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人材委員会(第63回) 議事録

1.日時

平成25年10月30日(水曜日) 14時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 東館15階 15F特別会議室

3.議題

  1. イノベーション人材の育成に関する取組について
  2. 若手研究者の育成・確保を図る仕組み等について
  3. 「研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース 中間取りまとめ」について
  4. その他

4.出席者

委員

濱口主査、宮田主査代理、大島委員、川端委員、北原委員、鷲見委員、高橋委員、谷川委員、塚本委員、豊田委員、長瀬委員、西口委員、西澤委員、堀井委員、宮浦委員、森委員、渡辺委員

文部科学省

土屋科学技術・学術政策局長、伊藤科学技術・学術政策局次長、村田科学技術・学術総括官、松尾人材政策課長、和田人材政策推進室長、沼田人材政策推進室長補佐他

5.議事録

【濵口主査】  お時間になりましたので、ただ今から、科学技術・学術審議会人材委員会を開催させていただきます。
 本日の会議は冒頭より公開となっておりますので、よろしくお願いします。
 本日は17名の委員が出席、また出席予定の方は少し遅れてこられますので、第8条第1項に規定されている定足数を満たしていると考えます。
 まず、事務局に異動がありましたので、紹介をお願いいたします。

【和田人材政策推進室長】  10月4日付けで異動となり、人材政策推進室長に就任いたしました和田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それから10月1日付けで異動になりました、同じく室長補佐の沼田でございます。
【沼田人材政策推進室室長補佐】  沼田でございます。よろしくお願いいたします。

【濵口主査】  次に事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局より、配付資料は議事次第のとおり配付している旨説明。
 そのほか机上資料として、参考データなどをファイルにとじたものを配付している旨説明。

【濵口主査】  ありがとうございます。それでは、議事に入る前に、本日の議事の流れについて簡単に説明させていただきます。まず前回に引き続き、イノベーション人材の育成に関する取組について議論をお願いしたいと思います。次に、若手研究者の育成・確保を図る仕組み等について議論を予定しております。最後に、以前より議論を行ってまいりました研究倫理の問題に関連しまして、先日、「研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース中間取りまとめ」が発表されましたので、事務局から報告をもらう予定になっております。

 それでは議事に入ります。まず、議題1の、イノベーション人材の育成に関する取組についてお諮りします。はじめに、事務局から、来年度概算要求を行っている関連施策について説明をお願いします。
【和田人材政策推進室長】  資料1を御覧ください。前回の人材委員会でも御説明をさせていただきましたが、来年度概算要求において新たに、PBLを中心としたイノベーション創出人材の育成について、20億円計上しております。PBLとは、Project-Based Learning、問題解決型学習のことで、学習者が主体的に見つけた課題あるいは企業等から提示していただいた課題の解決に向けて、グループワークあるいはワークショップ形式などで能動的に活動する学習のことです。本事業では、そのようなプログラムを開発・実施する大学に対して支援することを検討しているところです。
 そこで本日は3名の委員から、イノベーション人材の育成に関する取組について御紹介を頂き、本事業の在り方も含め、イノベーション教育について御議論いただきたいと思います。

【濵口主査】  それでは、まず谷川委員より、九州大学のQRECの取組について御説明いただきます。谷川先生、よろしくお願いします。
【谷川委員】  九州大学の谷川でございます。今日は貴重なお時間を頂戴いたしまして、私ども九州大学の、ロバート・ファン、アントレプレナーシップ・センター、略称QRECと言っておりますが、この活動について御説明いたします。お手元の資料も御覧ください。このセンターは、3年前にできました新しいセンターであり、ミッションは、いわゆるアントレプレナー、いろいろな新しい価値にチャレンジするアントレプレナーを九大から育成してリーダーを育てようというミッションのためにつくられたものです。今日の御説明、15分程度と伺っておりますので、大変はしょらなければいけないのですが、最初にざっと概要を申し上げまして、その後、まさにコンテンツが教育、イノベーション人材育成ですので、教育の点に的を絞って、それを中心にお話をさせていただきたいと思っております。
 概要ということですが、写真が載っております。台湾籍の方なのですけれども、ロバート・ファンさんから寄附を頂いて、それをきっかけに作られたセンターで、九大の全学の学部生・大学院生に対するアントレプレナーシップ教育をするセンターです。九大の16学部、理系・文系合わせた全学18,000人、学部生1年生から博士までの学生を対象にしたセンターです。もともとは、全国の国立大学のうち40数大学にある「ベンチャービジネスラボラトリー」だったところを、3年前に改組してできたセンターです。
 ミッション、使命ですが、先ほど申し上げましたように、九大から、自立心、向上心、グローバル意識を有し、積極的に新しい価値創造にチャレンジする、世界に羽ばたくリーダー人材を輩出する。リーダー人材を輩出するというところが肝です。九大のブランドイメージといいますか、学生のイメージを、5~6年前に広告会社に調査してもらいましたところ、九州大学の学生のイメージというのは、優秀かつ忠実な、企業の中堅エンジニアというものでした。これは役員会でも報告され、我々執行部は大変ショックを受けました。そこで、何とかリーダー人材を育てなければいけないということが、我々の大学の教育のミッションになっています。そして組織としては、我が国のアントレプレナーシップ教育センターのモデルとなるということです。
 このQRECの業務ですが、教育センターとしましては、アントレプレナーシップ関係の正規講義が現在25開設されています。そして、正規の単位を出す講義ではありませんけれども、関連のセミナー、ワークショップ等をやっております。そして、学生のインターン派遣、海外の大学との交流、学生支援のための場所の提供、そして教育研究、社会貢献としましては市民向けのセミナー、そして、ベンチャービジネスラボラトリー時代からの名残として、インキュベーション施設を運営するといったことです。
 その教育を支えるメンバーですが、教員は11名と書いてありますが、実態は、QRECの専任教員は1名だけです。あとは、私もそうですが、学内からの協力教員や非常勤です。数は多いように見えますが、実態上はテニュアのメンバーはおらず、なかなか安定しない組織です。事務スタッフも6人おりますけれども、全て有期です。
 次は教育について申し上げます。教育の特色としましては、まず、対象は全学の学部生、大学院生であり、これが最大の特色です。センターをつくる前に、いわゆるアントレプレナーシップ教育をやっているところを、日本中いろいろなところを訪問して事例を見てまいりましたが、学部だけとか大学院だけでアントレプレナーシップ教育をしているところはありましたが、学部と大学院の両方で、一貫的かつ体系的にやっているというところはありませんでした。そういう意味では日本初だと思っております。その心は、学部の1年生から博士課程の学生まで、一貫して基礎から徐々にマインドセットを高め、かつ知識を与えていくというのが大事だということです。理系・文系、その年齢も多様です。幸か不幸か、私はよかったと思っておりますが、大変多様なバックグラウンドの学生を対象にしております。目標はT字型人間、深い専門知識と広い視野を持つ人間を育成するということにしております。
 我々のセンターでどのような人材を創りたいかということですが、よく、アントレプレナーシップ教育と言いますと、ベンチャーを創るのですかと聞かれます。出口は、ベンチャーを創る人だけではありません。一番上に、利益ベンチャー企業にチャレンジと書いてありますが、これだけではなくて、大企業に入ってもアントレプレナーシップを発揮する人、そしてソーシャルビジネス、いわゆる社会的起業をする人、それから開発途上国に行ってチャレンジする人、そして官僚になっても新しい政策づくり、そしてそれを実行に移すというチャレンジャー、こういった人が必要だろうということで、多様なアントレプレナー、イノベーション人材を育成するということにしています。
 我々のカリキュラム、教育体系全体を示したものが、カリキュラムチャートです。少し見にくいのですけれども、一応、左から右に、学年が1年生、2年生から上級になるに従って、基礎、応用、実践ということでコマを置いております。一つ一つのコマは、これも少し見にくいのですが、青で囲んでおりますのが正規の単位を出す授業です。大体25あります。周りにあります、だいだい色で囲っておりますのが、正規以外の教育プロジェクトです。学部1年生から博士課程の学生までを対象に、基礎、応用、実践のプロセスを準備し、できるだけ基礎から取ってくださいという指導をしております。そしてもう一つ大きな特色は、ここに色分けしておりますが、「Motivation」というところ、そして紫が「Knowledge/Tool」、そしてオレンジのところが「Integration」と書いてあります。よくあるアントレプレナーシップ教育というのは、いわゆるビジネススクールによくあります、組織論とか戦略論、マーケティング論、ファイナンス論といった知識のベンチャー版を教えるところです。いわゆるベンチャースクールが多いのです。すなわち、アントレプレナーシップに特化した知識伝授型の教育組織はあります。これだけでは、今の若い学生たちに、新しいことにチャレンジするための教育はできないと考えております。これは飽くまで方法論ですが、そもそも新しいことをやろうというモチベーションを持つ人間、学生が余りにも少な過ぎると思っています。そして、新しいアイデアとはどうやって創ればいいのかということについて余りにも無知な学生が多いということで、我々は最初にモチベーションというカテゴリーを設けて、ここでいろいろなロールモデルを見て、学生たちのやる気を喚起するようなプログラムを用意しております。これが我々の一つの大きな特色です。そして、やる気を起こして、方法論を学んだ学生に、実際にやってみようではないかという、練習台のような、シミュレーションのカテゴリーを幾つか持っております。出口先もたくさんあると言いました。途上国でのチャレンジャー、それからソーシャルビジネスでのチャレンジャー。いろいろな出口があります。この出口として幾つか練習台のプログラムを用意しております。
 今までの繰り返しになりますが、我々のカリキュラムの考え方としては、基礎から応用、実践。そして、気づき、Awarenessないしはモチベーションをまず確認した上で、知識を与え、そして総合化へ持っていくというカリキュラム体系をとっております。
 この他、今申し上げたのは正規講義ですが、幾つか教育関連プロジェクトをやっております。詳細は、お配りしたアニュアルレポートに入ってございます。
チャレンジ&クリエイションは、いわゆるアイデアコンペ、ビジネスプランコンペのようなものですが、それよりもう少し簡単なものをチャレンジさせるプロジェクトです。これは、審査を通った学生グループには50万円を渡して1年間実施に向けてやってもらうというプログラムです。九大祭チャレンジショップは、学園祭での模擬店を一つの株式会社に見立てて、会社設立から運営、そして終わった後、清算するという一連の行為を半年間やらせるという、PBLです。また、途上国適正技術ワークショップは、See-Dという、途上国において使われる技術、サービスを考えようというプロジェクトの方に来ていただいてやっているPBLです。そしてレゴを使って新しいアイデアを出すというワークショップもやっています。最近、レゴがコミュニケーションツールとして大変有効だということを聞いておりますので、これを我々としてはやっております。その他幾つかあります。
 どうしてこのようなものをやるかという位置づけですが、正規講義にしようとすると、単位を出すためには大変厳しい条件があります。しかしながら、単位は出せないけれども教育効果は高いというものをやってみようではないかということで幾つかやっております。その中で、これはと思ったものについては、いろいろな条件を整えて正規講義にします。そういうプロセスをとるつもりでやっているものが幾つかございます。
 教育手法が我々としては、一番大事だと思っています。コンテンツは、基本的に全てが、全学向けでやっておりますので、学生はいろいろなところから来ており、大変多様です。多様性を確保するということが、アントレプレナーシップといいますか、新しいイノベーションを起こすための授業に必要だということで、多様性を確保しております。それから、全て2コマ連続にしております。これは大学に相当無理をお願いして、2コマ連続の時間をとらせていただいております。全て集中講義という扱いになるのですが、前半に講義的なものをやって、後半を、ディスカッション、グループ討議をするという方法をとっております。この形式は基本的に全ての授業においてです。一部、先ほど申しましたビジネススクール的な知識伝承型講義の中では、完全にこれができていないものもありますが、基本的に2コマ連続は全部です。そして、課題解決型、PBLの授業をたくさんやっております。それから体験型授業もやっております。やはりリアリティーを感じないと、学生のモチベーションはあがらないので、できるだけ現場に連れていくような授業をやっております。かつ、実務家のゲストをたくさん招へいいたしまして、実際の話をしてもらっています。これは、リアリティーと、最先端の情報を入れるために大事だと思っております。ケーススタディーもうたっておりますが、基本的には実務家を多用しております。そして、場と教材へのこだわりとして、できるだけ創造的なアイデアを出すような場所でやろうと、建物の中にワークショップができるような部屋など特別な部屋用意しております。
 授業風景ですが、残念ながらこれは工学部の大講義室で、このような部屋しかなくて、ワークショップはやりにくいのですが、このような感じでやっております。学生には必ず、グループ討議の後、発表させるということをやっております。
 そして、体験型授業ですが、現地に行く取組としては、シリコンバレーに学生を1週間連れていくというものをやっております。それから、今年から始めましたけれども、バングラデシュに1週間連れて行き、現地で見聞し、いろいろなところでインタビューをして、例えば、農村で、何が本当に必要かということを自ら考えてディスカッションさせて、具体的なサービスを提案させるということをやっております。
 場の設定については、できるだけ、壁全面ホワイトボードにしたり、丸いテーブルで移動式のものにしたり、といった工夫もしております。そういう場所でいろいろなワークショップを現在やっております。
 続きまして、幾つか特色あるプログラムを御紹介いたします。先ほど、シリコンバレーに学生を連れて行く授業があると申し上げました。これが一つでございます。これは、我々の組織のために寄附をしていただいたロバート・ファン氏から、これで何か学生に、元気が出るようなことをやってもらいたいということで、8年ほど前に1,000万円程度の寄附を頂き、始めたプログラムです。目的は、学生の起業家精神、アントレプレナーシップと国際意識を養うことで、国内ではなかなか気がつかないということで、現地に連れて行こうということになりました。そこで、国際性とアントレプレナーシップのメッカと言われるシリコンバレーに連れて行って、いろいろな見聞をさせるということで始めたものです。
 これは今年の3月にやった例です。期間は1週間で、メンバーは九大の学生20名と、提携校の早稲田から6名です。大体このパターンでやっておりますが、多様性を確保するために、できるだけいろいろなバックグラウンドがある人に参加してもらっております。そして社会人も1~2名入れております。留学生もおり、極めて多様なメンバーでやっております。
 どのようなことをやっているかというと、現地でベンチャービジネスを見ます。会社にも行って話も聞きますけれども、それ以外にNPO、社会的起業をしている方、アメリカの会社で働いている日本人数人とのパネルディスカッション。アメリカの大学に留学している研究者ないしは学生たちとのディスカッション。スタンフォード大学の学生のクラスでの合同ディスカッション等々、1週間、朝8時半から夜の9時ぐらいまでほとんど缶詰にして、二十幾つのコマをやっております。また、お話しいただく方には全員、自分たちのパーソナルヒストリーを話していただき、そのロールモデルと自分の生き方を比較するということをやっております。このように、どのように新しい事業を興すのかということよりも、なぜやるのか、何をやるべきなのかということを気づかせるという講義にしております。
 行った後、学生は1週間で大変大きく変わるといいますか、1日目から興奮状態になるのですが、「こんな元気な大人は見たことがないと。成功している人ばかりではないのに、どうしてみんなあんなに生き生きしているのでしょうか」というような感想を言います。「皆さん、好きなことをやっているから元気なのですね」という感想を持つ学生が多くいます。ここに書いたように、その後の感想としては、自分の好きなことを仕事にするとか、まず一歩を踏み出す勇気を持つとか、学生は自分なりの感想を持ってやります。その結果、日本に帰ってから、この取組を始めて8年になりますけれども、海外に留学しようという学生がすごく多くなりました。それから、専攻を変えた学生もいます。土木の学生が、「本当はこれはやりたいことではなかった」と言って、専攻をコンピューターサイエンスに変えて別の大学院に行った学生もおります。彼らの人生に大変大きな変化を与えるような影響を与えております。
 次にアイデアラボです。これは先ほどのチャートに記載してあります。いわゆるデザイン・シンキングの考え方を入れて、新しいアイデアをいかに創るかということについてのトレーニングをする授業です。このように、いろいろな付箋紙を使ってやっております。
 続きまして、デザイン・シンキングです。これは今年から始めたのですが、先ほどのアイデアラボの講義が比較的基礎的なものに対して、少しアドバンスなことをやろうということで、IDEOというデザインファームと提携いたしまして、講師の方に来ていただいて、4日間の集中講義をやっております。
 そして、バングラデシュに学生を連れて行く取組です。1週間ですが、その前にいろいろなシミュレーションをやって、デザイン・シンキングの基礎授業をやり、オリエンテーションをし、そして日本で実際のシミュレーションをやった後、現地に行き、戻ってきてから具体的なアイデアを提案させて、社会人も参加しているところで発表会をします。
 地域デザイン論はいわゆるパブリックアントレプレナーを創ろうということで、地域の問題について幾つかテーマを挙げさせて、地域を変える政策を提案させるというものです。これも3~4か月ぐらいの講義と、PBL的な取組でやっております。
 チャレンジ&クリエイションは先ほど申し上げました、学生からアイデアを募り、選抜し、上位8チームに50万円与えて、1年間、それを実際に実現させるべく取り組ませ、最後にまたもう一度、審査会をやって、上位3チームを決めるというプロジェクトです。いろいろなものがあります。どちらかというと、最近は社会的なものが多いです。地域をどう変えるかということで、今、九州大学のキャンパスがあります東山地域の活性化のためにどういうことをやるか考えるプロジェクトが、グランプリを取っております。どのようなものがあるかというのは、お手元の資料にありますので、後ほど御覧いただければと思います。
 先ほど言いました、九大祭の模擬店を一つの会社に見立ててやるというプロジェクトです。本格的な決算書つくり等も含めて、本格的な形をとらせております。これは、慶應大学でも同様の取組を正規授業としてやっているそうです。そちらをコーディネートされている方からアイデアを頂いて始めたものです。
 以上が事例なのですが、我々のやり方として大変大事だと思っておりますのは、やりっ放しということではまず駄目だろうということです。そのため、評価をきちんとやろうということを教員同士で確認しております。どういうことをやっているかここに列挙させていただきました。ソフトウエアを開発して、学生の成績と学生の授業の感想等の相関を分析するというシステムを、現在、開発中です。それ以外に、QRECの全科目につきましては、毎回講義評価アンケートをとり、かつ、全講義が終わった後もとっております。それで、これにつきましてはどこが悪かったか、どこがいいのか全学の講義との比較をしております。そして、こういったマクロデータだけではなくて、実際に学生との意見交換会を年に2回やっております。ここで生の意見もとるということにしております。その他、教員同士のピアレビュー、教員同士のディスカッションというものもやっております。
 そして、このようなアントレプレナーシップ教育は、日本にはまだまだいい例がないということで、我々としましては、できるだけいい例を学ぼうと、海外及び国内のモデルとなるところとの連携を進めております。ここに書いたようなところと、いろいろな形で連携しています。ここには東京大学i.schoolの先生がいらっしゃいますが、堀井先生にはいろいろ教えていただき、更にいろいろなリソースを入れようと、イノベーション教育学会にも参加しております。
 もう一つの大きな、チャレンジといいますか取組で大事だと思っておりますのは、我々の教育が浮いてしまってはしようがないだろうということです。できるだけ学内の各部局の教授会に行って取組を説明しております。それだけではなく、最近どの学部もイノベーション人材が必要だということで、専門以外の教育をやりたいというニーズを持っております。そのニーズを受けまして、縦の専門のところは各学部でおやりください、我々は横串をやりますというように、幾つかの部局から依頼を受けて、キャリア教育、アントレプレナーシップ教育、マルチイベント教育をやっております。ここに挙げておりますが、システム情報科学府、工学部、いろいろなところとやっております。そして、同時にそちらの教員の方にも御協力いただくということで、我々の少ない人的リソースをカバーしながらやっております。
 それから、九州大学は分散キャンパスであり、また、教員数も少ないので、いろいろなITを使わないといけないということで、アメリカの教育支援ソフトでありますBlackboardシステムというのを使っております。その他、ホームページもできるだけインタラクティブにしております。加えて、我々の活動をできるだけ世界に発信して、世界のモデルとなる大学から興味を持っていただいて、我々に協力してもらいたいということで、国際的なワークショップも開催しております。これのチラシはお手元にございますので、後ほど御覧いただければと思っております。
 この2年半の成果ですが、2010年に設立した後2011年4月に16科目開講でスタートしました。最初の年は316名が総受講者でございましたが、昨年は500名になっております。大体、学部生と大学院生、半々です。今年は七百数十名になる予定です。我々、目標は早く1,000名を超したいと思っているところです。
 数字以外の成果といたしましては、我々の指導した学生が、工学部の学生とビジネススクールの学生がジョイントで、アメリカのDOE、エネルギー省の主催するビジネスプランコンペに毎年応募し、3年目の今年初めてグランプリを取りました。また、リーディング大学院予算獲得にも協力しております。その他、地元の福岡市が進めております地域競争力強化政策に、人材育成というところで協力してもらいたいというようなお話も頂いております。
 今後の課題はいろいろございます。学生にはこのような取組が大事だということがまだ分からないため、授業に来てくれないことが悩みです。また、やはり大学の中では、このような教育というのは色物だとして、余り重要視されておりません。学生が研究室の教員に、「この授業に行くと言うと、そんなものやめて、実験の一つでもしてデータをとってこいと言われるので、黙ってきました」と言う学生もおります。もっと理解が進めばと思っております。
 我々のモットーは白熱講義ということで、このような講義ができればいいなということで今進めております。以上です。時間が相当長くなりまして失礼いたしました。

