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人材委員会(第73回) 議事録

1.日時

平成27年8月20日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 次世代人材育成検討作業部会における検討状況について
  2. 科学技術イノベーション人材の育成の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

宮浦主査、宮田主査代理、勝委員、川端委員、隅田委員、高橋委員、千葉委員、塚本委員、長瀬委員、西澤委員、林委員、渡辺委員

文部科学省

岸本科学技術・学術政策局次長、神代科学技術・学術総括官、柿田人材政策課長、唐沢人材政策推進室長

オブザーバー

齋藤科学技術・学術政策研究所総務研究官、松澤科学技術・学術政策研究所総括上席研究官、小林科学技術・学術政策研究所上席研究官

5.議事録

科学技術・学術審議会人材委員会(第73回)

平成27年8月20日

【宮浦主査】  それでは、ただいまから科学技術・学術審議会人材委員会第73回を開催いたします。本日の会議は冒頭より公開となっておりますので、よろしくお願いします。
 本日は12名の委員が出席されており、科学技術・学術審議会令第8条第1項に規定されております定足数を満たしております。
 なお、大島委員と五神委員、森委員が御欠席となっております。
 まず、事務局に異動がございましたので、紹介をお願いいたします。
○事務局より人事異動について連絡
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 それでは議題に入る前に、事務局より本日の配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局より配布資料について説明
【宮浦主査】  それでは、まず議題1に入らせていただきます。前回の委員会におきまして、人材委員会の下に設置いたしました次世代人材育成検討作業部会における検討状況につきまして、作業部会の主査であります塚本委員より御報告をお願いいたします。
【塚本委員】  ありがとうございます。それでは、資料1に従いまして、簡単に現在の検討の整理に関して御報告をさせていただきます。
 次世代人材育成検討作業部会に関しましては、前回4月21日の第72回人材委員会において設置を決定し、議論を始めました。資料1の13ページに設立の趣旨紙が入っておりまして、調査検討事項としては、次世代の科学技術イノベーション人材育成についての基本的な考え方、具体的な取組についての2点で、特に本部会におきましては人材の裾野の拡大と、意欲と能力のある人材の育成を中心に検討を行いました。
 これだけ聞くと、非常に幅広な議論をしたように思われますが、第1回から、4月から8月までの期間限定で、非常にフォーカスをして議論をしたものとなります。その現段階での整理を、本日発表させていただきます。また、メンバーはこちらの資料1の14ページにございますように、人材委員会より宮浦先生、大島先生、千葉先生、隅田先生に御参画いただき、更に中学校・高校で教べんを執っておられる現場の先生に御参加いただいて、スーパーサイエンスハイスクール等々、どのようにやっておられるのかといった、非常に現場感のある御意見を頂きました。宮浦先生、千葉先生、隅田先生、お忙しいところ、ありがとうございました。
 15ページにございますように、5月から8月に掛けて、合計4回、部会を実施いたしました。最初の1回目、2回目は、各委員や外部有識者からの発表等を伺い、後半の3回、4回目は、発表や議論を踏まえた具体的な論点整理をさせていただきました。議論すればするほどいろいろな素材が出てきて、議論の対象がどんどん広がる中で、これだけ短く絞り込むのが非常に大変な作業となりました。
 本体の方ですが、資料1ページにございますように、目次は「はじめに」がありまして、現状を捉えた上で、その次に当面取り組むべき施策の基本的な方向性について記載し、最後は「おわりに」ということで、11ページの非常にコンパクトなものになっております。
 2ページ目の「はじめに」についてです。ここは、イントロということで、次世代の科学技術イノベーション人材の育成における検討の実施、背景について、委員の皆さんがおっしゃられたことをまとめた上で、第7期の人材委員会の提言である、「知識基盤社会の科学技術イノベーション人材の育成のためには、初等中等教育段階から、児童生徒が、理数・科学技術に対する関心・素養を高め、主体的に取り組む力を育むことが求められる」という箇所を引用させていただきました。
 その次の3ページ目から5ページ目が、次世代の科学技術イノベーションをめぐる現状整理になります。こちらでは6ページ以降に記載している基本的な方向性を導き出す上での前提として、複数のデータや実施施策、現在されている施策を整理しています。
 内容は大きく2つに分類されます。まず1つ目が、次世代の科学技術イノベーション人材に関する現状ということで、データの説明です。そして2つ目が、次世代の科学技術イノベーション人材育成に関する主な施策について、つまり、現在どのような施策を実施しているのかということ整理しています。
 また、前提として、資料1本文に関する様々なデータや施策に関する参考資料を、図表の形で後ろに付けております。さて、科学的リテラシーのところで、図表1にございますように、高校1年生を対象としたOECDの学習到達度調査によると、数学的リテラシー、読
解力、科学的リテラシーの3分野全てにおいて、日本の平均得点は2012年、比較可能な調査が開始されて以降最も高くなっているということで、まあまあの成績となっております。
 他方、図表2にあるように、その次のページ、ジェンダーに着目しますと、得点は男子が女子よりも総じて高くなっていて、また特に自己効用感、自己概念というところは、男子が女子よりも高いという傾向があり、女子の理系が少ない根拠となるような内容が、ここから読み取れます。日本は全般的にOECDと同様の傾向ですけれども、数学的リテラシー、科学的リテラシー、問題解決能力に関しては、OECD平均よりも男女差が大きいというのが特徴と言えるかと思います。
 その次、「科学技術に関する興味関心について」は、参考資料の図表3を御覧いただければと思います。「平成24年度全国学力・学習状況調査」と「理系文系進路選択に関わる意識調査」によると、教育段階が進むにつれて、理系科目が好きと答える子供の割合が減少しています。中学3年生と高校3年生の理系文系に関する意識を比較すると、中学3年次は進路未決定の生徒が多いのですが、高校3年生になるとその割合が減少して、文科系の進路選択者が増加しているというファクトがあります。
 それから、次の図表4を御覧いただくと、自然科学系の学部・大学院に占める女性の割合は、人文・社会科学系に比べて低いという状況になっています。
 次に、意欲と能力のある子供たちを取り巻く環境についてというページ、本体の4ページ、図表6になりますが、ここでは最初に、国際科学オリンピックを取り上げています。高校生を対象とした国際科学オリンピックが毎年開催されており、日本からも教科ごとに毎年5名程度が参加しています。日本での国内予選の参加者数が右肩上がりで増えており、関心が高まっているとともに、国際大会においても、金メダルを始め好成績を上げるなど、質量ともに充実してきているといえるかと思います。
 その次のページの図表7では、アクティブ・ラーニングの話が出てきております。中学校の教員を対象としたOECDの調査によると、主体的学びを実践している教員の割合が、日本は参加国平均よりも低いということが出ております。ここまでがデータに関する説明です。
 続いて、今、実際どのような施策をやっているのかということを4ページのイメージ図にまとめております。文部科学省や、国立研究開発法人科学技術振興機構のような研究機関では、様々な施策を実行しております。一つ一つの施策についての詳細な説明は、本体の5ページと図表の10ページ、図表8からそれぞれ資料が出ておりますので、御覧いただければと思います。
 本体の6ページ目から10ページ目に、3番目として、当面取り組むべき施策の基本的な方向性をまとめております。次代を担う子供たちに対し、学校教育全般を通じて、思考力、判断力、表現力、主体性を養うことが重要となるというのは、論をまたないと思います。本項では、先にお示しした科学技術に対する興味関心に関する男女差等も踏まえて、当面取り組むべき施策の基本的な方向性として2つに絞り、1つ目が科学技術に対する興味関心の喚起、2つ目として、意欲と能力のある子供たちへの支援ということで、部会での検討状況を整理しております。
 1つ目として、科学技術に関する興味関心の喚起、先ほどから出ております。特に女子中高生というところで現状をまとめています。既に先ほど申し上げましたように、自然科学系の学部・大学院に占める女性の割合は、人文・社会科学系に比べて低く、理系分野で活躍する女性も限定的となっております。図表の26、27にございますように、保護者や先生のような、接する機会の多い人の影響が、女性の進路決定に影響しています。また「男子は理系、女子は文系」という固定概念が残っているということも1つの要因として示唆されています。したがって、女性が理系を専攻して研究者等で活躍するためには、身近なロールモデルを増やすことが必要となってくるということと、理系分野での女性参画に関する保護者の情報不足を何とかしなければいけないというのが1つの解決策になると考えます。
 社会の成熟が進むにつれて、ますます個々の人の価値観やニーズが多様化してきて、社会の半分を占める女性の参画は、科学技術の分野においても不可欠ということは言えると思います。また、将来の進路選択で、女性が科学技術分野を視野に入れることによって、女性自身が多様な生き方や選択肢が広がるということにもつながると言えます。
 女子中高生の興味を広げるというところで、文部科学省では、女子中高生向けのシンポジウム等の取組を支援するなど、ロールモデルの提示等の観点から、一定の成果を上げてきているということは言えると思います。
