほど再度御説明いたしますように、開始段階で5研究科がリーディング大学院プログラムを支えており、現在、全研究科との文化のすりあわせなどの意見交換も最終状況に入っています。

 次です。これも2010年版ですが、「今問われるインセンティブは」ということです。委員の先生方や社会から、学生に対するインセンティブ、あるいは大学教員に対するインセンティブは何かということが我々現場に問われるわけです。この点につきましては、日本は海外とだいぶ異なる環境にあるというのが私の意見です。

 当時、大学院生活が経済的に難しい学生に向けて奨学金を充実しましょうというお考えをお聞きしました。今の時代、単に奨学金を支給するのでは、学生にインセンティブがつきにくいというのが私の個人的な意見です。では、どうすべきか。新しいグローバル高度人材育成では、大学院に進学し、博士課程修了まで5年間を大学で過ごした後、社会の期待と本人の期待それぞれが生きる形で、その後の社会にポジティブに生かされなければいけない。従来、多くの学生の意識は「博士の学位を取得し、アカデミアで活動するんだ」というもので、社会活動を俯瞰する機会に恵まれにくい日本の大学で学ぶ学生にはこれが自然であったと思います。現在、期待されているのは、博士課程を修了した人材が社会で幅広く活躍する場としての、産業界、官界及び国際機関です。

  いつでもどこでも、同じ教育プログラムが受講できるというのがグローバルスタンダードの一つのポイントで、これを実現するためのシステムづくりにも力を尽くしたいと思っています。ただ、このためには大変な資源投資が必要になります。

 次に行きます。慶應義塾のオールラウンド型のリーディング大学院を考えます。慶應義塾には現在13の研究科があり、入学試験の時期は、6月、9月、3月と研究科により異なり、独立に行われています。このような環境の下で、春学期の入学試験に合格した学生が、自ら申請書を書いてリーディング大学院プログラムに申請する。申請書が提出された後、プログラム委員を中心に外国人教員もオブザーバーとして参加する、学生との面談では、本人が描く「骨太の専門分野の活動」と「生きた課題を与え文理融合を目指す本プログラム活動への抱負」を中心に、将来のキャリアパスの質疑応答を行い、採否を決めています。今年度から学生募集を始めたという状況の下で、50名近い応募者から春学期10名の学生をRAとして雇用しました。秋学期の入学生からも数名を採用したいと考えています。

 さて、サバンナで生物が進化した事実について、進化の本は「種々雑多の生物が水飲み場に集まることにあった」と解説しています。私は、この「水飲み場効果」に期待しており、学内に多様な学術と生きた社会が触れ合う「水飲み場」をつくりたいと考えていました。私どもが若いころ、海外アカデミアに研究者を訪ねた折、昼食などに誘われファカルティークラブに行くと、隣の席にノーベル賞学者が座っていたりして、会話が始まることがあります。こちらは焦ってしまって話もできない。これは一例に過ぎませんが、強烈な印象や、あるきっかけを与える環境が学生には必要でしょう。異文化が集う環境と場所を産業界、官界や海外大学だどとの連携で築いていきたいというのが私どもの切なる願いです。

 そうなりますと、公用語は、英語ということになります。ただし、特段に専門的な分野、たとえば知財に関するケーススタディーを通して特許の基本を理解する授業は、現在日本語で行い、RA学生が世界標準の知識を獲得することを狙っています。

 また、「いつでも・どこでも同じ環境の下での教育」を実現することを念頭に、このプログラムにはクラウドコンピューティングシステムを導入しています。このシステムを徐々に拡大充実してゆきたいと考えておりますが、なかなか高額ですね。学生は先ほど述べましたように、プログラムの前半で海外に半年程度、インターンシップや留学に出ていきますので、彼らはその場で、継続してリーディング大学院開講プログラムを受講できるシステムが必要となります。これをクラウドコンピューティングシステムを使って実現するわけです。、このクラウドシステムを共有するのは、大学のプログラム担当教員、RA学生それから参加いただいている各企業や海外大学等からのメンターです。従って、異なる組織からの参加者にとって、互いのシステムのセキュリティーが厳重に保たれることが必須です。このシステムは慶應義塾の教育・研究用のコンピューティングシステムとは全く独立に運用しております。

 このプログラムは、産業界や行政機関と連携し、御協力・御鞭たつをいただき、社会人メンターを送っていただく重要な仕組みを持っています。ボード会議は、リーディング大学院プログラムの発展に向け、慶應義塾大学と産学を直接結ぶ会議体で、このボード会議の議長を真壁が務めております。 

現在、慶應義塾では理工系を中心に、修士課程の学生が海外の学会に研究発表に行く機会は、海外大学の大学院生の例に比べて非常に多くなっています。しかし残念なことに、国際会議に参加するだけなんですね。ここに一つ風穴を開けたいんです。海外の学会に参加する際、学生の指導教授のお友達研究者やその所属機関へ立寄って、その先生や学生に再度研究内容を話し議論してもらう。さらには、先方の研究内容や大学生活などを紹介してもらい、将来の友達づくり、キャリアパスづくりを始めてほしいのです。一方で、このために公費や国の補助金を支出する際、何のために立寄るのかなど、提出する書類が複雑となり、簡単には実現できないのも事実です。この辺の仕組みも、学生にインセンティブをつける狙いであることを理解いただき、実現してゆきたいと思っています。

現実には、わが国の学生は島国日本の中に住んでいるわけですから、多種多様な文化の混じった海外の環境はわからないのが自然であり、普通でしょう。それを理解するチャンスを増やすことが重要だと叫ばれている今、ただ国際会議に行って帰ってくるというのでは、費用対効果が大変低いんですね。また、海外連携大学などから研究者がプログラム担当教員などのところに共同研究で来日された場合、このプログラムで「マイキャリアパス」を講演していただくことができる、柔軟なカリキュラムともなっています。「どうしてあなたは○○大学で○○の講義や○○の研究を現在しているんですか?」という内容に答えていただくことで、本人のこれまでの生きざまを紹介頂き、海外におけるキャリアの多様性を学生に気づかせたいわけです。

次に行きます。これは「オールラウンド型の選定プログラム例」(文科省)をまとめさせていただいたものでありまして、後で読んでいただければ非常に助かります。

 ここで、リーディング大学院プログラム用として修士ジョイントディグリー制度が慶應義塾内で合意形成する段階まできたということを御報告させていただきます。慶應義塾では、経済学研究科、商学研究科、政策・メディア研究科、医学研究科、理工学研究科の5研究科でオールラウンド型のリーディング大学院プログラムをまず始め、その文化をすべての研究科が共有することによって、他の8研究科にも広げていきたいと考えています。ただし、このプログラムに参加し活動したい学生が、自ら申請する方式ですからこの13研究科の学生であれば、どの研究科からでも参加できます。現在、法学研究科からも学生が参加しています。

 次に行きます。高度博士人材を産学官共同で育成してゆく。本日の課題に入ってゆきます。先ほど申しましたように、本プログラムでは、「ボード会議」や「教育コンソーシアム」を設けさせていただきました。これにつきましては、御参加いただきました企業及び地方自治体の皆様方には大変感謝をしております。この教育コンソーシアムは、今後、参加くださるメンバー数を広げていきたいと思っております。私が直接お願いに参りますので、そのときはよろしくお願いいたします。私はおもに人事部長さんに高度博士人材育成の実情とそのプログラム内容を御紹介し、御理解を賜りたいと考えています。

 次です。メンターの件です。教育コンソーシアムを通して御協力いただき御参加いただくメンターには、海外経験を含めいろんな部門での豊富なキャリアを有している方を期待しております。それぞれ異なったキャリアを持った方が集まる「水飲み場」を構築することが大学として非常に重要です。 

現在、富士ゼロックス、丸紅、日本IBM、ソニー、高橋特許弁護士事務所、川崎市役所、からメンターをお送りいただいています。また、海外企業からもお迎えしております。秋学期から日立製作所、NTTも御参加いただけます。新日鉄からも御協力いただけることになっております。今後、秋学期に入りましたら、異なる業種企業にも御協力のお願いに参りたいと思っているところでございます。メンターとなられる皆様には特任教授などの職位で御活躍頂いております。

 今年度は先ほど述べましたように、春学期10名に加え、秋学期5名程度のRA学生を採用する予定で、来年度には新たに20名程度のRAの採用を見込んでいます。

 次にこのプログラム活動を簡単に御紹介いたします。1分程度のビデオですので、少し見づらいのですが御辛抱をお願いいたします。

(映像上映)

 これは、慶應義塾専任教員が藤沢キャンパスから、リーディング大学院プログラム用に新たに整備した、日吉西別館の講義室へインターネット配信しているものです。管理は先ほどのクラウドコンピューティングシステムを使って行っています。次は海外企業所属のメンターが自分のキャリアパスを語っているところです。私は本プログラムへの訪問者を増やすために、慶應義塾大学お友達作戦を発動してほしいと先生方にお願いをしております。つぎは法学研究科所属の修士1年生が、本プログラムの一環として取り組んでいるプログレスレポートを発表しています。

