資料2 博士号取得者等のキャリア・パスに係る検討の視点

科学技術・学術審議会
人材委員会(第24回)
平成16年2月16日

1.現状と課題

○ 近年の急速な技術革新、産業構造の変化に伴い、研究人材に求められる能力も高度化・多様化してきており、科学技術創造立国を目指す我が国社会において、高度な研究能力と豊かな学識を有する博士号取得者の活躍が一層期待される。

○ その活躍の場としても、社会と科学技術の関わりがますます進化・多様化する中、大学や研究機関における研究者はもとより、企業の研究者や技術者、科学技術と社会の接点に立つ人材など、多様な場面が想定される。

○ 米国における博士号取得者の状況を見ると、大学等の教授、助教授等に加え、営利企業の経営者、研究者、技術者、さらには政府関係の行政官、研究資金の審査担当者等、極めて多様な職業に就職している。(参考:p6、p8.表40-1、2)

○ また、米国では民間企業に多くが所属している技術者の平均年収を見ると、取得学位によって明らかに差があり、博士号取得者は修士号取得者に比べて取得後19年までを比較しても、総収入は約11%多くなっている。(参考:p6、p8.図41)

○ 一方、我が国では、博士課程卒業者数は増加しており、卒業直後に就職した者を見ると、「大学等教員」になる割合が減り、「科学研究者」になる割合が増えるなどの傾向が見られるが、卒業直後に未就職な者も多い。(資料3:p6、p10)

○ さらに、我が国の民間企業では、博士及び修士課程修了者の初任給を学士で入社した同年齢の研究者より優遇している企業の割合は比較的高いが、博士課程修了者のみ学士や修士で入社した同年齢の研究者より優遇している企業の割合はわずか4.2%となっている。(資料3:p28.第2-23-1図)

2.論点(案)

○ 科学技術創造立国を目指す我が国社会において、その中心的な役割を担うことが期待される博士号取得者の一層の活躍促進に向けては、各人がその能力に応じて多様な場で活躍できるような環境を整備する必要があると考えられるが、具体的な検討に当たっては、その主たる活躍の場に応じて以下の2つに大別して考察することが適当ではないか。

1.大学等の研究機関

 「知」の創造により世界に貢献し、科学技術創造立国を目指す我が国において、世界をリードする独創的な研究成果を数多く創出していくためには、大学等の研究機関で活躍する優れた研究者を養成・確保していく必要がある。
 こうした場面での博士号取得者の活躍促進に向けては、大学院博士課程における研究者養成機能の強化、ポストドクターの位置付け、大学等の研究機関における組織の在り方等についての検討が必要ではないか。

(参考)

<科学技術・学術審議会人材委員会第二次提言(平成15年6月)(抄)>
(多様なキャリア・パスの構築に向けた取組)

 なお、現在、中央教育審議会大学分科会では、教育研究の活性化に資する教員組織の在り方を改善する観点から、現行の「助教授」、「助手」の位置付けの見直し等の議論が行われることとなっているが、その検討結果を踏まえつつ、若手研究者の独立性や研究者の在り方について、更に検討を深めることが必要である。

2.産業界や社会一般

 創造された「知」の成果を産業社会に生かし、また、社会を巡る様々な課題について、科学的な判断を行い得る基盤を形成し、人々が心豊かで質の高い生活を営むためには、豊かな学識や研究経験を有する博士号取得者の産業界や社会一般における活躍が期待される。
 こうした場面での博士号取得者の活躍促進に向けては、以下のような点について検討が必要ではないか。

(博士号取得者の活躍が期待される場)

 今後の我が国社会において、博士号取得者の活躍が期待される場として、具体的にどのようなものが考えられるか。また、それは博士課程修了直後の者と研究経歴を有する者とでどのような違いがあるか。

(博士号取得者の活躍促進における問題点)

 今後の我が国社会において、上記のような場での博士号取得者の活躍促進に向けて、博士号取得者(本人)、大学(養成側)、企業等(受入側)において、それぞれどのような点が問題となっているのか。

(博士号取得者の活躍促進に向けて関係機関に期待される役割)

 今後の我が国社会において、上記のような問題点を克服し、博士号取得者が社会の多様な場面で活躍できる環境実現に向けて、国、大学、産業界等の役割として具体的にどのようなものが考えられるか。

※ 現在、中央教育審議会大学分科会において、大学院における人材育成機能の強化や、大学の教員組織の在り方に関する検討が行われていることから、こうした検討状況を踏まえ、更に検討を深めることが適当ではないか。

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