(参考1)科学技術を巡る諸情勢の変化(1990年代後半から現在まで) ‐第2期科学技術基本計画が掲げる3つの「目指すべき国の姿」に関して‐ 1 「知の創造と活用により世界に貢献できる国」に関して

○ 日本人がノーベル賞を連続受賞した

  • 白川英樹氏 化学賞(2000年)<導電性高分子(電気を通すプラスチック)の発見と開発>
    (自然科学系では87年の利根川進氏(医学・生理学賞)以来初めての受賞)
  • 野依良治氏 化学賞(2001年)<触媒不斉合成の開発に対するキラル触媒による不斉水素化反応の研究>
  • 小柴昌俊氏 物理学賞(2002年)<宇宙ニュートリノの検出に関する貢献>
  • 田中耕一氏 化学賞(2002年)<質量分析法のための脱離イオン化法の開発>

○ 研究基盤の整備による研究開発の進展がみられた

  • 「Spring-8」が供用を開始(1997年10月)。国内外の研究者による利用が進む/H-2A初号機 打上げ成功(2001年8月)
  • 「地球シミュレータ」が2002年3月から運用を開始。スパコン性能ランキングで世界最速コンピュータに(2002年4月)
  • イネゲノムの全塩基配列について重要部分の高精度解読終了(2002年12月)/日米欧中の6カ国コンソーシアムがヒトゲノム解読完了を宣言(2003年4月)
  • 「タンパク3000プロジェクト」が進み、796個のタンパク質構造が決定(2003年7月)
  • 大型光学赤外線望遠鏡「すばる」が2000年12月に共同利用観測を開始。もっとも遠く古い銀河の群れを発見(2003年11月)
  • スーパーカミオカンデが1996年から観測を開始。ニュートリノの質量を確証(2004年1月)

○ 少子高齢化と人口減少の懸念が顕在化してきた

  • 最新の将来推計人口発表(2002年1月)(2006年度をピークに長期の人口減少過程へ突入)
  • いわゆる「1.29ショック」(2003年の合計特殊出生率が02年の1.32から史上最低の1.29まで低下)(2004年6月)
  • 高齢化率が上昇(1995年14.5%→2003年19.0%)/研究者・技術者数が今後急激に減少するとの推計も(2003年版科学技術白書)

○ グローバル競争を背景に科学技術を担う人材の確保が各国共通の課題に

  • 米国:在住の博士号保持者の約3割が海外からの人材(2004科学技術指標)、近年は入管政策の変更により、自国の人材強化に向けた取組にシフト
  • OECD:科学技術委員会(CSTP)閣僚級会合において、頭脳流出、人材の量の確保と質の向上等が議論の主要テーマに(2004年1月)
  • EU:域内への人材呼び戻し政策/中国:海外在住研究者の帰還促進政策(海亀政策)を推進

○ 国民の科学技術への関心が低下傾向

  • 科学技術についてのニュースや話題への関心があるとする人が減少(1998年58.1%→2004年52.7%)(「科学技術と社会に関する世論調査(2004年2月)」)
  • 科学技術に触れることの面白さや楽しさが感じられなくなっていると感じる人が増加(1995年29.1%→2004年44.2%)(「科学技術と社会に関する世論調査(2004年2月)」)

○ 理工系人材への注目度が高まった

  • 計画期間中に4人のノーベル賞受賞者が誕生
  • MOT(Management of Technology)への注目の高まり(早稲田大学などにMOT大学院設置(2003年))
  • 「理系」の問題に切り込んだ毎日新聞の「理系白書」の連載(2003年1月~、同6月単行本化)が話題に
  • 職務発明に対する報酬をめぐる複数の訴訟(青色LED訴訟、200億円判決(2004年2月))

○ 科学技術の推進体制が大きく変わった

  • 省庁再編により総合科学技術会議が設置/文部科学省が誕生(2001年1月)
  • 日本学術会議の改革が進行(「日本学術会議の在り方について」意見具申(総合科学技術会議))(2003年5)、日本学術会議法の一部を改正する法律が公布・一部施行(2004年4月)

○ 大学改革及び公的研究機関の独立行政法人化が進展した

  • 大学評価・学位授与機構発足(2000年4月)/独立行政法人通則法施行(2001年1月)(2001年4月 文部科学省7国研が独立行政法人に)
  • 沖縄科学技術大学院大学設立構想(2002年)(世界最高水準の自然科学系の大学院大学の設立構想)
  • 「大学(国立大学)の構造改革の方針」及び「大学を起点とする日本経済活性化のための構造改革プラン」発表(2001年6月)
  • 「21世紀COEプログラム(研究拠点形成費補助金)」事業開始(2002年)/文部科学省4特殊法人研究機関が独立行政法人に(2003年10月)
  • 専門職大学院制度の創設(2003年)/大学への第三者評価制度の導入(2004年)
  • 国立大学、大学共同利用機関の法人化(2004年4月)/公立大学法人制度の創設(2004年4月)/独立行政法人海洋研究開発機構 発足(2004年4月)

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