資料5 第42回、第43回人材委員会の課題設定と方策について(案)

(注)
黒字:第42回人材委員会におけるご発言内容
下線:第43回人材委員会のご発言内容及び委員会以降にいただいた内容

審議課題2(知識基盤社会の多様な場で活躍する人材の養成方策)

委員名 表層の課題設定 深層の課題設定 解決策への提言 提言を具現化するための方策
柘植主査 【2-1、2-2、2-3】
  • 社会と産業界で活躍する人材養成のためのカリキュラムや教育指導体制などが不十分。
  • これまでは大学が本来もつ教育研究機能にパッチワーク的に別途付加するような施策で済ませていないか。カリキュラムや教員体制など、恒常的な教育研究機能そのものを強化することが重要。
  • 技術者コースと研究者コースという、カリキュラムの複線化が必要。技術者コースでは、技術経営的な教育なども行う。
  • カリキュラムの複線化は、両コースの協働の場との組み合わせが、効果的。
【2-1、2-2、2-3】
  • 人材育成の好循環(特に博士課程における好循環)をもたらす視点で、教育と研究とイノベーションは社会経済的な価値であり、教育と研究とイノベーションの三位一体を回していくということのメカニズムが好循環をつくる中には不可欠。
  • 現在の人材養成方策は好循環でなく、負の循環に陥っている。この原因を突き止めなければ正の循環は得られない。

審議課題2-1(企業人としての基礎力不足への対応など、産学をつなぐ人材養成方策)

委員名 表層の課題設定 深層の課題設定 解決策への提言 提言を具現化するための方策
柘植主査 【2-1】
  • 博士課程学生の育成人数を、産業界が今必要としている人数に合わせず、未来を見据えての人材育成が必要。
山野井委員 【2-1】
  • 自らの専門分野ではなく関連分野やその分野の人々への関心を持つ人材が重要。
  • 大学の教員は専門分野を深めることに軸足を置きすぎる。しかし、1人の人に両方の役割を求めるのは難しい。このため、役割分担が必要ではないか。
  • 自分の枠を越えて他分野の人材と交流するマインドをもつ人材を養成する仕組みづくりが必要。
  • カリキュラムの複線化が必要。
【2-1】
  • 産業界は、アカデミアにおける研究を産業界へトランスレートし、アカデミアの世界とインダストリーの世界をつなぐことを、博士やポスドクに最も期待している。
  • アカデミアの成果を産業につなげられる人材をどのように育成するか。
【2-1】
大学院においては、特に産業界等に出る場合には、どうしても1つのディシプリンだけでは難しい。
  • 大学院においては、プログラムの中に、複数のディシプリンが絡まないとうまくいかないようなテーマ、PBL的な発想のプログラムを導入すべき。
山野井委員
小林委員
【2-1】
  • イギリスのQAAについて、日本にあるべきか。
  • あるとすれば、そのまま使ってよいか。
  • スキルを定める場合には、評価の仕方について考えることが必要ではないか。(大学が行うのか、産業界が行うのかなど、教育の役割分担を考えることが重要。)
  • 博士課程の改革、ポスドク等の諸問題は日本だけでなく、ほぼ同時期に各国で問題とされている。
  • イギリスから学ぶべきことは、この種の問題は一朝一夕には解決できないこと、しかし精神論だけではなく、着実に取組むことが必要だということ。また、財政的裏付けなくしては取組みは困難であるということ。
小林委員 【2-1】
  • 実態を正確に把握することが必要。現実は多様であり、先入観だけで議論するのは危険。
  • 制度と実態の精査を踏まえて、きめ細かい対応を。
  • 博士課程学生のインターンシップや社会人学生の受入れ、産学の共同研究など多様なチャネルを通じた産学の相互理解の機会拡大の地道な努力が必要。
伊藤委員 【2-1】、【2-2】
  • 企業が学生を採用する際も学歴や指導教員などによって選抜しているのではないか。
  • 大学では個人の能力を伸ばす教育、企業としては個人の能力を見きわめるような目を育てることが必要。
