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人材委員会(第74回) 議事録

1.日時

平成28年2月2日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省15F1会議室

3.議題

  1. 科学技術イノベーション人材育成の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

宮浦主査、宮田主査代理、大島委員、勝委員、川端委員、隅田委員、高橋委員、千葉委員、塚本委員、長瀬委員、森委員

文部科学省

土屋事務次官、戸谷文部科学審議官、伊藤科学技術・学術政策局長、岸本大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、神代科学技術・学術総括官、柿田人材政策課長、増子会計課長、唐沢人材政策推進室長、猪股大学改革推進室長、近藤人材政策課課長補佐、新免人材政策課課長補佐

オブザーバー

榎木近畿大学医学部附属病院臨床研究センター講師

5.議事録

科学技術・学術審議会人材委員会(第74回)

平成28年2月2日

【宮浦主査】  皆様,おそろいでございますので,ただいまから科学技術・学術審議会人材委員会第74回を開催いたします。本日の会議は冒頭より公開となっておりますので,よろしくお願いいたします。
本日は11名の委員が出席されておられまして,科学技術・学術審議会令第8条第1項に規定されている定足数を満たしております。
なお,五神委員,西澤委員,林委員,渡辺委員が御欠席です。また本日は昨年12月14日に開催されましたシンポジウムで分科会の取りまとめを担当いただきました近畿大学の榎木先生にお越しいただきまして,後ほど関連の御報告をお願いしております。よろしくお願いいたします。
それでは,まず事務局に人事異動がございましたので,紹介をお願いいたします。

【唐沢人材政策推進室長】  前回の委員会以降,事務局に人事異動がありましたので,御紹介いたします。本年1月1日付けで科学技術・学術政策局長として伊藤が着任しております。

【伊藤科学技術・学術政策局長】  御紹介いただきました伊藤でございます。1月から川上の後任としてこの人材分野を含みます,科学技術・学術政策局長を拝命したところでございます。
一言だけ御挨拶させていただきます。御案内のとおり,先日,第5期の科学技術基本計画が閣議決定されたところでございます。イノベーションの創出に向けて様々な取組が中に盛り込まれておりますけれども,人材についても若手の活躍,それから女性の活躍,それからいろいろなセクター間の人事交流,こういったところについて大変意欲的な数値目標も含めて書き込まれているところでございます。
ただ,翻って見ると,たしかこの第2期の科学技術基本計画ぐらいからいろいろとシステム改革の中で言われてきたのと同じではないかという気もしておりまして,この間,なかなか遅々としてこの分野の改革が進んでないということの表れでもあると思います。是非この人材委員会におかれましては,骨太の御方針についていろいろと御審議賜り,現実が基本計画で目指す方向に着実に進むように御指導いただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【唐沢人材政策推進室長】  以上でございます。

【宮浦主査】  それでは議事に入る前に,事務局より本日の配付資料について確認をお願いいたします。

○事務局より配布資料について説明

【宮浦主査】  それでは,まず議題1に入らせていただきます。本日は前回の委員会に引き続きまして,科学技術イノベーション人材育成の在り方について御議論いただきたいと思っております。
まずは本日の議論に資するように平成28年度の予算案並びに関連する検討動向を御報告いただいた後に昨年12月に開催されましたシンポジウムの開催状況を踏まえて自由討論をお願いしたいと思っております。
それではまず28年度予算についてでございます。28年度予算案について事務局より御説明をお願いいたします。

○事務局より資料1に基づいて説明。

【宮浦主査】  ありがとうございました。
それではただいま御報告いただきまして,それぞれ内容がございましたけれども,御質問がある方がおられましたらいかがでしょうか。
それでは,ここで平成28年度予算案に対して質疑をさせていただきたいのですが,来年度予算案幾つかございまして,卓越研究員の件,女性研究者の事業,また次世代の事業がございます。最後に次世代の事業ではスーパーサイエンスハイスクール(SSH)が特にございまして,最後に女子中高生の理系進路選択事業ということで各御説明を頂いたところでございます。一部はもう既に公募中のものもあろうかと思いますし,もう間もなく公募が始まるものもあろうかと思いますけれども,いかがでしょうか。何か御質問,御意見等ございますでしょうか。

【宮田主査代理】  では,口火を切ります。
この2ページの科学技術イノベーション人材の育成・確保のところで質問させていただきますが,これを概観いたしますと,テニュアトラックの事業を8億円削って,一方でこの卓越研究員制度というものを創設したということになると思うのですが,本当の意味で雇用の安定というのに,これは反するのではないですか。ここら辺の関係をどのように考えたらよろしいかということをちょっと御説明いただきたいのです。

【近藤人材政策課課長補佐】  ありがとうございます。2ページ目下の卓越研究員制度の概要の中で少し字が小さいので省略したのですが,このポストの要件のところで,無期のポスト,あるいはテニュアトラックで将来を見通すことができるポストを出してくださいという趣旨にしておりますので,そこは制度として反することはないと考えております。

【宮田主査代理】  それ是非。多分,新聞記者はこれしか見ないで書くので,しっかり書いておいていただきたいと思います。つまり制度的には発展型だということをお示しする必要があると思います。

【宮浦主査】  ありがとうございます。特にセクター間の人の移動を推進する方向で企業や様々な機関を回りながら若手が活躍の場を増やすのだという,そういう強く前向きであるという認識で考えております。そのあたり,何か御質問,御意見ございますでしょうか。

【宮田主査代理】  もう一つ,いいですか。今のに関連して,確かにいい制度かもしれないのですが実際本当にうまくいくかというところが,この2ページ右方の制度イメージの図,国又は中立的な公的機関,これはどのようなことを想定していらっしゃいますか。

【唐沢人材政策推進室長】  実際には国又は中立的な公的機関の事務局がというよりも,右側にございますスキームを見ていただきたいのと思うのですが,ポスト機関から提示を頂いて,そのポストをごらんになった若手研究者のうちこのポストで是非活躍したいという方を今度は候補者として選んでいく。このピアレビューを行う機関をこの国又は中立的な公的機関に置くということです。実際には私ども事務方が審査するのではなく,若手研究者を見る目のある有識者の先生とか,あるいはこの事業というのは先ほどございましたように大学等の場だけでなくて産業界も含めた場で活躍したいということも考えていますので,是非そのピアレビューの中には産業界等の方も入れて,様々な場で活躍する芽のある人材を選んでいきたいというようなことで考えております。

【宮田主査代理】  今のところ具体的には見えてないですか。

【唐沢人材政策推進室長】  中立的な公的機関に関しては少し細かい話になりますけれども,2ページの下段にございますように審査等経費というものもこの事務経費として計上していますので,これを実施する機関を今後,公募を経て選定した上で,その団体の中に委員会等を置いて審査を頂く予定でございます。

【宮田主査代理】  そうするとイメージとしてはこの制度の中で相互チェックができるような仕組みになっていますので,「国又は」の「国」がない方がいいと考えていらっしゃるのかな。

【唐沢人材政策推進室長】  最終的には国の事業でございますので「国が」という部分はございますけれども,その事務を効率的に施行するという部分等も考慮した中で,その中立的な機関に任せられるものはそこで任せていこうと考えております。

【宮田主査代理】  そうですね,了解しました。

【宮浦主査】  ありがとうございます。今,御指摘ありましたように,いかにピアレビューを実質的にクオリティー高くやるかということと人を選んでいくプロセス等が,一覧表を作った後に非常に重要になってくると思います。そのあたりが今回初めての取組ですので,いかにうまく回すかというところが重要だという御意見だと思います。
はい,どうぞ。

【森委員】  ちょっと宮田先生と同じなのですが,テニュアトラック制度も結局そうだったと私は理解していたのですが,結局,大学レベルですけれども募集を掛けて,それで最終的にはとにかく5年間なりの後にレビューを目利きがしまして,それでオーケーであれば各大学・研究機関の正規ポジションに就く。大学の話だけで申し訳ないのですけど,そういうことだったのですよね。それが今回はもっとガラス張りのところでレビューするということが変わってきたのでしょうか。あるいはもっと何かインセンティブを付けているということなのでしょうか。すみません。

