科学技術と社会という視点に立った人材養成を目指して はじめに

(第三次提言とりまとめの考え方)

科学技術創造立国の実現に向けて、我が国全体の研究開発力や国際競争力を維持・向上させるとともに、安全・安心で質の高い生活環境を構築するためには、科学技術・学術活動の基盤となる人材をいかに養成し、確保していくかが極めて重要な課題であるが、検討すべき範囲は極めて広い。
具体的には、子どもの頃からの科学や技術に対する興味関心の涵養にはじまり、初等中等教育段階における児童生徒の発達段階に応じた取組、大学における学部や大学院の高等教育、社会人に対する再教育、ポストドクターなど若手研究者の支援、多様な人材の活躍促進などが考えられる。また、一口に人材といっても、研究者、技術者、産学官連携や科学技術コミュニケーションといった科学技術と社会の接点に立つ者など、様々な人材が考えられる。
本人材委員会としては、このような人材養成に係る様々な課題のうち、これまでに、世界トップレベルの研究者養成に向けた方策や、国際的視点から見た我が国の研究人材の養成・確保の在り方などについて検討を重ね二度の提言を取りまとめてきたが、引き続き重点的に推進すべき方策も少なくない。
こうした中、科学技術の発展により、社会が豊かになってきている一方、人間活動の領域の広がりや活発化に伴って新たな社会的課題が顕在化するなど、科学技術と社会の関わりが深化・多様化してきており、科学技術創造立国を実現していくために必要な人材養成についても、社会との関係を意識した方策を展開していく必要がある。
このような認識の下、本委員会は、第一次、第二次提言の内容も改めて振り返りつつ科学技術・学術活動を取り巻く背景や人材養成上の諸課題を踏まえ、科学技術と社会という視点に立って推進すべき人材養成方策について、今回、ここに第三次提言として取りまとめた。

(改革方策の着実な実施)

今回取りまとめた改革方策の中には、大学等が自らの研究教育水準を向上させるために自主的に取組むべきものに加えて、産業界の取組が求められるものも少なくない。特に、これからの科学技術と社会の関わりを視座に据える時、人材養成面における産学官の連携・協力が緊要である。
文部科学省においては、本提言を踏まえ、具体的な施策を検討・実施すると同時に、各施策の実施に当たってはその趣旨等について国民に判りやすい形で説明するとともに、本提言を大学、研究機関、学協会、産業界等に広範に周知し、大学の教員を始めとした関係者に今日的視点に立った人材養成に取組むよう促すことを求める。その結果、各機関において、それぞれの役割に応じた積極的な取組が展開されることを期待する。
また、本提言には、大学学部や大学院等の学校教育に関連した改革方策が数多くあり、こうした取組の実施に当たっては、中央教育審議会大学分科会等における関連した審議の動向に留意するとともに、必要に応じて、更に審議を深め、実効性ある方策とすることが重要である。

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