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人材委員会(第68回) 議事録

1.日時

平成26年7月16日(水曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 東館15階 15F特別会議室

3.議題

  1. 第7期人材委員会提言(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

濱口主査、宮田主査代理、大島委員、北原委員、鷲見委員、高橋委員、谷川委員、塚本委員、豊田委員、長瀬委員、西澤委員、林委員、堀井委員、山口委員、渡辺委員

文部科学省

德久総括審議官、川上科学技術・学術政策局長、伊藤科学技術・学術政策局次長、村田科学技術・学術総括官、松尾人材政策課長、和田人材政策推進室長他

5.議事録

【濵口主査】  ただいまから科学技術・学術審議会人材委員会を開始いたします。本日の会議は冒頭より公開となっておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日は16名の委員が御出席されており、科学技術・学術審議会令第8条第1項に規定されている定足数を満たしております。
 まず、事務局に異動がありましたので、紹介をお願いいたします。
【近藤補佐】  7月7日付で人材政策課に参りました近藤と申します。以後どうぞよろしくお願いいたします。
【濵口主査】  よろしくお願いします。
 次に、事務局より配付資料の確認をお願いします。
○事務局より、配付資料について、議事次第どおり配布されている旨説明。また、別途机上資料として参考データなどをファイルにとじたものを配付している旨説明。
【濵口主査】  ありがとうございます。
 それでは、本日の議題の流れについて簡単にまず説明いたします。本日は、議題1、第7期人材委員会提言(案)について、提言(案)に関する議論を行いたいと思います。また議題2、その他として、研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(案)について御報告いただきます。
 それでは、議事に入ります。議題1、第7期人材委員会提言(案)についてです。初めに提言の素案について事務局から説明していただきます。
○事務局より資料1について説明。
【濵口主査】  ありがとうございます。
 それでは、自由討議に移りたいと思います。御自由に御発言いただければと思います。資料1の、まず若手研究者のところを中心にお話を頂きたいと思います。個別課題の内容と方向性、ア、若手研究者の活躍支援と流動性の高い人材システムの構築ですね。まず、このアの部分の前段のあたりはいかがでしょうか。総論的なことですが、御自由に発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。
【渡辺委員】  全体の構成がとてもよくできていると思います。今まで議論してきた課題がきちんと書かれていますし、若手を最初に持ってくるというのもこれまでの議論と整合しています。
 若手の総論のところで一つ御提案したいことがございます。人材育成と研究推進は一体となって進めないといけないということです。人材育成は大事ですといっても、研究は研究で違う論理で進んでしまうと結局はうまくいかないということが過去の例からも学べますし、今後もそれが一体となって進むことで初めて成功すると思います。研究も推進でき、人材も育成できるというものでないと意味がない、人材育成に力を入れたら研究が進まなくなってしまうということがあってはならないので、ここを一体的にどう進めるかという点がとても重要であるということを、少し若手の総論のところに入れていただくことがいいのではないかと思います。
【濵口主査】  よろしいでしょうか。
【松尾人材政策課長】  文言を考えたいと思います。
【濵口主査】  ほか、いかがでしょうか。
【宮田主査代理】  今の意見に対する意見です。それは当然なのですけれども、今までどおりでよいのだという誤解を与えないでいただきたいと思います。つまり、研究に対して先生方のある種の奴隷としての人材を養成しているつもりだというのは誤解であるということを書かないといけません。そういう意味では、研究をしつつ主体的に次の課題を発見して、きちんと研究プログラムをマネジメントできる人材を育てるのが、求められる人材教育であるという表現をどこかで盛り込んでいただきたいと思います。
 渡辺先生がおっしゃることはそのとおりなのですけれども、受け取りようによっては、日本の大学の半分ぐらいの先生が今まででよいのではないかと誤解をすることを私は恐れます。
【渡辺委員】  逆の言い方をすると、今までも人材育成のプログラムをたくさん作ってきました、やってきましたという言い訳をしないでほしいという意味なのです。プログラムを作ればよいというものではありません。今おっしゃった、研究する中で主体的に若手が育つというのはまさにそのとおりなのですが、若手の主体性、あるいはリーダーシップをきちんと育てていく必要があるということを是非書いてほしいと思います。
【宮田主査代理】  全く同じですけれども、もうちょっと過激な表現をすると、大学が人材及び研究、それを通じて社会へ貢献するということが2006年に定められた教育基本法にありますけれども、それでは今まで社会への貢献の面で人材を供給してきたのでしょうか?アカデミアの自己再生のためには供給してきたと思うのですけれども、社会への貢献に関して、人材面で果たして我々が期待していたような成果を上げてきたのでしょうか?これはそもそもの私の出発点なので、もしどこかで盛り込めればよいと思います。大学で人材を教育し、育成して世に出すということの意味です。ただ卒業させればよいのではなく、本当に社会に貢献して、我々の幸福を増大するようなことを実現する人材をどう育てるべきなのかというのを一つの目標として明示すべきではないかなと思います。そうでないと、今まで我々もただ人材を教育してきましたという言い訳が確かに成り立ちます。その人材というのは、同じ単語でも中身が違うのだということをもう少し丁寧に解説なさった方がよいのではないかと思います。
【濵口主査】  ここの個別課題の内容と方向性のところで、アの部分は若手研究者に絞って書いてありますね。宮田さんの御意見を聞いていると、人材を育成して社会へ出すに当たって、その社会のリーダーとなるような人材をどう育成するかというところが必要になりますね。方向性は少し違うのですけれども、今、例えばリーディング大学院ではどちらかというと、研究者養成というよりは社会のリーダーを育成するという方向で、専門性が高くて、しかも俯瞰(ふかん)的な知識を持っていて、コミュニケーション能力も高く、マネジメント能力も高い人材を育成しています。そういう項目は少しあった方がよいかと思うのですが、いかがですか。
【松尾人材政策課長】  ア、イ、ウと別にやるか、この中に入れ込むか、あるいは後段の方、例えばオの各教育段階における体系的、戦略的人材育成の中、研究者以外のところにもう少し入れ込むか、少し工夫をしたいと思います。この人材委員会では研究者を中心に議論していたもので、位置付け的にどういうレベルで書くかという入れ方は少し工夫したいと思いますけれども、そういうイノベーティブな人材、社会に貢献する人材の育成は切り口として入れさせていただきます。
【濵口主査】  今まで博士課程の議論は、どうしてもキャリアパスが不十分だとか、就職が悪いとか、ネガティブなことばかりやっていたような気がして今少し反省しているのですけれども、ポジティブにどういう人材を育成するのかという議論ももう少し入れた方がよいかなと思いました。それが使える時代になってきているのではないかと思います。
 何か御意見ありますか、どうぞ。
【堀井委員】  今の御意見はもっともで、そういう項目をうまく立てることは重要だと思います。ただ、現状でも、7ページの中段の幅広い視野と課題発見・解決、起業家精神の養成等の教育の実施という部分や、11ページの俯瞰(ふかん)力と独創力及び社会的視野を備え、国内外、産官学にわたり活躍できる人材の育成、専門分野の枠を超えた体系的な大学院教育など、文言としてそういう趣旨のことは結構盛り込まれているのかなとは思うのです。
 こういうことはさんざん言われ続けてきており、言い続けることはもちろん重要です。そして、こういうことに沿ってリーディング大学院等で努力されているというのはすごくよく分かります。しかし、本当に今やられていることがちゃんと実を結んでいるのか、あるいは、むしろどうやってよいのかよく分からないという暗中模索的な試行錯誤が続いている状態なのか、もう少し考えた方がよいかなと思います。私は後者の方が近いのではないかと思います。
 だから、こういうことをやれと言うだけではなくて、具体的にどうやったらよいのかということを少し提示しないと進んでいかないのではないかなと思うのです。私がやってきたi.school、イノベーション教育はどちらかというと、修士で卒業し、社会へ出て行くような人を対象に今までやってきたのですけれども、今度はドクター、あるいはポスドクを対象としたイノベーション教育をやろうと思っているのです。
 その中では、最初に文系、理系合わせて未来社会を洞察するというプロセスを踏んでもらった後、自分たちが思い描いた未来社会において、現在自分が研究している内容がどういうインパクトを生むのかということを考えるようなワークショップをやってもらおうと思っているのです。これは一つのやり方であり、これだけではなくて、ほかにもよいやり方があろうと思いますが、これまでにどんな教育プログラムが提案され、実施されていて、それが具体的にどういう教育効果を生んでいるのか、そして、そういう教育を経た学生にどういう能力が備わっているのか、そういうことをちゃんと明示できるような評価システムがなければ、産業界にも認められないでしょうし、学生もそういうことが見えてこなくてドクターへ行くことに対する不安が拭えないと思います。
