産業連携・地域支援部会 産学官連携推進委員会(第3回) 議事録

1.日時

平成23年6月21日(火曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省東館3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 東日本大震災の対応について(産学連携の観点から)
  2. イノベーション・エコシステムのの推進方策について
  3. その他

4.出席者

委員

柘植主査、野間口主査代理、北澤委員、石川委員、高橋委員、橋本委員、本田委員、森下委員、井口委員、宇野委員、土田委員、常本委員、永里委員、羽鳥委員、藤本委員、前田委員、三木委員、渡部委員

文部科学省

合田科学技術・学術政策局長、常盤科学技術・学術総括官、池田産業連携・地域支援課長、木村地域支援企画官、橋爪大学技術移転推進室長、寺崎産業連携・地域支援課長補佐、石田大学技術移転推進室長補佐、井上大学技術移転推進室専門官 他

オブザーバー

林上席フェロー(独立行政法人科学技術振興機構研究開発戦略センター)

5.議事録

 【柘植主査】  それでは、定刻になりましたので、少し遅れて来られる委員の方々もおられますけれども、ただいまから産学官連携推進委員会の第3回を開催いたします。
 なお、本日は、後ほど科学技術振興機構の研究開発戦略センターの林上席フェローにご出席いただきまして、主要国の科学技術イノベーション政策動向についてご説明をいただくことになっております。
 はじめに、事務局のほうから配付資料の説明をお願いいたします。

【石田大学技術移転推進室室長補佐】  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料の上に議事次第を用意してございます。議事次第の真ん中から下に、配付資料の一覧がございます。まことに恐れ入りますが、この一覧の順に念のため確認をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 資料1でございます。東日本大震災からの復旧・復興と産学官連携施策(提言案)という資料でございます。続きまして、A4判横長の資料で、主要国の科学技術イノベーション政策動向という資料、ホチキス留め資料になっております。続きまして、資料3、これもホチキス留めのA4判横長資料でございまして、産学官連携に関するデータという資料がございます。続きまして、資料3の別添として、A4判縦長でございますけれども、産学官連携に関するデータという資料が用意されてございます。続きまして、資料4でございます。A4判縦長でございます。産学官連携推進委員会の当面の予定という資料でございます。
 その他、参考資料でございますけれども、参考資料1といたしまして、東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の検討の視点という資料がございます。最後に、参考資料2、1枚物でございますけれども、震災による被害状況及び各活動への影響という資料がございます。
 そのほか、机上配付の参考資料といたしまして、ファイリングした資料、議事次第に記載のとおりでございます。これを用意させていただいているところでございます。先生方のお手元で落丁等がございましたら、事務局にお申し付けいただきたいと思います。
 以上、よろしくお願いいたします。

【柘植主査】  この参考資料1、2は、今日の議題の中で、どこで紹介されるのでしたか。

【橋爪大学技術移転推進室長】  参考資料1、2は、主に議題(1)の大震災への対応のところで、その参考ということで考えてございます。

【柘植主査】  そのときに。わかりました。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。緊急度の高い議題(1)でございます。東日本大震災への対応についてであります。前回、産学官連携の観点から、どのように東日本大震災の復旧・復興に取り組むべきかについての議論をいただいたわけですが、その後、事務局では、池田課長を中心に、地元の大学等の状況を実際に見てこられたようでございまして、池田課長よりご紹介いただいて、その後、前回までの議論を踏まえて取りまとめていただきました、東日本大震災からの復旧・復興と産学官連携施策の提言案について、事務局から説明をお願いしたいと思います。
 では、よろしくお願いします。

【池田産業連携・地域支援課長】  それでは、先週から昨日にかけて、被害の大きかった3県に、私ども手分けをして大学やJSTのプラザ、あるいは自治体にお邪魔して状況を聞いてまいりましたので、簡単にご報告をさせていただきたいと思います。参考資料2という、一番最後の1枚紙をご覧いただきたいと思います。
 この参考資料2は、大学を中心にまとめておりますが、まず各大学の施設、設備への影響ということでございますが、これは、そこに書いてありますとおりでございます。岩手大学、福島大学、それから、ここには書いておりませんが、福島医科大学などは、一定の被害はあったものの大きな被害はないという状況で、やはり東北大学が一番大きい、工学部を中心に被害がございました。そのほか、実験データの消失や、危険度判定された施設の閉鎖に伴いまして、学生の授業を行う場の確保等々、東北大学ではご苦労をされているようでございました。
 それから、2のところで、学生・教職員の被災状況ということで、幸いにも教職員は死者はございませんでしたが、学生は各大学で何人かがお亡くなりになっております。それから、ご家族が亡くなったり被災されたという学生もかなりに上っております。
 裏をご覧いただきまして、産学連携活動への影響ということでございますが、共同研究等の遅延や中断があったり、あるいは、新技術説明会などを延期したり中止したりということがございました。それから、連携先の企業が操業停止状態にあって、活動が進められないというところも一部でございました。コーディネーターがいろいろ状況を把握しておりますが、まだ全体的には必ずしも十分ではない状況でございます。
 それから、4のところで、風評被害でございますが、やはり地元企業への発注減等々、地元産業にはいろいろ懸念もございます。それから、大学の外国からの留学生や研究者でございますが、一時は、そこにあるように、かなり深刻な状態でございましたが、いずれの大学もほぼ元に戻りつつあるような状況でございます。
 駆け足でご説明いたしましたが、全体的に受けた印象として2点ほど申し上げますと、大学は、東北大学など、かなり深刻な被害は受けておりますけれども、被災地全体の中では軽いほうであろうと。各大学の先生方、あるいは執行部、事務局も含めて、復興を考えていく上で、やはり大学は知の拠点として地元に何ができるかということを、今、もう前向きにどんどん考え始めている状況でございます。その際、特にこれまで連携が不十分だった自治体との連携であるとか、あるいはJSTのプラザ宮城やサテライト――岩手にサテライトがございますが、こういったところともより一層連携をする必要があるということでおっしゃっておりました。
 それから、県や仙台市などとも少し意見交換をしてまいりましたが、自治体のほうは、当然ながら、復興に向けた取組を今考えつつございますけれども、一方で、津波を直接受けた深刻な被害のところの瓦れきの除去とか、避難所にいらっしゃる方々への対応とか、もう本当に目先の対策も一方では考えていかなければいけないというかなり大変な状況だったと思います。
 それから、2点目でございますけれども、これも先ほど申し上げたことと関連しますけれども、私どもも、ともすると被災地への復旧・復興ということで、一括りにしがちでございますけれども、やはり直接津波被害を受けて壊滅的な状態の地域と、それから、被災はしましたけれども、もうかなり復旧して活動再開している地域とか、あるいは、被災はしておりませんが風評被害的なもので活動が滞っている地域と、大学や産学連携、あるいは地域のクラスターなどは、後のほうの、被害は比較的重くはないですけれども、活動は滞っている状況というところが多いかと思いますが、この辺を少し被災地の実態に応じて支援をしていく必要があるのかなということを感じました。
 以上の状況も踏まえて、この後、橋爪からご説明いたします、私どもの対応案のたたき台をまとめさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。

【橋爪大学技術移転推進室長】  それでは、続きまして、資料1についてご説明をさせていただきます。
 その前に、あわせて、参考資料1でございます。前回の産学官連携推進委員会第2回から後に、大震災に関連しまして、この推進委員会の所属します科学技術・学術審議会のほうでの検討が進んでございまして、東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の検討の視点というものがまとめられておりますので、冒頭、まずこれを簡単にご紹介をさせていただきたいと思います。
 ポイントとしましては、科学技術・学術政策につきまして、科学、技術、そしてイノベーションというものが非常に重要だということでこれまで言われておりましたが、この震災を踏まえて、新たにR、リコンストラクションとリフォーム、これを加えて政策の基調とすべきであるという考え方が大きなところとして示されてございまして、具体的に5つの今後の科学技術・学術政策の検討の視点というものが示されてございます。
 1つ目は、1ポツにございますように、東日本大震災についての科学技術・学術の観点からの検証ということで、この震災からの教訓や反省を踏まえて、今後、科学技術・学術政策を改善、あるいは、新たに行うところも含めて、進めていくべきであるという視点がまず示されてございます。
 続きまして、次のページでございますが、2ポツとしては、課題解決のための学際研究や分野間の連携ということで、今回の震災への対応も含めて、いろいろな課題の解決のためには、さらにその専門分野を超えて、領域にまたがる学際研究、あるいは分野間の連携、これについてより注視をして取り組んでいくべきだという考え方が示されてございます。
 3点目といたしましては、行った研究開発の成果の適切かつ効果的な活用ということが言われてございます。
 また、4番目としまして、社会への発信と対話ということで、今回の震災の状況も踏まえて、さらにその情報発信、そして社会との対話について取り組んでいくべきだということが示されてございます。
 さらに、5ポツ目としまして、復興、再生及び安全性の向上への貢献ということで、そうした被災した地域・コミュニティのニーズ、復興、再生に当たって問題をきめ細かく捉え、科学技術・学術の観点から、どういう貢献ができるか、また、自然災害への今後の備えということも含めて、対応していくべきだということが示されてございます。
 以上が、前回の推進委員会から後の新しい動きでございますが、この視点も踏まえまして、提言案として資料1をまとめさせていただいております。本日ご説明をさせていただきまして、また先生方からご意見、ご議論いただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、資料1でございますが、冒頭に、先ほどの科学技術・学術審議会で示されました、東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の検討の視点、これを十分本推進委員会としても踏まえていただいた上で、この提言をまとめるということを冒頭に少し述べさせていただいております。1ポツとしまして、基本的考え方というところを示させていただいた上で、2に具体的な取組方策を書かせていただいております。
 まず、基本的考え方でございますが、先ほど池田課長のほうからも説明させていただきましたように、やはり東日本大震災の被害というものは大きいものがございまして、これについては、産学官の総力を挙げて取り組むことが必要でございますが、産学官連携のこれまでの経験、あるいは、前回もご説明いただいたようなネットワーク、このような経験を最大限に活用していくことが重要であるという点、それと、前回のご議論でもございました、災害からの復旧のみならず、再構築という新たな展開も含めた視点、こういうものを書かせていただいてございます。また、被災地域の実情やニーズに立脚した対策が重要である点、あるいは、国際的な産学官連携活動への影響や活用についても考慮すべきということについても触れさせていただいております。
 2の取組方策でございますが、前回のたたき台におきましては、時間的なスパンでもって短期的課題、中長期的課題ということで、少し資料をつくらせていただいておりましたが、今回は、前回のご議論等々も含めまして、それぞれの取組内容ごとにまとめをさせていただいております。
 まずは、1番目としましては、産学官連携への影響の把握という点でございます。既にそういう動きもございますが、まだ一部不十分な点もございますので、今後引き続き産学官連携への影響の把握について努める必要があるという点が1つでございます。
 2番目としましては、前回もご議論いただきましたように、コーディネート機能、あるいはネットワーク機能の強化という点でございます。現在でも、前回前田先生のほうからご説明もございましたが、さまざまな立場のコーディネーターの方々が活動されております。それらのご経験、そして情報力というのを効果的に活かすためのネットワークをより活用していくことが重要であるという点と、そのようなコーディネーターの方々が活動する拠点というものを被災地域に整備をして、そこを拠点に、被災地のニーズと全国の大学をつないでいくということが有効ではないかということでございます。また、そういうような拠点は、次の(3)でも述べられておりますような、共同研究を推進する取組というものと連携をした形で実施することが必要である。ネットワークをつくっても、その先がないといけないという点もございますので、そういうことが重要ではないかということで、少し述べさせていただいております。
 (3)でございますが、被災地域の復興の中核となる産学官連携による研究開発の推進ということでございます。被災地の復興にとりまして、科学技術・イノベーションによる新産業の創出というのが非常に中長期的な観点から有効であり、その発展に貢献するものとして考えられます。このため、被災地の復興のための新技術・新産業創出に関する構想に対して、研究開発の観点から支援を行っていくことが重要ではないかということでございます。その際には、被災地のニーズ、これまでの技術力、産業にも留意して、その地域の特色を基盤としていくという視点も大切ではないかというご意見も前回ございましたので、そのような点を盛り込ませていただいてございます。
 また、前回、東北大学さんのほうからもご提案のありました、研究開発の中には、試作品の製作を含めまして、それを地元の被災産業の活性化に役立てていくということも一案ではないかということで、入れさせていただいております。
 また、こうした研究開発活動につきまして、地元の研究者、あるいは技術者と連携をして活動を行っていくということが非常に重要なことであるということでございましたが、それにつきましては、単に新技術・新産業を創出していくということだけではなくて、地域の人材育成ということの視点からも非常に重要な活動であるということで、その点について触れさせていただいてございます。
 また、成果の事業化ということを考えた場合に、地域の金融機関でありますとか、いろんな地域の機関との連携というのが一つ有効なのではないかという視点も書かせていただいてございます。
 4番目は、被災地域の研究者、技術者の確保・育成への貢献ということでございます。少し(3)とも重なりますが、被災地域の研究者、技術者が、今後、被災地域の復興にとってはやはり必要不可欠な人材ということでございますが、現在、所属企業、機関が被災して、やむを得ず休業を余儀なくされている場合もあるようでございます。そういった方々に活躍していただける場というものをしっかりと確保していく。それは、やはり産学の共同研究の中に、こうした地域の研究者、技術者の方に入っていただいて活躍をしていただくということが重要ではないかということでございます。もちろん、これは、研究開発の実施に当たっても欠くべからざる人材の方々でありますが、その方々がそういった研究開発活動に入られることによって、人材育成の観点からも非常に重要でありまして、その後、地域の復興に加えまして、中長期的には大学と企業との長い連携の核となっていくものではないかということを述べさせていただいてございます。
 5番目は、国際的な視点でございますが、やはり技術・人材の国外流出の防止ということもございますが、あるいは、地域の復興に当たりまして、海外との連携というものも視点の1つとして取り組んでいくことが重要ではないかということを述べさせていただいてございます。
 最後、6番目でございますけれども、成果の積極的発信ということでございます。こういった復興への取組を行うとともに、それだけではなくて、それが実際の被災地域への投資・需要の拡大につながっていって、好循環が生まれてくるようにすることが重要ではないかということでございますが、そのためには、被災地の復興状況について、その進展、そして成果を国内外に積極的に発信していくということが、投資や需要を喚起する上で重要ではないかということでございます。こういうことで、最後、前回の議論等々も踏まえまして、成果の発信についても加えさせていただきました。
 簡単ではございますが、以上でございます。