 他方、こうしたシンポジウムには、もともと理系分野に興味関心のある人が来るので、興味を持っていない人に関してリーチできていないということや、実施主体が固定化しがちで、このような事業の公募に応じる人があらあら決まっており、余り新しい取組ができてこないという問題点も指摘されています。
 今後は今までの取組に加えて、更に社会の多様な場において活躍しているいろいろな人に、女性の理系人材に中学校や高等学校を積極的に訪問してもらうといった取組を行うことで、女子中高生の科学技術への興味関心を喚起する取組を支援することが効果的なのではないかと考えます。また、企業の協力も促しまして、多様なロールモデルを女子中高生に示す等、大学生等の協力を得るなど、裾野を広げるという意味では産官学が連携していくというのも有効なのではないかと考えます。
 また、さらに、女性の理系選択を一層効果的に推進するためには、固定化した主体ばかりではなく、もっと多様な実施主体の関与を増やしていくというのも1つの施策になり得ます。先ほどの円グラフにもありましたように、女子中高生の進路選択に当たっては保護者や教員等の影響が多いという指摘もあるため、家庭、学校、地域が連携して、地域ぐるみの取組を推進して、女子中高生が理系に行こうと思ったときに、そうだねとみんなが後押しするような環境を作ることも必要かと思います。
 よく最近、新聞等にも出ておりますが、安倍総理が本部長となって決定された「女性活躍加速のための重点方針2015」においても、理工系女子を一貫して支援するための支援体制の構築を図ることになっております。経団連等でもリコチャレに関する取組が始まっており、世の中全体としても追い風になっている状況にあります。
 検討事項のもう一つ目の、意欲と能力のある子供たちへの支援、特にスーパーサイエンスハイスクールということでまとめています。スーパーサイエンスハイスクールについては、図表の17から、かなり丁寧にいろいろ資料が入っておりますが、今年でもう13年間継続している施策であり、具体的にかなり活躍している卒業生も出てきている施策となります。また、中教審等の総会でも非常に評価されているものとなります。一方、事業開始から13年が経過する中で、多様な学校が指定され、様々な取組が展開されているのですが、事業の性格が徐々に変容してきているという指摘も受けております。
 今後は、中教審の検討状況も踏まえながら、教育委員会等とも連携して、理数教育の地域拠点となる学校、先進的な取組を行う学校への支援の重点化など、メリハリを付けて、更によりよい施策としていくことが重要だという検討の整理となりました。また、SSH指定校の数は増えてはいますが、日本全体の高校の数からいえば十分とは言えず、情報発信や共有を増やすことによって、SSH指定校以外の学校も含めた、多くの中高生等のさらなる意欲の喚起や能力の向上に一層寄与することが期待されています。
 さらに、もう一つの例として、グローバルサイエンスキャンパスについても、触れています。これは平成26年度から実施したということで、まだ余り事例はないのですが、27年度現在、13大学において実施をしているものとなります。意欲と能力のある高校生に対し、大学の講義や研究を提供し、国際性・専門性の観点から幅広い視野を付与するもので、本事業の一層の推進により、学校や世代を超えた複層的な人材育成に寄与することが期待されています。まだ始めたばかりの施策でありますが、今後表れてくる効果を踏まえて、意欲と能力のある高校生の育成に結び付けていくことが期待されます。
 ほかに、中高生の科学研究実践活動推進プログラムなど、幾つかのものを具体的に挙げまして、最後11ページ目、「おわりに」ということで取りまとめています。各種の取組がイノベーションの創出に寄与するために、文部科学省や各種取組の実施機関としては、今までの取組の具体的な効果などを様々な関係機関とも共有し、様々な手段でデータ収集するとともに分析をして、その上で戦略的な広報活動を展開して、一層効果的な施策を実施することが必要なのではないかということが、現在の取りまとめの状況です。
 とりあえずこの検討は8月3日で一回終わりますが、本作業部会といたしましては、中央教育審議会の審議や、初等中等教育における教育課程等、課題が出てきましたら、必要に応じて検討を継続するということでまとめさせていただいております。
 最後に個人的なコメントではありますが、今回はこの作業部会の中で検討ができて今後のアクションにつなげられるものということで、既存の施策中心の議論になりましたが、初等中等教育、中学生・高校生の教育での様々な取組について、国際比較のようなものもしていくことも面白いと思います。
 また米国ですと、STEM系に進むと高収入の就業の機会が増えるということをDOEがキャンペーンをしたり、前回の報告書の中に入った『雇用の未来』で使われている労働省の統計に700以上の職業が入っていまして、その中の一つ一つに支出とともに平均収入なども提示されています。当然ながら研究者もいろいろな分野に分かれて入ってきているので、教育と就労を連携させて見せることによって、どのように理系の進路選択が人生にとってプラスになるか、日本での魅力を広めていくためにはどうしたらいいか等の検討もしていくといいのではないかと思います。
 最後になりますが、お盆休み返上で、ゆう活もなさらずに関連部局の調整等を頂きました唐沢室長、新免補佐、また前任の助川補佐の多大なるサポートに、非常に感謝申し上げます。それから、宮浦先生、千葉先生、隅田先生、ありがとうございました。
 以上です。もしも補足等ございましたら、御意見をお願いいたします。
【宮浦主査】  ありがとうございます。今、塚本作業部会主査から御説明いただきました。
 これから20分程度、御意見、御質問、討論を進めさせていただきたいと思います。今回の作業部会では特に2つの点についてまとめていただいています。1点目が次世代の興味・関心をいかに引いていくかという部分で、特に理系女子の問題です。2点目は、意欲・能力のある子供たちの支援。特に、非常に実績の高いスーパーサイエンスハイスクール等についてです。
 施策の具体論もございますけれども、中高生の理系をいかに伸ばすかということも含めまして御意見を頂ければと思います。御意見ございます委員は、挙手をお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。
 施策といたしましては、女子中高生の点についてアドバイスの方向性としては、今まで興味がいま一つであったポピュレーションをいかに引き出すかということで、出前のような、中学・高校に行って活動をするという方向性が、新しく出てきたと思います。
 スーパーサイエンスハイスクールについては、この卒業生が大学でいろいろな賞を取るなど育ってきているところで、非常に実績の高い内容かと思います。また、新たに大学で実施する事業としてグローバルサイエンスキャンパスなども動き始めましたので、非常に期待できるところかと思います。
 資料に対する御質問、あるいは自由討論でございますので、中高生に対しての取組はこう考えている、あるいはこういう視点があってもいいのではないかというような御意見も含めて、頂戴できると有り難いと思います。
【高橋委員】  口火を切る意味でも。私たちは子供の科学実験教室を企業体として年間300回ぐらい開いているのですが、男女関わらず、本物と触れる経験というのは本当に有効だなと思っております。実際にあった事例では、ある私立の女子高で女性の博士人材による実験教室を開催したところ、その次の年に理系文系選択のときに理系を選ぶ子がすごく増えて、クラスを1個増設したという話が、既に5年以上前の事例であります。実際に間近に見たりしているので、そういう本物と触れる経験というのは大事であることは、この資料にも出ているとおり感じました。
 一方で、報告書を見させていただいて、もしプラスできたらいいのかなと思う点が1つあります。それはいわゆるアントレプレナーの育成ですとか、そういう文脈で出てくる話だと思うのですが、科学オリンピックとかで活躍するような超トップの人材というところを考えたときには、雇用の問題よりも、むしろそれを生み出す、会社を作ってビジネスを仕掛けるグローバルリーダーにも重なるような人材をどう育成するかということです。もしかしたら、先ほどの実験教室の仮説に沿えば、そのようなアントレプレナーたちが積極的に学校の教育現場に参加していって、子供たちと一緒に活動するとか、科学技術に関わらない部分もあるかもしれないのですけれども、そういうものも有効じゃないかなということを、資料を読んで感じました。
【宮浦主査】  ありがとうございます。比較的短期で進路選択に影響も可能な、非常に有効な取組が期待できるというお話かと思います。
【宮田主査代理】  いいですか。
【宮浦主査】  はい、宮田委員。
【宮田主査代理】  まず、附属資料の17番についてですが、年がたつにつれて理科系への興味が減少するという根本的な問題がありまして、その理由の解析をもう少しなさらないと、根本的な問題の解決にならないのではないかと思っています。これはこの人材委員会の領域を超えるかもしれませんけれども、基本的に小中高の理科教育が駄目なのではないかということだと思います。この現実から目を背けて、幾ら表面的なところをやっても効果が薄いので、その根本をもう一度やり直すということ必要だと思います。
 もう一つ思いましたのは、せっかくIBMの塚本委員が座長なので、これからコンピューターの情報処理能力向上に従って、ロボットとか機械によって人間の職業が失われていくという視点をもうちょっと入れておく必要があると思います。単なる理系だけの問題ではないのですが、本日の『ダイヤモンド』にいい記事がありまして、14番目ぐらいに上級公務員も職を失うというランクがありました。2番が会計士なのです。
 つまり、今まで私たちが高度な専門職だと思っていたものが、データベースとか、ワトソンのようなコンピューターとの対話によって、ユーザーが解答を得てしまい、専門職を代替してしまう可能性が出てきているので、そこの危機感をもう少し持った方がいいのではないかなと私は思いました。
 ですから、先ほどのアメリカの例で、収入などのお話をされていましたが、その前に、こんな教育を受けていると生き残れないぞという危機感に基づいて、少し整理してみた方がいいのではないかなと思います。以上、感想です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 渡辺委員。