【濵口主査】  ありがとうございました。後でお時間があれば質疑応答に入りたいと思いますが、次に豊田委員より「事業創造人材の創造」について御説明をお願いします。
【豊田委員】  皆さん、こんにちは。リクルートワークス研究所の豊田です。今、谷川先生から御報告があった内容ですとか、あるいは、前回私は欠席してしまいましたが、堀井先生等の具体的な大学の取組とは全く趣を異にいたしまして、私どもが、企業の中で、しかるべき本人の能力を発揮し事業創造したという人材には一体どのような特性があるのかということを、2年ほど前に研究いたしました。そこから、このテーブルにおけるイノベーション人材というものに何を期するのか。更に言えば、ポストドクトラルフェローの方々とか、あるいはドクターキャリアの方々には、一体どのようなことが育まれていることが求められているのかということを、かいつまんで御報告したいと思います。
 冒頭に、イノベーション人材という言葉ではなく、事業創造人材という言葉を使いました。これは、前回の資料の中でも、イノベーションイコール技術革新ではないよねという御指摘が、たしかあったかと思います。我々自身も、イノベーションという言葉を使うのが危なっかしいなと感じております。ですので、ここでは新しい商品ないしはサービスの輩出を通じて、事業を生み出した、マーケットを生み出した、このように定義して、この人たちに着目しようという形で、この言葉を置いています。
 今日お話をしたいことを、冒頭にかいつまんで4点、ポイントで先に申し上げておきます。21世紀型の事業創造に関しては、具体的に何を指し示すかは後ほどお話ししますが、ソーシャルストーリーというものとビジネスストーリーの2つが必須であって、事業創造人材は、この2つを紡ぎ出せる人材だということが、まず明確な定義として私どもの中で出てまいりました。
 さらに、その人たちは一体どんな思考・行動特性を持っているのか。ここに、よき社会への信念等、いろいろな言葉が書いてあります。この言葉を全部説明してしまうと今日の時間は足りませんが、こういう部分がある。でもこれは、先ほどのソーシャルストーリーとかビジネスストーリーといったものとも密接につながる、ある種の、本人の持っている特性であり、これはいろいろなことから育むことができるというものだと思っています。
 一方で、こういう方々から話等を聞いていると、こういう方々は、企業の中で育成できるのかと。育成はできないのではないかということが見えてまいりました。たしか私の記憶では、この委員会の第1回の席上で、川端先生ではなかったかと思いますが、企業はイノベーション人材を育てる気があるのかというような御発言があったかと思います。私どもが見ていても、育てる気はあるのかもしれないが、実態的に企業の中でそのような人たちが育まれないような構造が、あるいは潰されてしまうような構造があるという側面も感じております。
 さらに、ここまでのことを踏まえた上で、ではそうした、ある意味でなかなか状況が厳しい、構造的にも必ずしもイノベーションを満たすということが、フォローウインドが吹いているわけではないような場に出ていくPDあるいはDCの方々は、何を必須条件、必要条件として持っているべきなのか。ソーシャルストーリーが一番重要な鍵なのではないかと思っています。以上を、もう少し御説明したいと思います。
 お手元に「事業創造人材の創造」という小冊子がございます。今からお話しします内容はこちらの方に詳しく書いてございますので、後ほど、もし私の話を聞いていただいて御興味のある方はお読みいただければと思います。さらに、お手元にもう一つ、この書籍を置いてあります。電機連合の中のシンクタンク組織である電機総研からお声掛けを頂きまして、一昨年、昨年と2年間にわたりまして、ある研究プロジェクトをやってまいりました。電機メーカーにおけるエンジニアが残念ながらなかなか育っていない。この業界は皆さん御存じのとおり非常に迷走している部分もあります。こうした中でしかるべき人材をどうやって組織に入れ込み、なおかつパフォーマンスを発揮してもらえるのかということを幾つかの観点で研究したものですが、この中でも、ここで言う事業創造人材がなかなか実は育っていかないというようなことも、少し見えております。何点かレポートが入っています。私が書いているペーパー等の中では、そういうことをまとめてあります。
 戻りまして、この事業創造人材の事業創造にある観点についてです。釈迦(しゃか)に説法、繰り返しになりますけれども、いわゆるインベンションや発見・発明だけで、いろいろなものが生まれるという時代ではもはやなくなっています。世の中、どのようになっていくべきなのか、あるいはしていきたいのかというような絵を描く、そういうソーシャルストーリーをきちっと持つということと、一方で、それを当然、市場に定着させる。ジャストアイデアですね。何か一本打ち上げ花火を上げるのではなく、事業として継続させて、市場を継続的に創り続けていくことができて、初めてそれがイノベーションという事業創造につながるわけです。ビジネスストーリー、いわゆるマネタイズの部分ですね。それをきちんと描く。この双方があって初めて事業創造ができ上がるのだろうと考えました。考えましたというより、15名のメーカーのエンジニアの方、マーケットの方々、いろいろな方々のディープインタビューを通じて、彼らの中にあるものを紡ぎ出すと、この2つのシンボリックなストーリーが出てまいります。
 この方々をちょっと、ストーリーテラーの人物像という形で、やや遊びっぽく表したものがございます。この方々はソーシャルストーリーを描くあるいは語る、ある意味でとても青臭い、世の中はこうあるべきだということを真摯に語り続けられるというような青臭さをどれぐらいの年になっても持ち続けているということと、一方で腹黒さですね、やはりそうはいいながら、ビジネスをちゃんとマーケットに創る。さらに、これは企業の実態を御存じの方は分かると思いますけれども、事業創造は潰されやすいわけですよね。既存事業という部分を超えていく必要があり、抵抗勢力はたくさんいます。それと戦うときに、この腹黒さがとても必要です。
 確かに、インタビューをした方々、どう言えばいいのでしょうか、とてもいい人というより、一癖も二癖もやっぱりある人たちで、そういう、やっぱり何か青黒さのようなものが、いろいろなことをブレークスルーするときには非常に重要で、いわゆる、世の中で言われるとてもいい人とは何か違う、この辺の部分も実は一つの勘どころとしてあるのではないかと思っています。
 ソーシャルストーリー及びビジネスストーリーを双方紡ぎ出せるという方々は、どのような思考・行動特性を持っているのかと言いますと、2枚ほど前のスライドでもお話をしましたが、やはり大きな観点としてあるのは、よき社会への信念というものが非常に強い思考特性であり、それを支える、あるいは連動するような形で、常識の枠を超えるような行動特性です。「既存の在り方はこうであって、それで本当にいいの」、「もっとこうなんじゃないの」と、どんどん既存のものを、いい意味でリセットできるような力。そのベースにあるのが、「いや、違う、世の中もっとこういうふうになっていった方がいいよね」、今ある状態だとこういうふうになっていないではないかというような、ある意味で現状に対する強い問題意識や疑問を強く持っている。それが青臭いソーシャルストーリーにもつながり、それを実現していく上でのビジネスストーリーをきちっと紡ぐという部分にもつながるという。一番上にあります思考・行動特性が、非常に大きな、欠くべからざるポイントではないかと思っています。
 これらを中心にした上で、一方でこの方々、こういうことをなしていく上で、先ほど失敗経験の話もありましたけれども、当然、成功体験以外のことも含めて、自分自身のそれまでのいろいろな経験の中から、このことに関しては俺が絶対誰よりも一番知っているというような、非常に強い信念、自負を持っている。こうしたことが今の部分を側面的に示唆します。実際、事を進めていくという形であるのは、強烈なゴール志向、結果を絶対に出す。要するに、結果を出すまでやめないみたいというものですかね。そのような強い信念。当然そこに粘り強さの部分のようなものも当然出てまいりますし、なおかつ即断・即行の、こっちではないか、だとしたらこっちに行ってやってみようと。すぐにジャッジ、すぐに行動していく。こういう高速前進思考で、何か当然、問題があれば、すぐにスイッチングしてどんどん前に進めていくというような顕著な思考特性があり、それを支えるものとして、どんどん自分で、これが必要だとすればいかに手に入れるか。それは人かもしれませんし、物も金も含めてです。それについていろいろな手段を選ばない。一方で、それまで必要だと思ったものも、「あ、こっちか、違うな」と、自分が思っていた方向性が間違っていたと思ったら、あっという間に捨てられるという部分。あるいは、先ほどの即断、即行、推進する。決めるということですね。
 なおかつ、これをやるぞという形でどんどん宣言してどんどん進めていく。さらに、やめない。これも実はとても大切なことです。先ほどお話をしましたとおり、企業の中にはたくさんの抵抗勢力が当然あります。その人たちに潰されそうになるわけですが、手を替え品を替え、要するにやめなければいつか事はなせるという非常に強い行動特性を持っている。こうしたものが事業創造を創る人の特性だと思っています。
 一方で、先ほど申し上げましたとおり、企業の中でこのような方々が輩出され、育成されているプロセスがあるのか、先ほどお話しした電機連合の中における電機メーカーに働く数千名のエンジニアの方々の調査等及びその方々をマネージする、いわゆる課長あるいは部長職の、エンジニアをいわゆる育成していく方々へのインタビュー等から紡いできましたところ、なかなか難しい状況が見えてきました。
 このワードは、先ほど申し上げたようなマネジャーあるいは部長職の方々に、「あなたの部署の技術系若手社員の育成に当たり、どんなことを重視し、どんなことをやっていくのか」ということをテキストで書いていただき、数千のテキストが得られましたけれども、それをテキストマイニングして、そこの中からつながりを抽出している、途中の中間生成物です。何がここから読み取れているかという部分は詳しくレポーティングしてありますので、御興味がある方はお読みいただければと思います。
 このことから見えてくるのは、究極的には研究開発の現場が待望するのはこの4つの人物像なのだなということです。ニーズの高度化に対応したスペシャリスト、ある領域を掘っていって、何人かの方がまさにT字状の形でおります。まず一本のちゃんと自分自身の専門領域をきちっと持つこと。なおかつ、まずこれを創ることが最初、初期キャリアでまずこれを創る。これが大前提になっているという考え方が非常に根強いということです。
 それを踏まえた上で、2つ目に、多くの現場の中で求められている人物像、「現場を動かすプロジェクトマネジャー」と書きました。社外のある種のニーズ、それは直接のイノベーションニーズというよりは、今、目の前にある、ある企業からのオーダーや、あるいは既存商品をもう少しマイナーチェンジしていくとか、比較的、あさって、しあさってという、今日、明日の課題に対応していくというプレーヤーを非常に強く要請しているという声が強いなと感じました。いわゆるプロジェクトマネジャーは、いろいろな組織、人、物、金を束ねて動かしていくということですが、一方でこの人たちがやることは、乱暴に言ってしまうと、イノベーションあるいは事業創造ではありません。既存の物でいいし、より発展させていくという、現状をより膨らませていくという部分が中核的なミッションになっています。
 3番目に書きましたのは、技術革新の担い手であるテクノエキスパートについてです。一昔前に、日本企業だけではないですね、世界の製造業の中で中央研究所が全盛の時代がありました。そのときに待望されていたような人材です。この声は、結果的には実はごく一部に限られました。特に電機メーカーの側面が強いのかもしれませんが、このような方々を、企業の中で抱えるというよりは外に求めていくというような傾向からか、このような人材の需要は決して厚くはないのだなということを改めて確認しました。
 さらに、事業創造人材についてです。このような人たちを、現場の人たちは生み出そうとしているのか。残念ながら、このような方々を育成していこうという意図は、先ほどの現場のマネジャーさんたちがどういう形で部下を育成していくかというシナリオからはほとんど見えませんでした。ごく一部のストリームしか見えませんでした。一方で、電機メーカーの中では、特に昨年、一昨年、グローバル人材という言葉がかなりけん伝されました。この言葉は、よくよく聞いてみると、やはりこのテーブルで議論されているイノベーション人材や、我々が言うところの事業創造人材と、極めて似た点にフォーカスをしている視点です。このマネジャーさんたちに、このような人たちはあなたの会社で必要かと。それはどのような人たちなのかと聞くと、多くの方が、割合で言うと7割ぐらいの方が、当然必要だ、極めて必要だと答えます。それはこうこうこういう人であるということは、今、私が申し上げたり、あるいは今、皆さんが議論したりしているイノベーション人材が重要だとおっしゃる一方で、現場ではそういう人を育てる方向性になっていないというような、事業がやはりある意味で、今、今日、明日を食っていくところにやや必死になってしまっているという、近視眼的になっているところも当然あろうかと思います。そうしたところを手伝って、あるいはこの人材育成のプランは、ある意味で、まずベースになるスペシャリスト、スペシャリストといっても、企業の中である部分がまずできる人を、いわゆるしばらくはでっち奉公みたいなことを含めて、10年ぐらいある領域でずっとやるといったことを、一義的に人材開発の最初のプランとしておいているという形です。ある意味で企業の枠、たがにはめるようなマネジメントが、そこで中核的に行われていると言ってもいいのかもしれません。
 このことが、先ほどお話をした、ある意味でやや、はね返り的な部分もあるような、事業創造人材の卵を潰しているということは容易に想像がつきます。そうしたことは、企業の現場の方と話をしても、確かにそうなんだと思っていながら、現場、現実で、今の細分化された領域の中で、この専門性を追求するというエンジニアから、未来の事業創造をするような人間が育つというイメージは残念ながらない。でも、その構造がなかなか変えられないというお話もよく聞く話です。
 最後に、ではこの話をこのテーブルの論点にちょっと引き付けてみましょう。潰されているという話をレポートの一部に書きました。今申し上げたような形で、残念ながら企業の中で言うと、かなりトラップが多くなっています。当然、これは企業が改革しなくてはいけない大きな問題点だと思っています。
 一方で、今申し上げた事業創造人材というのは、ある意味でスーパーマンモデルのような側面があると思っています。こうした人が当然いればいい。けれども、このようなスーパーマンはなかなか現実的にいない。逆にこういう人たちが持っていたような資質あるいは機能を細分化して、何人かでいわゆる分派しながら持つことによって、事業の中にイノベーションを起こすという考え方も当然あると思っています。
 ここに書きました五角形は、まだ試作品というか、ディスカッションをしているもので、外に出せる代物ではないのですが、今申し上げたソーシャルストーリーテラーのような、青臭いことを含めて、こうあるべきだと強く語る方、あるいはそういうことを持っている一方でビジネスストーリーを紡いでいく。更にプロジェクトマネジメントをきちっと推進する。実は、この3つを完璧に兼ね備えているという方が事業創造人材だと我々は申し上げているのですが、一方で、事業創造にはある種の、現場で知的創造をしていく、いわゆる未知のものを生み出していくというインベンターのような役割も必要ですし、更に細かなことをきちっと紡いでいく、テクノロジストと優秀な人たちも当然必要です。恐らく、このようなものの合成で最終的に、新しい事業、新しいイノベーションが世の中に出ていく。
 では、ここで議論をしているポスドクの方々、あるいはドクターキャリアの方々が何を持っていなければいけないのか。2か月ほど前に、ポスドクの方あるいはドクターキャリアの方、5~6名とディスカッションする機会がたまたまありまして、このマップを見ながら、皆さんは今の時点でどれを持っていると思いますかという話を聞きました。答えは、皆さん容易に想像がつくのかもしれませんが、いわゆるテクノロジストの部分、自身がいわゆる研究をずっと重ねてきた部分で、いろいろな技術の部分については、それなりにある程度自分は持っていると思うと。でも残念ながら、そこにいた方々がどのレベルの方々なのか、私は拝察する力量はありませんが、上に書いているソーシャルストーリーの部分に関してはなかなか心もとない。当然、ビジネスストーリーの部分については、ほとんど持っていないに等しいですということをおっしゃっていました。
 一方で、ビジネスストーリーを紡ぐということ自体は、恐らく、会社の中に入った上で、あるいは社会に出た上で、いろいろな形があります。あるいはこの部分を代替してくれる人間というのは恐らくいるんです。ですが、ソーシャルストーリーの部分を紡ぐ力そのものは多分替えられないものであり、どのような名称で事をなすにおいても、事業創造人材、あるいはここでお話のキーワードになっているイノベーショナル人材に、どう考えても必要不可欠なのはソーシャルストーリーテラーである。その素養を持っていることです。
 よく企業が新卒採用の局面で、いわゆる大学生相手に、あなたは会社に入って何がしたいですかということを聞いています。まだまだ社会経験もない大学生に、意外とソーシャルストーリーを語ってみろということを言うわけです。私は、実はこれは大変大きな間違いだと思っていて、数年前に書いた『就活エリートの迷走』という中でも、それが若手の迷走を生み出すのだと書いていますが、一方で、ポスドクやドクターキャリアの方々は、恐らくそれを企業に向けてきちっと語れなければいけないのだと思います。テクノロジストの部分については企業の方々も認識していますが、ポスドク、ドクターキャリアの方々が、しかるべきソーシャルストーリーテラーであるかどうなのかということに関しては、多くの企業が実はかなりクエスチョンを持っている気がします。ですからなかなか門戸が開かれないという側面が少なからずあるような気がします。PBL等を通じていろいろな力をつけていく部分があると思うのですけれども、一番大切なのは、彼が、彼女が、いかに世の中に対して、自分自身が思っている技術あるいは今までの過去の経験・知識等を通じて、世の中をどういうふうにして、どのマーケットでどういうことを起こしたいのか。なぜならば、自分自身は、これではおかしいと思っているから。こういうことを、何か自分のしたいことだと考えて、必要だと思っているからという、強い信念のようなものを持つ、持たせること。とても感覚的な、漠然としたお話ですけれども、そのような部分が鍵になるのではないかと私自身は考えております。少し長くなってしまいましたが、私の発表は以上です。御清聴ありがとうございました。

