基本計画特別委員会(第4期科学技術基本計画)(第1回) 議事録

1.日時

平成21年6月2日15時~17時30分

2.場所

文部科学省第2講堂(旧文部省庁舎6階)

3.議題

  1. 基本計画特別委員会について
  2. 今後の科学技術政策に関する基本認識について
  3. その他

4.出席者

委員

野依主査、東委員、有川委員、安西委員、大垣委員、長我部委員、門永委員、河内委員、國井委員、黒田委員、小杉委員、小林傳司委員、小林誠委員、佐々木委員、菅委員、立川委員、フクシマ委員、冨山委員、永井委員、西尾委員、二瓶委員、本蔵委員、益田委員、丸本委員、森委員

文部科学省

(大臣官房)坂田文部科学審議官、森口官房長、合田総括審議官、布村文教施設企画部長、川上総務課長、藤原会計課長、森本政策課長
(高等教育局)久保審議官、片山高等教育企画課長、義本大学振興課長
(科学技術・学術政策局)泉局長、中原次長、岩瀬科学技術・学術総括官、戸渡政策課長、近藤調査調整課長、川端基盤政策課長、柿田計画官、森田国際交流官、岡本分析官
(研究振興局)磯田局長、倉持審議官、奈良振興企画課長、舟橋情報課長、勝野学術機関課長、山口学術研究助成課長
(研究開発局)藤木局長、坪井開発企画課長
(科学技術政策研究所)桑原総務研究官
他関係官

オブザーバー

青木総合科学技術会議議員、今榮総合科学技術会議議員、金澤総合科学技術会議議員

5.議事録

【柿田計画官】
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会、第1回基本計画特別委員会を開催いたします。
 本委員会は、科学技術・学術審議会のもとに第4期科学技術基本計画の策定に資するための調査検討を行うことを目的として設置されたものでございます。
 まず、本委員会の主査につきましては、科学技術・学術審議会運営規則に基づきまして、「当該委員会に属する委員のうちから会長の指名する者がこれに当たる」とされております。つきましては、野依科学技術・学術審議会会長とご相談の結果、本委員会が次期科学技術基本計画の策定に向けた検討という総合的な課題を取り扱うことから、野依会長に本委員会の主査をお務めいただくこととなりましたので、事務局よりご紹介をさせていただきます。
 それでは、議事進行につきまして、野依主査、よろしくお願いいたします。

【野依主査】
 野依でございます。この会の主査を仰せつかっております。
 世界は100年に一度の経済危機ということですけれども、科学技術は新しい社会秩序をつくっていくための鍵になるものであり、我が国にとってもこの振興は最も重要な案件であろうかと思っております。今、事務局から説明がありましたように、第4期の科学技術基本計画の策定に資するための調査検討を行うということになっております。今後の総合科学技術会議におかれます議論に多大の影響を及ぼすもので、本日は我が国を代表する各界の識者の方にお集まりいただいております。ぜひこれから建設的な提言をまとめて参りたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、委員と事務局の紹介を事務局からお願いします。

【柿田計画官】
 それでは、資料1をご覧ください。本委員会の委員名簿でございます。まず、この名簿の記載順にご出席の委員をご紹介させていただきます。
 株式会社東芝の東実委員でいらっしゃいます。

【東委員】
 東です。よろしくお願いします。

【柿田計画官】
 九州大学の有川節夫委員でいらっしゃいます。

【有川委員】
 有川でございます。

【柿田計画官】
 慶應義塾大学の安西祐一郎委員でいらっしゃいます。

【安西委員】
 安西でございます。

【柿田計画官】
 国立環境研究所の大垣眞一郎委員でいらっしゃいます。

【大垣委員】
 よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 株式会社日立製作所の長我部信行委員でいらっしゃいます。

【長我部委員】
 よろしくお願いします。

【柿田計画官】
 マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンの門永宗之助委員でいらっしゃいます。

【門永委員】
 門永でございます。

【柿田計画官】
 住友化学株式会社の河内哲委員でいらっしゃいます。

【河内委員】
 河内でございます。よろしくお願いします。

【柿田計画官】
 リコーソフトウエア株式会社の國井秀子委員でいらっしゃいます。

【國井委員】
 國井です。よろしくお願いします。

【柿田計画官】
 東北公益文科大学の黒田昌裕委員でいらっしゃいます。

【黒田委員】
 黒田でございます。よろしくお願いします。

【柿田計画官】
 労働政策研究・研修機構の小杉礼子委員でいらっしゃいます。

【小杉委員】
 小杉でございます。よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 大阪大学の小林傳司委員でいらっしゃいます。

【小林(傳)委員】
 よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 日本学術振興会の小林誠委員でいらっしゃいます。

【小林(誠)委員】
 小林でございます。

【柿田計画官】
 学習院大学の佐々木毅委員でいらっしゃいます。

【佐々木委員】
 佐々木です。

【柿田計画官】
 東京大学の菅裕明委員でいらっしゃいます。

【菅委員】
 菅です。よろしくお願いします。

【柿田計画官】
 宇宙航空研究開発機構の立川敬二委員でいらっしゃいます。

【立川委員】
 立川です。

【柿田計画官】
 日本コーン・フェリー・インターナショナル株式会社の橘フクシマ咲江委員でいらっしゃいます。

【フクシマ委員】
 フクシマです。よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 東京大学の永井良三委員でいらっしゃいます。

【永井委員】
 よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 大阪大学の西尾章治郎委員でいらっしゃいます。

【西尾委員】
 西尾です。よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 東京理科大学の二瓶好正委員でいらっしゃいます。

【二瓶委員】
 二瓶でございます。

【柿田計画官】
 東京工業大学の本藏義守委員でいらっしゃいます。

【本藏委員】
 よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 船井情報科学振興財団の益田隆司委員でいらっしゃいます。

【益田委員】
 益田です。

【柿田計画官】
 山口大学の丸本卓哉委員でいらっしゃいます。

【丸本委員】
 よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 京都大学の森重文委員でいらっしゃいます。

【森委員】
 よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 また、本日はご欠席でございますが、成城大学の伊地知寛博委員、東北大学の大隅典子委員、早稲田大学の白井克彦委員、産業技術総合研究所の野間口有委員、東北大学の原山優子委員、毎日新聞社の元村有希子委員が本委員会の委員にご就任されております。
 また、科学技術基本計画の策定に向けた検討に当たりましては、総合科学技術会議との連携が不可欠であることから、本委員会には総合科学技術会議議員の方々にオブザーバーとしてご出席いただいております。本日は、今榮東洋子議員。

【今榮議員】
 今榮です。よろしくお願いします。

【柿田計画官】
 青木玲子議員。

【青木議員】
 青木です。よろしくお願いします。

【柿田計画官】
 金澤一郎議員。

【金澤議員】
 金澤です。よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 こちらの各議員にご出席いただいております。
続きまして、文部科学省からの出席者を紹介させていただきます。坂田文部科学審議官でございます。

【坂田文部科学審議官】
 坂田でございます。よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 森口官房長でございます。

【森口官房長】
 よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 泉科学技術・学術政策局長でございます。

【泉科学技術・学術政策局長】
 よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 磯田研究振興局長でございます。

【磯田研究振興局長】
 よろしくお願いします。

【柿田計画官】
 藤木研究開発局長でございます。

【藤木研究開発局長】
 藤木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 中原科学技術・学術政策局次長でございます。

【中原科学技術・学術政策局次長】
 中原でございます。よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 岩瀬科学技術・学術総括官でございます。

【岩瀬科学技術・学術総括官】
 岩瀬でございます。よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 布村文教施設企画部長でございます。

【布村文教施設企画部長】
 布村です。よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 久保高等教育局担当審議官でございます。

【久保高等教育局担当審議官】
 どうぞよろしくお願いします。

【柿田計画官】
 倉持研究振興局担当審議官でございます。

【倉持研究振興局担当審議官】
 よろしくお願い申し上げます。

【柿田計画官】
 桑原科学技術政策研究所総務研究官でございます。

【桑原科学技術政策研究所総務研究官】
 よろしくお願いします。

【柿田計画官】
 戸渡科学技術・学術政策局政策課長でございます。

【戸渡科学技術・学術政策局政策課長】
 よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 奈良研究振興局振興企画課長でございます。

【奈良研究振興局振興企画課長】
 よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 坪井研究開発局開発企画課長でございます。

【坪井研究開発局開発企画課長】
 よろしくお願いいたします。

【柿田計画官】
 最後に、私、科学技術・学術政策局計画官の柿田でございます。時間の都合上、メインテーブルのみご紹介させていただきました。
 ここで、科学技術・学術政策局長の泉より一言ご挨拶を申し上げます。

【泉科学技術・学術政策局長】
 科学技術・学術政策局長の泉でございます。この委員会が始まるに当たりまして、この委員会においてご議論いただきました提言を、総合科学技術会議におけるご議論に反映させていく立場にある文部科学省を代表いたしまして一言ご挨拶申し上げたいと存じます。
 申し上げるまでもなく、現在の第3期科学技術基本計画が4年目に入りまして、次の5年間、すなわち平成23年度から27年度をカバーいたします第4期科学技術基本計画が、平成22年度の終わりまでには政府として決定することになるわけでございます。いよいよこの第4期の基本計画の策定に向けまして、政府全体として本格的に始動すべき時期になっているというわけでございます。科学技術基本計画のそのものは、総合科学技術会議でのご議論を通じて策定されることになるわけでございますけれども、予算的に申し上げますと政府の科学技術活動、3兆5,000億の3分の2を占めております文部科学省といたしましては、科学技術基本計画の策定に当たりまして、そこに盛り込まれるべき重要政策を取りまとめ、総合科学技術会議におけるご議論に反映されるように努めなければならない立場にあろうかと認識しているところでございます。
 とりわけ基礎研究、あるいは人材の養成、確保、この中にはもちろん大学の取り組みというのが大きなウエイトとしてあるわけでございますけれども、さらには社会的なニーズに対応した重要研究開発課題、あるいは現在、国家基幹技術として挙げながら進められている研究開発、そしてこれらの推進のための組織としての担い手でございます大学、あるいは研究開発法人等に関する条件整備も含めまして、文部科学省は実施面で非常に大きな役割を担っているわけでございます。また、これらの研究開発成果等を社会に還元していく、あるいは社会実装、そしてイノベーションにつなげていく方策、さらにはこれらを進めるに当たっての国際的な観点からの方策等についても文部科学省は重要な役割を担っております。
 今日は総合科学技術会議からも今榮先生、青木先生、そして金澤先生、金澤先生は日本学術会議の会長でもあられますが、3名の議員にお越しいただいているところでありますが、既に総合科学技術会議とも連携をしながら、科学技術政策研究所が実際の作業を行っておりますが、第3期科学技術基本計画のフォローアップ調査等も進めてございます。また、この委員会の基になっております科学技術・学術審議会の総会、あるいはその下に置かれております各分科会、さらには関係いたしますその他の文部科学省の審議会、あるいは有識者の会議等でもこの次の基本計画を念頭に置いたご検討を進めていただいているところでございます。本委員会におかれましては、それらにおける検討内容も集約しつつ、第4期科学技術基本計画に向けた重要政策をお取りまとめいただくことをお願いいたします。
 科学技術基本計画は、1995年に成立いたしました科学技術基本法に基づいて策定されているものでございまして、科学技術政策の基本的な方向付けを図って、これに基づいて振興策を進めております。第1期科学技術基本計画から約15年、この間、様々な内外の情勢変化というものがございました。しかし、先ほど冒頭、野依先生からもお話がございましたように、現在の、特に世界の政治経済情勢や様々な面でのその影響、あるいは地球環境問題に対する認識、国内的には様々な社会ニーズや人々の意識といったものが、この1、2年ぐらいの間に非常に大きく変化し、あるいは事柄が顕在していると捉えておりまして、それだけインパクトも大きいと考えているわけでございます。
 こういった状況を十分に念頭に置きながら、また、そういった状況の先行きというものもしっかりと見据えながら、この委員会でのご議論を通じまして先見性のある明確な政策目標、理念の下に施策を打ち出す必要があるということを強く認識している次第でございます。お集まりいただきました先生方にはご多忙中、大変恐縮ではございますが、かなり高い頻度での委員会が開催されますけれども、何とぞよろしくお願い申し上げまして、冒頭のご挨拶とさせていただきます。改めてよろしくお願いいたします。

