資料4-1 科学技術・学術審議会人材委員会第三次提言に向けた論点整理(案)<概要>

―「社会のための、社会の中の科学技術」という視点に立った人材養成を目指して―

科学技術・学術審議会
人材委員会(第27回)
平成16年4月21日

  現状と課題 改革方策
新しい知の創造により、社会に貢献する人材 世界トップレベルの研究者
(第一次提言)
  • 諸外国における高度研究人材の養成等が激化する中、人材養成面での我が国の大学等の国際競争力の強化が重要。
  • 研究者養成上の重要な時期である博士課程での、優秀な学生に対する経済的な支援が米国等に比して十分でない。
  • 我が国研究者の海外における研究経験や海外の研究者との交流の中で研鑽を積む機会が不十分。
(1)世界トップレベルの人材養成を目指した研究教育拠点等への支援の拡充
 ア.世界に通用する人材の養成を目指した人材創出・研究拠点の整備
 イ.国際競争力のある世界最高水準の大学づくりの推進
 ウ.大学における教育の質の充実や世界で活躍し得る人材の養成
(2)創造性豊かな優れた博士課程学生に対する支援の充実
 ア.高度な人材養成機能をもつ、一貫した教育プログラムの導入
 イ.博士課程学生に対する経済的支援の充実
(3)若手研究者等の海外派遣の充実や最先端分野の若手研究者交流等の充実
 ア.若手研究者の海外一流機関への派遣充実
 イ.我が国と諸外国の若手研究者間の国際交流の支援
多様な経験や経歴を有する幅広い研究者
(第二次提言)
  • 少子高齢化が進行する中、多様な人材の一層の活躍が重要。
  • 各人の能力、業績の適切な評価や処遇への反映、人材の流動化促進が必要。
  • 多様な人材が能力を十分に発揮し、研究に専念できる環境整備を進めることが重要。特に、若手研究者の自立性を確保することが重要。
(1)多様性をはぐくむ創造的・競争的環境の醸成
 ア.能力、業績が適切に評価され、処遇に反映される人事システムの構築
 イ.多様性向上に向けた各機関の自主的取組の推進と人材の流動性向上
(2)多様な人材が活躍できる研究環境の構築
 ア.若手研究者の自立性向上支援
 イ.優れた外国人研究者等の受入促進
知の活用や社会還元を担う人材 生産活動等を担う技術者
  • 知識と技術を結びつけ、それにより創造性を発揮するような技術者が必要。
  • 時間的制約や人手不足等により、継続的な能力開発について、満足の行く効果が得られていないとの指摘あり。
  • 技術者と技能者の相互作用が重要。
  • 製品の高度化や製造技術の向上などの状況を踏まえ、科学技術の知識基盤を持ち高度技能者の存在が不可欠。
(1)技術者が継続的に能力開発を行うことができる環境の整備
 ア.技術者の能力開発システムの構築
 イ.自習可能なコンテンツの提供
(2)将来を担う実行力、創造力を持った技術者の育成
 ア.大学・高等専門学校における技術者教育の質的充実
 イ.大学院における技術者の養成・確保
 ウ.専門高校における専門教育の充実
(3)技術者が誇りと生きがいを持って取り組むことができる社会の実現
 ア.技術者の役割の明確化、社会的地位の向上、技術士制度の充実・活用促進
 イ.技術者の能力向上のためのインセンティブの付与
 ウ.技術者の貢献に対する適切な評価
産学官連携を支える人材
  • 特定分野における人材の不足や養成の必要性が指摘。特に、知的財産や産学官連携、技術経営等、知の活用に関する人材の重要性が増加。
  • 産学官それぞれの特徴や役割を十分踏まえた人材育成面での産学官連携の強化が必要。
(1)新産業創出に貢献する人材の養成
 ア.知的財産・技術経営等に係る人材の育成・活用
 イ.産学人材養成パートナーシップの確立
(2)新興分野・融合分野における高度人材の養成
 ア.新興分野の人材養成支援
 イ.専門職大学院等を活用した高度専門職業人の養成強化
高度な専門能力を有する人材
(博士号取得者等)
  • 社会の多様な場において、高度な専門能力を有する博士号取得者等の活躍が期待。
  • 我が国では、博士号取得者後、卒業直後に未就職な者も多く、民間企業の処遇などが不十分との指摘あり。
(1)優秀な人材の博士課程進学に対するインセンティブ付与
 ア.高度な人材養成機能をもつ、一貫した教育プログラムの導入
 イ.博士課程学生に対する経済的支援の充実
 ウ.各大学院博士課程における人材養成の目的や取組の明確化と情報発信
(2)大学院博士課程における教育機能の活性化
 ア.社会ニーズの変化に応じた教育内容の工夫・改善
 イ.大学院組織における人材の多様性確保と教員の資質向上
(3)博士号取得者等が社会の多様な場へ進出し、活躍できる環境の整備
 ア.人材養成に係る産業界と大学院との連携促進
 イ.各大学・大学院における進路指導に係る体制整備
 ウ.社会の多様な場における博士号取得者等の活躍促進に向けた取組
対話型科学技術社会を築く人材 科学技術理解増進に携わる人材
  • 科学技術のあり方を社会として適切に判断し、新たな課題に対応していく際、国民の科学リテラシーの高さは重要な要素。
  • 科学技術に対する意識と理解の涵養、科学リテラシーの向上を図るための人材育成を推進することが必要。
(1)科学コミュニケーション人材の育成・確保、理数担当教員の資質向上
 ア.専門職としての科学コミュニケーターの養成
 イ.退職研究者・退職理数担当教員・科学ボランティアの活動促進
 ウ.研究者自身によるアウトリーチ活動の推進
 エ.科学技術を実社会で活用している姿に触れる機会の充実
 オ.理数担当教員の意欲、意識を含めた資質の向上
将来の科学技術を支え、次代を担う人材
  • 初等中等教育段階から、子どもが科学技術を学び・親しむ環境が人的・物的に充実されることが必要。
  • 科学技術分野に関心を持つ子どもについては、興味や関心等を伸ばすことで個性を最大限に伸長させることが必要。
(1)初等中等教育段階からの科学技術分野において卓越した人材の育成
 ア.理数が好き・得意な生徒を伸ばし、創造性や独創性を育む取組への支援
 イ.各種科学オリンピック等やサイエンスキャンプへの参加促進と活動振興
(2)理数への興味・関心を高め、「理科好き」の子どもの裾野を広げる
 ア.観察・実験等の体験的・問題解決的な学習等の推進
 イ.研究者・技術者の姿に触れ、科学技術に携わる者に触れあう機会の充実

○ 大学教員の教育能力の向上は、科学技術創造立国に向けた人材養成の観点からも重要な課題であり、大学教育の質的向上を推進する観点から、その一方策として積極的に検討されることが必要。

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科学技術・学術政策局基盤政策課

(科学技術・学術政策局基盤政策課)

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