【柘植主査】  ありがとうございます。
 今日でこの提言案を提言としてまとめてしまいたいということを考えておりますが、ただいま事務局より説明のありました内容について、ご質問やご意見がございましたら伺いたいと思います。いかがでしょうか。
 どうぞ、永里委員。

【永里委員】  ありがとうございます。
 前回から今回までにこういうふうにまとまったんですけれど、実はその間に私自身も、医療関係の方々とのこういう会合に出席しまして、ちょっと勉強したことがあります。それは、例えば参考資料2に、東北大学、学生・教職員にかかわる被災状況というので、学生死亡3名と書いてあります。これは、直接そうなんですけれど、このほかに、実は自殺者がいるんですね。それはこの数字に含まれていないわけで、私が知っているだけでも、東北大学で、私の関係するところだけでも2人いますので、心のケアが必要だということがわかってきたんです。これは単にうつ病みたいな感じではなくて、おそらく戦場に行った人たちが帰ってきてうつろな状態になるとかいうこととも関係しているかもしれませんし、非常に複雑で。
 したがって、これからの学問として、例えば、参考資料1の2ページ目の一番上に2とありまして、課題解決のための学際研究や分野間連携とありますけれど、多分、これにかかわるような研究題目だと思います。心のケアに関する研究が必要だろうということがあります。
 それから、もう一つ、秋田の医療部隊のほうからの発言があったんですけれど、今回は、DMATというんですけれど、皆さん、全国から東北に行ったんです。助けに行っても、ほとんど機能できなかった。なぜならば、その救急隊の方々は、外科的なことを一生懸命やるために行ったわけで、ところが、もうみんな津波で死んでいたというのが事実なんです。そういう意味では、よく働いてくれたんだけれど、助けようにも助けられなかったという事実があるそうです。
 しかし、もう一つわかってきたのは、秋田の方からの研究報告なんですけれど、低体温病で死んだというんですね。要するに、津波にあって、寒いところでそのまま、本来温めてあげれば生きていた人たちが亡くなっているということで、非常に新しい発見というか、もともとそういうことはわかってはいるんだけど、今回、この災害でよくわかったということがあるそうです。
 したがって、学際研究というか、分野間連携とか、その種の研究もやっぱり研究だろうと思いますので、そういうことがちょっとつけ加わったらいいなと。今そういうふうに申し上げます。
 以上です。

【柘植主査】  今の現場に即した分野間連携の実行策、我々の親委員会であります科学技術・学術審議会の総会、参考資料1に書かれたことを、いかに我々の資料1の提言に具体化していくかということの1つの大事な指摘事項だと思います。
 事務局のほう、どうですか。そういう意図で、つまり、親委員会の参考資料1の大きなアンブレラといいますか、大綱方針に則って資料1も書いたつもりだと思うんですけれども、今のご指摘のところは、どこかで読み取れますというか、あるいは、もうちょっと具体的に踏み込んでみましょうとか、このあたり、何か意見を。

【橋爪大学技術移転推進室長】  一応思いとしまして、永里委員がおっしゃるとおり、その分野間連携についても、背景としてはそこが意図をしてはございますが、明確に出ているところがなかなかないものでございますので、例えば、この全国の大学と被災地のニーズをつなぐというのは、これは特定の分野ではございませんし、いろんな分野間の連携というのが必要となってくるかと思います。また、研究開発についても、そういった視点はあるかと思いますので、そこは少し工夫をさせていただくということでいかがかと思いますが、いかがでございましょうか。

【柘植主査】  ほかに。では、森下委員、それから羽鳥委員。

【森下委員】  3ページの被災地域の研究者、技術者の確保・育成への貢献のところなんですが、参考資料2の被害状況を見ていますと、住居が全壊、一部損壊の学生がかなり混じっていると思うんですね。そうしますと、場合によっては就学する場所がないというか、下宿がないとか、あるいは自宅がなくなったというケースもかなり混じるのではないかと思うので、そうした住む場所のあっせんとか、あるいは、何か奨学金等の補助とか、これは多分親の収入等も大分落ち込んでいると思いますので、そうしたことをしないと、やっぱり大学に在学すること自体が難しくなると思うんですね。ぜひ何かそうした奨学金等の紹介とかを含めて、これはコーディネーターの方の仕事なのか、よくわかりませんけれども、いろんな総合的なパッケージでこの技術者、研究者の確保というところはやってあげないと、従来型のやり方だけですと、かなりシチュエーションが異なっているのではないかと思いますので、ぜひきめ細やかな情報を出すというのはやっていただきたいかなと思います。
 あと、もう1点、阪神大震災の経験で言うと、一番現地の方が嫌なのは、一回、最初だけあって、その後忘れられるということなんですね。ともかく何かポイントポイントだけで来られて、あとは何となく取り残される、こういう不安感が実は一番よくないんですね。そういう意味では、今回だけで終わりというのではなくて、継続的に、半年とか1年ごとに状況を調査されて、その状況に応じて、適切な手をまた2回以降打つということを決めていただいたほうがいいのではないかと思います。
 被災地の中にあると、やっぱり復興のところというのが、家をつくったりとか、あるいは今までの生活を取り戻すというところだけで、なかなか新しいことに対して自分たちは応募しても当たらないのではないかとか、あるいは、新しいところを走っているのはすべて自分たちを通り越していくのではないかという、どうしても不安感があるんですね。そういう意味では、継続的な支援の中で、やはり東北の状況に関してしっかりフォローして、必要であれば、それに応じた手を。先ほどの永里委員が言われたPTSDの問題というのは多分これから非常に大きくなってきますので、学生、あるいは教職員とかもかなりそういう心のケアの問題が必要になるかと思いますので、このあたりも踏まえて、何らかの施策を引き続き打つということで、今回で終わりではないということだけは確認しておきたいなと思います。

【柘植主査】  今の森下委員のご発言を伺って、私、本委員会の産学官連携という面へ落とし込んだときに、今までの我々の産学官連携を現場ごとに見たときに、我々から見て、例えば、学長室、学長そのものと産学官連携活動という学内にある組織、ここがかなりもう一体で動いている大学と、そうではなくて、産学連携の推進本部は一生懸命動いているけれども、学長そのものはちょっと違う観点を持っている大学と、いろいろ温度差があって、今の森下委員の話、それから、永里委員のおっしゃった話なんかは、やっぱり学長室と一体にならない限り、意欲だけが空回りしてしまうおそれのある大学もあるかなと思って心配していまして、ここにそう書き込んでも、大学のほうが本気になっているかなと思いまして。
 羽鳥委員のご発言の前に、井口委員、どうですか、現場の感覚。心配ないと。東北地方はもう一体だと、学長室と産学連携。

【井口委員】  そういう意味では、産学官連携も、東北大学、巨大ですので、なかなか悩んでいるところはあるんですけれども、技術移転機関があったりとか、地域の産学官連携、その辺が現場では動いていると。だから、今まさしく言われたように、トップがそういう動きを理解してくれるというようなことは非常に重要だと思います。まさしく、学長が、総長がというと、東北大学を指しているんじゃないかなと思うぐらいに私も心配しておりまして、行くたびに総長には、もうちょっと動きよく下ができるようにと。これ、自治体でも同じなんですね。やっぱりいろんな点で非常に重要で、私、今中規模の弘前にいるんですけれども、これは中規模なものですから、学長とみんな一体なんですね。そういうところが動きがいいと。
 さっき永里さんが言われたような心のケアというのは、一万数千人、外国も含めて東北地域の被災地にお医者さんが入ったんですけれども、今現在は外部から数百人しかいません。それで、秋田と山形は別ですけれども、弘前も東北大学に次いで規模が大きい医学部、病院を持っているものですから、福島には常時送っているんですけれども、最近は被ばくのモニターとDMAT以外に、やっぱり精神科とか、そういうお医者さんを連れていかないといけないということと同時に、行っている教職員が、もう一番行っている人は5回ぐらい行っているんですね。そうすると、お医者さんと事務職員を連れていっているんですけれども、非常に厳しいと。だから、そういう人をどうやって精神的なケアもするかというので、これ、厚労省とも組むと思うんですけれども、やっぱり全体で、そのときだけわっとサポートするのではなくて、息を長くサポートするというようなことを、産学官というか、何らかのこういう方、民間の病院も含めて、しないといけないなと思って、弘前大学はもうあんまり我慢できないので、福島にかなりの部屋を借りて、今什器設備を入れているものですから、そこに車も借りて、そこを自由に動けるようにと思って、1日から動いているんですけれど。でも、やっぱりそうやって、これから多分福島原発、早く収まってくれればいいと思うんですけれども、いろんなことで簡単ではないなと、そう思っています。ちょっと長くなりました。