【近藤人材政策課課長補佐】  森委員,御指摘のとおりで,ちゃんとやっているところにとっては何ら変わらないのかもしれないです。ピアレビューということで第三者を入れますが,各機関で行っているものと同じような仕組みになるかと思います。あとインセンティブとしてはこの研究費とか研究環境整備費ということです。

【森委員】  テニュア条項はありましたよね,今までも。

【近藤人材政策課課長補佐】  機関補助として,その機関にお任せして支援していたところを今度は少し個人のところまで見込んでやる。支援するのを見るというところが少し違うところです。

【宮浦主査】  大きな変更点としては企業が入ったというところが1つ大きなポイント。

【森委員】  そうですね,はい。

【宮浦主査】  川端先生。

【川端委員】  議論を白熱させたいわけではないのですけれど,せっかくなので。
まず卓越の話なのですが,テニュアトラックってやっぱり人事制度ではなくて人材育成だったのですよね。だから大学の中で全員をテニュアトラックするというと,それはないだろうという言い方になります。やっぱりある程度の割合の人を対象にしっかりとやって,次のリーダーに育成してあげていったという,その部分が卓越になって,何となく見えなくなってきているのです。いや,小さい文字で入っているのかもしれないけど,これを扱う人にとっては,そこをもっと前面に出してほしいと思うのです。
というか,もう1つがやはりさっきの中で出て,要するにこれって就活になったのだと思うのです。今までは大学側が採りましょうといって個別にやっていたものを,ゾーンを一定にそろえたために受ける側からいうと就活できる状態になったというので,それはそれでとても面白いなと思っています。だからそこもうまく表現していただけると受ける人にいいのかなと思います。
それから,今,一生懸命皆さん作り込みで審査要領とかいろいろ考えておられていると思うのですが企業に採用する場合と,大学側が採用する場合ではやはりそこは基準が違うでしょうと思います。やはりそこをどういう目線で面接をしてスクリーニングをしてというところは,ある程度バリエーションとして考えていっていただければと思います。
もう2点。実は去年の暮れに運営費交付金という国立大学に関してはもうえらい大変なことが起こっていて,運営費交付金が「えいや」で言えば金額は一緒なのですが,1.何%とか色が付いて返ってきて,要するに人件費が減ったのです。下手すると28年度は大学内の採用調整が行われるような動きもあると,いろいろな大学がみんな今一番考えているところなので,新規採用がどんなふうに展開するかはちょっとうまく波長を合わせないといけないという気がしています。
だから去年の12月とかにアンケート調査のときは「あ,やります」と手を挙げていた人たちが,みんな年末のあの運営費交付金を開けてみて,「え?」という話になっています。それが動いているので,多分その連動がひょっとしたら顔を出すかもしれないので,是非うまく調整をしていただけると,我々も是非活用したいと思っているので,是非よろしくお願いします。
最後にSSHなのですが,今,ある委員会に入っていて,理数教育って高校の教育プログラムという話の,知識型ではなくて経験型の理数科目を作ろうという動きを今,委員会で議論しているのですけれども,そこでやはりど真ん中がSSH,要するに大学側が出てきてトップの理数科の生徒さんたちに物すごいいろいろな経験をさせてもっと伸ばしましょうという。これとの関係が今一番そこで議論されていて,SSHは非常にお金があってばんばんやっている。一方で高校のカリキュラム側にそういうものを入れようとすると,そんなべらぼうにお金もないし,それがどういうふうにソフトランドしていくかという話を今,議論されています。これはこれ,あれはあれではなくて,うまくそれぞれくっついていって予算措置がされていくと,いろいろな意味で高校にもっと活力が出てくるのかなと思っています。

【宮浦主査】  ありがとうございます。先ほどの企業側のいかに評価するかというてんは非常に重要な面になってくるのですが,こういう卓越研究員が動いた場合の評価という面で,企業側から何か御意見ございますか。

【長瀬委員】  ちょっとよく分からない部分もまだあって,例えばインターンシップというのがありますよね。もし教育にしてしまうと,このインターンシップと今度の卓越研究員制度がどういうような違いがあるか。そこら辺のところは変に混ざってしまうとまずいなという思いもしますし,あとは企業の若手研究者というのは必ずしも1人,個として研究テーマを持っているわけではなくてグループで持っていることも多いです。そうした場合,ここに例えば研究費とか環境整備費とかありますけど,それが自分で使えるわけではない。ですから,そういうふうな使えるものがあるような研究となると非常に限られたものになってしまう可能性があるかなと思います。ですから,そこら辺のところをどういうふうに運用されていくか,どういうふうに考えていくかというのが課題かなと思っています。
ですからちょっともう少し,実際の応募の募集要項であるとか,そういうのをもう少し詳しく読ませていただいて,どういうふうに適応できるかというのを検討させていただきたいと考えております。
塚本さん,何かございますか。

【塚本委員】  ちょっと余り制度に詳しくないのですが,企業といっても企業ごとにすごく色が違ったり欲しい人材が違ったりとか制度も違ったりするので,民間企業の委員の人を入れるのであれば1人ではなく複数入れて多数,ダイバーシティのある目で見た方がいいかなと思います。

【宮浦主査】  ありがとうございました。次世代の件は後ほどもう1回次世代だけで話題が出てまいりますので,そちらでもう一度議論させていただければと思っております。そのほか,よろしいでしょうか。
はい,どうぞ。

【勝委員】  今,座長から次世代は次のテーマとする,ということが言われましたが,SSHに関して質問させていただければと思います。これについてはかなり長く既に行われていて,2002年ぐらいから行われていると思います。これだけ長く続いているということは,それなりの成果があるという評価がなされているからなのではないかと思うのですけれども,その辺についてもう少し詳細に教えていただければと思います。またこれについては,高大連携についても非常に重要になると思うのですが,この辺についてもやはりかなり進んでいると認識していいのか,この辺りについて少し教えていただければと思います。

【新免人材政策課課長補佐】  まずSSHの成果ですが,左側にございます次世代の科学技術イノベーション人材育成についてという報告書の成果を一概に表すのは難しい部分もあろうかと思うのですけれども,例えば25ページ目をお開きいただけますでしょうか。
まず成果の前に取組の例でございますけれども,こちらの上の部分には,課題研究,アクティブラーニングを先導するというようなことでありますとか,あとは高大連携,高大接続の取組を先導。こちらは政府全体でもお話はございますけれども,それを先導する役割というのがSSHの1つの在り方,役割かなと思っております。
あと卒業生や,又は在校時に具体的にどういう成果を上げられたのかということです。こちらが,25ページ目や26ページ目は個別の生徒さんや同好会の例が掲載されております。
また,例えばどういうことを行っているのかという取組例でございますけれども,26ページ目の下にございます。いろいろなものがございますけれども,例えば左上の北海道釧路湖陵高校,こちらは地域の北海道ならではの特徴,取組の課題を地元の高校で解決していくというような取組を行っております。あとは,ここの右下の部分,京都府立嵯峨野高校でございますけれども,海外連携といった取組を行っております。
先ほど川端委員からお話がございましたけれども,このSSHでお金が付いている高校とそれ以外のところとの差異,これをどう考えるのかというところがございます。それはすべからく全ての高校にSSHと同じようなものを設けようということは考えておりませんで,ここを中核拠点として周りの周辺の高校に好事例,好影響を波及させていくというようなことを考えている次第でございます。

【宮浦主査】  それでは,ちょっと資料の御説明を頂いてからもう一度議論をするのがいいかなと思いますので,科学技術イノベーション人材育成に関する検討動向について,資料で御説明をお願いしたいと思います。
まず,中央教育審議会大学院部会の大学院教育改革の検討動向でございますが,御説明をお願いできますでしょうか。