 次の映像は理工学研究科の学生だと思います。英語は決して上手ではありませんがプレゼンテーションのロジックを身に着けることから始めます。加えて、英語を鍛える必要がありますので、英語関連の講義を毎週土曜日の午前中に行っております。土曜日午後はリーディング大学院プログラムの特別の教育枠です。メンターの方々が参加して、骨太の専門分野を補完する生の課題の紹介や関連する教育、個別指導などが夕方6時過ぎまで続きます。申すまでもなくRA学生は所属する研究科のカリキュラムをしっかりと受講し、単位取得する義務があります。そこで、三田、藤沢、あるいは矢上キャンパスからの講義を配信し、日吉西別館でRA学生が聴講する時間帯も設けています。これらの講義は再度、いつでもどこからでも学習できるようにクラウドコンピューティングシステムで管理されます。

 次に行きます。時間が延びていまして申しわけありません。このリーディング大学院プログラムを支える産官学組織であります。左上を見ていただきたいと思います。ここには研究科委員長と大学院委員会を記載している通り、既存の大学院の長がこのリーディング大学院プログラム活動をよく理解していただくことが重要となります。私は日々、その努力を重ねたいと考えています。

 そういった環境の中で、学内プログラム委員会を置いております。先ほど述べましたように教育コンソーシアムをつくっており、リーディング大学院プログラムのプログラムコーディネーターは大西教授が務めております。

 プログラム活動では具体的なカリキュラムが重要です。そこで特別にカリキュラムの主任を設けて、独自カリキュラムの構築と全研究科間での調整や知識の共有作業などを行うこととし、神成教授がこの任にあたっています。このプログラムでは、専任の教員がプログラムをコントロールすることが重要で、医療・理工・政策社会科学などの分野から30名ほどの専任教授が本プログラム委員を兼ねています。また、教育担当の特任教員が、基盤活動を支えています。活動頂いています。さらには企業からのメンターには教育担当の特任教授などの職位で参加いただき、御協力いただいております。また、海外連携大学の専任教員も機会あるごとに参加頂く計画で進んでいます。

 それから、今後の計画は、一番外側に記載しました研究コンソーシアムです。研究コンソーシアムは、いろいろな種類・分野の小さなコンソーシアムを多数つくって、このプログラムと連動して機能的に働くことを期待しています。。現行では、慶應義塾は共同研究という呼び名で500件程度の共同研究契約を結ばせていただいております。今は共同研究の次に来る産学官連携の仕組みを考える時期でもありましょう。 

専門分野の研究を産学共同でというのが先行フェーズでしょう。二つ目のフェーズは、産学の知財を共同研究に持ち寄り、活用し、相乗効果を生むタイプではないでしょうか。それから、今後は、大学院学生が幅の広い複数分野の生の課題にスムーズに触れることが可能な「研究コンソーシアム」形成へと繋げることを考えています。RA学生はメンターの方から生の課題に触れさせていただきますが、この枠組みを超えて、メンターとリーディング大学院の学生だけではなくて、その指導教授の研究室やリーディング大学院担当者の研究室までが参加できる研究コンソーシアムです。集合でいいますと、教育コンソーシアムと研究コンソーシアムは和集合の形で一部重なりをもつわけです。そういった形でリーディング大学院プログラムの活動のすそ野を広げ、将来、慶應義塾の教員研究者と大学院生が有機的に関係しながら各自のキャリアを伸ばし、社会で活躍頂きたいと願っています。

 

 以上、簡単に御紹介いたしました。また、早口であり十分に御理解願えなかった点もあると思います。御質疑でよろしくお願いいたします。どうもありがとうございます。

【柘植主査】  真壁理事、ありがとうございました。約25分使いまして御質問、御意見を交わしたいと思います。どの点からでも結構でございますので、自由な御発言をお願いします。どうぞ。

【北澤委員】  質問なんですけれども、真壁先生のこのやり方というのは非常に先端的なやり方だと思うんですけど、メンターはキャリアでなければならない。しかも、人事部長重視ということを言われたんですが、この2点はどういうふうに整合するんですか。

【真壁理事】  キャリアという名前が適切でないかもしれません。私の言葉では、どの社会、すなわち大学であれ、企業であれ、官界であれ、骨太の専門を持っていた人がその専門を基盤にして、周辺の生の課題に挑戦してその社会で活躍されている、そういった広い経歴、キャリアを持った人が欲しいという意味です。そういった方にコンタクトするためには、人事のトップに行くのが一番わかりやすいと考えています。日本の中にいてそう考えても、海外ではこうだよと。そんな時、自分はこういうふうに努力したんだよと、メンターが自らを語る。そこで総合的視野のもとで日々、目利きの先頭で健闘なさっている人事部長さんを考えたわけです。

【柘植主査】  よろしいですか。ほかに。どうぞ、常本委員。

【常本委員】  大変興味深いプレゼンテーションをいただきましたけれども、このリーディング大学院制度ができたときから私が思っているのは、ある意味のエリート育成だと認識しているんです。日本は今ドクターコースの学生がたくさんいますけれども、これがなかなか企業から目を向けてもらえないということで悩みを持っています。一つお願いしたいのは、こういうすばらしいプログラムができたときに、早く底辺に波及する体制をとっていただいて、例えば今でき上がったものを、従来コースの学生が一部つまみ食いができるような制度はないんですか。

【真壁理事】  このプログラムを?

【常本委員】  はい。

【真壁理事】  例えば隣にいらっしゃる羽鳥さんは特任教授になっていただいています。知財の専門家としてこのリーディングでで講義する場合は、一般の学生が講義を受講できる体制です。それから、例えば「超成熟社会発展のサイエンス」という意味で言いますと、既存の慶應義塾大学で開講している大学院講義使わせてもらう場合がございます。その場合は、キャンパスで行われているものを我々のプログラムに中継し聞かせてもらう形です。改革プログラムは学生自身の意識改革プログラムでもありますので、将来は整合性を取ってゆきたいと思います。一般学生へ将来、メンター制度を導入できれば、努力の甲斐があったということでしょうか。

 

【常本委員】  もちろんそうだと思いますけどね。

【真壁理事】  ありがとうございます。

【柘植主査】  ほかにいかがなものでしょうか。私のほうから、まず、今始められたプログラムについては、私も大学で工学教育をしておりましたので、今までの大学院教育に比べると、確かにすごい進化型だなと思います。一方では、今日の話題であります産学官連携の実質化の中、すなわちそれはイノベーション・エコシステムの確立、持続可能な、そういう意味で、教育はイノベーション・エコシステムの確立において非常に重要な役割があるという視点を考えたときに、私自身も疑問を持っていますのは、きょうのパワーポイントでいきますと、教育コンソーシアムという今始められたリーディング大学院構想が最後の次の段階という研究コンソーシアムにまで進化できるか?つまり産学官連携の一環の中での教育に進化できるかとの疑問です。今始められたのは、産学連携と教育との二本立てで、結果的にメジャーとサブメジャーが出てくる。したがって、教育コンソーシアムが研究コンソーシアムの立ち上げ、にほんとうに連続的になり得るのかとの疑問です。別な言い方をすると、教育コンソーシアムは研究コンソーシアムに自然に進化していくんだろうかとの疑問です。両者は違う育ち方をするんじゃないかという疑問を持っています。しかし、私は最終的には、日本の大学院教育を世界レベルの大学院教育にしていかないと、日本は大学も立ち行かなくなるし、産業も当然生き残ることは出来ないと考えています。そういう視点では、この研究コンソーシアムの立ち上げで、「教育と研究とイノベーションへの参画」の一体推進が究極の大学院教育の国際化であると考えます。そういう意味で、質問としては、今始めた教育コンソーシアムがほんとうに進化型として研究コンソーシアムのほうに進化していく道を歩んでいるのか。これは何年たっても進化しないものじゃないかという非常に深刻な問題を提起しています。いかがなものでしょか。

【真壁理事】  適切な答えができないというのを最初、お断りしたと思います。慶應義塾は1年間、教育コンソーシアムをつくることに注力して、そろそろこの研究コンソーシアムに向けた準備を始めたということであります。また、我々はオールラウンド型という教育プログラムの運用を始めさせていただきました。そこには総花的ではなくて、「超成熟社会発展のサイエンス」という基軸を置きました。いわゆる政策・社会科学系からの政策提言もいろいろな形で社会へ打ち出していきたいと考えております。そういったことをより密に行うことができるためには、研究コンソーシアムが連結されることで、教育と研究と、それをもとにした社会貢献ができる形を望むためです。この中で育つ学生、参加している教員、及び社会からのメンターが、次のステップに一段発展することを期待しています。

【柘植主査】  ほかに何か御指摘がありますか。どうぞ。

【野間口主査代理】  まず1点目について、今、我が国の大きな課題である大学院教育の問題、これを進展させようという取組ですが、先ほど来、質問された先生方の考えに私も非常に近い考えを持っております。、今週の日経1面で大学院改革の特集が取り上げられ、この特集で指摘されている内容については、大方の産業界の方や大学の先生方自身もアグリーされる面が多々あるのではないかと考えます。少し問題を取り違えている部分も見受けられますが、そのような問題に対して、例えば教室が非常に分散化して大学院生の数が少なくなり、従って、大学院生の囲い込みが行われて、多様な経験を積ませようとしても十分な自由度が取れないなどの様々な指摘があります。このような問題が解決に繋がるのかどうか、そして、どのように考えておられるかという点につき、御意見をお聞かせ下さい。