 ですので、やはり具体的にそういうことをどうやるのか考え、そういう教育プログラムを学生に積極的に受講してもらえるような仕組み、制度的な仕組み、あるいは何らかの仕組みを作ることが必要になります。そういうものなしに提供しただけでは、大多数の学生は、そういうものをとらないまま今までの教育を受け続けるということになるのではないかなと思います。
【濵口主査】  ありがとうございます。重要なポイントです。どうぞ。
【北原委員】  北原です。私もそういうある種の調査研究や事例研究がものすごく必要かなと思っております。掛け声だけではなかなかうまくいきませんので、一つだけ例を申し上げます。コペンハーゲン大学というデンマークのトップの大学がありますけれども、そこではここ20年、全ての分野の博士課程の学生と全ての教員が三日間研修を受けることになっていて、大学論と学生にどう教えるかということと、研究者倫理、この三つを全員必修としています。
 そのメリットにはもちろん、エシックスについて一応のコンセンサスを共有するということもありますが、あらゆる先生たちがその三日間一緒になるので、これを20年続けていたら、分野間の壁が低くなって、いろいろな意味でのイノベーションが生まれてきたということをおっしゃっていました。海外のそういったいろいろな面白い例や、こちらでやっている例など、例示していくことが大事ではないか、もっと前向きな良い例を出していくことが大事ではないかと思います。
【濵口主査】  実例を集めるということですかね。
【松尾人材政策課長】  実例を集めるような研究というか、実例をストレージしていって外に見せていくということですね。
【林委員】  今の御議論を聞きながら、事前にお送りいただいた案を見ていて少し分からなかったことがあります。先ほど堀井先生が言われたように、ここに書かれていることとは結構前から議論されていることが改めてまとめられている感じなのです。既にモデル開発、システム改革という形でファンドが出て、女性であったり、テニュアトラックだったり、いろいろやられている中で、再度これらを挙げることの位置付けというのがなかなか見えません。
 私は、大学評価をやっているので、大学の状況を見ていますが、例えばプリンシプル・オブ・イノベーティブ・ドクトラル・スクールや、博士課程にどういうのが求められるかということをEUや、大学のコンソーシアムといったところがいろいろと文書を出しています。それには博士課程に関することもありますし研究環境に関することもあるのですけれども、書かれていることをパスしていると、ロゴを付けるなどの取組が行われています。結局大学、あるいはEU等で望まれるものを明示して、それをみながパスするというか、みなが満たすような方向に展開しています。
 この案を読んだときに、またもう一回モデル開発をするけれども、それは時限付きのお金なので、また消えてしまうという話を求めているのかという印象を受けました。施策として、もう既にモデル開発が終わったものはもっと広く展開して、どちらかというとリクワイアメントして、全体として、最低限とまではいかなくても共通的に求めるものと、更にその中で足りないものとしてもう一歩モデル開発が必要なものを、分ける形で議論いただかないと、結局大学はどこまでやるべきなのか、好きな大学だけがやればいいのかというのがなかなか見えてこないなという感じを受けています。
【松尾人材政策課長】  分かりました。そこはちょっと工夫をしたいと思います。私どもの事業でも、最後に付記しましたように、例えばポスドクのキャリア開発事業は既にもう周期を終えたものですが、例えば名大の濵口先生のところでは広く展開していただいております。テニュアトラックもある程度制度は入っているのですが、これを進化させ、普及してくことが次の課題であります。
 女性研究者研究活動支援事業につきましても、現在までに89大学に支援を行ってきましたが、今度は展開させるため、連携をしたり、コンソーシアムを作って普及させたりしていくなど、段階がありますので、そこは少し違いが分かるような形で工夫をしたいと思います。
 一方で、新しく打ち出すものもありますので、これについてはモデルなのかどうなのかということで変えるような形にしております。
【濵口主査】  どうぞ。
【谷川委員】  先ほど堀井先生がおっしゃったこととほぼ同じようなことを私も感じております。こちらに新しく書かれたこと、例えば俯瞰(ふかん)力やアントレプレナーシップなどについてはもう今まで何回もこういう形で書かれており、大学の方もこういう言葉は十分理解していると思います。では、本当にどうやればいいのかというところについてはノーアイデアということが、一番私は問題だと思うのです。
 いわゆる全人教育が必要だということで、九州大学では、特に学生中心に、学部からいろいろな新しい取組が始まっています。理系の学生に文系的な科目をとらせたり、文系の学生にも理系的な科目をとらせたりするということが始まってはいますけれども、中身を見ますと、昔の教養課程の教育に戻ったような科目が多いという状況です。例えば古文や日本歴史をやるなど、いわゆる教養科目はあっても、一般社会、現在の社会を理解するというような科目というのは基本的にないのです。
 それはどうしてかと思いましたら、カリキュラムを考える人間がずっと大学人のままだからなのです。私も含めて外部、ビジネス界から来た人間はいっぱいいますけれども、基本的にそういう人間はカリキュラム編成のところにはほとんどノータッチで、新しいカリキュラムは全て従来の大学人が決めております。その状態で、教養教育ないしは社会を知る教育というのを新しく考えるというのはなかなか難しいです。
 ですので、私はこういう提言がどこまで踏み込んでいいのかは分かりませんけれども、仮に許されるのであれば、もう少し、例えばカリキュラム編成の段階で産業界と相談すること、カリキュラム編成に当たっては大学人だけではなくて産業界の人間も入れて教育を考えることを入れていただきたいです。そこまで踏み込まないと、恐らく大学人に任せておいては、社会に出たことがない人たちが考える教育ということになり、良くないと思います。許されるかどうか分かりませんし、この提言レベルの問題かどうか分かりませんけれども、私はそういう感じを抱いております。
【濵口主査】  鷲見先生。
【鷲見委員】  今の谷川先生の御発言を受けまして、お話しします。私が北大で、過去5年間人材育成本部でキャリアパスのことをしてきた集大成として、この3月、4月にキャリアパスポートというものを学生に持たせることにしました。これはネット上でキャリアパスポートと片仮名で入れ、そのあと北大と入れて検索をしていただくと、A3の紙のプリントアウトができます。それを折り紙していただくと、小さな形のパスポート状のものが出来上がるのです。
 どなたでも、地球の裏でも、日本語が読めればできるのですが、それを学生に持たせようとします。学生です。だけれども、ここではそれが、そのもう一つ上の段階のポスドク以上、これから社会に出る人となります。何のためにパスポートを作るかというと、自己評価を大学院の間、自分でできるようにするためです。具体的には、トランスファラブル・スキルズと、テクノロジーサイエンス・スキルズのT字型人間になってくださいということを啓蒙(けいもう)するのです。今おっしゃっていた古文などの教養科目は北大の方は入っていなくて、問題発見力、解決力、マネジメントや、リーダーシップなどの授業をこれだけ受けなさいという意味を示しています。
 そういうものを各大学、あるいは教育機関がお持ちになれば、ある程度型にはめないけれども、こういう人間になってほしいということが言えるかなと思っております。まだ今のところ、ネット上には出していますが、北大で啓蒙(けいもう)するのが精いっぱいのところです。
 もう一つ、この資料1について、少し話は変わるのですが、今博士を持った人が100人いるとしたら、アカデミアに残れるのは25人から30人であり、あとの人たちはアカデミア以外のところに行く必要があります。しかし、アカデミア以外のところは、非常にウエルカムされていて活躍できるものの、なかなか行ってくれないという現状があります。そこで、提言に企業や、非アカデミアの部分がどこで出てくるだろうと思って見てみますと、3ページでやっと企業の求める分野という部分があります。
 やはり一番初めに、高度な人材はアカデミアだけでなく産業界やサービス業などでも活躍できるということを書いていただかないと、「ああ、アカデミアの人たちの話かな」、という印象を与えてしまいます。アカデミアに行くために勉強する必要があるのだと思われると、これは一番厄介なことで、ポスドクを滞留させる原因になってしまうと思います。ですので、「君たちの将来はいっぱいあるのだ。」というところから始めていただければいいなと思いました。
【濵口主査】  ほか、いかがでしょうか。堀井先生、どうぞ。
【堀井委員】  今、北大のキャリアパスポートのお話を伺って、自己評価と組み合わせて行うのは非常にすばらしいなと思いました。昨日東大でシビックエンゲージメントに関するセミナーを開催しました。シビックエンゲージメントということ自身、私はどういうことかよく分からなかったのですけれども、簡単に言うと、社会の構成員となるために必要な資質を育てるための教育ということかと思います。
 その中で、必要な要素にはどんなことがあるかというと、三つあって、一つはスキルというかナレッジです。二つ目は実践ということで、三つ目がリフレクション・アンド・アセスメントです。やはり自分で振り返り、自分で評価するということが重要だということです。30年間、アメリカではそれを普及するために活動を続けてきて、やっと多くの大学でそういうシビックエンゲージメントの教育を行うようになり、大学によっては50%の学生が参加するようなプログラムに育ってきたという話を伺いました。