  • 大学は各人の資質を育てていくことが重要な役割であり、企業はその資質を見抜いて採用しているのかが問題。
  • 大学教員の意識改革や大学教育の改革だけでなく、企業の意識改革も必要。
  • きっちりした能力を持った人を大学院に受け入れ、それを評価する企業は学歴よりも能力を見るべき。
  • 大学においては、カリキュラムの複線化の以前に現実味(強制力?)のある大学院教育カリキュラムの設定が不可欠。この点では、JABEEで実施しているPDCAシステムを含めた教育プログラムに対する外部評価が有益であり、これを制度化する。
  • その上で、産学間での人材流動化の増進。「学は産を知り、産は学を知る」効果に期待。
  • 学生の青田刈りの排除。←カリキュラムの定着化に不可避。
  • 企業が採用面接時に用いる資料における学生個人情報の隠蔽の徹底。
美馬委員 【2-1】、【2-2】
  • 研究者の研究成果の公表や説明責任を果たすためのサイエンスコミュニケーション促進の取組からの示唆を踏まえるべき。
  • 育成責任を大学のみ、あるいは企業のみに負わせるのではなく、みんなで育てていくべき。そのためには、全く新しい教育手法、あるいは教育機会の提供が必要。
  • 常に学び続けていくような力というものを養成していく必要がある。
  • 科学技術人材育成の中で、必要とされる知識や技術を、すべてを個人の問題に帰するのではなく、プロジェクトチームの中など、複数の人で力を発揮できるチーム力、あるいはそういった環境を作り出す力などがこれからの社会では必要となる。
  • 問題解決能力だけではなく、課題を発見していく課題探索の力も必要。これは持続可能な社会の開発に向けて一側面からの解決策としての技術を開発するという問題解決能力ではなく、異なる立場の人々、社会を考慮し、いくつかの技術開発の選択肢におけるメリット、デメリットをあげ、そこにあるジレンマや矛盾をあぶりだし、解決の道筋を見つけていくような力が必要とされる。
  • 全てを教員に同等に課すのもおかしいが、役割分担で教員以外の者に全てを委ねるのもよくない。
  • 講義形式で外部講師に教育を依頼する方法では解決できず、これまでの大学教育にはない、新たな方法、内容が必要。
  • イギリスでも定着するのに10年かかっているので、様々な手を打ち、長い目で見ることが必要。(例:競争的資金の中で費用を充てるように奨励、業績評価項目への追加など)
  • 施策についての短期的な評価は、形成的評価、すなわち、小さな改善、修正のためのフィードバックにとどめ、長期的な評価の枠組みを最初から計画し、行っていくべき。量的な評価ではなく、質的な評価が必要。
  • わかりやすい合い言葉を作り、それに向かって意識改革やキャリア教育に様々な立場の人々に参加してもらう。
  • 一定規模以上の競争的資金に対し、助成する研究費の数パーセントを必ず成果公表などに割り当て実施することを義務化。
  • 人材育成についても、項目を設け、その方法と内容について、申請時に記入してもらい、研究費の一部を割り当てる。
  • 大学における教育だけでなく、短期集中型(1、2週間)の合宿形式で、異分野、異文化(国際)の大学院生を集め、チームで課題に取り組むような教育的なセミナーを実施する。
【2-1】、【2-3】
  • もう一度ポスドク問題の検証が必要。
  • 就職まで見据えての対策が必要。
  • 産業が博士課程修了者を雇えるような社会を作ることが好循環のプラスになる。
興委員 【2-1】
  • 学生が、企業人のみならず、社会が期待する人材像についての理解を有することが必要。
  • 学生が理解を持てるような機会の提供については、多様な社会の要請を理解してもらう教育機会を十分に提供することには、限界がある。
  • しかしながら、学生の自己啓発と社会のありようについて、ポジティブな対応がとれる段階であるか。
  • 学生の自己啓発を促すことが重要であり、学生の関心と社会の要請が多様であること考えなければ、表面的な措置になってしまう。
  • 産業界が教育の現場に入っても、効果性に疑問なしとしない。