【野依主査】
 それでは、事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。

【柿田計画官】
 資料の確認の前に1名、委員のご紹介を申し上げたいと思います。
 先ほど到着されました株式会社経営共創基盤の冨山和彦委員をご紹介申し上げます。

【冨山委員】
  冨山でございます。どうぞよろしくお願いします。

【柿田計画官】
  それでは、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第の裏面に記載させていただいておりますように、配付資料、あるいは机上配付資料として、資料をそれぞれ机上に配付させていただいております。欠落等の不備がございましたら、お手数ですが事務局までお知らせください。
 なお、机上配付資料のうち、平成21年版科学技術白書につきましては、本日閣議決定がなされ、国会に提出されたばかりのものでございます。

【野依主査】
 それでは、議題1の「基本計画特別委員会について」のうち、主査代理の指名についてでございます。資料3にございます科学技術・学術審議会運営規則、4ページ目の第5条第7項の規定によりまして、「主査に事故があるときは当該委員会に属する委員等のうちから、主査があらかじめ指名する者がその職務を代理する」ということになっております。私といたしましては、本日はご欠席でございますけれども、野間口委員にお願いしたいと思っております。よろしくお願いしたいと思います。
 次に、本委員会運営規則についてお諮りしたいと思います。事務局から説明してください。

【柿田計画官】
  まず、資料2でございますが、科学技術・学術審議会における委員会の設置についてでございます。これは冒頭申し上げましたとおり、本委員会は、科学技術・学術審議会のもとに第4期科学技術基本計画の策定に資するために調査検討を行うことを目的として設置された委員会でございます。
 続いて資料3をご覧ください。本委員会の運営規則の案でございます。主な内容といたしましては、第2条にワーキンググループを設置することができるということでございます。現時点では設置の予定はございませんが、当該規定を設けさせていただいております。
 第3条に、会議の開催には過半数の委員の出席が必要である旨、第4条に会議及び会議資料は基本的に公開とする旨、第5条に議事概要を作成し、基本的に公開する等の規定とさせていただいております。

【野依主査】
   基本計画特別委員会の運営規則については、ただいまご説明がありましたとおりでよろしゅうございましょうか。
 ご意見がございませんようですので、そのとおりにさせていただきたいと思います。
 それでは、議題2の「今後の科学技術政策に関する基本認識について」に移りたいと思います。事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。

【柿田計画官】
  それでは、資料4をご覧ください。今後の検討スケジュールでございます。第4期科学技術基本計画は、平成23年3月の閣議決定が予定されております。本年秋以降の総合科学技術会議における検討に先立ちまして、文部科学省として本委員会での検討をお願いし、年内を目途に取りまとめをお願いしたいというスケジュールでございます。
 続きまして資料5でございますが、第4期科学技術基本計画の策定に向けた主な取り組みを取りまとめたものでございます。まず、総合科学技術会議により第3期科学技術基本計画のフォローアップが実施されております。また、我々事務局におきまして産学等の有識者の方々に科学技術基本計画に関するヒアリングを実施させていただきました。ヒアリングの結果は、暫定版ではございますが、机上に配付させていただいております。
 さらに、主な審議会等の動向といたしまして、科学技術・学術審議会の各分科会、1ページから2ページにございますが、あるいは中央教育審議会、また、基礎科学力強化委員会をはじめ、各種の委員会等におきまして関係する審議が行われております。これらの取り組みに関しましては、今後、本委員会に対して審議内容の報告を行ってもらい、本委員会での審議につなげて参りたいと考えております。
 続きまして、資料6をご覧ください。第4期科学技術基本計画の策定に向けた検討の視点の例でございます。1ページの中ほどにございますように、基本認識といたしまして、我が国をめぐる諸情勢としてどのようなものを捉えておくべきか。また、科学技術政策の成果と課題を評価した上で、我が国が中長期的に目指すべき国の姿と、その実現に向けて科学技術政策がどうあるべきかという検討の視点の例でございます。また、第4期科学技術基本計画における政府研究開発投資の目標についてでございます。今後、いかに説得力を持ちながら投資目標を定めていくか。極めて重要な検討課題でございます。
 2ページに参りまして、2番目に科学技術の戦略的重点化についてでございます。これまでは主に分野を対象とした重点化の考え方がとられて参りましたが、今後の重点化の在り方はどうあるべきかという問題。また、3つ目に科学技術システム改革の課題といたしまして、何よりもまず科学技術を支える基幹たる人材の育成の問題や規制等の社会的隘路への対応を含めたイノベーション・システム改革の問題、世界的研究拠点の形成や研究基盤整備のための方策、こういったものが検討のテーマになると思います。
 それから、3ページでございますが、4番目の国際の関係では、地球規模課題が顕在化する中での我が国の国際科学技術協力の在り方、また、研究人材の流動化、海外人材の受け入れに係る周辺環境等の改善の問題、また、5番目の社会のための科学技術との観点から、科学技術と社会との関係をどう進化させていくか。最後に6番目、科学技術推進体制の在り方ということで、以上、検討に当たっての基本的な視点の例としてまとめさせていただいております。
 続いて資料7をご覧ください。今後の科学技術政策に関する基本認識でございます。本資料は科学技術を取り巻く内外の諸情勢の変化、また、これまでの科学技術政策の主要な成果と課題を概括した上で、今後の科学技術政策を検討するに当たって、まず、我が国が中長期的にどのような国を目指すのかについてご議論いただくために用意したものでございます。
 まず、1ページ目をご覧いただきたいと思います。科学技術を取り巻く諸情勢の変化のうち、世界における情勢変化としまして地球温暖化、食料・水利用の不安定化、新興・再興感染症、あるいは貧困といった世界各地での問題。資源・エネルギーの需要逼迫による資源獲得競争。世界的経済不況の中、イノベーション創出による経済再生への取り組みの拡大。中国、インド等の新興国が世界経済への影響力を増すことによる世界の多極化の進展。企業等の事業形態が閉鎖的・自前主義から開放的・グローバルなモデルへと転換。また、国境のボーダレス化による高度な知識、頭脳の国際的な獲得競争の激化といった事柄などを挙げております。
 また、2ページでは日本における諸情勢の変化として、人口減少が進む中で持続的な成長に向けて国民1人当たりのGDP向上が重要になるという視点。地球温暖化、資源・エネルギー問題等に対して国際協調・国際協力しながら我が国の科学技術で世界に貢献していく必要性。安心・安全社会の実現に向けた要請の高まり。また、我が国の基幹産業の国際競争力の低下や研究者・技術者の確保等の課題が明らかになっております。
 3ページは、これまでの科学技術政策の主な成果と課題といたしまして、まず画期的な研究成果の創出については、iPS細胞、有機EL等々、多数の成果の創出。さらにこの10年間でのノーベル賞受賞者が8人となるなど、我が国の基礎科学力は高く評価されております。また、研究開発投資につきましては、第1期科学技術基本計画以降増加傾向にありますが、確保に向けた一層の努力が必要な状況にあります。なお、第3期科学技術基本計画期間中におけるこれまでの投資額ですが、先般成立いたしました21年度補正予算を含めますと、約17.3兆円となります。
 4ページでございます。研究開発の重点化は着実に進展して参りました。その一方で、いわゆる自由発想研究の着実な実施の必要性、また、社会ニーズへの対応、学際融合研究への必要性も高まってきております。科学技術システム改革に関しましては、ポストドクターをはじめ、研究者のキャリアパスの確保や次世代の人材育成の必要性をはじめ、競争的資金、産学官連携に関わる課題、さらには大学・大学院の役割の重要性が増す一方で、基盤的経費を取り巻く状況は厳しいという問題などを挙げております。
 5ページですが、研究開発法人の在り方の検討。国立大学の施設・設備の整備、さらには海外で研鑽を積む若手研究者の減少、あるいは優秀な外国人研究者の受け入れに際して研究機関の周辺も含めた環境整備の問題等が明らかになっております。さらに総合科学技術会議に対し、一層のリーダーシップ発揮に向けた期待も高まっております。
 以上のような情勢変化等を概括した上で、7ページでございます。我が国が中長期的に目指すべき国の姿として、これを検討するに当たりまして具体的な問題意識としまして、まず、現在、世界の勢力地図や経済社会構造が激変する歴史的な転換点にあるとの認識の下、今後は中国、インド等の新興国の台頭により世界の多極化が急速に進展、我が国としては経済の量的拡大からより質的充実を目指す姿勢への転換を図りつつ、持続的な成長を目指す等の世界の中での我が国の立ち位置を明らかにすべき時期に来ていると考えられます。
 また、国内的にはさまざまな要因により社会、国民生活を取り巻く環境は厳しさを増し、世界的には環境問題等の課題が山積している状況にあります。そこで、我が国においては、まず質の高い国民生活の実現を目指し、科学技術の活用により課題への解決策を提示していくとの姿勢、また、我が国の科学技術によりグローバルな課題解決に向けて積極的に貢献していくとの姿勢を一層明確にすべきであると考えられます。
 8ページをご覧いただきたいと思います。以上の視点、あるいは問題意識を踏まえまして、我が国が科学技術政策により中長期的に目指すべき国の姿として、質の高い社会、国民生活を実現する。さまざまな制約の中でも国際的優位性を持ち、持続的な成長・発展を遂げる。地球規模問題の解決を先導する。知の資産を絶え間なく創出する。国の存立の基盤とも言える科学技術を文化として社会に根づかせ、発展させて継承していくという5つの国の姿を例示として掲げております。
 あと、9ページからは以上の論点の参考資料でありますが、環境、エネルギー、食料、感染症や自然災害、経済指標、人口動態等のデータを添付しております。また、31ページには現在の第3期科学技術基本計画における科学技術政策の理念を記載させていただいております。
 また、33ページからは産学等の有識者の方々に対するヒアリングから関連するご意見を抜粋したものでございます。多岐にわたるご意見をいただいておりますが、特に目指すべき国の姿に関連するものにつきまして、かいつまんでご紹介いたしますと、特にこれから重要になるのは人口問題で、個人にいかに付加価値をつけるか、質的な豊かさが大事になる。世界の中での日本のポジショニングが重要となる。あるいは世界の中で日本の担うべき役割が大きく変化する。国際社会と協調し、貢献のための連携とリーダーシップの在り方を検討すべき。日本が先んじて安全・安心な社会をつくっていくべきというご意見。また、環境や生命を維持する。また、人々の幸せと安全に資する科学技術を発展させるべき。世界の問題解決に積極的に取り組む国、科学技術、文化で世界をリードする国を目指すべき。科学技術が日本社会に対してどのような役割を果たすのかということを積極的に提示すべき等の意見がございました。
 資料7の説明は以上でございまして、資料8が今の資料の関連資料という位置付けで、科学技術の現状に関するデータを集めたものでございます。資料6の検討の視点に掲げました項目に合わせる形で関連のデータを整理させていただきましたので、適宜ご参照いただきたいと思います。

