資料1‐4 中間報告素案に対する主な意見(基本計画特別委員会委員)

項目

主な意見の概要 該当頁目
1.基本認識 ○ 知識、サービスということも重要なキーワード。
P12
○ 従来の科学技術政策から科学技術イノベーション政策へ大きく舵を切った点を評価。ただし、従来の体制にとって、変化は痛みを伴うものであることを覚悟しなければならない。 P14
2.基礎科学力の強化 ○ 人材育成については、基本的方針の中で1つの柱として記載され、また、それぞれの施策の中にちりばめられていると理解したが、人を重要視していることをより分かりやすく強調して記載すべき。
P16,19~28,78
○ イノベーションを起こすために、特に人材については産業界とアカデミアが協力することが重要。 P20
○ イノベーションを担う人材は今の仕組みでは育たない。大学の先生はイノベーションの現場の実体験が無く、産業界等のセクターが建設的に関わることが重要。 P20
○ 奨学金について記載が足りない。これでは支援をしないというネガティブな意思表示ととられかねない。 P22
○ 人材の多様性は極めて重要。ポイントは優れた人材が交わることであるが、日本では優れた人材が1つの場所に閉じこもる傾向があるため、人材交流について工夫が必要。各国の最も優れた人を呼び込むことが重要。 P23,24
○ 基礎科学力強化委員会では、大学の教室改革が大変重要であるとの認識であった。若手研究者の確保も行わなくてはポストが増えても意味がない。 P24
○ 学生の流動性を向上させることを記載すべき。 P24
○ 「大学院学生の多様化の促進」を書き込むべき。 P24
○ 経済危機だからこそ、若手に対する経済支援に取り組まなくてはならない。 P24~26
○ 財政的理由で博士号取得直後の終身研究職が大幅に減少した今、研究機関を元気づけながら終身職を得る時期を遅らせつつ、若手研究者の活性を維持させるにはテニュアトラック制を大幅に増加させるしかない。 P26
○ 共同利用機関の共同活動費は特別教育研究経費から出ている。特別教育研究費が大幅削減となったら、共同利用活動がほとんどストップし、日本の研究活動は各研究機関が孤立して研究する状態となり、日本全体としての科学技術・学術活動が停滞する。その場合、いくら少数の拠点に莫大な投資をしても全て無駄になるという危機感を強調すべき。 P37
○ 大学等は、大学図書館における電子ジャーナルの効率的・安定的な購読ができるよう、有効な対策方策を検討すべき。 P42
○ 研究開発を進めるためのe - サイエンスや研究のツールとしてのハイパフォーマンスコンピューティングへの取組も重要。 P42
○ マネジメントや知財等の人材育成のシステムを構築することが必要。 P75
3.重要な政策課題への対応 ○ これまでの縦割りの分野別重点化から政策課題による重点化になるが、今まで積み重ねてきた成果を如何に有機的・連続的に結びつけるかが重要。
P43
○ 重要な政策課題への対応は極めて重要。今まで産業界は政策立案や実現に関わることは少なかったが、今後はより積極的に参画していくことが必要。 P43~47
○ 若手研究者が海外で研鑽を積むためのインセンティブを付与することは全面的に賛成。例えば、海外からの1年以上の任期付きの職のオファーがあったら、日本の給料はそのまま出せる、日本で任期付きの職に就いている研究者の場合には海外滞在の年数は任期の計算に入れない等すべき。 P50~51
○ 国内に海外の人材を呼び込みづらいのであれば、海外に新しい研究所を作ることはできないか。私立大学や国 の研究所が出先機関を作ることはできないか。 P54
○ 科学技術イノベーション政策では、企業単独で支えられない公的な研究開発インフラが大きな力を発揮する傾 向にあり、強調すべき。 P66,67
○ 研究基盤の充実とその活用による科学技術イノベーションの推進は重要な柱の一つになる。 P66~68
4.社会と科学技術との連携 ○ 司令塔組織について、複雑化した社会の中ではそれぞれの現場で対応することも必要だが、全体が見える所から方向性を示す機能も必要。また、司令塔という言葉の使い方を検討すべき。
P45他
○ 科学技術リテラシーの向上は大変重要。アカデミアだけでなく、社会総掛かりでやるべき課題。 P70,71
○ 第3期基本計画でも社会との関わりについて書かれていたが、これまで科学技術コミュニティが社会とのコミュニケーション活動を十分やってこなかったことが露呈している。産、政、国民、学協会も含んだ形での社会とのコミュニケーションを充実させることが必要。 P70,71
○ キャッチフレーズとして、「市民とともに築く科学技術先進国」を掲げられないか。事業仕分けにおいては、理解が徹底していない中で科学技術政策が論じられた。これを改善するため、市民のリテラシー向上運動を強力に進めるべき。幼小中高における科学技術人材育成を正面から取り上げるべき。 P70,71
○ 市民の科学技術リテラシーの話が出たが、市民だけを対象とするのであればこれは第3期以前に後退することになる。むしろ、科学者コミュニティの社会リテラシーを向上させることの方が重要であり、両方の視点を記載すべき。
P70,71
○ 社会に対する説明責任の強化との記載があるが、誰が責任を果たすのかが重要な課題。研究者が論文発表を通して行うのが一義的だが、一次情報をなるべくエンドユーザーである国民から見やすくする工夫が必要。国として如何に説明責任を果たすのかも不明確。また、学協会の説明責任についても記載すべき。 P71~75
○ 中長期的に目指すべき国の姿を達成するため、重要となるのは他の政策とのシナジーや補完性を如何に引き出 すか重要。 P72
○ インプット、アウトプット、パフォーマンスを測定する仕組みを整備すると説明しやすくなる。 P73
5.政府研究開発投資の在り方 ○ 諸外国が重点投資を行い、ハイリスクハイリターン研究開発にもしっかりと国が投資している現状を、科学技術政策動向に記載すべき。
A3概要版資料
○ 政府研究開発投資について記載があるが、総研究開発費のうち政府は18%しか負担していない状況。姿勢と しては、政府研究開発投資を増やしていくことが必要。 P76,77
○ 政府研究開発投資をGDPの1%を目指す必要性をどの様に訴えるかが重要。 P76,77
○ 日本の総研究開発費に占める公的投資の割合は約2割で少ないが、公的投資が民間の投資を呼び込んでいることも事実であり、今日の社会をつくってきた実績があることを前提に記載することが必要。 P77
○ いくらぐらいお金をかけるか、その代わりに若い研究者がどのような責任を負うのか、アウトプットはどうなるのか等の観点から、本来なら踏み込んだ記載が必要。 P77
その他 ○ 上手くまとまっている。科学技術イノベーション政策では、2つの政策的アプローチが提言されているととも に、基礎科学・政策課題対応・社会と科学技術の三本柱で取組を進めていくということも適切。 全体