【猪股大学改革推進室長】  高等教育局大学振興課で中央教育審議会大学院部会を担当しております大学改革推進室長の猪股と申します。少々お時間を頂きまして,資料2-1,そして2-2に基づきながら中央教育審議会におきます大学院教育改革の現在の審議状況について御報告を申し上げたいと思います。
まず資料2-1の審議まとめの概要というところをごらんください。本審議まとめは約1年間にわたり昨年の9月に大学分科会で決定したものの概要でございます。人材委員会の中でも宮浦主査,大島委員,勝委員,川端委員,五神委員に大学院部会の委員も兼ねていただきまして連携した審議が行われてきたと自負しております。
まず大学院部会ではこのポンチ絵の上の3つの丸にありますように,過去平成3年から実質進められてきた大学院重点化まで振り返り,そして平成17年以降進められてきた様々な大学院教育改革プログラムの成果を踏まえつつ,中ほどのピンクの丸にありますように現在足元の最大の課題としては,優秀な日本人の若者が博士課程に進学しないという問題。それから大学院重点化をした一方で,先生の数はそれほど増やしてこなかったために教員の負担が増加している側面があるという指摘。また,大学院重点化のみならず,その後,大学の設置自体の規制緩和が平成11年頃に行われた関係上,私立大学も含めて博士課程及び修士課程を設置しやすくなったという環境変化によって,学生数が極端に少ない小規模専攻が増えているというような指摘がございました。
また大学院を取り巻く国内外の情勢としては,今後,我が国,日本においては25歳から45歳の人口が相当減っていく。働き盛りの人口が相当減っていくこと。それから我が国の経済的な優位性や競争力が低下していくのではないか。新たな基幹産業創出の期待が高まっているというような議論もございました。
また諸外国に目を転じますと,高度人材,いわゆるマスターやドクターを持った人材がどんどん輩出されている。またアメリカなどでは大学院生自らが起業して社会を変革していっているような事例も見られるという御指摘を頂いております。
このような状況変化,課題の分析を踏まえまして,大学院部会では今後必要な人材として高度な専門的知識と倫理観を基に自ら考え行動して新たな知,そしてそれに基づく価値を創造してグローバルに活躍し未来を引っ張っていけるような知のプロフェッショナルを育成していくべきであると。そのための大学院改革をより一層推進すべきであるという方向性を出していただいております。
具体的には中ほどから下にありますように,7つの基本的な改革の方向性と卓越大学院(仮称)の形成について御提言を頂いております。特に人材委員会に関連の深い項目に絞って御説明を申し上げたいと思います。
まず第1に体系的・組織的な大学院教育の推進と学生の質の保証でございます。大学院教育はかねてより研究室の活動,研究活動に依存し,早くから専攻が狭まってしまっているような問題点が指摘されておりましたけれども,大学院部会では研究科や専攻の枠を超えた幅広いコースワークから研究指導につながる教育課程の編成を促進すべきであるということ。また学生の質の保証のために厳格な成績評価と修了認定を行うこと。更に近年の研究不正事案に鑑みまして,大学院生に対する,また教員に対する研究倫理教育をしっかりと実施すること。また,博士課程の指導や審査体制の改善点についても詳細に御指摘いただいているところでございます。
また大学院教育におきましては,博士課程後期学生の3人に1人は将来大学教員になっていくという試算がございますので,将来の大学教員の教育能力の方も養成するシステムの構築が必要であるということが提言されました。
第2の基本的な方向性として産学官民の連携と社会人学び直しの促進でございます。教育課程の開発実施の段階から企業,産業界と協働していくようなこと。また企業研究者と大学教員の人事交流をもっと促進すべきであるということ。それに当たっては知財ルールを事前にあらかじめしっかりと学内でも整備する必要があるということや,クロスアポイントメント制度を活用することも提言いただきました。3点目には大学院重点化で最も増えた工学系修士を含めて修士卒の社会人の方々に博士号を取っていく道を開いていくことも重要であるということや,産学共同研究の場自体に大学院生が1人前の研究者として参画していくことも重要ではないかという御指摘を頂いております。
中ほどにまいりまして丸4の大学院修了者のキャリアパスの確保と進路の可視化の推進でございます。キャリアパス多様化のためには様々な取組やこれまで科学技術学術政策局の補助事業を通じて行われてきたところでございますが,全学的な支援体制の重要性とあと産業界の理解の促進について提言がなされております。中でも大学側のキャリアパスの例としては教員のみならず専門的職員へのキャリアパスの充実も重要であるということがうたわれました。また大学院そのものについても修了した学生たちがその後どう活躍していったのかということを長期的に把握し,それを公表し促進していくことが重要ではないかという提言も頂いております。なお,この修了者の活躍状況の把握・公表につきましては大学の認証評価制度の中でも評価対象にしていくことを検討すべきであるということが提言されました。
少し飛びまして丸6でございます,右側の上から2つ目でございます。教育の質を向上するための規模の確保と機能別分化の推進でございます。ここでは社会的・学術的需要を踏まえた学生数の見直しと小規模専攻の在り方の見直しが提言されました。ここについては,詳しくは本文,資料2-2で言いますと22ページから23ページにかけて言及を頂いております。
22ページ目お開きいただきまして(6)というところで書かれております。ここでは人材委員会でも以前から指摘のありましたポストドクターの数がライフサイエンス分野で多いとかいろいろな課題がある。また入学者確保を優先した結果,入学者の質が低下して教員の負担が増加しているような課題も指摘されております。
このためということで,22ページの最後の丸になりますが,各大学においては学位分野別の学生数やそのポートフォリオを各大学の学部・学科や研究科・専攻の機能別分化と連動させつつ,社会的需要や教員ポストの見込み数を見極めた学術的需要に応じて柔軟に見直すことが重要であるということがうたわれております。
また少し飛びまして,23ページ目の上から2つ目のパラグラフ,国としても各大学が自主的に大学院の組織を見直すことを促すことが必要であるということがうたわれております。
それでは資料の2-1に戻っていただきまして,右の下から2つ目の丸7でございます。博士課程(後期)学生の処遇の改善でございます。御案内のとおり,科学技術基本計画では後期学生の2割を対象に生活費相当額の支援をすべきであるという目標値が掲げられておりますが,現状は1割の支給状況にとどまっている状況がございます。この審議まとめの中でも博士課程(後期)学生に対して,きちっと給与などの経済的な支援をしていくべきであるということが提言されました。
最後に中ほどの卓越大学院構想の御紹介でございます。本審議まとめでは世界最高水準の教育力と研究力を備え,人材交流・共同研究のハブとなるべく卓越大学院を我が国において形成していけるように,国が重点的な支援を行うべきであるという提言を頂きました。期待される領域例としては,国際的優位性がある分野,また文理融合・学際・新領域の分野,第3に新産業の創出に資する領域,第4に世界の学術の多様性確保に貢献が期待される領域というような領域例が示されているところでございます。
この卓越大学院構想については,中教審の審議まとめはあるコンセプトを示されているだけでございますので,今後詳細な分野の設定や連携の仕組みについては本年度中を目途に産学官からなる検討会において一定の方向性を示していただけるようにという提言がなされております。また来年度以降,各大学において企業との連携による構想作りに入れるようなスケジュール感が示されました。
以上の審議まとめを踏まえまして本年度中に文部科学省といたしましても第3次大学院教育振興政策要綱という文部科学省自らが行う施策をまとめたものを公表できるよう今現在,準備を進めているところでございます。
長くなりましたが,説明は以上でございます。

【宮浦主査】  ありがとうございます。
資料2-1がまとめでございまして,関連しまして資料2-2と2-3を中心に御説明を頂きました。ここで2-1につきましてはかなりまとまった資料なのですけれども,第5期の基本計画にも関連いたしますが,この資料2-1について何か個別な御意見,御質問等ございますでしょうか。

【長瀬委員】  教えていただきたいのですが,卓越大学院制度というのは,リーディング大学院とどういうふうな違いというか,どういう特徴を持たせようとされているのでしょうか。

【猪股大学改革推進室長】  御質問ありがとうございます。
お手元の資料の2-2に少し詳細が書かれておりますので,そちらをごらんいただきたいと思います。26ページ目にその個別の特徴が書かれております。まず卓越大学院については黒い四角のところ,ひし形になりますけれども,博士課程教育リーディングプログラムにおいて整備された学位プログラムを活用していく取組であるということが1つあります。
それから,リーディング大学院プログラムはこういった4つの領域,先ほど御紹介しましたけれども,こういう領域では形成はされていないというところがちょっと違いとしてあります。またその違いとしましては,黒いひし形の3つ目のひし形になります。丸3の特に優秀な社会人がドクターを取っていただけるような促進策,促進の場になるというようなことも期待されることが明記されております。
また4つ目の四角にあります研究力の点につきましては,産学共同研究の場で学生が一人前の研究者として対等な立場で参画していくような学位プログラム形成が考えられるのではないかということが,違いとして言われております。
まだ骨格でございますので,詳細は今後,検討会議が立ち上がりましたら,そこで議論はなされるかと思います。博士課程教育リーディングプログラムは非常に産業界の御協力を得て高評価を得ております。この財産をしっかりと継承しながら更に発展できるような事業として今後,検討を進めてまいりたいと思います。
ありがとうございます。