 やはり先ほど私が申し上げたこととも関連しますけれども、教育効果というものをちゃんと評価することが重要です。自分が評価すること自身に教育効果がありますし、もう一つ、そういう評価結果が明示できることによって、教育を受けたことがちゃんとメリットにつながっていくと思います。そういう意味で、是非そういうキャリアパスポートのようなアイデアをもっと広めていったらよいのではないかと思いました。
【濵口主査】  ありがとうございます。どうぞ、大島先生。
【大島委員】  3点ほどコメントを申し上げたいと思います。1点目は、特に若手研究者に関してですが、提言を読みますと、国内の大学のアカデミアを想定し若手研究者を対象にした印象が非常に強いです。先ほどもコメントがありましたが、国際的に活躍できるグローバル人材というよりは、日本国内を中心にした活躍のイメージが強いと思います。4ページのアのところに、アカデミアのことしか書かれていないということと、グローバル的な視点が入っていないというのが1点目です。
 2点目は、具体的な施策の方向性として、若手研究者の研究環境整備の部分ですが、これも先ほどコメントがありました。例えばテニュアトラックを含めた様々なシステム改革のプロジェクトは既に行われていて、それらの成果をまとめて分析した上で課題が何であるかということを踏まえる必要があると思います。5ページの中盤の上から3番目のところで、例えば国はこれらの取組の支援を行うとともに、各研究機関の評価においてこのような仕組みの定着状況を確認していくことも一案であると言っていますが、今までのプロジェクトを分析した上で必要なことをまとめていただければ一番よいと思います。したがって、課題を踏まえた上で具体的にどうするかということを挙げ、それを推進していくために何が必要なのかという形で記述いただいた方がよいです。先ほどもコメントがありましたけれども、このままでは既にやっていることを再び行うのではないかという印象を少し受けました。
 最後に、3番目ですが、博士号取得者のキャリアパスとインセンティブについては今まで余り言及されておらず、今の日本の状況を考えると非常に大事だと思っております。キャリアパスの多様化のためには、ポスドク問題等も含めて今まで様々な対策が練られたと思います。それでもなかなか改善されていないということは、文科省だけではとどまらない、国のシステム的、構造的な問題なのかもしれません。その辺りを分析した上でキャリアパスの多様化を進めないと、インセンティブの付与もできないと思います。具体的に書いていただくと、説得力が出るのではないかと思いました。以上です。
【濵口主査】  ありがとうございました。大分たくさん宿題が出ておりますけれども、 よろしいでしょうか。はい、どうぞ。
【高橋委員】  今のインセンティブのところで少し気になった部分があります。博士課程に進学すること自体に対するインセンティブについて書いてあるところです。例えば東京大学に進学する学生の親の世帯年収は結構高いということもあり、博士に行くか行かないを決めるに当たって、もちろんお金の影響もあるとは思うのですけれども、それよりも、その先のキャリアがつながらない不安が大きいため、行かないということもあると思うのです。
 一方で、先ほど鷲見先生もおっしゃっていたように、2割~3割しか大学には残らず、7割ぐらいは外に出て行くという環境の中で滞留してしまっていることが問題であれば、多分ここに書き込むことは難しいとは思うのですけれども、社会、例えば産業界に出て行くためのインセンティブや、その先のキャリアが見えるようにすることも、大事ではないかと思います。ですので、この進学する部分だけの書き方だけではなくて、インセンティブには博士に行ったら授業料をあげるということだけではない部分もあるという広がりを書き加えられるといいのかと考えました。
【濵口主査】  問題は、博士号を取った人が社会に出たときにインセンティブがあるかどうかが今曖昧であるということなのです。例えばアメリカの場合はドクターを取っている人の方がバチェラーより生涯給与はずっと高いのですが、日本の場合は変わらないか、ひょっとすると低い場合があります。これはどう考えますか。
【高橋委員】  ここは完全に私の感覚なのですけれども、生涯年収が例えば1割低いというデータがあるとして、では博士に行くのをやめようと思う現実的な人というのはどのくらいいるのかは分かりません。一方で、私自身博士に進学するときすごく不安だったのは、食べていけないのではないかというレベルにあったからなのです。お金持ちにはならないけれども、ぼちぼちやっていけるかなではなくて、このまま行くと、もしかすると食べていけないのかもしれないという不安が、進学や、その先のキャリアのデシジョンを変えるので、修士で行った方が生涯年収は1,000万高い、あるいは2,000万高いというデータを見たとしても、多分それでもやっていけるなら博士に行くという感覚を持っている人間も案外多いのではないかと思います。
 そういう意味では、もちろん人それぞれだとは思うのですけれども、私の感覚としては生涯年収というものよりも、やはり博士を取ったとき、その先が1対0のように感じてしまうというリスクの部分が、一つの問題であるのではないかということを知見としては思っています。
【鷲見委員】  今の高橋先生の御発言に関してですが、実は先週、高橋先生にその今のお話を学生の授業で、90分していただいたのです。そうしたら、これまでの中で最高に長い行列が、授業終了後できました。学生は何を質問しているのかと思ったら、そこが不安だということでした。そこに高橋さんがやってきたのです。「僕もそうしたいのだけど。」という思いが、これだけマスターの1年、2年、博士にあるのかということを痛切に感じました。
【濵口主査】  どうぞ。
【西澤委員】  今のお話の中で、私はやはり海外と比較して、文化や社会構造の面で日本はキャリアパスというのがなかなか大変だと思いました。もともと長年にわたって終身雇用制をとってきた国ですから、一旦決まったキャリアパスを途中で変更することは相当難しいという状況がもともとあるので、そのように学生が不安に思うのは当たり前で、すごくリスクがあると思います。
 だから、アメリカであれば、ポスドクになっても、その後に民間企業に行けると思います。ドイツも同じです。しかし、日本はやはり最初に入ったところでずっと働くというのがまだ意識的にものすごく強いです。そこを変えられないのは結局今の受皿の問題であり、そういう段階にあるからであって、現実はそうなのだということを、何かもう少し学生にアナウンスをするということが、私はすごく重要だと思っています。
 あと、もう一つ、これは報告書を見て気になったことですが、私自身もポスドクをドイツでやりましたけれども、ポスドクというのは職業ではなくて、ある過渡的な段階なわけです。でも、それにも皆さん、3年ぐらいがめどと書いてあって、私もそう思っています。やはり3年したら次、とならないと怖いですし、ポスドクをやった人は皆さんそういう感覚だと思うのです。やはりそこの認識を、大学もそうですし、本人もそうですし、もう少し共有する必要があります。あくまでもポスドクというのは次への過渡的な段階であって、それが意識的に職業になってしまうのは非常にまずいと思います。もう少しそこを強調するような書きぶりができないものかなと私は考えました。
【長瀬委員】  ポスドクが職業なのか、過渡的な過程なのかということなのですが、企業の人たちと集まって話していた際に聞いたのは、ポスドクから企業に行くのは転職だよねということでした。企業としては転職というイメージなのです。ですから、特に2年、4年過ぎれば、職業を変えるように彼らは企業に来るのだということです。要するに学生の延長ではないというイメージを持っているようです。
 当然年をとればとるほどそういう傾向が強くなりますから、そこのところはもしかすると少しずれがあるのかなという気がします。逆にポスドクの方が、自分たちは勉強の延長的なところにいると思って企業を考えると、それはまずいということになります。つまり、彼らが評価されるのは、別にポテンシャルではなく、年をとると実績で評価されますから、そこのところは注意しなければいけないとは思っております。
【宮田主査代理】  昨日岡山大学でそういった議論をしていました。実は岡大でもポスドクを採る企業がいっぱい出てきたのです。今、リーマンショック以降、企業の状況が相当変わっていて、今までの事業の繰り返しだと、少なくとも企業は死んでしまうということをみんな分かっていて、新規事業をやろうとしています。そうすると、新規のプロジェクトをマネジメントできる人材として、ポスドクや博士人材の真っ当なニーズがやっと生まれてきているのです。
 ですから、そういう意味では、今日本社会の大きな転換点の一つにいますし、それが多分そちらの方向に僕はずっと進むだろうと思っていますので、そのためにどういう人材の育成が必要かということをここで提案できたら一番よいのではないかと思っているのです。昨日の議論で一番面白かったのは、ポスドクが手を挙げて、企業は普通の採用でポスドクを採らないのではないかと言ったら、そこに企業が3社いたのですけれども、全然、ポスドクか、博士卒か、学卒かという枠はありません、その人が一体何ができるかで採ります、ただ、ポスドクから応募がないだけですと言われてしまっていたことです。だから、そういう意味ではかなり世の中が変わってきてしまったのだなと思いました。
 当社のことを言うと、定期採用というのは基本的にやっていますけれども、ほぼないのです。むしろ中途採用、通年採用という形になってきております。ですから、企業はものすごく変化しているのではないかと思います。私が申し上げたいのは、大学だけが人材をつくっているわけではなくて、実は今、企業もものすごい力で人材をつくっているということです。先ほどどなたかの御指摘がありましたけれども、やはり大学主導だけでは社会のための人材をつくれないのではないかという危機感を持っていまして、むしろ大学と企業がどういう協業の場を作るかということをもう少し書かないといけないのではないかと思います。大学から知恵を外に出そうというチャプターはありましたけれども、それだけではなく、フラットに人材も知恵もうまく企業と大学の間で行き交いながら人材をつくっていくということをしていかないと、まずいのではないかという気がしています。
