科学技術・学術審議会 第4回基本計画特別委員会における主な意見

 基本計画特別委員会における審議状況                                                                

1.第4回基本計画特別委員会の審議内容

 第4回基本計画特別委員会を平成21年8月19日に開催。主な審議内容は以下の通り。

(1)議事概要

  1. 事務局より、「基礎科学力の強化に向けた提言(要点)」の背景について説明を行った後、野依主査より概要説明。
  2. 「大学院部会における審議経過(概要)」について、事務局より説明。
  3. 「知識基盤社会を牽引する人材の育成と活躍の促進に向けて(概要)」について、事務局より説明。
  4. 「科学技術・イノベーションの人材戦略」及び「科学技術・イノベーションの人材戦略(参考資料)」について、事務局より説明を行った後、審議。

(2)委員会における主な意見

 科学技術・イノベーションの人材戦略に関する審議において、委員から出された主な意見は以下の通り。

【総論】

○ 戦後続いてきた古き良き時代が終わり、企業も大学もいままでの様に行かなくなったという認識に立ち、今後の科学技術基本計画を創り上げ、科学技術・イノベーション政策を実現していくためには、人材育成を政策の中核に据えなくてはならない。
○ 科学技術人材の育成の議論を行う際には、工学や理学などそれぞれの現状を踏まえて焦点を絞り議論すべきであり、数量的に十分であるのか、質が確保されているのか等について明確にしていくべき。

【企業の採用活動の早期化】

 ○ 企業が早期の採用活動を行うのは大学教育を信頼していないことも一因。企業が学生に求める能力と大学が求める能力を共有し、人材を育てていくべき。
 ○ 青田刈りの弊害を無くすため、学生のゴールが「採用」でなく「卒業」にあることを明確にした上で大学院教育を実施するべき。
 ○ 学部4年生のはじめに内定が決まり、残り一年遊ぶような状況にあるのは日本だけであり、経団連は採用活動の早期化の是正に向けて、積極的に提言を出していくべき。

【学生の質の確保】

○ 経済的支援について、学生支援機構の奨学金の多くの部分は返還しなければならず、大学や国からのサポートが少ない状況で、大学院生の質を確保するのは困難。
○ 工学系のドクターのレベルを産業界と一緒に考える機会が必要。分野によって状況が様々であり、きめ細かい対応をすべき。
○ 社会人ドクターについて、週末に1回だけ授業を受けて博士号を取るような状況で良いのか疑問。社会人が博士号を取得する仕組みを考えるべき。
○ 学生が、初等中等教育を通じて、学習する人間として教育されていないということ自体が基本的な問題。 
○ 企業や組織の中堅となる人材をどのように継続して生み出していくのかを考えていくことが重要で、日本がもともと持っている中堅層の強みについて議論で強調していくべき。
○ 諸外国に比べ、教員の数に対して学生の定員数が多すぎるのではないか。

【テニュア・トラック制】

○ テニュア・トラック制の趣旨について、「いい人材を残す制度」ということを明確にする必要がある。今後、テニュア・トラック制の運営の在り方について指針を出すべき。
○ 現在の20倍もの応募状況では、優秀な能力を持つ学生であったとしてもリスクが高く挑戦しにくい。これでは「競争」ではなく「くじ引き」のよう。キャリアパスとして確立できるよう、テニュア・トラック制をより充実していくべき。

【その他】

○ 大学のグローバルな人材獲得競争という世界の潮流から日本は孤立しており、世界の中での我が国の人材養成の位置づけを考えていくべき。
○ 科学技術人材の育成は重要であるが、より幅の広い人材育成の観点も必要。社会科学、人文科学のバックグランドを持った上で科学技術人材育成を進めていくことが、我が国の広い意味での人材育成につながる。
○ はみ出し人材をどのように育てていくかが課題。米国では各州で子どもたちの才能教育を行う仕組みがあり、そこで育った子どもたちが様々な場で活躍するなど、多様なキャリアパスを特別才能教育が支えており、日本においても検討すべき。
○ 学生が大学院博士課程に進学しない理由として、博士の研究の能力が給料等に適切に反映されない点が挙げられる。
○ SSH(スーパーサイエンスハイスクール)について素晴らしい成果があがっており、中長期的に全国の全ての高校に広げていくべき。
○ (秋田県を例として)博士号取得者を小中学校の教員として特別に採用するという試みを全国的に進めれば、新たなキャリアパスとなる。こうした取組を初等中等教育に採り入れるべきではないか。

2.今後の予定

  ○ 第5回 9月11日(金曜日) 16時~18時30分
       議題(案) : 科学技術・イノベーションのシステム改革
  (競争的資金制度、研究開発評価 等)

  ○ 第6回 10月1日(木曜日) 16時~18時30分
       議題(案) : 科学技術・イノベーションのシステム改革
   (産学連携、知的財産戦略、地域イノベーション 等)

  ○ 第7回 10月16日(金曜日) 16時~18時30分
       議題(案) : 世界的教育研究・研究開発機関の形成戦略
    科学技術・イノベーションの研究環境・基盤整備戦略

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科学技術・学術政策局基盤政策課

(科学技術・学術政策局基盤政策課)

-- 登録:平成22年03月 --