【長瀬委員】  はい。

【宮浦主査】  卓越大学院について今,話題になりましたけれども,ほかに関連の御質問,御意見ございますでしょうか。
はい,森先生。

【森委員】  一方でというか,御説明があったように大学院のお話があったと思うのですけど,今そこで先ほど言われたとおりで博士課程後期に進学する学生が非常に減っています。ということは,大学院生の研究能力は結果として下がっています。
一方で,卓越大学院の意図を見ると世界に誇る研究力,教育力もそうですけど研究力を担保するような大学院を目指すとあります。私にはそこに非常に矛盾があるような気がしています。大学院生のレベルアップをしなきゃいけないという努力が大学教員に問われている一方で,World PremierのWPIがありますよね。WPIに強調されるような大学院,世界に誇る研究力,誇る大学院を作らなきゃいけないというのが,どうしてもそこが私としては一貫性がないように感じるのですけれど,そこはいかがですか。

【猪股大学改革推進室長】  御質問ありがとうございます。卓越大学院は単なる研究拠点形成事業として構想されているものではなくて,ここに書かれていますように世界最高水準の教育力も備えていることを求めておりまして,やはり優秀な学生の進学を促進する場として期待をされているところでございます。先生がおっしゃるとおり大学院博士課程後期の最大の課題は優秀な人材が進学しないという問題意識でございます。そこは中教審でも全く同意見でございまして,それをその課題に立ち向かうための1つの施策としてこの卓越大学院構想は検討が進められているということで御理解いただければと思います。

【森委員】  大学院後期課程に行かない問題のいろいろなものはまだあるのですけれど,1つは欧米であればもうマスターコースに入った瞬間にサラリーがもらえます。大学院の授業料は免除になります。逆に言うと幾ら厳しくしても,逆に言うと大学側としては給料を払っているのだからということも言えるので,あるレールに乗せて教育プログラムの非常に水準の高いところに乗せることができます。でも,脱落するならどうぞと,給料を払っているのだからということは言えるのです。日本の場合はおっしゃったとおりで,リーディング大学院でもResearch Assistantとして雇用して給料を担保できないですよね。なので,そこでもう脱落します。もう後期課程は無理ですと,お金も掛かるのでと。年代も上がってくるので人生のいろいろなキャリアもあるし,人生のいろいろなことも学生には備わってくるので,そこのところでお金がない。授業料を払わなきゃいけない。親のすねをかじるのかと親戚中に言われるということもあります。そこが,まずクリアできないと,私としましては,これは実現するのかなというのがあります。もちろん学生というのは,その学位を取った後のことも物すごく不安に思っていますけど,まず大学院に,入るところでお金問題はすごく大きいと思います。

【猪股大学改革推進室長】  御指摘,おっしゃるとおりだと思います。卓越大学院構想は先ほどごらんいただいた26ページの下から2つ目のひし形のところに今,先生御指摘いただきました学生支援の重要性が書かれております。やはり大学院生に対する支援を世界水準とすべきであると,この卓越大学院においてはということが書かれておりまして,RAとして雇用する経費をここの卓越大学院に参画していただけるような民間企業との共同研究費の経費の上できちんと計上していくべきであるということまで踏み込んで書かれております。
また先生の先ほどの御指摘につきましては,本文中にも23ページから24ページにかけて我が国の博士課程後期学生の処遇が非常に課題であるということは中教審でもるる御提言を頂いております。それについてはやはり科学技術基本計画の数値目標である2割を目指して国の支援も今後しっかりと充実させていかなければならないと担当としては考えております。
御指摘ありがとうございました。

【長瀬委員】  よろしいですか。

【宮浦主査】  はい,長瀬委員。

【長瀬委員】  卓越研究員制度なのですが,学生が一人前の研究者として対等な立場に立つ。で,研究をやるというのが不思議なのですよね。学生は3年間,ドクター,博士後期課程で勉強してやっと一人前になると思っています。特にこういうふうに分野を超えて文理融合ですとか新しい領域を幾つもやるとなると,そう簡単にできないのではないかなと思います。下手をしてこれを強調すると,ある狭い範囲内だけでいわゆるタコつぼ的な研究者になってしまうのではないか。そういうようなおそれがあるので,余り大学生に研究者として期待するのは危険ではないかなと思います。例えばWPIですと大学院生はいませんよね。

【森委員】  いないです。

【長瀬委員】  ですから,やはりそういうふうな形の方が安心できるような気がするのですが。

【森委員】  同じ意見です,先生。

【宮浦主査】  学生にとって純粋な研究中心の方が安心できて,幅広くやるとどんどん不安になるというような教育ではなくて。

【長瀬委員】  というよりは,学生さんはそれで育っていて優秀な研究者になるので,学生の間で優秀というふうにレッテルを張らない方がいいのではないかと思っています。

【宮浦主査】  今の点について,森委員は御意見ございますか。

【森委員】  ちょっとこだわって恐縮なのですけれど,長瀬先生が今言われたとおりで,この制度に関して,最初からちょっと違和感があります。大学院はやはりトレーニングをする場所であって,教員の問題でもありますけど,あくまでも,すごくすぐれた世界に誇る研究ができる研究者を育成する場所であります。一人前の研究者として扱うことでいろいろな副産物のネガティブなことが出てきます。言いたくはないですけど,ねつ造改ざん問題とか,基礎力が付かないままに今はやりの研究ばっかりやっているような人で,逆に応用力がないので将来全然羽ばたけない人材になってしまったりする人もいます。大学院のときに『Nature』ばっかり出せるのですけれど,一人前になったらしょぼくなるとかいう人も実はいます。
そういう人ではなくて,やっぱり基礎をきっちりやりながら世界的な動向も見て,先見性のある研究をするようにトレーニングをすべきであって,それと別に現役ばりばりな感じでこの研究をやるというのは,私はどうしてもさっきのお金の話とかは別なのですけど,どうしても何かそごがあるような気がしていて,だから卓越大学院の本当に目指されていることというのが私にはやはりちょっと分からないです。

【猪股大学改革推進室長】  御懸念の点,ありがとうございます,そこまで中教審ではまだ細かい議論はなされておりません。ただ,この「一人前の研究者として」という言葉に込められている思いというのは,恐らく推測ですけれども,先生方の議論の中にありましたのはやはり処遇の改善として給料をしっかりと支払っていくべきではないかという流れでこの文言が入ってきたということで御理解いただければと思います。
先生が今,御指摘いただいた,下手に一人前に扱ってしまうことでのデメリットにつきましては,今後この卓越大学院構想を検討する検討会の場において,そういう御指摘があったことは紹介させていただいて活用させていただきたいと思います。
どうもありがとうございます。

【森委員】  すみません,何度も。
今,ふと思ったのですけれども,もしかしたら博士号を取るときも教員の言いなりみたいになってしまって実験ばっかりやっているような研究哲学やら理念のようなものですよね。それも育成しなきゃいけないわけですよね。大学生の後期のときに自分はどうであってどういう学際的な研究に今度切り込んでいくかというチャレンジ精神も学んでいかせるべきですが,もしかしたら教授の言いなりな感じでやって論文を出して,博士号を取っている学校が多いのかなと思いました。
そうであれば,こういう中教審からの意見が出てくるというのも分かるかなと思います。本来そうであるべきではないと思っています。

【宮浦主査】  ありがとうございます。
千葉先生どうぞ。

【千葉委員】  その御懸念も非常によく分かるのですけれども,私が「一人前の研究者として」という表現がいいなと思った点としては,日本人の問題点として既に報告されているように,諸外国と比べて,自信がない,自己効力感が低い,自尊感情が低い,というような傾向に対して,それらを解決できる手掛かりになるのではないかとも考えられるからです。つまり大学院から自分は一人前の研究者だという意識で,どんどん,どんどん乗り出していくような,とがったというか,そういう偉そうなのがたくさん出てきたら,とてもうれしいかなとは思いました。