  • 学生に広く教育の機会を提供し、パッシブでない教育機会の提供を考える必要がある。
  • インターンシップもそうであろう。そのためのプレ教育が必要。何故、そのインターンシップを受けるかについての得心が得られる段階でなければ、意味をなさない。
  • 多数機会、一機会が数週間に及ぶインターンシップが有効ではないか。
  • 産業界も入った多様な社会組織が、大学教育の現場に入るとしたら、効果性は上がるのではないか。
  • インターンシップ制度は、自己が固まってないものには有効であろうが、既に方針が明らかな者には、固定のコースを提供することが実効性が高い。
  • MOT教育は修士レベルまでは、評価される。モノトーンでない教育プログラムの提供が望まれる。
  • 博士課程にあっては、問題を発掘できる能力と課題に直面した時の対応能力の寛容が図られることに尽きる(焦っては駄目。本質的に異質。)このため、インターンシップの提供が重要。
森下委員 【2-1】、【2-3】
  • 就職活動が長く、修士課程中に修士学生に研究の楽しさを教えられないため、博士課程への進学を検討する時期がない。
  • 産業界は博士課程の学生を採りたがらないというのは確かにある。
  • 産業界が、博士課程学生をシステムとして受け入れる体制になっていない。
  • 修士課程学生の就職活動時期を少し後ろへずらしてもらうよう、産業界へ要請する。
  • 博士課程学生も受け入れる体制にするよう、産業界へ要請する。
  • 文部科学省では、大学等に対し、学生の就職活動が早期化することなく、学生が自己の能力、適性に応じて適切に職業を選択できるよう、学生に対する就職指導の一層の充実、強化を依頼し、経団連にも働きかけをしているところ。
大隅委員 【2-1】、【2-3】
  • 青田刈りのメカニズムのルーツについて、日本では履歴に穴をあけてはいけないという観念が非常に強いということが大きな問題。
  • 卒業時点で次の行き先が決まってなければ、それは人間として非常にあるまじきことであるというようなスタンダードが、いろいろなことにすべて弊害をもたらしているのではないか。
  • 就職活動を多様化させる。
鳥井委員 【2-1】、【2-3】
  • 企業が工学以外の博士を採用するようにしたほうがいい、ということではない。
  • 大学院の定員を企業のニーズに合わせたほうがいい、また、博士の教育を産業界の意向に合わせたほうがいい、というわけではない。
  • 博士取得者が企業に入っていかに活躍しているかに関する事例集を作り、企業や学生に配付。同様に企業で働くエンジニアなどがどんな生き甲斐、人生観を持っているか、さらにどんな場面に遭遇し、その場面でどう行動するかの事例集(アニメなど)をドクターの学生に配付。そのようなテレビアニメが放映されれば刺激になる。
  • ドクターのキャリアパス多様化事業での取り組み事例を小冊子にまとめ学生、企業に配付。
  • 現実社会のニーズに駆動された技術開発やシステム開発、社会開発お解決するロールプレイゲームを事業に取り入れる。米国のビジネススクールでは古くから実施。同様な考え方としては、大学内にビジネススクールを設置し、希望者が受講できるようにする。もう一歩進めれば、大学がベンチャー企業などビジネス部門を持ち、そこで学生を教育する。
  • 大学が商工会などと定期的な交流会議を開催し双方の理解を進める。
吉見委員 【2-1】
  • 産業界はプロジェクトチームをリードしたり、コーディネートしたりする能力を求めている。
  • ドクターというタイトルを持っているから必要な人材ということにはならない。
  • 企業としては、中心の学術的能力+人をまとめる力、奇抜なアイディアなどが欲しい。
  • 民間、学校、研究機関、それから国の支援を受けて、仕組み化するために、学と民との接点の場を増やしていくことが必要。国の支援を受けながら、複線型を仕組み化する。
小野委員 【2-1】
  • 高等教育予算が毎年1パーセント減という状況は問題。
  • 世界標準に合わせた教育が必要。
  • 高等局で大学教育振興法(仮称)をつくって計画的に大学を支援すべきである。