【渡辺委員】  今までやってきたことを、とてもよく分かりやすくまとめていただいた報告書になっていると思います。ただし、データの見方も表現によって随分違うと思います。例えばPISAのデータが参考資料の3枚目にありますが、OECDの中だけで比較すると日本がトップのように見えるものの、実はシンガポール、台湾、香港などのOECDに入っていないところが伸びていて、今やOECDの中だけで競争することは全く意味がないという世界になっているということが、この資料は抜けていますので、現状の世界をきちんと見ていくという視点が必要なのではないかと思います。
 それから、一番深刻なのは、とにかく理科をだんだん嫌いになっていくと、さっき御指摘いただいたところです。恐らく受験やテストが関係していると思うのですが、そこを改善していかないといけないと思います。また、今の科学者に起きている問題を、若いときからどうするのかという視点が必要です。例えばリテラシーの問題です。今は全体として、いかに理系をたくさん選ばせようかという施策になっていますが、本当にそれでいいのかということです。つまり、理系をとにかく選べばいいのか、それとも理系の人が社会リテラシーも持つような教育をきちんとしていくべきなのか。社会科学系を選ぶ人も、理系のリテラシーも持つという社会を目指していくことが重要なのだと思います。不正に対する考え方も、きちんと若いときから持っていく必要性、そういう全体を見ながら、どういう教育が必要なのかという視点を、今後この中間報告の後のところでは、是非検討いただきたいなと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 勝委員、どうぞ。
【勝委員】  今の御意見もごもっともで、作業部会で整理したものは非常によくまとまっていると思うのですが、ただ、例えば女子中高生の興味関心を喚起するというところに偏っているのかなと感じます。恐らく女子学生がそういった趣味を選ばないというのは、先ほども話が出たように、出口の部分もトータルで考えて、ある意味合理的な判断があってそのような選択がなされているので、ただ理系の興味を喚起するというだけでは問題の解決にはならないのかなと思います。
 むしろ問題なのは、意欲と能力のある子供たちへの支援をどうするのかというところで、スーパーサイエンスハイスクールに少し特化したような形になっているのですけれども、例えば今、エマージング諸国、特にOECD以外の国の理科力とか、そういった力が非常に向上しているという御指摘があったのですが、例えばこのペーパーの19ページ、国際科学オリンピック国際大会ということで、よくこれはニュースになりますので日本の高校生はよくやっているなというふうにイメージとしては持っていますし、あるいはこの前のタイムズ・ハイアー・エデュケーションで、2000年以降のノーベル賞の輩出では、日本は第3位になっているわけですけれども、資料を見ますと、中国、ロシア、シンガポール、香港、韓国といったところが上位を占めていて、日本はむしろ後退しています。この辺りの分析といいますか、これがいかにバリューがあるかということはまた別として、こういうトレンドであるというところで、例えば中国あるいはシンガポールといったところとどういう違いがあるのか、そういった部分についての議論がもしあったのでしたら、教えていただければと思います。
【宮浦主査】  今の点につきまして、国際比較につきましては、作業部会ではさほど議論はしておりません。御指摘のように非常に伸びている国と比較して、日本がちょっとマチュアになって、むしろ下向きになっているという部分の国際比較を考える必要があるというのは、非常に重要な点かと思います。
 もう一つ、非常に重要な点は、先ほど来、共通で御指摘いただいております、だんだん理科が嫌いになっているという点です。小学校のときは男女を問わず、結構理科好きだった子供たちが、中学に行くとかなり下がってきています。しかも女子の下がり方が激しく、高校に行くと更に下がっています。その現実を、ここで具体的な議論はさておきまして、非常に根本的な問題であるので、そこを常に考えながら、高校2年生ぐらいの既に余り好きじゃないという生徒を対象にやる施策と、あるいはこういう数字になっているとはいえ、かなり中学校ぐらいですと非常に迷っていると。大学受験がさほど近くない高1、高2ぐらいまでですと、迷っている。女子中高生の話でよく出るのですけれども、迷っている層というのが相当数いるので、そこにいかに注意喚起をするような施策を打つか。これは男子も含めてだと思うのですが、下がっている理由、あるいは下がっているとはいえ、迷っている生徒も多いので、そこを引き上げるという観点も重要かと思います。迷っている層は、なかなか数字になりにくい部分ではあるのですけれども、そのあたり、いかがでしょうか。
【渡辺委員】  迷っているというデータはあります。男子は余り迷わないのですけれども、女子はすごく迷っているというデータです。
【宮浦主査】  女子はすごく迷っている。
【渡辺委員】  悩みがすごく多いと。
【宮浦主査】  悩みが多い。
【渡辺委員】  特に一番多いのは、理系に向いていると自分で思っている女子が一番悩んでいます。ある程度対象が分かれば、そういうところにアプローチしていくと有効だと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。今の御指摘は、女子が特に迷っている層が大きいので、そこに効果的にアプローチするといいのではないかという御意見です。
【西澤委員】  どうして迷っているのですか。
【渡辺委員】  一番大きい理由は、学力的な面です。要するに、自分の点数が本当にこれで大丈夫なのかということです。
【西澤委員】  大学に入ることですか。
【渡辺委員】  理系選択、文系選択をするときに、悩みがありますかという質問をしたとき、男子は半数以上が悩みはない、何も悩まないというのが男子の答えです。
【西澤委員】  女子は真面目なのでしょうか。
【渡辺委員】  女子はすごく真面目で、理系の女子で迷わない人は、2割以下です。ほとんどみんな悩みがありまして、一番大きいのが学力的な面、2番目は適性の面です。本当に理系でやっていけるのかということです。
【西澤委員】  将来のことでしょうか。
【渡辺委員】  そうだと思います。
【宮浦主査】  理科がだんだん好きでなくなると一概に言っても、質的な違いが若干あるという御指摘かと思います。そのあたりの背景をしっかり認識した上で、取組をしていくべきだと思います。
 いかがでしょうか。今の点、及びスーパーサイエンスハイスクールを含めて、実績があり、かつ理系を非常に強く望んでいる子をいかに伸ばすかということも重要な点かと思いますので、両方含めて議論をさせていただきたいと思います。
【川端委員】  私も感想みたいな話ですけれども、この人材委員会でもともとドクターコースの話をしたときに、産業界からは、要するに大学の教育が悪いという話になっていて、そこには企業がもっと入っていって、実学的な教育をもっとやるべきだという話になっていて、次、今度は高校の話になると、高校の先生は悪くて、大学が高校へ入っていくべきだという意見があり、どこまで倒れていけばいいのでしょう。
 スーパーサイエンスハイスクールも、少し形は違いますけれども、リーディング大学院に似ていて、確かに手厚くいろいろなことをやったら、それなりにいろいろな成果が出てきますが、それはそのとおりです。でもマスの問題は片付きません。要するに、高校全体の数という話で言うと、とてもじゃないが手が出ません。でも、そこに手を出さないと、この人数の比率はそう簡単に上がっていきません。
 今、御提案されたように、PR的な、意識改革的な、それも当然一番重要で、そこでまず終わるのではなくて、その先に、さっき高橋委員がおっしゃったように、具体的に何か見せるだとか、やらせるだとか、その策みたいなものがもっと提供がどうできるかなのです。それをひっくり返すと今度は、これは全く同じことを裏返していくのですけれども、企業の方々は、リーディングの数がもし10倍になったら、企業はとてもじゃないけど人なんて派遣できませんと言うはずです。それと同じことが、スーパーサイエンスハイスクールも10倍になったら、大学は人を派遣できないのですよ。
 ということを、これはシステム的に数を大きくしたときには、何かやり方を変えないとならないという気がして仕方がなくて、単にMOOCsみたいな話だけでは多分済まないかもしれないけれども、もう少しマスを稼げる形というのが何かないのかなという、そんな気がしてならないのです。
 あと、本当の感想だけなのですけれども、今、高校生の好きな学習については、理系が下がっていっています。こういう話というのは、高校3年生とかいうのは結局、就職は考えていないのですね。文系は増えています。感覚的に言うと、理系の方が就職は確実によくて、何で文系はこんなに増えているのでしょう。ということは、違う感覚なのですかね。だから、余り先行き、理系に行けば将来がすごく有望なのですって、こんなことは別にそんなに関心事じゃなくて、もっと違う力学がここにもあるのかなというのが、もしその辺に関して何かお考えのことがあったら、お聞かせいただけると有り難いです。
【宮浦主査】  長瀬委員。
【長瀬委員】  理系が下がるのは、自然と考えます。理系というのは積み重ねの学問ですから、数学にしても最初どこかで掛け違って分からなくなると、途端に嫌いになりますよね。一方文系は、例えば地理ですと、いつでも入っていけて、何かそれが現在見えるようなことにつながっていれば、興味が持てる部分があるでしょう。理系の場合に、リカバリー教育というか、分からなかったらもう一回教えてやるとか、基礎を教えてやるとか、そういうのがあるといいのではないかと考えます。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。マスをいかに稼ぐかという問題、施策の種類が今の施策と同じことでマスを稼ごうと思って10倍やっても、それはできないのではないかという御指摘でした。そういう問題はおっしゃるとおりの部分と、職業をイメージできていないという御指摘は、高校生の職業見学のようなことはやられているとは思うのですが、進路選択で職業を余り意識していないのではないかというものでした。