【柘植主査】  それでは、羽鳥委員。

【羽鳥委員】  すいません、一言申し上げたいと思います。(3)のイノベーション・エコシステムに関係します。したがって、話がちょっと流れが変わっちゃって恐縮であります。
 昨年度の本委員会で、エコシステムの関連で、場の提供というのが大分議論されたかと思うんです。その1つのモデルケースとして、今回、再構築ということなので、検討できたらいいのではないかと思ったんですけれども。具体的には何かというと、例えば、アイメックのように、一定の先端装置みたいなものを東北のどこかに設置しまして、そこには大学も集まれるし、いろんな企業も集まれる、そういった集まる場をつくるというのを、これ、お金がかかることだと思うんですけれども、検討できたらいいのではないか。場所は、産総研なのか、公設試なのか、よくわかりませんけれども、そういった中間的なところに一定の最先端の設備、環境を整えて、そこにいろんな人、大学、企業が集まれる、そういった場の検討があったらいいかなと思いました。

【柘植主査】  今のところも、ぜひこの提言の3ページの上の(3)の拠点形成、イノベーション・エコシステムの構築に貢献、このあたりのところを今ご指摘、もうちょっと具体的に、場の提供というような言葉も使って充実したらどうかという。

【羽鳥委員】  はい。

【柘植主査】  どうぞ。

【野間口主査代理】  私は、ここに書いてある文言そのものには、もう全くそのとおりと思うのですけれども、そのとおりということで、終わってしまうのではないかと思います。具体性がなくて、次のアクションアイテムというか、アクションプランにつながらないのではないか。あまりにもうまくまとまりすぎている。だから、先ほどお三方がおっしゃった、井口先生も含めて、今までの発言で、具体的な取組が出ていますよね。例えば書きでいいから、そういうのを示して、何か具体的な動きが始まるなという形にしたほうがいいのではないかなと思います。例えば奨学金の話とか、あるいは海外の大学を活用するという表現ではなくて、留学生を選抜して送り込むとか、もっとはっきりとアクションが見えるような形の表現にすると、説得力が出てくるのではないかなという気がします。
 それから、これはいろんなところで言っているのですが、東北ばっかり目が行っていますけれども、今回の震災で、我々、強く再認識させられたのが、日本の電源問題ではないかなと思います。東大の濱田総長とお話をしていましたら、夏場はコンピュータの使用でいろいろ苦労するというお話がありましたけど、世界に冠たる首都圏のリーディング大学が、やはり電力で研究の進捗を左右されるというのは、これは非常に恥ずかしいこと。やはり長期的に見ても、我が国の電力対策、これをどうするかということについて、それは電源を調達するという意味ではなくて、産学官連携という点において、東北大も含めた、首都圏の大学と、もう少し電源に余裕のある地域とのネットワーク化とか、それは物理的なネットワーク及び知的なネットワークを含めて、この中に視点が入ってもいいのではないかなと思います。東北だけの問題ではなくて、この大地震が我々に教えてくれたことでして、そういう捉え方も、最後の方にでもいいので入れたら、もっと将来につながる形になるのではないかなと思いますので、そういう点もよく考えていただいたらどうでしょう。

【柘植主査】  大事な2点をご指摘いただいたと思います。例えばというものをできるだけ書く。これは、結局、この提言を受けて、行政側もあるし、それから、逆に、現地の現場のほうからやはり予算請求してくるときの1つの考え方としても、例えばというのがあると考えられやすいなと。それから、やっぱり日本全体の話というのも、最後に日本全体での産学連携を担っている方々に対する1つの提言という形でも、生かすべきかなと思いました。
 時間が迫っておりますが、4人でよろしいですね。それでは、前田委員、三木委員、高橋委員と常本委員で、すいません。

【前田委員】  昨年度から、コーディネーターの人の会議のために全国を文部科学省の池田課長とか前任の柳課長と一緒に回らせていただいているんですけど、やはり先ほど柘植先生がおっしゃったように、学長とか理事長と一体的に産学連携をやっている大学と、形だけという大学とあるのがすごくよくわかります。どちらかというと、これ、ざっくりとなんですけれど、一部の大学では、自治体とか産業界とかも入れて、大企業ではない、大大学ではない、地域の大学とかが、わりと学長とか理事長も一緒になってやっている感じがします。他の一部の大学では、どちらかというと、それがあまり進んでいなかったような感じがするんですね。産学連携、どうやったら学長をかませて活発にできるんだろうというのは、去年から、私、すごく感じていたんで、まさしく今回の震災なんかは、産業界の方の手を借りないといけない時期になっていると思います。
 そうしたときに、コーディネーターの方が学校にも張りついている形になっているんですけれど、地域外のところの情報だったり、好きなところにあちこち行けないというのがどうしても足かせになってきている大学もあるんですね。ぜひとも、どこにでも行っても大丈夫だったり、もう東北地方でないところから探してきたり、違う情報を持っているコーディネーターも活用できるような形にして、少し学校に張りついているコーディネーターさんだけでなく、もっと広域的なコーディネーターの人を配置して、自由に産学連携がさせてあげられるようなことを、この際というか、やってあげて、何もなかったときに、東北地方、どうやったら産学連携をもっと活発にできるのかなというのを、去年からすごく感じていたものですから、そういうような施策がとれるようになればいいのかなと思います。

【柘植主査】  ありがとうございます。ぜひひとつ工夫をしたいと思うんですが、私も前から気にしまして、これは誤解を受けないようにしないといかんですけれども、やはり前に文科省が支えていた90名近くの全国のコーディネーター、結構全国ネットワークを築いていたんですね。ところが、あるときから、今度は大学ごとに所属の今のコーディネーターになっちゃっているもので、前田委員がおっしゃったところの欠陥というのか、弱点が残ったままで、現場が動くのはなかなか制約があるというのがご発言かなと思うんですけれども。何か表現は別としても、コーディネーターが動きやすいような施策をというのも、表現の中へ入れたほうがいいかなと思いました。
 では、三木委員、それからお二方でお願いします。

【三木委員】  今、被災地の具体的なアクションを考えていくと、やはり一番大事な点は、産業が、今、生産設備も失ったところもある、研究開発どころじゃない、そういう状態だと思うんですね。それで、一方では、雇用自体も失われている。特に中小企業は非常に深刻な状況だと思うんです。そういうことを考えていきますと、少なくとも研究開発に関しては、産学で一緒に進める場合には、産学共同研究の制度ができた当初は、共同研究Aという制度で、一部国が共同研究費を負担するという制度もあったと思うんですね。こういったようなことも、今からの復興、そして再生、再成長ということを考えていくと、何らかの投資が必要になっているのではないかと私は思っています。そこまで書き込んでいいのかどうか、具体論としてわかりませんけれども、今後検討する課題の1つではないかと思っています。
 それから、公的な研究開発設備を一層オープン化しないといけないと思うんですね。そういった点は、具体的にやはり書いてしまったほうがいいのではないのかなと思います。
 それから、もう一つ、この中で被ばくの問題がほとんど書かれていない。被ばくされた地域の生活の場をどう復旧するかというところで、私ども、やることが多分まだまだあるはずなんですね。その辺のところを、短期的な課題であると同時に、やや中期的な課題でもあるんですけれども、現場では多分もう短期的に早くしてほしいと、そうしないと生活がもう成り立たないわけです。そういったところを具体的に、やはり被災地の人の気持ちに立って、私どもは具体論を入れたほうがいいと思います。
 それから、3番目ですけれども、中長期の問題で考えますと、今回は当然国全体としても、一種のパラダイムシフトをせざるを得ないような、エネルギー問題はもちろんそうですけれども、ほかの面でも必要になっているんだと思うんですね。そのときに、今までの産学連携が、往々にして要素技術を中心にした部分での理系の産学連携が中心になっていたわけですけれども、今回、いろいろな被害の状況とか、それから、被害が拡大していくこと、そういった中で、例えば通信網がもう全然機能しないとか、いろんな問題がありまして、やはりマネジメントシステムまで含めた、社会システムとして、やはり国民に役に立つ、ロバスト性の高い、そういうソフト面も含めた産学連携での開発が今から必要になるんだということを、1つは、パラダイムシフトのほんの一端ですけれども、入れたほうがいいのではないか。
 それから、そういったことが、実はこの後来るであろう、10年後かいつかわかりませんけれども、東南海の地震、それに対する備えでもあるんだということ、そういう大きな歴史の節目であるということをしっかりと書き込んだほうが、私はいいように思います。
 以上です。

【柘植主査】  では、あとお二方、高橋委員、それから常本委員、よろしくお願いします。

【高橋委員】  では、ピンポイントで具体的なところで、提言の(4)に関するところです。
 これ、被災地域の研究者等の確保・育成への貢献というところで、文言の趣旨の確認なんですが、今までに各委員がおっしゃっていたように、東北の復興を全国で支えるということがもちろん想定にあると思うんですが、とりわけ2段落目の「東日本大震災によって所属している企業、機関等が」の「地域としてその確保に取り組んでいくことが重要である」というのが、あたかも東北エリアの中だけで産と学が一緒にやるところがかなり中心枠になっているようなイメージがあります。たしか昨年度までの産学連携の施策の一つにも、なるべく長い期間、企業が大学に来るとか、長期間しっかりした人間的なおつき合いをすることがとても重要ですねということを、あえて今、東北地方が少しそういう意味では進捗が止まったという、このステージを生かすというような観点で、支えるほうは全国に。例えば、夏の電源問題もありますし、研究開発の中小企業が東北にあった場合に、研究拠点の一部を関西だったり北海道だったりに移すようなことを少しエンカレッジするような、特に人が長く別のところに行くシステムというのは、この現状では、少し動きやすくなるのではないかなと思います。
 例えば――本当に例えばばかりなんですけれども、今までやっていたJSTプラザの1件200万円くらいの小さなシードなんていうのを、全国レベルでくっつけられないかなとか、全く何にもおつき合いのないところからは、やっぱり始めるのはとても難しいので、今までやってきた施策を少し次のステージに上げるというようなことが考えられると、多分、日本全国に当事者意識というのが生まれて、例えば3週間でも関西のほうに東北大の人が行くと、多分、被災地のことがすごく身近になると思うので、そんなところがあるといいなと思いました。
 以上です。

【柘植主査】  ありがとうございます。
 では、常本委員。

【常本委員】  類似しているんですけれども、(4)のところの課題で、私は中小企業と割合情報が密なものですから、従来から中小企業というのは、事業継続をどうしようかと悩む企業がたくさんあって、今回の震災を受けたおかげでますますこれが強くなってきている。その中に、このような提案で、技術者、研究者を受け入れてくれるところがあると、勇気と希望を与えてくれるのではないかなという気がするので、これは非常にいい取組になると思って見ております。
 ただ、今ちょっとお話があったように、やはりここの書きぶりを見ると、被災地域の大学が中心となるような形になっているんですけれども、被災地域の大学は、先ほども情報にありますように、かなり状況が厳しい状況もありますので、これはやはり全国ネットにするような格好の書きぶりをもうちょっと入れてくれたほうが、多分、専門性も違いますし、マンパワー的にも被災地域は厳しい状況ですから、ぜひこの機会に全国に、さっきのコーディネーターの方がネットワークでうまく流してあげて、ぜひまた国としても、こういう移動される方の経済的な支援をきちんとしてあげてくれるような格好で、具体的に書けるかどうかわかりませんけれども、そこまで盛り込んだ支援体制ができると随分喜ばれるのではないかなと思いますので、ご検討いただければと思います。