  • 学生の品質保証をした上で、1パーセント減をやめるべき。
  • 競争的資金を増やす施策も必要。
所委員 【2-1】
  • どの審議課題でもグローバルな視点が重要であり、大学と企業の連携については、日本企業だけではなく、海外の企業も視野に入れるべきではないか。
  • 就職先も世界各国を想定すべき。
  • その場合、スキルのチェックリストに「英語で」という文言を追加する必要がある。
  • グローバル企業への就職状況を、外国企業の海外勤務/日本勤務、日本企業の海外勤務/日本勤務などに分類して調査し、実態を把握すること。海外大学への就職状況についても同様。
【2-1】、【2-3】
  • グローバル人材の必要性を必ずしも企業側は正しく理解していないのではないか。
  • 国内だけで人材育成の話をするのではなく、世界規模で人材育成討議が必要。
  • 企業コミュニティを作成し、ニーズを調査する。
  • グローバル企業にどれだけの博士課程修了生が就職しているか調査する。
  • 海外のグローバル企業や大学が欲しい人材の調査をする。
小川委員 【2-1】
  • イノベーションのリーダー個人の問題だけでなく、イノベーションのチームの問題を考えれば、チーム内の多様な人材にも目配りが必要。
  • なぜ修士修了者が産業界で好評なのかを分析する必要。
  • 「修士課程を研究者コースと技術者コースに区分けせよ」という提言が出される背景の分析も必要。
  • 全体的な俯瞰の中で人材を見ていく必要がある。
  • 修士課程の院生を対象とした博士課程のニーズ調査などのデータが入手できないか。
  • 各大学院に、産業界との間で、積極的に連携講座、連携大学院を設置する方策を創設する。閉鎖的な大学院生の指導に、連携講座、連携大学院として産業界の研究者や研究チームを招へいすることで、大学院生の選択肢が拡大し、新しい研究テーマへの取り組みや新しい研究マネジメントを長期インターンシップとして経験しつつ、学位(修士号、博士号)取得に導ける。
室伏委員 【2-1】
  • 社会に出た後に、新たな領域に挑戦するための再教育・再学習の場が与えられることが少ない。大学・研究機関や産業界との連携によって、広い能力獲得とイノベーション創出のための再教育、再学習の場を設定することも必要ではないか。
  • 一大学や一企業の研究者・技術者として囲い込むのでなく、社会のために働く人材である若者を育てることの大切さを、大学人・企業人共に認識し、最も適した場で、新たな領域への挑戦や学び直しなどができるような仕組みを作ることも有効ではないか。
  • 産官学で協力体制を作り、若者が学びなおしのできる時間的余裕と経済的支援を確保する。
【2-1】、【2-3】
  • 産業界の研究者・技術者に女性人材が少ないことに鑑み、女性人材を増やすための取り組みが必要。
  • 女子学生が、研究者・技術者としてのキャリアパスイメージを持てるよう、大学や企業が連携してロールモデルに学ぶ機会を作ることも大切。女性が活躍できる企業の事例を示すことも有益。
  • 学協会と企業との協力で、ロールモデルから話を聞き議論できる機会を、定期的につくる。
  • 女性が活躍している企業や、活躍している女性たちの事例を紹介するパンフレット等を作って、配付する。

審議課題2-2(教員の意識改革のための取組)

委員名 表層の課題設定 深層の課題設定 解決策への提言 提言を具現化するための方策
三宅委員 【2-2】
  • インセンティブのおおもとにあるのは、日本の大学院の研究の質が高いこと。
  • 学問に対する教員の柔軟性が必要。
  • どのように多様性を認めていくか。
  • 基本的には問題を発見して解決していく能力などが、大学院を組織している教員・研究者の側にどれだけあるか。
  • 多様性には競争原理が使えないため、どのような教育をすべきか世界中で模索されている。
  • 大学院が、現実社会で解きたい問題を抱えている人と一緒にその問題を科学的に解決してゆくことによって、科学そのものをより協力にし、広く研究者層の裾野を広げてゆけるのではないか?