 また、長瀬委員から御指摘いただいたのは、理系の教育はリカバリー、一旦少し苦手意識を持った後に、もう一回きっちり引き伸ばしてやるシステムが機能していないのではないかというものでした。それは先ほど渡辺委員から御指摘もありました、迷っている中には学力の問題で、一旦物理で点数が取れなくなったら再チャレンジできにくいというような、そういうことで迷ってやめると文系に移行するという、それも教育の中で苦手意識が出た後でも、もう一度リカバーできるような教育が必要なんじゃないかということに通じるのかなと思います。
 そのあたり、中学、高校の問題である反面、施策として、高校と大学の連携の場面でもそのあたりを意識しながら、非常にできる子だけを選択して伸ばす努力だけに執着せず、リカバリー教育的な、理系の面白さと引き伸ばすような取組も考えるべきではないかという御意見かと思います。
 ほか、御意見いかがでしょうか。数の問題は常に議論になるところでございまして、いろいろな施策で取組をやっても、高校全体のごく一部であるという悩みは常に付きまとっております。それを全国津々浦々までやろうと思うと、とてもできないという逆の悩みも発生するのと、またモデルケースとして、これは広報にも関係して、部会でも話題になったのですけれども、いかにモデルケースでもきっちり発信をして、これを見ることができ、あるいは経験を聞くことができれば、非常に広く浸透させることも可能なのではないかという話題も出ておりましたが、そのあたり、広めるという面ではいかがでしょうか。ごく一部の高校でしかないという話題がありましたけれども、あるいは、共通ホームページですとか、何か広めるようなことで、それを解決できないだろうかという観点でございませんでしょうか。
【塚本委員】  部会においては、最後の4回目の議論のときに、共通して使えるようなデータベースを作って、それでみんながアクセスできるようにすればよいのではないか、といったお話が千葉先生からもいろいろ出ておりました。
【千葉委員】  検討部会でもディスカッションがありましたが、それと先ほどの議論とつなげてみれば、興味関心を高めるということと同時に、自信を付けさせるためには褒めてあげることが、女子には必要じゃないかと思います。日本の男子も、他国と比べて自信がないので、褒めることが同様に必要だと思います。
 それで、何で褒めればいいのかということですけれども、この報告書の30ページにも書いてあるのですけれども、全国的に理数探究という授業がアクティブ・ラーニングで設置されるとするならば、そこで生徒が探求して作り出すレポートなどの作品が大量に出てくるはずなので、その作品が優秀である場合には、よくやったと褒めてあげて、自信を付けてあげるということが、人材育成によく効くのではないかという議論が出たと思います。
 その方法としては、教育的な審査を行って、採択された作品をデータベース化して、そこのデータベースに載ったらあなたも一流ですと認めてあげる。そうすると保護者も、うちの子が載ったから、これは絶対理系だね、といったような形で全体として盛り上げるというのが効果的ではないかという議論がありました。
【宮浦主査】  ありがとうございます。そのあたり、いかに広めるかという部分も重要であろうかと思います。
【川端委員】  すいません。
【宮浦主査】  はい、川端委員。
【川端委員】  今の意識の問題って、当然そこからスタートする。ちょうどこれは高大接続で、入試改革をやりますよね。あれというのは、どちらかというと知識偏重よりは、考える力を重視しますが、今の理系好きが下がっていくというのは、この問題につながっていくのではないでしょうかでも入試というのがあって、目の前に解かなきゃならない問題が、複雑なものがいっぱい出てくる。僕みたいなもともと物理の人間から言うと、物理はどんどんみんな離れていく。どうにかしてくれ、でも後に行きゃ行くほど、産業界だとかから言わせると、物理、どうして雇っていないのみたいな人たちがいっぱい増えてきている。
 そんなことを言うと、そこにミスマッチみたいなのがずっと起こっているけれども、入試というものがどうしてもあって、それからどんどん離れていっているというのがあるように僕は聞こえていて、だとすると、入試改革というものがあるから、ちょうどそれを使えば、もっとここは盛り上げられるつなぎ方があるのかなという、そんな話までつながるならいいかなと思います。
 要するに、ただ意識を変えろ、変えろと言ったって、最後、入試があるでしょという話で、みんなひっくり返ってしまっています。でも、入試がこんなふうに変わるのだから、アクティブ・ラーニング型のものをもっとやっていけば、それが前に行きますよというプレゼンの仕方というのが出てきたら、もっと進むかもなって、そんな気がします。
【宮浦主査】  ありがとうございます。おっしゃるとおり、入試にぶつかりますので、特に高校で離れていくというのは、幾ら興味を引いても、そこの入試改革の部分が是非欲しいということですね。ありがとうございます。
 一応、この次世代につきましては、今御意見を頂きましたので、今後の施策等にも反映させていただくという方向で踏まえて、今後文部科学省における取組の具体案にも生かしていただきたいと思います。
 それでは、一応こちらの話題は一旦こちらで終了とさせていただきます。ありがとうございました。
【渡辺委員】  どうしても気になることが、この資料1の30ページに、今後の方向性という案が出ています。数学と理科を統合して数理探究という科目を作ろうとなっているのですが、言葉の問題ですが、理数探究なら誤解はないのですが、数理探究というと普通、数学だと解釈されますので、ここは検討してほしいと思います。要するに、社会の人の誤解を生む言葉になってしまっているのは問題であるように思われます。
【宮浦主査】  ありがとうございます。こちら、中教審の検討事項でございまして、出てきた資料ですが、そのあたり、何か補足説明ございますか。
【新免人材政策課長補佐】  そうですね。こちらの資料は宮浦主査のおっしゃるとおり、中教審の総会の資料ですね。こちらで議論する話ではないですけれども、確かに「数理探究」の文言について御意見があった旨は、担当にお伝えいたします。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 それでは、本日の2番目の議題に入らせていただきます。科学技術イノベーション人材の育成の在り方についてでございます。まず、第8期の本委員会におきまして検討事項として、前回の委員会に引き続きまして、科学技術イノベーション人材の育成の在り方について議論を深めていきたいと考えております。
 本日は、まず前回の委員会におきまして委員の皆様から頂きました御意見を踏まえまして、第8期の人材委員会における検討事項案について、事務局より御説明を頂きたいと思います。その後、科学技術・学術政策研究所より、前回の委員会でも御報告いただきましたけれども、博士人材追跡調査の詳細結果について説明をお願いしたいと思います。その後、委員の皆様から御意見を頂きたいと思っております。
 それでは、まず事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局より資料2に基づいて説明。
【宮浦主査】  ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、科学技術・学術政策所より調査結果について御説明をお願いいたします。
【小林上席研究官】  それでは、資料の3をごらんください。博士人材追跡調査というのを今回初めて開催いたしました。これは2012年度の博士課程修了者を対象に、個人の方に調査をしたものになります。
 先ほど来、事務局からいろいろなデータが紹介されておりますけれども、ほとんど全てが機関回答というものになります。それに対して、質的な調査を行うということで、諸外国の博士の調査等を見ますと、例えばイギリスのHESAがやっているような調査、あるいはアメリカのNSFがやっているような審査と、それからフランスのCEREQがやっているジェネレーション調査といったものは全て、個人の方が回答しているということになります。個人の方が回答することによって、なかなか答えられないような意識であるとか、働き方、それから所得といった部分まで、今回明らかになっているというものになります。
 資料の3ページをごらんいただきますと、まず対象になる者が1万5,477人とありますけれども、このうち回答してくださったのが約38%ということで、4割近くの方が回答してくださいました。これは思っていたよりもずっと回答率が高く回収できまして、そこから母集団情報というのがありますので、キャリブレーションして母集団を推定しているという調査になります。
 そして、先ほど来御紹介ありますように、博士が非常に多様化しているということですので、特に社会人かどうかといったところ、それから大学院といいましても非常に研究力という点で違っておりますので、論文の国内のシェア、ここ10年あたりの部分を見まして、大学のグループ分けをしております。第1グループというところが、論文シェアでみた研究力が一番高くなります。それから、研究分野というところも見ていますけれども、これも学校基本調査等を見ますと、その他というのが非常に多いのですね。ところが、今回は個人回答ですので、非常に分野もきれいに分かれてきております。
 5ページを見ていただきますと、社会人学生25%となっております。社会人経験がある者はもっと多い4割、5割ありますけれども、その中で企業等に在籍しながら来ている人というのが25%になります。離職した人、在籍しながら来た人、そして普通にストレートに進学した人、年齢構造も大分違っております。そのままストレートに進学した場合には27歳がピークですけれども、離職した方の場合には30歳がピークとなります。在職しながら来ている方は35歳あたりがピークということになります。
 それぞれについて、課程の学生、ここは離職者も含めております。課程学生と、在職しながら来ている社会人と、外国人という3つの分類で進学理由を見ますと、かなりそれぞれ違っております。課程学生の場合には、研究をしたい、研究自体に興味があるというところが非常に高いですけれども、社会人の場合には、学位が必要だ、雇用先の勧めがあって来たというところが非常に高くなります。それから外国人の場合には、よい収入を期待しているというところが多いですね。それから、フェローシップがもらえたから来たという人が多いです。
