資料3 審議課題2 社会の多様な場で活躍する人材の養成方策について

○ 知識基盤社会が進展する中で、イノベーションを絶え間なく創出するため、創造性を発揮できる人材の養成社会の多様な場での活躍への期待が高まっている一方で、若年者の「理工系離れ」職業人としての基礎能力の不足が指摘されている。

○ これらを踏まえ、理工系人材の質と量を確保し、社会的好循環を構築するための方策など、社会の多様な場で活躍する人材を養成するためのシステム改革について、社会全体を視野に入れて議論してはどうか

<検討の視点>

 社会の多様な場で活躍する人材を養成し、人材の「好循環」を創出するために、第4期で提言するべき具体的な方策について

2-1 企業人としての基礎力不足への対応など、産学をつなぐ人材養成方策

○ 産業界が求める人材とアカデミックが輩出する人材の間にある質的なミスマッチを解消する。

2-2 教員の意識改革のための取組

○ 時代の要請に応じて社会が求める人材を養成するために、学生やポストドクターの人材養成に携わる教員や研究者の意識改革を促進する。

2-3 理工系離れの対策-理工系キャリアパスを魅力あるものにするために-

○ 大学・大学院の供給とアカデミックの需要、研究所の需要、産業界の需要との間の量的なミスマッチを解消する。

○ 博士人材が求められる理工系の各分野に、優秀な人材が博士課程に進学することを促進するため、博士課程に進学するインセンティヴを高める

(参考1)政府諸会議の動向

○ 「大学・大学院の研究システム改革-研究に関する国際競争力を高めるために-」
(平成19年11月28日第71回総合科学技術会議配付資料)(抜粋)

【博士の社会的好循環の構築】

 まず、大学において、博士課程入学者受入基準を明確にし、入学段階で確認する。時代の変化を反映しつつ入学定員を見直すことにより、入口管理を徹底し、入学者の質を確保する。
 その上で、国際的水準のコースワークを進めるため、教育カリキュラムを改革する。多様なキャリアパスを前提として学修課題を体系的・組織的に履修させ、幅広く深い教養に裏打ちされた専門知識、リーダーシップ力等を涵養することを基本とする。また、出口管理を徹底し、博士の学位の国際的通用性を保証する。
 学生を研究に参加させる場合も学生の教育を中心に考え、指導教員の研究補助とのみ捉えることは厳に慎まなければならない。また、博士課程への進学者に対しては、修士課程での修論を課さない等、一貫した教育を徹底する。修士課程については、国際的水準に則り、高度専門職人材の養成等、社会のニーズに的確に対応したコースワークを徹底すべきである。さらに、インターンシップ等により社会との接点を拡大する。
 このような大学における厳密な入口管理と出口管理の実施により、アカデミアにおいて、国際競争力のある人材を確保することができる。企業においても、採用活動の早期開始を自粛し、大学院における教育成果を十分見極めた上で、優れた博士人材を積極的に採用するとともに、成果主義を基本に魅力ある処遇を行う。
 このことが、博士課程の魅力の増大博士課程入学希望者の増加につながり、続いて、博士人材の評価向上、企業や官公庁における採用増加等、研究人材の社会的好循環が構築される。
 こうした優れた教育カリキュラムを実施し、国際的に活躍できる人材を輩出する大学への支援を拡充する。
 また、厳格な入口管理・出口管理の下の博士課程修了者は、我が国の将来のイノベーションの原動力、国家の財産と言え、授業料減免、フェローシップ等により、優秀な学生が経済的負担なく博士課程に進学できるようにすべきである。