 もう一つ、岡大の議論から触発されていますけれども、まだお互いのことを相互に知らない、お互い変化していることを知らないと思います。多分人材のこのレポートの中で一番深刻に悩んでいるのは今の博士課程に進んでいる方や、ポスドクにいらっしゃる方なので、最終的にはもういい大人なのだから自分のキャリアパスは自分で選ぶべきだろうと思うのですが、さっきもありましたけれども、北大の自己評価のような、そのための情報の開示は意外と少ないと思います。だから、政府のプログラムはみんなそうですけれども、リーディング大学院をやります、あるいは何かすごいことをやりますと言って、それで終わるのです。すごいことが本当にできたかどうかということに関して、メディアも含めて全ての政府プログラムは成功したように報道されますので、そこの結果をもう少し突いて、今までの人材育成に関する情報はシェアできるような仕組みにして、やはり基本的に自分のキャリアパスは自分で選ぶのだと、少し突き放して書いてもよいのではないかと実は思っています。
【濵口主査】  ありがとうございます。林先生。
【林委員】  先ほどからのインセンティブの話や、財政的な補助の話、今の産業界との協働という話、全てひっくるめてなのですが、24ページの参考資料に今の人材の施策の一覧があるのですね。それを見ると、インセンティブとしての奨学金の中で大きいのは特別研究員のPDなどです。そういうアカデミックな研究者を養成するのがメインのファンドです。この委員会でヒアリングに行かせていただいた農工大でも、イノベーション人材のファンドやテニュアトラックのファンドなどをもらっていましたが、テニュアトラックの方はどちらかというとアカデミックの再生産をしていて、イノベーション人材の方はまた全然違うことをしているという状況でした。そこの整合性がないというのはなかなか難しいですねとそこのヒアリングの場でも議論しました。
 そこで、例えば産業界と協働をするようなインセンティブが日本にちゃんとあるのかということを少しお聞きしたいと思います。下の方に多様なキャリアパスの開拓とあり、リーディング大学院プログラムは今動いている途中ですけれども、ポスドク・キャリア開発事業は、先ほどからの議論を聞くと、一体これは効果があったのかなかったのか、よく分かりません。それとともに、例えばイギリスやフランスは、企業との共同指導の形でマッチング型の補助金を出しています。学生さんが企業でも共同で指導を受け、そこに対しては企業からちゃんとお金をもらうという事業が進んでいます。そうすると、学生にとってはそこの企業に就職できる可能性があるということで、非常に直接的なインセンティブになっています。結局どこに行くのか分からないけれども、キャリア開発だけされていますというのではなかなかインセンティブになりません。本当に具体的にどういうところに行くのか、そこまでが見えると経済的、財政的な補助にもなりますし、インセンティブにもなります。その辺りがどうなのかということが、この図だけでは分からなかったので、御質問込みでコメントをしたいと思います。
【濵口主査】  どうぞ。
【松尾人材政策課長】  林先生が言われたように、産業界及びキャリアパスについては、ここにありますようにリーディング大学院、ポスドク・キャリア開発事業があり、これは一応全部国からお金が出ているものであります。あと、あえて言えば、今年度から始まりますコンソーシアムというのは、国からからお金が出ていますけれども、産業界に行くということも含んでおります。それから、ここは人材育成中心の施策としてまとめていますけれども、ほかにもプログラムやプロジェクトを作るといったものは、産業界との協働の場としてございます。
 まだ今のところ十分ではないと思うのですけれども、先ほど言われましたように国から、あるいは大学からと産業界協働でやるようなものについては、少しこのレポートの中にも付記させていただきたいと思います。インターンシップと併せて、例えばワークプレイスメントは、企業からお金を出して大学の学生を受け入れるというように、徐々に少しずつ広がってはいるのですけれども、少し分かりにくくなっていますので、そこは少し工夫したいと思います。また、ある程度企業の方にもお金を出してもらうような形で事業を行うということに関しても、少し工夫したいと思います。
【濵口主査】  先ほど林先生が言っておられたことは、少し日本の文化でナイーブなところでもあるのですけれども、日本的な価値観の中では、インターンシップというのはダイレクトにその企業に就職することを前提とするものでないのです。ですから、今文部科学省としても初年度からインターンシップを導入してくださいとは言うのですけれども、条件として例えばメールアドレスなどの個人情報を企業に全ては伝えないということが条件になっています。最終年度になると、それは伝えるという形に転換していくのですけれども。
 しかし、欧米を見ていると、アメリカなどはもっと就職に直結しています。それから、大きな違いは長期であるということなのです。特に大学院の場合、半年くらい行きます。その間の給料を例えば州政府が出すということがあります、ノースカロライナなどを見ていますと、それでバイオがものすごく増えています。今ここで言われているワークプレイスメントというものは、まだ4年ほど前から学部生の就職で始まった段階ですが、東海地区では大分やっていまして、去年から今年ですごく増えています。インターンシップはみんな行かないのですけれども、ワークプレイスメントにはどんどん行くのです。
 理由ははっきりしていて、アルバイトのように少しお金がもらえるのです。ただ、企業側もお金を出しますから本気の仕事をやらせます。ウェブのサイトを作れ、何かデザインしたものを作れ、など学生の能力を生で見るのです。そうして、この子は採れるねとなります。従来のインタビューだったら見えていないような能力が見えてくるので、企業側も、こういう子は普通に募集をしてインタビューしたら絶対落ちるタイプだねという人を採用するというシステム変更がかなり起きているのです。
 そういうことを、例えば博士号取得者にきちっと誘導していくような構想を立てられるかどうかということが、私は感覚的に、本当はすごく大事なように思うのです。もっと彼らの能力を評価して、それが生きるような形で企業側がどんどん採用するようなシステム、今のある種のミスマッチを超えていけるような、つなぐシステムを我々が知恵を絞って生み出せないかと考えています。宮田さんの意見では、岡山ではそれが動き始めているということですね。
【宮田主査代理】  そうです、動き始めています。
【濵口主査】  その契機は何なのでしょうか。
【宮田主査代理】  その契機の一つとして、たまたま愛知用水の段階から、水回りのコンサルティングをやっている会社が、植物学のドクターを取った人を採っており、受皿に同じような境遇の人がいたということがあります。もう一つは、ドクター人材の能力が高かったのです。だから、使えるということになりました。そうすると、最大の壁は役員会です。役員面接にどうやって持っていくかです。
 しかし、現場が3か月見て、この人は使えると思っているから、人事部と一生懸命調整して、彼自身も少し再教育され、役員面接に持って行って通しました。だから、さっき言ったように、大学だけで完成品を作ることはできないのです。多分企業にその人がマッチするかどうかというのは企業の人たちが一番分かります。
【濵口主査】  従来の面接中心の採用試験がいけないということではないでしょうか。
【宮田主査代理】  いや、結局そうです。
【濵口主査】  企業も失敗していると思うのですね。
【宮田主査代理】  そうです、そうです。ですから、そういう意味ではインターンシップは企業にとって今非常に重要になっています。いわゆる一期一会の面接では結構だまされます。3か月ぐらいやっていると、現場からこの人が欲しいという指示があって、それで役員面接をすると非常にうまくマッチングし始めています。
 とにかくこれは時間の問題なのですけれども、博士号を持った人材がもっと企業に増えれば、今言ったようなことが自然に循環するのです。今それがやっと始まったところなので、どれぐらい我々がこの努力、つまりインターンシップみたいなことを続けるか。
【濵口主査】  もっと量的にしっかりと。
【宮田主査代理】  やれば、クリティカルマスを超えられるかということを少し想定しながら、予算を考えるということが重要だと思います。絶対うまくいきます。
【長瀬委員】  よろしいですか。今、宮田先生がおっしゃったように、比較的、企業のドクター採用数は増えていると思うのです。先日、日本化学会で皆さんからアンケートをとったところ、技術系の1割がドクターでして、10%を超えているのです。
【宮田主査代理】  ああ、もう超えましたか。
【長瀬委員】  そうしますと、もちろん全員が研究者ではありませんから、半分が研究者だとしたら、それこそ研究者の30%、40%がドクターなのです。ですから、実際私どもの研究所でも、例えばバイオ系では研究者の5割がドクターです。女性も3割います。ただ、一方で、プラスチック系では1割以下。ですから、やはり3ページに書かれていますように、分野によってバランスが結構変わります。分野間移動や、業種展開のセクター間の移動ができるようなドクターを育てないといけないだろうと思います。
 4ページを見ますと、必ずしもそうではなくて、優秀な研究者を育てたいというイメージがすごく伝わってきます。私は、優秀な研究者であって、更にいろいろなところで活躍できるドクターというのを育てないといけないのではないかと思います。そうしないと、バイオ系に行ったら、バイオ系でしか職を探さないということになったら、やはり人材の無駄になると思うのです。そういうのを入れていただければと考えています。
