: |
大学施設については、老朽化・狭隘化対策といった量的改善だけでなく、質的改善をお願いしたい。大学は工場でも倉庫でもなく最高の知の府なのだから、安全性や機能だけでなく、格調高い施設によって若者の知的活動を鼓舞するという面がもっと前面に押し出されてよい。そのためには、学長のリーダーシップでアカデミック・プランを作っていただき、それに基づいたキャンパス・プランを作った上で建てていただきたい。大学は研究所と違って、教育機能がある分、分散性・多様性の確保が重視され、結果として経済的な非効率をもたらす面がある。教員のわがままがこの非効率性を助長する面もあるだろう。学長のリーダーシップできちんとプランを作り、施設整備の評価に当たってはプランそのものの合理性をきちんとその対象に入れる必要がある。
また、建てるだけでなく、その何倍もかかる維持費・運営費を十分に確保していただきたい。その際、研究の分野や特性に応じた費用をつけていかないと、維持・運営にお金がかからないところの研究ばかりが増えるということにもなりかねない。
さらに、学生、院生、ポスドク、その他諸々の研究従事者の安全を確保するためには今よりはるかに広大な施設が必要で、そこも是非考慮してもらいたい。
|
: |
これまで厳しい予算状況の中、大学のために努力してもらっていることに感謝する。ここ数年は補正予算の措置が非常に大きな要素であったが、今後はそれが予測もできない状況。その中で最も重要になるのは、やはり老朽施設の改善。格調高い建物はもちろん必要であるが、まずは今日の資料に書かれた対策を是非しっかり進めてもらいたい。これまでのところ、残念ながら基準面積には全く届いておらず、海外の研究者を呼んでも大変ショックを受けられるし、国際水準には程遠いと言われる。大学内のマネージメントの柔軟化にも取り組むつもりだが、設備の充実には今後とも努力をお願いしたい。
|
: |
昨日、国大協の臨時総会で施設整備について議論があり、地方の大学の学長から、地方では特に施設の老朽化が著しいという訴えがあった。老朽化解消の状況について、全国を平均値で括った話だけで済まされては困るという、大変力強い訴えだった。当大学の施設整備は恵まれた状況だが、それに見合う教育研究上の実績を上げており、周囲にもそう認識されている。建物の老朽化は教育の質の低下につながるということを、十分に理解する必要がある。安全衛生上の問題もあるが、教育の質の低下がより本質的な問題であり、必要な整備面積を着実に整備してもらいたい。
|
: |
私立大学の施設は国立の地方大学より十分でないことが多い。今回の議題の中心ではないものの、下には下があるということだけ申し上げておきたい。
|
: |
施設の建設費について、民間企業がやる場合と比べてコンペティティブにやっているのか。
|
: |
コストは適正だと考えている。平成15〜19年にかけて、15%のコスト削減を進めているところである。
|
: |
初期のプロダクト・マネージメント、コンセプトづくりの段階が非常に重要で、そこに時間をかける必要がある。学長がプランを作っても、それをマネージする人がいないといけないし、しっかりとマネージメントできれば大きなコスト・セービングになるはず。
|
: |
私がいる東京大学理学部の建物は非常に古く、4階建てでエレベータもなければ、ネットワークや電気も足りず、トイレの配水管も年に何度も故障していて、それでも改善が進まない。そういうところもある。
施設整備をする人たちは研究者のニーズを理解されていないと感じる。女性への配慮という視点からは、例えば建て替え中の理学系の建物で女性用トイレの数が大変少なく、聞けば今の女子学生の割合から言って十分だと言う。男女共同参画が叫ばれる中で、今後女子学生が増える可能性を想定すらしていないという事態に誰も気づかず意見も言わないことに驚いた。授乳室の新設についても最近申し入れたが却下された。建築の専門家は建築的な視点しか持たないため、科学者のニーズや現状がわからない。その解決にはまず情報のやり取りが必要。
|
: |