【野依主査】
 事務局の説明によりますと、この委員会は大変な大きなミッションを持っています。本日、それから次回の会合における議論を基に、ただいま事務局から説明のありました目指すべき国の姿をどう設定するのか。それから、その姿の実現に向けて科学技術政策、特に第4期科学技術基本計画はどうあるべきかについて、今後この委員会で検討を進めるに当たっての論点整理を行って参りたいと思っております。
 したがいまして、本日は第4期科学技術基本計画への期待、第4期科学技術基本計画の柱となるべき事項も念頭に置いていただきながら、目指すべき国の姿、また、今後の検討の論点整理に向けたご発言をいただきたいと思っております。本日は本委員会の最初の会合ですので、できるだけ多くの委員の皆様からご発言をいただきたいと思っております。なお、時間の関係がございますので、お1人3分程度にまとめていただきたいと思っておりますので、ご協力をお願いしたいと思います。

【東委員】
 今ご説明いただいた中の資料8、これは資料7の関連資料ということでございますけれども、これの8ページでございます。これが研究開発費の組織別負担割合というものでございまして、2007年度の結果が左に出ております。日本については2つ統計がございますけれども、一応、上の数字を取り上げてみますと、政府17.5%、民間が82.2%となっております。右側に日本の研究負担割合の推移がありまして、これは81年から2007年までというかなり長期間にわたる統計データがありまして、日本の場合には高い時期ももちろんあったのですが、大体20%から17、8%という、こういう一定割合でずっと来ているように思います。この数字は、例えば米国の27.7%と比較した場合、あるいはヨーロッパ諸国、EUと比較した場合、かなり政府の負担割合が少ない。その前の統計データ、6ページは、これはGDPが書いてありますが、GDPはアメリカの大体3分の1です。つまり、実質的に政府の負担割合はGDP比で米国の5分の1になります。今後日本が科学技術立国としてこれから生きていくという立場を堅持するには、こういった数字だけを増やせばいいという議論ではないのですけれども、景気変動に左右される企業、民間の割合が多いというのはかなり憂うべき問題ではないかと思いますので、議論の前提といたしましてやはりこういう全体を俯瞰した中でどうあるべきかということを議論していただきたいと思います。
 この青の部分だけを取り上げて、じゃあ、どう使うかとか、どのような考え方にもとづくかなど、17.5%の議論にとどまっては、かなり日本の全体の進むべき道をミスガイドしてしまう可能性がありますので、それをぜひ議論していただきたいと思います。

【柿田計画官】
 現在の科学技術基本計画でも官民の役割分担を踏まえつつも、官民が連携強化して、この国全体の科学技術、あるいは国際競争力を強化していくという理念で今の基本計画もできております。当然、第4期科学技術基本計画に向けては先ほどの説明でもふれましたけれども、大きく情勢が変化していく中で新しい視点、今、東委員がおっしゃられたような全体を見てどう投資の構造をつくっていくかということも、ぜひこれから深掘りの議論をお願いできればと思います。

【野依主査】
 私は東委員のおっしゃったこと、そのとおりだと思います。その結果、まず、私は我が国の基礎科学推進のためのインフラが非常に疲弊している、それから、第2点は高等教育に大きくしわ寄せが行っていると思っております。ですから、引き続き産業界が大いに投資していただくとともに、やはり公財政支出を増大していかなければいけないと思っております。

【有川委員】
  最初に、目指すべき国の姿ということで、これについては例えば資料6や資料7などでかなりうまくまとめてあると思います。しかし、一方で、これにはすべて課題がありまして、それに対してどう対応するかということになっているのではないかと思うんですね。そのようなことはこの時期非常に大事ですし、様々なところでアピールするということから考えますと当然のことなのですが、幸か不幸か我々日本は、あるいは日本人は、明治以来、様々なことを国際的に見ても唯一、あるいは非常に先進的に経験し、取り組み、そして解決してきているということがあるわけです。そういった中で世界中を見渡して、これから5年、あるいは10年、15年後の日本はどうあるべきかというようなことから出てきた課題に誘導されるだけではなく、少しそういったことを超越した視点で国の姿ということを考えてみたらどうかということを思います。
 それからもう一つは、資料6で言いますと2.の科学技術の戦略的重点化ということで、そこに(1)(2)で2つ書いてございますが、こうしたことはこれまでもそうでありましたように、ややもすると政策対応型研究開発ということに重きが置かれがちです。しかし、今の野依主査のお話にもあったと思うのですけれども、そうしたことをやるときには、やはり基礎研究についてしっかり考える必要があると思います。
 これは自由な発想に基づく研究という言い方でもいいのですけれども、すそ野を広くして基盤をしっかりつくっておくということです。そういうことをしないと、すぐ近くはうまくいくけれども、その先の次の5年後、10年後をどうするかというようなことを考えたときに困ることになるだろう。基礎研究をしっかりサポートしておくことによって、これは人社系も含んだ格好になると思いますけれども、研究あるいは科学技術に関する多様性が出てきて、そのことによって知的存在感のある日本というものが見えてくるのだと思います。
 それから、もう一つ、この資料6で言いますと3ページのところに研究環境・基盤整備ということがございます。特に大学などで見ますと、少子化その他の要因もあるのですけれども、特に私学等では施設整備がしっかりされているように思います。これから留学生30万人計画といったこともあるわけでございまして、その外国の学生たちから見ても魅力ある大学をつくっていくために、単に狭隘を解消するだけではなくて、もう少し先進的な余裕のある施設整備を心がけていかなければならないのではないかと思います。
 もう一つ、これも基盤に関することで、私は極めて大事だと思っているのですけれども、研究論文の発表の仕方などに関してでございます。今期の科学技術基本計画ではシステム改革のところにあるのですけれども、「研究者が公的な資金助成のもとに行ったものに関しては、インターネット等により無償で閲覧できるようになることが期待される」というような表現になっています。これは今の言葉で言いますとオープンアクセスとかになるわけですが、この辺をもう少し一歩踏み込んで、例えばNIHとか、その他の国などでもやっているように、これを義務化するぐらいのことをやってもいいのではないか。ICT時代にふさわしい学術情報の流通の在り方ということを築き上げていくために、もう既に走っているところもあるわけですので、そういう意味で国際的にもしっかり貢献して先導していかなければいけないのではないかと思います。

【西尾委員】
 今の有川委員のおっしゃられたことを私も非常に重要であると考えております。最近、さまざまなプロジェクトが、競争的資金として手当てされているのですけれども、これはどちらかといいますと、プロジェクトの募集要綱において具体的な目標が提示されることからも、問題解決型の科学技術の進め方だと思われます。問題解決型のことばかりを強化していきますと、中長期的視点のもとで、いわゆる問題を発掘して、それを日本としてどう解決していくのかという問題発掘型のことが弱まっていくということを非常に懸念しております。今後、プロジェクト型でない、もう一方の柱として学術研究型、あるいは大学研究型と言ってもいいと思うのですけれども、そのようなタイプの研究を強化するということが今後日本にとって大事だと思います。
 もう一つ、私は情報分野に関わっていますが、最近、科学の第4の方法論としてE-サイエンスが注目を集めております。これはオープンなネットワーク環境のもとで科学技術のさまざまな観測データ等をグローバルな視点で共有しながら、融合領域等の研究を推進する方法ですけれども、現在、日本で科学技術、あるいは学術情報のデジタル化の割合については欧米に比べて惨憺たる状況で、パーセンテージも非常に低い。今後の科学技術の方法論を考えた場合には、第4期科学技術基本計画ではそこを強化して、科学技術情報流通の環境基盤を格段に充実することの重要性、必要性を記していただければと思います。

【小林(誠)委員】
 ほとんど同じ趣旨の発言をさせていただきます。課題解決型の重要性というのはわかりますけれども、やはり本当の意味のブレークスルーというのは原理原則に立ち返ったところから来る、現れるものではないかという気がします。そのためにはやはり基礎研究の多様性ということが一番重要であろうということですが、そのために大学における研究というのは具体的な課題優先というよりは、そういう基礎研究が安定してできるための基盤的な研究費というもののサポートが必要ではないかという気がします。これまでの基本計画の中にも基礎科学の重要性は結構、記述はありますけれども、実際にはそこで止まっていて、具体化する方策というところまで記述がない。具体案、あるいはその具体化するためのスキームというか、そこまで踏み込んだ記述が必要ではないかという気がいたします。

【森委員】
 関連した話題で、科学技術システム改革の3、資料6の3の中で研究の多様性ということへの手当てがされていないのではないかということです。既に小林委員がおっしゃっていますけれども、私は多くの研究者同様、これは少し失礼かもしれませんけれども、ノーベル賞をとるために直接何かするという発想には賛同できません。ただし、多くの偉大な研究というのは、思いもよらない意外な発展、展開から生まれているというのは事実だと思います。ですから、可能性の少しでもある小さな芽をたくさん育てるということが一番のノーベル賞をとるための近道で、それがすなわち研究の多様性だと思います。それにはやはり運営費交付金を手当てして、大学に本来の業務に専念させるというのが一番確実だと信じます。
 それと、さっきの有川委員はオープンアクセスということをおっしゃいました。ただ、これは非常に難しい問題があって、先ほど有川委員が引用された「期待される」という表現ですが、科学技術基本計画の中で、あれ以上強制力のある表現にしないように、私はお願いした一人です。どうしてかというと、日本の学術文献というのは、色々な学協会が出版している部分があって、そういうものが非常に弱い経済的基盤の上に成り立っているわけです。野依先生による学術の国際的情報発信ですか、そういうことで始まったSPARC Japanというのもそうなのですが。日本の場合には、直ちにオープンアクセスするというのは非常に難しくて、分野によっては出版後1年、あるいは数年後公表という形も許すという、幅を持たせた形にしないと出版の困難な学協会も出てくると危惧しています。ですから、一律にオープンアクセスとおっしゃられると少々心配になります。
 もう一つ、人材育成ですけれども、科学技術人材の育成と限っているのは、私としては少々心配です。なぜなら、本当に優れた科学技術人材というのは、もう少し幅広く、科学や技術に親近感を持った人材を育てる中からしか生まれてこないと思うので、科学技術システムよりはもっと格上げしたところで論じるべきではないかと考えるからです。

【有川委員】
 オープンアクセスのことですけれども、一定期間を経てということは当然あると考えていただければと思います。それから、この5年の間にかなり情勢が変わってきまして、例えば機関リポジトリなどがかなり定着してきたというような背景もありますし、外国でも2005年から2008年にかけてかなり変わってきている。そういったことを踏まえての発言でございます。

【河内委員】
  皆さん言われたことと重複するのですけれども、私も企業で技術研究開発に携って来ましたが、新しい材料、機能を開発するときに、基礎的な研究がなければ新しいものを生み出せないということを痛切に感じていますし、又、それは大学の基礎研究に期待するところが大きいということです。そういう意味で、今、我々の基本認識として、日本をグローバルな競争という視点から見たときに、例えば応用研究とか、改良型の開発研究ということではもはや中国とかに対しては、まず勝負は見えているのではないかなと思います。そうすると、まさに皆さんが言われるように、次を支えるのは萌芽的な、あるいは独創的な、実用化まで10年、20年かかるようなリスクの高い基礎研究をやはり地道に研究していくという体制が非常に重要であります。ただ、今、企業も大変厳しい状況で、そういった基礎的な研究に経営資源を配分するのは難しい環境ですけれども、ぜひそういったところに軸足を置くことが必要と考えます。企業も出口に近い政策的支援を要求しますし、行政、政治の世界もやはりどうしてもこういうときには、成果の早く見えるようなことに関心が行きがちなんですね。したがって、戦略的に、基礎的な研究というところにきちっとした重点を置かないと、方向を間違うのではないかなと思います。
 それからもう一つ、基礎研究と政策目的型研究では、資金の支援の仕方とか、あるいは評価の仕方というのは、これは全く違うシステムで運営する必要があるのではないかと思います。最近見ていますと、基礎研究に対しても出口成果とか、早期成果とかそういうものが求められているように思うので、そういう基本的な管理の仕方も非常に重要ではないかと思います。
 それから、小さな話なのですけれども、この資料6の検討の視点でページ3の研究環境、基盤整備ということが(4)にあります。これは、何となく箱物といいますか、施設・設備の整備ということから入っていっておられるわけですけれども、実際はやはり研究者をどうするかということのほうが重要であって、もっと第一線の研究者の発案とか提案を募集するなどして自発的に学際融合型の基礎研究の体制のあるべき姿というものを議論する必要があるのではないかと思います。
 それから、人材については、先ほどから皆さんが言われたとおりなのですけれども、今から日本は研究者の数は徐々に縮小していくわけです。活力ある研究を進めるためにはどうしても海外からの留学生と共に、大きな強力な体制づくりが、重要と考えます。単に研究開発の競争力ということだけではなくて、海外との交流を通じて、若い時代の師弟関係とか、あるいは友人関係の構築というのが非常に大きな財産になって、結果的には日本が尊敬される文化的国家ということにつながっていくのではないかなと思います。