 これ以外にも自由回答というのがございまして、この中を見ますと、7ページになります。転職・キャリアアップのために来たというのは当然ながら多いわけですけれども、また国際派として活躍したいということで、海外と接触する仕事がしたいから博士に来たという方も、非常に自由回答の中に多く見られました。
 それから3番目、新分野の研究の維持という理由もございます。これも複数回答ございました。修士の頃に自分で研究をしていた分野について自分がそれをやめてしまうと、その分野がもうなくなってしまうため、そういう社会的な意義を感じて博士に進学しているという方も、複数回答がございます。
 それから最後、これはややネガティブですけれども、保健医療系で、例えば学会員の資格を取れるので、ついでに博士に来て博士号を取ろうという方もかなり回答が多くございました。
 今回、博士課程の教育部分も聞いておりますので、その部分と、後半は進路というところを御紹介したいと思います。教育から社会の移行の部分と捉えていただけたらと思います。追跡調査といいましても、まだ1回目ですので、ちょうど1年半たっている状況とお考えください。
 まず学位ですけれども、学位なしのまま博士課程を修了している方というのが27.8%いらっしゃいました。ところが1年半たちますと、約10%学位を取っている方が増え、学位取得率は上がるということになります。
 それから、10ページですけれども、これは博士課程で誰が最も多く指導したか、誰が2番目に多く指導したか、その頻度というのも聞いております。当然ながら、一番多く指導しているのは、指導教員が83%ということになります。1番目が指導教員で、では2番目は誰が指導したのかというのが右側の棒グラフになります。そうしますと、当然ながら指導教員以外の同じ大学の同じ専攻の先生が指導されているわけですけれども、特に理系の理学、農学あたりでは、研究室の先輩、ポスドクが指導しているという回答が目立つというところです。文系にはこういった研究室の中で指導し合うという習慣が余りないということになります。
 それから11ページに行きまして、これは博士課程の満足度ということで、高等局からの依頼で入れた質問になります。これで見ますと、意外なほどと言ってしまっていいのかどうか、あれですけれども、まあ満足・満足というところが8割ございます。そして、実はここには出していないのですけれども、分野別、大学のグループ別の差というのは余りないです。ただ、ここに出していますように、課程学生、社会人学生、外国人学生の差が若干見られます。外国人の方は満足している度合いが非常に高いです。
 回答の最後に自由記述がありましたが、外国人の方は、こういう調査をやってくれてありがとうという回答が非常に多く寄せられました。日本人の方は、文科省、しっかりしてくれという回答がたくさんございました。
 では、その非常に高い満足度ですけれども、何が影響するのかというところを細かく見ていきますと、指導の頻度に対して非常に反応が高くなります。指導頻度が高いほど満足度が高いというのが強く出ております。12ページの上段のグラフになります。それから、下段のグラフですけれども、学位ありの方がやはり満足度が高くなります。
 それから、次にお金の話ですけれども、13ページになります。これは、実はいろいろな借入先とか、細かく聞いているのですが、ここに出しているのは1つだけです。博士課程修了時にどの程度借入金がありますか、それは学部・修士も合わせて、学業に関してどのくらいの借入れがありますかという質問になります。借入れのある方は、約35%になります。課程学生、社会人、外国人で見ますと、社会人の方というのは借入れなしで来ている方が多い。課程学生のみで見ますと、半数以上が借り入れありという状態で来ております。
 借入れがある方に限って平均値を出したのが、右側のグラフになります。平均で440万です。これは分野の差は余りありません。ただし、実はこれはフェローシップも別に見ているのですが、そのもらえる部分のお金と借りた部分のお金を足すと、それほどマイナスではないのではないかという手応えを得ています。
 下の14ページが、アメリカのSEDの調査と比較したものになります。そうしますと、日本の借入れありと答えている比率というのは、理科系で若干高い、文科系で若干低いものの、アメリカとそんなに大差はないということになります。
 博士課程の内容についてはこのぐらいにしまして、次に雇用と研究の状況というところを見ていきたいと思います。16ページからになります。こちらの左の円グラフは、先ほど来、全体のマクロの数字が出ていますけれども、大体アカデミア、大学、公的研究機関に残る方が6割程度、民間が3割程度ということになります。
 ただ、アカデミアと非アカデミアの働き方、求人のときの情報源等を見ますと、かなり違っております。まず、アカデミアの方は指導教員あるいは先輩からの紹介が多いですが、非アカデミアの方の場合には就職サイト、新聞等で、自分で探しているというところが多くなります。大学のキャリアセンターであるとか、その他の口コミといったところも、まだまだ伸び代があるのではないかなと考えております。
 それから17ページ以降は、まずアカデミアの人たちの雇用状況を見ております。アカデミアに進路をとった場合は、6割が任期制ということになります。テニュアトラックを含めてテニュアは4割ですが、1年半後に4割という数字は、それほど低くないのではないかと思うかもしれませんが、これをもう少し細かく見ていくと、いろいろ特徴が出てまいります。
 その前に、17ページの右側の図で、これは任期制の任期の期間になります。多いのは3年ですけれども、純粋な任期制の場合には1年、2年という方が約4割いらっしゃいます。非常に短いので、研究に集中することはなかなか困難かなと思います。それに比べてテニュアトラック制の場合には、5年以上が非常に多いということになります。
 18ページですけれども、まず分野別に任期制かどうかを見た場合に、理学で非常に任期制の比率が高くなります。それから、大学のグループ別に見た場合、第1グループ、研究力が高い部分で非常に任期制が高くなります。これは外部研究資金を取っているので、そこでポスドク等が雇用されるといったところですけれども、これを更にクロスをとりまして、理学の第1分野というふうに見ますと、右下になりますけれども、84%が任期制になります。実は理学の中も7種類、7つの分野がありまして、そこまで行ってしまうと、かなり統計的な精度が怪しくなりますけれども、生物で非常に任期制の割合が高い、9割を超えるという現状でございます。
 それから、今度は民間に行った方の場合、19ページになります。民間に行った方の場合には、1,000人以上の大企業に勤めているという方が半数近くになります。そして、約9割が正社員として雇用されているということになります。
 さらに、所得について見ますと、20ページになります。一番左がアカデミア以外ですので、民間がほとんどですけれども、真ん中がアカデミアのテニュアの方、右側がアカデミアの任期制の方ということになります。見ていただくと分かるように、アカデミア以外、民間の方の方が、所得が非常に高くなります。そして、アカデミアの中でも任期制の方の場合には、退職金等の上乗せがあるとは言われていますが、全体として見たときには給与水準が低くなっております。
 それから21ページ、所得につきまして、別の視点で見ております。外国人の方の場合には、日本円に換算した報告をしていただいていますけれども、金額が低いという状況になります。社会人の方は、先ほども出ていますけれども、医療保健分野の方が多いので、所得水準というのは非常に高くなります。分野で見ましても、保健の部分が非常に高く、そして著しく低いなと言えるのが人文の部分になります。100万未満という方が2割くらいということになります。
 それから、22ページです。これは、教育の水準別に所得が違うのかという問いがあるわけですけれども、これは賃金プロファイルということで長く見ていかないと実際は分からないですが、この時点で言えることとしまして、公的な統計の中に就業構造基本調査というのがございます。そちらで一番左の棒グラフが、大卒者の25歳から29歳の所得の状況を見ています。それから、真ん中が大学院卒ですので、修士・博士を含みます。一番右が今回の追跡調査で、博士のみということになります。
 そうすると、大卒よりも大学院卒の方が、給与水準が高いですが、大学院卒全体と博士を比べた場合、どうかというところを見ていただきたいのですが、高い500万以上、800万以上というところも多い一方、100万未満というところも多いです。100万から300万というところも多めに出ております。このように、博士課程に進むと所得は非常にばらつきが多いということが言えるかなと思います。高い人と低い人が分かれてしまうといったところです。
 それから23ページです。これは、現在の仕事の満足度に関して、仕事の内容について、それから処遇について、別々に聞いています。内容についての満足度は80%、まあ満足・満足ということで、非常に高いです。それに比べて、処遇に対する満足度というのが2割程度と低い状況になります。
 24ページで、先ほどのアカデミアか、非アカデミアかで、満足度を見たグラフになります。まず仕事満足度を見ますと、内容の満足度を見ますと、アカデミアの方が、満足度が高くなります。ところが処遇満足度を見ると、非アカデミアの方が、満足度が高いということになります。ですから、仕事の満足度をとるのか、処遇の満足度をとるのかといった結果が非常にクリアに出ているかなと思います。
 そういった満足度というのは、大学のグループとか分野で余り差がないのですね。何によって違いが出るかというのを見ますと、現在の仕事と博士課程の研究が関連しているかという、そことの相関を見ています。そうすると、強く関連している場合に満足度が著しく高く出てまいります。ですから、キャリアパスの多様化といったときにも、これまでの研究が全くキャンセルされてしまうという状況だと、博士の方は満足できない。それが何らかの形で生きてきて初めて、キャリアパスの転換がうまくいくのかなと考えております。
 ほかにもいろいろな変数がありまして、分析を進めているところでございます。9月の末頃には一旦報告書を出したいと思っております。