【松尾人材政策課長】  先生に一つだけ質問なのですけれども、今企業で増えてきたというのは、採用する段階でのドクター取得者でしょうか。それとも企業内で、例えば学び直しでドクターを取った人なのでしょうか。
【濵口主査】  それに関して、私はデータを持っています。ここ2年ドクターの採用は増えています。ただ、増えている数は600人くらいです。うちのビジネス本部で、就職四季報から全部データをとっているのです。3年前はどん底でした。今、増えてはいるのですけれども、6,000社あるうち600人、1割ぐらいです。1社が1人ずつ採用して1割ということですが、実際にはデータを見ると10人、50人と採用している会社は幾らでもありますので、数で見ると1割も採用していません。
 では、どこに問題があるかと分析してみると、今日本の産業でもメジャーになっているサービス産業にドクターが行かないのです。相変わらず研究者なのです。例えば農学をやっていた人が発酵へ、純粋数学をやっていた人がコンピューター会社へ、このレベルなのです。今先生が言われたセクターを超えるということは、サービス産業などにもっとドクターを送るということがあり得るのかという問題のように聞こえるのですけれども、いかがでしょうか。
【長瀬委員】  さすがにサービス産業ではないもので、分からない部分はあるのですけれども、確かに、例えば化学系であれば、ドクターでの就職は全く苦労しなかったと大学の先生からもお聞きしました。
【濵口主査】  そうなのですね。
【長瀬委員】  ただ、やはり世間で言われるようにドクターで就職ができにくくなっているから、修士の学生が来ません、ドクターに進学しない現状を何とかしてほしいということをよく言われます。
【濵口主査】  化学は実は一番採用が多いのです。化学工業界は、ドクターを積極的に採用すると前から宣言しています。一番門戸が開かれているのですけれども、学生の側がドクターに行ったら就職できないと思い込んでいる分野の一つです。
【鷲見委員】  文部科学省の補助金で事業を進めていた過去5年間で実施した60人のインターンシップ体験者のその後、を今全部集約しています。そういうものが今30校分ぐらい、過去5年のデータとして出ていると思います。それをまとめれば、今議論されている、サービス業に行った例がわかると思います。例えば北大では、12%ぐらいはサービス業のインターンシップに行かせてもらって、そのうち半分ぐらい就職しています。どういうところかといったら、コンサルタント会社や、環境コンサルなどです。それから業種ごとに分析もしました。
 多分あのポスドクの補助金の例で、1,000人ぐらいのデータになるのではないかと思います。数百名かもしれません。インターンシップのその後のデータは全部出ると思います。北大の例であったら60名、お話ししてもよいのですけれども。
【濵口主査】  そのデータを少し見る必要ありますね。どうぞ。
【高橋委員】  私も自分自身がサービス業の会社を経営している者です。帝国データバンクではその他のサービス業に分類されていますから、サービス業その他になりますけれども。それこそポスドクのインターンの事業などから博士のインターンを受け入れていて、結構たくさん採用していると思います。ぱっと正確な数字は出ないですけれども、恐らく10名ぐらいはそのインターンの後、入社した人間がいるであろうと思っています。今社内50名でその半数以上が博士号取得者です。全員理系ですけれども、残りも修士を持っている連中でやっています。
 その感覚で言いますと、今育成されている博士人材がサービス業に向いていないということはないと思うのです。ただ、実態を知らなさ過ぎて、自分がそこで働けるというイメージが湧いていないということがあるのだと思います。そういう意味で、うちは科学教育、教育活動をやっているので、比較的イメージは付きやすい場所でスタートはしているのですけれども。変なところですと、飲食店などもありますから、そうなってくると、全然分からないということになります。
 ただ、実際は戦えるのです。もちろん、そこで専門性を発揮していけるかどうかということはまた違う問題なのですけれども、そういう意味では、サービス業というのはまだまだキャリアとして掘っていく場所としては非常に可能性がある場所だと私は思っています。
【塚本委員】  三つだけ、企業側の方からコメントしたいと思います。まず、ドクターの採用が増えていっていることについては、そもそもの採用が増えていて、多分うちの会社も今年と来年だと、来年は3倍採るのです。なので、ドクターだろうが、修士だろうが、本当に優秀な人は幾らでも、何人でも、中途でも欲しいと必死になっているということが、多分背景としてあるのではないかと思います。
 あと、おっしゃっていたインターンシップの件なのですけれども、基礎研究所は数年でどの国の人でもどうぞとなっており、海外の人の方が期間は長いのです。給料を払うものと払わないものとがあって、基本は論文とインタビューです。うちのやっている研究に貢献してくれるものであるならば、NDAを組んだ上で1年か、1年半、あるいはそれより長いものもあって、その後入ってくださることもあるような状況です。
 あと、もう一点、この報告書の件なのですけれども、これはどれぐらいの粒度で書くかよく分かっていないのですが、具体的施策と言いながら、余り具体的な感じでもない気がします。今回安倍さんの出した成長戦略が非常に見やすいのは、やはり何を取り組んで、今後何をするのかというのが非常に分かりやすくなっていることだと思うので、もしも具体的にするのであれば、何を取り組んできて、それを更に改革してやるのか、新規でやるのか明確にし、やったかやらないかということが、誰が読んでも分かるような、メジャーできるような形にすると分かりやすくなるのかなとは思いました。以上です。
【濵口主査】  ありがとうございます。大島先生。
【大島委員】  先ほど博士課程の話の中で出ていたので思い出したのですが、博士課程、特にこちらに書いてあるのは、修士課程から博士課程に進まれる学生が前提になっていると思います。企業から博士課程に進学するインセンティブも重要だと思います。例となるか分からないのですが、私の研究室は企業から博士課程の方が進学されます。私は機械工学科ですが、最近は理学部の化学科の出身の人がセンサーをMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)で作りたいということで、博士課程にいらっしゃいました。
 社会人ドクターは、目的意識が非常に強く、また会社からいらっしゃっているので3年間という区切られた時間で修得しなければならないということで非常に熱心です。持っている化学の知識と機械工学科の新しい知識をうまく融合し、研究成果も優れており、また会社にも役立つと言っています。一方、大学側のメリットとしては、企業の方がいらっしゃることによって、修士課程の学生が博士課程に進んでみようというインセンティブになります。
 さらに、もう一つのメリットとしては、研究会などを行いますので、研究室の学生がインターンシップに行って、そのまま就職するということがあります。実際に何人かうちの研究室の学生もその企業に就職しています。もちろんインターンシップで大学から企業に行くということも大事だと思いますが、反対に企業の方から大学に来ていただくことによって、お互いに活性化するという道もあるのではないかなと思います。もしそれをキャリアパスやインセンティブのところに一つ加えていただければ、先ほどから出ていた産学連携のようなことも強調されるのではないかと思いますので、参考までに一言コメントいたしました。
【鷲見委員】  今の御意見に関連して、実は私、この3月まで人材育成本部で補助金を頂いてインターンシップ事業をやっていて、4月から産学連携本部へ行くということで、企業との共同研究を担当しています。共同研究で企業が大学に来てもらったら、企業主導の研究になるのだけれども、企業の若手を特任助教などの立場で来てもらうのと同時に、大学院に入ってもいい人は入ってもらって、そこで3年間で博士を取って帰ってもらったらどうかという話を、この会の前にある企業でしましたら、それはいいですねとなりました。
 それから、何だったら、A教授のところの若い学生さんもうちに来ていただいて、インターンシップの相互版、ギブ・アンド・テークをしましょうかという話になりました。まだ成立はしていないのですけれども、実はそういう次のステップがあると私は思っています。産学連携と人材育成を同時にやるケースです。
【宮田主査代理】  実は、日本の某トップ製薬企業の人たちと議論していたときがあったのですが、彼らは私のウェブサイトを使って求人をしたいと言っていました。それで、最高のバイオの研究者を任期5年でリクルートするとのことです。だから、皆さんの今の頭の中では終身雇用が前提となっていますけれども、実は企業側から冷徹に考えると、こんなに研究のスピードの速いバイオテクノロジーのような分野において、企業で使えるのは5年だということです。そのかわり退職金などが必要なく、上積みすると2,000万や2,500万ぐらいは出せるので、トップの研究者は要るとのことです。企業からすると、そのような感じです。
 ですから、一部の企業をきちっと経営する経営層と、スタッフに関するキャリアパスはどうも違っていくのではないでしょうか。そういう意味では、そういう人たちがもう一度大学に戻って新しい知識を得て、違う企業を回っていくというキャリアパスが今後想定されてくるだろうと思っているのです。