【宮浦主査】  ありがとうございます。
大島委員どうぞ。

【大島委員】  今のお話とも関連しておりますが,博士課程の教育リーディングプログラムについて,修士課程から博士課程という流れで行われているプログラムは結構あります。大学院といっているこの卓越では,多分,博士課程後期を中心にはしていると思いますが,修士課程との関連はどうなっているかというのが,ひとつ質問です。
2つ目は,先ほどの博士課程の一人前の話とも関連しますが,多分ここで一番問題になっているのは,例えばアメリカ,ドイツもそうだとは思いますが,やはりリサーチアシスタントとして給料をもらうということは,社会人の1人としてきちんと仕事をするという,その自覚があるかないかだと思います。そういう意味での真剣さが必要で,何かアルバイト感覚で塾の講師をして少しいいお金をもらうぐらいの気持ちで,大学院生として研究をしているという学生がいます。もちろん中にはしっかりとしたメンタリティーを持っている学生もいますが,今の日本の学生の傾向が,指示待ちで,先ほど言っていたように何か先生に言われた実験をやっているだけというのは,多分,大学院だけではない問題ではあるかと思います。文化的に,自発的に研究をやるという風土が外国に比べて少し劣っているという感じはします。
私もアメリカでリサーチアシスタントをしましたが,かなり厳しいです。レポートをはじめいろいろなパフォーマンスチェックがある中で,非常に厳しい緊張感があります。そういう緊張感をどう持たせるかというのがこの卓越大学院の1つの大事な観点なのではないかと思っております。
その中で少し教えていただきたいのは,この資料の「資料1」ですが,学生に研究員としてお金を支払うのは,大学ではなくて国ですか。卓越研究員として特定研究大学といういろいろな機関が集まったところに学生が所属していて,その学生は国の中立的な公的な機関からお金を頂くということなのでしょうか。そこの関係がよく分からなかったです。

【近藤人材政策課課長補佐】  今,大島委員,資料1,予算の資料をごらんいただいていますか。

【大島委員】  そうです。これは,違いますね。

【近藤人材政策課課長補佐】  そうですね。そちらは卓越研究員です。

【大島委員】  失礼いたしました。私の勘違いです。

【宮浦主査】  よろしいでしょうか。
卓越大学院はまだ構想段階でいろいろな御意見が多々きょうも頂いたところですので是非検討していただきたいと思います。先ほどの処遇の問題などは恐らく統一した見解で現状1割の学生しか生活費相当を受け取れていないということで,それがやはり進学のモチベーションや優秀な学生が実は進学できていない原因の1つである可能性も十分考えられますし,それが目標2割になった場合に,達成したとしても残り8割はそうではないという現実が残ってしまいますので,そのあたりを十分考えていく必要があるのではないかと思います。
是非きょうの議論を卓越大学院構想の御議論に反映していただければと思います。

【宮田主査代理】  すみません,1つだけいいですか。

【宮浦主査】  はい。

【宮田主査代理】  そのお給料の話にわい小化してしまってはいけないと思うのです。基本的にはやはり欧米並みに私どもは大学院生をしっかり社会を,生活を保障して勉学にいそしんでもらう環境を作る一歩を始めた。だから2割というのは経過点にすぎないと思うのですが,そういう意味でこの中教審がやった未来を牽引する大学院教育改革ということのまとめをちょっと確認させていただきますけれども,これは大学院重点化ということがある意味で失敗であったということをちゃんと白状して,言葉はきついですけれども量から質に転換するということを明確に打ち出したものであると私は読みました。
特に重要なのは教育の質を向上するための規模の確保と,機能分化ということが今までの大学院制度とは違う方向にかじを取ったと理解しています。その背景には当然のことながら後期進学の数が減っているというよりも母数が減っているので,大学そのものの整理再編成というか縮小再編成も含めて,量という観点ではなくて質という観点でリオーガナイズするということを示したのだと思います。そういう大ざっぱな理解でよろしいでしょうか。確認させてください。

【猪股大学改革推進室長】  私の立場でなかなか言い難いところもあるのですけれども,今回御指摘いただいたように質と量,そして組織の見直しまで踏み込んだ中教審の議論というのはなかなか過去にはなかったのは事実でございます。また,ここで博士課程後期になぜ進まないのかという分析も本文中6ページでかなり詳細に中教審では御議論いただきまして,その中で特に大学側の課題として言われておりますのは,6ページの下,一番下のパラグラフになりますが,大学院を重点化した以降も担当教員が研究室の教育に通じた,研究室での研究活動を通じたものにとどまっていて,早期に狭い範囲の研究に陥りがちであるということや,産業界,出口の方の期待に対する認識も十分ではなかったという反省点,それから一部分野ではそもそも大学教員のポストを含めて博士の社会的な需要と学生の数のアンバランスが出ているということもはっきり認めているところでございます。
ですので,大変,副主査には高く評価していただいたのかなと思っております。
また今回の審議まとめを作成,事務局で担当するに当たり,私個人としては数年前にこの人材委員会を担当する人材政策企画官として先生方にいろいろ教えを請いたところが多々ございまして,そういった視点も踏まえながら委員の御審議を進めていったところでございます。本当に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。

【宮田主査代理】  了解しました。ただ,卓越という流行語を今,使った制度が幾つかできているので,これは混乱を招くので名称の検討も含めて考えていただけたらいいと思います。
ただ,もう一つ重要なのは,卓越ということを言う以上,大学の中に当然のことながらランク付けが行われていくということを示していることだろうと思っています。だからそれは特定研究大学のようにその大学の階層分化が日本で始まってきているのと同様に,大学でも大学院でも同じようなその整理が行われていくと私は勝手に解釈しております。
それに関して,確認の必要はありません。どうもありがとう。

【宮浦主査】  ありがとうございます。
ただいまの話題も含めまして,第5期の科学技術基本計画の中にかなり人材,盛り込まれておりますので,そちらの御説明を伺いたいと思います。事務局よりお願いいたします。

○事務局から資料2-4に基づいて説明。

【宮浦主査】  ありがとうございます。第5期取りまとまっておりますので,委員の皆様には見ていただきまして,先ほどの各論の議論と総論の中で御意見を頂きたいと思うところなのですが,後半,シンポジウムの議題ですとか榎木先生にも来ていただいておりますので,シンポジウムの話題に移りたいと思っておりますが,よろしいでしょうか。何か第5期について御意見ありますでしょうか。
はい,川端先生。

【川端委員】  ここで言って何か変わるとは思えないのですが,さっきも少しお話ししたテニュアトラック制に関しては,原則導入みたいな単語になっていますが,一体これはどういうつもりでこの文章が入ったのかというのが非常に気になっています。
要するに先ほどお話ししたようにただの人事制度でしたら,別に言うほどのものでもないですし,ましてやこれを導入したからといって若手ポストが増えるわけでもありません。だからこれはやはり若手の育成という立ち位置だとはっきりいろいろなところで発言をしていただければと思っています。
あともう1点ですが,セクター間の移動の話は,ここの人材委員会でもいっぱいいろいろやっていて,クロスアポイントメントの話もまたさっき出ましたが,本当のところ,これで何がどう動くのかというところは誰も答えを持ってないと思います。クロスアポイントメントという制度は分かったとが,それが進んだために何が動くのか。ではクロスにせずにそのまま移動すればいい,ではなくクロス。クロスということは,向こうの経営にもこちらの経営にも首を突っ込めるような年齢層なのか,もっと若手の話なのかでいろいろな意味を持っていて,そういうことは何も答えがまだ出ていないというので,何か独り歩きしないでほしいと思っています。
ここで議論するのであれば,それはそれでもいいと思います。

【宮浦主査】  ありがとうございます。セクター間で人が動かないという話は,もう過去10年動いてない部分を考えますと,何か抜本的な方策,具体的な方策を考えないと,なかなか議論していても動かない,動きにくい。先ほどの卓越研究員の枠組みの中には企業も入っておりますけれども,まだまだごく一部と思われます。そのあたり具体的には後ほど,若手のシンポジウムではかなり議論させていただいた先生も入っていただいて,後ほどもう1回御発言いただきたいと思っておりますけれども,先へ進ませていただきます。セクター間の移動というのは常に話題になるということを御議論の中心に置いていただきたいところではございます。ありがとうございます。
それでは,科学技術人材補助事業シンポジウムの開催状況についてに進ませていただきたいと思います。昨年12月に開催されましたシンポジウムの状況につきまして,まず全体概要を事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局より資料3-1に基づいて説明。