【濵口主査】  ありがとうございます。それでは最後に西口委員より、企業から見たイノベーション人材育成等について御説明をお願いいたします。
【西口委員】  産業革新機構と、それから社団法人Japan Innovation Networkを兼務しております西口と申します。
 今日は15分ですので手短にと思っております。また、文部科学省の会議ではありますけれど、どちらかというと経済産業省を中心として活動してきた内容と、文部科学省が考えてらっしゃることをどうブレンドすればよい日本になるのかという観点で、お話をさせていただきたいと思います。
 革新機構というのは、時々新聞にも名前が出ますけれども、基本的には投資をする会社です。私がなぜ、このイノベーション人材育成というテーマに、投資会社にいるにもかかわらず足を踏み入れたのかということをまずお話したいと思います。
 私は、革新機構ができたときに、創業メンバーとして民間側から、ほぼ拉致されるような形で入ったわけです。どのような投資をするのか、どのような投資をするのか、そもそもどのような、産業構造を作っていくのか等々について、創業メンバー、当時はまだ十数名でしたが、それと経済産業省から法案を書いた方が来られているだけで、法案はあるけどもビジネスプランはないという状況が革新機構の創業時でありました。その中で、どうやって立ち上げていくのかということを中心的にやってきた人物です。
 そういったことをやっていく中で、ベンチャー企業の経営者の方々が、革新機構というのができたらしいので、とりあえず投資してくれと、随分お越しになりました。実は、そういった方々と何回かお目にかかる中で、非常に奇妙なある一定のパターンがあることに気づきました。その、あるパターンに気づいたということが、人材育成の話が始まった端緒です。それはどういうことかといいますと、通常、弊社の会議室で60分、面談があります。当然、経営者の方ですから、非常に立派なプレゼンテーションを御用意されてきていて、基本的には、これはすばらしい話ですというお話をされるわけですが、60分の会話のうちの50分は技術の話をひたすらされているという共通のパターンがありました。技術の話をされることは全く問題ないのですが、それで大抵、最後に、「お客様はどういう方ですか」、「これはどういう形でもうける仕組みになっているのですか」という話を投資家の立場から伺うわけです。すると、ほぼ、10社続けて「これは何とかなります」、「この技術ですから、必ず皆様、分かってくれます」とお答えになることがありました。きちんとエクセルのシートが用意されていて、毎年15%ずつ売上げが上がりますという、直線の売上げが上がっていくグラフがあって、これが私のビジネスプランですとおっしゃっていますが、「お客様の具体的なお名前は」、「どんな方に会ってらっしゃいますか」と聞くと、「いや、まだ会っていません」というような会話が次々とあったんですね。1人、2人の経営者の方であれば、ある種、特異点かなと思ったのですが、そもそもスタートアップのベンチャー企業で、これから事業を起こそうとする方が、まだお客様も見ていなくて、事業モデル、ビジネスモデルというと何かすごいことのような話です。要は、もうけるストーリー、物語という意味のビジネスモデルを余りお考えになっていない。
 そこで、どうしたものかなと正直思いまして、結局、「ではお客さんについて調べてきてください」というもうけ方の話になります。投資ですと、やはり、もうけ方が分かっていないと投資のしようがないわけですから、もうけ方についてきちんと検討されたら、また是非来てくださいねということになります。今では、官民ファンドという言葉が比較的よく出ていますけれど、当時は割と珍しかったので、どちらかというと、できるだけ丁寧にと思いまして、是非、御準備ができたらまたお会いしましょうというお話をしましたけども、誰も二度と帰ってきませんでした。つまり、技術の話はものすごく一生懸命されるのですが、お客様や、どうやってもうけるのかというストーリー、ビジネスモデルについてのお話について真摯に向き合おうとすると、どちらかというと逃げていき、余りそこに踏み込んでこられませんでした。これはまずいなと思いました。というのは、ベンチャー企業の方々というのは、実は結構、大企業をスピンアウトされて企業を創りました、構造改革が十数年続いた結果、本体から離れて、御自分の夢、自分の研究テーマを持ち出して、いい意味でスピンアウトされて、何か事業をやってらっしゃるわけですね。その方々が、まさに、当時もよく言った、技術に勝って事業で負けるという状況だとすると、これはまずいなと思いまして、海外を含めていろいろな方々と議論をしてまいりました。それをとおして、ある一定の調査結果を出して、その実践を今やろうとしているということです。
 何をやったかと言いますと、今はスタートアップのお話をしましたが、結局、根っこはいわゆる既存の企業ですね。大企業、中堅企業を含めて、ある一定の企業に在籍されている方々が、いかにイノベーションを起こし続けるかという観点で、そのもとは人材育成だと思って始めたら、先ほど豊田さんもおっしゃっていたとおり、これは人材の育成というよりは発掘の問題であるということに気づきました。そして、発掘するだけでは実は駄目で、企業の運営の仕方自体の問題であるということに、すぐに関係者の間で気づきました。それは一体何なんだと。皆さんの記憶にあるかどうか、1970年代から80年代にかけて、日本が、今からは想像もできないぐらい、今の若い人たちからは全く何のことか分からないぐらい強じんだった時代がございまして、その頃、欧米から日本に大量に視察団がやってきて、日本のシステム、どうやって企業経営をやっているんだ、どうやって工場を回しているんだということを、徹底的に調査して帰っていきましたよね。例えば、日本では朝礼をやっておるといって、では朝礼をやればいいのかといって、アメリカで朝礼をやっても全然うまくいかない。では社歌かと。そもそも社歌はないので社歌をつくろう。しかし、社歌をつくって歌ったけど、全く何も変わらない。何を言いたいかというと、表面的にやっている事象をまねするだけでは駄目で、本質で何が起こっているかということを理解しなければ何の意味もないということの、一つの例だと思います。
 実は今回、私たちはその逆のことをやったと思っています。イノベーションというと、グーグルだ、アップルだという、いわゆる創業者が立ち上げて、また創業者がそのまま経営に携わっている企業が割と話題に出がちですが、これは日本の大企業、中堅企業には余り参考になりません。創業者がいる企業であれば、日本でも創業者は一生懸命頑張っています。問題は、創業者世代が終わって次世代の経営者が経営しているところに大きな課題がある。そういった観点で、特に欧州と米国の、いわゆる創業者世代が終わって、第2世代、第2あるいは第4世代の経営者が経営しているけれども、地球規模でイノベーションを起こし続けている企業は一体何をやっているのだろうということを、一度見てみる必要があると思いました。個別の事象はいろいろございます。例えば3Mが15%ルールをやっている、ホワイトボードだらけの部屋があって、そこで何かやっているらしいなど、いろいろな個別の事象はよく聞くけれども、本質的には何をやっているのか。そこで、イノベーション人材をどのように扱っているのかということを、一回、個別事象を集めるだけでなく、それをコンセプト化してフレームワーク化してみようということをやりまして、それが完成しているというのが今日の状況です。そういった意味で、今日お話しするのは、人材にフォーカスしたお話をしますので、少し組織の問題にも触れざるを得ないので、そこを簡単に触れます。
 まずイノベーションの定義ですね。これは、2004年から2005年に出ましたバルミサーノレポート。ここにIBMの方もいらっしゃいますけれども、極めて明確な定義をされていまして、これが正しいと私たちは思っています。つまり、インベンションとインサイトの掛け算がイノベーションであり、結果、経済的・社会的バリューを生み出すものがイノベーションであるということです。インベンションは発明です。インサイトは洞察。これらの掛け算でイノベーション。インベンションというのは、どちらかというと技術力の話で、実は日本は、インベンターが町中にあふれている、ちょっとした工夫も含めたらとてつもない量のインベンターがあふれている、非常にすごい国だと思います。なので、インベンターに関しては様々な、それこそ駆け引きも含めて様々なことが古今を含めて投じられていますが、抜けているのはインサイトなんですね。マーケットをどう見るのか、人々の行動をどう見るのか等々、インサイトが0だと、どんなにインベンションが100でもインサイトが0なら結果は0になります。そのインサイトとは何かというところがポイントです。私たちが欧米の企業経営を見て気づいたことは、インサイトをどうやって組織的に取り入れるかということに人材育成あるいは人材発掘の仕組みの焦点があって、経営の根幹をそこに置いているということです。なぜならインベンションは、極端に言うと他者が創ったインベンションを持ってくればいいという発想があるからです。インサイトはオリジナルでないと駄目なんですね。そういった意味で、人材育成の焦点は、まずはインサイトを、しかも上質のインサイトを、できれば他人が気づいていないインサイトをいかに創れるかということにあるということが、私たちの一つの考えです。
 では、それはどういうことかというと、フロント人材研究会2回目で、それこそ様々な、豊田さんたちがなさった研究も含めて研究したのですが、簡単に言いますと、発想フェーズと実行フェーズにおいては人材のタイプが違うということを気づきました。原点になるのは、創造のエネルギーがそちら側から見て左側にあります。その創造のエネルギーに対して、思考を支える特性、発想を生み出す思考、あとは発想を生み出す外部との関わり方、それから外部との関わりを支える特性ということです。創造のエネルギーの中には、ここに義憤という言葉がありますけれども、これはまさに、あるべき状況に今なっていないということに対して怒る気持ちがあります。あるいは知への渇望等がポイントで、創造のエネルギーがあるだけだと、単に怒っている若者とか、怒っているおじさんとかになってしまいます。それでは、エネルギーはあっても前に進まない。そこに何が必要かというと、まさに、右に4つ書いてあることがポイントになります。ポイントは、創造のエネルギーがあって、そこにある一定の特性が掛け合わされると、発想というものは進むなと、私たちが見ていることです。
 一方、実行ですけれども、ここもやはり、実行するには創造のエネルギーが必要で、これもやはり義憤ですが、達成への執念や、これは何としても自分でやりたい、自尊心という場合もあって、それがやがて4つの、動員する力を支える特性、動員する力、やり切る力、それを支える特性という形で組み合わされて、実行されていくと見ています。
 そのような形で、このモデルをもとに、実際にイノベーションがどのように動いているのかということをプロセス化すると、ここのような形だと思います。人材育成の話で、これは非常に重要なモデルだと思っているので、特に企業の立場から見たときに、まず向かって左、課題発見、コンセプト化、事業モデル化があります。ここで、事業創造ステージと言っていますが、これは一言で言うと、白地の紙に自分でデッサンを描く力です。これは4択から答えを選ぶとか、先生が期待しているとおりの論述回答をするという能力等とは全く別で、白地にデッサンを描く力です。そのベースになるのが、特に課題発見については、まさに「創造のエネルギー」と書いているところに表されているものではないかと思います。
 しかし、先ほど申し上げましたとおり、課題を発見しただけでは、発見しただけでございまして、それが次につながるかどうかが重要です。ここからは本人の気持ちもありますけれども、ある程度のスキルが必要になってきます。それは、コンセプト化、事業モデル化なのですが、コンセプト化というのは、そもそも見つけた課題をどうやって解いたらどういういいことが起こるのだろうということであり、ビジネスの場合は、それを持続的に回すためには当然キャッシュが回らないといけませんから、それをどうやるのかということを考える事業モデル化と、その後の、事業プラン策定、ファイナンス、立ち上げ、発展というのは、丸善とか紀伊国屋に行けば、山のように本が出ていますし、ネットでちょっと探せばありますし、そもそもこういったことを支援してくださる、大手・個人を含めて支援者は日本にいっぱいいます。財務、法務その他含めて、全ての分野について、非常に優秀なサポートファンクションは日本にあります。しかし、問題は最初の3つなのです。
 今は、課題発見から事業モデル化は極めて属人的に、できる人は簡単にできますが、できない人はそもそも何の話をしているか分からないという場合が多いです。企業の方々と約3年間、比較的大手の企業、R&D若しくは経営企画の方々と議論をしていく中でよく出た言葉が、「うちは技術はいっぱいある。だけど技術の使い方が分からない。あるいは技術を使うべきテーマが分からない。このテーマをどうやって見つけたらいいんですか、西口さん。」この会話を私は何度繰り返したか分からない。しかし、裏返して言うと、テーマを見つけることができれば、そこにどう社内外の技術を組み合わせてソリューションにするかということは、比較的日本人は得意だと思います。つまり、出された宿題を解くことはとても得意なんですね。ただ、自分で宿題の問題を考えて解くということは、そもそもそのようなことを子供の頃からやっていませんから、そこは非常に苦手です。実際に、ここはちょっと議事録から外していただいた方がいいと思いますが、当社に持ち込まれる投資案件の多くは、最初の3つがものすごく曖昧なのですけれども事業プランだけあると。で、事業プランをなぜつくれるか。それは非常に簡単で、他社事例と前例をまねすれば、それっぽい事業プランはつくれてしまうんですね。これが実は企業の中でもかなり起こっている現実でございまして、そういうのは見ていくとすぐ分かるので投資はしないわけですけれども、問題は前半の3つをいかに見つけることができるかです。課題を発見しコンセプト化ができるということと、自社若しくは他社が持っている技術を組み合わせてソリューションに持っていくということは、ある種、表裏一体でして、これをどのように育てることができるかが、企業側から見て非常に重要であると私たちは今考えています。
 また、豊田さんがおっしゃっていた青黒人材の話は非常に示唆に富んでいると思っていまして、私もあのレポートを実は詳細に、ある種、愛読しておりますけれども、欧米のやり方で一つ気づいたことがあります。今回、日本のやり方と欧米のやり方で気づいたことがありまして、日本は、うまくいっているイノベーションの話をすると常に個人名が出てくるんですね。何とかさんがこっそり隠れてという、いわゆる密造酒伝説ですね。こっそり隠れてやったものがうまくいったという話がものすごく多い。そして、大抵、よく分かっていない部長がいて、でも分かってくれる常務がいてという話があちらこちらにある。それ自体は美しい話なのですが、どうも、うまく地球規模でやっている会社は、そもそも余り個人名どうこうというよりは、ある程度プロセス化していて、まさにこういう感じでプロセス化して、かつ、個人の才能も大事なのですが、チームですね。課題を発見する人もいれば、コンセプト化するのがうまい人もいれば、事業モデル化する人もいれば、技術の組合せを考える人もいるというように、それぞれに役割分担をしていて、チームでやっているように見えます。つまり、余り個人名が出るというよりは、チームで実はイノベーションを、かつ継続的に大量に起こしている。起こして、駄目なものはとっとと捨てていくということをやっているように見えます。
 もう一つは、どちらかというと人材育成というよりはそれをどう生かすかという話なのですが、もう一つ分かったことは、どんな会社にも創業期があって、向かって左の新事業創造時代のエコシステム。大抵、創業者に依存して、創業者が走りながら事業を立ち上げていくわけですが、これがやがて安定期に入って、若干停滞する。ここで何をやっているかというと、既存事業を拡大する経営をやっているわけですね。もちろん改善もやっていますし拡大もしていますけれども、基本的には既存事業をやります。過去15年、日本が何をやったかというと、ここに対して、選択と集中だということで、まさに選択と集中して、でも新事業も起こせというのですけれども、なかなか生まれない。ここを幾らつついても新しいものは出てきません。ここをつついて新しいものを出そうとするのは間違いです。これはもうやめましょうということで、彼らがどうやっているかというと、全く2種類の違う経営手法を一つの会社の中に持っている。既存事業の拡大は当然やっています。問題は、経営が2階建てなんですね。新事業創造の社内エコシステムというものを持っていて、これは必ずしも、別にラボがある、フロアがあるとかいう意味ではなくて、そのような経営の仕方を持っているということで、トップの仕事はこちらを主導する。GEのエメルト氏が使っている時間の半分以上はこちらです。P&Gのラフリー氏は時間の8割をこちらに使っています。IBMジャパンのイェッター氏と直接お話ししましたが、彼は、自分の時間の7割をこちらに使っているとおっしゃっている。なぜなら、下はそれを完璧に回せる優秀な副社長以下がいるので、それはその人に任せればいい。ポイントは、まさに今日、いろいろな方がお話しされている、イノベーションを起こすような人材が明らかに必要ということです。ここに、人が3ついますけど、真ん中は経営者です。こちらにイノベーターがいます。ここに、加速支援者という言葉を今回使ったのですが、イノベーションの加速を支援する人。下にあるのは実は社内のプロセスとインフラです。
 今日はここをお話しすることはポイントではないのですが、つまりイノベーション人材を育成したときに、育成したイノベーション人材が、既存事業を拡大する経営手法に入ったら、その人は恐らく、相当不幸になります。大事なことは、このような企業内のエコシステムがあり、そこに、先ほどお話ししたような観点で物をつくり上げるような人、特に向かって左の3つが強い人が実際期待されています。そのようなた人が入っていくと、活躍の場があり、実際、結果につながると見ています。
 しかし、一つだけ重要な論点があります。すごい言葉をつくってしまったのですけれども、それは、「えせ正義の味方」です。どんな組織にも、前例主義と現状維持の方が大事だと思っている方がいます。このような人は、イノベーターが試行錯誤していると必ず足を引っ張ります。これは、足を引っ張るのが駄目だと言ってはもう駄目で、引っ張るものだと思っています。引っ張る人はいるということを前提に企業経営をしないと回らない。ここに傍観者がいるわけですね。どっちも見ながら、どっちが勝つのかなと見ている。こっちが勝つと、やっぱりみんなこっちに行くんですね。大事なのは、こういう方々がちゃんと結果を出せるようにエコシステムをつくって、それを支援することです。このようなところに、まさに、それこそ谷川先生や豊田先生がおっしゃっているような方々が当てはまるはずで、ただこの方々もこのようなエコシステムによる支援がないと、やる気のある不幸な人たちになってしまう。これは国全体として社会として、非常に損だと思います。
 したがって、少し長くなりましたが、今申し上げたことを実践するために、ノンプロフィットの社団法人を先般つくりまして、企業の改革あるいはイノベーションの技術支援、人材育成あるいは発掘も含めて様々なことをやっていこうと考えています。
最後もう一つだけお話をさせていただきます。ある企業から頼まれていることで、実際、Japan Innovation Networkの皆さんとやろうとしているのは、横軸の課題発見から事業モデル化は分かりので、どういう手法があるのかということ、つまり、課題発見にどのような手法があるのか、コンセプト化にどのような手法があるのかということを、全世界に散らばっているいろいろなやり方をカタログ化して全体を見たいとおっしゃる。そこで、来年の2月ぐらいをめどに、世界中に散らばっている手法を一旦全部カタログ化しようと思っています。その中に、もちろんいいものもあれば大したことがないものもあると思います。しかし、そういったことが分かってくると、それを使ってどうやって人材を育成するか考えることができるでしょうし、今日ここにいらっしゃる皆さんとも、このような議論を続けていくことができれば、全体にとって意味のあることができるのではないかと考えています。以上です。