 ですから、大学というのはすごく重要になってきています。そういう意味では、雇用の安定化や、イノベーションを救うための人材のリサイクリングという言い方があるか分かりませんけれども、大学はリサイクリングの場所に多分なっていくのではないかというイメージをしています。そうすると、個人としても対企業との間で競争力を持てるようになるのです。今まで、何か皆さんの話を聞いていると、大企業に勤めればセーフみたいな話になっていますけれども、今大企業に勤めて、最後まで勤め上げられるリスクというのは実はすごく高くなっているのです。英国のケンブリッジでベンチャー企業がいっぱい出たケンブリッジ・フェノメナという状況が1970年か、60年の終わりぐらいに出ていますけれども、ベンチャーにいた方がリスクは少なくなってきています。つまり、ウエルカムという会社がグラクソに買収されて研究員が放り出されるというような状況が来ています。日本の大企業においても、そろそろ一部の超エリート層を除いて、生涯勤めるというビジネスモデルがなかなか成り立たないのではないかなと思っているのです。ですから、そういう意味では、企業の方からも人材を大学に送り込んでリフレッシュして次の戦力にするというニーズも、多分これから間違いなく出てきます。
 ですから、今はポスドクをどうしようかという目前の話をしていますけれども、前に申し上げたとおり、次の日本の産業の在り方などを見ると、どうやって大学と企業の間を人材が巡回しながらイノベーティブな人材をつくっていくかというビジネスモデルが必要になるのです。そのためには大学だけで人材を育てても駄目だし、企業だけで人材を育てても駄目なので、今鷲見先生がおっしゃったような協業という形が本当にできるかどうか、そのイメージを私は本当に持っているのです。
 そうなると、終身雇用制度が崩れて、企業がイノベーションに対応したいとなるわけです。今、日本の製薬企業がなぜイノベーションに対応できないかというと、化学合成の人たちは山のようにいるのだけれども、バイオテクノロジーが実際できるような人たちはほんのちょっとしかいないのです。アメリカだったら、化学合成の人は半分首を切って、ポストを作ってやりますけれども、日本ではまだそのスピードが遅く、そういうことがなかなかできないので、今大きな問題が生物科学系で起こっています。それは急速に変化しています。
そういうところを考えると、キャリアパスに関して、皆さんはどうも大学院の人たちをとにかく外に出せば安心と言うのですけれども、もう一回戻ってくるということも含めて考えていただきたいと思います。
【濵口主査】  何かそういう人材の還流を進めるようなシステム、有償の雇用のようなのを進めながら、ただし大学と行き来するというワークプレイスメントの大学院版みたいなものが何かできると、もう少し誘導されるかもしれませんね。
【松尾人材政策課長】  学び直しという言い方はまた何となく少し違うのですけれども、大学をプラットフォームにして、そこでもう一回別なキャリアを付けて外に行く、そういうことを企業と大学と、あとは研究開発法人などが一緒になって組み上げていく、そんなイメージなのでしょうか。そしてまた戻っていくということなのですが、大学という場を使っていろいろな別な能力を高めて、そして違うところに行くというイメージだと思えばよいのでしょうか。
【渡辺委員】  皆さんのおっしゃるとおり、本当に時代はどんどん変わっていっています。特に企業は変わらざるを得ないという状況の中で、とにかく優秀な人を欲しいから仕組みを変えるのもいとわないというのは事実なので、一つ提案するときに考えなければいけないのは、先ほど高橋委員もおっしゃったように、若い人がある程度社会の中で博士を取って安定的に、少なくとも生活はできるという安心感を得ていくということを考えていかないといけないということです。社会にとって、若い人をどんどん流動させることが便利というだけでは、博士に行く人も減ってしまうと思います。
 企業と大学が協業しながら社会全体で最適化していくことは本当に必要だと思うのですが、若い人が安心して研究なり、技術を高められるということも常に一緒に考えていかないと、破綻してしまうと思います。とても難しいのですが、そこだけは気をつけるべきかと思います。
【宮田主査代理】  僕もそれは大賛成です。実はスウェーデンで日本人とイタリア人のカップルに会ったことがあって、これから私たちは結婚するのだけれども、大学院に入って生活すると言っていました。有償なのですね。だから、そこが実は鍵なのではないかと思っています。要するにイノベーションを起こすための人材を大学院でつくっているので、その人たちに実はお給料を払うべきだと私は思っています。国の未来を担う人たちなので、授業料を取る立場ではないのではないかと思います。
 そうすると、企業を辞めても、ある一定の収入が確保できるため、スイッチングできます。そういうような国も結構多いので、是非それは調べていただきたいと思います。もちろん、国で雇うわけにはいかないので、奨学金などの仕組みをもう少し充実させるべきだと思いますけれども。そうでないと、今、親のすねをかじりながら大学院に行っている人がほとんどではないですか。あるいは、バイトという形でインターンシップをやっているような人たちも多いです。だから、その辺りを少し考えないと、なかなか企業から大学には移動できないと思います。
【鷲見委員】  今の御意見に付け足したいと思います。専門技術は陳腐化し、一生という長い時間、鮮度は保(たも)てません。さっきT字型と言いましたけれども、北大では修士でT字型、博士課程でパイ(π)字型になるよう推奨しています。二つ専門を身につけ、一つは軸足として、もう一つは少なくとも相手方の専門家と議論できるようになりなさいと言っています。でも、グローバルに活躍できるようになるためには、パイ字型から、更にくし形になるのですよという話をするのです。
 その前にイノベーションをちゃんと説明します。「シュンペーターさんはこう言いました。駅馬車の馬車に関する研究を積み重ねても蒸気機関は生まれない。つまり、馬の研究者は、常にその先の蒸気機関という二つ目の基幹技術が絶対起こってくるということを認識して専門家になりなさい。」こういう教育をします。そこを何か文章にして、あなたの一生のうちにその専門が通用するのは何年ぐらいだということを伝えたいです。
 例えば私が大学院の修士を出て初めてしたのは、DNAを切る制限酵素を精製してくるという仕事でした。今そんなのは1,000円出せば買えるのです。だから、そんなものが10年ともたないということは、どの世界でもあると思うので、それをここの文章に入れていただきたいと思います。
もっと間違えていることとして、博士を出た人が「私の専門は」と言うのですけれども、僕はいつも、「それってあなたの先生の専門でしょう」と問うのです。面接で、あなたの専門が何なのかは、これからあなたが決めていくのではないかと聞くと、ああ、そうかという感じになります。そこの意識改革に関して、この文章を通じて、これを読む学生、それから教える教員に伝わるようにしたいと思います。
【宮田主査代理】  これは本当に深刻な話です。インターネットというのは相当大きな変革をもたらしてしまっているのですね。知識の共有のスピードが本当に変わってしまったので、要するに知識を継承するということが今までのアカデミズムの人材教育の中核であるとすると、それはもう役に立たないのです。グーグルで検索すると、ある程度の知識はあっと言う間に修得できるのですよ。
 そうなると、専門性の定義を再定義しなければいけなくなってきます。そうは言っても、僕は専門というのは、基本的には重要だと思っています。熱力学の法則は変わらないので、物理や、数学、基本的な哲学的な考え方や、ロジックというものは絶対重要です。それがまずあった上で、どうやって新しい知識を咀嚼(そしゃく)してイノベーションを起こすのかということが重要なので、専門性を否定するのではなく、うまく書き分けていただきたいと思います。
 まとめると、インターネットによって知識のシェアリングのスピードは相当上がっているので、今までのように知識の継承というだけではアカデミズムの発展も、イノベーションも期待できません。そこまで書けたらすごいと思うのですけれども、そういうことを前提に議論しないと、人材をどうやってつくっていくかということに関しては、よい未来のビジョンを作れないと考えています。
【渡辺委員】  今専門性の話になったのですが、私は最近、仕事を持つ人にとって何が一番大事かと考えたとき、それは専門性だと考えるようになってきたのです。言っていることは皆さんと実は矛盾していません。一つの専門性をその人がずっと一生使うということではなくて、一度専門性を究めることがいかに大事かということを最近感じているのです。一度究めると、自分なりの方法論というものが身に付くのです。そして、その後どの専門に行っても、その自分で獲得した方法論というものは通用できるのです。
 ですから、一度専門性を究めるということがいかにその人の財産であるか。一度究めれば、本当にどんな分野でも通用するのだと実践できるので、その人はいろいろなところに行けるのです。そういう意味での専門性、他の分野に応用できる方法論が身につく専門性が非常に重要で、博士課程に行くことがどれだけ重要か伝える際に、自分なりの方法論を持てますという論理を言ってあげるとよいと思います。私は実際に皆さんを見ていて本当にそれを実感するのです。そういう意味で専門性を究めるということを、是非勧めていただきたいと思います。
【濵口主査】  大学院、ドクターは専門性を究めるという場であるという概念があるとよいですね。私もがん細胞は大学から研究対象になりました。どうぞ。
【松尾人材政策課長】  今言われたものは、1ページ目の我が国を取り巻く環境の中にも少し触れていますが、もう少し強調するようにしたいと思います。インターネットの話や、今、やはり変化の中にあって、知識の継承ではなく、知識をいかに生み、創って、それを活用していくかという話を入れています。少し足りないのは、ここに書いてある1ページ目の丸の最後のところですけれども、広い教養と深い知識の部分です。そこは少し強調しながら次のステップにどう移っていくかということを少し書き込むようにしたいと思います。
 今言われたようなことは、3ページ目のただし書のところにありますように、技術の進歩と個人のサイクルの違いの部分にも書いたつもりなのですけれども、もう少し強く書けるかどうか、少し工夫をしてみたいと思います。
