(参考1)科学技術を巡る諸情勢の変化(1990年代後半から現在まで) ‐第2期科学技術基本計画が掲げる3つの「目指すべき国の姿」に関して‐ 3 「安心・安全で質の高い生活のできる国」に関して

○ 心の豊かさや安全・安心など科学技術への期待が多様化

  • 「物質的にはある程度豊かになったので、これからは心の豊かさに重きをおきたい」とする人の割合が増加(1995年56.8%→02年60.8%)(内閣府「国民生活に関する世論調査」(2003年6月))
  • 「自国が10年前に比べて安全でなくなったと思う」人に割合が日本では86%と、全世界の平均57%に比べ極めて高い結果に(世界経済フォーラム「安全と経済的繁栄に関する国際世論調査」(2004年1月))
  • 「今後の科学技術の発展は、物質的な豊かさだけでなく、心の豊かさも実現するものであるべき」とする人が8割超(80.5%)に(内閣府「科学技術と社会に関する世論調査(2004年2月))
  • 「身近な生活の安全と国の総合的な安全確保のため、高い科学技術の水準が必要」と思う人が約70%に上った(内閣府「科学技術と社会に関する世論調査」(2004年2月)

○ 新興・再興感染症が経済社会や生活に大きな影響を及ぼす不安要素となった

  • 重症急性呼吸器症候群(SARS(サーズ))が中国ほかで発生(2002年11月)/高病原性鳥インフルエンザが日本(山口県)で79年ぶりに発生(2004年1月)

○ 食の安全・安心に対する国民の関心が高まった

  • 腸管出血性大腸菌O157が国内で流行(1996年)/野菜の原産国・産地表示の義務化(2000年7月)
  • 市販コーンスナックに遺伝子組換え作物(安全性未審査)使用が確認された(2000年11月)/遺伝子組換え食品表示が法的に義務化(2001年4)
  • BSE感染牛日本で発見(2001年9月)/雪印牛肉偽装事件(2002年)
  • 厚労省「水銀を含有する魚介類等の接触に関する注意事項汚染」公表(マグロが注意リストに含まれなかったことに対しマスコミが批判したことで注目された)(2003年)
  • 米国でBSE牛発見、米国牛輸入制限(2004年)

○ 大規模災害が発生

  • 阪神・淡路大震災(1995年)/東海豪雨災害(2000年)/北海道・有珠山噴火(2000年)/三宅島噴火(2000年)/十勝沖地震(2003年)新潟豪雨災害(2004年)

○ 国内の治安が急激に悪化した

  • 地下鉄サリン事件(1995年)/犯罪件数の増加:2003上半期1万1304件(前年比2割増、89年以降最悪)
  • 来日外国人犯罪の増加:2002年1万6千件で過去最高/刑法犯認知件数が7年連続で過去最多を記録(2002年285万件)
  • 刑法犯少年の検挙人員増加:2002年14万人(2年連続増)/検挙率が低下(2003年に5割を割り、過去最低の水準)

○ テロが現実的な脅威となった

  • 米国同時多発テロ(2001年9月)/米国炭そ菌事件(2001年9)/インドネシア・バリ島爆弾テロ(2002年9月)
  • 米国等によるアフガニスタン攻撃(2001年10)、対イラク戦争(対テロ戦争)(2003年3月~)
  • スペイン列車爆発テロ(2004年3月)/ロシア学校占拠テロ(2004年9月)

○ 国の安全保障に対する国民の認識や意識を揺るがす事件が相次いだ

  • 北朝鮮「テポドン1号」が三陸沖に着弾(1998年8月)/北朝鮮日本人拉致事件/九州南西海域における北朝鮮工作船事件(2001年12月)
  • 北朝鮮が核開発を認める(2002年10月)/中国人7名尖閣諸島上陸(2004年3月)

○ インターネットの普及を背景に情報セキュリティに対する不安が高まった

  • ネットワーク利用犯罪の増加/不正アクセス禁止法違反の増加、サイバーテロ発生の懸念が高まる
  • コンピュータウイルスの蔓延(01-02年に届出数激増、年2万件を超える)/西暦2000年問題/官公庁ウェブサイトのハッキング事件
  • ヤフーBB451万人個人情報漏洩(2004年2月)

○ 健康増進に対する意識が更に深まった

  • 健康食品が増加/健康増進法施行(2004年2月)

○ 少子高齢化を背景に社会保障制度に対する不透明感や不公平感が高まった

  • 「1.29ショック」(2003年の合計特殊出生率が史上最低の1.29まで低下)(2004年6月)/高齢化率が上昇(1995年14.5%→2003年19.0%)
  • 介護保険制度の導入(2000年4月)/医療保険制度の改革によりサラリーマン自己負担3割に(2003年4月)
  • 公的年金制度の給付と負担の見直し(2004年財政再計算)に向け国民の関心高まる(国会議員の年金未納問題他)(2004年)