【濵口主査】  ありがとうございました。それでは自由討議に移りたいと思います。今、3名の方、谷川委員、豊田委員、西口委員から発表を頂きましたが、これを踏まえて議論いただければと思います。どなたからでも結構ですので自由に挙手していただいて、御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。
【長瀬委員】  豊田先生に御質問したいのですが、青臭さというか、いわゆるソーシャルストーリーテラーについてです。テクノロジストは大学で育てやすい。育てやすいという言い方はおかしいのですけれども、育てることはできると思います。しかし、腹黒い人を育てるにはどうしたらいいのか、お教えいただければと思います。
【豊田委員】  私は大学の中の人間ではありませんが、ここで言う腹黒さを大学で生み出せるかどうかということに関しては、悪い意味ではなく難しいのではないかなと、正直思っています。ですので、このビジネスストーリーが語れる腹黒さは後から身につけていただくとして、しかし、青臭さそのものがないことには話にならないと思っています。西口先生の話は私の話より多分100倍、分かりやすかったのではないかと思いますが、まさに足を引っ張る構造は、既存の金もうけをする仕組みがあって初めてこのようなプレーヤーがいて、このプレーヤーがどちらかというと会社の中で大きい顔をしているという構造がある。恐らく、このような構造と同じような構造は、いわゆる知を生み出す大学という組織の中では必ずしも考えにくいのかもしれないですね。ひょっとすると、教授会といったものが、抵抗勢力の固まりだったりするということがあるのかもしれません。しかし、恐らくポスドクの方などは、多分そういう局面に身を置くことは余りないのではないかと思います。したがって、現実的にここで私が言う腹黒さみたいな部分を実際に身につけることは難しいのではないかと思います。ただ、西口先生のコンセプト化と事業モデル化という部分は、ある意味で、青黒い部分も持った上で、要するに、コンセプト化までできても事業化できるのかよということについて、ばしばしたたくことはできると思います。
 よく、これは社会イノベーター甲子園など、そのような局面の中で、よくばしばしたたかれる。詳しくは説明できませんけれど、多分、「これ、おまえ、アイデアはいいけど、どうするんだよ。これはちゃんと物になるのかよ」ということが企業で求められることが、大学の一連のプログラムの中でもできるのか。できるのであれば、もしかすると、ある種の腹黒さ的なことを、擬似的にも体験することができるのかもしれません。私は、そこは余り強く期待しなくてもいいのではないかという意見です。
【長瀬委員】  ありがとうございました。
【濵口主査】  ありがとうございます。谷川先生、大学で、どのように腹黒い人間をつくるのか、御意見をお願いします。
【谷川委員】  大学で腹黒い人間を育成するというのは、なかなか難しいと思います。我々、何といいますか、先ほどおっしゃった、腹黒いといいますか、右サイドのことについては、技術以外に社会でどのように、実際に役に立つものにするかというところを気づかせ、かつその方法論を学ばせることだと思っていて、そのために、先ほど私の方で幾つか御説明しましたけれど、あれだけではなく、我々の方法の一つとして、社会人を入れた形での学習の場をより多くつくっていくということを重要視しています。テーマも比較的、一般論や抽象的なものではなく、具体的なケースについて、現実社会でどのようにこの問題を解決しているのか体験させる機会をできるだけ多くつくっております。それが腹黒い人間の育成にどの程度効果があるか分かりませんけれども、大学の中では抽象論や原理などを教えることが多いので、実際の社会ではどのようになっているかということを体験させる場を、できるだけ多くすることが重要だろうと思っております。
【濵口主査】  ありがとうございます。どうぞ。
【鷲見委員】  企業から大学に移って思うことは、企業では大体7割の時間は本業をやるのですけれども、3割ぐらい、言い方を変えればアフターファイブは“腹黒い”研究をするんですよね。“私はこれをしたい”ということをです。大学の、特に若手のポスドクは、ビフォアファイブもアフターファイブも“今”のことばかりなんですね。だから、自分の“腹黒さ”を試す時間が彼らにあれば、2つ事が成せるなと思います。
【濵口主査】  御指摘のとおりですね。どうぞ。
【川端委員】  西口先生も豊田先生も、ありがとうございます。このお話をお聞きしていて、そのとおりだとずっと思いながら、途中から、これは先天的なものなのか後天的なものなのか考えていました。要するに、結果論として、このような人たちは上に上がっていった。そうでない人は上に上がらなかった。では上がってきた人たちはこのようなキャラを持っていた。これは、要するに鍛えてどうにかなるものなのか。例えば義憤心や自尊心など、みんなが持っているから、ある部分をenhanceすればいいんだろうと、このようなプログラムをつくるときの一つの考え方と思えばよろしいのでしょうか。
【濵口主査】  いかがでしょう。
【西口委員】  私は、特に3・11以降、年代を問わず、多くの問題意識を持った人たちが日本にあふれていて、そのような方々が、いい意味で、週末にソーシャルな活動をされたり、あるいは平日の夜も課外活動で、例えば途上国の問題を解決しようと思って動いていたりしている人などがいらっしゃいます。私はこの3年半の活動の中で、随分と大企業の中でそのような活動をしている人たちに出会いました。しかし、それが組織の中で全く活用されていなくて、日常業務だけをやらされているので、年休を全て使って途上国に行って、ビジネスモデルをつくることを自費でやっているという方に何人も出会いました。私はそのような方々を早く発掘して、その方々が更にスキルアップするような仕掛けをする方が、本人のためにもいいし社会のためにもいいし、もっと言うと企業のためにもいいと思います。ただ、それは、先ほどお話ししたとおり、現業を回す経営手法の中では全く受け入れられないので、どうしているのだろうと国外を見ると、うまいことやっているモデルが既にあります。それを私は社内エコシステムという言い方をしていますけれども、そこでしっかり活用するという、まさに2階建てをやっているということですね。
 ですので、私は義憤を持つように持っていこうとは余り思っていなくて、既に持っている人が実は大勢いて、余り活躍の場がない。あるいは活躍しているけれども、まだビジネスのサイドには入ってきていないという印象を持っています。
【濵口主査】  そこで、少し突っ込んでお聞きしたいのですけれども、海外の会社でうまくいっていることがなぜ日本でできないのか。従来型の縦割り組織のかちかちだからと言ってしまうと簡単ですけれど、海外の場合はどのようにしてそこを補完するようなシステムをつくっておられるのか、お聞きしたいのですが。
【西口委員】  すみません。今日は余りそちらの準備をせずに来ていたので申し訳ございません。私、何でも海外がいいとは思っていなくて、そのような議論をするつもりはないので、そう受け取らないでいただきたいと思います。ただ、明らかに経営者がそのことを大事だと思っています。非常に簡単に言いますと、やはり経営者が、マーケットに起こっている課題をもとに、課題を解決することによって、イノベーション、場合によっては事業創造をすることがよいと考えています。それは、普通の経営の仕方ではなかなかいかないので、少々違った経営をしようと本気で思って本気でやっています。私は、GEのエメルト氏と話したときに彼が言った言葉で、実にすばらしいと思った言葉がありまして、「役員会で自分は、キャッシュフローは生まれるのかといったことや、売上げが上がるのかということは絶対に聞かない。それを聞いた瞬間に通常のビジネスの会話になるんだ。私が聞く質問は一つしかない。それは、What is customer challenge? どのようなカスタマーチャレンジを解こうとしているのか。」というものです。そこで、解こうとしているチャレンジの質が悪ければ、おまえは無駄な努力をしている。ただ、チャレンジの中身が非常にいいのであれば、それは実によいので、そこに金を幾らつぎ込もうといいのではないか、というのが彼の意見で、まさに質問の内容を変えているんです。それはまさに、マーケットのインサイトをおまえは持っているのかということを、ベリートップが副社長以下に質問して、それで答えられないと、こてんぱんに、ぼろくそに叱責されるそうです。おまえは何も考えていないのかと言う。そのような経営をしていると、自然に組織の上から下にそれが浸透していきますよね。それを浸透させることを彼はまた目的として、そのような質問をあえて、シンボリックな意味を含めてやっていると言っていました。
【濵口主査】  ありがとうございます。どうぞ。
【豊田委員】  今、西口先生がおっしゃったことを受けて、例えば大学院の、例えばドクターコース、後期課程に入るときの、ある種の登竜門として、そういうクエスチョンがあるといいと思いました。川端先生の話で言うと、確かに義憤などを持っている人間がいっぱいいるのか。確かに、皆さんおっしゃるとおりで、若者の中に大勢いますけれども、一方で、やっぱり何も持っていないという人たちも少なからずいる。テクノロジストとしてのセンスはあるけれども、やはりソーシャルストーリーを語れないという人がいるのではないかと思うんです。極端に言えば、そのような人に来てもらっては困るのではないかなという気もしています。入り口の段階で、あなたは自分自身の研究を通して世の中をどうしたいと思っているのかぁ聞いて、その筋のよさをある意味でジャッジメントする。大体、マスターからドクターに続けていってしまう形が多いでしょうから、今言っていることは、なかなか実現が難しいのかもしれませんけれども、それくらいのことはあってもいいのではないかということを、西口先生の話をお聞きしながら、ジャストアイデアで思いました。
【西口委員】  ポスドクの話は、この委員会に関わるようになって改めて知り、企業がポスドクの方を採用したいと思うのはどのようなときなのかと考えると、恐らく、解くべきマーケットのインサイトを、間違っていてもいいので幾つか持っていて、自分の研究と組み合わせることができるはずですという仮説がある人は、企業の立場から見ると、これは判断しようがありますよね。判断するのは、そこをビジネスとして思うのか思わないのかというのは判断がありますが、それは面白いインサイトだねと。そういうチャレンジが世の中にありましたかと。そして、あなたの研究はその役に立つのですかと。では、当社のこの技術とあなたの研究を組み合わせるともっといいことができるかもしれませんねという会話ができる可能性がある。だから、そのインサイト、カスタマーチャレンジでもいいのですが、の掛け算がないままに、「私はこの研究をしています」と言われても、多分、企業は、まさに先ほどお話しした、解くべきテーマが何だろうと常に悩んでいる状況であるので、悩みが増えるわけですね。使い勝手がよく分からない技術なりテーマが増えるというのは、余り売れないかもしれない在庫を抱えるようなものだという気がします。
ポスドクの話というのは深刻だと思いますが、そのようなインサイトやカスタマーチャレンジといった話で何か解くことができないかなと、今、豊田先生のお話を伺って改めて思いました。
【濵口主査】  大学からの意見が聞きたいですが、ポスドクを育てるときにインサイトを育てていないのか。いかがですか。森先生。
【森委員】  頭が痛い問題なのですけれど、生物学の立場は少し違うかなということがあります。テクノロジストというのは生物学の分野では正直、イメージがありません。でも、だから確かに川端先生が言われたとおりで、それは持って生まれたそういうものがある人がいて、3・11以降もそれを維持し続けている人がいるのか、単純に技術の向上ということでドクターコースに行ってしまった人たちがいるというのが、恐らく現状です。個別の話をして申し訳ないのですけれど、よくあるのは、私たちは、非常にエンジニアリング的なことを必要とする実験をしています。そうすると、我々はこういう技術を開発しましたと、大学の工学部の教授の先生をはじめとして連絡があります。「道具としてつくりました。使っていただけますか」と言われます。正直、理学部的な立場としては、そのような論理が成り立つことがよく分からなくて。だけど、本当にそれもプライドを持って言われているので、そういうときに、西口先生と豊田先生がおっしゃった事業化モデルや腹黒さ、青臭さなどの、ある種の、私の中ではこれはインターフェース的なところで、とても大事なところだと思うのですけれど、そこがやっぱり教育されていないのが現状かもしれないとは思いますね。だから、そういう状態でポスドクに行ってしまったら、もうそのままかもしれないというのは正直思いますね。
【濵口主査】  先生が言われるのは、工学系と理学系でトレーニングが違うということですか。
【森委員】  そこに関しては、私の立場的には余りぴんとこなくて、インサイトは絶えずないといけないと思います。
【濵口主査】  結構、主を置いているはずでしょう。
【森委員】  はい。
【濵口主査】  インサイトをつけさせるために。
【森委員】  インサイトは、いわゆる基礎科学サイエンスの中で、とても求められています。プラグマティックな話にすると、論文を出すためにも、発表するためにも、アクセプトをとるためにもインサイトが絶対ないとできないです。だから、そこに関しては、そこがビジネスに行くのか、いわゆる、自然科学的な真理の探究のところで人類に貢献するのかというだけの違いであり、私たちはインサイトはある気がしています。
【濵口主査】  なぜミスマッチが起きるのかが見えないんですよね。そのインサイトを結構トレーニングしているように思うし。
【森委員】  正直、思います。
【濵口主査】  結構、チャレンジングなのをつくっているはずなのに。
【森委員】  自分たちとしては。
【濵口主査】  ビジネス側からは、そんな人間は採れないということを言われます。どうぞ。
【渡辺委員】  本当に、おっしゃるとおり、インサイトは皆さんできるのではないかと思います。私が思うに、科学技術分野の研究をやることと、ビジネスでやることに対する考え方が全く違うように思います。私、産業界にいて、大学の先生とお話しするときに、事業をやるということが決してすばらしいことではない、私たちから見ると古い感覚なのですけれども、労働者に対して搾取するといった感覚を持ってらっしゃる先生がまだいらっしゃると、時々思うことがあります。ですから、事業をやることよりも、やはり科学技術を探求する方がすばらしいことだと思われている。けれども、やはり事業をやるということは社会に雇用を生むし、税金の多くは国の予算になるわけですし、社会自体がどんどん広がっていくので、すごくいいことなのだと、特に日本以外の国では多くの大学の先生がそのように考えていらっしゃると思います。しかし、やはり日本ではその意識がまだ低い。もしかしたら、企業の人間でさえ余り思っていないかもしれない。投資家のために利益を出さなければ、社会のためにではなくて、投資家に何か返さなければいけないというように、社会を明るくするものという意識が少し低いところがあるかと思います。皆さん、GDPが減って、雇用もないと困るので、どうにかしようとは言ってくださるのですけれども、心底、どうにか新しい事業を創っていこう、どれだけ企業の人間や大学の人間が思っているかなということは、私自身も疑問に思うことがあります。もちろん事業をすることに問題点も多くありますが、もしそこが変わると、随分変わっていく。事業をやることはいいことなんだ、本当にどんどん明るくなるよというイメージが結構大事ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
【宮田主査代理】  いいですか。
【濵口主査】  どうぞ。
【宮田主査代理】  一度問題を整理しないと、教育のところまで落とし込めないと思うんですね。今の事業のことに関して言えば、今の日本の企業の労働分配率が低下していることはインモラルだと思いますよ。だから、そういう意味では、簡単に事業がいい、悪いという問題ではなくて、企業と社会がどう共存していくかというモデルをみんながチェックして、今度のホテルでの食品偽装なども、とう汰することをやっておかなければいけない。そこは外してから議論しないといけないのですけれども。
 インサイトに関しては、僕も植物学をやっていましたので、それに関しては当然あると思っているのですが、それがアントレプレナー、つまり何らかの社会的幸福のための価値を創造するところにつながっていないのが問題だと思っています。それをつなげるための教育プログラムがあるのかということを、皆さんで議論しなければいけないのが一点。一方で、それはもう先天的なものだから、選抜という過程において大学が関与して、特殊クラスをつくってみてはどうでしょうか。というのは、なぜかといったら、アントレプレナーが多過ぎる社会というのも偏った社会ですからね。それは社会の不安定という意味ではとてもアンバランスです。例えば、訴訟社会になってコストが上がってしまう。アメリカはソーシャルなコストは上がっているという部分もあるので、それは我々が、どれぐらいのアントレプレナーシップと、どれぐらいソーシャルな安定性を追求するかということを、やっぱり共通のイメージを持った上で議論しないといけないと思うんです。僕は両方必要だと思っています。
 では、日本からなぜアントレプレナーがいなくなったのだろうかということを、頭の中でざっと考えてみると、例えば、鈴木梅太郎や池田菊苗というのはどうしていたか。彼らはドイツに行って、自分たち日本人の貧弱な肉体と直面するわけです。そうすると、例えばグルタミン酸、味の素をつくって、御飯がいっぱい食べられるようにしようと思うなど、そういうところですよね。
 だから、今、日本は中途半端に豊かになってしまったために、我々もし緩したし、御家庭の母親もこれでいいんじゃない、それから企業もこれでいいんじゃない、というようなし緩した状況があって、そのような中でアカデミーが、「それではいけないんだ」という声も発しないので、みんなゆでガエルみたいになっているというのが最大の問題で、これをどう変えるのかは、我々メディアの問題でもあるし、アカデミアの責任でもあると思います。そこに根本的なところがあると思います。
 ですから、3・11のような、非連続的な悲惨な状況が生まれる。そして、阪神・淡路大震災のときに何が起こったかというと、楽天を生みました。ですから、今、我々がやらなければいけないのは、東北のあの悲惨な地域の中からイノベーターが出ているのだから、それをどう支援して、日本の社会に還元できるような、ビジネスモデル化する支援の仕組みをつくるかということが、一番重要だと思っています。では、約7割の、今、都会に住んでいる者たちは、どうするかといったら、世界にまだ悲惨な状況が残っているので、感受性がある時期に見せる。だから国語、日本語だけで、日本人によって、閉ざされた大学という空間で教育することが全てだと思っていることが大きな間違いなので、そのようなプログラムをつくれないですかね。
【濵口主査】  やっています。
【宮田主査代理】  それをもうちょっと必修にすることが重要なのではないかと思います。要するに、火をつけてくれるようなプログラムをつくっていただければ、自分も燃えていくし、燃えないやつはあえて燃えさせるのは迷惑ではないかと思っています。そういう穏やかな生活を求める、秩序を重んじるような人たちも、やっぱりこの社会のためには必要です。ですから、全部何か一色で塗ろうというようなことは無理なので、先ほどお話しした選抜みたいなことも少し考えていただきたいと思います。
【濵口主査】  堀井先生。
【堀井委員】  今の御発言に関連して、この問題というのは、局所最適解では解決できない問題です。ですから、資料1の概算要求中の、イノベーション創出人材育成の事業がよりよい事業となって、これがプラスを生み出していくようにするために一体何をするべきかということだと思います。やはり日本全体をイノベーティブな国にするようなマスタープランみたいなものをつくって、その中でドクターやポスドクなど、どのように人材育成をしていくのかということを考える必要が多分あるのだと思うんですね。多分、ドクターあるいはポスドクの教育だけで変えられるはずがないので、これと何を組み合わせればいいのか。組み合わせるものとしてはどのような相手があるのか。そのような相手とどう組み合わせると、この事業が成功につながるのか。そういうことを検討する必要があって、多分、産学連携をすればいいという話では全然ありません。そういったことをマスタープランの中で設計していくということが必要なのではないかと思います。
【濵口主査】  おっしゃるとおりで、産学連携をやってもインターンシップをやっても、学生はぼーっとお客さんでいるだけで、企業側は邪魔だし、大学側はその間、授業を休めるかという状況があります。このようなレベルが多いのではないかなと思っています。何か、火をつけるプロセスが要るんですよ。それが大学の中にも社会の中にも、デフレ社会でずっときている中で、ないということが一つあると思います。私ども、リーディング大学院でこの前モンゴルへ学生を連れていきました。モンゴルの炭鉱を見せて、ソ連製の発電所を見せて、その結果、雪がどれぐらい汚染されているかの調査をさせて、今度は中電の最新鋭の、ばい煙を抑える発電所を見せて議論させる予定です。
【宮田主査代理】  いいではないですか。
【濵口主査】  文学部も法学部も工学部も全部集めて、そのような取組をやっています。何かそういう、ちょっと違う試みが要るなというのはすごく感じています。どうぞ。
【長瀬委員】  3・11で非常に日本は、危機感を持ち、いろいろいろな試みが出てきたのは非常にいいことだなと思います。しかし、ある意味、今の日本では、海外に行かないと危機感がないのかというと、この1年近く、貿易収支が赤字になっていますよね。日本の存在として、貿易収支の赤字がどんどん続けば、結局、円が安くなって、どうしようもない世界になる可能性があるし、例えばエレクトロニクス業界のことを見れば、それがすぐ来る可能性だってあるわけですよね。ですから、危機感を持ってもらわないといけないと思います。我々もそうですが、学生さんにも持ってもらわないといけない。そして、そういう中で何をしたらいいか、イノベーションが必要なんだという、そういうことが必要だと思っています。
【宮田主査代理】  重々承知しておりますが、我々はいつも、報道しても誰も動かないというむなしさにさいなまされています。イノベーションに火をつけることは、もっと原始的なことです。おなかが減るとか痛い、あるいは医療技術の限界で、目の前で赤ちゃんが死んでいくといったこと、あるいは津波でみんなが流されてしまうといったことです。大きな情動を持つか持たないかが、先ほど西口先生が整理していましたけれども、義憤に近いものだと思いますよ。何か子供たちの情動を動かすような体験が、今のところ少な過ぎるのではないかと思います。
【鷲見委員】  教育でやるということも、やはり教育だけでは終わらない。つまり、教育だから教育で終わってしまうのでは「臨場感」が出ない。ですから、本当の現場、今、3・11に少し特化してしまっていますが、そうでなくてもいいので、本当に課題を持っている現場に行って、学生の意見がひょっとしたら採用されないかもしれないけど、ひょっとしたら採用されるかもしれない。そのような参加の意識を持つような授業が、私たちの授業でもできないかということです。私の授業の最後に書くレポートは、教職員に宛てるのではなくて、「授業をしていただいた企業の人の部下になったつもりで企画書を書け」という課題を出しています。これで、本当にいい内容なら採用していただくのですが、今まで採用例はないのですけれども、その一言でやはりやる気、臨場感が出てきます。だから、教育の現場に、もう少し臨場感を持つプランを採択していただくといいかなと思います。
【濵口主査】  どうぞ。
【谷川委員】  今のお話とまさに同じなのですけれども、やはりどういうときに学生が刺激を受けてインサイト、新しいことをやろうという動機を持つかということに関しましては、まさにリアルな体験をどの程度するかということと、もう一つは、自分が周りで今付き合っている人間とは全く違うタイプの人間、あるいはバックグラウンドの違う人間と接することによる異文化体験をすることが最大の刺激になって、「どうしてこんなに考え方が違うんだろう」、「どうして今こんなことが起こっているんだろう」という、気づきを与えるような機会をいかに与えるかということが、私は一つの大きな教育方法だと思っています。先ほど御説明しましたQRECの中でも、我々として一番効果が高いと思っているのは、気づきの部分です。実際に、バングラデシュに連れていったりシリコンバレーに連れていったり、あるいは実際に東北の被災地に連れていったり、そのような極端なところではなくても、何か一つのテーマを学生たちにグループで考えさせる。町に出て、この問題について考えてみようというときに、理系・文系、一緒のグループで考えさせると、ものすごく大きな刺激を受けて帰ってきます。ですから、知識を一方的に教師が与えることだけではなく、実際に学生たちに自分で何か感じさせるという体験をさせることが、まさに社会で何が起こっているか、インサイトというものに対して興味を持つ動機になるのではないかという気がします。ただ、現状、大学の単位を与えるときにも、講義であれば90分×15回で2単位与えられるけれども、いわゆるフィールドトリップといいますか、体験型ですと、その倍の授業を受けないと、2単位にならないので、やはりまだまだ大学の制度は知識を与える方を重視しているので、少し矛盾しているのではないかという気がいたします。