 今後の課題としましては、諸外国と同様に学士、修士、博士という比較ができない。今、博士を単純に追い掛けているだけですね。そこを何とかしたいと思っております。ちなみに、今第1コホートがスタートしましたけれども、第2コホートとしては3年後の2015年卒、今まさに博士課程の3年目ぐらいにいる方たちを、第2コホートとして追い掛ける予定にしております。
 長くなりましたが、以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございました。まず、資料の御説明、最初に資料の2で、人材の多様化、特に博士人材の活躍の場というのを3つのカテゴリーに分けてお話を頂きました。また、ただいま科学技術・学術政策研究所から、博士人材の具体的に人材側からの非常に貴重なデータを御紹介いただきまして、非常に具体的な議論がしやすくなってきたかと思っております。
 それでは、自由討論ということでお時間を頂いております。まず、どちらの話題からでも結構ですけれども、かなり関連しておりますので、博士人材をどのように生かしていくか、現状を踏まえて方向性につきまして、特に流動性ですとか、あるいは新しい博士人材の活用方法・方策などを踏まえまして、意見交換ということでお願いしたいと思います。いかがでしょう。
【隅田委員】  それでは、資料について少しお尋ねしたいところがございます。第8期人材委員会における検討の方向性の資料の18ページのイギリスのデータで、これを見ると、8割ぐらいがCareers outside scienceになっているのですが、これはどういう仕事が含まれるのでしょうか。
【近藤人材政策課長補佐】  このデータは、いろいろな統計データを組み合わせて作成しています。最初の53%が出ていっているところは、非アカデミアで、博士卒のときのデータでとったものです。その後のところは、イギリスのHEFCEからお金をもらっている研究者であるかどうかというのを、その先で見ていて、それに含まれていない人が26.5%ということで、今現在で研究者になっていない人というのを除いている割合ということで御覧いただければと思います。
【隅田委員】  先ほどのデータからいくと、博士号の研究分野に近いところで就職した方が、本当は満足度が高いということだったのですが、これからいくと、8割ぐらいが途中から外れていることなので、比較とすると、非常にモデルが違って面白いなと思い、もう少し詳しく分かればいいなと思って質問しました。
 あとはもう一つ質問で、今度は日本の博士人材追跡調査のことで、これだけでも十分データがあったので、掲載できなかったのだとは思うのですけれども、単純に男女差ですよね。その前の中間報告がかなり女性のことがあったので、男女差で何か分かる範囲で、速報的に言える何か違いがあれば、教えていただきたいということです。
【小林上席研究官】  今、ちょうど男女差を見ておりまして、実は余り男女差はないのではないかという手応えを得ております。ただ、男性で未婚の方、男性で有配偶の方、男性で子供がいる方、同じような3パターンを女性でとった場合に、子供がいる方が一番、学位の取得率が高い。それからテニュア率が高い。これは男女とも同じ結果になっております。ですから、家族形成等をしていて研究業績が遅れるという流れではなく、むしろ雇用が安定して初めて家族形成に移ると、これは一般の社会全体でもそうですけれども、そういった傾向の方が強いのではないかということが出ております。
【隅田委員】  ありがとうございます。
 あともう一点、追跡調査で、先をどんどん見ていく調査ですが、逆に学習歴を聞くような項目というのはあるのですかね。大学院時代のことは聞かれているのですが、例えば中高生のときに何かしらの科学コンテストで受賞経験があるとか、そういう学習歴のような項目があれば教えていただきたいです。
【小林上席研究官】  実は今回、1年半後の調査でしたので、大学院のときの経験と就業経験、両方を聞かなければいけなかったのですね。それで50問程度の質問になったので、非常にボリュームが大きかった。これを、博士課程修了時に1回調査をするというふうにすると、もう少し詳しい教育歴がとれるということになります。その中で、例えばスーパーサイエンスハイスクールの出身者であるとか、そういったところもとれてくるかなと思います。そこは次のコホートの課題になります。
【隅田委員】  ありがとうございます。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 そのほか、御質問も、資料に対するものを含めても結構でございますので、いかがでしょう。
 川端先生。
【川端委員】  ありがとうございます。この意識調査というのは、これだけの比率でとれたというのはすごいなと思っていて、我々もやっても、全然回答がなくて、よくまとめていただいて、どうもありがとうございます。
 その上で、これは結局、卒業されて何年目の方になるのですかね。
【小林上席研究官】  1年半です。
【川端委員】  ですよね。だから、先ほどちょっと言われた収入に関して言えば、アカデミアに関してはまだPDになっている方と、就職した人間と、2つが重なっている。だから多分、これは5年後ぐらいたつとPDがいなくなるから、みんな完全にパーマネント側のところに入っていくので、多分そこに二山は出てこなくなる世界かなというように思われます。
 もう一点が、データでお聞きしたいのは、さっき言われた任期雇用というキーワードになったときに、ここでもいろいろ議論になっているのは、要するに任期雇用というものが、意味が全然違っていて、理学もそうですけれども、理系の場合に、助教の場合は全員任期付きという話になっていて、それが最低3年であったり、部局によっては5年で、掛ける2なのですよね。ということは、場合によっては任期5年で採用されて、評価されて、もう一回、5年任期で雇用されますよと。そうしたら、ベースで言えば10年になっていて、ということは、実質的には十分、研究が1つまとめられて、次のポストにアプライできます
 一、二年の任期という場合に2つあって、1つが、財源的に一、二年しかないから任期もあわせている場合、もう一個が、セーフティーネットで雇用している場合です。要するに、就職を探す期間だけ、うちの方で雇用しておきましょう、研究しなくていいから、ともかく就職先を探してという、そういう人間がいるはずです。それは非常に賃金が安いはずです。だから、その3つが並んでいるのだと思います。
 セーフティーネットに関しては、どのステージでも起こる話で、任期5年で雇用されていた人が、プロジェクトが終わって次のポストを探すのに、1年分ぐらいは面倒見ましょうよという話にしたときの任期を付して雇用するという話があるのですが、それの実態はよく分からないのですよ。もしデータをお持ちでしたら、例えば3年以下、一、二年の任期というのが、どこで一番雇用されているのか、更に小さくすれば、1年未満というのはどこで雇用されているのかというデータが出てくると、実は、ここでは話された卓越研究員の話にしても、最も問題なのは、そこをどう解決するかという話なので、そういうデータが出てくると非常に有り難いという気がしております。

【小林上席研究官】  ありがとうございます。報告書の中に、是非盛り込みたいと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。任期付きといっても、かなり質的に異なるものが入っているので、そこを是非議論に入れていきたいということでございます。
【林委員】  資料2と資料3で、かなりマクロな話からミクロな教育の質を含めて様々なデータを頂いて、かなり理解が我々も深まっているところだと思うのですけれども、資料2の1枚目を見て、基本的な方向性ということで、第8期でどう議論していこうかということを考えたときに、正直、第7期と問題認識がそんなに変わっていないと思います。要は、我々は解決できてこなかったのだということだと思っています。
 今この第8期の1枚目を見ても、この期で、あるいは数年間で解決するという意気込みが見えません。意気込みが見えないというのはどういうことかというと、例えば、計画経済ではないけれども、一体何万人をポスドクとして作り、そのうちの何人を大学教員として入れ、どのくらいを企業に入れていくのか、そういう大きなイメージがないと、結局どういう施策を打って、それが機能しているかって、全く議論できないのですね。
 いろいろな施策は打ってきたのですけれども、これまでもずっと議論していますが、モデルケースにお金を出すようなモデル開発の金で、先ほどのスーパーサイエンスハイスクールもそうですけれども、本当に一握りの対象にしか届かないものですよね。それをやっていても、結局解決してこなかったという話なので、もうちょっと我々が目標とする状況を、例えば数字でどのくらいの人が、どういう大学院を出たら、何万人がポスドクになっていて、先ほどの資料2では9ページの図ですよね。9ページの図を、もう少ししっかりさせていかなければいけないのだと思います。
 大学院は7.4万人で、ポスドクは1.6万人で、ただ、先ほどのNISTEPさんのデータと合わせると、半分くらいがアカデミアに行くと言っているので、その裏の特任教員とか合わせると、そこで3.何万人とかになっているのだと思いますが、最終的にテニュア教員というのが、一体我々は7万人出たうちの何人をテニュア教員にするという国を作り上げていこうと思っているのでしょうか。それはすなわち、大学教員を今後どういう形で継続的に維持させようとしているのでしょう。それが日本の研究力を維持するために必要十分な人数であるのか、そこまで議論しないと、全く結論、解決が出ないのではないかと思っています。
 そのときに、例えば先ほどのNISTEPさんの議論で見ても、例えば給与の話を見ても、民間企業よりアカデミアの人は安いわけですよね。そうすると、普通に考えれば、そんな安い給料だったらアカデミアに行くわけがないじゃないかと思うのですが、では給料を増そうとすれば、雇用できる人数が減っていきます。そういう様々な問題で具体的なデータを見ると、相反することが見えてくるので、そうすると、本当に個別の問題を場当たり的に解消していてもしようがないので、もうちょっと大きな像が見えないかなというふうに、今日多くデータを頂いたので、改めてそういうふうに思いました。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。具体的な解決に直接つながる議論をしていきたいという貴重な御意見でございます。