○ 家庭内不安が増加した

  • 児童虐待の増加(児童虐待相談処理件数:23,274件(2001年)(1999年比で倍増))/配偶者暴力の社会問題化を踏まえ、DV防止法が施行(2001年10月)
  • 離婚率の上昇(1999年25.1万→2002年30.0万件)/自殺者数5年連続3万人超(1998年-02年)
  • オレオレ詐欺被害の増加(2004年前半都内で400件以上)

○ 少年の凶悪事件が相次いだ

  • 神戸少年殺害事件(1997年7月)/西鉄バスジャック事件(2000年5月)/付属池田小事件(2001年6月)
  • 長崎男児誘拐殺害事件(2003年7月)/長崎少女殺害事件(2004年6月)

○ 身近な生活レベルで環境保全への意識が高まった

  • ごみ分別収集(2001年には全国市町村の8,9割で)/エコ家電など環境保全型商品が普及/粗大ごみ有料化(リサイクル法)
  • ダイオキシン、内分泌かく乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)等の環境リスクへの関心高まる
  • 千代田区生活環境条例(路上禁煙)(2002年10月)、市町村レベルで次々と制定/エコカーの普及(トヨタ・プリウス他)

○ 国際的レベルでも環境保全への取組みが進んだ

  • 国際標準化機構「ISO14000」シリーズの制定/気候変動枠組条約締結国会議が開催(京都議定書を採択)(1997年)
  • 国連・ヨハネスブルクサミット(リオプラス10)が開催(2002年)

○ 企業の倫理欠如や危機管理に係る事件が相次いだ

  • JCOウラン加工工場臨界事故(1999年9月)/雪印食品株式会社による牛肉偽装問題(2002年9月)
  • 東京電力の原子力発電所のトラブル隠し(2002年9月)/三重ごみ固形燃料(RDF)発電所爆発事故(2003年8月)
  • ブリジストン工場の火災(2003年9月)/相次ぐロケット打上げ失敗(H-Ⅱ5号(1998年)、8号(1999年)、M-5(2000年)、H-ⅡA(2003年))
  • 三菱自動車の欠陥隠蔽(2004年)/関西電力美浜原発事故(2004年8月)

○ 生命科学の進展に対し、生命倫理に関する認識が高まった

  • 臓器移植法制定(1997年)/体細胞クローン羊「ドリー」誕生(英国)(1997年)/ヒトES細胞樹立の発表(米国)(1998年)
  • クローン技術規正法の成立(2000年)/「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」策定(文科省)(2001年9月)
  • 「特定胚の取扱いに関する指針」策定(文部科学省)(2001年12月)/生物多様性条約に基づき新たな「生物多様性国家戦略」を策定(2002年3月)
  • 「ヒト胚の取扱いに関する基本的な考え方」(総合科学技術会議)(2004年7月)

○ 生活に身近なロボットが話題に上るようになった

  • ソニーの「AIBO」販売開始(2002年2月)/指揮をするロボット(ソニー・QRIO)(2004年3月)/介護・福祉ロボット等非製造ロボットがロボフェスタ、マスコミで取り上げられる

○ 文化振興の基本法ができた

  • 文化芸術振興基本法制定(2001年12月)/「文化芸術の振興に関する基本的な方針」(閣議決定)(2002年12月)

○ アニメ等のコンテンツの海外における評価が高まった

  • 宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」ベルリン映画祭金熊賞、米国アカデミー賞受賞(2002年)/日本アニメの海外進出(ポケモン、ドラえもん)
  • 北野武監督「座頭市」がベネチア国際映画祭「特別監督賞」を受賞(2004年9月)/宮崎駿監督最新作「ハウルの動く城」ベネチア国際映画祭に出品、技術貢献賞を受賞(2004年9月)

○ 世界的に活躍する個性が注目を集めた

  • イチロー、松井、中田選手などのスポーツ選手が海外で活躍/アテネオリンピックで日本チームが史上最高の37メダルを獲得
    ・ 五嶋みどり、諏訪内晶子(ヴァイオリニスト)、吉田都(バレリーナ)の活躍

○ 市民参加の認識がより高まった

  • 情報公開法施行(2001年4月)/NPO急増(平成15年度より特定非営利活動推進法(NPO法)の対象に「科学技術の振興を図る活動」が追加
  • パブリックコメントの普及/司法制度改革の議論(2009年度から裁判員制度の導入が決定)

お問合せ先

科学技術・学術政策局政策課

(科学技術・学術政策局政策課)