【濵口主査】  ありがとうございます。この議論は果てしなくなるかもしれませんが、お時間も押しておりまして、次の課題もありますので、特に今、議論に出ていた義憤をつけたり火をつけたりすることを、どのようにしてPBLのシステムの中へマッチングさせていくか。時間を見てもう少し議論をさせていただきたいと思います。今日は少し、どこに問題点があるのか、どのような作業が要るのか、おぼろげながら見えてきたような気がしますので、引き続きお願いしたいと思います。
 次に、若手研究者の育成とキャリアアップを図る仕組み等についてお諮りしたいと思います。初めに事務局から、来年度概算要求を行っている関連施策について説明をお願いします。
【和田人材政策推進室長】  資料5を御覧ください。こちらも前回の委員会で御説明いたしましたけれども、来年度要求におきまして、科学技術人材育成のコンソーシアムの構築として、27億円、計上しております。この事業は、複数の大学などでコンソーシアムを形成して、企業などとも連携しながら、若手研究人材あるいは研究支援人材の安定的な雇用確保をしつつ、流動性を高めキャリアアップを図る仕組みを構築することを考えております。さらに、企業に3年程度研究者を派遣しまして、産学頭脳循環を促進させる仕組みをつくりたいと考えております。現在、詳細な制度設計を検討しているところです。そこで本日は、東京大学から松本理事、京都大学から吉川理事をお招きいたしまして、松本理事からは若手研究者の育成とキャリアアップを図る仕組み等について、また吉川理事からはコンソーシアムと白眉プロジェクトについて、それぞれ御紹介いただき、私どもの事業の在り方も含めまして、若手研究者の育成とキャリアアップを図る仕組みについて御議論を頂きたいと思っております。