【柘植主査】  ありがとうございます。
 時間の関係で打ち切らざるを得ないんですけれども、いただいたコメント、私は、大きく分けると、少し階層的に見ると、やはり我々の親委員会の参考資料1の、学術審議会全体の視点の、これをなるべく、場合によっては、ある場所は同じ表現を使ってでも、そして、その中で我々の産学官連携の施策として、できるだけ具体的な事例、例えばということをできるだけ書くと、多分、これを見た現場が書きやすいだろうと、こういう視点のご指摘が多々あったと思います。
 もう一つが、それを実行しようとすると、今度は2つの視点が指摘されたと思います。かなり従来の産学官連携のアクションを超えたものが多分それで提言されますので、やはり学長とか総長の組織が十分この産学官連携施策を担う組織と密に連携していかないと実行にならないと、こういう趣旨の話もやはり最後のところに一つ書く価値があるなと思います。
 もう一つは、野間口委員、三木委員もおっしゃっていたし、常本委員もおっしゃった、いわゆる全国的な視点というものの、あるいは、三木委員は、次に起こることに対する、生かすべきことだと。そういう視点も含めて、この提言の最後にやはり今の記述をすると、これは何も東北地方の被災者の組織、人たちの問題だけではないということのメッセージにこの提言が生きてくるなと思って聞かせていただきました。
 今日いただいたご意見に基づく修文、修正、事務局と主査のほうで一任させていただいて完成したいと思いますけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、少し時間が過ぎてまいりまして、次のほうに移りたいと思います。次は、議題(2)で、イノベーション・エコシステムの推進方策についてであります。
 昨年、「イノベーション促進のための産学官連携基本戦略~イノベーション・エコシステムの確立に向けて」を報告書として取りまとめましたが、イノベーション・エコシステムをさらに具体的に進めるためには、平成24年度に取り組むべき方策として、本日の第3回と次回第4回も活用して、継続して議論をしていきたいと思います。本日は、まずこの議題の具体的施策を議論するに当たりまして、科学技術振興機構研究開発戦略センターの林上席フェローより、科学技術イノベーション政策の海外動向についてご説明をいただき、議論を深めたいと思います。その後、事務局より、産学官連携に関する研究開発資金の現状についても説明をお願いしたいと思います。
 それでは、林さん、よろしくお願いします。

【林上席フェロー】  今ほどご紹介いただきました、JSTの研究開発戦略センターの林でございます。私の担当は、各国の科学技術動向ということをずっと調べておるというポジションでございます。したがいまして、少し雑駁な話になるかもしれませんけれど、それはお許しいただきたいと思います。
 資料2で説明をしたいと思います。1枚めくっていただきまして、最初は、ほとんどの方はご存じだと思いますが、復習の意味で確認をしておきたい。つまり、日本の現在の科学技術全般の立ち位置がどうなっているかということについてのマクロデータでございます。最初にありますのは、科学論文、特にサイエンスの力というのは研究論文で議論していますので、その研究論文で日本がどういう立ち位置にあるかということを示しております。これは2000年までは上昇傾向にありまして、基本的には2位に近づいて、最終的にはほぼ2位になったと思ったんですけれども、その後ずっと長期低落傾向、じり貧の状況にあります。それにかわって大きく伸ばしておりますのは、中国です。中国は、現在のところ第2位ということで、これはアメリカに――アメリカは大分まだ差がありますけれども、アメリカとほぼ世界をシェアしていくという格好になりつつある。もっと言えば、アメリカと中国とヨーロッパ、EUが世界をシェアしていくという格好になりつつあるかなと、これは勝手に思っております。
 しかし、これは論文の単純な数ですので、質は問題じゃないかという議論がありますので、その次のページを見ていただきますと、これは引用数をある程度頭に置いて、トップ10と言っていますけれども、各論文の引用数を頭に置いて、その中で10%だけ抜き出してくるというもののシェアでございます。これで見たら、やはり少し中国は下がる。もちろん、日本も相当下がるんで、これは問題なんですけれども。ただ、しかし、これで見ても、中国の躍進というのは相当はっきりしております。それで、やっぱりヨーロッパのトップ10になってくると、非常に質の高い論文を量産しているということで、イギリス、ドイツ、それからフランスといったものが相当多い状況になって、日本はやっぱりこれで見ても長期低落傾向にある。サイエンスで言いますと、したがって、日本は非常に厳しい状況にあるということははっきりします。
 その次のページに、今度は、工学レベル、あるいは産業技術に近いところ、これは特許ではかるというのが世界の趨勢になっているわけですけれど、これを非常にマクロの国全体で見るとどうなるか。これはWIPOのデータを出したものですけれども、日本は一貫して世界トップです。これは最近はアメリカも結構頑張っていますけれど、それでも日本ははるかに強いという状況にあります。ただ、これで見てもわかりますように、中国の躍進が非常に目立ちます。これは2008年ですから、これから3年後になると、相当日本なりアメリカに近づいているという状況が考えられると思います。
 では、今度はその次のもの、いわゆる産業そのもの、実際ものを売って、それで、どのぐらいの売上なり利益を得ているかということに近づくわけですけれども、これはハイテク製品という切り口がありまして、これはOECDがどういったものをハイテク製品とするかということで議論した上で、それで輸出額で各国のシェアを出しております。これはハイテク製品全体のものが4ページでございます。これで見ますと、やはり日本は、2000年代はこの赤い一番下ですけれども、頑張っておったんですが、どんどんじり貧で下がってきております。アメリカも、アメリカは日本の倍近くあったわけですけれども、これもシェアを落としているという状況です。驚くべきは中国でございまして、中国は2000年では真ん中のほうのちょっと濃いグリーンなんですけれども、4.5だったものが、2008年で18.0と。これは2008年ですから、これからさらに3年たつと、もっと大きなことになっているという状況にあります。ドイツは意外と頑張っていまして、ドイツは2000年で日本よりちょっと下だったんですけど、現在はもう逆転しておるという状況で、この辺で日本の、非常にある意味で悲惨な状況が見てとれるということだと思います。
 それから、これを分野別といいますか、製品別に見たものはその次のページに出ておりまして、これで見ますと、中国は非常に偏っています。中国の強いところというのは、電子機器とか事務機器・電子計算機、こういったもの、あるいは、一番下の光学機器・精密機器、こういったものが非常に強いわけです。日本も実はほぼ同じ傾向にあります。これは韓国も同じなんですけれど。だから、日本と中国と韓国とは、同じようなもので闘っているという状況があります。アメリカは満遍なく強いんですけれど、特に航空宇宙が非常に強いですね。それから、ドイツも結構満遍なく頑張っているという状況にあります。ただ、これで気をつけなければいかんのは、中国というのは、本当に中国そのものの実力を表しているかどうかは極めて疑問です。つまり、中国に進出したアメリカなり、ヨーロッパなり、あるいは日本の企業が、そこから輸出するというものが十分ありますので、そういったものはここに入ってしまっている。したがって、中国がこれだけ本当に強いかどうかというのは、随分議論のあるところでございます。
 そこで、その次のページになりますけれど、今度は私のところの同僚といいますか、研究開発戦略センターのところで調査したものを私が少し手直ししてというか、作成し直したものでございます。これは先端科学技術分野を、6分野について、2009年に、これは250ぐらいの分野の専門家に調査を依頼しまして、どこが一番強いかということを5つのエリアで比較検討させたものを、これは単純に足し算しています。だから、単純に足し算することがいいかどうかという議論はあります。したがって、これは1つ参考として見ていただきたいんですけれども、これで見ますと、アメリカというのは大体ほぼ満遍なく強いという状況にあります。ただ、この2009年の時点では、日本はナノテクと環境技術というのは非常に前進しておって、ほとんどアメリカとかヨーロッパと近いものの、世界一だということが、この時点ではなっております。ただ、2011年、現在ほぼ出つつあるんですけど、これで言うと、ナノテク・材料は、アメリカにもう既に負けている。環境についても、欧州に、アメリカはもう非常に近づいてきていますので、日本は世界一にはなっていない。それから、電子情報通信なりライフサイエンスでは、さらに差は広がっているという状況が出ています。問題は、韓国と中国が非常に低いんです。これはこの比較の仕方が問題じゃないかという議論を呼んでいるところであるんですけれども、これはおそらく研究者の感覚がそうしているんであって、実際はもう少し、特に中国は非常に強いのではないかと思っています。2011年のデータ、ここには今書いていませんけど、これでは韓国が非常に善戦しておって、特に臨床医学では日本と韓国はほぼ差がないという状況になっているという結果が出ております。
 さて、それで、こういったものを少し頭に置いて、世界の科学技術、あるいはイノベーションの動向はどうなっているかということを、大きく4つの国、アメリカとヨーロッパと中国と韓国と、時間がある限り説明したいと思います。
 まずアメリカでございますが、アメリカは、オバマ以前から相当大きな動きがあって、基本的には科学技術、あるいはイノベーションというものを競争力強化、雇用確保ということで明確に位置付けておって、それに向けて着実にいろんな布石をしておるということでございます。有名なのはパルミサーノ・レポート、あるいはオーガスティン・レポートというのを出しておりますし、それを受けて、ブッシュ政権のときから、「米国競争イニシアティブ」、あるいは「競争力法」といったものを、既に法案なりイニシアティブとして出しておるということでございます。