【野依主査】
  議論が発散しないようにいたしたいと思います。今、基礎科学を強化しなければいけないということですが、今、大臣直轄で基礎科学力強化委員会が進んでおり、ここで十分議論させていただきたいと思います。基礎科学といっても色々ございます。今出ております議論では、大学等で行われる、いわゆる自由発想型といいますか、内在的動機によってドライブされるような学術研究が非常に大事で、いかにこれをサポートしていくかというふうなご議論だろうと思います。この件についてご議論ございますでしょうか。いかにすればいいか。ただお金をたくさん出してくれでは説得力を持ちませんので。

【丸本委員】
  先ほどからの議論の中で基礎研究の重要性に焦点を当てましたときに、近年、重点化という問題で、成果が出やすい、あるいは課題解決型の研究にものすごい研究費が出るわけですね。今度、政府のほうでも2,700億円が先端的な30のプロジェクトへ膨大な費用を投下するという話が出ています。第3期科学技術基本計画における総合的な基本方針はほとんど間違っていないと思っておりますが、その中で記載されてあります基礎研究の重要性とか、人材の育成ということに対して、文言はあるのですが、現実に動いているかというと、国立大学を例にとりますと、基礎研究に費用を投下し、人材を育成するための施策を講じることがなかなかできない状況にどんどんなってきております。大きなプロジェクトが動けば、先端的分野に必ず成果が出ると思いますが、先ほどから出ている自由発想型の研究だとか、いずれ5年、10年先におもしろい結果が出るかもしれない基礎研究への投資や人材育成機能がどんどん落ちてくると、結果的には10年後、20年後に中国、インドや韓国などにも負けるような状態が来る感じがします。ぜひこの科学技術基本計画の中に盛り込んだことがきちっと実行されるようにすることが第4期の大変重要な課題であって、それが日本の将来に影響すると考える次第です。よろしくお願いいたします。

【野依主査】
  どなたも基礎科学というのは大変大事だろうと思っている。しかし、ただ運営費交付金あるいは科研費をどんどん増やせばいいというものではない。個々の研究者たちが編み出す新しい知識、知恵をいかに統合するかということも基礎科学として大事です。オバマも大変その点を憂慮しておりまして、アメリカではフィジカルサイエンスとライフサイエンスを統合するという方向で非常に力を入れております。私どももその点は考えていかなければいけない。ある種の研究のシステムをつくっていく必要があろうかと思っております。もちろん要素還元的にどんどん細分化して分析的にやるということも大事ですけれども、やはり個々の知を統合、総合化していくということも基礎研究の推進の上で大事で、日本ではそこが大いに欠落していると思っております。

【黒田委員】
 今、主査のおっしゃったことに関連するのですが、今、諸外国では科学技術政策のための科学ということが議論されています。もっと科学技術政策そのものがエヴィデンスベースドにきちっと立案されないとだめだということを各国が気付いて、色々な形でやり出していると思うのですが、今までの科学技術基本計画、総合科学技術会議の計画の中に果たしてエヴィデンスをきちっと踏まえた形のその政策立案ができていたかどうか。そしてまた、先ほどおっしゃったようにその計画が実現されたかどうかについて、きちっとエヴィデンスをフォローアップしている、そういう形で評価がなされたかどうかというのが非常に重要で、第4期科学技術基本計画の政策の中にはやはり戦略的に科学技術政策を科学としてやっていくということの視点が非常に重要だろうと思います。我が国の場合、科学技術政策のための科学だけではなくて、あらゆる政策立案が必ずしもEvidence-Based Policyになっていない部分がありまして、それについては統計そのものが体系化されていないとか、それから各省庁の政策ニーズだけでとっている統計が縦割りになっているとかいうこともございまして、そういう意味で体系的に統計をつくっていく。その中で科学技術政策そのものの評価、システムをつくっていくというのがこれから非常に重要なのではないかなと思っています。
 それからもう一点、それとの関連でございますけれども、この基本認識の中にも各所に出てくると思いますが、科学技術政策がいかに社会ニーズに対応するかという言葉がよく出て参ります。社会ニーズをどう捉えるかということについても、従来、何となくエモーショナルに捉えている部分が科学技術政策だけではなくて、日本の色々な政策にあり得るのだと思います。特に科学技術政策において出されるようなサイエンスやエンジニアリングの部分についてのイノベーションだけではなくて、これから社会ニーズに応えるとなると、社会システムそのものをイノベートしていかなくてはいけないということが非常に大きいのだろうと思います。社会システム、社会そのものをシステムとしてイノベートするにはどういう形で科学技術政策が役割を果たすのか。果たせない部分についてはどこがそれを担うのかということまで含めて考えないと、色々な形でのお金をつけたものが生きてこないということになのではないかと私自身は認識をしております。

【小林(傳)委員】
 どういう国家イメージを持つかということについては、私は「世界から尊敬される国」という言葉で表現したいと思っております。つまり、アメリカ、中国、インドとすべての面で競争していくことは当面は可能かもしれませんが、これからは不可能だろうと思っています。人口や資源の点で同じことはできない。他方、フルセットの研究体制を準備することができる国というのは、現状ではアメリカとヨーロッパと日本ぐらいです。そして、日本にはそのフルセットの研究、どの分野の研究も一応国内にある。他方、その研究の成果を求めているが、しかし、自前では準備できない国というのはアフリカやアジアなどにたくさんございます。したがって、日本はそこにおいてグローバルな責任を負うということは非常に知的に尊敬される意味で有効なねらいではないかと思います。つまり、一言で言えば、「日本がいてよかった」と思われるような国というものを目指すべきではないか。その点では、現在の日本の強み、これはエンジニアリングも含めてですが、そういったところをきちっと把握するというところから始めるべきではないかと思います。
 二点目、これは専門家及び専門知を活用できる社会というものを目指すべきであろうと思います。現在、様々なところで縦割りになっており、そしてまた先ほど黒田委員もおっしゃったように、イノベーションというのは社会の仕組みの変革まで含むものであったわけですが、ともすれば科学技術だけですべての問題が解決できるかのような議論が横行します。しかし、そうではなくて様々な専門家、あるいは専門知がきちっと活用できるためには、それは一般国民からの信頼とサポートがなければならない。そういう点では、この資料6の視点例の4「科学技術の国際活動の戦略的推進」と5「科学技術と社会の関係深化」というのは実は非常に、この視点の3「科学技術システム改革」と密接に関係しているはずでありまして、人文社会科学も含めてここの部分はきちっと組み合わせて考えるべきであろうというのが二点目でございます。
 三点目、人材育成について、これは言いたいことがいっぱいありますけれども、限定して申し上げます。この人材育成は3.の(1)「科学技術人材の育成・確保」のところで科学技術人材の育成、確保となっておりますが、実はこの4「科学技術の国際活動の戦略的推進」と5「科学技術と社会の関係深化」を実際にやる人材、あるいは先ほどの科学技術政策を科学的にきちっとやる、そういうタイプの人材もなければ、おそらくうまくいかない。そして、先ほど来の議論になっている基礎研究なのか、社会のための研究なのかというところの綱引きの議論ですが、いわゆる科学者以外に、そこをつなぐような研究者というものが出てこなければ、いつまでたってもそれぞれの利害関係者のバーゲニングになってしまうだろう。したがって、そういうタイプの、意識的に新しいタイプの人材を一定数養成しなければならない。これが私の人材育成についての意見でございます。

【野依主査】
 国のあるべき姿をここで議論することがミッションだそうですけれども、私は個人的に若干当惑を覚えています。これは本来、日本国憲法にのっとって、そしてより具体的にと問われれば、内閣府がきちんと明確に答えるべきことです。指導的な政治家の先生、あるいは科学技術の司令塔である総合科学技術会議が明示していただけないのであれば、私たちの価値観に基づく最高の知の府で金澤先生が率いられる日本学術会議に託すべきだろうと思います。金澤先生、今、「日本の展望」をまとめていらっしゃいますので、ぜひドラフトの段階でも結構ですので、開示いただければ大変ありがたいと思っております。いずれにいたしましても、あるべき姿を議論するのがここのミッションだそうですので、見識ある先生方には建設的なご意見を賜れればと思っております。

【大垣委員】
 資料7の8ページに、それこそ今のあるべき姿というものが出ておりますけれども、このような目指すべき姿をつくるよりは、むしろ科学技術政策の方法論の理念を議論すれば、実は例えば5に示されているところの、科学技術を文化として社会に根づかせるというようなことが生まれるのではないか。その方法論の理念というのはどうあるべきかということを少々考えますと、先ほどから基礎科学の充実というような議論がありますけれども、政策的、あるいは課題解決型の仕事も必要なわけで、そういう二者択一型の議論ではなくて、科学技術、あるいは学術というのは非常に多様でつながっておりますので、縦の、要するに基礎から応用まで、それから、横、基礎も応用もいろいろな分野という、その多様性を維持することを政策として打っていくということを理念として持つことが、実はこの長期的に目指すべき国ができることになるのではないか。そういう感じを持ちます。

【安西委員】
 基礎科学が大事だというと、いわゆる社会的なイノベーションも大事だと出てきますし、やはり議論としては、それをきちんと分けて基礎科学を重視するということ、それから、イノベーション立国にしていくということを、それを両方きちっと分けて両立させるようにしっかり議論を積んでいただく。いつも両側で振子が振れ、こっちも大事だというと、逆の方も大事だと繰り返されるものですから、ぜひ両方きちんと議論を別途積み上げていただきたいなというのが第一点。
 それから、第二点は、先ほどから出ておりますことについては、私の理解では1960年代の初めから日本の理工系では修士課程が非常に重視されるようになりまして、修士課程の定員もそのころ大変拡大されました。それがその後の日本の経済成長の原動力の一画になっていたわけであります。しかし、時代は完全に40年以上たちまして変わりまして、今はやはり博士課程の教育をベースにして独創的で、しかも広い視野を持った博士課程レベルのトレーニングを受けた、そういう人たちが企業でも、また大学等でも基礎研究でも、あるいはイノベーションでも活躍すべき時代になっております。そのことをきちんと第4期科学技術基本計画では第3期までとは違ったアナウンスメントとして出していただくべきではないか。
 私の理解では、今の博士課程、今、博士課程の学生の4割に15万円の奨学金を出しますと、年間幾らぐらいかかるかというと、約500億余りだと思います。これはまた概算ですけれども、10何兆、20兆かの科学技術基本計画の一環として、博士課程の学生を本当に育てるつもりがあるのであれば、もちろん奨学金だけではなくて、特に私は産業界が博士課程をどう育てたらいいのかということについてのビジョンとモデルを持っていないように思うんですね。大学ももちろんなのですけれども、そこのミスマッチがものすごくありまして、それは基礎科学というよりは、科学技術イノベーション立国を標榜するほうでの議論としてきちんとやっていただきたい。やはり博士課程教育というのは基礎科学にとってもイノベーションにとっても非常に大事だということで、それを両方きちっと議論を積み重ねていただきたいと思います。