 それから2点目は、国際機関等で活躍する人材の重要性の指摘がありましたが、これも我が国にとって非常に重要な問題であると考えます。理系、文系のそれぞれのバックグラウンドを持っている人に言えますが、国力のわりに国際機関で活躍している方々が非常に少ないと感じます。より努力を重ねて、アクティビティーを高めていく必要があると思いますが、この問題に関して、具体的にどのようなことを考えておられるか。また、これに関して、グローバルな教育連携やグローバルスタンダードなどのお話がありましたが、海外の大学とのジョイントにより単位が取得できるなどの連携が図れているのかという点につき、お考えをお聞かせ下さい。

 また、3点目については、私が質問するよりも、渡部先生や三木先生がコメントされた方が良いかと思いますが、知的財産を日本語で教育されるとのことについてコメントします。現在、最も重要な日本の知的財産の問題は、英語による知的財産の対応力をいかに上げていくかということです。英語の次は中国語、ロシア語、スペイン語などでどのように対応すべきかと、現在話題になっておりますが、知的財産に関してはテクニカルタームが明確ですので、英語での教育が良いのではないかと考えます。この点に関しては、他の先生方の意見もお聞かせ頂ければと思います。これらのコメント3点につき御意見をお願いします。

【真壁理事】  御指摘いただきました点についてお答えしてみたいと思います。

 慶應義塾大学で私が先生方に御説明を差し上げるときは、必ず次のように発言するように心がけております。慶應義塾大学は、アカデミアの後輩を育成する機関でもあるし、社会へ直接出て活躍していただける博士を育てる機関でもありますと。こういった形でコンセンサスをとりたいと考えております。両方とも大学機関が担う任務としては重要であると。どっちでなければいけないということではなくて、両方重要だと考えています。

 それで、国際関連機関についてでありますが、御指摘のように、特に本プログラムで育成する大学院博士学生は、将来、国際機関でグローバル社会発展のために汗をかき活躍してほしい期待しています。まずは、インターンシップで大学院生を送りたいと考えております。ただ送りたいといって送れるものではないでしょうから具体策についても考え始めています。

 また、海外から御指摘いただきました点はよく理解しておりまして、私の大学、ダブルディグリー制度を海外の幾つか総合大学及び理工系の大学院と結んでおります。、総合大学に相当するグランゼコール(位置づけは正確には大学ではありません)6校とダブルディグリー制度を運用しておりまして、既に60名を超える学生がこの制度で活動終了あるいは活動中です。フランスで行いますから、半年間のフランス語教育でグランゼコールへ送りまして、フランスで無事2年間を過ごし、学部の単位をとって帰ってきた後、慶應義塾理工学研究科で2年間、修士課程を学ぶ。同時に、グランゼコールを卒業した現地フランスからの学生が修士課程を慶應で学んでおりますので、このシステムのうえで教育を受けている日本人とフランス人をこのリーデイングプログラムに呼び入れることも考えております。

 それから二つ目としまして、ヨーロッパでT.I.M.Eのアソシエーョン、これは理工学系の大学院の連合体でありますが、ここと2008年に日本で初めてT.I.M.Eネットワークのダブルディグリー制度に慶應義塾大学理工学研究科が参加いたしました。すでに例えばミラノ工科大学、ミュンヘン工科大学等に学生がDD留学しておりますので、そういった学生向けにもこのプログラムが有機的に機能することを期待しております。加えて重要なことは、ダブルディグリー制度で修士号、あるいは博士号を取得した海外の学生がその後、日本に本社を置くの企業にも就職することを望んでいます。

 1番目のことは、私も実感しています。私の下には、今、2人の博士課程の学生がおります。1人の学生は内向きでして、今年3月末で学位がとれる状況でありましたが、ぐずぐずしていて博士学位の取得が遅れました。しかし、この9月には堂々とした形で、半年おくれになりましたが、学位を取得する運びとなりました。この半年間、リーディング大学院プログラムの活動を見聞きする機会があったためかもしれません。

 以上です。

 御指摘は、知財の教育であっても現地語でという御指摘でしょうか。

【野間口主査代理】  知的財産を英語で教育するという趣旨です。

【真壁理事】  英語が理想なのでありますが、主専攻と同時に本リーディングのカリキュラムを受講し取得しなければならない点から見て、そこまでは現行では私の言葉からは

無理であると。将来、3年目程度にアドバーンスの知財講義(英語)を行う形で充実できればなと思っています。

 以上です。

【柘植主査】  どうぞ。

【三木委員】  今、知財のこともありましたので、少し質問も兼ねて3点ほど。

 まず1点目は、今、日本でも世界でもどこでもビジネスが急速にグローバル化してきている。片一方で、R&Dの特にサイエンスはかなり昔からグローバル競争の中にあるわけですね。ところが、IPの世界は、意外とグローバル競争とは言いながらも、それぞれの国の制度があったわけです。ところが、今、少なくとも5チョウ、アメリカ、欧州、日本、中国、韓国という、5チョウでは国際的な制度調和に向かってどんどんいろいろなことを進めていて、片一方では、IPはグーグル検索を使って、既にここでも多分コンピューターをつないでおけば、IPの特許は見れる形ができる。こういう時代になっているということで、やはりIPのグローバル化というのが急速に進んでいるという実態を御理解いただければなと思っております。これは質問ではございません。

 2点目は、このプログラムが一つは、最近、非常にすぐれた学生さんで海外の大学を志向する学生さんが増えているということが新聞等でも報道されることがよくある。そのときに、例えばこの慶應のコンセプトの中に、ハーバードであったりケンブリッジであったりシンガポールナショナル大学、そういう大学よりもすぐれた、より魅力的なメニューがどこにあるのかというのを端的にお教えいただけるとありがたいなというのが一つです。

 それから、3番目は、先ほどのIPの件ともかかわるんですけれども、教員の外国人比率に対する将来の計画はどういうふうになっているんでしょうかというのが3番目の質問です。

 以上です。

【真壁理事】  IPについてでありますが、私は専門家ではなく適切な御返答ができないことは残念です。私がお聞きしておりますところでは、IPについての訴訟が起きたとき、日本には弁護士さんが大勢いるけれども、IP専門の弁護士が数名しかいないと。この状況に接し、このプログラムには、専門家のIP弁護士・弁理士さんが直接メンターとなって協力されております。日々の社会活動とIPなどについては英語でよく伝えていただいていると思います。ですから、そういった方の人数が増えるということは、これから必要だと思います。

 それから、二つ目ですが、なかなか難しい御質問です。ハーバードあるいはケンブリッジ、オックスフォードよりどこがすぐれているか。私は具体的に、そういったところのプログラムについて、その大学の方々と直接お話ししたことがまだありません。例えば今お話が出ましたある大学とは近々連携する予定でありまして、共同で超成熟社会到来への人材育成活動をやっていこうということになろうかと思います。日本は、この超成熟社会に先進国のなかで世界で第一番に入ります。、西欧におきましても、同じようにこの道に入っていくわけです。この分野でリーダーシップをとっていきたいと考えてます。 それから、このプログラムの特徴は、くどいようでありますが、骨太の専門を持っている学生でないと乗り切ることが難しいことです。

 次に、外国人の教員についてでありますが、私もこの課題については理解しています。私が理工学部長のとき、欧州から教授を専任でお迎えしようと思った際、教授会を英語で行うのかと思わぬ質問を受けた経験があります。これは極端な例ではありますが、世界標準に向けその第一歩として、例えば英語に不自由しない助教をつける等の形で、教育・研究をできるだけスムーズに行い、今後の発展につなげていただいています。

 ただ、一度に外国人教員数を増やすということと、教育・研究の質とは別であり、なかなか難しく、塾長ともども苦労しているところです。

 

【柘植主査】  どうぞ。

【北澤委員】  私はこの慶應の非常に先端的な教育の仕方が発展していってほしいと願うものですが、これはほかの大学でもいろいろやって失敗している面もあると思います。ステークホルダーとして大学、学生、それから学生を受け入れる社会にとってそれが受け入れられるか、その四つを満足させることはなかなか難しい。このプログラムは、おそらく教員に受け入れられるかどうかときっと一番難しい。そこを先生が強引に引っ張っておられると私は感じるところがあります。教員にとってのインセンティブが出せるかどうか、今の先生の御発表では、これに参加する教員は、その理想に共鳴し、時間も割かなきゃと思って協力する。自分たち院がそうせざるを得ないという状況になると、やる。今おそらく多くの大学で先生が言われたように、英語ですべてをやらなきゃならないとなると、みんなしんどくて、協力が長続きしないということが多い。そこでの御苦労が、あるいはこうやって工夫すればいいということがあったら教えていただきたい。

