資料1 審議テーマ「博士号取得者の社会の多様な場における活躍促進のための方策」審議資料

資料1 審議テーマ「博士号取得者の社会の多様な場における活躍促進のための方策」審議資料

◆  博士号を取得し、高度な知識及び能力を身に付けた者が、社会の多様な場で活躍するための方策として、博士号取得者(ポストドクターを含む)のキャリアパスの多様化を促進するための方策など、以下について検討してはどうか。

1.優秀な博士号取得者のキャリアパスの多様化を促進するための方策

2.ポストドクターに係る課題の解決に向けた取組


1.優秀な博士号取得者のキャリアパスの多様化を促進するための方策

○優秀な博士号取得者の高度な知識及び能力を積極的に活かし、産業界や教育界等へのキャリアパスの多様化を促進するための方策について検討。
<参考資料4:図1-1>

 (例)
・ 企業等における研究開発等を強化するため、企業等が博士号取得者を雇用するインセンティブを付与
・ 大学や研究機関の研究支援体制や事務支援体制を強化するため、博士号取得者等のリサーチアドミニストレーター(※)等高度な専門知識を必要とする支援職員へのキャリアパスを確立
※競争的資金などの外部資金の獲得・管理を中核として、法令遵守や産学連携部門との調整など研究管理全般の業務を行う。
・ 博士号取得者に必要な資質等を身につけさせた上で、中学校・高等学校の理数系専科教員等へのキャリアパスを確立
<参考資料4:図1-2、3、4>

2. ポストドクターに係る課題の解決に向けた取組

○ 「ポストドクター等1万人支援計画」を平成11年度に達成後、ポストドクター等の数は増加傾向にあり、平成18年度の延べ人数で約16,000人のポストドクター等が実在。<参考資料4:図2-1>

○ 博士号取得者のキャリアパスの多様化の一環として、いわゆつ「ポスドク問題」(ポストドクター後のキャリアパスが確定していないこと、ポストドクターが多く存在する専門分野構成と産業構造から専門性が要請される分野構成との間にミスマッチが生じていること等)の解消を図る必要がある。
<参考資4:図2-2、3>

○ このような状況を踏まえ、以下の方策について検討。

・ ポストドクターを優秀な研究者のキャリアパスの一つとして位置付けるための方策。(たとえば、平成19年11月28日第71回総合科学技術会議配付資料において、「ポスドクへのフェローシップ等は、その対象を博士号取得後5年間程度までに限定すべきである」との意見が出されていた。)<参考資料4:図2-4>
・ ポストドクターの雇用形態等は多様であることから、ポスタードクタの雇用期間及び雇用者が遵守すべきガイドラインの策定(項目の例:偶然、雇用期間、習得すべき研修スキル、外部資金申請の在り方、研究代表者との関係) <参考資料4:図2-5、6>
・ ポストドクター自身が、ポストドクターになる前に自らのキャリアの見通しを立てることが必要であり、それを支援する方策。

 
(中間まとめ 関係箇所抜粋)

1. 優秀な博士号取得者のキャリアパスの多様化を促進するための方策

第2章社会の多様な場で活躍する科学技術関係人材の養成方策
 第2節 産学をつなぐ人材の養成・活躍促進方策
(3)産業界における博士課程修了者の活用について
 <検討の視点>
・ 博士課程修了者の採用実績は、大企業に集中している傾向にあるが、最先端の研究を行っている中小・ベンチャー企業においても相応の需要がある。
 <解決に向けた提言>
・  大学教員の意識改革や大学教育の改革だけでなく、企業の意識改革も必要であり、産業界は、博士課程修了者の有する先端的な研究成果だけでなく、その過程で育んだ課題設定能力や幅の広い科学技術的素養等の秘められた資質・能力を的確に評価した上で採用し、研究職だけでなく事業経営全般に活用する発想の転換と受入れ体制を整備すべきである。また、博士課程修了者を採用したことがない企業については、博士課程修了者の資質・能力を重視した選抜を行い、一人でも多くの採用を試みるべきである。
 第3節 教員等の意識改革のための取組
 <解決に向けた提言>
・  大学や研究機関は、指導教員等の研究活動を円滑に実施するため、研究支援体制が脆弱な我が国の研究環境を欧米諸国並みに充実すべきである。

第4章 次世代を担う人材育成方策
 第1節 教員の指導力向上のための取組
<解決に向けた提言>
・  大学は、小・中学校の理科や算数・数学に関して魅力ある授業を行うことができ、地域の研修会や教材開発等において指導的役割を果たす教員を養成すべきである。
・  教育委員会において、理科専科や小・中学校の連携を推進することにより、理工系学部出身の教員を小学校の理科の授業で活用すべきである。