【野依主査】
 そのために公財政支出がやはり必要だということですね。

【安西委員】
 言わずもがなでございます。

【野依主査】
 それから、安西委員がおっしゃったように、サイエンスからイノベーションまでつなげる橋渡しのシステムが非常に必要だろうと思いますね。カナダではこのごろSTIカウンシルと呼び、Science, technology and innovationまで入っています。

【安西委員】
 サイエンスとイノベーションを分けて議論していただきたい。

【野依主査】
 しかし、別々ではなくてつなげなければいけない。

【安西委員】
 小林先生に代表されるような、科学が好きな人、これからのジャパンにとってそういう人たちは非常に大事なので、そういう人たちを育てること、また、そういう基礎科学をバックアップすることがものすごく大事。一方で産学共同、これも博士課程レベルをベースにした産学共同の新しいモデルをはっきり出していくことも非常に大事だ。それを分けて議論していただきたいというのが私の申し上げたいことでございます。

【立川委員】
 私はもともと民間ですが、最近は独法にいますので両方経験をさせていただいておりますが、その立場で言いますと、第1期から第3期の科学技術基本計画では、いいタイトルで日本の科学技術創造立国をつくろうということで進んできたわけで、大変結構だと思うのですが、最初に東委員のほうから指摘があったように、大体国は2割しか出していないんですよ。民間が8割ですよね。日本全体のことを国としては考えるべきでいいわけですが、国がやれるのは2割しかないんですから、2割をどううまくやるかということではないかと思います。
 国家財政がこんな状態ではとても極端な増額はできないという状況の中で、やはり日本はもう少し的を絞らなければいけないなと思います。その意味で、国としてやるべき分野を明確にしたほうがいいのではないか。私の私見は、経験則でみれば、基礎部門、基礎科学を中心にしたのを国が指導して、民間ができることは民間にやらせるべきではないか。民間の判断はもうかるところしかやりませんから、当然、もうからないところはやりません。特に大型基礎研究的な分野は民間ではなかなか手に負えないでしょうね。私がやっていた会社でもせいぜい基礎研究には100億円も出せばいいほうですから、そういう民間ではできないところをぜひ国がやってもらいたいと思うんです。
 この意味で、第3期科学技術基本計画の時に国家基幹技術をこの場から提案されて採用されたと思うのですが、これは大変いいことで、ああいうのは国しかできないんですね。宇宙、スパコン、レーザーとかはみんなそうだったと思うんですね。そういう意味で、第4期科学技術基本計画を考えるときにはもう少し焦点を絞って、全分野ばらまきではなくてやっていただいたらどうかなと。基礎科学中心でいいかなと思います。また、民間には、うまい指導理念を国から与えるべきだろうと思いますね。民間も目先の利益だけを追求するのではなくて、将来の国のために役立っているという認識も当然民間側は持ちたいわけですから、そういうふうに育成をしてもらいたいと思います。
 最後に安西委員の意見に関係することですが、最近僕も博士課程の学生と意見交換をした時に少しびっくりしたのですが、大体、博士課程に行っていて、卒業後は基礎研究的よりは実業的研究をやりたいとか、事業化をやりたいという人が半分もいて。そんな学生がドクターをやっているのではあんまり基礎研究的なことはできないのではないかという心配を持ってしまったのです。これはほんの一例でありますけれども、ドクター優遇はいいのだけれども、ドクターには企業や研究所に入った時に研究してもらいたいのですけれども、現実にはどんなものでしょうかね。

【野依主査】
 今おっしゃったことは大変大事だと思いますね。基礎研究というと、とかく大学の個人研究がメインのように思われますけれども、システムとしてやらなければいけないものもある。それから、国家基幹技術のようなインフラストラクチャーもしっかりとつくっていかなければならない。そのあたりのこともきちんと整理していただきたいと思います。

【二瓶委員】
 人材育成に絞って意見を申し上げたいと思います。国の在り方、国のビジョンの議論に大変かかわりますが、資料7にもありますように、我が国の人材面における地盤沈下、あるいは国際競争力の低下、この問題をもっとまともに、真っ正面に捉えませんと、我が国の将来はない。ご存じのように資源小国である我が国の将来は、まさに人材で将来を築くしかない。科学技術立国はもちろんですが、その基は人材立国です。今年のお正月に日本経団連の御手洗会長の記事を読んで、驚いたのですが、中国の高等教育進学率が23%を超えて、いわゆる大衆化段階に入ったということです。詳しく調べようと思っておりましたら、幸いに5月の連休に中国の高等教育事情の詳しい紹介が朝日新聞に出ておりました。
 要するに中国の高等教育機関は約2,000あります。それで、高等教育の就学者は2,000万人ですね。我が国の規模と比べると、一目瞭然の量的な比較ができます。さらに近年、中国では重点大学、100大学を重点化した上、さらに絞り込んで世界でトップレベルの大学をつくろうという目論みが極めて早いテンポで進んでおります。こういう情勢を考えますと、アジアにおいてということだけで考えても、日本の立場は将来どうなるのかということを考えざるを得ません。そういう中で日本の人材育成というのが極めて重要だということは明らかであります。私の申し上げたいことの第二点は、世界トップレベルの若手研究者を育成する。これは色々と主張されているところで、もちろん大変大事なことでございます。しかしながら、我が国の科学技術を幅広く支えるための若手研究者の育成、これもまた大変重要です。
 すなわち、中国の2,000万人の高等教育の就学者、我が国はたかだか200万人程度だと思いますけれども、その中で日本を将来どうやって支えるのかということ。先ほど来いろいろ議論がございましたが、基礎か、開発か、応用かという議論も必要ですが、我が国の科学技術を全体として世界トップレベルに、国の比較で言えば相対的に世界トップレベルに持ち上げる必要があるということを考えますと、相当幅広い、しかも、戦略的な実行可能な人材育成プランをつくらなければいけない。これは国の努力も必要ですが、先ほど来議論がありましたが、日本の高等教育は国が3分の1、3分の2は学生のお父さん、お母さん方が支えています。こういう我が国の高等教育、人材育成の現状を国はもっと明確なビジョンを出して、もっと国民に広く呼びかけて、レベルを上げなければいけない。そういう意味で、かなり具体的で、かつ戦略的な人材育成計画を議論して書き込むことが第4期科学技術基本計画の重要なポイントだと思います。

【野依主査】
 今、二瓶委員から中国の状況のお話がございましたし、安西委員からは、科学技術の担い手の話がありました。実は現在年間4,300人の中国人がアメリカでPh.Dを取っております。この4,300の博士がつくる国際的な人脈というのはすごいものがあると思うわけです。韓国は1,300人ぐらい、日本はわずか220人です。こういう現実の中で日本はどういうふうに生きていくのか。国内、それから、国外のシステムも活用しながら、格別にすぐれた人材、特に博士を育成していかなければいけない。

【フクシマ委員】
 先ほど立川委員がおっしゃられたことに私は大賛成で、それに関して人材という観点から見まして、二点申し上げたいと思います。
 まず一つは、企業が人材を考える場合には、明らかにそこには需要と供給がありまして、供給サイドがきちっと需要が求めているものを提供していなければ、そこには採用並びに雇用というものが発生しません。そういう意味でもう少し大学が本当に企業の求めている人材を出しているかということについての議論も必要だという気がいたします。研究者と、実際に研究から管理職になれるような人材がいるかどうかという議論が、昨日の人材委員会でも出ていました。
 二点目ですが、中国の競争力の話が出たのですが、実は私もこの人材のコンサルティングの仕事をしていまして、日本のグローバル人材の不足には、もう5、6年前から危機感を非常に持っています。例えば、日本のTOEFLのスコアがモンゴルと同じ、第二の経済大国としては非常に寂しい497点という点数で、韓国も同様の辺りを10年前漂っていたのが、今は力を入れて529点(2009年)まで上がってきている。こういう現状を考えた時にやはり日本がグローバルな人材をどこまで育て得るか。これは必ずしも科学技術だけには限らないかもしれませんが、今回のこの検討の中で、その辺りの具体的な施策というものがもう少し議論されてもよろしいのではないかと思います。

【菅委員】
 1カ月ほど前でしょうか、小学生の将来なりたい職業というので、男の子が野球選手とか、当然、そういうのがあるんですけれども、実は第3位に博士、学者というのが入っておりました。ということは何を意味しているかというと、小学生ぐらいのときには男性、男の子に関してはそういうことに興味を非常に持っている。にもかかわらず、どんどん理系離れが続く。そして先ほど安西委員ほか、色々な方がおっしゃいましたけれども、博士の学生はこれからどんどん必要になっていくだろうというのは明らかであります。
 一つは、安西委員もおっしゃったように、学生への経済的支援が圧倒的に欠損しているというのが日本のシステムであります。例えば先週も私、スイスに行っておりましたが、スイスの学生は今、月に50万円もらっています。博士の学生は。アメリカは30万から35万円程度です。日本は博士を取ったら借金600万円です。この違いは明らかに経済大国として非常に寂しい。実は私はこれだけで解決すると思いまして、自分の研究室では博士の学生に経済支援をかなり出しているんです。自分の研究費から出しております。しかし、にもかかわらず修士の学生はそれほど博士に魅力を感じてくれません。ということは何かといいますと、実はキャリアパスが全く見えないということなんです。
 博士課程に行くと何がいいのか。博士に行った後に例えば企業に就職してどういうメリットがあるのか。それから、アカデミックを目指しても結局任期制度に納まって、また任期の問題を抱えてしまう。ですので、ポスドク問題も含めて、今、日本の社会で必要なのは、まず企業が求める人材というのももちろん育成することも大切ですけれども、そのキャリアパスをしっかり企業向けに、企業に行くときにどういうふうにキャリアパスがあるかというのを見せる必要もあるでしょうし、それから、大学においてもテニュア制度等、要するに人を切ることではなくて、いい人を残すというシステムをしっかり日本の大学の中でも根付いていかせる必要があると私は感じております。