 その次のページに、オバマになりましてから大きな変化というか、方向としては全く同じなんですけれども、具体的な方策が打ち出されておる。オバマさんの大きなポイントとしては私は2つあると思っていまして、1つは、エネルギーにおいての非常に野心的かつ冒険的なものを拡大していく、それが1点。それから、もう一つは教育、特に初等中等教育を中心にした、STEM教育と言っていますけれども、科学技術、それから工学、数学、そういった理数科教育、そういったものを重視しようという考え方が非常に明確に出ております。
 これは最初に書いてありますのは、リーマン・ショックを受けまして、アメリカとしては経済を活性化する必要があるということで、再生投資法という、これはある意味で言うと、補正予算、あるいは追加予算パッケージ的なものを出したわけです。これはものすごく大きな金だったわけですが、その中の数%が科学技術予算になっております。その中で、ARPA-Eというものは、特にエネルギーの、非常に野心的なエネルギーを生み出していこうというものが明確に予算化されたということでございます。それを実質的にフィロソフィーとして裏付けるものとして、この年の9月にイノベーション戦略というものが出ておるという状況でございます。
 その中で、特にその2つのうちの1つがエネルギーでございますが、その次のページにありまして、エネルギーは、大きく言って、特に研究開発のところで非常に見るべきものとしては3つあるのではないかと思っております。これはエネルギー全体はいろんな大きな研究開発エリアですから、いろんなものがあるんですが、その中で特にアドーンしていく部分、非常に冒険的・野心的に、つまり、科学技術に一回立ち返って、もう一度エネルギー全体のつくり方まで含めて確認しようじゃないかという研究を進めておるということでございまして、1つ目が、「エネルギーフロンティア研究センター」ということで、これだけのお金で46のセンターをつくりまして、そこで言ったような太陽エネルギー、あるいは電気エネルギーの貯蔵といったものをやっておるということでございます。
 次のページに行きまして、次は、DARPAの成功を受けまして、ARPA-Eというものをつくりまして、ここでいろんなプロジェクトを公募しまして、それで研究開発をやっている。これの特徴は、ベンチャーというものをできるだけうまく使っていこうということで、「輸送用機械のバッテリー」とか「スマートグリッド」といったものに対して、非常にたくさんのプロジェクトが採択されておる。
 それから、3つ目としては、少し大き目ですけれども、「イノベーション・ハブ」というものをつくって、そこでセンターとしていろんな研究をつくろうと。ここにあるエネルギーのベル研究所をつくるということになっていますけど、そういったものをつくっていこうと。
 この3つの大きな柱によってエネルギーをやっていこうということになっております。
 それから、もう一つのアメリカのあれは、先ほど言いましたように、初等中等教育を中心としたSTEM教育です。これは特にオバマさんの今年の年頭教書でもありましたように、アメリカはもう圧倒的にこの分野で遅れておるという考えというのが明確で、どこと比べて遅れているかというと、残念ながら日本ではなくて、特に韓国です。韓国は非常にこの分野では強い。それから中国。そういったものに対して明らかに遅れているという認識を非常にはっきり持って、それに対して何とかしたいということで、DARPAに続いてARPA-Eがあるわけで、その次に今度はARPA-EDというものをつくろうという議論を今度の予算に提案をしておるということで、それ以外にいろんなパッケージがありまして、教員を増やす、それから、非常にいいプログラムには補助金を出す、それから奨学金、こういったことを重視しながら教育をやっていこうというふうになっております。
 続いてヨーロッパですけど、ヨーロッパは特に個別ではなくて、全体のEU連合というところで見ますと、EU連合は、これはご存じの方は多いと思いますけれども、フレームワークプログラムというのが現在走っておって、これがある意味で言うと非常に大きなグラントを出しておるわけでございます。問題は、ここに最初に書いてありますのは、現時点でのフレームワークプログラムがどれぐらいの規模で、どれぐらい2013年までやるということは書いてあるわけですが、問題は、この次のステップをどうするかということが非常に大きな議論になっておるわけでございます。これが13ページでございます。
 ヨーロッパは、特にポルトガルとかギリシャ危機もありまして、非常に経済的に厳しい状況にある。したがって、それは科学技術も例外ではないということで、関係者はできるだけ科学技術を増やしたいわけですけれども、なかなかそうはいかない。それに合わせて、フレームワークプログラムというのが若干基礎のほうを重視している。これは実際そうではないと私は思っているんですけれども、そういうふうに実際金を出しているところから見られているということで、それをできるだけイノベーションに寄せていこうという考え方を持っているようでございます。
 それで、13ページの一番下に書いてありますように、研究総局という名前であったわけですが、それを名前を変えまして、イノベーションを明示するといったこともやっておりますし、それから、フレームワークプログラムが2013年までなんですけれども、その次のステップでは、もうフレームワークプログラムではだめだ、伝わらないと、イノベーションに寄せた格好での研究開発を入れて、それで全体として膨らまして議論していこうということもこれから考えているという状況にあります。
 それから、中国でございます。中国は、14ページの最初に左側に書いてありますのは、15年間の中長期計画です。これで、特に真ん中のほうに書いてありますように、2020年までに2.5%のGDP比での研究開発投資をしたい、これが非常に大きな考え方なんですけど、実際はそこまで追いついておりません。今回、5年間のプログラムを切り出したものが、第12次の五カ年計画、これは科学技術だけではなくて、全体です。経済も含めて、全体の五カ年計画が出ておりまして、その中で科学技術が一部明らかになってきておる。それのよりディテールは、科学技術の五カ年計画で別途つくりまして、これは現在策定中です。これはまだ出しておりません。
 ただ、全体の中で出てきたものとしてはっきりしているのは、15ページに書いてありますことでございまして、非常に大きいのは、2015年までに対GDP比で2.2%とすると。これは、日本は3.5から3.7ぐらいですから、そんな大したことないように見えますけれども、中国はどんどん経済成長しているわけですね。参考のほうに書いてありますけれども、年平均で7%伸びている。そうすと、5年間で大体1.5倍ぐらいになるんですね。複利でいきますから。そうすると、それが2.2まで伸びると、何とそこに上のほうに書いてありますように、18.45兆円、これはその時点での1年間の数字ですけど、これはIMF換算ですから、購買力ではないんですけど、日本の19兆に匹敵すると。したがって、ものすごいお金を中国は研究開発へ投資するということになります。
 ただ、これは算定の仕方が日本の研究開発費と中国の研究開発費と若干違いますので、施設的なところも相当大量に入っているような気がしますので、これは本当にそうかどうかという議論はありますけれども、いずれにしてもものすごい金余りになっている状況だということを頭に置いておく必要はあると思います。
 16ページに行きまして、では何に使うかというのが、その五カ年計画に大体書いてあります。これを見ますと、大体頭にあるのは全部書いたということで、そんなに抜けはありません。むしろ、今まで日本なり、あるいはアメリカ、ヨーロッパがやってきたことを、基本的には大きな方向で変えないということだと思っています。しかし、こういったものを中心に、やはり中国もイノベーションということで、科学は、先ほど言いましたように、非常に強くなってきているんですが、イノベーションに弱点があると彼らも言っておりますので、そういったものを増やしていくという発想になっていると思います。
 それから、もう一、二分いただきまして、韓国だけ簡単に言いますと、韓国は、これは小さい国ですから、そんな大きなインパクトはないと思いますけど、1つだけ特徴は、大統領制で非常にトップダウンがはっきりしています。したがって、その影響がいろんなところに出ております。特に1つ注目するところは、「低炭素・緑色成長」戦略、つまり、グリーン・ニューディールと言っておりますが、これを他に世界に先駆けて李明博大統領が実施するというふうに宣言して、実際やっております。
 真ん中辺に2008年、これはちょっと前だと思いますが、建国60周年のときに李明博大統領が話した言葉がそこに書いていますけれども、初めて車を韓国でつくったときには、日本なりヨーロッパ、アメリカと格差は50年あった。しかし、現在は、ヒュンダイですけれども、世界第5位であると。それから、半導体を初めてつくったときには、20年の格差があると思った。しかし、それはもう今やサムスンが世界一だと、こういうことを言っておりまして、緑色成長でも韓国は世界一になり得るという非常に明確な方針を示しておりまして、予算も増やしたい、こういうのが韓国の考え方です。
 それから、もう一つ、次のページへ行きまして、李明博の非常に大きなイニシアティブとしては、組織改編を非常に明確にやっております。特にこれは日本の総合科学技術会議を見習ったという話もあるんですが、これはもう全然違いまして、ものすごく強い権限を持った国家科学技術委員会というものをつくっております。これは常設委員会として、かつ専任事務局を持っておる。122名ですか。ポイントは、下に書いてあります予算配分、これは日本の総合科学技術会議、SABCなんて、こんなもの比ではなくて、実際、財務省の権限を完全に掌握して、財務省は全体枠だけを示して、個別の予算はここがもう査定をするということになっている。これは、しかし、まだ言っているだけで、私はこの前実際行って、話を聞いてきたんですが、非常に意気軒昂ですけれども、実際はっきりするのは今年の9月だと言っていますので、これはもう一回確認しなければいかんと思います。
 これはプロジェクトをベースに査定をしまして、科学技術全体で言うと、プロジェクト的なものだけですので、例えば大学の運営費交付金みたいなものは入っていないですね。そういったものを除いてやっていますので、プロジェクトベース、全体ベースで言うと、75%のものが入ってくるということになっています。こういったことをやりますので、ある意味で言うと、大きな方向で選択と集中、あるいはトップダウンがはっきりするということで、韓国も依然として侮れないかなということで思っております。
 ちょっと雑駁な説明になりましたが、とりあえず説明は以上でございます。