【真壁理事】  先生の最後のお話からいきますと、私は慶應義塾の出身ですから、慶應理工についてしかわかりません。理工学研究科ではすでに90科目程度の講義は英語で行っております。大学院生の5%が留学生で、そのうちヨーロッパから半分、アジアから半分の比率になっています。英語での講義だけを受講し、大学院を修了できるという環境になっております。

 教員全員が英語ですべての講義を充実してできるとは限りません。私は英語は下手ですから、さっきお話しした慶應義塾大学お友達作戦をずっと昔から発動しております。私の大学院講義「プラズマエレクトロニクス」はインテンシブコースにして、欧米大学の教授をお招きして、半分の講義を担当いただき、残り半分を私が行うかたちをとり、受講生に刺激を与えてきました。そうしますと、欧米からは6月から9月ごろまで来日可能なんですね。この講義を受講した私の学生が博士課程へ進んだ段階で、その講義を分担された海外教授にバイススーパーバイザーになっていただいたりしています。こうすることで、海外の先生にとっても、慶應義塾で公に正規の講義を担当し、博士学生の副指導教授もつとめていただくことが、キャリアとなるよう心掛けてきました。そのかわり、私も海外に行って大学院生に講義を行うことも引き受けております。ただ、現在の立場の下では、なかなか海外に出れません。

 それから、プログラム担当の先生方でありますが、例えば政策提言をするという立場では、政策・社会科学系の先生方も多く、また理工系、医療系の先生ですと、これを機会に、このプログラムを研究コンソーシアムに広げることによって、それぞれの分野の研究にすそ野を広げるといったことができればと考えます。、政策提言から、医工連携の新しいかたちを念頭に、文理融合の研究コンソーシアムを組むことで、すそ野が広くて、そこでアクティビティーが上がる組織になると考えております。

 そういったことを考え、私は本日、教育コンソーシアムから研究コンソーシアムへというお話をさせていただきました。ぜひ御理解をいただきまして、今後の活動に対して御支援をいただけたらと思うところです。

 以上です。

【柘植主査】  ありがとうございます。そろそろ予定した時間が迫りました。今の最後の真壁先生の話、私、逆に危惧をしていますのは、この教育コンソーシアム、これは高等教育局がサポートしてくれているわけですが、これが研究コンソーシアムという形のものの、我々の産学官連携推進委員会から見ると、教育と研究とイノベーションと一体で回るという、そういう意味での研究コンソーシアムに進化していくか?。そのときに高等教育局は支えてくれるのか、こういう問題がありますね。もしこの研究コンソーシアムをリーディング大学院構想に持っていったときに、「それはうちのことではない」と断られる構造があるのではないか。これは真壁先生に対する質問では、超えてしまっているのですけれども、何かこの際、言いたいことを御披露していただいて、この件はクローズしたいと思います。

【真壁理事】  私が慶應義塾、三田キャンパスに転勤をした折の第一声で、大学にいる学生、教員の教育・研究活動の入り口から出口までを整備しましょうと申し上げました。

特に、大学院に所属する学生及び教員の活動の入り口から出口までを整備したいと思っています。、高等教育局には、この点を理解頂き、大学院生にはこれまで以上に、生のキャリア教育を充実するなかで、そのキャリアが出口で不連続にならないように、また、人口も減ってくるわけですから、質に加えて量の議論もいただきまして、いい支援の形を一緒に探らせていただければと思います。

 以上です。ありがとうございます。

【柘植主査】  では、そちらに振りまして、磯谷さん、お願いします。

【磯谷総括官】  まだ8月に就任したばかりで申しわけないです。総括官の磯谷です。

 今の御指摘、ほんとうにごもっともな御指摘でして、すばらしいプレゼンテーション、ありがとうございました。そして、高等教育局で受けれるかどうかという問題は、文科省もとにかくこの教育研究をしっかり支えることとイノベーションというのを一体的にやっていることについては、文科省全体として連携しながらやっていくという姿勢でやっておりますので、その辺は御心配ないということでお願いしたいと思いますし、もし何か抜け落ちるところがあれば、まさにそういうところを探して支えていくのが国の今の役割だと思っておりますので、ぜひまた、いろいろな問題点がありましたら、御遠慮なく御指摘いただきたいと思います。

【柘植主査】  心強い決意表明をいただきました。、今日、時間がそろそろまいりましたので、最初の議題は終えたいと思いますが、まさに今日の真壁先生のお話は、産業界が大学院教育の実質化を目指しているものに対してこたえる先駆的な活動を始められているということは、大変社会から見てもありがたいことだと思うということが1点ですが、一方では、これが例えばMITとかスタンフォードという世界基準の大学院教育研究、当然それはイノベーションに参画しているわけです。こういう究極の世界レベルの大学院教育の研究に進化していくかというところがはっきりまだ見えてない。この点を真壁先生が、そういう視点を持って進めていただきたいし、我々、産学官連携推進委員会としても、この命題は大きな命題だと思います。時間がまいりましたので、第1の議題は終えたいと思います。真壁先生、どうもありがとうございました。

【真壁理事】  どうもありがとうございました。

【柘植主査】  そうしましたら、第2の議題に移りたいと思います。議題2は、「イノベーション創出能力の強化」でございます。

 御記憶のとおり、本委員会では、昨年の6月に「東日本大震災からの復旧・復興と産学官連携施策」に関する提言を行い、9月には「イノベーション・エコシステムの確立に向けて早急に措置すべき施策」という形で提言を行ってまいりました。ちょうど1年たってしまいました。状況も変わったと思います。あるいは実りある施策も進行中ということを踏まえまして、これまで議論いただきました内容をもとに、中間取りまとめ的なペーパーの作成を行いたいと思います。それをもとに事務局のほうは25年度の予算獲得も含めて活用するという位置づけでの中間取りまとめ的なペーパーの作成を行いたいと考えております。

 まず、事務局のほうから、その作成状況について報告を願います。

【工藤室長】  それでは、資料2に基づきまして、「イノベーション・エコシステムの確立に向けて早急に措置すべき施策~イノベーション創出能力の強化に向けて~(案)」というペーパーの内容について、簡単に御紹介したいと思います。

 まず、このペーパーの位置づけですけれども、柘植主査から御案内あったとおり、「科学技術イノベーションに資する産学官連携体制の構築~イノベーション・エコシステムの確立に向けて早急に措置すべき施策~」というのを昨年9月16日にまとめていただきまして、それ以降の今年5月に、この審議会が再起動してからの議論を踏まえたものをまとめさせていただいたものでございます。

 まず、構成としましては、これまで御議論いただいてきた、センター・オブ・イノベーションの構築といたしまして、これは二つ論点がございます。一つは、大規模産学連携研究開発拠点の形成という点と、もう一つは、大学におけるシーズ・ニーズ創出強化の取組がございます。さらに大きな枠組として、人材の育成という観点から御議論いただいてきたコーディネーターをどうしていくのかという点、それからリサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備という点がございます。次には、今回、教育の役割という点で、真壁理事から御提案いただいた内容について御議論いただいたんですが、これについては、御議論を踏まえて、次回にお示しさせて頂きます。大きな3として、東北発科学技術イノベーション創出の継続、そして最後に、今後の産学官連携の検討課題という4部構成で作成しております。

 それでは、最初のセンター・オブ・イノベーションの構築についてから簡単に御説明したいと思います。

 (1)として、イノベーション創出に向けた大規模産学連携研究開発拠点の形成というタイトルをつけております。これは、22年9月にこの委員会の、前期の委員会において、「イノベーション促進のための産学官連携基本戦略」というものをまとめております。この中において、国は、同じ技術課題を共有する産業界及び当該課題解決に資する基礎的研究を行う大学等が対話を行い、出口イメージの共有を図りつつ、イノベーション創出につながる戦略的な共同研究を効率的に生み出す仕組みを「知のプラットフォーム」として整備すると提言されており、こうした知の循環を全国的に波及させていくことが必要である旨が、その基本戦略内で求められていたことを受けております。

 御案内のとおり、我が国の産学官連携研究は、共同研究の受入額の多くが約100万円と極めて小規模なものになっております。こういったものの中で、社会的にインパクトを生むような大きなイノベーションにつながるものはなかなか見えてこない。それから、拠点みたいなものが、アメリカであればスタンフォードの統合システムセンター、ベルギーのIMEC、フランスのMINATECのようなものがなかなか育っていないということを踏まえまして、これは2年前の9月に受けました提言を何とか実現させるべくということで、まず、世界トップレベルの研究開発のうち、ハイリスクであるけれども、実用化の期待が大きいような、いわゆる異分野融合連携型のテーマに対して、企業が研究フェーズに応じた負担を行い、これに対して、国が研究開発費、最先端の研究設備などの、インフラ、それからシステム、体制整備を含めて集積的に、「重層的・集中的」というふうに書いてありますけれども、こうやって支援していくと。こうした大規模な産学連携研究開発センターを「センター・オブ・イノベーション」というふうに銘打って、構築するようにやっていきたいと考えております。