【本藏委員】
 それでは、私も基礎研究の部分と人材育成、併せて発言いたします。基礎研究の重要性については、先ほどから皆さん言われていますとおりです。それから、将来担う人材を育成するのは、主として大学であることは申すまでもないことでありますけれども、大学がこのような非常に重要な課題に対して、ほんとうにこれまで応えてくるような活動をしてきたかということについて、私は大学の人間としてそれを進めようとしてきて、実に難しいということを実感していますので、その反省に立って発言したいと思います。
 先ほど話がありましたけれども、今や、中国も含め、知識、頭脳のグローバルな競争というのはもう始まっていますし、これからますます激しくなる。それに対して、そのような人材育成、あるいは基礎研究を担う大学のグローバル化、日本の大学のグローバル化を見通した改革というのは一体どういう状況になるかということであります。それと、その基礎研究を支える環境整備のことについても、今どんなふうになっているかということを、現状を踏まえて、今後解決すべき具体的な課題を提案したいと思っているわけであります。
 恐るべきデータがあります。資料8の21ページ、22ページをご覧いただきますと、大学の若手の教員が非常な勢いで減っている。特に国立大学の助教について見ると、20ページの左下にありますけれども、ご覧いただきますように激減している。右のほうに若手、37歳以下の若手教員数がございます。これが減っている。これは由々しき問題で国際競争力が確実に落ちていると思われます。
 具体的になぜこんなことになっているのかということの一つの例でありますけれども、これは実は運営費交付金の1%減、それと人件費削減、この二つがダブルパンチとなって効いてきております。このように人件費が減るということに対して、各大学がどのような対応を基本的にとってきたかというと、ポストを凍結する、あるいはポストを削減するというような方策をとった結果、若手研究者が上がっていくべきポストがなくなってきている。そういう非常に厳しい現状があります。私は非常に危機感を覚えて、それを解決する別の新しい方策を大学は知恵を出して打ち出すべきだということを盛んに主張してきましたけれども、焼け石に水ということであります。
 それから、先ほどから話題になっています博士課程の院生、それからポスドク、この将来の我が国を担う人たちに対して、あまりにも冷た過ぎる。と同時に、国際化していないということ。先ほど立川委員は、この博士課程の優秀な学生に期待したいということがありますけれども、一般には我々大学で、民間の方々にアンケートをとったことがありますけれども、就職担当の段階になりますと、博士課程については要らないというところが圧倒的に多いというのは資料として出ています。企業の幹部の方とお話しすると、優秀な人はぜひとも採りたいとおっしゃっていただけるのですけれども、そこがなかなか現実の問題として動いていないというのが事実だろうと思います。
 それから、博士課程の就職率が60%、この資料にありますけれども、これは由々しき問題でありまして、これはこのような問題も含めて、この基本計画特別委員会で私はぜひとも大学改革、一言で言いますと、人材も含めた、それからグローバル化も含めた大学改革の一層の推進というのをやはり本格的に考えないと、これは競争力が確実に落ちると大変危惧しております。ぜひともこれを取り上げていただきたいと思います。

【益田委員】
 人材育成に関して、まだ先ほどからのご意見で出ていないことで、重要なことは、「流動性」の問題です。私の意見が、本日配布されております「科学技術基本計画ヒアリング」資料の144ページにあります。若い優秀な学生の流動性を向上させることがきわめて重要です。日本の大学院には流動性がない。本日の資料6、あるいは資料7に研究人材の流動化の強化、あるいは海外で研さんを積む国内の若手研究者が減少傾向にあることを解決することが課題とありますが、中でも重要なのは大学院後期課程の学生の流動性です。
 日本の場合、大学院後期課程に進学する学生の多くは、学部で入学した大学の大学院に進学します。上位の大学の優秀な学生になるほどこの傾向が高い。その点が大きな問題です。若い優秀な人材ほど視野を広げ、自分を磨くために動くことが必要です。国内の大学を移動するだけでなく、海外のトップレベルの研究大学で学位を取得するようなチャレンジも重要です。どうすれば流動性が高まるかの仕組みを考える必要があります。日本の大学が優秀な学生を囲い込もうとする傾向、優秀な学生は動こうとしない傾向を何とかして変える必要があります。
 先ほど野依主査がおっしゃいましたが、アメリカでPh.D.を取ろうとする日本人学生は、中国、韓国等と比較して圧倒的に少ない。CMUで活躍している情報系の著名な日本人教授から聞いたところでは、中国、韓国、インドからの留学生はよく見える、でも最近日本からの留学生はほとんど見えないということです。日本への留学生を増やすことも重要でしょうが、それと並んで日本のトップレベルの学生のある割合が海外の研究大学で学位を取得するような流れをつくることも非常に大事です。
 私は1年前からある財団で、新規事業を立ち上げる機会に恵まれました。そこで、欧米のトップレベルの研究大学に留学し、学位を取得しようという日本人学生にスカラシップを支援する事業を設計いたしました。分野は情報系です。3年間の授業料、生活費を支援します。学生当たり最大で2,000万円程度かかることになりますが、それでも応募してくる学生はきわめて少ないことが分かりました。昨年の例ですと、募集期間が短かったせいもありますが、応募者は1名でした。東大の修士課程を修了して、UCBで学位をとろうという学生でした。
 今年は3名の学生を募集します。近い将来、情報分野で毎年5、6名の学生を採択して留学させたいと考えています。優秀な学生の流動性を向上させ、その効果を上げるには、日本国内で動くだけではなく、海外のトップレベルの研究大学で学位をとらせるようなことが必要です。
 大学院後期課程の学生の流動性を上げることに成功すれば、研究人材の流動性は時間の経過とともに自ずと解決すると考えています。

【野依主査】
 私も大学による学生の囲い込み、学生の引きこもり、これは大変由々しき問題だろうと思っております。インブリーディングはぜひ避けなければいけないということで、私も教育再生会議の座長のときにそれを強く主張いたしましたし、安西委員が今座長を務めていらっしゃる教育再生懇談会でも再三この問題は繰り返し主張しているところであります。
 益田委員がおっしゃった海外で勉強させるということ、これは帰ってきたときに働きやすい職場をつくるということが大事です。今の国立大学の理工系の講座制のような体制ではなかなか自立して研究できない。助教、あるいは准教授が正教授の下働き、あるいは支援者としてしか処遇されないところにはなかなか帰ってこられない。海外に出た若者たちが働きやすい職場をつくるということも大変大事ではないかと思っております。

【益田委員】
 今、主査がおっしゃったことと同じ主旨のことが、先ほど申しましたヒアリング資料に書かれています。さらに、流動性を向上させるにはどういう手だてをとるのがいいかの提案もしています。また機会があればお話しさせていただきたいと思います。

【小杉委員】
 私も皆さんがおっしゃったとおり、若手にどうやって生活を支えるだけのことをするかということが大事だと思います。私は若者のキャリアというのをずっと調査していまして、大学院進学は今やものすごいリスクになってしまっている。20代後半になっても親から自立できないような生活、30代初めになっても安定した収入がないので結婚できない、子供もつくれないという状況、これが大学生によく知られるようになっておりますので、最近は大学院進学の希望者が減ってくるという、そういう事態になっているのではないかと思います。
 ですから、ここで人材の育成、確保と書かれていますが、活用、あるいは言葉を変えればキャリアパスですね。そこまで実はプログラムに書かなければいけないことだと思います。その先のキャリアがどうつながるかということをもともと設計しなければいけない。その設計というところに要するに労働力需給の場合に、先ほどおっしゃいました需要側について供給側がしっかり対応しなければならないということなんですが、それは需給ですから両方に言えることで、大学と産業界の側との、ある意味では在学中というか、もっともっと早い段階からの会話の中に若者たちを参加させる。つまり、プロジェクト型の研究などを通じまして若手たちに大学以外の民間企業での働き方、そこでのキャリアのつくり方というのを伝えていくということを大学教育の中でやっていかなければいけないのではないかと思います。
 そういう需給のバランスというのは、今、ここにある労働力需要だけを見ますと、非常に小さい労働力需要なのですが、幾らでも開拓できる。開拓をちゃんとプログラムに組み込むことが大事ではないかということで、それをきちんとしたメッセージで伝えなければ生活不安の大きい現状ですから、不安を解消することができない。それをこのプログラムの中にきちんと書かなければ、若者たちに何の訴えにもならないのではないかと思います。

【長我部委員】
 今の人材の話、イノベーションの観点から申し上げますと、先ほど東委員から研究費の民間と政府割合の日本の特徴のお話があったのですけれども、もう1点、日本の研究費の特徴的なことは、多分、アメリカ、それからヨーロッパと比べると国のお金がかなり民間の研究所に流れている。日本に比べると多分大きい割合が流れている。それと同時に民間の研究所から大学に流れるお金、これも圧倒的に大きいということで、そこのお金の流れが国から民間に大きな流れがあって、民間から大学への大きな流れがある。当然、お金が流れると、そこに人もついてきて、そこに何らかのダイナミズムが、どちらが先か、やっぱりある仕掛けの構成の仕方によって人が流れる。そういう交流がある上で、先ほどの需給バランス、お互いの理解ということが進みますので、これは机上の空論にしないためにはそこのところの人が動く仕掛けというか、トリガーとなるような方策がぜひ必要だと思います。
 ただし、注意しなければいけないのは、やはり我々民間の側から見ていても、今大学の基礎研究が非常に疲弊している。触ってはいけないところ、それから、民間の需給バランスをとって社会に出るところ、そこはきっちり分ける必要があろうと思います。ただし、分けなければいけないのですが、今、イノベーションのところで一番チャンスがあるのはやはり融合領域であったり、システム的なところであったり、従来のかなり単一な発明に頼るところではなかなかイノベーションにはなりにくくなっています。もちろんたくさんありますけれども、材料とか医療とか。
 そういう意味で、先ほど野依主査もおっしゃっていましたけれども、ある融合的なところの基礎研究、こういったものを大きく振興していかないと、例えば今のIT分野で新しいコンセプトはみんなアメリカから出てきています。ですから、それはやはりビジネスとか民間だけではなくて、おそらくそれに対応するような基礎的な考え方を大学で大いに振興するというようなことが必要になっていると思います。そういった人材が育ってイノベーションをやっていくというような、そういう流れをつくることも重要だと思います。

【門永委員】
 議論の進め方について一つお願いがあります。先ほど大垣委員、安西委員もおっしゃっていたことなのですが、どうしても議論が極端から極端に振れてしまう、ブラック&ホワイトになってしまうということが往々にしてあると思うんですね。例えば、「このままだと中国、インドに追い越されるとか、欧米では」という話が引き合いに出されるのですけれども、インドと中国では相当状況が違いますし、ヨーロッパとアメリカもやり方も考え方も違う。その中で、サイエンスからイノベーション、それからビジネスから雇用創造までそれぞれいろいろと考えがあって、是々非々で決めているわけですね。その都合のいい部分だけ持ってきて、これでは大変だという話だと、日本の政策立案というものが非常に足元の弱いものになってしまうので、そこはきっちり部品に分けて、安西委員がおっしゃっていたように、例えばサイエンスとイノベーションは分けて議論をしてからつなぎを考えるとか、そういうような議論の仕方ができればいいなと思います。
 それからもう一つ、同じ文脈で申し上げますと、目標設定の仕方なのですが、例えば独立行政法人の中期目標の設定の仕方などを見ていますと、文言的に非常に抽象的な「何々を推進しようとか、強化しよう」とか、そういう書き方になっているケースが多いです。私もそのたびにもう少し具体化するようにお願いしていますが、その具体化というとまた極端に振れて、具体化ということは要するに数値化ですか、数値目標ですかという話になってしまう。これもやっぱり幾つかの段階があると思うんですね。
 問題解決型であればかなり数値目標主体かもしれませんが、例えば課題設定型であれば、もう少し幅広いはずで、その結果必要な活動の広がりもあります。また、アスピレーション設定型というか、例えば昔の話ですが、月に人を送ろうとか、こういう設定の仕方もあるわけで、その辺のメリハリというのも科学技術政策の中では欲しいなと。そのめり張りがつくと、例えばそれをどうやって評価したらいいかというところについてもメリハリがついてくるし、その中で活動する人材も自分はどこに向かっているんだろうというのが明確になってくるのではないかなと思います。その部品やレベルに分けたメリハリという考え方を入れたらいいかなと思います。