【宮浦主査】  ありがとうございます。本日は榎木先生にお越しいただいておりまして,シンポジウムにおいては分科会3,若手研究者の議論をしていただきました。ここで榎木先生からそのあたりお話を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

【榎木近畿大学附属病院臨床研究センター講師】  よろしくお願いいたします。近畿大学の榎木です。
分科会3のファシリテーターをさせていただいたのですけれども,分科会3は若手研究者で主に30代から40代前半の,主に大学に所属している人,あと企業に所属している人,皆,博士号を持っている5人の方,そして私が加わって6人で議論させていただきました。
資料の1枚目の2と書いてあるところです。スライド2になりますけれども,どのような方が参加したか,まず御紹介します。青木耕史先生は福井大学の教授でいらっしゃって,薬理学が専門です。それから伊藤剛仁先生は大阪大学の工学研究科の准教授,それから高橋剛先生は群馬大学の准教授,そして植田直樹先生は日本製鋼所研究開発本部の研究員です。それから牧浦理恵博士,大阪府立大学の准教授でいらっしゃいます。それで,この5名の方がどのような事業で育成されてきたかということを右に簡単に書いてありますけれども,テニュアトラック事業に関わった方が4名と,イノベーション若手事業に関わった人が1名ということです。
それから分野に関しましては,図の左側に簡単に書いてありますけれども,材料工学,化学に関わる方が多いかなというようなメンバーで議論させていただきました。
次のページをめくっていただいて,スライドの3です。議論のテーマは幾つかに分かれてさせていただいたのですけれども,大まかにテーマを分けますとまずテーマ1として博士課程の問題について議論いたしました。
特徴的といいますか印象的だったのが,全員ある程度自由な環境で育ってきたということです。自由というのはどういうことかというと,指導教員にこれをやりなさい,あれをやりなさいとかなりテーマを決められるのではなくて,もちろんある程度の指導やそのテーマの範囲はあるのですけれども,相当に自由裁量が許されたというような環境で育ってきた。これは少し重要かなと思ったので書かせていただいています。
それで各参加者の立場によっていろいろな意見が出たのですが,企業に所属している方は植田さんお1人だったのですけれども,日本製鋼所においては博士号取得者は高評価,高い評価を得ているという御報告を頂きました。
それから企業就職,大学の方もいるのですが,企業へ就職するということはどうですかということを聞いたところ,抵抗は全くないと全員おっしゃっていまして,これはかなり意識改革が進んできたのかなと思いました。
それから伊藤先生からの御意見としては,こちらのこの委員会での議論にもつながっていますが,博士課程をより魅力的にして,いろいろな優秀な人材が入ってきて,更により魅力的になるという好循環を作っていかなければならないという意見を頂いています。
それからもう1点伊藤先生からの御意見ですけれども,博士課程の期間に定めは必要なのか。要するに各人が論文を書くなり,やり切ったというか,そういう自分が博士になったという能力を認めるという期間で,自分が思ったときに終わればいいのではないかということです。これは留学経験からそう思ったという御指摘を頂いています。一律に3年とか4年とか決めるのではなくて,自分が終わったと思うときが終わるときであるという意見を頂きました。
それからテーマ2,ポストドクター,助教という若手研究者の立場ということで御意見を頂いています。研究に,こういう若手研究者というのは研究に専念できる大変よい期間であるという,そういう御意見を頂いたり,あるいはこういう期間に外国の経験というのは非常に重要になるので外国に行くことをお勧めするという伊藤先生の強いお言葉もありました。
それから企業の立場から見ると,植田さんのお話ですけれども,能力があれば企業は中途採用という形で採用しているのであって,一律に門戸を閉じているわけではないという御指摘も頂いています。
それから,めくっていただいて次のページでテーマ3ですけれども,テニュアトラック制度について議論が行われました。テニュアトラック制度に関わった人が4人いるということで,その方々を中心に行われたのですが,まずよい点ということで御指摘いただいたのは,このメンター制度と呼ばれる制度が大変すばらしいということで,これは青木先生,牧浦先生から頂いています。このメンターという方々による適切なアドバイスが随所にあって,それで研究に対しても厳しい指摘と同時に,大変有効な,有意義な指摘も頂いているということで,メンター制度はすばらしいという高評価ですね。
それから研究室運営の基礎がこのテニュアトラックの期間のときに学べたということで,これは青木先生,伊藤先生,牧浦先生,3名がおっしゃっていたのですが,研究室マネジメントや研究費の管理,その他,あるいは人材を雇うとか,そういうところも含めて,小規模ながらそういうところを学ぶことができたので,現在,研究室主催であるという状況においてその経験が生きて困ることはないと,青木先生などは断言しておりまして,非常に評価が高いということでした。
それから唯一の女性であったのですけれども牧浦先生から御指摘いただいたのは,ライフサポートイベントがこのテニュアトラックの期間で充実していたということです。出産と子育てという時期をこの期間に経験したけれども技術補佐員の方を補助として採用することができたので,その間に研究室を閉じることなく,期間を延ばすことなく過ごすことができた。これは牧浦先生が非常に評価されていました。
一方で,問題点もあるという御指摘も頂いています。青木先生からは教育業務が免除されていたのだけれども,果たしてそれでいいのかという御指摘がありました。教育というのは大学教員にとって非常に重要なのですが,テニュアトラック制度ではある種研究に専念するために免除されているということで,それに関する疑問もあるという御指摘を頂いています。教育に特化したテニュアトラックもあっていいのではないかという御意見を頂きました。
それからテニュアトラックの期間に学生等の獲得,人材獲得に苦労したという御意見も頂きました。特に教員が続けてどこに行くか分からない,続いて採用されるかも分からないというところで不安もある中,なかなか学生に対するアピールもできず,優先権みたいなのもないので当然安定したといいますか,既存の研究室に配属されてしまうみたいな部分もあってなかなか獲得に苦労したということでした。
それからテニュアトラックを修了した後が問題ではないかという御指摘も頂いています。というのもテニュアトラックの期間に独立した研究者として非常によい成果も上げることができたけれども,次のポストが,上司がいる講座制の中に取り込まれてしまったということで,そのテニュアトラック制度時代の経験がなかなか生きない面もあるという御指摘も頂いています。
そして次のページですけれども,これは地方大学に所属している先生が多かったので地方大学というのが話題になっています。人材が少ない,少子化等もあってなかなか人材確保ができないという苦しみがあるということでした。それから学生や若手のモチベーションを保つのが大変であるという御指摘を頂きました。
そして研究費獲得が難しいという高橋先生の御意見も頂きました。青木先生,高橋先生からは地方大学をもっと注目してほしいというアピールがありまして,ノーベル賞も含めた地方大学の人材というのも非常に重要という御指摘を頂いています。
次のテーマですけれども,テーマ5として指導者となってみると,ということですけれども,育成されてポスドクやテニュアトラックを経験して現在はそれぞれ研究室を率いているという立場。その立場から議論していただいたのですけれども,先ほどと重なるのですが,テニュアトラック制度での経験が生きていると全員おっしゃっていました。研究室運営がスムーズになっているということで,青木先生は現在,福井大学で自分の研究室に独自のテニュアトラック制度を作って,それで若手教員を採用しているという研究室運営をしているということですね。
それから,指導者になってみて自分が受けてきた教育と今,若手や部下にやらせていることと違いはありますかということを聞いたのですけれども,部下に自由を与えられない。自分は自由に育ってきたのだけれども,指導者としては自由が与えられないですとおっしゃっていました。何より研究費獲得が重要なので,そっちを優先しなきゃいけないのでということで,やらせていますという感じでなかなか自由が与えられないという御指摘を頂いています。
テーマ6,最後ですけれども,女性リーダー育成ということで,今回は女性支援事業の方がいらっしゃらないのですけれども,牧浦先生が女性研究者としていらっしゃるということで牧浦先生を中心に議論させていただきましたけれども,地方大学に行くと親世代の問題が非常に大きいというような御指摘を高橋先生から頂いています。というのも,大学院進学を家族から反対されてしまうというようなことがまだ起きていて,なかなか大学院,学部では女性がいるのに大学院になると進学率が低いという御指摘もありました。
それから牧浦先生からは先ほどと重なりますけれども,テニュアトラック制度の支援というのが充実していた。ライフイベント等の充実があったというのは先ほどお話ししましたけれども,もっとあるといいなという御指摘ありまして,フレキシビリティーのある資金が重要である。というのも,例えばお金を頂いたときに夫が離れたところで研究者をしていると。その交通費代に出せないだろうかという御指摘があったりとか,あとはベビーシッターのお金に使えるような資金があるといいなというお話がありました。
それで遠隔地で研究者をしている御夫婦である牧浦先生の御指摘だと,ファミリー単位での処遇の手当は考えられないだろうかというお話がありました。近隣の大学,あるいは同じ大学で何とかそのポストの支援等がないだろうかというようなところでして,これは一部の大学でそういうことをされているというお話も聞いていますけれども,そういう支援,ファミリー支援というのでしょうか。そういうのが重要であると御指摘いただいています。
それからこれ全員なのですけれども,女性研究者の問題は女性研究者だけの問題ではないということを全員が認識しているところでございます。
さて,これをまとめて私の私見も含めて簡単にお話しさせていただきますけれども,こういう事業が10年間あって,特にテニュアトラック制度に関しては非常に評価が高かった。一方で,そのテニュアトラックに乗らなかった人にとっては,これはどうなのだという意見も会場などからもありましたけれども,そういうテニュアトラック制度のいいところって何かなと考えますと,メンター制度というのが結構重要だったのではないかと私個人的に思いました。いろいろな研究者としてやっていく上での様々なアドバイスというのが,今後の研究者の生き方として参考になるということで,ほかの事業等にも広げていくともしかしていいのかなと思っています。
それから,次の育成から支援へということなのですけれども,これは特に牧浦先生が強調されていたのですが,イギリスとの比較でイギリスでも若手研究者をそういうふうに養成する事業があるのだけれども,日本はイギリスと比較すると例えば授業が持てないとか,予算とか,あと会議に出席しなくてもいい。それはある種研究者として頑張ってくださいという制度なのですが,どうもそれが育成というか育てられているという,それはそれで重要かと思うのですけれども,そうではなくて一人前の研究者と認めて資源という形でやっていった方がいいのではないかという御指摘を頂きました。
このあたりはなかなか難しいところではあるとは思うのですけれども,特に教育です。青木先生,牧浦先生が言われていたのは教育業務が免除されているというのはいい面と悪い面があるのではないか。もっと教育にも関わらせてほしいということをおっしゃっていました。
それから最後ですけれども,今回,こういうパネルディスカッションということで皆様が本音を言ったかどうかはさておき,例えば企業就職であるとかそういったものに関して抵抗感がないわけです。これは非常に大きいなと思いました。意識改革というのがある程度進んできたのかなとも思います。自分の部下が企業に就職しますといったときどうしますかともちょっと聞いてみたのですけれども,抵抗はないですという,その抵抗がないというところがちょっと気に掛かるところではありますけれども,少なくとも邪魔はしないだろうとは思うので,大分意識改革は進んできたのかなと思っています。こういう若手世代がどんどん,どんどん上に立つようになってくると,大分セクター間の移動というのもスムーズになっていくのかもしれないと希望を持ちました。
以上,簡単ではありますが御報告させていただきました。

