資料1 審議課題3 世界をリードする研究人材の養成方策について

○ 少子高齢社会において、活力ある経済社会を実現するために、世界をリードする人材を養成するための方策など、さらに講じていくべき施策について議論してはどうか

 ※ 若手教員の割合は減少傾向にあり、また、研究者総数に占める女性研究者の割合は増加しているものの、先進諸国との比較において非常に少ない状況。

<検討の視点>

 「(参考1)政府諸会議等の動向」にある提言をどのように考えるか。各種提言を踏まえ、第4期で提言するべき具体的な更なる充実方策はあるか。

○ 大学におけるいわゆる「純血主義」を排することについてどう考えるか。自校出身者比率の抑制については、自校出身者比率の定義を明確にした上で、一定期間ポストドクターを経験した者を採用するよう義務付けることは考えられないか。

○ 流動性向上のための方策については、優秀な研究者だけでなく、研究業績が低迷している研究者、若手やシニアも含めた、研究者全体の流動性についてどう考えるか。

○ テニュア・トラック制の導入においても課題となっているが、外国人研究者については、教員として受け入れられる際、日本語で行われる授業に対応できないことが指摘されている。教育を担う外国人研究者の養成・確保についてどう考えるか。

(参考1)政府諸会議等の動向

○ 「革新的技術戦略」(平成20年5月19日第75回総合科学技術会議配付資料)(抜粋)

【トップクラス人材の流動性確保と育成・獲得】

  • 大学・研究開発独立行政法人において目標を設定して人材の流動化を推進し、その達成度をとりまとめ公表(大学におけるいわゆる「純血主義」を排し、自らの大学出身教員の割合を5割未満とするなど)
  • 世界最先端の研究施設・拠点に優れた外国人を受け入れるための魅力ある研究・生活環境を整備するとともに、研究機関毎に目標(大学の教授、准教授としての外国人の採用比率を平成23年までに倍増など)を設定し、世界から優れた頭脳を受け入れ
  • 国際競争力を維持・強化し、また、多様な視点・発想を取り入れた研究活動を活性化するため、女性研究者や若手研究者の活躍拡大に向けた支援を充実

○ 「大学・大学院の研究システム改革-研究に関する国際競争力を高めるために-」(平成19年11月28日第71回総合科学技術会議配付資料)(抜粋)

【若手研究者の自立的環境の整備】

 独立して間がない若手研究者については、競争的資金の拡充や大学の戦略に基づき、スタートアップ時の研究資金や研究スペースを確保し、若手研究者が思い切ってチャレンジングな研究を行える環境を整備する。

【博士の社会的好循環の構築】(再掲)

 まず、大学において、博士課程入学者受入基準を明確にし、入学段階で確認する。時代の変化を反映しつつ入学定員を見直すことにより、入口管理を徹底し、入学者の質を確保する。
 その上で、国際的水準のコースワークを進めるため、教育カリキュラムを改革する。多様なキャリアパスを前提として学修課題を体系的・組織的に履修させ、幅広く深い教養に裏打ちされた専門知識、リーダーシップ力等を涵養することを基本とする。また、出口管理を徹底し、博士の学位の国際的通用性を保証する。
 学生を研究に参加させる場合も学生の教育を中心に考え、指導教員の研究補助とのみ捉えることは厳に慎まなければならない。また、博士課程への進学者に対しては、修士課程での修論を課さない等、一貫した教育を徹底する。修士課程については、国際的水準に則り、高度専門職人材の養成等、社会のニーズに的確に対応したコースワークを徹底すべきである。さらに、インターンシップ等により社会との接点を拡大する。
 このような大学における厳密な入口管理と出口管理の実施により、アカデミアにおいて、国際競争力のある人材を確保することができる。

【ポスドクの社会的好循環の構築】(再掲)

 ポスドクは、研究者として出発し、将来の進路を見極める期間であり、博士号取得後5年間程度までであるという意識改革を大学や独立行政法人内で徹底する。国際的な競争環境下で切磋琢磨した後は、早めに進路を見極めるべきことをポスドク自身も十分自覚すべきである。ポスドクへのフェローシップ等は、その対象を博士号取得後5年間程度までに限定すべきである。なお、出産・子育て等による研究中断期間に配慮すべきことは言うまでもない。