【西澤委員】  すいません、今のところでいいですか。
【宮浦主査】  はい。
【西澤委員】  私も林さんの意見に全く同感で聞いていたのですが、この間シンガポールに行って、シンガポールというのは、そういう意味では施策としても物すごく大きな施策を、国を懸けて打って、科学技術をどう振興させるかというのはもう何十年も打ってきて、実際現場に行ってみると、多分この中でもバイオパークに行かれた方がいらっしゃると思うのですけれども、物すごく活気があって、企業があそこにみんな集まって、それで近くには小さな子たちが、最初からサイエンススクール、それも幼稚園の子から行っており、土日でもみんな来ているのです。物すごく英才教育をやっているわけですよ。
 物すごく層の厚い科学政策を、シンガポールは恐らく数十年前に打っていると思います。例えば女性であれば、高学歴の女性が産んだ子供が優先的に幼稚園に入れるとか、あるいは、少し極端ですけれども、国を懸けた科学技術政策をシンガポールは打って、その結果、あの国は物すごく今、GDPも物すごく高いですし、そういうところの施策と、じゃあ日本はそれを見たときに、どこが違うのでしょうか。
 もちろん日本は大きいですし、そこまでまねできるところはないかもしれないのですけれども、そことの施策とどう違って、どうしたらこう開きが出てしまったのかというところについて、私は個人的にシンガポールに行って、すごく興味がありまして、今の林さんのことも全くそうで、施策の部分でビジョンが私も見えないというか、だから多分、幾つかを打っても、何となくしっくりこないというのがあったので、もし可能であれば、例えば1つの国、アメリカでもいいですけれども、例えばシンガポールみたいに伸びた国は、一体何をやってきたのか、キャッチアップするために知る必要性があるのではないでしょうか。大学院はどういうふうにやっているのかとか、私は、それは非常に興味があるなと思いました。
【宮浦主査】  施策の具体的な、目に見えるところにつながるところを急ぎたいという御意見です。
 宮田先生。
【宮田主査代理】  それは、是非ケーススタディーとしてやっていただきたいですけれども、シンガポールのバイオパークに行ってすぐ分かるのは、バイオパークの隣に文科省があるということです。要するに、国の考え方が全然違うという感じだと思います。ここは間接統治をやろうと思っているのだけれども、彼らは主役として、サイエンスの振興の中で、自分たちが働きをしようとしています。
 私が是非聞きたいのは、今、特定研究大学というのが多分、省内で議論されていると思うのですけれども、要するに大学が今後どういうふうに機能分化していくかというイメージを、ここで是非共有させていただかないと、それに必要な高度人材がどの程度要るかとか、そういったことが、ここでの議論がミスマッチになっちゃうだろうと思っていますので、多分そこは非常に大きな変革になるだろうと思います。
 将来を見据えていくと、大学の数そのものが多分減っていく状況にあります。最終的に、さっきおっしゃったけれども、どれぐらいのアカデミックの人材が今の日本の大学システムを維持するために必要だと想定しているのか、あるいは我々が想定すべきなのかという議論を、1つしなければいけないと思います。
 そのときに、今までみたいにアカデミックの人は、アカデミックだけで訓練すればいいかというと、私は決してそうじゃなくて、もっと大きな博士人材のプールは企業にいるので、それとどういうふうに連関を持ちながら、今のアカデミックというものを維持し発展させていくかという構想まで議論しないといけないだろうと思っています。
 このままいくと、すごく議論が発散してしまいますので、あるいは文科省がある程度想定している近未来の大学の姿というのを、皆さんと共有した上で議論したいなと思います。
【宮浦主査】  その共有につながる、共有案が出てくるのを待つのではなく、共有案を自らこの委員会で作成するぐらいの意気込みでやりたいというのが、委員の皆様のお考えではないかと思うのですが、国際比較の問題は常に出てくるところでございまして、渡辺委員、何か国際比較で御意見ございますか。
【渡辺委員】  国際比較ではなくてもいいですか。
【宮浦主査】  はい。
【渡辺委員】  今のこの博士課程の話も、次世代人材育成も、全部つながっていると思います。このつながりが、ここの議論で見えません。博士課程を通し、研究者がどのように成長し、そのために若い人にはどういうことが必要だというような考えが必要と思います。まさにシンガポールの例もありました。アメリカもK-12といって、研究者が幼稚園から高校を卒業するまでのことを一生懸命考えるということが、今非常に盛んになっていると聞きますので、そのように戦略的にやっていくことを、是非ここからなら提案できるのではないかなと思います。
 議論が発散してしまうなというのは、皆さん共通に心配されています。何らかの仮説を立ててみて、それをデータで検証し、それをどういうふうにしたらいいかという議論を、毎回テーマを決めて実施するのがよいのではないでしょうか。こんなに豊富なデータがあるので、これもクロス集計し、いろいろな仮説の検証ができていくと思います。本当にここでなければできないとも思いますので、是非そうしていただきたいと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。今話題になりましたのが、研究者自ら育てているという御意見でした。研究者、博士人材の多様な活躍の場というところにもつながってくる話ではないかと思います。最初の資料で御説明いただいた中、先ほどお話がちょっと出ましたのが9ページですね。様々な分野で博士人材が活躍するにはどうしたらいいか。また、先ほど林委員からお話ありましたように、実際に何人のアカデミアを作って、何人をどうしたいのかというビジョンという部分も、具体的な人数のシミュレーションをするぐらいでもいいのではないかという御意見があったと思います。
 そのためには、1つの例として、その他の新しい職種というのが黄色に網掛けになっておりますけれども、欧米に比べて日本では研究者1人当たりの、いわゆる支援人材が極めて少ないというのが最後のページの資料2にございましたので、そのあたりが日本の後れているといいますか、非常に研究者の割合に比べ、URA方が付けられていないという現状は、改善すべき1つの要素ではないかと、数字として明らかに出てきておりますので、多様な博士人材の活用というところにもつながってくるのではないかと思います。
 そのあたりも施策の1つの方向性ではないかと思っておりますけれども、いかがでしょう。
【川端委員】  先ほど少し言われた特定研究大学であるとか、要するに今、大学が置かれている状況がどんどん変わってきて、競争的資金だとか、運営費交付金の改革だとか、いろいろなことを機能強化でやっていて、すなわち、これは共通のどうのではなくて個人的な意見ですけれども、要するに大学が国立大学法人として動き出すということは、各大学側が、それぞれどの方向に向かって動くかを、自分たちで決めて動くということになります。こういう話になればなるほど、今までと違って、教員と事務職員だけでなくて、そこにマネジメントの人が必要となり、この規模が一体何人なのか、この規模が10人の話をしていたらどうでもいいのですけれども、これが100ですよという話になった段階で、事務改革の話に確実になります。
 もう少し言うと、大学自体が企業と同じように総合職で入って、その中で研究型の人間とマネジメント型の人間に分かれていくだとか、いろいろな形がこれから動いていくという、こういうラインの中にあります。その上で、大学のあるべき姿は一体何ですかというのを、今みんなが悩んでいます。悩みながら、大学ごとにどんな割合でやるべきかというのが、多分その話に関係しているのだと思います。
 ただ、特定研究大学は、それを更に進めるためにどうのこうのと言っています。でも、向かっている大学の姿自体は、そういう方向に向かっているというのは確かです。このような話をすればするほど、アメリカの大学とか、さっきのシンガポールの話にしても、結局、シンガポールは別ですけれども、アメリカの場合だったら、自分たちで基金を持っているのですね。例えばハーバードだったら何兆円という基金を持っています。うちの大学だったら、それは20億円しかないのですよ。これと戦えと言っている。
 シンガポールの場合だったら、その大学自体は国の政策として動いているから、国家予算をがんがん突っ込んでおり、ということは、キャッシュフローとかバランスシート上には見えない話がばんばん動いています。そうすると、財源は何で戦えるのかという話になっていって、日本の大学のある形は、いわば文科省が持っているお金であったり、学生支援機構が持っているお金であったり、JSPSが持っているお金であったり、そんなものとうまく連動しながら、国立大学は動いていくしかないでしょう。ただそのときに、自立の動き方というのがきっとあって、それがゴールの姿になっていく、これが1つ、大学の形でしょう。
 もう一個が、ドクターコースが一体何人いるべきかという議論だと思います。その数が足りないだろうと言う人たちが多くいます。一方使い物にならないと言う人も多くいます。でも、今、目の前に1万6,000人、毎年出てくる博士人材がいます。これのどこをターゲッティングして、ここでどんな提案ができるかというのが、結局どの時点をゴールとするかという話なのだろうと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。ただいまの意見、大学の差別化の問題にも絡んでまいりますし、第3の職種を作るとすると、財源はどうするのだということで、職員を総合職にして、その後振り分けるという御提案もありましたけれども、確かに国策としてやっている、伸びている大学のやり方、アジアのやり方、あるいは莫大な基金で動かしている欧米のやり方と違います。
 先ほども支援人材のことを申し上げましたが、研究者1人当たり、日本は0.25人ぐらいで、欧米が0.6といいますと、研究者に近い人数が、そういう人数が要るということになりますので、新たな財源は非常に難しいという部分と、博士人材を多様に活用するというところにも共通してきますし、人数ですと1万6,000人で、大学の教員の籍の数を引くと、8割ぐらいはほかに行くというのが大前提で育成していると思いますので、それもいつもその話題になるのですが、産業界でいかに博士が活躍していただけるかということのシステム作りが、うまくまだ動いていません。