【柘植主査】  ありがとうございます。
 引き続きまして、事務局より、産学連携に関する研究開発投資の現状について説明をお願いいたします。いいですか。

【寺崎産業連携・地域支援課長補佐】  では、引き続きまして、資料3について説明させていただきます。
 資料3は、産学官連携に関するデータ、特に研究開発資金関係の資料を集めさせていただいております。これは前回の資料でもございました、短期的検討案件の中に、競争的研究資金制度の在り方、もしくは大学発ベンチャーや共同研究支援の在り方という短期的検討案件というのがございました。まさにそのあたりのご議論をしていただくための参考になる資料と考えてございます。
 資料の構成といたしましては、まず大きく3つに分かれておりまして、産学官連携関係の競争的研究資金制度の現状、また、2つ目といたしまして、昨年11月に行政刷新会議、いわゆる事業仕分けの第3弾がございました。ここで文部科学省の競争的資金が対象になってございますので、それに関する資料、また、3つ目といたしまして、大学発ベンチャー、共同研究に係る、主に研究資金などに関するデータを入れてございます。
 ページをめくっていただきまして、2ページ目でございます。文部科学省の競争的資金のイメージを1つの絵にしたものでございます。左から右に行くに従って、出口に近くなるというふうな位置付けでございます。一番左側に科学研究費補助金、いわゆる科研費というものが、研究者の自由な発想に基づく研究を支援するものとしてございます。さらに右に行きまして、戦略的創造研究推進事業、いわゆる戦略と呼ばれているものですが、これが課題解決型基礎研究。産学官連携関係の事業というのは、戦略の右側の、出口に近いほうで、いわゆる橋渡し型の研究開発支援をしているものでございます。
 1枚めくっていただきまして、3ページ目でございます。産学官連携関係の競争的資金というのは、JSTで行われております研究成果展開事業という形で一本化してございます。これは後ほど説明させていただきます行政刷新会議の事業仕分けの結果を受けて、今年度より一本化しているものでございます。この研究成果展開事業におきましては、4つのプログラムからなってございます。下に行きまして、研究成果最適展開支援プログラム、いわゆるA-STEPと呼ばれているもの、また、戦略的イノベーション創出推進プログラム、これは戦略の次に基礎研究の成果をもとに、大規模かつ長期的な研究開発を行うものでございます。また、産業界に共通する技術的課題の解決に資する基盤研究として、産学共創基礎基盤研究プログラム、また、世界最先端の計測分析機器開発を行う先端計測分析技術・機器開発プログラムがございます。特に本日は、産学官連携関係の基盤的な資金でありますA-STEPの資料を中心にご用意させていただいてございます。
 4ページ目でございますが、産学官連携関係競争的資金、4つプログラムがありますが、その全体の関連性を示したものでございます。上の表の一番左側にプラットフォーム活用型と知的財産活用型とございますが、A-STEPは知的財産活用型というところにカテゴライズしてございます。研究方法といたしましては、特定企業と特定大学の研究者による研究開発を想定しておりまして、分野は特定してございません。自然科学全般を対象としてございます。また、実施者としては、特定の大学等の研究者と企業(1対1もしくは複数対1の連携)で行うものを想定してございます。
 5ページ目に行っていただきまして、A-STEPの詳しい資料でございます。この研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)は、大学等の研究成果を実用化につなぐことを目的といたしまして、課題や研究開発の特性に応じた最適なファンディングを設定し、総合的かつシームレスな支援を実施するということになってございます。特にこの支援制度のポイントといたしましては、下の一番左側に公募窓口というものがございます。このA-STEP自体は、さまざまな支援タイプを提供してございますが、公募窓口は一本化してございます。ユーザーの視点に立って一本化して、公募を行ってございます。また、一番下のところに、フィージビリティスタディ、本格研究開発とございますが、フィージビリティスタディを導入することによって、少額かつ短期間で実用化の可能性を検証するようなステージを設けてございます。さらに、それぞれのタイプが連続性がございまして、ステージゲート評価によって、評価の効率性を高めながら、シームレスに支援しているという事業でございます。
 続きまして、6ページでございます。A-STEPにおけるシームレスな支援として、研究開発のリスクを縦軸、研究開発のフェーズを横軸にしてございます。研究開発フェーズとリスクに応じた支援タイプをユーザーが選択できるようになってございまして、効率的に研究開発の推進を可能にしているということを説明した図でございます。
 続きまして、ページをめくっていただきまして、7ページ目でございます。A-STEPの支援タイプにはどのようなものがあるかを示しているものでございます。フィージビリティスタディと本格研究開発に分かれてございます。特にポイントといたしましては、真ん中、申請者の要件というものがございますが、フィージビリティスタディは、大学等の研究者が中心に企業と一緒になって行うもの、本格研究開発は、特にハイリスク挑戦タイプより右側でございますが、こちらは大学のシーズをもとに企業が中心になって実用化を図っていくものでございます。また、そのすぐ下の研究開発規模でございますが、左から右に行くに従いまして、研究開発費の金額も大きくなってございまして、研究開発期間も長くなる。例えば、一番右側の委託開発ですと、最大で7年間で20億円まで研究開発費を出すことができるような支援プログラムとなってございます。一番下が研究開発費の性格ということで、言いかえれば、企業の負担と国の負担を明示するものとなってございます。グラントと書かれているものは、国が支援して、返済等の義務がないものでございます。また、マッチングファンドと呼ばれるものにつきましては、国が2分の1負担、もしくは、中小企業が対象となる場合は3分の2負担するものでございます。また、一番右側の中小・ベンチャー開発、創薬開発、委託開発におきましては、売上に応じて実施料を納付することになってございます。また、委託開発におきましては、開発が成功した場合には、10年間で研究開発費を返済していただくということになってございます。
 次に、8ページでございます。A-STEPの募集実績と採択実績についてのデータでございます。A-STEP自体は、既存事業の統合等によりまして、21年度から開始されたものでございます。ですので、21年度、22年度の実績についての採択率についてのデータでございます。一番右側の平均値を見ていただきますと、例えばシーズ顕在化起業検証ですと、16.6%の倍率、探索ですと21.6%、本格研究開発ですと13.4%。ここからもニーズが高くて、高い倍率となっているということがわかります。
 9ページ目でございます。こちらはJSTの産学官連携・技術移転事業におけるこれまでの社会還元事例でございます。本日は時間の関係で省略させていただきます。
 次の10ページ目でございますが、研究成果展開事業のA-STEPの中で、新たな取組を始めてございます。これは本年度から、本日もご出席いただいております土田委員のいらっしゃいます産業革新機構との連携を通じまして、研究開発の実施段階から事業化課題についての助言をいただきながら、技術移転、事業化を推進していく仕組みでございます。
 11ページ目以降につきましては、本日時間の関係で省略させていただきますが、研究成果展開事業のその他の支援プログラムでございます。
 続きまして、事業仕分け関係でございます。15ページでございます。昨年の11月に行政刷新会議「事業仕分け」の第3弾が行われました。文部科学省の競争的資金(19制度)が対象となってございます。産学官連携関係で申し上げますと、左側にございます、研究成果最適展開支援事業(A-STEP)と、それ以外の事業、昨年までは産学イノベーション加速事業という大きなくくりの中に、産学共創基礎基盤研究、戦略的イノベーション創出推進、先端計測分析技術・機器開発がございました。評価結果といたしましては、制度の見直しを行うと、予算要求の縮減ということが書かれてございます。取りまとめのコメントの抜粋の中で、研究成果最適展開支援事業や産学イノベーション加速事業については、ボトムアップ型の科研費とトップダウン型の戦略的な競争的資金とは別立てで、民間の負担を入れて行うべきものについては、そもそも文部科学省が行うべきものであるかも含め整理をすることという指摘がなされてございます。
 また、別添のほうにつけさせていただいているのですが、評価結果の中で、研究成果最適展開支援事業と産学イノベーション加速事業については、2分の1以上の民間負担というところがございまして、これをすべきというふうにした仕分け人の方が、10名中6名いらっしゃったという現状でございます。
 引き続きまして、16ページでございます。事業仕分けを踏まえた文部科学省の対応でございます。先ほど19制度と申し上げましたが、グローバルCOEを除く18本については、見直し後、5本に大括り化されてございます。産学官連携関係で申し上げますと、A-STEPと産学イノベーション加速事業というのが、研究成果展開事業、先ほどご説明させていただきました事業に統合されているというのが現状でございます。
 めくっていただきまして、17ページでございますが、これは参考までに、A-STEPにおける企業負担に関するデータをつけさせていただいてございます。2分の1を民間負担すべきという議論もございましたが、これが直接的な回答かどうかは別といたしまして、ご参考までに、研究開発費にかかる国・企業の内訳というのを整理したものでございます。昭和36年から、A-STEPの前身の委託開発という事業が始まってございまして、全投入額、国及び企業の合計というのが、2,237億円でございます。企業負担という定義にもよるのですが、企業負担をするものとして、大きく3つございまして、委託開発費を10年間で回収する分、マッチングファンドによって企業が負担する分、あと、ライセンス料収入回収分でございます。この3つを合計いたしますと、1,328億円となってございまして、全投入額の約6割を占めるような状況になってございます。また、A-STEPの売上額、下の部分でございますが、全体としては、ライセンス料収入から計算いたしますと、約5,481億円という状況になってございます。こちらは参考のデータでございます。
 18ページ目以降は、その他の産学官連携・実用化に関するデータ、研究開発資金関係を中心としたものでございます。
 まず最初に、大学発ベンチャー関係でございます。20ページをご覧ください。大学発ベンチャーの設立累計の推移でございます。左側に関しましては、我が国の大学発ベンチャーの設立実績として、平成21年度で約2,000社を超えてございます。一方で、右側の年間設立数でございますが、青色の棒グラフでございますが、平成16年、17年をピークに減少してきてございます。また、緑色の線のグラフでございますが、精算・廃業・解散/休眠している大学発ベンチャーというのが、平成14年以降、件数が増加しているというのが現状でございます。
 次のページをご覧ください。大学発ベンチャーの資金の関係でございます。左側の最も資金確保が困難なステージとして、シード、アーリー段階を挙げている大学発ベンチャーが6割を超えてございます。また、右側、これらのステージにおける資金の使途というのは、研究開発費が多くを占めるという状況になってございます。
 22ページをご覧ください。大学発ベンチャーに、現在の直面する課題というのをアンケート調査した結果、これを毎年、3年間連続的に調査した結果でございます。赤い丸で囲ってございますが、「資金調達が難しい」が一番の課題だと。一番の課題の場合は青色の棒グラフになりますが、「資金調達が難しい」と言っている大学発ベンチャーが、平成18年、19年、20年と、年を追うごとに伸びていることがわかるかと思います。経済不況とか厳しい金融情勢等を反映して、資金調達が難しいと回答する大学発ベンチャーが近年増加していることがうかがえます。
 次のページは似たような情報になりますので省略させていただきまして、24ページでございます。これは大学等発、これは独法とかのベンチャーも含まれておりますが、大学等発ベンチャーの抱える課題についての調査結果でございます。縦の平均点というところに線が引いてありますが、点数が高いほど課題として認識している割合が高いことを示してございます。これを見ますと、大学発ベンチャーが抱える問題として、「販路・市場の開拓」、「収益確保」と並んで、研究開発費や人件費も含めた「資金調達」が大きな課題となってございます。また、特に青い棒グラフをご覧いただきますと、資金調達の研究開発費、人件費のところで、青い棒グラフのほうが少し平均点よりも高め、ほかの分野に比べて高い。これは医薬品、医療にかかる製造業でございます。医薬品関係ですと、特に資金調達というのが大きな課題となっているということがわかるかと思います。
 次のページをご覧ください。エンジェルやベンチャーキャピタルの投資の関係のものでございます。左側はベンチャーファイナンスに関する図でございまして、アメリカにおける構成でございます。一番左側のシーズ期においては、公的資金関係で資金を支援している状況ですが、創業期、成長期、安定成長期にかかり、ビジネスエンジェルやベンチャーキャピタルが創業期、成長期の資金を支えているということがわかります。一方で、左の下の表を見ていただきますと、これは平成20年度の経産省が委託した調査の報告書に載っているデータですが、日本の投資家の数というのは、アメリカと比べて20分の1以下でございます。また、年間の投資総額というのも、アメリカに比べて100倍以上の開きがあるという現状がございます。また、右側の先進各国のベンチャーキャピタルの年間投資総額の対GDP比、これは2006年のデータですが、日本は0.007%ということで、OECD33カ国中30位と、極めて低い水準にあるというものでございます。
 次の資料は省略させていただきまして、最後に、28ページをご覧ください。1つ議論のご参考となるように、米国におけるギャップファンド(グラント)の例をここで入れさせていただいてございます。ギャップファンドというのは、定義はさまざまございますが、大学の研究室へ比較的少額の研究資金などを供与いたしまして、大学の基礎研究と事業化の間に存在する切れ目を埋めることによって、大学の先端技術の技術移転や大学発ベンチャーを創出していく基金であるというふうに言われてございます。米国においては、スタンフォード大学ですとか、それ以外のさまざまな大学において、このギャップファンドという考え方が進めてございます。また、例として右側に入れております、カリフォルニア大学サンディエゴ校においては、ファンディングとあわせて、技術と経営双方に精通した技術アドバイザーを活用して事業化のサポートを行っているという現状もございます。
 以上が大学発ベンチャーに関する資料でございますが、本日はお時間の関係もございますので、ここで説明を終了させていただきますが、このようなギャップファンドですとか、事業サポートの関係、また、日本においては息の長い支援が必要かどうかについてもご議論いただければと思っております。よろしくお願いいたします。

【柘植主査】  ありがとうございます。
 それでは、約20分時間がありますので、林上席フェローのお話、それから、寺崎補佐からの資料3に基づいてのもの、できたら、せっかくの機会ですので、アメリカと日本とか、立体的な質問がいただけるといいのではないかと期待をしておりますが、どうでしょうか。
 永里委員、どうぞ。

【永里委員】  資料2の林先生のことについて、11ページ目に、米国の現状認識というのがございます。ところが、その前に、この先生が提供している種々のデータ、図は、日本が非常に競争力を失っているということであり、別の言い方をしますと、日本そのものが、日本人が、極端な言い方をしますが、劣化しつつあるのではないか。相対的にですよ。ということは、それは結局、初等及び高等教育に遠因があるのではないか。アメリカが数学や科学教育の質は多くの国から遅れをとっていると11ページに書いてありますが、まさしく日本も今その状態になりつつあるのではないかということで、そういう点では、これは初等も高等教育も両方含んでいるんだと思うんですけど、これを強化するというようなことを考えるべきではないか、また、そういう提言をすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

【林上席フェロー】  結論から言うと、そのとおりだと思います。ただ、アメリカは何でこういうことを言っているかと言いますと、アメリカはまずどういう状況かというと、アメリカは非常にうまく人が回っているんですね。つまり、自分のところでつくらなくても、中国とか、韓国とか、インドとか、それ以外の国からじゃんじゃん人が入ってくるんですね。したがって、そういう意味では、あんまり彼らは実質的な人が、研究者なり、それは困っているかと言えば、困っていないんです。
 ただ、この前の2001年の9.11のときに何が起こったかというと、いきなり止めたわけですね。止めると、やっぱりえらいことになるわけですね。留学生も、それから研究者の動きも。そういうことがあるものですから、基本的にやっぱり自分のところの体力として、自分のところの研究者、自分のところの技術者をある程度確保する必要があるという考え方から出てきているんだと思うんです。これは私の考え方ですけれど。
 実際困っているかと言うと、困っていません。日本は大変これから困ると思います。ただ、日本の場合は非常に問題なのは、そのときに、例えば私なんか、ポスドク問題って大変大きな問題だと思うんですけれども、ポスドクをあれだけつくって、どこに持っていけばいいんだと。ないんですね、実際。これはいろんなところが責任をなすりつけ合っていて、要するに、産業界からすれば、大学が悪いと。ろくな人間をつくらないから、おまえらはだめなんだと言うし、大学は、ちゃんとつくっていると。つくっているのに、おまえら使わんからいかんのだと、こういう議論をやり合っているだけでして、実際はほとんど進んでいない状況です。これは一番いかんのは、多分日本だと思いますね。
 ヨーロッパは、先ほど、FP7という非常にいいシステムなのが、ヨーロッパの27カ国の人間をそこではぐるぐる回すシステムになっているんですね。だから、グラントを取るときに、例えば1つの国だけではなくて、3つ持ってこいと。そうすると、例えばイギリスとドイツ、これは非常に進んでいるけど、あとはポーランドを持ってきて、ポーランドの人間を入れてかき混ぜる。さらに最近進んでいるのは、アフリカとか、中東とか、ロシアまで入れて混ぜているんですね。そういうことで、彼らは、イギリスは英語ですけれど、それ以外のところは英語という教養もないけれども、全体として人間を確保している。
 中国は、そんなことせずに、人間は山ほどおるんですね。したがって、今、実際、相当失業率はありますけれども、実際はそれほど困っていない。しかも、どんどん帰ってきているという状況にあるので、おっしゃるように、一番困っているのは多分日本だと思います。ただ、それについて、これは私が具体的に初等中等教育をどうすべきか、高等教育をどうすべきかというのは、私自身はそれは専門家ではないんでわかりませんけれど、明らかにほかの国と、あるいは、ほかの地域と比べて、研究人材がおかしくなってきているということは、これは事実としてあると思いますね。