【濵口主査】  1、2ページのあたりでふと思い出すのが、2011年あたり、ニューヨークタイムズにハーバードの教授が書いていたことなのですけれども、現在我々が体験している職業の65%はあなたの子供が仕事に就くときにはなくなっているということです。逆に65%が今ない職業になっており、ICTとロボット化で職業はこれからものすごく変わると言われているのです。
【松尾人材政策課長】  それがあって、3ページ目の、20年後に現存する多くの業種、業態という部分は、いろいろな説があり、6割なのか7割なのかという数字を出すのはいかがなものかと思いましたので、現存する多くの業種、業態が異にするということにしてありますけれども、まさに先生が言われるようなことを少しイメージして書いております。移動したり、変わったりすることを躊躇(ちゅうちょ)しないでできるような専門性とガバナンス性が必要だというイメージで書かせていただきましたが、もう少しうまく表現を工夫したいと思います。
【宮田主査代理】  今さっき渡辺さんがおっしゃった「専門性」は、アイロニカルに使っていますので、そこは「専門性」というものを、ちゃんと誤解を受けないように定義しないといけないですよ。基本的には、ある課題を突き詰めて研究をして、新しい知恵を創り、次の問題を発見するという、まさにずっと僕らが今議論しているイノベーションのための手法です。イノベーションの手法というのは、実はアカデミアの科学研究そのものではないかと最近思っているので、それを専門性と単純に表現すると、多くの大学の先生は自分が今まででやってきたことで良かったのだということになります。これは、やはりこの報告書の趣旨ではないので、自ら意識改革を誘導するような表現に是非していただきたいと思っています。
【濵口主査】  大分お時間、押しておりますので、イのところの、前回議論していただきました女性研究者の項目、「女性研究者が活躍できる環境の整備」に関してももう少し深めた議論をお願いしたいと思います。先ほどまでのコンテクストで考えると、この女性研究者の問題は22ページの上の図に象徴的に出ています。今の大学院生を社会にどうつなぐかという問題です。企業の研究者はほとんど男なのですが、大学のスタッフは女性が6割です。これがもう一つの大きな課題で、ここをどう考えるかということは、前回の議論では余り出ていなかったような気もするので、少し御意見を頂ければと思います。
 渡辺さん。
【渡辺委員】  ここは、本当に書き方が難しいですが、このままだと大変なことになってしまうと正直、思うのです。この、大学では25%になりましたという数字は正しいです。ところが、その内容を見てみると、任期制が多いわけです。任期制の多分半数以上が女性という非常に偏った状態になっていますし、やはり教授職では女性は少ないです。この根本的な問題が何も解決されていない中で、数字だけ見ると25という良い数字が見えるのです。
 それから、企業が少ないというのは本当にそのとおりなのです。私も実はこれを詳しく調べてみたところ、この値は企業の研究職ではないのです。ある企業の研究職における女性の割合は大学の定年制の研究職よりもむしろ高いぐらいです。ここでは、技能職は省かれているのですが、いわゆる設計や改良に携わる人も研究職に入っています。こうしたいわゆる現場の女性比率が少ないのです。ここをどう増やしていくかというのは課題なのですが、果たして文部科学省がこの辺りをリードできるかどうかとなると、どちらかというと経済産業省の方の課題である気もしますので、書き方が非常に難しいと思います。
【濵口主査】  では、大学に絞った方がいいということですか。
【渡辺委員】  はい、やはり上位職に女性が少ないというのは共通の問題なので、そこを大きな課題と捉えた方がよいと思うのです。なぜかというと、ここで実際やることは環境整備と裾野拡大と書かれており、確かに大事であるのですが、結局は今までやってきたことの延長なのですね。これは今までも十分にやってきていただいて、その結果14.4%という数字であるということなので、同じことをやるだけではなかなか変わっていかないと思います。
 そこで何が考えられるかというと、先ほど言いましたように、上位職の女性が少ないので、結局意思決定も女性の意見が入らずになされてしまうことが一番の問題なのです。実は私、1月の初めにヨーロッパでジェンダーサミットという会議に参加してきたのですが、最も重要なのはトップのコミットメントということで全く同じ議論がされていました。トップが変わらなければ、結局変わりません。うまく行っているところは、まずトップから変えたということなのです。
 なので、やはりマネジメント層など、トップの女性比率を上げるということを従来の施策に加えてやっていくということを付け加えると、随分変わっていくのではないかと思います。
【濵口主査】  御意見ないですか。
【松尾人材政策課長】  全くおっしゃるとおりだと思います。
【濵口主査】  女性PI雇用促進のプログラムをやってきていますね。
【松尾人材政策課長】  はい。あと、実は私どもの女性研究者に関する事業が、今回行政事業レビュー、昔で言えば仕分に掛かりまして、その中でも、POなど、女性の上位職への登用のためのプログラムの作成といったことが指摘されております。マネジメント層などなるべく上へ登用すること、例えばプログラムでも全体をガバナンスするところへ登用することは、何らかの形で工夫をしたいと思います。
 それから、これまでやってきたこととどう違うかということに関してですが、今までやってきたことはある程度ピンポイントで普及し、少しずつ女性研究者も増えてきているわけですけれども、それを今度はいかに長く続け、継続していくかが課題となります。予算が切れたとしてもどう継続させていくかということに関しては、例えば大学・機関の評価と連動すること、あるいは資金をどうマッチングして普及させていくかということなど、これまでの取組と少し違う取組を普及させ、工夫していきたいと思います。
【濵口主査】  どうぞ。
【大島委員】  非常によくまとめていただき、ありがとうございます。少し違う観点なのですが、女性研究者に関して、先ほど非正規雇用が増えているという話もありましたが、いろいろなモデル事業などを通じて、個人的には今、次のフェーズに進んでいるのではないかと思っています。その次のフェーズは、女性だけの問題ではなくて、男性も参画していただき、社会問題として取り組まないと、多分これ以上進まないと思うのです。
 予算と結び付くかという点ではなかなか難しいと思います。女性が活躍できる環境の整備という中で、是非男性の参画を促すようなことを含めていただきたいと思っています。
 この意見の背景にある一つの大きな理由に、女性研究者は単身赴任が多いということがあります。特に、研究者の流動性の問題に起因し、男性と女性が研究者としてキャリアを築いていくときに、同じ地区で職業を得るということはなかなか難しいので、現状として女性研究者が単身赴任することになります。そこで、例えばアメリカのスタンフォード大学などでは、女性の研究者を教授として採用するときには、もちろん業績も見ますが、男性と一緒に、ペアで雇用するということを推進した時期が一時期あったのです。MITでもありました。
 したがって、いわゆる男性、女性ではなくて、家庭として働きやすい環境整備を何らかの形で進めていくということが、多分次のフェーズなのではないかと思っております。
【鷲見委員】  まさに昨日、私は、都内でのバス移動の中で、北大の研究者からURAへ転身した男性職員からその話を聞きました。実はうちの奥さん、今関西の大学の職員で誰々先生のところにいますと言っていたので、えっ、そうなの、どっちが本家なのかと聞いたら、かみさんが単身赴任ですと言っていました。今まさにそのケースが増えていると思います。
【濵口主査】  うちの大学でも、今女性PIを採る基本方針は国際公募なのです。実は優秀な女性の研究者が海外にいっぱいいることに気がついたので、その方がいい人が来るのですけれども、人によっては、やはり夫がアメリカ人という状況があるのです。そんな中どう両方連れてくるかが課題です。この前も、最後のところで、大型の研究資金を取られてしまったもので、結局来られなくなったのですけれども、二人雇うということになりました。片方は生物学、片方は物理学でしたけれども、理学部で両方採ろうかという話はしていました。今大島先生のお話を聞いていて、もうそういう時代に入っているなと思いました。特に優秀な人を採ろうと思うと、ペアで採らないと、採れないかもしれないのです。なかなかそのシステムがないのですね。
【松尾人材政策課長】  幾つかの大学では、同居支援ということで、女性研究者単身ではなく、旦那さんが異動したときに女性も一緒に行けるなどというシステムをやっておられます。逆もあったかもしれません。やはり大学によっては、本当に優秀な人を採ろうとすると、そういうことをやり始める必要があります。ただ、一方で経費の問題が多分二人分だということ、また、実際にやっている内容は、近くの大学へのあっせんあるいは紹介ということがあるようです。
 私が前いた研究所でもそういうことをやっていました。そういうことをしないと、本当に来てくれないのです。どうやって国として全体サポートするかということは、少し書き方を工夫したいと思いますけれども、同居支援や、家族・家庭での研究機関への受入れというのは確かにおっしゃるとおりだと思います。
【濵口主査】  もう一つの形態として、実はうちの大学でとられているのですけれども、女性研究者だけで集まってシェアハウスするというアイデアが出ております。子持ちと、子供を持っていない人が一緒に、お互いにサポートし合うシステムです。
 少し話が飛んでしまいましたが、IBMはいかがでしょうか。