国立大学は法人化により人事院から労基署の管轄に移ったため、設備の安全・衛生面の管理が喫緊の課題。これまで担当者として血のにじむような努力をしてきたし、費用的にもこれまで投資してきた以上の額がかかることがわかってきた。大学にいる人は安全面への意識が非常に低い。設計段階から安全衛生を最優先に考えた設計をして欲しい。
|
: |
先ほどご指摘のあったコスト・セービングや、資料6の15ページにある「新たな整備手法の導入」など、税金を投入するだけでなくいろいろ知恵を出すことが大学のマネージメントにおいては非常に重要だと認識している。こうした点について、いろいろご意見を賜れればありがたい。
|
: |
資料6(15ページ)の中に日本の大学が施設整備関係で受けた寄附の額があるが、これはおそらくアメリカの著名な1大学くらいの規模でしかないのではないか。日本の大学が寄附を受けられない理由として、税制上の問題があると聞いたことがあるが、この点についてわかれば教えていただきたい。
|
: |
税制については、国立大学法人への寄附の場合、国に対する寄附と同じく、企業なら損金算入、個人なら所得税控除の対象となっており、ボトルネックにはなっていないと認識している。
|
: |
確かに企業なら損金算入、個人なら25%まで所得税控除が受けられるようになってはいるが、あくまで国の税収が増えるような方向に政策が向いている。アメリカと比べると、同窓生など個人の寄附によって大学を盛り上げようというベースが弱い。
新たな整備手法の一つであるPFIの導入に関しては、導入に伴う制約がいろいろある。講義棟や研究棟の整備について、PFIを行い他の施設と同じ水準で維持管理しようとしてもバリュー・フォー・マネー(VFM)が出てこない。VFMが出るような維持管理をすると膨大な費用がかかる。これはある意味将来への借金であり、費用の先送りになってしまう。投資に見合う収入が見込めるような建物についてはPFIの手法を積極的に取り入れてもよいのだろうが。いずれにせよ、大学の管理者として、寄附される建物にかかる維持費や税制上の問題を含め、いろいろ勉強した上で、積極的に取り組んでいきたい。
|
: |
日本では、個人からの寄附も少ないが、企業からの寄附も少ない。その理由は、建物に寄附したからといって大学との連携が強まるわけでもなく、企業側にとってメリットが少ないからではないか。その意味で、前回話が出た大型共同研究を寄附した建物で行うことや、そこで行う研究に対して国がグラントをつけることなど、もっと総合的な支援の仕組みの中で施設整備を考えていく必要があるのではないか。
また、建てることだけでなく賃貸も考えられないか。数年間のプロジェクトであれば、必ずしも新規に建てなくても、企業の空き施設や自治体のインキュベータ施設を賃貸して使うことが可能であり、コスト・セービングにもなる。大学の外に連携サテライト的な施設を整備することも一つのアイデア。
|
: |
海外の研究機関とジョイントして研究施設を作るというオプションもある。その場合、建てた後の運営に関するルールづくりが少しネックになるかもしれない。
また、成果の活用まで考慮して研究施設を作る場合、インキュベーション施設も必要になるが、その場合、どこまでを大学内の活動とするかの線引きも併せて考える必要がある。
|
: |
現在、中教審で、助教授・助手の職を改めて新職を設け、若手研究者の独立を促そうという話が出ており、そのプラン自体は非常に結構だと思うが、それに伴うべき財政基盤の整備を考慮することなく議論を終えているところに問題がある。一つはスペースの問題で、若い人が独立すれば当然広いスペースが必要になる。研究費についても大幅な増額が必要になるはず。こうした点について大学分科会では全く議論がされていないのは問題。
|
: |
海外の状況ももっと調査して欲しい。例えばアメリカでは、ナノテクノロジーのイニシアチブで5つくらいの大学が拠点となっているが、その5つの大学がどううまく連携しているか。施設整備については、各大学が全部自分のところに作らなくても、情報を完全に共有することで、研究の効率も、大学間のインタラクションも、スピードも上がる。全てそうするわけにはいかないと思うが、少なくともイニシアチブものについてはその方が効率も上がるし、人材も育つので、是非この辺も勉強してみて欲しい。 |