企業が事業化をリードするというのが非常に大きなポイントでございます。まず、企業研究者・技術者等が相当規模、常駐していただき明確なロードマップに基づいて、大学と共同でこれを運営する。COI側のほうは、企業を固定するわけではなくて、積極的な入れかえによって異分野融合・連携型の研究をなるべく奨励します。出口を見据えた形での研究開発マネジメントや次世代産業のための新たなテーマの設定方法をノウハウとして蓄積して、世界市場にインパクトを与えるようなものを得ていくといったものを念頭において設計されております。

 続きまして、(2)大学等におけるシーズ・ニーズ創出強化の取組になります。これは、前回のこの委員会におきまして、提示させて頂いたフュージョンモデルを、今回の資料にも6ページ目の下段、図2として掲載しております。これまで「オープンイノベーションモデル」というふうな書き方をさせていただいたんですが、やはりオープンイノベーションの定義が非常に多岐にわたるものから、なかなかわかりづらいという御批判も踏まえまして、実際これは何を目指しているのかということを端的にあらわす言葉でタイトルつけております。

 これまで大学におきまして自然科学研究者と企業を中心とした産学連携関係者というもので構築されていた仕組みに対して、企業の中でも研究者ではなくて、経営戦略を担う者であったり、商社・金融機関を入れ、それから大学戻りも人社系研究者といった、連携範囲を広げた中で専門家会合というものを構築して、これで新たなシーズとニーズのマッチングの確率というものを高めていきたいと考えます。マッチングから出てきたシーズ・ニーズについては、多様性みたいなものを確保できるということも一つのメリットにありますけれども、出てきたものがどれだけ市場性があるのか、これからどうやった形で研究開発にディベロップしていくのかという内容についても、調査研究ステージを設けることで、実証できるように考えております。

 続きまして、2.産学官連携を担う人材の育成に入ります。

 (1)シーズ・ニーズ創出をコーディネートする人材の育成。こちらは主に産学官連携コーディネーターの活動を念頭に置いております。コーディネーター活動につきましては、産学官連携のさらなる進化に必要不可欠な要素でございますけれども、若手や女性といったコーディネーター全体のある種の多様性というか、高度化というか、端的に言うと若返りといったものがなかなかうまくできていないという面を考慮しまして、これは優秀なシニアの層が持っているノウハウやスキルみたいなものを若手のほうに移植していただく、体験として承継する、こういうのが一つであるとともに、シニアの層が持っている形式的に抽出できる、かなり一般化できる知識のようなものも吸い上げて、これを教材や研修のほうに役立てることによって、コーディネーター人材全体が専門性を高めてステップアップしていけるといったものを念頭に置いた事業を考えております。

 さらに(2)リサーチ・アドミニストレーターの育成・確保するシステムの整備。こちらは御案内のとおり、平成23年度よりリサーチ・アドミニストレーターを配置するとともに、スキル標準の作成と研修・教育プログラムの作成というものを事業として実施してきております。これについても引き続き、事業を始めてから1年以上経過してきているので、それなりに蓄積が生まれてきているんですけれども、よく完成しないと情報発信していただけないという面がありますが、我々としては、まず途中段階でもいいので、この辺の情報発信を促すことによって、全国におけるURA事業の先駆けというか、先行的基盤というものを形成していきたいというふうに考えております。

 続きまして、(3)は割愛させていただきます。

 3.東北発科学技術イノベーション創出の継続。こちらは当委員会におきまして、昨年6月に提言をまとめていただきました。これを受けまして、23年度には大学等産学官連携自立化促進プログラムを活用して、東日本大震災における産学官連携の影響調査というのを実施いたしました。また24年度からは、地域イノベーションという観点から、産学官連携による東北発科学技術イノベーション創出プロジェクトというのも開始しております。

 引き続きこのような取組を行うことによって、被災地において復旧だけではなくて、被災地の強みを生かした形でイノベーションシステムというものを構築していきたいというふうに考えております。

 最後に、4.今後の産学官連携の検討課題です。これは、これまで上述の1と2を一通り御議論いただいたんですけれども、もともとこの推進委員会において議題として上がっていた中に、非常に大きな柱になっているものが幾つかまだ議論が済んでいないというものがございまして、今後、この委員会も年末に終わるということを念頭に、残った論点の議論を済ませておきたいという形で、この中のペーパーに位置づけさせていただいております。

 4点ございまして、最初に産学官連携システムの見える化というのを挙げさせていただいております。この内容といたしましては、イノベーションシステムというものを考えるときに、いろんな要素がございまして、基礎研究であるとか発明、研究開発、製品化、市場投入、量産化といろんなプロセスがございますけれども、この中に一体何がイノベーションのボトルネックになっているのかということについて、なかなかよく見えるようになっていないといったことが一つ。

 もう1点は、これらのボトルネックがよく見えるようにはなっていないものの、今まで御議論いただいたように、やはり小粒な共同研究が多いと。それから大きな拠点が生まれていない、社会にインパクトを与えるような研究開発がないということを踏まえて、今まで大規模産学連携研究開発拠点の形成であるとか、シーズ・ニーズの創出強化であるとか、コーディネート人材の育成であるとか、リサーチ・アドミニストレーターという形で施策をいろいろこちらで考案してはいるんですけれども、それぞれ考案された施策と、おのおののボトルネックの因果関係というものがこれもよくわからないのではないかという御議論や、特に施策相互間の関係性についても、もう少しわかるようになったほうがいいのではないかという御議論を踏まえたものでございます。

 (2)国による戦略的な知的財産活用の支援といたしますと、これも御案内のとおり、知的財産活用は大学等において、相当程度がこれまで活動の結果、積み上がってはいるんですけれども、この中で国としてその知財をどうやって戦略的に維持活用すべきものを抽出していくかというのが大きな課題になっているというふうに理解しております。

 この点につきまして、JSTの知的財産戦略委員会において7月から議論を始めております。この議論を踏まえながら、どういった形で知財の活用のあり方を検討してはどうかということでございます。

(3)成果指標の活用方策及び大学知財本部・TLOの連携につきましては、政府の「知的財産推進計画2012」の中に、成果指標の活用方策、特に産学官連携のあり方と大学知財本部とTLOがどのような関係になっているのかということについて、一つ宿題になっていることがございます。これに対して、今、成果指標そのものを含めて、経済産業省と共同でどのように構築していくかというのを始めておりますので、こういった点を踏まえまして、もう一回御議論いただければと思います。

 最後に、(4)社会的要請への対応と。こちらは、近年、かなり大学や科学技術の活動に関して、社会からの要請にどうこたえるのかといった視点からの御指摘が多くなされております。特に科学技術・学術審議会においては、これは野依イニシアチブとして研究課題を設定する段階で、ユーザー、応用分野の研究者、人社系の科学者等の広範かつ積極的な連携などによって、積極的に社会ニーズを掘り起こし、それを適切に課題に反映する取組を強化することが必要というふうな提起がなされております。

 同じく高等教育局においてまとめられました「大学改革実行プラン」におきまして、地域の課題を直視して解決に当たる取組を支援して、大学の地域貢献に対する意識を高め、教育機能の強化を図るという、センター・オブ・コミュニティー機能の強化というのが提示されております。

 こういったところを踏まえまして、産学官連携活動が一体これに対してどのようにこたえられるのかという点も踏まえまして、今後御議論いただければというふうに考えております。

 最後は結びになりますので割愛させていただきます。

 私からの説明は以上になります。

【柘植主査】  ありがとうございます。

 1年前にこの推進委員会がつくりました施策、提言を踏まえながら、この1年間、相当いろんな変化があって、それを盛り込んで今後の施策設計の視点も入れて、この資料2ができたと理解しております。そういう視点から、ぜひこれをもうちょっとブラッシュアップする示唆をいただきたいと思いますので、どこの点からでも結構ですので、お願いしたいと思います。

 どうぞ。

【羽鳥委員】  御説明いただいた中で(2)に関係するかなと思うんですけれども、図では図2です。シーズ・ニーズ創出強化といったことが新しい取組として実行できるようになると、大学サイドとしてもありがたいのではないかなと思います。

 そういった中で、今、ブラッシュアップというお言葉がありましたけれども、具体的にどんなふうな事例が考えられるかというのをこれから積み上げていったほうがいいと思うんです。そのうちの一つにもなるのかなと思うんですけれども、例えば企業で一定のニーズがあったとして、それを大学の中で複数の学部、例えば理工学部と政策何とか学部と医学部の三つの研究者で連携すれば、そのニーズにこたえられるとかといったニーズに対して、大学の中の研究リソースを最高に使う組み合わせを考えられる人が今大学にいるかというと、必ずしもいないかもしれないです。パーツは知っているかもしれないんですけれども、全部を知り尽くして、全部の学部が見える化されていないとできないんですが、それを知り尽くして、いろんなニーズに対して提案ができるというか、この研究者とこの研究者を組み合わせる。場合によっては、この大学だけではだめで、もう一つ隣の大学。それはもしかして前田先生の世界のコーディネーターの人が意見を言って、それならここの大学のこの人がいるよみたいなのがあって、うまくニーズに合致するような研究体制が組めるような提案ができると良いです。そのような提案を、今組織としてつくれる人がいるかというと、必ずしもいないような気もするので、そういった組織ができるような支援というのが今後求められる事例の一つかなとも思いましたので、ちょっとコメントいたしました。