○ 「社会総がかりで教育再生を」(教育再生会議 第二次報告 平成19年6月1日)(抜粋)

・世界トップレベルの大学院形成

 大学院に重点化した中核的大学は、自主的な選択により、国際公募による第一級の教員の採用と国内外問わず優秀な学生の獲得によって、世界各地の優れた外国人学生が在籍し、同一大学の同一分野出身の大学院生が最大多数とならない(最大限3割程度)多様性ある環境を目指し、国際競争に勝ち抜く世界トップレベルの大学院を形成する。国は、このような大学院の努力を強力に支援する。

○ <参考>「第3期科学技術基本計画」(平成18年3月28日)(抜粋)

・人材の流動性の向上

 研究者の流動性を向上し活力ある研究環境を形成する観点から、大学及び公的研究機関は任期制の広範な定着に引き続き努める。また、任期付きの職を経てより安定的な職に就いた場合には、落ち着いて研究活動等に専念することが期待されるが、その活動の活性化を維持するため、例えば、再任可能な任期制や、適性や資質・能力の審査を定期的に行う再審制による雇用を行うことを奨励する。任期制の拡大に当たっては、分野により事情は異なるものの、民間も含めた研究者全体として流動性が高まっていくことが必要であるため、例えば、複数の大学が同時に任期制へ移行することや、民間の研究機関における流動性の向上などが望まれる。
 また、研究者をより安定的な職に就ける際には、出身大学学部卒業後に、大学等の機関又は専攻を、公正で透明性ある人事システムの下で少なくとも1回変更した者を、選考することが望ましい(「若手一回異動の原則」の奨励)。

・自校出身者比率の抑制

 多様な人材が互いに知的触発を受けながら、創造性を発揮し切磋琢磨する研究環境を形成することは、新しい研究領域の創生や研究組織の活力を保つためには不可欠である。このことに鑑みれば、真に優秀な人材を公正にかつ透明性を持って採用した結果として教員の自校出身者比率(自校学部出身者比率)が高くなることがありうるとしても、それが過度に高いことは、概して言えば望ましいことではない。このため、各大学においては教員の自校出身者比率に十分な注意を払うとともに、その比率が過度に高い大学にあってはその低減が図られることを期待する。国は、各大学の教員の職階別の自校出身者比率を公表する。

(参考2)人材委員会における意見(第36回~41回)

【若手研究者の育成】

  •  団塊の世代の一斉退職が実は大学人事を非常に柔軟にする大変大きなチャンスそれをどう生かしていくのかということ、生かすプログラムをどう支援していくのかということを、この場としてもやはり千載一遇のチャンスとしてしっかりと議論する必要がある。(第37回)
  •  世界全体を見渡して俯瞰的なところでリードできるような人材をどのようにして育てるかというのは、かなり難しいことだが、今、日本がやっていかなければいけないことである。(第40回)

【研究環境】

○ 若い人たちが対外的にも出ていけるようにするためには、日本のトップがどのような研究環境を設定するかについての目配りがないと、下だけでは変わらない。どういう形で自分の研究環境というのを設定するかということについての目配りがないと変わらない。科研費をとっている教授が本当に国際競争力があるのか、若手をひっぱっていける余力があるのかについての話が議題4に入ってくる必要があるのではないか。(第40回)

○ 科研費の質と量とをこれからどうしていくかが大きな課題である。(第38回)

○ 研究者あるいは技術者の流動性は、日本において非常に重要な課題である。まずは我が国において、各分野における流動性をどのように促進していくかということについては、これまでの調査研究に基づいて施策を考えていく時期に来ているのではないか。(第38回)

【女性研究者の活躍促進】

○ 上司としての男性教官や配偶者の理解、意識改革が重要である。(第38回)

○ 工学は圧倒的に女子学生が少ない状況である。女子中高生が工学に魅力を感じることができるよう、親も対象とした、もっと大胆な対応をしても良いと思う。(第36回)

○ 「女性研究者支援モデル育成」の取組(特にユビキタスの話やメンタリング制度など)を男女にかかわりなく展開していったらよいのではないか。(第38回)

○ 女性教員が一人もいない部局に1名採っていただくということが、意識改革につながるのではないか。(第38回)

(参考3)他の審議会の動き

○ 中央教育審議会大学分科会大学院部会

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