【塚本委員】  男性、女性を問わず配偶者が海外に赴任になったときには、そのどちらかの人の職場もできるだけ探すようにするという制度にはなっています。見つかるかどうかというのは本人の専門性などにもよるので、有給休暇や、大学に行ってもらうなどいろいろな取組を進めていますけれども、キャリアを中断させ、辞めるという方向にはしないようにしていると思います。
【濵口主査】  ありがとうございます。ドイツではいかがですか。
【西澤委員】  すみません、その辺り、私は余りよく知らないのですけれども。一般に大学では、夫婦でいるということは結構普通でした。ただ、やはりドイツでも週末婚というのが結構研究者の中では多くて、一人はミュンヘンで、一人はシュトゥットガルトに住んでいて、週末だけ2時間くらいかけて帰るという人もいました。そうして、もちろんドイツ人も悩んで、工夫しながらいろいろとやっていますけれども、やはり遠くからペアで来ている人も多いです。イギリスでもそうです。余り離れて暮らすと、それこそ家庭内の問題になるので、できるだけ一緒にということをずっとしていたと思います。
【濵口主査】  ありがとうございます。ほかにいかがですか。どうぞ。
【山口委員】  ずっと若い世代の話へ行ってしまって申し訳ないのですが、先日、大学1年生に奨学金を差し上げる団体に絡んでいる関係で、その授賞式に参加しました。そこには9名の奨学生がいたのですが、8名女子なのです。私は、そこに7年間関わっていまして、去年から辞めてしまったのですが、男が1名しかいないというのは初めてです。それにまず驚いたという挨拶をさせていただいたのですが、同時に4年後、又はその後、彼女たちが更に勉強するかあるいは社会に出て行くとき、もちろん今の割合で伸びていくかどうかは分かりませんけれども、女性がどのように社会に貢献していけるのか、また、それに伴う、今ここに挙がっていますようないろいろな問題が解決されていくのか、すごく気になった席に参加しました。
 これは、大学1年生で論文・応募作文を書いて、面接をして、選ばれた人に、4年間で100万円給付する奨学金なものですから、いつもかなりの倍率があるのですけれども、女子の方がそのくらい意欲があるということは、大学に入ってからも、また大学院、修士へ行くときも多分影響してくるのではないかと思います。今は過渡期ではありますけれども、先だってこの会に参加させていただいて、先ほど大島先生からのお話の中にもありましたように、ますます、女子だけの環境を変えるということでは到底解決できない時期に入ってきているなと思います。
 私は、教員ですから、そういう意味では男女同じように仕事をさせていただいて、給料も同じようにもらってきましたが、それでもだんだん管理職になるにつれて、女子だから帰るということはできないムードになるわけです。研究者も、女性だから帰ってもいいよということは絶対ないと思うのです。ですから、その辺りの働き方、考え方もだんだんと世の中に浸透させていく必要があります。女子だから先に、男性はよい、などという問題ではないという気がしております。
【渡辺委員】  今のお話は多分皆さん体験されているだろうと思うのです。最近の若い人を見ると、女性の方がずっと優秀だということはいろいろなところで言われております。実は企業でも、文系を採るときに、同じ基準で採ってしまうと女性が多数派になってしまうのです。それでは少しジェンダーバランス上よくないということで、男性を5割にしているという実情があります。
 実は、これは会社だけかと思ったら、独法の採用も同じような状況にあると聞きました。普通に採ってしまうと女子が多数派になります。このままでは、多分20年後、今と逆のことが起きているのではないかと予想されます。つまり、男子比率をいかに上げるかという議論がきっと20年後には起きると思うのです。そこまで待っていられないという状況もあるのですが、男性の方には、もう少し時間がたつと自分たちがマイノリティーになると、身近な問題として考えていただきたいと思います。これは多分間違いなく日本で起きることだと思うので、是非その観点でお願いしたいと思います。
【濵口主査】  本当に、うちの大学でも、海外留学しなさい、ドイツへ行きなさいと言いますと、やはり10人中8人女の子が手を挙げます。勇気があるのです。けろっとして行ってしまいます。今、リーディング大学院で女性のリーダーをつくるということを始めたのですけれども、理解のある男子学生も入れてもいいことにしました。そうすると、そこで何が起きるかというと、男がマイノリティー体験をするのです。先生が言っていたのですが、普通に学生を入れると、前の方に男がいっぱい座るのですが、そのグループだけは男性が端っこの教師の近いところにそっと座るのです。
 そういうことを体験させる時代にいよいよ入ってきているということを、今お話を伺って感じます。やはり勇気のある女性の能力がちゃんと開くようにしていくシステムを作らないと、社会の活力は出てこないと思うのです。これは、何が問題なのでしょうね。僕がずっと見ていると、二人でお互いに産休、育休はどちらが取るかという話になっています。しかし、うちの大学の場合、どうも先生方の意見を聞いていると、2人に責任を負わせ過ぎているのではないかと思います。大学というコミュニティでもうちょっとカバーできないかと思うのです。
 昔はそれを地域の農村社会のコミュニティがカバーしていたのですよね。そのコミュニティが崩壊して、二人に負担が掛かってしまい、周りがサポートできない状態になっているような気がします。それをどうやって工夫するかということが問題であるような気がするのです。これはかなり個人的な意見です。
 どうぞ。
【宮田主査代理】  先生、よろしいですか。僕ら、今慶応の先端生命科学研究所で、鶴岡にクラスターを形成しております。幸いにしてバイオベンチャーが2社できて、3社目、4社目もめどが立ちつつあります。そこで今鶴岡市で何をやっているか。実は研究所内の保育園はすぐ作ったのですけれども、次に幼稚園を作ろうということになっています。そこで初めて、優秀な若者たちに、少し申し訳ないですけれども、辺境の鶴岡まで来ていただいて、国際的に競争力のある幼稚園を作って定着していただくということを真剣にやっています。
 そういう意味ではこれは女性だけの問題だけではないのです。だから、あらゆる環境の問題というのはすごく重要だろうと考えています。
 もう一つ、脱線してしまいますが、実はずっと僕は、日本はパラオなどのポリネシア文化圏に属していると思っています。そこでは女性が働いているのです。男性は日陰で次の戦闘のための準備をしています。こういう文化的な背景があるとすると、今まで少し僕らは無理し過ぎていたのではないかと思うのです。そう考えると、もう少しやりようがあるかと思っています。
 それで、もう一つ言うと、実はマイノリティー体験というものはマネジャーにとって絶対必要なのです。だから、今女子で非常にマネジメントスキルがある人たちは、孤独に強いです。男子で駄目な人は孤独に弱いのです。だから、今、例えばGEなどの世界最先端の企業では、孤独に強いかどうかということが幹部登用のときの条件の1つになっています。コミュニケーション力はもちろんなのですけれども、孤独に強いかどうかも入ってくるのです。
 だから、そういう意味では、さっき渡辺さんが不吉な未来を予言していましたけれども、我々はマイノリティー体験を味わっていないために弱くなります。だから、こういう振り子でよいのではないでしょうか。
【濵口主査】  正しい未来かもしれませんね。
【宮田主査代理】  そう、正しい未来。
【濵口主査】  すみません、際限がなくなってしまいますけれども、お時間が押しておりますので、議題の2に進みます。最後に、研発活動における不正行為への対応等に関するガイドラインについて、説明をお願いしたいと思います。
○事務局より資料2-1、2-2、2-3に沿って説明。
【濵口主査】  ありがとうございました。
 それでは、最後に川上局長から一言お願いしたいと思います。
【川上科学技術・学術政策局長】  長い時間御議論いただきまして、ありがとうございました。いよいよ提言の案を御議論いただくという段階まで来たわけであります。局長になり、ここのポストにつきましておおむね半年になったわけですが、なかなかじっくりと先生方の御議論を聞かせていただく機会がなくて、本当に申し訳ないと思っていました。しかし、国会が終わって時間がとれるようになりまして、今日は比較的じっくりとお話を聞かせていただきました。
 実は、もう10年以上前になるのですが、この机上資料にある第1次提言を作り上げる3か月前まで、実はこれを担当しておりました。人材委員会を立ち上げて、議論の方向性を大体決めたところで人事異動となったのですが、そのとき思っていたところから見ますと、今日の御議論の中で過渡期という言葉が出てきて、確実にやはり10年たつと変わったなということを本日は感じました。
 キーワード的には必ずしも変わっていない部分もありました。例えば当時、T型、パイ型という言葉は、1次の提言に出ているように打ち出しておりますし、ポスドク、ドクターのキャリアパスという言葉も多分最初に使い始めた頃だったと思います。先生方の御協力によって物事は確実に進展をし、過渡期まで来ました。あと一息、また新しい課題を解いていくことができる段階に来ていると思います。今回の提言については、今日の御意見を踏まえて課長の下で文章を付け足すことになると思いますが、私も指導していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【濵口主査】  どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、最後に事務局から次回の日程等について、連絡をお願いします。
○事務局より次回の日程等について説明。
【濵口主査】  どうも長時間の御議論ありがとうございました。本日はこれで閉会いたします。


―― 了 ――

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-- 登録:平成26年10月 --