  • 競争原理に基づかない、協調的な学習への科学的な検討が世界的に進められている。日本でもこの分野の研究を早急に進めるべきではないか。
  • 学習を含め協調的な知的創造過程そのものについての基礎的な研究を推進する。
鳥居委員 【2-2】
  • 現状の研究成果至上主義では意識改革は困難。
  • 間接経費の使途が問題。
  • 学部卒業から連続的に修士に入学するような学生の囲い込みがみられる。
  • 人事評価で教員の採用・昇任のときにはどうしても研究成果というのが第一義的な指標になっている。
  • 論文数が学位授与基準となっている。
  • 学長や事務方の意識改革が問題。
  • 教育をきちんと評価する授業評価、教員評価が必要。
  • 指導教官が査読委員へ責任転嫁するかたちとなっているのではないか。
小川委員 【2-2】
  • 教員、研究者の意識改革を図る取組という正攻法を考えることも大事だが、意識改革が困難なら、キャリアパス多様化事業の中で出てきたポスドクの職務専念義務の免除のしくみなどを制度化すべきではないか。
  • 任期付きポストの雇用契約に、キャリア開発研修や就職活動に関する職務専念義務免除を一定期間設けることを義務化し、中間評価、最終評価の観点に加える。
鳥井委員 【2-2】、【2-3】
  • 企業にとって人を採用すれことは一生面倒を見る覚悟をするということであり、それは莫大な額の先行投資である。
  • テニュアトラックの制度を見ると、10人を採用して3人分のテニュアポストしか用意しないという現象が起こるが、部外者から見れば、一旦採用しても都合が悪ければ放り出してしまうという無責任な姿にしか見えない。一時言われた流動化を口実に無責任が横行しているのではないか。
  • 同様のことが博士課程の学生にも起こっていると見るべき。多くの教員が修士の学生に対しドクターに進学するよう働きかけるが、学位取得者の就職に関して十分なケアをしない場合が多い。大学としてケアをする仕組みもないのが実情だろう。大学側の都合によって進学を勧めたのならそのケアをしないのは無責任のそしりを免れない。
  • 大学は人の採用という意味で甘えた体質を持っているのではないか。
興委員 【2-2】
  • 社会の要請する人材像の共有化が図られているであろうか。
  • 余程のことがない限り、多様化人材に対する社会の要請は理解し難いのではないか。
  • 大学院教育そのものに対する懸念がある。
  • 社会がそういう博士課程修了者をどれだけ必要としているかを分析する必要がある。
  • 専門教育における多様性な教育の充実が必用ではないか。全人教育の観点から、教養教育の重要性は理解できるが、時代の要請に応える人材養成の観点からは、専門教育の多様性が必要。
  • 教員組織の意識改革も重要であろうが、多様な能力を有する人材の活用が、効果的であろう。
  • (【2-1】の対応策と必ずしも合致しない様に見えるが)産業界を含め、多様な社会で活躍をした人材を教育の現場に受け入れる方策は効果が高いのではないか。
  • 学生側に安心感を与えることを考えると、当該大学卒業生で、社会的に活躍している人材、当然、高年齢と考えるが、非常勤の特任教員としての貢献が期待される。

審議課題2-3(理工系人材のキャリアパスの充実)

委員名 表層の課題設定 深層の課題設定 解決策への提言 提言を具現化するための方策
興委員 【2-3】
  • 修士課程から博士課程へ進む人が減っているので、対策が必要。
  • 修士課程からドクターに行かない理由は、インセンティブの問題だけではないのではないか。
  • チャレンジの場を与えることが大学の責務。
  • 大学院教育そのものに対する懸念がある。
  • 社会がそういう博士課程修了者をどれだけ必要としているかを分析する必要がある。
  • 社会で博士課程修了者をもっと大胆に展開していくことが必要であるというメッセージを出さないといけない。
  • 博士課程に行くだけの意義が本当にあるのか、博士課程の魅力を示す必要。
【2-3】