 あるいは、そのあたり、宮田さん、いかがでしょう。
【宮田主査代理】  それは先ほど林さんもおっしゃったけれども、いろいろな施策を打ったのですが、ほとんど流動性が増していない、むしろ悪化しているというところが、この数字、資料2の16ページですか、17ページの上の方の「セクター間の研究者の異動状況」というのを見て、ちょっと途方に暮れた状況ですね。お互いに譲り合っている感じがあって、結局ポスドク1万人計画をやって、そのポスドクの就職先が8割企業と想定していたならば、それは非常に大きな誤りであったということです。
 これから行動、さっきの卓越研究員みたいなものが一部できるでしょうけれども、それでは、アカデミアの方も縮小していったときに、大学院の教育を、これから人数を増やすみたいなことが本当にできるのでしょうか。全くターニングポイントに来ていると僕は思いますよ。この間、委員会で五神先生が、たしか東大の理学部の修士課程の定員を削減していましたよね。
 だから、そういう意味で私たちはこれから、今までの膨張モデルでソフトランディングを考えるのか、あるいは縮小しつつ、私たちはどういうふうに質を高めていくという議論をするのかという、大きな方向性をまず定めてからやるべきだと思います。先ほど少し申し上げましたけれども、機械で、あるいはロボットで、職業がどんどん置き換えられるところが本当に来ているのですよ。データベースみたいなものがどんどん出てくると、いわゆる知識だけを教えているような大学の教員なんて、ほとんど要らなくなってしまうので、そういった変化を見据えた10年先の話と、今いる1万6,000人のポテンシャルな失業者をどうするかという話を分けて議論した方がいい、両方議論すべきだと私は思いますけどね。
【勝委員】  ちょっとよろしいですか。
【宮浦主査】  はい。
【勝委員】  この議論をするに当たって、今おっしゃられた17ページの異動状況の表ですけれども、これを見ると、日本では非常に産官学の流動性が少ないということが分かりますが、ただ実際問題として、例えば先ほど質問があった18ページのイギリスのロイヤル・ソサエティーのデータですと、博士を取って大学でポジションを得る、プロフェッサーになるのは0.45%であり、それ以外はかなりダイナミックに、外の部分に出ていっています。そういった流れができれば、それはそれで非常にいいのかなと思います。つまり、大学から企業に転籍するというのは、例えば社会保障であるとか、いろいろなほかの要因もあって、日本ではなかなか難しいということがあるかと思いますので。
 あと1点だけ言わせていただくと、8月の初め、ロンドンに行きまして、向こうでいろいろリサーチ、それからプレゼンテーションをしたのですが、今、テックシティーということで、先ほどアントレプレナーの話がありましたけれども、まさにそれを国策として行っています。そういったイノベーション人材の育成というのがむしろ今、日本では非常に重要になっているのであって、もちろん異動というものも、その中には含まれてくるわけですけれども、その部分で考えると、日本の制度を前提にして考えると、実は部署間の異動、特に大学から企業への異動、あるいは転籍ということになります。企業から大学というのはかなりあると思うのですけれども、ただ実際には既に両者で、大学発のベンチャーであったりとか、あるいは大学と企業との産学連携というのもかなり増えているので、むしろそういったものを増やしていくということで、人材を更に活用していくことを考えていくというのは必要なのかなと思いましたので、一言だけ申し上げました。
【宮田主査代理】  御指摘、そのとおりだと思いますけれども、ただ、日本の大学は硬直していますよ。日本の企業の方が、もう終身雇用制度が相当壊れてきていて、我々のジェネレーションはまだ1社で勤めるというタイプですけれども、30代、20代の人たちは何社かで勤めます。やっと流動性の受皿というのが会社の方ででき始めたのです。でも、大学はかたくなに、お給料が少ないから無理でしょうという話で、そういう社会の変化に対応しないでいいのかというのが、まず1つあります。
 先ほど勝先生がおっしゃっていた、ここの高度人材の供給先は、8割ぐらいは社会であるという認識で、そっちの議論をすべきだということに関しては大賛成ですけれども、大学も今のままでいいという前提は、僕は絶対おかしいと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。いろいろ雇用の問題もありますし、転職という形を伴うということから、退職・転職という形で研究者が異動しない限り、なかなか動けない、そういう制度自体をクロスアポイントメント制度などによって、もう少し流動的にして、半々で民間半分、大学半分で仕事ができるような制度を整えるとか、そういうのは必須ではないかと思います。それをなかなかやらないと、退職して動くという大前提ですと、動きにくいということが発生してくるように思います。
【川端委員】  今のセクター間の異動の話で、大学と民間の異動に関して、1つの敷居というのが年俸制の話だと思います。まず年俸制という形まで持ち込めば、多分、異動するときに退職金などの議論はなくなるので、少々何かあってもどうにかなります。大学の中においては、年俸制に関しては結構敷居が低いのですよ。
 例えばうちの大学では、今は国の施策もあって、退職金部分を年俸制に切り替えたら、退職金部分を先に積まなきゃならないから、そのお金に関して、もう今、退職金の部分は国側にお金を置いて、こちらはこちらで法人は運営費交付金があって、その施策でやりましょうという話がありました。で、うちの場合を例えば言ったら、若手で入った人は全員、年俸制にしています。それから、シニアの人たちでも、どうぞ手を挙げてください、皆さん年俸制にしますからと言ったら、みんな手を挙げました。 だから、それほどわだかまりないのですよ、大学の人間側から言いますと。ただし、年俸制になったからといって、じゃあ企業に異動しますかという話になると、今度は企業側が年俸制になっていなかったり、それが障害ではないという話になっていたりします。今度はクロスアポイントメントの話になってくると、これはいろいろなところで議論はされるのだけれども、本当にクロスアポイントメントにして大丈夫かどうかというところがあります。
 1つは保険や年金もあるのでしょうけれども、年俸制にしたらそこら辺、ある程度行ったとしても、コンプライアンスの問題だとか、そんな話までいろいろなところで投げ掛けられていて、もうちょっと詰めないと、そこはなかなかしんどいねという話が今動いているという、そんな状況です。
【宮浦主査】  大学は年俸制にどんどん移行していて、準備はできているという御意見です。
【川端委員】  そういった大学もあるというお話です。
【宮浦主査】  民間の委員から御意見ございますでしょうか。
【長瀬委員】  恐らく、給与の問題は、それほど問題にはならなくて、民間も別に年俸制でいいという方でしたら年俸制で雇うと思います。
 企業から大学に行くというのは、企業の研究者にはうれしいと思いますが、大学の研究者、特に教授クラスの方にとっては、大学から企業に行くのは嫌だと思います。今まで自分がトップで進めていたことが、いつまでにこれをやれとか、なぜこれができていないとか文句を言うような上司が何人もできるわけですから。実際に大学から企業に来られる方は、非常に偉い方で、名誉職的に企業に来ている先生が多いのが実態と思います。
 ですから、本当にこの異動ができるのかどうかというのを、もう少し考えてみないといけないと思います。現実的にはかなり難しい問題だと私は思っています。
【川端委員】  これを動かそうとする場合は両側の問題だと思います。
【渡辺委員】  例えばアメリカの一部の大学などではドクターの学生も、必ず企業を1年間体験させるということを行っています。長期的に考えると、企業を全く知らない人が、立派な教授になってから初めて行くというのは、ものすごく抵抗があると思うのですが、一度体験しているだけで随分違いますので、教育システムのところから入りやすいようにすることや、お互いに理解できる人材を育てていくことなど、時間がかかりますが、同時にやっていかないと社会は進まないような気がします。
【宮浦主査】  いきなり動くというよりも、いろいろ体験するところから、若手人材のところから考えていくべきだという御意見でございます。
 本日は時間が限られておりまして、具体的なビジョンをというお話から中長期計画まで、多様な御意見を頂いたところでございますけれども、議論は尽きませんが、本日の意見交換は以上とさせていただきます。今後御意見を反映させていただくということで、今後のスケジュールにつきましては資料2に従って進めさせていただきます。
 事務局から御連絡がありましたら、よろしくお願いいたします。
【柿田人材政策課長】  人材政策課長の柿田でございます。本日別件がございまして、遅参いたしました。
 きょうは多様な意見を頂きまして、大変ありがとうございます。最後の部分の御議論を伺っておりまして、ちょうど我々もいろいろ概算要求とか、新しい施策を打たなきゃいけない、財政当局にも説明をしていかなきゃいけないのですけれども、先ほど例えば林委員がおっしゃったような、全体のグランドデザインをどう描くのかという話とか、まさにそういうことが本当に今まではなくて、そういう議論もちゃんとやっていかなきゃいけないなと思いました。
 それから、特定研究大学や、大学改革の動きにつきましても、もちろん高等教育局サイドで議論がされていることではありますが、タイムリーにこの場で情報も提供させていただきながら、実のある議論ができるようにさせていただきたいと思いますので、今後どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局より次回の日程について説明。
【宮浦主査】  それでは、活発な御議論をありがとうございました。閉会させていただきます。

── 了 ──

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-- 登録:平成27年11月 --