資料8 科学技術の中長期発展に係る俯瞰的予測調査概要

科学技術・学術審議会
基本計画特別委員会(第1回)
平成16年10月6日

調査のポイント

◆ 科学技術に関する重点化政策に必要な情報の提供

- 政策過程との直結性
- デルファイのみから複数手法の統合
- 全体としての俯瞰性を持つよう設計の見直し

◆ 「科学技術の発展」と「社会・経済ニーズへの対応」のマッチング

- 第3世代予測への移行

◆ 「技術予測」から「科学技術予測」へ

- 科学技術論文の分析、シナリオ分析

◆ 専門家集団のコンセンサス(デルファイ)+卓越した個人の(規範的な)展望

◆ デルファイ設計の見直し

- 「点」としての技術のみでなく「面」としての技術を把握

- 研究開発政策とイノベーション政策への含意

 調査のポイントの図

調査実施体制

予測調査委員会(20)

- ニーズ調査分科会(8)
- シナリオ調査分科会(8)

<技術系分科会>

- 情報・通信分科会(14)
- エレクトロニクス分科会(13)
- ライフサイエンス分科会(15)
- 保健・医療・福祉分科会(11)
- 農林水産・食品分科会(15)
- フロンティア分科会(13)
- エネルギー・資源分科会(13)
- 環境分科会(15)
- ナノテクノロジー・材料分科会(15)
- 製造分科会(12)
- 産業基盤分科会(7)
- 社会基盤分科会(12)
- 社会技術分科会(12)

( )内は人数を示す。

<デルファイ調査>

注目科学技術領域の選定

◆ 各分野における注目科学技術領域を設定し、これを中心に予測課題を選定

(技術の面的な把握)

◆ 技術系分科会(13分野)において130領域を選定

(例)情報通信分野

- 超大規模情報処理
- ハイプロダクティビティコンピューティング
- ヒューマンサポート(人間の知能支援)
- 超トランスペアレント通信(空間共有)/ヒューマンインタフェース(人間の筋力を支援)
- 情報セキュリティ
- 社会システム化のための情報技術
- 情報通信新原理
- ユビキタスネットワーキング
- 大規模ネットワークに耐えうるソフトウェア技術

(例)ライフサイエンス分野

- 創薬基礎研究
- 新規医療技術のための基礎研究
- 脳の発生・発達
- 脳の高次機能
- 脳の病態の理解と治療
- 再生医科学
- 生体物質測定技術
- 生命の高次機能制御
- 情報生物学
- 環境・生態バイオロジー
- ナノバイオロジー

◆ 領域についての設問

- 専門度(大、中、小)
- 現時点及び中期(10~20年後)の知的資産の増大効果(当該領域自体への寄与、他分野の発展への寄与)
- 現時点及び中期(10~20年後)の経済的効果(我が国の既存産業の発展への寄与、新産業・新事業の創出への寄与)
- 現時点及び中期(10~20年後)の社会的効果(安全・安心の確保への寄与、社会の活力や生活の質の向上への寄与)
- 現在の日本の研究開発水準(対米、対EU、対アジア)
- 5年前の日本の研究開発水準(対米、対EU、対アジア)

<デルファイ調査>

予測課題の選定

◆ 技術系分科会(13分野)において各領域を代表する予測課題を検討

◆ 領域に属さないものも含め858課題

(例)領域名:超大規模情報処理 (情報通信分野)

- 映像視聴中に関連の映像情報を検索したい場合、視聴者の関心、スキル、検索コンテクストなどの情報を各種センサなどを駆使して収集し、視聴者にもっとも適した結果を出力するなど、アクセス要求の高度化に対応した検索システム
- 世界レベルでend-to-endにトランスペアレントな光波長パスを提供するネットワーク
- 膨大、多様、入れ替えの激しい情報家電機器について、管理型システムではなく、相互に情報交換を望む機器同士が自己秩序形成型で全体の円滑な運用を可能にしていく技術
- デジタル放送、高速モバイル、無線LAN、有線アクセスなどおよそあらゆるメディアに対応可能なソフトモデムを含む装置の出現により、複数メディア同時アクセスが実現し、状況に応じて最も相応しいメディアを自動選択して、家庭内ホームゲートウエイを制御、連携するクロスメディアサービスが本格化する