  • 理工系キャリアパスの魅力の再認識が必要。
  • ポスドク1万人計画等は雇用の緊急対策から制度化。魅力のある制度の確立が必要。
  • 修士課程から博士課程への魅力が消失。
  • 量的なミスマッチの解消が必要。
  • 博士号取得者を真に必要とする社会が育っていないのではないか。学界だけではないのか。
  • 量的なミスマッチには、社会が必要とするメッセージが不可欠。
  • 学界以外の社会で、博士号取得者を一定数採用する環境の整備が必要。国際化社会にあっては、行政組織においても同様。
  • 理工系人材への返還義務なしの奨学金制度を学部教育から導入を。
鳥井委員 【2-3】
  • ドクターという肩書は、自分の品質を証明する手段。社会に出て自分が役に立つことが本当のインセンティブ。
  • 日本はアメリカのように転職社会ではなく、社会構造が違う。ドクターを持つと役立つ、という社会をどうやってつくるか、根本的なことを考えないといけない。
  • 博士課程の位置づけ変更は考えられないか。
  • 職階の位置づけ変更は考えられないか。
  • 例えば、学部と修士を一貫のコースとし、その上に専門職大学院を設置する。専門職としては、文・理研究職、初中教員、エンジニア、行政職、コミュニケーター、ビジネスマン、司法、医師などを設ける。専門職大学院出身者には博士の学位を与える。専門職大学院の修学期間は専門分野によって決める。学部+修士の教育をする大学と専門職大学院は別の組織が運営する方が望ましい。
  • 大学内での昇進のステージを助教・准教授、教授の3段階から6段階程度の増やせないか。各段階で昇進評価を行う。評価は順位の低いほど研究能力に重心を置き、高くなるにつれ社会貢献と人格などを重視する。
【2-3】
  • 非常勤講師の低給与問題。
【2-3】
  • 社会全体としてチャレンジすればチャンスが来ることを実態としてみせるべきだと思われる。博士号取得者は組織や与えられた仕事に忠実とはいかない。
  • 日本社会の人事慣習(どういう人を偉くするか)に大きな問題はないか。
【2-3】
  • 本当の意味で役に立つ研究とは、人々の生活を便利にするだけではなく、例えば、人々が明日をいかに生きるべきかを考える材料、次に時代の文明がどうあるべきかを考える材料、世界の平和を実現する方策を考える材料などを社会に提供すること、つまり文化の発信基地としての役割を果たすことだと思われる。この点について、大学関係者は明確に自覚し、若い学生にも伝えていくことが重要である。
  • イノベーションは社会革新、文明革新でなければならない。技術革新や科学技術に絞って考えると科学技術コミュニティの独りよがりになる可能性が高い。
  • 大学人は「社会の役に立つ」ことの意味を自覚すべきである。
  • イノベーションは技術革新だけを意味する訳ではない。
【2-3】
  • 学問は文化の源。
  • 博士号を得て研究職に進む際には、世界史、美術または音楽の実技、コミュニケーションの試験を行う。英語もいいが、その前提として日本語も重要。
  • 大学の評価基準に多様性の確保状況を盛り込む。
  • 大学が一定の割合でジェネラリストを教員に採用し、その教員を部局間、大学間、産学間で流動させる。このジェネラリストの人事は大学の経営陣が完全に掌握する。学長など大学のマネジメントはこのジェネラリストから選抜する。
室伏委員 【2-3】
  • 博士課程に進む際、理工系の処遇の低さや産業構造の変化に伴う不安感から、周囲から反対される例が多い。
  • 理工系人材が評価されないとの指摘があるが、文科省等のデータは、評価が低いわけでないことが示している。
  • 若い人たちに魅力ある活躍の場やキャリアパスを示すことが必要。
  • 理数教育の成果が、社会や産業界でどのように生かされ、科学技術が実社会でどのように活用され、人々の生活に役立っているかを発信し、理工系人材を育てることの大切さについて、社会全体としての理解増進を図ることが大切。
  • そのためには、産業界からの教育と理解増進への協力が必要。
