資料3 審議課題4 人材養成に係る研究資金制度等の改革について

○ 大学が本来持つ教育研究機能にパッチワーク的に別途付加するような施策では、根本的な問題解決にはならない。優れた研究人材を養成するためには、人材養成の観点も含めて制度化された研究資金制度を定着させ、切磋琢磨するシステムを構築する必要がある。
 人材の養成には中長期的な視点が不可欠であることからも、教員等に人材養成の意識を持たせ、それを評価につなげるなど、研究資金制度等の改革が重要。

○ 我が国の研究資金制度については、多くの研究者が設備等の物件費中心に充てられていて、人材養成のために使うという意識が薄いのが現状。理由としては、多くの制度において人材養成という面での評価が行われていないことなどが指摘されている。

○ ついては、人材養成への活用のため、研究資金制度を改革するにはどうしたらよいか。また、それをどう評価してインセンティブを与えるかなど、人材養成に係る研究資金制度等の改革について議論してはどうか

<検討の視点>

 研究資金制度等における研究人材を養成するために、第4期で提言すべき具体的な制度の改革について

4-1 研究資金制度の人材養成への活用方策

○ 一定規摸以上の研究資金については、例えば一定割合をRA経費やポストドクター雇用経費に充当する仕組みに制度を改革することは考えられないか。
 その際、直接経費(間接経費)のうち、人材養成に充てられている経費の割合を明確にし、「人材養成経費」として位置付け、評価の一指標とすることは考えられないか。

○ 間接経費の使途について、学生等へのフェローシップ(研究奨励金)等に充てることを推奨してはどうか。

4-2 競争的資金獲得等のインセンティブを高めるための方策

○ 基盤的経費を確実に措置した上で、競争的資金から人件費を支給できる研究者の対象を拡大することはできないか。

○ 人材の養成には中長期的な視点が不可欠であることから、細切れな支援にならないよう、特に人材養成のためのシステム改革を促進する取組等について、以下の仕組みを検討してはどうか。

  • 支援終了直前に評価を実施し、成果が顕著な研究等については、延長を認める仕組み
  • 支援終了後も成果が顕著な機関が何らかの支援を受けられるような仕組み

4-3 人材養成に関する意識を醸成させる方策

○ 教員が修士・博士の入り口で品質管理を徹底するなど、教員の意識改革を図るため、学内における教員評価の項目や競争的資金の審査基準の項目に、過去に雇用した大学院生・ポストドクター等の進路などを盛り込み、人材養成の取組実績を評価対象とすることが必要ではないか。
 なお、人材養成の取組実績を評価するにあたっては、どのような評価指標が適切かについて、検討する必要がある。

(参考1)政府諸会議の動向

○ 「革新的技術戦略」(平成20年5月19日第75回総合科学技術会議配付資料)(抜粋)

【切れ目のない研究資金供給】

  • 革新的技術を絶え間なく生み出し、その成果を成長に結びつけるには、20年、30年を要する場合が多い。したがって、優れた研究を支援し続け、イノベーションを起こすには、助成機関同士の連携による切れ目のない研究資金供給のための仕組みを確立する必要がある。
  • 進行中の助成案件の結果の評価と、その案件の継続課題としての採択審査を連携させ、優れた成果を上げ、かつ発展が期待される案件に対し、次の段階でも切れ目なく継続的に支援するシステムを構築

○ 「大学・大学院の研究システム改革-研究に関する国際競争力を高めるために-」(平成19年11月28日第71回総合科学技術会議配付資料)(抜粋)

 基盤的経費を確実に措置した上で、競争的資金から人件費を支給できる研究者の対象を拡大する。

○ 「競争的資金の拡充と制度改革の推進について」(平成19年6月14日総合科学技術会議基本政策推進専門調査会)(抜粋)

 競争的資金から人件費を支給できる研究者の対象を拡大する。また、競争的資金獲得者や優れた研究成果を挙げた人に対する経済面での処遇等について、研究機関の自主的取組を促進する。

○ <参考>「第3期科学技術基本計画」(平成18年3月28日)(抜粋)

・研究費における人材の育成・活用の重視

 研究開発に携わる中で人材が育成されることの重要性や、研究開発の重点化に伴い人材の重点化も進むべきことに鑑みれば、競争的資金等の研究費において、人材の育成や活用を行うことが一層重視されるべきである。
 したがって、各研究費制度において、研究費が人材の育成・活用に充てられるよう努めることとし、必要な制度改善を行う。これにより、博士課程在学者への生活費相当額程度の支給により若手を育成することや、ポストドクター・研究支援者・外部研究人材等への人件費の措置によって若手研究者が自立して研究組織を編成すること等を促進する。

(参考2)人材委員会における意見(第36回~41回)

【人材養成・教育】

○ 研究資金制度の改革は必要。それを人材養成に使うというのも大事だが、人材養成だと、大学の運営費交付金、経常費補助、奨学金制度、留学生政策などの要素もある。研究資金を人材養成にうまく使うにはどうしたらいいかというように考えたほうがよい。(第40回)

○ 教員の意識改革は簡単にできないが、大学はトップダウンでやらなくてはいけない。表題は、人材養成にかかわる人のインセンティブをどのようにして付与するかと、与えていくか、育てるか、というような表現のほうがよい。(第40回)

○ 研究資金で教育するという発想はやめて、教育は教育の資金をつくるという発想をすべき。(第40回)

○ 博士課程教育は教育と研究というものは分けられない部分がある。(第40回)

○ 競争的資金である以上、公平性が必要ですから、評価をどうするかについて論議することが必要。研究は国際的にも評価できるが、教育に対する評価という裏づけがないと難しい。(第40回)

【研究支援者等】

○ 技術支援者とか研究支援者、研究補助者をどうしたらいいかという議論ももっと顕在化させたい。学生が学位を取ろうが取るまいが、取れる人は取ってくるし、彼らが焦ってきたときに真髄が見えてくるから、そのときに手を差し伸べることが大学院教育なのではないか。例えば、トップの先生方が、自分の考え方を言ったら、それを受託して授業を行い、何か活動を展開してくれるスタッフがいることが重要であり、それを、むしろ大学院や学部の学生に依存している日本の教育体系の脆弱さが実は問題。(第41回)

【その他】

○ 研究資金制度の改革という中で、構造的障害物という観点で議論してはどうか。(第40回)

○ 大学では間接経費が30パーセント充当されている。本来ここで使うべき予算というのはかなりあるはず。間接経費を含めて議論はしてもいいのではないか。(第40回)

(参考3)関連審議会

○ 科学技術・学術審議会学術分科会研究費部会

○ 科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会研究評価部会

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科学技術・学術政策局基盤政策課

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