【柘植主査】  文科省のほうから、今の話で何かありますか。

【里見課長】  まさに私どもが申し述べたかったことはそういうことでございますので、具体的な例として書き込みができるか検討させていただきます。

【柘植主査】  ありがとうございます。

 土屋さん、どうぞ。

【土屋局長】  全く御指摘のとおりだと思うんですが、今、先生が組織とおっしゃいましたが、あるニーズがあって、あるテーマがあって、そのテーマへの対応として、一番いいベストの対応。あるいは何をやるかによって、何がベストかも変わってくるんでしょうけれども、組織というかメカニズムについて、何か具体的なイメージをお持ちでしたら教えていただければと思うんです。そこの部分、今、里見課長から申し上げたとおり、我々の中で毎日いろいろ議論しているんですが、なかなかこれという具体的なものが出てこなくて困っているんですけれども。

【羽鳥委員】  特にすばらしい知恵があるわけじゃないんですけれども、例えば慶應義塾大学でもファカルティーが分散しており、理工学部は日吉のほうで、医学部は信濃町で、あるいは政策メディアが藤沢のほうでとかばらばらになっているわけです。先生方の交流も一定程度あります。ただ、こういったことを全部理解している人はいないと思います。先ほど御講演された真壁先生は研究担当で全部見る立場にいらっしゃるかもしれませんけれども、重職の中で必ずしも全部見尽くすことは無理であります。そういった意味では、今の産学連携部門のコーディネーターの集合みたいなところ、あるいは知財も含みますので、知財はすべての出願について、集中して管理しているわけですから、どの学部のどの研究者がどんな成果を出しているというのがわかるところもあって、そこの知財グループと研究コーディネーターたちが全学部についてうまく情報を分析しながら、あるニーズが来たときに、これとこれをこういうふうに組み合わせるということができるといいのかなと。

 という意味では、今の産学連携部門とか、知財とか、周辺のコーディネーター、前田先生の世界ですよね、そういった人たちが一緒になるような世界が組織としてあればいいのかもしれないんです。

【柘植主査】  どうぞ。

【前田委員】  羽鳥先生おっしゃる前にお話ししようと思っていたことに非常に近いんですが、産学連携の、私は医科歯科大で技術移転センター長をやらせていただいたときに、よろず相談というものがいろいろ入ってくるんです。コーディネーターのところ、知財本部に、これは技術としてライセンスできますかという案件で来るんですけれど、ただ、ユニークな発想とかで、技術ではないんだけれども、例えば歯医者さんの先生が歯学教育の非常に新しいプログラムを考えて、すぐにお金にはならないんだけれど、画期的な方法。これ、どうやって、どこに持っていったらお金になるのかなというようなものの相談を受ける場所なんです。よろず相談は何でも受ける場所で、私、コーディネーターの役割というのは、技術を移転するだけではなくて、ユニークな発想、変わった発想をした先生を上手にすくい上げて、それを一体どこに持っていったら花開くのかな、お金になるのかなというのを考えてあげられる役目をするのがこれからのコーディネーターかなというふうにすごく思っているんです。

 やはり組織で、まず組織をつくって何かをやろうというと、どうしてもえらい人を呼んできて、わりと常識的な考え方をして、そこからイノベーションの創出というか、変わった発想だったり、今までなかった発想をするのって結構難しいかなと思っていまして、ユニークな発想、すぐにビジネスにならないけど、その先生の考え方って今までになかったよねみたいなものを聞き取れるのがコーディネーターなので、やはりコーディネーターを上手に使うことで、今、羽鳥先生がまさしくおっしゃったように、全部の相談を受けますので、その方たちのイノベーション力と言ったらいいんですかね、そういうところを上手に生かすと、何か創出できるのかなというふうに思っています。

【柘植主査】  ありがとうございます。

 私自身も産学官いろいろ経験して、今、羽鳥先生、前田先生がおっしゃった話も賛成します。具体的にそれをどう、土屋さんからの御質問で落とし込むかなんですけど、それはこのポジションペーパーの4ページの一番下に産学官連携システムの見える化という課題をしております。この一番下に、今話題になりましたコーディネーター人材の育成とかリサーチ・アドミニストレーターの確保とか、これに対応するイノベーションのボトルネックのところと関連していると思います。

 具体的に今、お二方の言われたこと、そのものなんですけれども、少し抽象的に言うと、大学等の研究、教育、イノベーションに参加している組織の中で、こういうコーディネーターなりリサーチ・アドミニストレーターなりが、私からすると、いろんな価値があります。学術的な価値があるし、経済的な価値もありますけれども、そういう価値のフローとインターフェースに汗をかく人、大切にするような文化というか制度。つまり、彼ら彼女らは、ひょっとしたら学術論文は書けないかもしれないです。しかし、社会への貢献という面では、汗をかくことで、実はimplicitにしろexplicitにせよ、価値を生み出しているわけです。フローとインターフェースによる社会的価値の創造です。

 ですから、ボトルネックの見える化という視点で、今の前田先生なり羽鳥先生の言われたことを制度化なり政策に落とし込むと、土屋さんがおっしゃったことに私はこたえていくのではないかなと思います。まさにそれは、先ほど真壁先生がおっしゃった、骨太な専門家の活用の一つの分野かなと。ホチキスエンジニアではとてもできない能力ですので。

 関連するものでもいいし、また何かございましたら、どうぞ。

 高橋委員。

【高橋委員】  ありがとうございます。今の点、御議論に関連してコメントです。

 羽鳥先生がおっしゃった機能、前田先生の御指摘のコーディネーターのミッション自体は、全く同感なのですけれども、前回、この取りまとめに向けての御議論があったときに、これまで積み上げてきた施策の評価、例えばコーディネーター人材については、ぴかぴかのコーディネーターをきちんとアプリシエートするというところをやりましょう、という意見があったと思います。適切な評価軸の設定がなかなか難しいということはあったと思いますが、屋上屋を重ねるようなことですと、現場ではそこの調整に苦労するというのが今回のリサーチ・アドミニストレーターの事業に関しましても、やはり現場からよく聞かれてくることだと思います。

 リサーチ・アドミニストレーター事業では、外部資金の獲得と研究者支援という点がうたわれていますが、私がいつも申し上げている事業の最終目的は、大学の研究力強化のための大学の機能向上にある、という点はいつもセットで示される必要があると思います。

その中でキャリアパスという観点では、ゆくゆくは研究担当理事やブレーンを務めるような人間と例示されることも多いですが、重要な点は、まさに羽鳥先生がおっしゃっていたような、部局にとらわれず、その大学の全体最適を考えるチームとして動くところだと思います。たしか前回、前田先生が、コーディネーターは技術ベースで、ビジネスに力点をおいて動く人間であるのに対して、リサーチ・アドミニストレーターはいわゆる研究力強化ということを中心に考える。うまくベストマッチするといいね、というコメントをいただいたのがすごく私は印象深く思っております。一番悪い言葉で言うと、看板をつけかえるようなものではなくて、しっかり今あるものを使いこなすというところにぜひ重視していただきたいというふうにお願いしたと思うので、そこはよろしくお願いします。

 最後に一転関連の質問が一つありますいます。前回、このペーパーですと1ページのセンター・オブ・イノベーションの大規模産学連携研究開発拠点の形成のところです。これまでも公募型の大型競争的研究資金による大学を基盤とした拠点形成というのがなされていると思うんですが、これとの違いと、今回の取組の特徴というのを考えていきたいということがあったと思うんですけれども、そこら辺が今回の特徴というのは、どういうふうなところを持っていきますかというのは、既に織り込まれているものなのかどうかというところを伺いたいんですが。知財本部整備事業等による取組との関連で、たしかコメントさせていただいたと思うんですけれども、それはまた今後の話ということで考えればよろしいのかどうか。これは質問です。

 以上です。

【柘植主査】  工藤さん、何かございますか。

【里見課長】  まず、前者の御指摘いただいた、確かにコーディネートする人材の立ち位置とURAの立ち位置ということをしっかり踏まえた上で、この中で提言しているということで考えておりますので、もし書き足りないような点がございましたら、また御指摘いただければと思います。

 それから、センター・オブ・イノベーションの件でございますけれども、これにつきましては、先ほど工藤室長のほうから御説明しましたとおり、前回の本委員会での議論の基本戦略において既に御指摘をいただいていたわけですが、実際のところ、このような形に対応したような、施策としてきちんと真正面からとらえた施策というのが具体化していなかったという状況を踏まえまして、今回もう一度、ここにつきましてしっかりとらえた形で考えさせていただきたいという考え方の背景がございます。

 具体的には、COIというのは一つの構想のイメージを持っておりまして、海外の拠点の例で考えますと、研究経費と人材と設備とシステムという全体が整って始めて拠点ということができるのではないかという考え方を持っておりまして、このようなものが、重層的、そして集積的に一体として入るようなことを考えております。

 このための、例えば知財本部整備事業で行われてきたようなシステムの部分の取組については、大学にCOIをつくっていくときに、十分システムの部分として機能してくると思っていますので、そういったような事業が重なることによって、拠点というものができるというイメージを持って書いているところでございます。