  • 博士課程を終えた若者が、産業界で仕事をすることをポジティブに評価し、産業界での技術者に対する社会の評価を、高める必要がある。
  • 文科省等の調査やデータを広く発信して、理工系人材の処遇や評価への誤解を解くことが必要。
  • イノベーション創出に向けた研究開発活動、それら技術の企業経営における位置づけ、技術経営における理工系人材のキャリアパスなどについて、情報をハンドブックなどにまとめ、提供することも有効。
【2-3】
  • 社会と産業界で活躍できる人材にとって、どのような能力を身につけることが必要であるかを、産学官の協力の下に考えていくべき。
  • 産学官が定期的な会合を持つなどして、グローバルな科学技術の将来に向けた設計図を作ることが大切。
  • 日本学術会議や学協会などに助力を求めることも有効ではないか。
所委員 【2-3】
  • ノーベル賞受賞者、社長、医師など、憧れとなるような人材像が必要。
  • 理工系分野は進歩が速く、進路選択時の不安の一因。
  • ポスドクだけでなく全体のキャリアパスを考えるべき。
  • 博士課程の奨学金制度をもっと充実させる。
  • 就職活動の早期一斉開始をやめる。
【2-3】
  • 国際的な大学のランキングが低い。
  • 博士課程の在り方、修士課程と博士課程の違い、基礎、専門、リベラルアーツ、分野横断などの重要性を理解する。
  • 修士課程と博士課程の差をはっきりさせる。
森下委員 【2-3】
  • 海外にいるポスドクは日本に戻る場所がなく、「難民」化している。
  • 海外から帰ってくる人材のポジションをつくることが重要。
  • 中国の海亀政策のようなことは、できないか?
【2-2】
  • 指導側の問題として、現状では、社会の多様な場で活躍する人材の養成へのインセンティブが働かない。
  • インセンティブが働かないのは、博士課程学生やポスドクは戦力になるので研究室に必要であり、使いやすいから。
  • これまで自ら取り組んでいない教員に働きかけるにはインセンティブが必要。
  • インセンティブが働く仕組みが必要。
  • 大学でのメンター制度を創設する。
【2-3】
  • 修士課程を修了した学生は経済的に非常に厳しい状況であり、博士進学へのインセンティブはやはり大事。
  • アメリカ並みにグラントを拡充する。
  • 競争的資金で取った間接経費について、ただ大学のインフラに使うのではなく、定率を人的なインフラに回す仕組みを構築する。
森下委員 【2-3】
  • 大学の若手教員ポストが減少している。
  • 若手ポストを増やす方策が必要。
  • 任期制の若手教官枠を増設する(競争的資金や委任経理の利用を拡大する)。
小野委員
  • 法人化して以降、大学は定員を埋めて、助教を採用できない状況である。
  • 若い人を採用できるシステムが必要。(例えば、高齢教員の給与を下げてでも、若手を雇う努力をするインセンティブを働かせるための運営費交付金や補助金の配分のシステムを考えることが必要。)
所委員
  • 任期制は、精神的にはほとんどフリーターのような状況になっている。
  • テニュアトラックのポジションを若手に対して大幅に増やす。
  • 研究予算の一部をテニュアトラックポジションのための予算に組み替えるなどにより、至急予算措置を行うべき。
小野委員 【2-3】
  • 学部学科構成について、教育学部の教員が多いなど、社会のニーズと異なっており、就職できない優秀な学生がいるのは問題。
  • 学部学科の組み替えが必要。学部学科を再配分するインセンティブが働くような運営費交付金のシステムに変えていくべき。
【2-3】
  • 修士課程や博士課程の卒業者の学力なり能力というのが日本の国際競争力の中心になっていく。
  • 大学院のカリキュラムの質がある程度保証されれば、企業にとってもプラスだし、その後のキャリアパスを考える場合にも有益。
  • 修士課程、博士課程の教育課程のカリキュラムに標準的なスタンダードを検討し社会に提示する。