【國井委員】
 部品に分けて考えることも必要ですが、比率の問題もあると思います。基礎研究と応用については、企業も先行投資としてある程度の研究開発費はとっていますが、そういう中で国として基礎研究にどのくらい配分すべきなのか、あるいはイノベーションのためにどれだけ配分するべきなのか、これは全体の中で考えていく必要があると思います。どちらももちろん重要ですが、どちらかを特に強調しなければいけないという時期もあるかと思います。今までイノベーションに関するものが弱かったので、今、それがされているのではないかと思います。
 イノベーションに関して申し上げたいのですけれども、先ほど野依主査、またほかの方もおっしゃっていましたけれども、今の時代、色々な分野が非常に総合的で大規模で複雑なシステムになってきております。産業構造がパラダイムシフトで物よりサービスという方向になって来ていますし、統合できるということが非常に重要なのですけれども、そういう中では強い技術だけではなくて、弱いところもある程度やらないと統合できずイノベーションにつながらないと思います。
 ちょっと話が飛びますけれども、人材育成で民間が博士号を持った人をあまり採らないという話なのですけれども、一方で優秀な人材が常に不足している、採りたいというのも事実なわけですね。なぜドクターを採らないのか。私はできるだけドクターを持っている人を採ろうとしたんですけれども、配属する時に嫌がられるわけですね。なぜかというと、変化に対応できないとか、柔軟性がないとか、企業で仕事をしていくのにいろいろ問題点を列挙されるわけです。そういうところが大学では育成し切れていないのか、大学だけではなくて、それ以前の教育からかもしれませんけれども、弱い点があるからそうなっているのではないかと思います。
 ですから、教育の仕方が合わない、それから、企業で基礎研究をやりたいといっても多分ニーズが合わない。そこは大学で解決してほしい。企業に来るのでしたらやっぱり工学的なところのほうが重要になってくる。そこを認識していただくという必要があるかと思います。つい先日、ある大学の先生がおっしゃっていましたけれども、「今、組み込みソフトの教育が非常に重要で、その分野の教官を採りたいと思ったけれども、博士号を持っている人はゼロなんです。」と。ニーズの高い新しい分野での教育を日本の中では十分できていないので、新たな分野に取り組んでいただくよう大学は考えていただく必要があると思います。
 イノベーションを起こすという話に戻りますと、例えばGoogleが成功しているのは、研究もやっていますけれども、その周りにシリコンバレーという産業クラスターがあって、いろいろなサポートがあるわけです。そういうことも一緒に考える必要があります。COEで研究拠点をつくっていくという施策では地方にも幾つかいい拠点ができて、産業クラスターの中核になるかと思ったら、大きい大学にかなり集中する傾向があります。大規模というよりは、口は悪いですけれども、寄せ集めにかなり近い研究がいい研究というふうになっている傾向もあるので、そういうところも見直していく必要があるかと思います。

【野依主査】
  高等教育の問題が人材育成に出ておりました。大学の改革とともにやっぱり高等教育費の充実が不可欠だろうと思います。余りにも公財政支出が少な過ぎる。OECD加盟国最低であり、OECDの平均水準に達するためには、約3兆円不足しているということですね。これは文部科学省にとっては天文学的な数字です。官僚の皆さんの努力していただいていることはよくわかりますけれども、とても補えない。どうしてもこれは政治課題にせざるを得ないということですね。私の結論は、教育目的税を導入していただくしかない。こういう悲惨な状態にあるということ。先ほど東委員がどこに金が要るんだということをおっしゃいましたけれども、一つは高等教育であります。3兆円足りない。

【立川委員】
 少し批判的になるかもしれませんが、大学院の高等教育の必要性は当然認めますが、大体、日本はドクターが多過ぎるのではないかという気もしないでもないのです。国の大きさから見てどんなものかということと、将来を見渡すとこれからどんどん人口が減る方向にある。この中で大学がいっぱいできて、大学院がいっぱいできてとなると多過ぎるのではないかという危惧を持っています。民間の研究投資は8割もあるわけですが、研究者を必要とする投資はせいぜい10%です。だから、2対8は4倍ですけれども、それの10分の1ということになりますから、そういう意味ではいわゆる大学等に行く研究者のほうが多いはずだと私は思います。
 だから、それをもっと高度化してもらいたいなと。そこによって新しいアイディアが出てくれば民間側は当然それを利用して具体化したいわけですね。そういう需要が民間側にあるのですが、だから、会社で欲しい、ドクター系が欲しいのですけれども、そういう人間、研究者は研究者で、むしろ応用の効くドクターも欲しいわけです。さっき、それは國井委員が言ったように、そういうのは採用すると言うことを聞かないから、配転にも応じないのでは、それでは役に立たないということになるわけですから、その辺もぜひ大学側でお考えいただきたいと思います。

【野依主査】
 おっしゃるとおりであると思います。質と量、両方とも拡充しなければいけないと思います。先ほど安西委員がおっしゃいましたように、残念なことに日本の企業におけるR&Dはほとんど修士が担っている。欧米ではほとんどが博士であるということで、数的に言いますと、日本は全然足りない。しかし、今の質のものを幾ら増やしても、これはだめだと思います。

【冨山委員】
 私はどちらかというと、2003年から2007年までは産業再生機構というところで産業全体を見る立場におりましたので、産業全体を見た感じとして少し思っていることは、さっきの野依主査のお話と少しかぶるのですが、この全体の研究開発投資とか、研究科学技術関連の費用負担の問題について、すごくストレートに申し上げると、多分、民間側で今より増えるということはあまり考えにくいと思います。これは幾つか理由があるのですが、より基礎側に回れば回るほど、これだけ競争が激しくなって、かつ経済の変動が激しい中で、基礎研究を持続的に増やしていくということは極めて困難だというのがほとんどの産業分野の現実です。
 昨日、GMが破綻しましたが、私も同じようなああいう仕事をしていて常に直面するのは、未来に向かった投資費用、その負担を継続すべきなのか。要は限られたパイですから、ここで悪いけれどもUAWと交渉して年金をばっさり切ってしまうか。要は過去のレガシーコストを切るのか、未来に向かってお金を使うのかって、これは必ずトレードオフが起きている状況で、おそらく日本の今の国家財政も多分、似たような状況なのだと思います。そういった観点からすると、私個人の結論としては、申しわけないけれども、こういうことを言うと語弊がありますが、「お年寄り、ごめんなさい」なんです。やはり未来に向かって金を使うのが正しい国家の選択だと私は確信しているので、そういった観点はどうしても逃げずに議論すべきだと私は強く思っております。
 ちなみに、よく引き合いに出される、私もフクシマ委員もスタンフォードなのですが、スタンフォード大学でGoogleが出てきていますが、さっき少し指摘がありましたけれども、実はああいう話もベンチャーキャピタルがやっているというのは嘘で、最後の最後のところだけベンチャーキャピタルが出てくるんですよ。本当の最終ステージだけ民間のグリーディーなお金が出てきて事業化しているのであって、その前身、プレヒストリーに長い歴史があって、そこには当然大量のタックスペイヤーズマネーと、それから大学や、あるいはいろいろな形のエンジェルのノンプロフィットマネーが費やされています。ですから、純粋にプロフィット・オリエンテッドなグリーディーなマネーが担っている役割はアメリカだってそんなに大きくないんですね。
 そこがよくわからないで、今、ベンチャーキャピタルをそのまま使った産学連携をやると、はっきり言って日本では失敗しています。そういう問題意識があったものですから少し宣伝してしまうと、そういう問題意識を私自身、何とか形にできないかと思って実はいろいろ提言していたら、結果的に産業革新機構というのが今度できましたが、あれも一種の公的資金を使って何とか橋をかけようということなんですけれども、いろいろな意味で、トータルで社会全体としてノンプロフィットな公のお金をこの分野にもっと費やしていくということはやっぱり、この問題を何とか頑張って、勇気を持って議論できたらなと思っております。

【野依主査】
 そのお金の問題に関しまして大変危険なのは、国の財政が逼迫しているから科学技術への投資も我慢しようではないかということです。こういうコンセンサスが出てくるのが非常にまずいと考えます。アメリカ等ではこういう危機にあるからこそ、たくさん投資しなければいけないのだということですね。ここはやっぱりしっかりとこの委員会を中心として発信していかなければいけないと思います。

【安西委員】
 先ほどから博士課程の人材育成の問題が議論されて大変ありがたいなと思うのですけれども、とにかく産業界はそんな博士の育て方だったら要らないと。大学のほうは、現状はとにかくお金がない。卒業研究のときから囲って、それで論文生産のそういう現場をつくっていかなければ、とてもとても、いわゆる外部資金を獲るのだってとてもままならないというのが現状だと思われます。それは現実としてはわかっているわけで、それをどうやってお互いに議論して埋めていくかということについて、先ほど申し上げたのは、産業界の方にお願いしたいのはやはりモデルをできれば提示していただけると嬉しいなと。アメリカの経験とかいろいろおありになると思いますけれども、例えばコンプリヘンシブ・イグザムというのは、アメリカのPh.Dのポストというのは大概あります。これをやればある程度の広い範囲の知識というのは得られるかもしれません。
 だけど、それをやろうと思ったら、大学側はお金がかかるんですね。それから、人も要ります。支援人材も要ります。そういう議論を積み重ねていっていただきたいなと。今の博士課程の育て方ではとてもとても役に立たないということは大学側もわかっているわけで、むしろ、それをどうしたらいいのか。じゃあ、修士まででもいいのかといったら、それはそんなことはあり得ないと思いますので、ぜひそこは第4期科学技術基本計画の芯にぜひ据えていただきたいなと思います。

【佐々木委員】
 基礎研究、人文社会を含めて、ある意味で社会のイノベーションを考える場合に学術研究は極めて重要だというご指摘はそのとおりだと思いまして、学術分科会での議論にも即応するようなご議論、今日たくさんいただいたと思っております。
 これは私もどこかで、このヒアリングで書いたのですけれども、少なくとも人材政策というものは、この国には実は責任を持つ形では行われてこなかったのではないか。これはこの領域だけではなくて、色々なところに私はあったと思います。ですから、自己責任という大変便利な言葉があるわけでありますが、自己責任は必要なのですけれども、それは政策がないということをいささかも免責するものではないというわけで、しかも、野依主査も言われたように、これは内閣府で人材の問題をどうするんだ、人材政策というものは他の領域もあると思うのですけれども、これを文科省だけにやってくれと言っても、これはかなり無理な問題がある。そこのグリップをきちっとかけたような形で第4期科学技術基本計画を立てる必要があるということについて、我々としては強い要望を出すべきだろうということであります。
 もう一つのポイントは、これは必ずしも容易な話ではないですけれども、日本の雇用制度、雇用の在り方、それに伴う色々なフリンジ・ベネフィットの問題というのが、結局、一番大きなテーマとして、骨として見えてきているわけでありまして、これを大学とか研究機関だけでどうこうしろというわけのものではないかもしれないんだけれども、大学として何かやりようがあるのかということについては、やはり大学自体も極めて一律的、領域の多様性などというものとはおよそ無縁な仕組みをとり続けてきたということについても、同時に考えを出すというような格好で、ここを解きほぐさないとキャリアパスの問題も何もなかなか見えてこない。
 この辺が冨山委員あたりにいろいろとアドバイスを承って、やはりどこかで視野に入れておかないと、先ほど来の話もなかなかうまく回らないところで、やっぱりまた元へ戻ってきてしまうのではないかということについては、私もまた機会があればもう少し発言したいと思います。

【野依主査】
 人材はこのグローバル化社会の中で日本だけで育成、確保することは非常に難しくなってきていると思うんですね。国際化の問題、少しいかがでございましょうか。先ほど、もっと外で教育しなければいけない、あるいは日本に連れてこなければいけないという話もありましたけれども。