【濵口主査】  松本先生、吉川先生、お忙しいところ、今日はありがとうございます。それではまず松本先生からお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
【松本理事・副学長】  松本です。まず、先ほど室長よりお話しいただいた事業のバックグラウンドに当たるところからお話ししたいと思います。いろいろ分析をしていると、どうもこういう状況にあるらしいということを、RU11の方でまとめました。これは東京大学の例ですけれども、2001年から、学生はそれほど遊んでいるわけではありません。それなりに頑張って一生懸命、論文も書いておりますし、インパクトも上げてきています。例えば、論文数で言うと、2001年から12年で1.2倍になっているし、論文の被引用数も1.7倍に上げています。また、競争的資金もそれなりにとってきてはいるし、特許も一生懸命出して、スタートアップもベンチャービジネスの数も増やしてはいるのですが、実は世界の中では、もっと周辺の国にはたくさんの資金が投入されていて、後ろからすごい勢いで追いかけられているという状況です。
 これはもう少し細かい話ですが、ここで見ていただきたいのは、赤い線とほかの線の微分値の違い、傾きの違いです。一番右のところは、ハーバード大学では、1論文当たり、被引用数の数でいうと十幾つになるのですが、東京大学では10以下、よく見えないですが8から7ぐらいですか。8以下という状況で、なかなか大学そのものの研究のビジビリティーがないというところがございます。
 それから、これは最近けん伝されております、世界のランキングの話ですが、政府も100位のうちに10校入れたいとおっしゃっています。では、そのために何をやればいいのかということで、これは、タイムズのハイエデュケーションの指標とQSの指標は違いますけれども、例えば、論文をいっぱい書けばいいのかというとそれだけではなく、教員を1,500人、外国人に置き替えればそれでうまくいくのかというと、またそういうわけではないことが分かるかと思います。インターナショナルアウトルックのところは、重みは7.5%しかなく、一番効果的なのはサイテーションの数を増やすことです。71.3点しか取れていないのを90点ぐらいに持ってくると、大分上に上がると思います。
 それから、京都大学で調べられたのは、サイテーションをよく観察してみると、海外から引かれている数はそれなりにあるのですが、国内同士で引き合っていないということです。実はこれが問題で、日本の学術の持つ一つの後進性の表れかもしれないのです。京都大学がいい研究をやっているのはすばらしいと、やはり言わないといけないのに、それを言えていないというところは問題かと思います。
 続きまして、これはトムソンロイターがRU11について分析をしてくれたものなのですが、各国の大学の研究の状況を比較すると、RU11はレピュテーションでは中ぐらいにいるのですけれども、被引用インパクト及び投入されている研究費が少ない。これは、文部科学省の方に、是非たくさんお金をとってきて大学に入れてください、財務省と戦ってくださいとしか言いようがないのですけれども、実際にこの10年ぐらい、日本の研究開発費は増えておりません。それが非常によく見えます。
 これはなかなか面白いものですが、各国の大学のファイナンスの状況を比較すると、RU11は教員当たりの経費及び研究費が低いと言われています。これも小さい図ですが、リサーチインカムをペーパーの数で割ったもので見ると、みんな同じ値になっています。要するに、金を突っ込めばペーパーは書けるということです。
 ここが非常に大きな問題点で、これをどうやって解決していくのかということが重要な話だと思っております。また、インパクトの高いペーパーは誰がトップオーサーかというと、若い研究者です。ポスドクやドクターが一生懸命やった仕事がいい仕事になっています。よく引かれる論文をきちっと比較すると、大学院生やポスドクの方がやった仕事が高く評価されているということが明確に出ておりますので、Ph.D.の学生を何人、大学が持っているか、教育できているか、仕事をしてもらっているかということが重要になります。
 それから、この左側の図ですが、この線が承継ポストのパターンです。外側にあるのが、非正規雇用の、いわゆる任期付きの方で、テニュアではない方々がここにいるというわけです。この若手の方が、「明日、俺、どうやって暮らしていこうか」と思いながら悲壮な顔をして研究している状況を修士が見ると、「あのお兄さんのようにはなりたくないから、ちゃんと就職できるうちに就職してしまおう」と、なってしまっています。ドクターまで行っても、「え、こんな状況なの」ということが一つ、今のアカデミアを取り巻いている極めて悲惨な状況にあると思います。
 これを根本的に直すにはどうするかということは、やはり大学がもう少し、競争的資金等の切れ目をつなぐような、要するに裁量性の高い資金を我々自身が持てるかどうかとは大きいと思います。また、運営費交付金のことは、最近、半分諦めているのですが、せめて強い研究費がきちっと取れている大学には、それなりの裁量性の高いお金、つまり、間接経費を増やしてほしいと思っております。そういうものがあると、何とかマネージできると思っております。
 続きましてこれは修士から博士に進学している状況ですが、平成13年、42%ぐらいあった進学率が、現在26%まで下がっております。しかも、優秀な修士ほど早く企業に行ってしまいます。また、先ほどの議論を聞いていて、では、企業は優秀な修士を使いこなせているのかというのはもう一つ問題で、それに対しては我々、なかなか関われないのですが、ポテンシャルの高い人材を是非イノベーションに活用していただきたいと思っています。本当のイノベーションを起こすには、やっぱりこの期間、ドクターでし烈な競争をやりながら、もうそれに注力して、自分でロジックをつくっていくというトレーニングが必要だろうと私自身は思っています。
 先ほどの、修士や博士を出た人を採りますかという話ですが、「まあまあ採りますよ」、「毎年採りますよ」という企業の数はものすごく少ないのが現状です。どのレベルの企業をベースに調査をしているかという問題はあります。ポスドクについては、「ポスドクですか」という感じです。もういりませんと言われている感じがします。ただし、これは分野によっても随分違うと思います。そうすると、なかなかドクターを取っても就職できないのではないか、又は大学に残ってしまうと、もうどこにも行けないよねと今の若者が思うと、楽な方に流れてしまうという悲しい実態があるということだろうと思います。
 各国の大学の人材の状況を比較すると、RU11は博士号取得比率及び研究専任の研究者は少ない、研究に注力できる研究者は少ないと言われています。そこで、研究をしない研究者は何なんだということになります。ですが、
これは最近、先生方に、「あなたの時間を研究に使えていますか」というアンケートをしたものですが、教授の研究時間は着実に減っている。むしろその他の雑用なりが増えているし、最近は、お金をとってこないと研究室の運営はできない。必要なコピーもとれないという状況です。競争的資金などの取得に向けた申請書の作成に非常に時間がとられています。これは最近、アメリカの研究者もみんなそう言っていますけれども、そのような状況があると思います。
 でも、山中先生がおっしゃったように、欧米の大学のシステムはもう少しURAがきちっといって、教員・研究者のお手伝いをしているという状況がありますので、やはりそういうところも環境整備をしていくことが必要だと思います。先生方や研究者がきちんと研究をできている状況を見ると、学生は少々つらくてもここに行こうと思うだろうと思うのです。先生方が暗い顔をして雑用をしているという状況は、大学という社会システムとしては極めてまずいだろうということです。
 民主党政権の仕分により、間接経費が一気に減ってしまいました。私の予想では、これがずっと伸びていって、30から50になるのかなと思っていたら、うまくいかなかったというわけです。アメリカを見ると、ハーバードはほとんど70%の間接経費をとっているということです。このような状況があります。そして、これは強い大学であればあるほど高い間接経費がとれるという仕組みになっていて、アメリカはほとんど私立大学なのですが、このような形で国が補助金を大学そのものにつけているという構造があります。
 研究大学というものを考えると、サステーナブルな成長への貢献は、やはりサステーナブルな大学の環境から構築しないとまずいだろうということで、これはよく見ると矛盾があるのかもしれませんが、投資と成果の循環が必要だと思っています。競争的資金が入ってくると基盤的経費も増え、基礎から応用にわたるすぐれた研究がきちんと動いていく。そして、最近どちらかというと応用的な研究にお金が多く投資されていますけれども、なかなかすぐ芽が出そうにないところには、サポートできるという構造を大学の中につくっておく必要があるだろうと思います。優れた学術人材を通じた継続的な社会貢献をきちっと大学ができていると、やはり若者が入ってくるだろうと思います。
 そして、実はこのような人材が企業や研究開発独法に行ったり来たりしながら、人が育っていく仕組みをつくり込むことが必要で、これは、今考えていただいている概算要求への一種のサポートです。今、我々が考えているものは、大学院改革をシステマチックにやっていこうと考えていまして、一つは優秀な人材ほど早く修士からドクターに進学しないという問題があるので、そこは大学院生の質の低下を何とかしないといけない。加えて、国際性がない、硬直した社会や学術システム、社会人が企業で十分活用されていない、例えば、ポテンシャルの高い修士が企業に入って窓際に行っているような状況になると極めてまずいわけです。そのような方をもう少し合理的に大学に戻して博士の研究をしてもらうということをやりたいわけです。そのときに、やはり安定的な支援の体制をつくっておかないといけないと思っています。
 大学院大学になって、大学院の定員だけが大きく肥大化していますけれども、もう少しサイズを考えてもいいのかもしれません。18歳人口が減ってきている中で、いつまでも入学定員をこのままにしておいていいのかという議論もございます。これは、JSTの有馬先生に紹介願いた話ですが、そうかもしれないということもありますし、修業年限の弾力化、大学院生から俯瞰(ふかん)力や問題解決能力をある程度かん養できるシステムを入れておく必要があると思います。研究だけやっていればいいということではないということです。
 それから、海外から優秀な外国人を連れてきたいと思うと、やはり大学院の入試のやり方を、ガラパゴス的なものではなくて、例えば、ウェブで受験できるシステムや、TOEFL、GREを使うといったことを考えていく必要もあるのではないかということです。アメリカの大学院だと6月ぐらいに決まりますが、日本の大学院も、入試時期を変えていく必要があるのかもしれないと考えています。
 そして、大学院の支援制度の抜本的な改革をやらないといけないということですが、経済的支援については、現在は親の支援、奨学金に頼っている状況です。だんだん増えてきているとはいうものの、DCはそれほど多くない。それからG-COEやリーディング大学院などシステマチックに支援するという問題がございます。
 優秀な院生を雇用するシステムも必要があるのではないか。例えば、教員が科研費をとると、その中にRA経費が一緒に入っていることが考えられます。優秀な研究者のところに優秀な学生が集まるようなシステムもきちっとつくっておく必要があるだろうと思います。
 さらに、リーディング大学院プログラムを、7年後、どうするかという問題がありますが、やはり恒久化していくことが必要だと考えます。どのように恒久化していくかという方法はいろいろあると思いますが、そういったものも考えておかないといけない。21世紀COE、グローバルCOE等とリーディング大学院をうまくつなげて回していく必要があると思います。
 いろいろいろいろなシステムが、5年刻みで動いており、金の切れ目が事業の切れ目になってしまって、大学としては非常に大変だということを、少し申し上げたいと思います。これは工学系研究科の問題意識ですが、大学はこのような問題意識に立って教育をしようとしています。重要なのはやはり、研究室に閉じこもっていた博士とは違う教育をしていこうということです。ここに書いてありますような、産学連携の教育。大学の中だけではやはり教育は難しいから、社会の要請というのは何なのかというようなことも、学生のうちに身につけられるような、すなわちチームワークやコミュニケーション能力、課題設定・解決・展開力を身につけさせるにはどうすればいいのかということで、若手の教育をいろいろ考えているところです。
 まず大きいのは、このような社会的コンセンサスの形成ということが問題かと思いますが、人が行ったり来たりできるような環境をきちっとつくっていけば、大学での教育そのものも変わってくるわけですから、そのような取組を是非やっていきたいということがあります。我々のところでは、例えばクロス・アポイントメント、スプリット・アポイントメント、あるいは、ダブル・アポイトメントなど、いろいろな言い方はありますけれども、本学の教員が他機関の身分を持つこともできるようなシステムに変えていこうと思っています。エフォート管理をして、50%は東大におりますけれども、あとの50%は産総研にいるといったことが可能なシステムを動かそうとしております。例えば、東大のIPMUという、WPIの一つですが、そこの村山先生は、50%は東大ですが、50%はUCバークレーにおられる方です。このようなことも重要になってくると思っています。抜本的な解決に向けて、雇用制度をこのように改革していこうということで、大学教員や研究独法の教員・研究員の流動性がないというところを何とかしたいということで、提言としては、教員・研究員の雇用システムの抜本的な改革にしていきたいと考えております。
 これも少し気をつけて言わないといけないのですが、年俸制への移行について。生涯賃金は保障していただきたいのですが、退職金分をきちんと積み上げた年俸制で動けるようにするなど、今後、給与を大幅に拡大していくといったことはあるだろうと思います。大学、研究独法の連携によって、府省横断で、これは概算要求を出しておられるものをきちっと構築していただければ、かなりの人事制度を改革して、50歳以上の方は別の雇用形態に移って、若い方を、年俸制であっても承継ポスト、テニュアのポストに移していき、金の切れ目が縁の切れ目ではなくて、少し余裕を持って研究教育に当たることができるシステムに変えていくということが、ここで考えているような、若手の教員にどう活躍していただくかということにつながっていくだろうと思います。以上です。ありがとうございました。