【ポスドクの社会的好循環の構築】

 ポスドクは、研究者として出発し、将来の進路を見極める期間であり、博士号取得後5年間程度までであるという意識改革を大学や独立行政法人内で徹底する。国際的な競争環境下で切磋琢磨した後は、早めに進路を見極めるべきことをポスドク自身も十分自覚すべきである。ポスドクへのフェローシップ等は、その対象を博士号取得後5年間程度までに限定すべきである。なお、出産・子育て等による研究中断期間に配慮すべきことは言うまでもない。
 また、博士課程までの間に体系的・組織的な教育を受けたポスドクの進路を、アカデミアだけではなく、企業、官公庁、サイエンスコミュニケーター等多様なものとする
 このように、ポスドクの不安定な雇用期間を限定するとともに、人材の社会的好循環を構築し、研究者のキャリアパスを魅力あるものとする

(参考2)人材委員会における意見(第36回~41回)

【人材養成】

○ 日本として、今後、例えば5年、10年、どういう種類の人材がどのくらいの人数必要と見込んでいくのか。非常にデリケートな問題を多々含んでいるが、例えば、大学院の定員は現状のままでよいのかを考えないと、ポスドク政策も継ぎ当てているような形になってしまうので、一歩踏み込まないといけない。(第38回)
○ ポストドクター後に任期のないポストが少ないために大学院への進学意欲をそいでいる面もあるので、大学の教授は60歳過ぎたら給与を8割にするなどして、若い人を積極的に採用するシステムをつくっていかないといけない。(第37回)
○ ポストドクターがパーマネントな仕事や大学の研究者になれない問題があり、全体の人件費は抑えながらも、若い人を研究の現場に雇用できるようなシステムをつくらなければいけない。(第38回)
○ 民間企業の研究活動に関する調査について、採用した企業が、学士、修士、博士、ポストドクターのいずれも60パーセントはほぼ期待どおりだったと回答しているということは、採用したことのない企業にとりあえず1人でも採ってもらうことが大事であるということではないか。(第38回)
○ 大学の役割は何も最先端の研究をやるだけではなく、様々な知恵の継承や文化の発信も重要であり、それを担う人材をいかに育てるのかについても考えていくべき。(第36回)
○ 科学技術関係人材のキャリアパス多様化のための施策が実施されているが、大学は依然として「研究第一」という環境であるのが実態。キャリアパスの多様化の重要性について、もっと社会にアピールすべき。(第38回)
○ キャリアパスについて、教員の意識改革は簡単にはできないが、大学がトップダウンでやらなくてはいけない。(第37回)

【大学院教育】

○ 現在の大学の博士課程は、一つの専門性を縦方向に深めており、その結果、細分化・先鋭化している。これは、文化国家として必要なことではあるが、融合的な発想を持つ人を育成することを検討しないと、イノベーションにはつながりにくいのではないか。(第36回)
○ グローバル化の中で日本が世界と競争していくためには、大学院卒の人たちの学力が一番問題になるので、大学関係の部会で、大学に入ってしっかり勉強することと、大学を卒業した時点、大学院を卒業した時点で、学生の品質保証をすることを議論していただきたい。(第39回)
○ 実際は民間側の意識のギャップもあるのかもしれないが、大事なのは、課程を終えた人が評価されるような教育を提供すること。(第38回)

【基盤的投資】

○ 大学の運営費交付金1パーセント減が続いているが、きちんと大学に政府が投資できるシステムをつくっていかなければいけない。(第38回)
○ 大学の基盤的投資の額を大幅に増やす努力が必要である。優秀な人材を惹きつける魅力ある教育研究環境の整備や大学のインフラ、特に施設整備に投資すべきである。また、研究補助者・支援者は日本の非常に脆弱な環境の一つである。(第37回)
○ 各大学で、実験補助者や、支援要員、非常勤研究助手などを雇用しているが、待遇や将来の展望が懸念される。(第38回)
○ 研究支援者、研究補助者制度を全面的に押し出していくような政策も必要。(第38回)

(参考3)他の審議会等の動き

○ 中央教育審議会大学分科会制度・教育部会
○ 中央教育審議会大学分科会大学院部会
○ 産学人材育成パートナーシップ

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科学技術・学術政策局基盤政策課

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