2. ポストドクターに係る課題の解決に向けた取組

第2章 社会の多様な場で活躍する科学技術関係人材の養成方策
 第1節 理工系人材のキャリアパスの充実
(3)ポストドクターについて
 <検討の視点>
・  ポストドクターは、一般には博士号を取得後に独立した研究者を目指し、任期を付して雇用されている者であるが、実際にはポストドクターの経歴や目指しているキャリアパスは非常に多様である。
・  ポストドクターが多く存在する専門分野構成と産業構造から専門性が要請される分野構成との間でミスマッチが生じているが、今後は、研究資金の分野配分を考える際、このミスマッチの解消を踏まえた検討をする必要がある。
・  ポストドクターを雇用して活発な研究活動を展開している大学や研究機関は、その労働条件等の整備について、組織として主体的かつ積極的に取り組むべきである。また、他機関と連携することにより、優れた取組の共有化を図ることも必要である。
・  いわゆるポスドク問題は、博士課程学生及び博士課程修了者自身が、アカデミック指向が強いことが原因の一つであり、また、その原因として指導者のアカデミック指向が強いことが挙げられる。これらを踏まえた上で、博士課程学生や教員の意識改革と多様化及び大学院教育の改革が必要である。
 <解決に向けた提言>
・  政府、大学及び研究資金配分機関等は、お互いに協力し、ポストドクターを任期付きで雇用する際の労働条件や養成の在り方等を示したガイドライン(以下、「ポストドクター雇用等ガイドライン」という。)を策定し、ポストドクターのキャリア開発を組織的・体系的に支援することを検討すべきである。ガイドラインにおいては、ポストドクターが独立して研究できる能力の向上を図る責任は、ポストドクターの研究指導者が負うべきこと、能力に応じた処遇を行うべきことなどを明確にすべきである。
・  大学や研究機関においては、「ポストドクター雇用等ガイドライン」の内容を踏まえた機関としての方針を策定した上で、ポストドクターを雇用するとともに、雇用期間中にキャリア開発のためのトレーニング機会の提供やキャリア支援を実施するなど、研修等による養成を実施すべきである。
・  大学や研究機関は、ポストドクターとして雇用する場合は、雇用保険の事業者負担を徹底するなど、社会保険や雇用保険を含めた労務管理に十分留意する。また、任期終了後のキャリアパスを確保するための支援を行うべきである。
・  国は、「ポストドクター雇用等ガイドライン」の普及に努め、各機関の優れた取組状況を公表すべきである。

(第3期科学技術基本計画 関係箇所抜粋)
○博士号取得者の産業界等での活躍促進
 博士号取得者は、社会の多様な場で、高度な知識基盤社会をリードし、支え、活躍すべき存在であるとの観点から、大学院教育の改革や人材育成面での産学連携を推進し、社会の多様な場で活躍しうる博士号取得者の育成を強化する。産業界においては、優れた博士号取得者に対し、弾力的で一律でない処遇を積極的に講じることが求められる。
また、学生はもとより、大学、産業界等が、博士号取得者はアカデミックな研究職のみならず社会の多様な場で活躍することが望ましいとの共通認識を持つことを期待する。
なお、各大学が、博士課程修了者の進路等の情報を把握し自らの教育の質の向上に活かすことが極めて重要であるため、各大学がこれら情報の継続的な把握に努めることが望まれる。 

○若手研究者の自立支援
 ポストドクター等1万人支援計画が達成され、ポストドクターは今や我が国の研究活動の活発な展開に大きく寄与しているが、ポストドクター後のキャリアパスが不透明であるとの指摘がある。このため、研究者を志すポストドクターは自立して研究が行える若手研究者の前段階と位置付け、若手研究者の採用過程の透明化や自立支援を推進する中でポストドクター支援を行う。また、ポストドクターに対するアカデミックな研究職以外の進路も含めたキャリアサポートを推進するため、大学や公的研究機関の取組を促進するとともに、民間企業等とポストドクターの接する機会の充実を図る。 

(第2回基礎科学力強化懇談会(平成20年11月21日)におけるポストドクター関連の意見)
・ 増えすぎたポスドク対策について、文部科学省がポスドク全員のために大学の教授の席を用意する必要はない。博士号を取得することと、一生涯その分野で研究を続けていくことは違う。大学での研究は向いている人が続けるべきであり、企業などで活躍する道が必要。
・ ポスドク問題については、いろんな問題に対処できる人間を育てることで対処すべき。
・ ポスドク問題については、やりがいとか自分が役立つ途が色々あるということを本人に気付かせることが必要であり、そのための施策を講じる必要がある。

(「大学・大学院の研究システム改革~研究に関する国際競争力を高めるために~」(平成19年11月28日第71回総合科学技術会議配布資料) (抜粋))
 ポスドクは、研究者として出発し、将来の進路を見極める期間であり、博士号取得後5年間程度までであるという意識改革を大学や独立行政法人内で徹底する。国際的な競争環境下で切磋琢磨した後は、早めに進路を見極めるべきことをポスドク自身も十分自覚すべきである。ポスドクへのフェローシップ等は、その対象を博士号取得後5年間程度までに限定すべきである。 (中略)
 また、博士課程までの間に体系的・組織的な教育を受けたポスドクの進路を、アカデミアだけではなく、企業、官公庁、サイエンスコミュニケーター等多様なものとする。
このように、ポスドクの不安定な雇用期間を限定するとともに、人材の社会的好循環を構築し、研究者のキャリアパスを魅力あるものとする。

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科学技術・学術政策局 基盤政策課

(科学技術・学術政策局 基盤政策課)

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