【宮浦主査】  ありがとうございます。今,シンポジウムで若手の分科会で非常に活発に御議論いただいた概要を御説明いただきました。せっかくの機会ですので是非御質問,御意見頂戴できればと思いますが。大体30代から40代前半の方でテニュアトラックを経験されてテニュアになった方だと思いますので,実際当人の御意見が聞けたという意味では非常にいい機会だったと思います。
はい,大島委員。

【大島委員】  非常に興味深く聞かせていただきました。3点質問させていただきたいと思います。研究室の運営の基礎が学べたことがテニュアトラックの1つの利点だということですが,この研究室運営の基礎が学べたということは,やはりこのメンター制があったことにより学べたのでしょうかというのが1点目です。
次にテニュアトラック制度についてです。私も初めてこのテニュアトラック制度で教育業務が免除されているということを知ったのですが,テニュアトラックから本当のいわゆるテニュアになった場合に教育業務が実際に関わってくると思います。テニュアトラックの段階でそういう経験がなかった中で,こういう教育業務に携わるようになって,そこに関しては何か戸惑いがあったのではないかということが2点目です。
最後に,これは質問としてはテーマになかったのでお答えいただける範囲で結構ですが,皆様博士課程に進んだ方ですが,前半の話でもあったように博士課程の進学率は落ちていて,魅力を感じない中でこの方々が博士課程に進学されたというのはどういうモチベーションがあったのかという点について,もし可能であれば教えていただければと思います。

【榎木近畿大学附属病院臨床研究センター講師】  御質問ありがとうございます。
メンター制度に関しましては,この資料,当日の会で配付された資料にそれぞれの先生のプレゼンテーションの概要が書かれているのですけれども,例えば57ページです。青木先生の発表の上の方ですね。メンター及び関連教員による指導があったということが書かれていまして,57ページですね。徹底した指導により現在,薬理学教室を運営するに当たり困ることがほとんどないというようなことをおっしゃっています。
それから牧浦先生の御発表の中に,67ページです。メンターとは書いてないのですけれども評価会というのがあって,それが適切なアドバイスをしていたというようなことをおっしゃっていました。これもある種のメンター制度ですね。牧浦先生の場合は,この御発表よりは発言で割とそういうことをおっしゃっていました。ということで,そういうメンターという人がいて,そういういろいろ指導したということがよかったということを御発言されています。
それから2点目の御質問ですけれども,教育に関する問題ですけれども戸惑ったかということなのですけれども,御発表の中では戸惑ったとまではおっしゃっていなかったのですけれども,もっとやりたかったということなのでしょうか。もうちょっと教育業務に関わりたかった。青木先生の発言からはそのような感じを受けました。
牧浦先生ももうちょっと教育業務をやりたいという,68ページの上の方のところですね。大阪府立大学では講義などの教育関係の仕事を大幅に免除されたということを指摘されていまして,そのあたりもっと関わりたかったというようなニュアンスだと考えております。
それから博士課程に進んだモチベーションである,モチベーションはどんなものかということなのですけれども,これもちょっとテーマとして聞いてはいなかったのですが,牧浦先生が一旦修士を出て会社に入った。会社に入っているときにもっと研究したくなって博士課程に入り直したみたいな,本当に研究をやりたかったという,そういうモチベーションのことを言われていました。牧浦先生はそうでしたけれども,ほかの先生に関しては割と,抵抗感なく博士課程に進んでいるような印象があって,その動機は余り詳しくは聞けてはいないのですけれども,研究者になりたいという強い意志があったということなのでしょうか。そのあたりに関してはクリアにお答えできなくて申し訳ございません。
以上です。

【宮浦主査】  ありがとうございます。そのほか是非,榎木先生に御質問はありますか。
はい,隅田先生。

【隅田委員】  大学で授業を持ってみたかったというのはすごく面白くて,大学教員は教員免許がなくてできるという非常によく言われた面白いことがあります。愛媛大学ではこのテニュアトラックのプログラムの中でかなり研究以外の内容を単位数として入れていてやっていますが,いろいろな意見はございます。
私が聞きたいのは,さっきのストレートでそのまま行く場合と,一度研究所なり外に出てからまた行く場合と,それぞれどういうメリット・デメリットがあるとお考えかということです。できれば多様性とかといったときに,ある意味真っすぐ行くと早いけれども,一直線に行くようなルートの人と,1回外に出てからまた入ってきたような場合で,10年ぐらいたって40代になったときに,それぞれのメリット・デメリットをどう考えていたのかとかいうことが分かれば教えてください。

【榎木近畿大学附属病院臨床研究センター講師】  御質問ありがとうございます。そうですね,今回,御発表してくださった方は割とストレートな人が多くて,全員,この学術振興会特別研究員になっています。学振のその先見性の高さというか,そこら辺は感じさせていただきました。
そういうふうな初期から研究者になるぞという人がいるというのは,若くして研究をどんどんできるという意味でいいのかなと思うのですけれども,牧浦先生のように一旦会社に勤めてそれからやり直したということ,こういうパターンも牧浦先生御自身の御活躍を見れば分かるように,とてもすぐれた研究をされているということなので,やはりいろいろな一直線ルートもあればう回ルートというかやり直しルートとかいろいろあっていいのではないかなとは思います。