◆ 予測課題についての設問

- 専門度(大、中、小、なし)
- 我が国にとっての重要度(大、中、小、なし)
- 現在第一線にある国等(日、米、EU、アジア、その他)
- 「技術的実現時期」と「社会的適用時期」(2006~2010年、2011~2015年、2016~2025年、2026~2035年、2036年~、実現しない、わからない)
- 政府による関与の必要性(大、中、小、なし)
- 我が国において政府がとるべき有効な手段(人材育成と確保、産学官・分野間の連携強化、研究開発基盤の整備、研究開発資金の拡充、国際展開の推進、関連する規制の緩和・廃止、関連する規制の強化・新設、起業環境の整備、税制・補助金・調達による支援、その他)

◆ 現在、ラウンド1アンケートを実施中(対象者のべ4219件)

<シナリオ調査>

シナリオ調査の概要

◆ 特定のテーマにおける今後10~30年の科学技術の発展を、個人の卓越した見識により描く(全48テーマ、1テーマにつき2名にシナリオ作成を依頼)

◆ シナリオの構成

- 現状(過去)の分析
- 今後10~30年の発展シナリオ
- 発展シナリオに基づく日本のとるべきアクション

◆ シナリオテーマの例

- 科学技術進化モデル
- 数学の研究発展と数学教育
- 長寿社会に対応する再生医療
- ナノバイオ技術を利用した創薬
- 超大容量情報処理デバイス
- ヒューマノイド(人型ロボット)技術
- ソフトウェアエンジニアリング
- 燃料電池開発と社会への普及
- 容易に真似の出来ない設計・製造技術
- 社会インフラの再生と維持管理
- 災害後の復旧
- 経済変動の予測技術
- 少子社会における「次世代」の心身健全育成
- 情報投資による効率向上
- 科学技術におけるアジアの多様性と融合
など

◆ 現在、第1グループ(29テーマ)についてシナリオを執筆中

<急速発展領域調査>

急速発展領域調査の概要

◆ Thomson ISI社の論文データベースを用いたデータベース分析から、注目すべき重要な研究領域で、かつ急速な発展を示しているものを見いだす。

- 論文データベース分析の手法開発
(被引用数上位1%の論文を共引用の関係を用いてグループ化)
- 急速に発展しつつある研究領域の抽出
- 研究領域の内容分析および専門家からの意見収集
- 時系列分析の実施

急速発展領域調査の概要の図

<急速発展領域調査>

データベース分析で抽出された急速に発展しつつある51領域

分野 研究領域名 分野 研究領域名
臨床医学 急性冠症候群に関する研究 工学 生体試料や環境試料の微量元素分析
シクロオキシゲナーゼ―2阻害剤の研究 材料科学 生体構造再生材料
疾患治療を目的とした免疫研究 地球科学 地球規模の気候変動研究
高血圧症治療に関する研究 古気候おける地球規模の気候変動
ウイルス性肝炎 宇宙科学 宇宙の構造と進化
ホルモン療法 社会科学・一般 知識と情報技術をベースとした組織・経営論研究
クエン酸シルデナフィルに関する研究 法学および経済学における行動主義的分析
植物・動物学 生物時計に関する研究 経済学・経営学 地域経済発展とネットワーク
植物ホルモン・アブシジン酸の機能解析 学際的・分野融合的領域 ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体に関する研究
シロイヌナズナを用いた分子植物科学研究 神経変性疾患についての研究
植物ホルモン・オーキシンの機能解析 1.グルタミンレセプター 2.がんの成長阻害
分子生物学・遺伝学 DNAメチル化 カーボンナノチューブ
精神医学/心理学 統合失調症 アポトーシスの分子機構
化学 酵素・錯体触媒 プロテオミクス
有機/無機ハイブリッド材料 脂肪細胞分泌ホルモン
イオン性液体 幹細胞からの再生に関する研究
高効率炭素―炭素結合形成反応を機軸とする有機合成反応 メゾポーラス材料とナノワイヤー
バイオ分析用デバイス DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析
ナノ結晶粒子のバイオ分野への応用技術 インフルエンザに関する研究
分子デバイス/分子機械 病原微生物のゲノム解析
物理学 ニュートリノ研究 マラリア原虫のイソプレノイド生合成経路に関する研究
重イオン衝突による高温・高密度物質の探求 大気中粒状物質の健康影響
弦理論に基づく素粒子論的宇宙論 細胞膜チャンネル
酸化物高温超伝導物質 RNAi (RNA interference)
量子コンピュータ テロメラーゼ研究
金属系超伝導物質と重い電子系超伝導物質
日本論文の比率 ~3% 3~7% 7~15% 15%~

お問合せ先

科学技術・学術政策局計画官付

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(科学技術・学術政策局計画官付)