【柘植主査】  高橋委員、よろしいでしょうか。

【高橋委員】  ありがとうございました。大きな問題だと思うので、今、完全に理解できたわけではないんですけど、例えば今の大規模産学連携拠点ですと、振興調整費でもそういう取組と、システムをつくるところと具体的な研究開発体制によって事例を積むところと両方、部分的な取組がなされたと思うので、そこら辺も視野に入れてと思っております。

 ありがとうございました。

【柘植主査】  ほかにいかがでしょうか。

 牧野委員、どうぞ。

【牧野委員】  関連することですが、コーディネーターとかそういう方々の力をどうやって向上するかということが、まず基本的な課題ではないかなというふうに思います。ここのところ、私たちの大学の産学連携本部では、個々の先生方の研究について、どれぐらいコーディネーターの方々が深く理解しているかということを注意しながら、見ながら育ててきました。

 どういうことが社会に受け入れられるかということですが、全く新しいものに近い、あるいは新しい、であって、研究が徹底してやられているかどうかが満足されないと、社会では通用しないのです。ここのところが見抜けるコーディネーターがどれぐらいいるかが重要です。そういうコーディネーターは非常に少ないと思います。会社から来られたコーディネーターの方というのが非常に多いと思いのですけれども、ほんの小さい分野は少しおわかりになるんですが、大学の研究の深さというのは、ほとんどおわかりにならないという方が多い。そういう方が選んだ研究の結果というのが、社会ではあまり評価されない。

 結論から言いますと、コーディネーターのサイエンティフィックな実力を上げる。私はそこが一番要求されるだろうなと思います。その上に、社会的にどういうふうな受け入れられ方をするか。いわゆるマーケティング力を同時に持ち備えているのが立派な方じゃないかなと思っています。

 そういうことを訓練してきたつもりなんですが、結果としては、かなり効果的だと思います。今日たまたまJSTの新しいビルで、うちの技術説明会をしているんですが、お断りしないといけないぐらい人が入っています。そういうことを一応予測しながら選んだつもりなんですが、皆様方はあまり知られない先生の発表かもしれないんですが、選び方をきちんとしていくと、そういう結果になると思っています。

 ですから、議論の観点は少し違うかもしれませんが、コーディネーターの実力をどうやって上げるかが大事だと思います。私みたいに研究をやってきた人間から見ると、どれぐらい実力がないかというのがよくわかります。ですから、そういううるさいのをちょっと横に配置しておくことも必要かなというふうに思います。

 以上です。

【柘植主査】  牧野委員、今の発言は非常に本質の話で、それを何とかこの中に、もし盛り込んでないならば、入れるべきかなと思って今の御意見を聞きました。例えば資料2の3ページの人材育成の中で、(1)のコーディネートする人材の育成の記述が今の御指摘の現場に即した形でされてないとしたら、少し充実せねばならないし、あるいは4ページの一番下、システムの見える化という中で、やはりコーディネート人材の育成が出ていますが、5ページの上に行きますと、ボトルネックという言葉を使っています。今の御指摘のところも、一種のボトルネックかなと思います。ここの2カ所かそれ以外のところでもいいんですが、今の現場に即した御意見を、ここのところはもうちょっとこういうふうに具体的に書いたほうがいいよということをサジェスチョンいただけたら、ありがたいと思いまして、今でなくてよいですが、事務局のほうに今の御発言に沿って、「こういうふうな形でスペシファイズしたほうが良い」という提案をお願いします。

【牧野委員】  わかりました。

【柘植主査】  前田委員、どうぞ。

【前田委員】  牧野先生がおっしゃられましたように、骨太と言うんですかね、さっき真壁先生もおっしゃっていましたけれども、一つ専門がちゃんとあって、事業化した経験を持っている方が自分の分野でないところを教えてもらいに行っても、もしもあのときの経験で深堀りするのであれば、横展開するのであればこうかなとなると思うんですけれども、やったことないと、やはり上辺で聞いてきて、「それはよろしいですね」で終わってしまうと思うんです。やはり何かきちっと専門を一つ持っていて、好ましくは事業化まで経験があるような方というのは、発想を広げるということができるのかなというふうに思っているんです。

 ただ、そのときに若手は、「事業化まで持っていける人いますか」と言ったら、もう年取ってます。一番若くても、きっと私ぐらいの年になっちゃうんじゃないかなと思うので、そういう方たちの育て方ですよね。やはり事業化した人の経験をいかに疑似体験でつかんでもらうかとか、成功事例、失敗事例をいかに自分のことのように吸収してもらうかということかなというふうに思っています。

【柘植主査】  ありがとうございます。

 橋本委員、どうぞ。

【橋本委員】  これは一つ注文というか、今のコーディネーターの質の向上という問題もあるのですが、4ページのところで、次回に記述が出るということについて、(3)の産学官連携活動における教育の役割という、今日、真壁先生のお話をもとにまとめられると思うんですけれども、そのときに、もう一つ逆の視点といいますか、教育における産学官連携活動の役割という視点からの問題もぜひ取り上げていただきたいと思っております。つまり、このままですと、教育は産学官連携に奉仕するだけになってしまうような感じがするので、むしろ今日の慶應のお話なんかは、産学官連携活動そのものが教育にとってプラスの効果を持っているというふうなことを含んでいると思うんです。ですから、そういう視点からの議論をぜひ展開していただければなというふうに思います。

【柘植主査】  ありがとうございます。そうすると、このタイトルも、ただ、産学官連携活動と教育と並列、相互関係……。

【橋本委員】  バイラテラルのほうがいいのではないか。特に教育の場合も、学生、学部教育なのか大学院教育なのか、いろんな場合があるかとは思うんですけれども、少なくとも双方向でお互いにポジティブな意味があるだろうと思います。

【柘植主査】  ありがとうございます。ぜひそれは、少しこのタイトルを変えて、双方向でお互いに補完し合うというか。

 実は、私もここのところは発言しようと思って、ちょうど橋本委員がおっしゃったもので、ここはタイトルを今のような双方向の形、産学官連携活動と教育というのを双方向という形でタイトルにしたいんですが、今日の第1の議題の議論を踏まえて、次回に記述となりますが、やはり私、先ほど問題提起したように、欧米の大学院教育研究、イノベーション参加というものは、実は高等教育については一体化しているんです。産学官連携活動を通じて、イノベーションに参加するという活動と、教育と研究等で一体化しているわけでして、先ほどの真壁先生の話は、教育コンソーシアムが進化していくと研究コンソーシアムになっていくということに対して、私は進化の道が違うのではないかと、動物の進化のことを例えて、そういう問題提起をしたわけです。

 したがいまして、3の産学官連携活動と教育の相互関係の役割の内容は、資料2の1のセンター・オブ・イノベーションの構築とか、3の東北発科学技術イノベーション創出の継続とか、こういうほかの施策といかに連関させて組み立てるかということが提言のみそだと私は思いまして、ぜひ次回の記述に向けて、そういう視点でここの記述の案をつくってみたいと思います。

 どうぞ。

【野間口主査代理】  本質的でないかもしれませんが、先ほど文科省からの説明で少し気になりましたのは、1ページ目でセンター・オブ・イノベーションの世界的な例を挙げていることです。私の理解では、スタンフォード大学の統合システムセンターは十分承知していませんが、IMECとMINATECについては半導体に特化しており、これらの領域を広げたいという意欲はあると思料します。しかし、当該領域以外の部分が弱過ぎるために、私が今理事長を務めている産総研の、TIA関係でというよりも、産総研全体と協定を結びたいとの強い希望があり、包括連携協定に署名をしました。IMECやMINATECはすぐれた技術特化型であり、しかも、やや専門的な話ではありますが、IMECは、300mmウエハーの設備でなく、450mmの設備を世界に先行して導入したことで、世界的な企業が関心を持っているというだけの話であります。

 それから産総研とMINATECは、包括連携協定を締結しまして、私は理事長として具体的なテーマをスタートしようと言うわけでありますが、MINATECが持っている機能というのは中途半端な面があります。MINATECの研究拠点のあるグルノーブルでは、原子力やバイオといったMINATEC級の他の研究拠点があり、これらを6つか7つを集めてGIANTというのを作っています。むしろこのGIANTがセンター・オブ・イノベーションであると理解しなければ、資料2の6ページ目にある素晴らしい絵にはならないのではないかと思います。海外の事例を、無い物ねだりのように取り上げるのは、あまり得策ではないと考えます。IMECやMINATECの事例が数年前に取り上げられ、その後、これらの事例がリファーされることが見受けられますが、よく考えて頂ければと思います。この部分以外については、私は良い考えであると思っています。