【柘植主査】  今の視点は、この推進委員会の視点で、秋ぐらいから、いわゆる日本のイノベーション・エコシステムのエンジンってどうなっているのか。アメリカの事例、ヨーロッパの事例なんかは、教育も含めて、持続可能なイノベーション牽引エンジンというのが描けているなと。これを少しビジュアライズしたいなと思っています。ここでは、今、林フェローがおっしゃったように、日本のイノベーション牽引エンジンは、持続可能なというのは、教育も含めて、どうなっているんだろうかというのが、この資料3から見ると、非常に書きにくいなという感じが、その辺が今お二人の話を聞いていて感じました。今期の、この秋以降の活動の中で、今の視点はぜひ残して、見える化していきたいと思っています。
 ほかにどうぞ。前田委員、どうぞ。

【前田委員】  林さんの海外の政策動向、これを見ていて思ったんですけれど、私、一昨年に中国のクラスターの関係のところに、経産省に当たるところに行って、情報交換をさせていただきました。一昨年で、日本のほうがまだ進んでいるかなと。でも、すごく頑張っているな、危機感を感じるなと思ったんですけど、日本はちょっとクラスターという言葉を今使わなくなってきていますが、せっかく芽が出始めているものとかもありますので、知的クラスターとかで伸ばしたところの分野というのは、ぜひとも上手に育てていってもらいたいなと思っていると同時に、やはり一昨年行ったドイツとかフランスのクラスターを見ていますと、大企業を核に、大企業を入れてクラスターをつくって、そこの周りに中小企業がたくさんいて、大学もいてというような形ができているんですね。日本の場合、なかなかそれは難しいのかもしれないんですけれど、これだけ競争力が落ちていると、もうちょっと大企業の人にも入っていただいて、クラスター的な要素をもっと力を入れてもいいのかな。そうしないと海外に負けてしまうのではないかなというのを、この2年ぐらい、クラスターのところをいろいろ見ていると、私はちょっと感じたりしています。このときに、本当に大企業が入れられるのかどうか、私にはわからないんですけれど、そういう感じを持っています。

【柘植主査】  ありがとうございます。
 まさに日本のイノベーション牽引エンジンの設計を見える化していく中で、クラスターというものをもうちょっと重視したほうがいいのではないか。それはまた逆に、ヨーロッパなんかの事例があるよ、そういうご発言だと思います。
 ほかに。どうぞ、渡部委員。

【渡部委員】  2つ資料を並べて見てということなんですけれども、こちらの現在のイノベーション施策、産学官連携施策のデータ、これは私もずっと関わっていますけれども、大学発ベンチャーにしろ、共同研究、産学連携にしろ、いろいろやってきているわけですね。いろいろやってきて、それなりに成果は出ていると思うんですけれども、こっちの林フェローの資料を見ると、どっちかというと、どんどん中国なんかに追い上げられ、もしくは、すっと抜かされると、こういうデータですよね。
 これをどういうふうに見るか。それはやはり財政とか、いろいろ厳しい中で、負けないようにもっと頑張ろうというのは当然1つあるんだろうと思います。やるべきことを絞って、そして、成果が出そうになっているところ、ベンチャーなんかも、東大なんかは非常にいいベンチャーの芽が出ていますので、そういうものを絶やさないように、後押しをするということも必要ですし、先ほどのギャップファンドなんかの話も、これは技術移転のときに、もうちょっとという部分は投資するということも必要ですし、そういうことをやっていくんですが、一方で、それだけで本当にこの、どんどん追い上げられて、抜かされていくのが逆転できるのかと、やはり考えざるを得ないところがあります。
 先ほどのアメリカの話もそうなんですけれども、1つ、例えばアメリカというのは、人材を自国民でなくて、むしろ外国人に非常に依拠してイノベーションを進めてきたという話がありました。これは、結局、イノベーションインフラをオープン化して、外のものを使っているわけですね。ヨーロッパの話もありましたが、国境を越えていろんな活動をしているというようなこともあって、やはり日本の場合、ちょっと今まで足りないのは、イノベーションインフラをともかく国内で全部完結させようという部分は、どうもやっぱり強かったのではないかと思います。
 ベンチャーなんかに関しても、これは震災でちょっと止まっちゃっているみたいですけれども、今のルース大使は、アメリカのベンチャーを日本で育てる、日本のベンチャーを向こうで育てる施策みたいなことをどうも推進しようとされていたような話、これは非常にいい話だと思っていたし、あるいは、中国の――私は最近、中国の技術移転の市場、技術流通市場をずっと調べていますけれども、これも恐るべき発展で、実は中国の技術流通取引市場の取引額の総額は、政府統計によると1兆円を超えていると。これがそのまま本当なのかというのは、いろいろ議論があると思うんですけれども、特許ライセンス、中国の場合、専利ですけれども、専利ライセンスのサイトの登録データを見ていても、そこそこやっぱり実態を反映していますね。
 これを、日本より盛んだ、もっと頑張ろうというのと、もう一つは、中国の特許流通市場、技術流通市場を活用する考えはないかということも、やっぱり視点として必要なのではないか。これは具体的には、産学連携で出た共願の特許権で、中国特許権があるものについては、企業が中国のパートナーを求めているような場合に、中国の技術流通市場って、日本のライセンス市場とちょっと違いますので、実は人が動く、あるいは企業を合併する、そういうものとかなり密接に関係あるんですね。そういうような活用の仕方もあるのではないかとか、少しイノベーションインフラをオープン化していく、国境を越えていくような考え方で効率を上げるという視点も必要なのではないかと、この2つを見て感じました。
 以上です。

【柘植主査】  ありがとうございます。
 あと10分ぐらいで、それでは、本田委員、先です。それから藤本委員、お願いします。

【本田委員】  先ほどの林フェローからのご説明の中で、ポスドク問題という話が出てきて、大学と企業とで考え方というか、視点がずれてしまうというのは、まさに産学連携の中でも落っこちているというか、これはもう根本的というか、長年の課題なのではないかなと思っていまして、大学としてはきちんとやっている、一方で、企業側は、まだやはりアーリーだというところで、やっぱりその間のギャップを埋めましょうということで、ギャップファンドということで、いろいろJSTのA-STEPであったり、あとは、産業革新機構さんのファンドだったりということができてきていて、すごく前進しているなとは思うんですけれども。
 一方で、文科省さんからの資料3の25ページに書かれておりますように、大学のシーズ期というところから、実際に日本の企業が求めているところというのは、やっぱりビジネスエンジェルが入ったり、ベンチャーがあったりという、そういうような資金で上がってきたぐらいのものを、多分、日本の企業さんは興味を持っているのではないかなと思って。実際にアメリカのベンチャーキャピタルさんというのを、実際そういうベンチャーキャピタルが支援をして、日本の東大の案件をインキュベーションしてくださっているようなものもあって、どういうことをしてくれるかというと、当然、特許戦略から、資金から、何から何まで全部サポートしてくれて、それで、自分はこういう製品になりたいから、そっちの方向の研究をしてくれというような引き上げ方をされるんですね。ですので、やはりA-STEP、お金をつければちゃんとギャップファンドとして機能するのかとか、産業革新機構さんのファンド、お金をつければいくのかという問題ではなくて、もっときめ細やかなやり方をしないと、日本の中の産学連携、ぐっと歯車が回りにくいのかなとも思いますので、渡部先生がおっしゃったように、国境を越えていろいろなところでやってみると、なぜ海外ではうまく動いているのかというのが見えてくるので、その辺の情報をうまく活用しながら、日本の中で歯車を回すような機構をしっかりつくっていかなければいけないのではないかなと思っています。

【柘植主査】  藤本委員の後、土田委員、それから橋本委員、お願いします。

【藤本委員】  先ほどのご説明の中で、林先生のお話の中で出ていた、やっぱりポスドクの問題のところが、私も研究者、技術者のモビリティとか、組織での就業観とかをずっと調査をしてまいりましたので、若い研究者が、やっぱりキャリアパスが、出口がはっきりしないと思いっきり没頭できないというところが長年の懸案事項ではありますけれども。大学の先生がものすごく研究道でも、それ以外のことをあまり理系の研究の場で、社会的なことに対する知識とかバランス感覚を育てるようなところがなかなか機会がないようで、例えばスタンフォードでしたら、教授のプロモーションのときでも、いろんな人からの人間的な評価も、それから、オーガナイズする能力とか、全部がバランスのとれた人でないと教授になれないということが言われている中で、日本の場合は、理系の研究をずっとやってくると、もう組織とか、人の働きがいだとか、いろんなことをバランスよくというのは、もう本当に個人のパーソナリティに任せているというような状況が多いと思うので。例えば、思いっきり研究に打ち込んでも研究の才能が思ったほど伸びなかった人たちに、ある程度ソーシャルスキルとか社会的なバランスがとれている場合、企業も、今はちょっと持参金を渡したりとかして、何とかもらってもらおうというようなことをしても、なかなか難しい。お嫁入りの資金があっても難しいというところで、おそらく本人の社会的スキルが伸びていれば、きっとそれでもマッチングがかなりいくと思うんですけれども、研究だけにもう没頭しているような状況での出口の見えないポスドクを大量生産するのは非常に危険だと思いますので、彼らに頑張って科学技術のほうにどんどん進んでくれてもこの先大丈夫だということが、成功すれば一番いいけれども、成功できなかった場合でもこういうキャリアパスがあるんだというのを、今もいろんな方策を練られていると思うんですけど、さらに、企業がどういう人材を求めているかということに対しての、ソーシャルスキルとか、グループワークに対するマネジメント能力だとかというのを強化できる方策をもっとつくるべきではないかなと。
 どんどん研究費が投入されて、研究成果が上がってくるために、テクニシャンが大量にできてしまうけれどもという、40ぐらいになって行き先のないポスドクの人たちがたくさん出るのは、もうマスターでやめておこうかという人が増えてしまうと思うので、この方策を同時に進めていただければと思います。

【柘植主査】  そうですね。ぜひ日本とアメリカのイノベーションの牽引エンジンの中に、今のご指摘のものは、比較していくと、相当日本は強化すべきところが出てくるなというのを感じながら聞かせていただきました。
 土田委員、それから橋本委員。