【濵口主査】  ありがとうございます。それでは続きまして吉川先生、お願いいたします。
【吉川理事・副学長】  先生、白眉プロジェクトの方から先にさせていただいてよろしいでしょうか。
【濵口主査】  はい。
【吉川理事・副学長】  京都大学、研究担当理事・副学長の吉川です。時間が随分押しているようですが、白眉プロジェクトについて10分、それからコンソーシアム構想について5分程度で簡単に説明させていただきます。資料を見ますと、昨年あるいは一昨年にかなり人材育成のデータを集めておられ、オーバーラップしておりますので、できるだけ割愛させていただきたいと思います。
 もともとのモチベーションは、やはり30代から40代、業績が上がる年代であるということで、その年代の方が十分な研究ができるようにするにはどうしたらいいかということが、もともとの白眉プロジェクトの発端です。
 若手研究者に関わる課題というのは、もう皆さんよく御存じと思いますけれども、いずれにしましても、いろいろ検証しますと、大学院重点化によりまして、今まで、教授1、准教授(当時の名称は助教授)1、助教(当時の名称は助手)2だったものが、3つの講座の助教3人を引っ剥がして、そしてもう一つ講座をつくったということで、助教の数が3分の2に激減しました。法学関係、人文社会系はそうでもないのですけれども、いずれにせよそういうことが、それからのいろいろな問題につながっております。特に8番目なのですけれども、講座の教員構成が教授 1‐准教授1‐助教1になりました。私は工学出身ですが、それによりまして、助教の雑用が倍になった。それから海外に行けなくなった等々、そういうようなことで研究に専念する機会が非常に激減し、まずい状況が生じております。年をとってからだったら、研究の専念時間がなくなってもいいだろうと思います。しかし、最も脂がのった、30代から40代の初めに研究に専念できる時間がないのは非常にまずいということで、松本総長以下、白眉プロジェクトを設計したわけです。先ほど、これも松本先生がおっしゃったのですけれども、特に研究支援の方は、1枚左にございますように、日本は圧倒的に、1人の研究者当たりの資源が非常に少ないということがございます。そういうことで、雑用が一番若手の助教に集中しているということです。
 これは松本先生がおっしゃいましたように、そういう姿を見て、修士の学生などが、もうドクターなんてやめておこうと思うようになっているわけです。実際、私の同僚などに聞きますと、例えば娘さんがおられる方に、「ポスドクと結婚したいと娘さんに言われたらどうする」と言ったら、「うーん」と。昔だったら、まあ、「うん」と言うのですが、今は「うーん」ですね。そういう状況を見ていますから、なかなか優秀な、特に修士の学生は大学に残りたがらないというのが現状です。特に、これは御存じのように、よく外国の優秀な先生を日本に呼んだらどうだとおっしゃるのですけれども、ここにありますように、コロンビアやハーバード、いわゆるアイビーリーグなどですが、9か月の給料ですけれども、平均でこれだけ違うわけですね。だから、本当は御存じのはずなのですけれども、日本での給料を言いますと、それは半期の給料かと聞かれます。だから、こういう話を知っていておっしゃっているのか、無視してやっておられるか。よほど日本文学とか、そういうことに興味がある方は来日するかもしれませんけれど。これが現状です。そして、特にエントリーレベルのサラリーを見ると、日本は非常に低い。つまり初任給はものすごく低いというわけです。
 それで、京都大学の研究者は、約3,400名ですけれども、そのうちで39歳以上の方が1,117名、33%。3人に1人がそうです。そのうちで約350名、3割ぐらいが、いわゆる任期付き。3年や5年などの任期のある特定助教、あるいは特定准教授と言われるものです。
 このような状況なので、若手研究者の育成としては、総長のもと、私が担当としていろいろなことをやっております。特に、ジョン万プログラムというのは、先ほど言いましたように、1‐1‐1の状況です。助手、助教の人は行きたいけれど、行くと先生が困る。つまり学生の面倒を見ること、あるいは学生実験を誰もやってくれなくなるということで、行かせたいのだけれどもなかなか行かせられない。御本人らも、自分が行くと他の人に迷惑が掛かるということで、なかなか行けない。だから、海外よりも、若手教員の国際化がものすごく遅れているということは、もう大学関係者だったらよく御存じだと思います。
 それで、いろいろ先生と話をしますと、「行かせたいと。だけれども、代替の人を雇うお金をサポートしてくれれば考えましょう」とおっしゃるので、ジョン万プログラムを2年前から始めました。最長1年まで長期出張という形で支援をします。採択された研究室には当該期間の派遣元支援として月20万円支援しますという取組を行いまして、現在30名ほど、海外に行っております。今年度からそれを2年まで延ばしまして、派遣元支援として月30万円、研究室に補助しますということで始めております。京都大学の独自のお金でやっております。
 続きまして、白眉プロジェクトですけれども、これは、高い志を有する将来の国際的研究リーダーの育成ということで取り組んでおります。特徴は、5年間ノーオブリゲーション、ノーエバリュエーション、評価もしない、義務もないです。どこでも好きなところで研究してくださいと。それで5年間、京都大学特定助教、あるいは特定准教授として雇用しますというものです。分野は全てを含みまして、国際公募で20名、毎年雇用しております。既に始めて4年目です。その選考は、今年の例、来年度4月から採用の方の例を申し上げますと、644名の応募がございまして、まず左にありますように、140名の教員がボランティアで、644名のペーパーセレクションをやります。54名選んでいただきまして、それを伯楽委員会で、人物を見るということで、左にありますように、いろいろな分野の方に、伯楽委員になっていただきまして、2日間にわたり54名を4つのグループに分かれて評価いたします。一人あたり40分の審査なのですけれども、その後10分間は総長が英語で54名全て面接されます。通った方に聞きますと、総長のあの10分が一番きつかったというような話がございます。ネイチャーなどでもPRしておりますが、20人に対して644人の応募がございました。次のここにありますように、外国からもかなり多くの方、特に最近はアメリカ、ヨーロッパからの方のアプライが大きく増えております。そういうことで、国内・国外あるいは男性・女性の比率あるいは分野などを調整しながらやっております。後ほど御覧いただければと思います。
 それで白眉研究者の方は、各部局がそれぞれのメンターとして、教員の先生方に受け入れていただいております。実際に白眉センターの行事・イベント等も毎年やっておりまして、その間、既にキャリアアップ組がたくさんおりまして、17名も既に、5年を経ずしていろいろなところに就職をしております。このうち京都大学は7名、あと10名が他大学です。多くの方がテニュアです。ただ、1年、2年目ぐらいでもう辞められる方がおられますので、総長はもったいないと言っています。5年間、このようなすばらしい研究環境で、研究をきちんととやった方がいいのではないかとよく言うのですけれども、いろいろ事情があるようです。
 現在の実際のデータを出しております。年俸が、この左を見ていただきますと、准教授で平均で868万7,000円で、上が921万円、下が815万円。助教は平均が738万で、上の方が819万。それから下の方が680万。これはいずれも卒業してからの方です。研究費も当初は支給いたしますが、白眉研究者全体としては、4年間で11億のグラントを取ってきておられます。非常に優秀です。
 白眉研究者の声ということですが、とにかく異分野の方あるいは国際性に富んだ方たちと常にいろいろディスカッションすると。自分の分野にいればほとんど分からないようなことでも、別の分野から言われると、「えっ」というような感じで、非常に刺激があっていいと。こんなすばらしい研究環境はないと。下のスティーブンはベルギー出身ですけれども、最上級の研究を行うことができると言っております。左の上の柳田素子教授ですが、白眉の1期生の特定准教授です。教授には、京都大学の医学部に新たに腎臓内科というものをつくっていただきまして、そこの初代教授として赴任されました。そういうすばらしい方も出ておられます。白眉の方については、用意させていただきました資料を御覧いただいたらと思います。
 続きまして、コンソーシアムの構想ですが、既にここでも随分議論されていると思うのですけれども、ともかく研究者は生活が不安定であると。5年というと、結局のところ、御存じのように3年ぐらいまでは何とか研究ができるけれど、4年目からは職探し。独身だったらまだいいのですが、やはり家族を抱えておられるとなると、無収入になるということは、本当に大変なことになります。これは御本人だけではなく、所属する研究室の教員の方も、自分がいろいろな意味で責任があるということで、ものすごいストレスになっています。これが研究の意欲を大きく阻害しているということは、現場におられる方はよく御存じのことと思います。
 このような状況を受け、松本総長が提案しているのですけれども、ともかくまず最長で20年間雇用をします。ただし、考えられた当初は、いわゆる労働契約改正法というものがありまして、雇用が10年になったとしても、5年ぐらいで3~4か所程度、ぐるぐる回るというのは、非常に、流動性の観点などからいいのではないかとのことでした。何よりも生活が不安定であったものが20年ということで、その間にテニュアのポジションを取れる確率が非常に高い。そこで取れなければ、後進に道を譲ってもらいましょうということです。
 例えば27歳でドクターを取って20年というと47歳です。そこでテニュアのポジションがないということは、やはり次の方がおられますので、ということです。私は、ここで選ばれる方は、皆間違いなくテニュアポストを取られると思います。例えば、このようにコンソーシアムを組んで、3大学、例えば京都、大阪、神戸で実施するといたします。そうすると、各大学が20名ずつ採りましょうということになりますと、60名公募して、そして60名を選考委員会で採って、それぞれの方が専門分野がありますので、どこの大学のどこに5年所属したいかという調整もやります。ただしミスマッチがありますから、そのときは選考委員会の方で調整するというようなことになるかと思います。給与については、所属の機関から支払われるということです。
 そうしまして、全体では20年間ですけれども、5年たって、次にどこに移るかといった場合に、やはりどこもノーという場合もありますが、10年だけは選考委員会が何とかあっせんします。そして、ノーが2回続いた場合は、抜けてもらうというような趣旨です。先ほど文科省の方からもお話がありましたように、27億のコンソーシアムの話がございますが、これはまだまだしっかり設計する必要がございます。これは一例と考えてください。我々も相当ディスカッションいたしました。当然のことながら、ここに書いてあります登録申請から採用まで、それから更新のときにどうするかという議論も当然、行いました。
 実際に家庭がある場合は、子供さんの教育とか、そういうのもございます。そうすると、余り単身赴任というのはよろしくない。関西や東京の場合ですと、そこに住んで三つ、四つの大学を経験するということは十分できるのですけれども、一方ではそうできない地域もございます。そうした場合も考えて、今のところ東日本の大きなコンソーシアムと西日本のコンソーシアム。加えて、首都圏と近畿、名古屋圏というようなものが考えられるのではないかと考えております。つまり、広域コンソーシアムと、それからローカライズされたコンソーシアムです。そういうコンソーシアムをまずやってみて、また不都合あるいは、もっとこうした方がいいのではないかという場合は、20年ありますので、修正したらいいのではないかと考えております。
 国に御支援いただきたいことは、コンソーシアムへの参加の奨励、特に研究機関、大学だけではなくて国立研究機関もございます。それからコンソーシアムの運営経費や初動経費も御支援いただきたい。それから実際に研究者が来られて、全く何もないという状況でスタートアップできませんので、やはりスタートアップ経費、研究費というものを措置していただきたい。また、常勤ポストへ就いた場合は、スタートダッシュの経費をつけて、できるだけブランクのなく、研究継続ができるように御配慮いただきたい。最後は若手研究者支援基金の創設ということで、より安定的なコンソーシアムの運営ができるように御支援いただきたいというものです。以上です。

