4-8.電気・電子分科会

【平成19年度議論のポイント】

○ 電気・電子分科会では、産業界が人材育成ニーズや企業の自らの将来像・ヴィジョンを明確に伝えられていない上、学生の持っている知識・スキルが分かりづらく、目標が不明確で自らの能力を十分に発揮できていない若手人材が見受けられるなど問題点を指摘した。
○ こうした問題点の中で、IT・エレクトロニクス業界を担う人材を育成していくにあたり、IT・エレクトロニクスの「先進性」や「夢」等を世間に分かりやすく伝える取組や、産学共通の指標での技術者のスキルの「見える化」、産学連携による育成プログラムの検討などを課題に挙げている。
○ 具体的には、トップエンジニアの社会的注目度を向上させるための実践的なインターンシップ、企業と学生発ベンチャー企業との共同研究の推進、企業-大学間での人材流動化の促進等の取組を検討している。
○ その中でも直ちに取り組めるものとして、まず平成20年度には、複数企業の技術者や研究者、教育機関の教官、学生等が交流する枠組みの構築や、専攻・業種を超えて学生と企業が交流する場の設置などにより、「産学のコミュニティ形成による知識融合活動」を促進する。また、大学等に企業の技術者・研究者を派遣して行う授業を実施する等、産学協力による小中高、大学等における企業連携講座等を充実していく。

【議論の概要】

○ 現在のIT・エレクトロニクス産業の人材に関する問題としては、産業界の人材ニーズが大学・大学院に十分伝わっていないことに加え、企業が学生に自らの将来像・ヴィジョンを明確に伝えられていないことが挙げられる。
○ 一方、産業界から見て、学生の持っている知識やスキルが分かりにくく、また、自分の興味や好奇心をベースに目標を明確にできておらず、自らの能力を十分に発揮できていない若手人材が見受けられる。
○ こうした鶏と卵のような状況を打破し、IT・エレクトロニクス業界を担う人材を育成していくためには、IT・エレクトロニクスの「先進性」や「夢」等を社会全体に分かりやすく伝える取組が必要である。また、マッチングをより的確にするためには、産学に共通の指標で技術者のスキルの「見える化」に取り組む必要がある。さらに、高度な専門技術や知識に加え、他分野の専門知識、コミュニケーション能力、国際的なセンス、ビジネスマインドを持つ人材の育成について、産学連携による育成プログラムを検討する必要がある。

【平成20年度以降の検討課題】

平成20年度より、以下のテーマについて具体的に検討もしくは実施する。
○ IT・エレクトロニクス分野の魅力向上のためのプログラムの検討・実施

  • トップエンジニアの社会的注目度を向上させる方策の検討
  • 理工系大学生の気概を醸成する授業等の実施
  • 小中学生等若年層に向けた魅力向上策の実施

○ 産学のマッチング向上のためのプログラムの検討

  • 複数の企業と大学が交流できるコミュニティ設置
  • 戦略技術分野の共同研究・開発プロジェクト(半導体デバイス等の試作・評価事業等)の推進
  • 長期実践型インターンシップの推進
  • 企業と学生発ベンチャー企業との共同研究の推進

○ 新しい時代に必要な人材の育成のプログラムの検討

  • 企業講師による講義・実習やPBL(Project Based Learning)型教育の充実
  • 企業-大学間での人材流動化促進の仕組み

さらに、「産学による人材育成推進チーム」(仮称)を当分科会の下に設置し、以下の検討を行う。
○ 産業競争力強化に向けた戦略的教育プログラム

  • トップ技術人材支援制度
  • 人材育成のグローバル連携制度
  • 戦略技術分野をターゲットとした人材教育プログラムの開発
  • 多様な人材の育成・活用(ダイバーシティ)方策

○ IT・エレクトロニクス人材の適正な評価と処遇への反映

  • 技術者のスキル標準の創設
  • 産学連携による教育・研修カリキュラムの作成
  • 夢を与える成果評価

○ 新しい時代に必要な人材の育成

  • 海外企業、海外大学を含む人材アライアンスの結成
  • グローバルに考え、素早い判断で経営をリードしていくことのできるリーダー人材育成の特別なプログラム

○ 大学と産業界との連携による学部、学科、研究室を越えた「Alumni」交流の活性化
○ 企業との連携、企業提案またはスポンサーによるダブル・メジャー(二つの専攻を同時に履修)型の学科カリキュラムの創設
○ 海外大学の先生招聘型の授業

【平成20年度に実施する具体的取組】

○ 産学のコミュニティ形成による知識融合活動の促進。

  • 複数企業の技術者や研究者、教育機関の教官、学生等が交流する枠組(大学等が設置するインテレクチャルカフェ等)の構築。
  • 「グリーンIT」など社会的に注目が集まっているテーマを取り上げ、専攻・業種を超えて学生と企業が交流する場の設置。

○ 産学協力による大学等における企業連携講座の充実等。

  • 大学等に企業の技術者・研究者を派遣して行う授業等の実施。

「産学協力による大学等における企業連携講座」のスキームの図

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科学技術・学術政策局基盤政策課

(科学技術・学術政策局基盤政策課)

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