 もう1点言わせていただくと、先ほど牧野先生の御指摘がありましたが、コーディネーターを活用するとき、コーディネーターに過大な期待をする場合と、そうではない場合があります。程々の期待をし、コーディネーターに活動をしてもらえれば、私は良いと思います。しかし、先生の方から見て、コーディネーターに相談すれば後は全てうまく進むものであるという期待を持たせてしまうようなコーディネーター制度になってしまうと、やはり人間の能力には限界があるので、どこかで制度が頓挫すると考えます。しかも、このイノベーションの世界というのは、優れた業績を上げた方が、今後も優れた業績を上げるとは限りません。従って、これは一例ですが、産総研ではコーディネーターを個人で動かすよりも、チームで動くように推奨しています。チームで動くようにすると。まだ一人では対応できない部分を別のコーディネーターに相談するなど、相互作用が生まれ、新たな対応力も出てくるのではないかと考えています。このように、コーディネーターがチームで動くようなシステムやコラボレーションという面が入るような形にしてはどうかと思います。されたら。

 前田先生は、このようなコーディネーターの取組を文科省と一緒に進めているわけですが、具体的な課題で実行されるような形にするとより良いのではないかと思います。資料の絵だけを見ますと、コーディネーターが何でも対応できる人というような印象を与えてしまいます。

【柘植主査】  ありがとうございます。ぜひ少し反映していただくと、具体的に確かにチームで動いて初めてイノベーション・エコシステムになっていくということのシステムも、この施策の中でぜひ組み込んでいただきたいなと思います。

 あと5分ほどありますが、御発言ない方で、本田委員、長我部委員。そしたら、先に本田委員どうぞ。

【本田委員】  まず、2ページのシーズ・ニーズ創出強化の取組というところなんですけれども、専門家会合を設置するという御提案があるかと思うんですが、これは今、私たちが、TLOとかが扱っているような、顕在化されたシーズであったりニーズであったりというところを議論しているものではないという理解を、まず私自身はしていまして、顕在化されていない、新たにシーズ・ニーズを掘り起こすというイメージのものであろうという、新しい共同研究を起こしていくというような取組というふうに理解しているんです。わりと難易度の高いことではないかなと思っていまして、実際には専門家会合の中には企業の方が入っていたり、金融機関、商社というところが、皆さんブレーンを集めて考えましょうというところなので、実際、同じ方向を見て、そういう集団がつくれるかというところで、一つ難しさがあるんじゃないかなと思うんですが、これができれば日本の中で新しいニーズ・シーズというものを起こせるという意味では、ものすごく大きな取組だと思います。

 そのときに、せっかく大学というか、文科省のほうからの提案であれば、これで起こしてきたシーズ・ニーズを掘り起こして活動したときに、最終的にはどちらかの企業が担って開発することにはなるのかもしれないんですけれども、一企業の事業戦略みたいなところで、もしも結局、開発断念みたいなことになったとしても、きちんとそれが大学側でもう一度ほかの企業にも探れるというか、開発が探れるような仕組みであってほしいなというふうに感じております。まずこれができたらすばらしいなというふうに思っております。

 それと、COIに関しましては、大学であったり企業も覚悟が必要ですということは書いてあるんですけれども、結局、これは大学のシーズとニーズのギャップというのをどうにか埋めようという目的であるのかなというふうに思うんですが、依然としてやはり大学と企業だけでどうにかうまく調整してくださいという感じで、国のところは予算をつけるものの、少し外野的に見られているような印象があるので、ぜひ国の方もしっかりコミットしていただければなというふうに思っております。

 以上です。

【柘植主査】  ありがとうございます。

 では、長我部委員、どうぞ。

【長我部委員】 これからの議論ということになっていますけれども、5ページに書いてある社会的要請への対応、この辺が非常に大事だというコメントをしたいと思います。先ほど野間口主査代理から出たように、IMECタイプの、技術特化型のところから、役には立つけど、イノベーションと呼ばれるようなものは出にくい状況になりつつあるのではないかなと思います。テクノロジーをちゃんとつくって、それをニーズのあるところに持っていってというのは大切であることには変わりないですし、その中で必要なコーディネーターの役割は、いろいろ御発言が出たようなことだと私も思っております。それに加えて、今これから社会で必要とされているイノベーションというのは、今回の東北の復興に代表されるように、スマートシティとか、国なり地域の医療を総コストをちゃんと抑えたようなコミュニティーをつくるとか、そういった問題こそ、ほんとうに世界中でイノベーションが期待される領域じゃないかと思うんです。

 そのような課題に対しては、大きな方向性はわかっているんですけども、ニーズと呼ばれるようなものは非常に掘り起こすのが難しくて、そのフィールドに行って、研究者というか、非常に知恵のある人がニーズとか課題をちゃんと自分たちで把握する事、そこのところが勝負というような世界になってきているのではないでしょうか。そういう意味では、東北の復興のような、まさにフィールドの中に大学があって、その中で産官学が問題を拾えるようなところから一緒になって、その地域でイノベーションを起こすというタイプの、まさに5ページ(4)のところはこれからの議論なんですけど、それが重要じゃないかと思います。

 そういう意味では、メディカルもおそらく同じようなことで、地域の中心に大学があるわけで、そういったことができるポテンシャルがあると思います。センター・オブ・イノベーションというのは、一つはテクノロジーをちゃんと生み出して、それをニーズに引き継ぐというタイプのものもあるんですけれども、やっぱり問題のフィールドそのものの中に学があって、問題そのものを一緒になって解決するというイノベーションをちゃんと起こすということが今後重要になるんじゃないかなと思います。これからの議論ということですので、コメントでございます。

【柘植主査】  ぜひ野間口委員と長我部委員に伺いたいのですが、今のお話を伺うと、先ほど野間口さんからは、1ページの大規模で引用されているようなものは、実態はなかなか。それから今、長我部さんもそういうことをおっしゃったわけですけれども、1ページの問題は、大規模という形のものに集中投下していいのかというふうに、逆に今のお二方の発言を伺いました。そこのところについて、何か施策に反映するサジェスチョンをいただけませんでしょうか。

【長我部委員】  私の意見は、大規模集中投資が悪いという意味ではなくて、フィールドそのものが、IMECは半導体なので、テクノロジー的にはサチュレーションしつつあるかもしれないフィールドなので、大きなイノベーションが起こりにくいんじゃないかという意味です。そういった意味で、IMECはあまり適当じゃないのかなという意味合いで私は申し上げました。集中投資というのは、必要だと思いますし、集中投資がだめだという視点でそう申し上げたのではございません。

【柘植主査】  ありがとうございます。

 事務局のほうから何かありますか。工藤さん。

【工藤室長】  今御議論いただいた、特に社会的課題、これからの議題という形で挙げさせていただいてはいるんですけれども、もともとフュージョンモデルとして挙げさせていただいている大学におけるシーズ・ニーズ創出強化の中に、地域のニーズも、特に先ほど被災地復興という話もありましたが、こういったところからもニーズを吸い上げて使える、この枠組みの中でシーズ・ニーズとしてディベロップしていくものが出てくるというのもイメージしております。

 COIについては、資料上(1)と(2)という形で、大規模拠点形成とシーズ・ニーズの取組強化というのはセットになってございます。したがって、シーズ・ニーズのほうで議論されたものを、細かく拾い上げてより大きなものに供給していくことを想定しております。両者を重ね合わせている部分として、いわゆるサブシステムをなすものとして考案されていることについて考えて、説明が足りないんですけれども、(1)と(2)の間には実はそういうつながりがございまして、今、委員からるる御指摘あった事態についても、なるべく拾い上げられるようなものとして考えております。

 それから、若干、議論のほう、先ほどから遡るんですが、コーディネーターの役割の強化の話につきましても、よいコーディネーターをどうやって育てていくかという点については、まさに今回考えられた施策の中で、形式知として、なるべくサイエンティフィックなベースが育てられるのであれば、それは育てたいと考えます。それから、コーディネーターを個々人が蓄えられた知見は暗黙知の世界だというふうに理解しています。この二つを両方育て上げて、次世代及び今いる人たちの高度化というのをねらった施策を考えておりますので、なるべくそういうのを受けた、もう少し文章上、その辺がわかるようなものに工夫したいと思います。

【柘植主査】  ありがとうございます。

 時間が過ぎてしまいまして、閉めないといけません。今日、この資料2につきまして、より現場に即した、充実する方向について御意見をいただけましたので、事務局のほうで、今日の意見を反映したもので、資料2をもう一回ブラッシュアップしていただいて、その間、例えば25年度の予算に向けて、事務局のほうは待ったなしの戦をされていますので、それに生かしていただくということと、次回にぜひ今日の議論を反映した、資料2のブラッシュアップ版を、もう一回ここの部分をブラッシュアップしたということでかけていただきたいと思いまして、2番目の議題は終えたいと思います。

 最後に、今後の予定について、事務局からお願いします。

【鷲﨑専門官】  それでは、事務局より今後の予定につきまして御連絡させていただきます。

 お手元の資料3をごらんいただけますでしょうか。次回、第13回でございますけれども、9月13日木曜日13時からを予定してございます。およそ3週間後でございます。第14回以降の日程、議題、場所につきましては、柘植主査と御相談しながら、また別途御連絡させていただきたいと思います。

 以上でございます。

【柘植主査】  時間が5分過ぎてしまいまして、申しわけありません。本日の推進委員会を閉会といたします。どうも御苦労さまでございました。

 

―― 了 ――

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