【濵口主査】  どうもありがとうございました。それでは自由討論に移りたいと思います。ただいまの松本先生、吉川先生の報告を踏まえて御議論いただければと思います。どなたからでも結構です。どうぞ、長瀬先生。
【長瀬委員】  すみません。吉川先生にお伺いしたいのですが、このコンソーシアム構想ですが、20年間コンソーシアム内の機関に勤めて、それでいわゆる常勤ポストがとれなかった方はどうなるのでしょうか。つまり47歳という年齢は非常にお金の掛かる年です。例えば、家庭を持っていたら子供の教育などがあります。ここで常勤ポストがとれない方というのは本当に困ると思うんですよ。
【吉川理事・副学長】  私もアメリカに留学しておりまして、先生のおっしゃる意味は分かるのですけれども、やはりグローバリゼーション、国際競争という観点から、それはやはり御自分の責任でやっていただかざるを得ないと考えております。つまり、それだったら最初からテニュア職を選ばれたら退職まではいけるわけですね。白眉も保証は5年間です。だけども、5年いてこれだけやったら絶対テニュア職はとれるという人たちがアプライしてきておられるわけです。実際にすばらしい人ばかりですから、もう恐らく全然問題ないと考えております。それと全く同じ話です。
【長瀬委員】  私はむしろ5年間の方がいいのではないかと。32で研究職に向かないなら、まだいろいろ道はあると思います。47歳になったら、もう取り返しがつかないし、他の職業には就けないと思うのですが、その点についてはいかがでしょう。
【吉川理事・副学長】  そういう可能性はあると思います。ただ、これは現実にポスドクの方といろいろ話をしましたら、やはり5年というのは短いそうです。先ほど言いましたように、研究は3年ぐらいしかできないんですよね。現実に私もドクターの学生を指導しておりましたけれども、最初から確実に企業に行けるという研究テーマをできるだけやっておりました。だから、5年というのは、ポスドクは今、1万5~6千人いるということを聞いております。京大も1,200人おりますけれども、どのような分野でどのような層かということですね。実際、ここに来られる方はかなりエリート、優秀な方だと思います。ですから、20年あれば間違いなく、きちっとテニュアポストをとられると思います。ただ、ギャランティーはできません。競争社会ということで、これはもう米国では、先生も御存じのように、20年間のギャランティーというのはまずないわけですね、ですけれども、現状、日本の若手の職業の数がどんと減っています。これはある意味、国の、あるいは我々の責任でもあるわけです。そこで、そういうことを提案しているわけです。
【長瀬委員】  分かりました。
【濵口主査】  他、いかがでしょう。どうぞ。
【渡辺委員】  どうもありがとうございました。東大と京大の話で、若手の方の雇用をできるだけ長くするという取組を具体的にされているということを聞いて、すごく安心したというか、そういうことを本当にやっていただかないと社会が不安定になっていく。一つは若手の方が安定的な職を得るためには、単に予算を増やすということはきっとできないでしょうから、どこかを削らないといけないということで、例えば、東大で御説明があったように、50歳以上の方を順次、年俸制にしていくというような、何かそういうことと一緒にやっていかなければ、現実的には難しいのではないでしょうか。ただ、期間を長くするだけというよりも、そのような取組とセットでやっていくということが有効なのではないかと思います。そのときに是非お願いしたいのが、今いらっしゃるポスドクや、これから生まれるポスドクの方が、一体何年ぐらいしたら、若手の7割、8割ぐらい、大半の方が安定的な職に入っていけるのかを、一大学だけではなくて全体として見積もりながらやっていけるととてもよくなる。それが実現できるような計画ができれば非常に、社会全体として皆さんが安心できるのではないかと思いました。
【吉川理事・副学長】  ただ、先生、年俸制に変えたとしても、その年俸はどこから出すとお考えになっているのですか。
【渡辺委員】  競争的資金ではどうですか。
【吉川理事・副学長】  いや、直接経費は使えないですね。使えるものもありますけれども、間接経費というのが、先ほど話がありましたように、RU11の国からのもので14%になっていますよね。
【松本理事・副学長】  今は、そうですね。
【渡辺委員】  そうすると、例えばそこを変えていくというようなことはできないのでしょうか。
【吉川理事・副学長】  そうです。だから、間接経費をどんと増やしていただいたらいいわけなのです。おっしゃるとおりです。
【松本理事・副学長】  それは財務省との戦いですね。
【濵口主査】  結局、年上の人を非常勤にして、下に常勤を回しても、1人に払っていた給与を、今度2人に払わないといけないことになるんですね。その予算をどうするのかと考えると、皆そこで固まってしまうんですね。どうしたらいいのだろう。
【吉川理事・副学長】  京都大学もポイント制を導入することを検討いたしました。すると、例えば教授の平均の給料は1,100万円で、助教の平均が650万ぐらいです。教授のポストをなくして助教にしますと、1,100万から650万を引きますから450万差額が出ます。それを年俸制にするということで、プラス300万から400万を足せば、1人はテニュアの助教で、もう一人は年俸制ということで、そのプラスアルファを大学からちゃんと定年まで潤沢に出せればよいのです。ところが、なかなか難しいので、国としてそのような施策をやっていただいたら、助教がなかなかテニュアポストを得られないというような状況を克服でき、かつ若手の方が増えますから、雑用が減り、海外留学の機会も増え、それによってグローバリゼーションなど、イノベーションの創出にもプラスになるでしょう。
【濵口主査】  他、いかがでしょう。
【松本理事・副学長】  年俸制になるメリットは、退職金縛りがなくなるということが一つあります。退職金を気にしなければ、社会保障はモビリティーがあると思うのですけれども、退職金というところまで考えると、25年以上、30年ぐらい同じところで働かないと、最後きちんとした退職金をもらえないことになっています。大した退職金がもらえるわけではないけれども、今のトレンドで言うと、「堀井先生は退職金はないよね」という勢いで減ってきていますから、もう今、年俸制に移りましょうということなのですけれども。今、年俸制にどうやってうまく移していくかという議論はあると伺っていますし、年俸制に移ることによって、海外にも自由に行けるし、企業も受け入れていただけるのなら行けるでしょうし、他の研究独法にも行けるわけですよね。だから、まず競争的な環境というか、人がよく動ける環境を、年俸制という退職金縛りを外してつくろうというのが一つのポイントで、それはやはり実力のある、きちんとエスタブリッシュした先生から動いていただきたいと思っています。それによって、今、発展途上の若手は少し安定的な雇用環境が得られて、本当に安心して研究をやってもらえるようにしたいという思いがあります。そして、それを本当にうまく社会システムに落とし込んでいくのは、東京大学と京都大学だけでは無理で、コンソーシアムをつくっても難しいでしょうし、もっと社会全体がそちらの方向に動いていかないと難しいと思います。
 日本の社会の非常にまずい点は、ベンチャーが起きないということもありますけれど、一度失敗したら終わりねという社会環境を何とかしていただかないと難しいのかなと思います。先ほど御質問があった、47歳までいてテニュアになれなかった人はどうするのかという話なのですが、今のところ、その途中でどこかに動いていく。別の場所、別の環境に移っていくということが普通にならないと、この問題は多分解決しないのだろうと思っています。
【濵口主査】  どうぞ。
【宮浦委員】  今、話題になりましたように、例えば47歳まで不安定雇用のままいってどうするのだというのは、テニュアトラックで5年になったらどうするのだという議論に根本的には近いと思うのですけれども、ただ5年と20年というスパンは、非常に大きな違いがあると思いますし、話題に出ましたように、とりあえず20年大丈夫だと若手が感じるようなシステムにするとまずいかなという気がしています。今、3年や5年の有期雇用など、来年度の雇用が不安な若手研究者が多いという状況は社会問題だと思うのですが、逆に20年という権利が発生した瞬間に、「20年大丈夫だ」というニュアンスが絶対発生しないよう、3年後、4年後に、いかにテニュアポストを、他機関も含めて取れるように工夫し若手研究者の雇用につながるような仕組みがあると、非常に運用しやすいかなと思います。
【吉川理事・副学長】  おっしゃるとおりです。20年ギャランティーではございません。これは5年で更新です。しかし、他のポスドクの方、あるいは若手の研究者の研究環境と、このコンソーシアムの研究環境は抜群に違うわけですね。そういういい環境で同じように研究をしたら、絶対にこちらの方がいろいろな競争で強くなるとなっていくと思っています。また、そういう人でないとコンソーシアムに採ったら駄目だと思います。
【宮浦委員】  ええ。
【吉川理事・副学長】  はい。全く先生のおっしゃるとおりです。
【濵口主査】  どうぞ。
【鷲見委員】  私の意見なので、今、議論して答えを頂かなくていいのですけれども、今日教伺った限りでは、結構これは苦肉の策というか、分かることは分かるのですけれども、一つは、「20年安心しないようにしてください」という意見が出るくらい、この環境で良い研究者が育つというインプレッションがなかったんです。だから、皆さんの英知を集めて、良い研究者がここで育っていくような20年であるという仕組みが欲しいのと、5年更新の4回で20年ですから、4回目の更新を受ける人たちが、「はい」と手を挙げるような仕組みが重要です。つまり、1回目の5年間というのは若いですから、可能性や未知の部分があります。しかし、15年の過去を履歴書に書いた上で、次の5年間の採用が行われるような仕組みが必要です。
 そして、お叱りをあえて覚悟して言いますと、派遣会社に就職した人の20年とどこが違うのかということです。また、20年を考えると、1つの技術は10年で次の技術に変わりますから、今、若手で最先端の技術を持っている人が、5年後、10年後、つまり、3回目の5年間で次の技術の創始者であるような方法が必要です。つまり「20年一つの技術で食っていくんだ」ということは大間違いだということを分かって入ってほしい。ひょっとしたら技術というのは5年で変わるかもしれないわけですね。だから、そこのところを、ここに集まった方々の意見や経験、いろいろな人たちの話を含めて考えていかないと、何を行うことになるのかなということになると思います。20年は長い時間なので、意見を申し上げました。
【吉川理事・副学長】  先生、ありがとうございます。20年というのは最長でありまして、場合によっては2回で終わる可能性もあります。その後も10年は保障しましょうというわけで、人によってはもう3回目は無理だということで、2回目の5年間で何か別の職を探す必要がある場合も出てくる可能性はあります。ただ、やはり最初のときに、先ほど白眉の話をしましたけれども、やはり相当いい人を、きちんとした審査で採る必要があります。おっしゃるとおり、20年たっても箸にも棒にもかからなかったというのは、選考委員会のミスです。だから、20年というのはギャランティーではなくて、最長ということです。
【濵口主査】  どうぞ。
【高橋委員】  お話ありがとうございました。私は、今、36歳なのですけれども、バイオ系の研究をしていて、大学院時代にポスドク問題を含め、その先のキャリアを考えて、修士の2年生のときに会社を立ち上げて、今、そちらの経営をしています。まず、5年や20年保障されるということは、私、もしかしたら、ここに来年座っていられないかもしれない身なので、非常にそれはそれでいい話だなと思っています。一方で、博士進学率の話については、先ほど先生方がおっしゃっていましたが、今、どんどん下がっていっています。もちろんアカデミアの先生方からしたら、それは一つ問題であり、増えてほしいという気持ちはあるのかもしれないのですが、一方で人数が増えれば増えるほど、もちろん産業界の受入れや何かという問題はありながらも、このような問題は拡大していく可能性があると思うんですね。そういう意味では、今も例えば東大の25.8%というのが、多いのか少ないのか、あるいは最終的にどの辺に落ち着くのが全体の仕組みとしていいのかというのを、感覚的な部分で結構なのですけれども、増やしたいのか、もう少し減ったあたりで落ち着けばいいのかということについて御意見を頂ければなと思い、質問をさせていただきました。
【松本理事・副学長】  Ph.D.の数で言うと、今日はグラフを持っていないのですが、他の先進国と比べると著しく低いのが日本の現状です。
【渡辺総括上席研究官】  今皆様の机上に配布されている資料8の8ページの下にあります。
【松本理事・副学長】  Ph.D.にはいろいろなレベルがありますから、日本の博士よりはもう少し軽いPh.D.もありますけれど、実際にハードネゴシエーションの場に行くと、やはりPh.D.やドクターでないと、ちゃんと議論できないんですね。そのような人材をやはり日本がきちっと持っていないと、フォロワーのときはいいんです。「そうか、そうか、よく来たね、教えてあげる」と言って、トレラントにアメリカは教えてくれていたわけですが、「競争しましょう」、「対等にコラボレートしよう」といったときに、話す相手がそうではないと、「ではちょっと帰って聞いてきますから」と言っていては話にならないんですよ。そこでぱっと決められるような人材がいるというのが、基本的に日本が目指したい国の形だと思うのですが、そのときにやはりドクターは必要なんですね。
 そういうトレーニングを、先ほどもちょっとお話ししましたけれども、大学だけでトレーニングしようというのではなくて、海外にも送り出し、濵田先生がおっしゃっている、タフでグローバルな東大生というものに仕上げていきたいと思っています。タフでグローバルというのは、ハードネゴシエーションもやれるし、企業に行って課題解決能力も身につけてこられるような人材にして出していきたい。そうしないと日本の未来がないという思いです。せっかく大学院大学なのですから、研究大学ですから研究をしながら、そのような優秀な人材を育てるというミッションを果たすためには、そこがちゃんと盛り上げられるような仕組みを大学そのものに持ってこなければいけないということです。
【吉川理事・副学長】  京都大学で、リーディング大学院のオールラウンド型で採択されている思修館というものがあります。全寮制で20名、5年間一貫教育を行っています。いわゆるイギリスのカレッジと思っていただいたらいいのですが、いろいろな分野の人が同じところで住んで学んでいこうということです。修士1、2年に当たる1・2年目は、研究専念で、Ph.D.の内容までやっていただくと。そして、3年目は、産業界から非常によくなされる批判で、あるところだけしか分からない、使いようもない、潰しもきかないということで、例えば工学の人だったら、やはり生命科学や文学、倫理、それから京都ですからお茶やお花、またお坊さんがよくいますから宗教学など、いわゆるリベラルアーツを学びます。つまり、今までゼロでぽんと上がってというのではなくて、やっぱりリベラルアーツですね。自分の分野以外のことでも、外国の人と十分話ができるような、そういう素養を1年間やっていただく。4年目は国際機関に1年間出します。例えば国際連合や、IAEA、ユネスコなどです。これは既に了解を得ておりまして、1年間出します。5年目は、そのような成果をもとに自分で今後どのような国際的なプロジェクトを立てるかということについてしっかりやっていただいて、それらを全部まとめてPh.D.を出すという取組を去年から始めました。一つの試みなのですけれども、これによって国際機関の方、あるいは産業界の方も、博士人材が少しましになったと思って、採っていただけるかもしれません。そういう試みを始めております。
【濵口主査】  すみません。お時間が押しておりますので、継続討議とさせていただきたいと思います。この課題は、若手の育成は本当に今、クリティカルな時代に入っていると思いますので、引き続きお願いしたいと思います。松本先生、吉川先生、今日は本当にありがとうございました。
 先ほど少しお話があった、資料8とありますけれど、科学技術・学術政策研究所より、資料8のイノベーション人材育成をめぐる検証と課題について、御紹介いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【渡辺総括上席研究官】  科学技術・学術政策研究所の人材関係の担当をしております渡辺と申します。資料8について簡単に説明させていただきます。資料は過去のデータも含めて、俯瞰(ふかん)的にデータが見えるようにつくらせていただきましたので、お手元の机上参考資料の中に入っているデータもございます。ですが、政策研のデータというのは、過去10年間ぐらいに遡りますと、物によっては政策的意図を持って集めたものもあるので、数字だけを見ると、「どうもミスリードされているな」と感じることが、この4月に政策研に入ってからありました。したがいまして、黒字で書いてあるものはデータ中心のデータの解説で、この中の青字で四角く囲んであるものは、いろいろなところで伺っている御意見などをもとに、こういうことが読み取れますよね、という意見を記載しています。ですので、異なる御意見も当然あると思います。このようなところを青字囲みにさせていただき、ブックレットにさせていただきました。
 まず1ページにございますように、博士課程の学位取得者という数は減っています。これは最新のもので2013年のものも出ておりますが、減少傾向は変わっていません。それどころか、減少率は少し大きくなったように思います。
 2ページでは、過去の2002年から2006年の7万5,000人は、どういう傾向になっているのかというものを調べたものです。このような統計データは、いつの、それからどのような母集団をとっているかで読み方は変わってまいります。いろいろな母集団のものが雑多に入っていて大変申し訳ないのですが、この中から一般的には15%がポストドクターになっているよということなどが読み取れます。
 ポイントとして申し上げたいのが、後ろの方になって申し訳ないのですが22ページの34-2です。人文系の数字は他のページにも記載されていますが、論点が少しずれますので外したグラフです。それぞれの専攻分野で、理学系、農学系の方々が、3割を超してポストドクターになっているのに対して、工学系はその3割という数字は、「その他研究機関開発関連職」公的な機関も含みますが、多くは要するに企業に移行しています。不明が2割近くあるので、もうちょっと確度を上げないといけないのですけれど、5年間の振り返り調査を全大学にやってくださいと依頼しているので、少し限界があります。機関回答率は100%なのですが、ひとつひとつには粗さがあります、ということです。
 「保健」というところの43%の紫の部分が、要するにお医者さんになっている人たちです。保健といっても、保健学科ではなくて、医学部が75%です。75%のうちの、あとは歯医者さんになる人もいますし獣医さんになる人も薬剤師さんになる人もいらっしゃいますから、そういう人たちが、43%。ポストドクターになる人たちというのは、Nが大きいので、そこは要注意ですけれども、全体の8%です。工学部の先生、理学部の先生、それぞれ学生と接する中で、それぞれの分野の状況は感じておられると思いますが、ポスドク問題は深刻だけれども、専攻分野によって、事情がかなり異なるということは、言えます。
5ページを御覧ください。こちらは人材政策推進室で調査を実施したものについて、理学部、工学部、農学部といった専攻分野ごとに、ポストドクター15,000人を対象に政策研で分析したものです。これは2009年のデータです。3年に1度、全機関に対して調査しています。
 ポストドクターはどこの出身ですかと聞いたときに、学部はどこだったということは、比較的正確に出てきます。その次に、何のお金で雇われていますかというのが、その下の右側の図にありますが、いろいろな外部資金でやとわれています。恐らく、ライフサイエンス分野のポスドクの数は多いと思われますが、正確に見るには、雇用されている外部資金が何分野かというひも付けがなされていないため、分野別のポスドク数は見えません。多分、国の重点開発投資分野であるライフサイエンス分野ですとかグリーン、あるいはエネルギー環境と言っている分野には多いと思われますが、お金に色が付いていないために、なかなかはっきりとは申し上げられないというのが現状でございます。ポストドクターの行く末ということになると、例えばイギリスでは、プロフェッサーになる人たちは0.45%ということまで、ロイヤルソサエティーが350周年を記念したレポートの中で示しており、キャリアパスが示されています。また、その中では、卒業後、博士を取得後5年ぐらいの初期研究者段階のキャリアパスが大事だということも言っているのですけれども、私どもとしては、今後そういうところが日本の国内全体に対して、渡辺委員からも御指摘がありましたように、できるように、データベース及び追跡により、全数はなかなか難しいと思いますが、把握できるようシステムの構築を進めております。
このブックレットにより、10年分のデータを集めて、分かっていることと分かっていないことを、データドリブンで明らかにしてみましたということです。

【濵口主査】  どうもありがとうございました。時間が押しており申し訳なかったのですが、十分これを活用させていただきたいと思います。
 それでは続きまして議題の3、研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォースの中間取りまとめについてお諮りしたいと思います。前々回の人材委員会、前回の委員会でも御議論いただきましたが、事務局から現状と説明をお願いしたいと思います。
【松尾人材政策課長】  事務局から失礼いたします。その前に、ポスドクの関係で一言だけ申し上げます。ポスドクの関係につきましては、今、第4期科学技術基本計画の期間ですが、第3期の基本計画のとき等々、いろいろな議論をさせていただきまして、そこでは、未来永ごうポスドクということではなくて、例えば、数年間ポスドクを何回か繰り返し、その中で見極めてもらうということだと思います。そのために、多分一番重要なのは、ポスドクになられた方が、アカデミアでの研究だけではなくて、博士号取得後の職の多様化ということなのだと思います。そういう関係で、例えば知財関係やURAなどで活躍する機会を設けるということをセットで考えないと、多分、今の出る人をアカデミアだけでどうするかを考えても、多分収まらないので、企業、あるいは研究所の中でも、URAでどう活躍していくかということをよく考える必要があると思います。
 それで今回、私ども、予算でいろいろやらせていただいているのも、そういう観点も含めて少し議論していきたいと思っていますし、あるいは先生方から御指摘もございました、大学との関係がございます。当局の方とも連携しながら、大学のシステム改革に、少し後押しするような形での予算の執行というのも、省全体として考えさせていただければ有り難いと思っていますので、どうぞよろしく御指導・御支援賜りたいと思います。
 議題3です。資料9-1、9-2、9-3で御説明したいと思います。資料9-1と9-2ですが、研究不正・研究費の不正ということで、特に最近、種々の事案が起こったということも踏まえまして、この6月から文部科学省の副大臣のもとでタスクフォースを開かせていただいたものです。前回御説明したかと思いますが、資料9-1がその要点ですが、基本的に研究費、研究不正、双方合わせた形での報告書になってございまして、基本的に個人の責任からある程度、機関への責任の明確化ということを論点として記載させていただいております。大きくは3点でございまして、不正を事前に防止する取組ということで、倫理教育を中心とした取組、組織の責任の明確化、これは国の監視と言っておりますけれども、研究の不正については国で監視することはなかなか難しいので、機関にある程度お願いをし、その体制がうまく機能しているかどうかというのを監視させていただくという論点になってございます。
 これに基づきまして、研究不正及び研究費の不正につきましては、詳細を検討中です。例えば、研究不正については、平成18年につくったガイドラインがございますが、この見直しをこれから有識者会議で開かせていただきたいと思っていますし、研究費の不正につきましては、既に有識者会議を立ち上げてございます。学術会議の方でも御議論いただいていますので、そこともうまく連動しながら対応していきたいと思っています。必要に応じて、この人材委員会にも御報告させていただきながら、先生方の御意見も賜って、最終的には来年になると思いますけれども、成案を得ていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 また資料9-3ですが、それに向けて、研究倫理のプログラムの取組でありますとか、国の体制強化についての現状を少し資料にさせていただきましたので、よろしくお願いいたします。以上です。

【濵口主査】  ありがとうございました。それでは最後に、事務局から次回日程等について連絡をお願いしたいと思います。
○事務局より次回の日程等について連絡。
【濵口主査】  ありがとうございました。今日は長時間ありがとうございました。若手研究者の育成、本当に大事な問題ですので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。本日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

── 了 ──

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人材政策推進室
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-- 登録:平成26年08月 --