【隅田委員】  すみません,もう少し関連すると,その能力があれば,青田刈りというか,大学外に流出している可能性があるわけですよね。だから,大学に残って真っすぐやっている人が必ずしもすぐれているわけではない状況が生まれる可能性があるわけです。能力があれば先に大学外に出てしまう場合があるわけですよね。そういう人の経験を例えば就職であったり,博士課程に行くときにプラスになるような制度というのはあるのでしょうか。
例えば外部での研究経験,大学以外での研究経験が何年以上あることが条件になっているような制度というのはあるのでしょうか。

【榎木近畿大学附属病院臨床研究センター講師】  今回の議論の中ではそういう制度は出てこなかったです。牧浦先生は正社員として5年勤めた後に博士課程に入り直したとおっしゃっていましたけれども,特別な制度で入っているわけではなさそうです。
多分そういう経験が御本人の中では生きたのでしょうけれども,そういう経験を研究家として生かすようなことをされているところがあるかというと,ちょっとそこまでは聞き取れませんでした。

【隅田委員】  分かりました。

【宮浦主査】  セクター間の人の移動ということで,こういう先生方がまた教員になったときに学生が企業で活躍され,もう1回戻ってくるというような多様性に将来貢献していただける可能性が非常に期待できるなと思いますね。
そのほかございますか。

【塚本委員】  貴重なお話どうもありがとうございました。3ページの博士課程のところで企業就職への抵抗は全くないということで,確認なのですが,本来はドクター人材たるもの大学の研究者とか国研の研究者になるのが正しい道で,企業に行くのがちょっと残念な感じなので昔は非常に抵抗があったという理解でよろしいですか。

【榎木近畿大学附属病院臨床研究センター講師】  企業就職は割と博士課程に来た者はもう研究しなさい,研究者になりなさいみたいな,ちょっと古い考えの中ではやはり異端で,企業に就職しますと言った途端に指導がおざなりになってしまったとかいうケースをさんざん聞きます。なので,やはりちょっと一部の教員からはそういうやはり格下扱いではないけれども,外に出ていく敵だみたいな,思われているようなところがあるようです。そういう抵抗というのは全然ありませんよということは真っすぐ研究者になって40代になった方々も言っていたということで,それは一昔前とは違っているなと感じたわけです。

【宮浦主査】  ありがとうございます。実際の若手の教員はそのあたりはかなりもうシームレスになっているので,改革すべきなのは,もっとシニア教員ではないかという考え方の意識改革ですね。そういうようなところです。
そろそろよろしいでしょうか。それでは先生,ありがとうございました。引き続き,御活躍どうぞよろしくお願いいたします。
シンポジウム関連,ちょっとお時間余りないのですけれども,大学関係ですとかあとは企業関係者の分科会も行っていただきました。大学関係者の方は川端委員を中心にやっていただいて,企業関係者の分科会の方は高橋委員を中心にやっていただきまして,シンポジウム全体を見渡して,これは言っておきたいとか何かコメントありましたら。
はい,高橋委員。

【高橋委員】  企業側というか産業界の取りまとめをやらせていただいたのですけれども,全体を通じて1点だけ考えたこと,感じたことがありまして,大学の方から企業はこうだ,企業はこんな感じだろうみたいな想像上の企業みたいなステレオタイプが結構出てくることがあって,それは多分双方問題だなと私は思うのですけれども。そもそも私のようなベンチャーがエーザイさんとか新日鐵住金さんを取りまとめて企業を語るというのもかなりちょっと肩身の狭い思いもしたのですが,やっぱり企業側も非常に多様ですよというところをどう伝えていけばいいのかなと思いました。
逆に,例えばこの資料の3ページ目にもありますけれども,企業なんか採用に1人当たり200万のコストを掛けているみたいな話は,これは大手の話です。うちではないのですけれども,そういう話なんかも出てきて,産業界側からいい意味でお金を引っ張ってこなきゃいけない。例えばさっきプロフェッショナルとしてRAとしてとかいろいろありましたけれども,経費に積むだとか,そういうところの企業が出しやすい形とか,企業がどういうところに今コストがあるのかとか,もう1歩踏み込んだところの情報が双方で理解ができていると,もしかしたら単純に研究予算をもっと産学連携としてよこしなさいみたいな話ではないところで,うまいことできるのではないかなみたいなことを非常に感じました。
その議論というのは,もしかしたら今,大学が経営していかなければいけないのだという議論の中にも,お金の議論だけではなくて例えば形態としては一番大事なのは理念は何かとか,そういうところは企業はすごくお話ししているのですけれども,例えば大学の経営の中でもそういう議論が出てきたら,もっと有機的にいい産学の対話ができるのではないかというのを感じました。
以上です。

【宮浦主査】  ありがとうございました。
そのあたり,はい,川端先生,一言,是非お願いします。

【川端委員】  すみません,大学側のまとめたところなのですけれども,この3名の私と相田先生と石田先生って,私がキャリアパスの関係,それから相田先生が女性の関係,石田先生がテニュアトラックの関係って,それを10年やっていた人たちと,こういう状態です。
で,そうするとスタートの段階から意識改革がどれぐらい進んだかというのは非常に進んだと。大学もかなり変わったし,企業も変わったし,いろいろなものが変わったというのが共通認識であります。ただし,最終的なアウトカムはなかなか進んでないというのも,10年きてもいまだに3人ともじくじたる思いを持っている。要するに大学側もすごく変わって企業も変わって,大学の中に企業の方もいっぱい入ってこられたし,教育カリキュラムもそうですし,キャリアパスのための何かでもそうですし,いろいろなことが行われている。かなり組織的にもなった。なんだけど数字が動かない。要するに爆発的に数字が動かない限り博士への展開というのも動かないし,若手がいろいろなところで活躍するという形もなかなか生まれてこないというので,どうにかこれを数字として上げるやり方がないのだろうかというような話が,ここの大きな話として出てきたというところでした。
あとはやっぱり大学自体が変わったのだけれども,先ほどちょっと言っていただいたように財源の問題,先ほどちょっとお話しした運営交付金だとかが非常に人件費で使える部分がどんどん消えて,事業費型に変わっているというところからベースに,若手というものをどういうふうに,そういう財源で動いていたものなのですけれども,それをどういうふうにやればいいのかという,そこがこれからということはダウンサイジングをしながらやっていくのねと,こういう話になりました。
ではダウンサイジングはというと,定年した人を補充しないで若い人を,そういうことをやろうとすると,それはそれですごい時間が掛かりながら進んでいくものなので,そういうもののバランスの中でこれはどういうふうに,しかも大学,ドクターコースの進学の話,先ほどの大学院改革の中教審もそうですけれども,これ10年待てるような話ではなくて,喫緊の課題として来年どうする,再来年どうしなきゃならないという動きがあって初めてのものなので,そういうものをうまく企業とどうやって手を組みながらやっていけばいいかというふうなことが議論としてありました。

【宮浦主査】  ありがとうございました。今回は分科会方式,そしてパネルディスカッションということで,従来それぞれ若手,女性とやっていたものが横につながりましたので非常に議論の幅が広まって新たな問題点,課題も見えてきたのではないかなと思っておりますので,また今後ともよろしくお願いいたします。
ということでシンポジウムの話題は一旦,よろしいですか。
それでは資料4がございまして,本人材委員会の検討事項の方向性について御説明をお願いできますでしょうか。

○事務局より資料4に基づいて説明

【宮浦主査】  ありがとうございます。本委員会の今後の重点項目について方針を御説明いただきました。引き続きよろしくお願いいたします。
それでは最後に事務局より連絡事項ございますでしょうか。

○事務局より次回日程等について説明

【宮浦主査】  ありがとうございます。それでは,委員の皆様,資料をまた改めて見ていただきまして何か御意見等々ございましたら早めに御連絡を頂けると有り難いと存じます。よろしくお願いいたします。
それでは,本日はこれで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

── 了 ──

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