中間報告素案に対する若手研究者の主な意見

(「日本の中長期的な科学技術政策に関する懇談会」参加者)

項目 主な意見の概要 該当頁目
1.基本認識 ○ 異論なし。特に目指すべき国の姿は5項目示されているが賛同。
P79,80
○ 第3期と比べて変わった点を強調すべき。 P79,80
2.基礎科学力の強化 ○ 研究者自身が「自由」という言葉を使う時は特に注意が必要。研究者全員が高い志で研究するのが理想的だが、「自由」を拡大解釈して「(税金を使って)自由に研究をする権利がある」と勘違いしている研究者も残念ながら少なからず存在する。
P17,18
○ 「自由」の代償として「責任」を記載していることは良い。しかし、その内容は「情報発信の促進」、「アウトリーチ活動の強化」等の広報活動に留まっており、もう一歩「責任」に踏み込んだ記載があれば、より「研究者の覚悟」を国民に示せるのでは。 P17,18
○ 大学教員は競争しながら良い論文を出すのが研究者としてのあるべき姿だが、一方で学生までもがそのようなアカデミアの「論文の評価」に過度に巻き込まれている。研究費確保のためのテーマを学生に与えることで、特に修士課程の学生の基礎学力が低下しているのではないかと危惧している。 P20
○ 博士課程においては、就職できなかったから博士後期課程に進学する場合が少なからず見受けられ、全体としての質を下げてしまっている要因となっている。進学・学位取得における審査課程を厳格化することも必要。 P20
○ 指導者側の論文至上主義の価値観を変えるため、教育実績を人事に反映させるのは良いこと。 P20,21
○ 本案では「博士課程在籍者の2割程度が生活費相当額を受給できることを目指す」ことを早期達成目標としている。最終的には「博士課程在籍者全てが生活費相当額を受給できることを目指す」べき。 P22
○ 博士課程のキャリアパスに関して、産業界に研究職以外への登用を期待。同様に、公的機関の研究職以外への登用等も進めるべき。 P22
○ 留学生増大の重要性・必要性は理解できるが、大学院教育を充実・強化し、ポストドクターも今後増えていくとすれば、予算、受入れ施設、受入れ側人材として大丈夫なのかと危惧している。 P23,24
○ 若手研究者を組織で育てる意識が重要。若手研究者の使い捨てにならにようにしなければならない。 P24~26
○ ポストドクターを雇用する科研費の拡充、その後に研究できるアカデミックポストの拡充が大事。 P25
○ 本当の意味でスタートアップに研究費を支給しなければならないのは、新しく独立したばかりの研究者。金銭的にも、研究内容としても独立した研究者に対するスタートアップ支援の競争的資金(スタートアップグラント)をもっと充実すべき。 P25
○ 科研費をはじめ、研究費全てに対する審査を厳正に行えば、研究環境、また、その結果として研究成果も飛躍的に改善される。これは本案に記載されているので問題ない。 P30~36
○ “少しでも経済的価値の創造”を目標に据える研究の場合、初期の段階であっても評価システムにおいて、産業界の評価者を加えるべきであり、同時に評価者としての責任の所在も明確にすべき。 P32,34~36
○ 研究補助者を増やすのであれば、研究者の定員を削減してでも回すべきか、トータルでの議論が必要。 P39,40
○ 大学研究者が事務的作業にあてる時間がなるべく少なくできるような施策を望む。研究活動を効果的に推進するための体制整備(特に研究管理専門職の設置・充実)は研究者にとって有意義でありうれしく思う。 P39,40
○ 高額設備の購入に関しては、維持管理コスト等を加味した購入判断や研究所全体で効率的な使用が見込めるか等、個人ではなく組織全体の視点での判断(マネジメント)が重要。 P40,41
3.重要な政策課題への対応 ○ 研究開発の初期の段階では自由な発想を尊重すべきではあるが、ニーズを的確に把握していることが前提であり、初期の段階から産業界との交流を促す施策が望ましい。さらに大学等と産業界との橋渡しの役割を研究開発法人の一部が担う場合、その研究開発に限っては、産業界との共同研究にすべき
P43~47,55~57
○ 国内ポストを確保したまま海外で活躍できる人事制度については反対。海外経験者はより良いポジションが得られるべく海外経験を活かすべきであり、同じ国内ポストに納まることを望むべきではないし、国がそれを支援すべきではない。それよりも、海外経験がポスト獲得に有利に働くよう、海外経験者の比率を増やすように促すべき。 P50~52

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(科学技術・学術政策局計画官付)