【土田委員】  本当に今ご指摘のとおりでございまして、資料3の10ページにA-STEPのところがございまして、本田委員からもご指摘のとおり、やはりJSTさんと、私どもも本格的な基本協力協定をして、何度か科研費からビジネス化のシームレス化というのを具体的にどうやって進めていくかというのを、今取り組んでおります。
 大変生々しい話もあるので、具体的な例は捨象させていただきますけれども、やはり本田委員がご指摘のとおりでございまして、先ほど文科省さんからのご説明にもありました、やはりベンチャーで非常にお金に困っている。じゃ、お金だけ出せば何とかなるのかというと、おそらく決定的に違いまして。我々としては、今そこをどうやってビジネス化に続けていくのかと。
 渡部委員からもご指摘ございました、1つは、やはり海外に持っていくというような、海外の企業ともうまく結びつけていくとか、そういうような日本の技術を、やはり海外も、オープンイノベーションみたいな形でやっていくという試み、あるいは、ベンチャーというと、あながちベンチャーに留まりがちですけれども、やはり日本の大企業の持っているものを非常に活用するという、こういったビジネス化の推進の力、こういったものを活用するというのを考えておりまして、それにおいては、本当に本田委員がおっしゃるとおり、お金だけでもなくて、それから、大企業側にも非常に責任が大きい、それから、アカデミア側にもやっぱり責任がある。
 1つだけ申し上げますと、やはりこの制度が始まってから、日本の企業の余裕度がなくなったというのは、これは事実としてあると思います。そういった意味では、大企業も今までかなり温かい目で、かなりアカデミアに掘り下げて見に来れた人的な、あるいは資金的な余裕というのは、企業内での研究開発費というのは大変厳しくなっております。そういう実態的なものを踏まえて考えると、やはりA-STEP並びに産業革新機構で取り組もうとしているような仕組み、こういったものをもう少し本当にマッチングさせるような、その中においては、やはり前田委員もおっしゃったようなクラスターとか含めても、いろいろなコーディネーターの方も活用しなければいけない。現実的には、取り組んでいる中において、マッチングが少し、1年前よりも、2年前よりも、やはり距離が離れているというのが我々の実感です。
 それから、1点だけ、我々の認識でございますけれども、アメリカのベンチャーというお話がございましたけれども、実はアメリカのベンチャーだけが世界的に異常だと言えば異常で、非常にうまい仕組みではあります。ただし、残念ながら、日本がこれをそのまま真似しようとしても、現実的には相当ハードルが高いですし、それよりも、もっと日本的なやり方あるのではないかというようなことが、やはりここでの議論の場でありますとともに、そういったものをつなぐJSTとか、産業革新機構とか、そういったものをそういったマッチングをする場とか、日本的なベンチャーの在り方というのを示していくような役割を担っているのではないかなと思っております。
 すいません、長くなりまして。以上です。

【柘植主査】  ありがとうございます。
 あとお二方で、橋本委員、それから野間口さん、お願いできますか。北澤委員も。じゃ、お三方でお願いします。

【橋本委員】  今、大学としては、藤本委員が指摘されたような意味では、相当にドクターに対する教育を変えてきているつもりです。そういう意味の教育をかなりやっていますので、今までとはちょっと違う、今言われたような印象とは違う人間が育っているだろうと思っています。
 そういう中で、例えば企業に長期のインターンで派遣するなどの機会をたくさん設けているんですけれど、印象として私が思いますのは、企業側の熱意に関しても、ヨーロッパの大手企業のほうがはるかに熱心ですね。そういうことをやって、日本の大学からでもとにかく人をとってこようという意味では、非常に熱心に感じます。もちろん、日本の企業でも一緒にやってくださるところはありますから、だんだんと増えてはきておりますけれども。
 もう一つ、今日いただいた資料を拝見すると、研究を一生懸命やって、シードクリエーションに関してはかなり一生懸命やっていても、まだ少し落ちぎみなんだというお話なんですけれども。それを実際に企業化するとか、産業に持っていくときの矢印が、一方向性が非常に強くて、シードのプロモーションにどうしても力がいっていて、本来ですと、インプリメンテーションという意味で言うと、逆方向で、例えば地域課題とか社会課題とかいうことに対して、どういうふうにシードをコーディネートするかというような、そういう視点からの教育と訓練をあまりやっていないし、仕組みもないのではないかという気がするんですね。私、FP7に加わったことがあるんですけど、何が違うのか、はっきりは言えませんが、そこではでき上がった技術を社会にインプリメンテーションするんだという意識が強くて、そのために何が必要かというようなことがかなり語られるような仕組みになっていますね。この違いをもう少しはっきりさせる必要があると思います。その辺のところがもう少しできれば、今度はシードクリエーションに関してもフィードバックして、大分違うのではないかという気がするんですね。矢印が一方向過ぎるという気がします。
 これはさきの課題の震災復興とか、そういうところでも、シードオリエンティッドな考え方が強すぎるような気がする。それがちゃんとできれば、処理統合、あるいは融合とは言われていますけれど、インプリメンテーションをちゃんとやれるようにすれば、5の技術が10にも20にもなるという仕組みができるのではないかと思っています。

【柘植主査】  ありがとうございます。
 では、お二方で。どうぞ。

【野間口主査代理】  広い見地からのご意見を皆さんいろいろおっしゃいましたので、私は先ほどのポスドクの話について。産業界と大学側のギャップが大きいという話がいつも出るのですけれども、一体どの分野がその主犯だというのかをもっと分析的に考えなければいけないのではないか。ライフサイエンス分野が突出して多くて、それ以外のところが相当私は近いのではないかと。それを一緒くたに論じると、正しい解は出てこないのではないかと思いますので、ぜひこれは産業界と文科省と対話してくださいとしつこく学術審議会のほうでも言いましたけれども、その辺を踏まえて議論をしなければいけないのではないかなと思います。
 それから、林先生のこれは大変勉強になりました。ありがとうございました。それと、資料3を見比べて、私が思いますのは、先端計測技術、これは非常に日本が、JSTをはじめとして、いい成果が出ているのです。ところが、この分野の産業は、規模が小さい。企業が。ですから、財政的にも分厚くないというので、次世代のR&Dをやる力が出ない。こういうところを狙ってサポートしてやると、非常に成果が出て、この分野がつくる産業の量はそう大きくないですけれども、産業の基盤ですから、世界における日本の存在感を示す意味で非常に大きな成果だと思いますので、JST、それから産革機構、そういうところがぜひ連携して、いい取組をしてほしいなと思っています。
 以上です。

【柘植主査】  ありがとうございます。
 では、北澤委員で、最後、お願いいたします。

【北澤委員】  これまでの実績というか、そういうのを見ていますと、JST、非常に成果は出てきているんですけど、実はやっている分野が非常に限られている。それで、大きなシステムとか、そういったものは全くカバーできない、そういう状況ですので、そちらのほうは日本では文科省は手を出さないというような形になっているところがあるかなと。スーパーコンピュータだけは別なんですけれども、そういうことになっているというようなことがあるかと思います。
 それで、林先生が今日話されたことの中で、私、非常に気にかかることは、日本がずっと低落傾向にあるという、そこの部分なんですが、それの何がもとになっているかというと、これは日本のGDPだけが伸びないという、そのことから、GDPに連動するタイプの、例えば研究開発費なんかはGDPで何%というのを目標にしていますけれども、日本だけがGDPが伸びないというのがすべての原因になっているわけですね。
 そうすると、じゃ、日本のGDPって伸びるのかという、そういうことを考えてみますと、実は日本の場合にはGDPには足かせがあって、GDPイコール内需足す輸出なんですね。内需足す輸出。それで、輸出というのは、今度、輸入足す日本の経常収支黒字というやつで担っているわけです。ただ、日本の黒字足す日本の輸入ですから、要するに、輸入を増やさなかったら輸出は増やせないという、そういう問題があって、これはもう日本の輸出が増えて困ったバブルのころの前川レポートというやつで、日本は絶対に貿易黒字を10兆円以上出してはならないという、そういう日銀のレポートがあって、それ以降、経済・財政界は、日本の黒字が10兆円以上にならないようにならないように、どう考えても25年間やってきているわけです。そうすると、内需が増えなかったら、輸入が増えませんので、そうなると、絶対に輸出も増やせないという、そういうジレンマに陥っていて。
 ところが、今の我々の議論は、輸入は増やさずに輸出だけ増やそうというような、そういう議論をどうもしているように思うんです。だから、輸入をどうやって増やすかということを考えなかったら、輸出なんて増やせない。そのことを、私としてはどうしても申し上げたいと思うんですね。
 それで、ドイツは、輸入も増えている。日本は、輸入は増えない。なぜかというと、もう要らないと言っているからなわけです。そうすると、じゃ一体何が輸入できるのかと日本人が考えないと、つまり、海外の人たちに対しても何か買ってあげないと、日本だけ売るということはできない。それで、それを国際競争力が衰えたというなら、やっぱり輸入をしてあげるということが、日本の国際競争力も高める1つの手段になると思うんですね。
 何で私、そんなことを言うかというと、JSTの特許で、このごろ10億円単位で売れるようなものも出てきました。その意味では、結構いい線いっている技術はたくさんあるんですけれども、日本の企業が買いに来ない。それで、海外の企業が買いに来られるわけです。それで、私もそのときに非常に迷うわけです。これを売っちゃっていいんだろうかということをですね。それで、なぜ日本の企業が買いに来てくれないんですかと聞くと、そうすると、もう国内では製造拠点はつくりません、非常に日本の社会は冷たいんで、メーカーが頑張ろうとしてもだめです、だから海外に行ってやりますと。海外に行って製造拠点をつくるんだったら、新しい技術は要りません、だから、大学の技術要りません、早く言えばそういうことなんですね。それで、枯れた技術を持っていって儲けられますということで、日本のメーカーは海外で儲けておられて、それで、今現在、日本は、その意味で、海外に積み重ねた海外純資産は世界の断トツトップなわけです。中国よりも多いし、それで、ドイツよりも多い。そういう状況で現在も日本はいるわけで、それで、そうなると、国際競争力をよく保つって一体どういう意味なのかということを考えないと、JSTも非常に困ってしまう。いい技術を出しても、海外が買いに来られて、じゃ、海外に売ってJSTが儲ければそれでいいのかという、そういう問題を今我々は抱えているわけです。
 そこのところで、内需及び輸入を増やすという、そこのところを、一体どういうもので輸入を増やしたり、内需を増やしたりするのかということを考えないと、これから輸出だけ伸ばすことは絶対できないなということを常に感じております。

【柘植主査】  ありがとうございます。
 5分時間が過ぎてしまいましたので、もう打ち切らざるを得ないんですが、今日は林フェロー、それから、事務局のほうから、日本の状況を見て、一言で言うと、欧米の動きをイノベーションを牽引するエンジンとして見える化するのは、作業ができそうだなと。一方、日本の状況を、そういうイノベーション牽引エンジンを見える化しようとするのは、相当作業が要るなと。今の北澤委員のお話も含めて、これはぜひ、当面、今日は被災者、被災地に対する緊急支援という面の時間を主に割いたわけでございますが、ぜひともこの秋以降の作業の中に、今日の資料、それから議論を生かしていきたいと思っております。
 時間が過ぎてしまいましたので、最後に、事務局のほうから、今後の進め方について説明いただきたいと思います。

【橋爪大学技術移転推進室長】  それでは、資料4に基づきまして、少しご説明させていただきます。
 次回は、7月8日金曜日の9時半から11時半ということで予定してございます。また、第5回を8月4日午後1時から午後3時ということで予定してございますので、よろしくお願い申し上げます。
 また、審議の内容でございますが、本日、先生方からいろいろ広範なご指摘もいただきまして、例えばイノベーション・エコシステムの在り方、あるいは国際連携も視野に入れたシステム、あるいは人材、そのあたりも含めて今日ご意見をいただいたところでございますが、資料4の別添にございますように、初回少しご議論いただきましたように、事務局といたしましては、今回の産学官連携推進委員会、2年ということで考えてございまして、その中で、先ほどご指摘のございましたいろんな大きな課題もあるかと思います。当面の日程としては8月までを書いてございますが、9月以降も、主査のご指摘ございましたように、そのあたりのところを含めまして、引き続きご議論をお願いできればと思っております。
 いろいろあるわけでございますけれども、当面は一つずつということでございまして、次回は、例えば、今日少しご紹介させていただきました、大学発ベンチャーへの支援の在り方、あるいはA-STEPを中心とします競争的資金の論点につきまして、さらにご議論をしていただければありがたいと思ってございます。
 以上でございます。

【柘植主査】  時間が10分過ぎてしまいました。大変申しわけありません。今日の委員会はこれにて閉会いたしたいと思います。どうもご苦労さまでございました。

 

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科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課大学技術移転推進室

(科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課大学技術移転推進室)