【東委員】
 今、野依主査がおっしゃったことと、先ほどアメリカでのPh.Dの取得者の違い、このことの非常に大きな効果は人脈づくりです。人脈づくりというのは、主査がおっしゃったけれども、まさにそのとおりで、イノベーション創出に不可欠です。イノベーションはどういうプロセスで達成できるのかに関して一般に思われているのは、何か非常にすごい発明や、技術がまずありきです。それを自分が何か将来の事業化につなげるために一生懸命努力します。だから、そこの間に何か機関が必要だし、それから、自分で死の谷を越えて、ダーウィンの海を乗り切って、それで事業化するんだと。この認識が基本的に間違っている。
 大体、知を生む人と、それから事業化も同時に達成するというのは、もうほとんど過去に例がないですね。例えばジェームス・ワットがブルネールみたいに鉄道を走らせたり、物を輸送したりすることはまずない。それから、ショックレーたちのトランジスタの発明がICで成功するということもないし、日本語入力装置で日本語ワープロというのは、当初は新聞社とか官庁に納めていた。それは非常にニッチなマーケットです。だけど、どこでブレークスルーしたかといったら携帯ですよ。携帯に日本語ワープロが乗って、携帯メールが生まれた。日本語入力装置は1970年、携帯メールが出たのが1998年ですね。28年間かかっている。だから、全然違う人材がイノベーションを起こしているんです。
 ですから、両方とも非常に能力の高い人たちが必要なのだけれども、それが同一人が何か全部やろうというモデルが間違っているのです。それぞれの分野で、安西委員がおっしゃっているように、全然違った領域において、すぐれた人を育てる。これをどういうふうに育てるかというと、やっぱりネットワークが必要だから、狭い領域の中で考えないで多様性をもっと持たせましょうと。人脈づくりの重要性はこういうことだと思います。

【野依主査】
 私は海外にもっと若手を派遣しなければいけないと思っております。同時に、逆に海外からすぐれた学生、あるいは研究者を呼び寄せるための取り組みを進める必要があろうかと思っております。ただし、この際に研究者を呼ぶ場合には学校の問題であるとか、奥さんの仕事であるとか、生活面での環境整備が大変おくれているということが問題になると思います。
 それから、私、今、理研という公的な研究機関におります。将来海外拠点を設置しなければいけないと思っていますが、制度上の課題がございます。これも解決しなければいけない。
 この第4期科学技術基本計画に向けて、外国人研究者、あるいは家族に対する生活環境の整備問題、あるいは研究機関の海外展開に当たっての制度上の課題、あるいは対応策についてもきめ細かく検討していただいて、そして提言していく必要があろうかと思っております。

【本藏委員】
 海外の研究者をいかに日本の大学に多く参入していただくかという問題について、色々な問題があってなかなかうまくいかない。大学はこの点に関しては極めて保守的だということは皆さんご承知のとおりだと思うのですが、それには今、野依主査が言われたように、異なる文化、言語も違う。そういう人たちをどうやって受け入れて、そういう人たちが本当に落ち着いて研究できるかということだろうと思うんですね。それはかなり皆さん心配するところで、それが一つの原因になっていることは事実だろうと思います。
 それに対して私たちは、私の経験で学んだことがあるのですけれども、これは振興調整費の若手研究者育成でテニュアトラックと呼ばれているものであります。我々は、これを国際化する第一歩にしようというので、若手研究者ですから、ポスドククラスですね。それを国際公募して、「Nature」に何回も宣伝を出したところ、応募者は国内と国外がほぼ半々ぐらいでした。ニーズはすごくあるということがよくわかったわけで、実際に採用してみると、第1回ですけれども、ほとんどが国外から応募して来た人たちだった。つまり、日本の応募者は競争に負けているわけですね。優秀な人たちばかりですが、その人たちが根づくかというと、テニュアトラックという制度があって、5年後に本当に優秀であれば採用できるという条件なので、いるという人たちが応募しているわけですね。
 そういう人たちは言語の問題についてもほとんど問題にならない。というのは、適当なサポート体制と、研究教育は英語であればいいわけですから。あとは日常的な大学内外の生活なんですけれども、それについては、そういう若手の時代から採用すると、彼らが日常的な日本語というのはみずから学ぶわけで、全然困ることはない。例えば教授会を英語でやらなければならんことではない。極めてスムーズに研究環境になじむことができる。ただ、問題はそこから先の問題で、日本の大学の中で、そういう形で国際公募をして優秀な人が来た時に、本当に長期にわたって採用する気があるのかという問題で、その点については、私はいまだに極めて保守的だと思います。私も先ほど大学改革を一層やるべきだ、グローバル化を控えて一層やるべきだということの中に入れるべきだと思います。

【門永委員】
 今の本藏委員の話は日本に海外の人が来るという、そういう文脈だったと思いますが、日本人にとっての英語という問題は、周辺的な話ではあるのですけれども、非常に本質的なところがあります。過去であればサイエンスの世界ではきちんとペーパーを書ければ、またそれについて議論ができればよかったかもしれないのですが、そこから例えばイノベーションにつなげていく、また、先ほど東委員がおっしゃっていたネットワーキングをするとか、議論の中から新しいアイディアが生みだされるという場面になるとどうしてもボトルネックになります。英語はただのツールではないかとどうしても思いがちですが、正直言ってここのところを解決しないと、次の世代にはつながらないかなと思います。

【野依主査】
 私は日本人ですから日本で暮らすことに何の不自由もありませんし、研究者としては外国に行ってもそれなりに暮らせる、通用すると思います。一方、外国の方が日本に来て問題になるようなハードル、何が一番ボトルネックになるんでしょうか。外国のすぐれた研究者なり、技術者なり日本に来て働いていただくためにはどういうことが問題になりましょうか。

【門永委員】
 いろいろあると思いますが、本来の目的を達成するという軸で考えると、英語で議論をするというところでの物足りなさというのが必ず、英語のネーティブスピーカーにはあると思いますね。それを日本語でやってくれというと、これはまた逆の意味で難しい。今はやはり、好むと好まざるとに関わらず、どうしても世界の共通言語が、特にインターネットの普及後、英語になってしまっていますので、そちらに合わせざるを得ないのではないか。日本人がですね。そのように私は感じております。

【安西委員】
 手短に幾つかの経験を交えて申し上げますけれども、外国から研究者、またポスドク等が何人か来たたことはもちろんあるのですが、その経験で申しますと、一番大きなことはジョブマーケット、それから、研究の情報の流通環境から隔たってしまうということが非常に大きいと思います。だから、ある程度自分の元にいた場所に行ったり来たりできる旅費とか、そういうことのサポートが非常に大事ではないかというのが自分の経験上のことであります。
 日本というのはどうしても、本当にすぐれた人のラボであれば世界の情報が常に流通しておりますので安心していられるんですね。しかし、そういうラボではないといつも不安になる。自分の次のステップをどうしようかということが不安になるわけで、そういうときに世界中飛んで歩きたいけれどもお金がないという、そういう状況が自分の、いろいろな周りの知っている人たちからはそういう感じがする。
 あともう一つ、大学院生、外国からの院生については、これは私どものところの経験で申しわけありませんが、大学に金がないということは強調しておきたいので、院生1人、留学生として1年いるごとに、我々のところですと100万円持ち出しになります。学生寮、その減価償却、それから国際担当の職員、いろいろなことを全部積み上げて留学生の数で割りますと、大体文科省等からの補助金をちゃんとそぎ取った後、純粋な持ち出しは約100万円になりますので、留学生を増やせば増やすほど大学としては赤字が増える。こういう構造になっております。高等教育の中で、また、この研究環境の充実ということの中で国際化ということを考えるのだったら、どうしてもやっぱり国の資金というのは大事だということがございます。

【菅委員】
 私は実はアメリカでポストをとって帰国してきた人間の1人なのですけれども、国際化については色々なレベルがあると思います。一つ目は、例えば先ほどもおっしゃったように、若い研究者で自分の新しいポストを求めて移る人というのは、自分の可能性にかけていくというので比較的移りやすいというメリットがあると思います。ところが、もう少しエスタブリッシュした研究者を外国から呼び寄せるときには一番大きなネックは間違いなく給与ということになると思います。私はほとんどどういう給与をもらえるのか知らずに行って、だまされたと思って帰ってきたんですけれども、いずれにせよ、給与がおそらく一番大きなネックになるというのは間違いないと思います。
それから、留学生に関して言いますと、私は少し国際化の意識が皆さんと違うかもしれないんですけれども、経団連もおっしゃっているように、優秀な留学生を日本に連れてきて日本に根付かせるというのはとても重要なことだ。アメリカが成功しているのは、それが一番大きな理由だと思いますので、もしくはヨーロッパもそうですけれども、スイスもそうですね。
ですので、一つは、日本語というのは非常に特殊な言葉ですので、留学生に対してちゃんと日本語教育をして、就職先が見つかるようにしてあげないと、やはり留学生が日本に根付くことはないだろうと私は思っておりますので、大学で非常に重要なことは、来た留学生に対して英語の授業をたくさん用意するのではなく、英語の授業も幾つかあってもいいのですが、日本語教育をしっかりやってあげるということをすることによって、日本が好きになり、日本に根付いて、日本でいい人材として企業なり、アカデミックなりで将来活躍してくれると私は思っておりますので、今、日本語教育を留学生にしようという視点が若干欠けていると思います。

【野依主査】
 いろいろなご意見がございましたけれども、そろそろ時間がなくなって参りました。この委員会は平成23年から28年の科学技術基本計画に資するものでありますけれども、我が国はさらに長く尊厳と繁栄を保っていかねばならないと思っております。そのために明確な国の姿、そして具体的な課題を議論していかなければいけないと思います。一つ明確なことは、現在は歴史的に一つの転換期にあることだろうと思います。目先のことで右往左往するのではなくて、やはり20年先を見据えていろいろなことを議論しなければいけないと思います。ちょうど20年前にベルリンの壁が崩壊して、冷戦構造が終結、社会主義経済が敗れたわけです。そして、それからアメリカ主導の極端な市場経済主義、あるいは新自由主義が跋扈し、ついに最近、破綻したということです。
 そして、20年先どうなるかということであります。新しい秩序が生まれるに違いないわけですけれども、これを予測することは甚だ困難なことです。しかし、はっきりしていることは中国をはじめ、アジア勢の台頭があって世界の地図は大きく塗りかえられる、これは確実ではないかと思います。それを見て我々がはたしてあるべき姿を議論する資格があるのかということです。我々世代は、これまで過去十数年、新自由主義という古いパラダイムの尻馬に乗って、日本国をこのように混乱させ、また、相対的地位を低下させた張本人であり、おそらくナショナルビジョンを語る資格はないと思います。特に主導的な地位にあった方々は皆さん反省していらっしゃいますけれども、全く責任がとれていない。そういう状況です。
 1期から3期の科学技術基本計画は、実はこのような方たちがつくってこられたわけです。もしこの委員会でこの先20年の国のあるべき姿、あるいは具体的方向性について議論をするのであれば、ぜひ20年先の指導者たるべき志のある若い人たちの意見を十分に取り入れていく必要があるのではないか。こういうふうに思っております。この席では難しいかもわかりませんけれども、色々な形で、工夫していただきたく思います。
 続きまして、議題3のその他となりますけれども、今後の委員会の日程等について事務局から説明していただきたいと思います。

【柿田計画官】
 それでは、資料9でございますが、今後の本委員会の予定です。第2回目は7月7日、15時からこの場所で予定をさせていただいております。
 なお、第3回から第5回までも記載のとおりの予定で進めさせていただきたいと思います。詳細な議題等、あるいはご出欠の確認につきましては、追って事務局よりご連絡させていただきます。
 また、本日の議事録につきましては、後ほど事務局より委員の皆様にメールでお送りさせていただきます。委員の皆様にご確認いただきました上で、文部科学省ホームページに掲載させていただきますので、よろしくお願いいたします。また、本日の資料につきましては、お帰りの際に封筒にお名前をご記入の上、机上にお残しいただければ事務局より後ほど郵送させていただきます。
 以上でございます。

【野依主査】
 長い時間、どうもありがとうございました。これで第1回の基本計画特別委員会を閉会させていただきます。

お問合せ先

科学技術・学術政策局計画官付

電話番号:03-6734-3982(直通)

(科学技術・学術政策局計画官付)