  • 大学院教育を抜本的に改め、修士力、博士力を身につけさせる。
大隅委員 【2-3】
  • 学習指導要領のようなものを大学や大学院に当てはまることはかなり難しい。いろいろなことを標準化するということがイノベーション創出のためによいのかどうかという問題もある。
  • 学部においてきちんとリベラルアーツをやっておく必要がある。
  • いろいろな分野について知ることで、そこがのり代になって、いろいろな分野の融合とか、そういった新しい分野の創出といったことにつながり得るのではないか。
  • 現在の教育は専門を前倒しにしてしまったということが非常に弊害として出てきており、企業に行く人にとっても、どこが自分が生かせるところなのかというのり代がない。そういった教育を提供していないということが、理工の博士に行かないというようなことにつながっている可能性もある。
  • リベラルアーツを学部でしっかり行う。
  • 幅広い教育を与えることにより、視野を広げる。
  • 「理系のリベラルアーツ」に相当するような共通科目を受講させることにより、理系分野コミュニケーションの「のりしろ」を作る。
【2-3】
  • 学部までの教育と大学院の教育というところで大きく分けるべき。
  • 日本の場合には徒弟制度的な教育スタイルというのが学部のころから始まっているが、グローバリゼーションに合ってないのではないか。
  • 純血率を例えば30パーセント程度に下げるというような方針というのが、大きなイノベーションにつながる人材育成になるのではないか。
  • 大学院進学の際、学部とは異なる研究室に進学することを原則とさせる。
山野井委員 【2-3】
  • 理工系人材は社会的にステータスが高くない。
  • トップクラスのエンジニアが、医師や弁護士と同等のレベルで評価されているか。社会的に高いステータスとして認められているかどうかという問題には、一つのインセンティブになっている気がする。
  • 技術者の有用さを社会にアピールする。
鳥居委員 【2-3】
  • ポスドクというのは、嘱望されてなるポストであって、自分がなりたいと、こういう者を安易に採用するべきものでは本来はないはず。
小川委員 【2-3】
  • 博士課程院生・ポスドク」には、潜在的な能力、意欲、志向性などの観点からみて、複数のグループが存在するのではないか。博士課程、ポスドクの急速な拡大によって、本来、博士課程進学とはミスマッチな学生たちがかなりの数、含まれているのではないか。
  • 「覇気のない?」院生の数はどれくらいなのか?拡張された博士課程の学生定員を少しでも充足せざるをえない事情はないか?
  • 複数のグループがあるのなら、施策はそれぞれに対して行われる必要がある。
  • 博士課程院生・ポスドクの資質(潜在的能力、意欲、志向性など)について調査ができないか。
美馬委員 【2-3】
  • 今、ポスドクの人たちの分野がミスマッチであるというのは、そもそも、科学技術の重点4分野、この分野を国としては進めていきたいというのがあって研究資金がそこに重点的に配分されたのではないか。
  • 結局、学生に対する経済的支援の問題だけでなくて、お金を配ればみんなそこに来るのか。また、一時的にそこにとどまったとしても、その後、最終的な就職先として何かがないといけないが、そういったときにどうするのか。
  • 重点4分野を決めて、それにそういうふうに資金を出したときにこういうふうな問題が起こり得るんだということを、もしこれを反省的にするならば、今後もそういった分野を決めてお金を落とすときにここまで考えていかなければいけないのではないか。
  • 例えば、ライフサイエンスだったらライフサイエンスの会社がもっと大きくなれるような、そういう人たちを雇えるような、あるいは起業できるようなキャリアパスが必要。
小林委員 【2-3】
  • そろそろ大学院の日本的位置づけを根本的に考え直す必要が出てきているのではないか。

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