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人材委員会(第50回) 議事録

1.日時

平成21年6月1日(月曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省東館3階 1特別会議室

3.議題

  1. 最終提言に向けた具体的施策について
  2. 最終提言の構成(案)について
  3. その他

4.出席者

委員

柘植主査、平野主査代理、有賀委員、有信委員、井上委員、大島委員、大隅委員、小川委員、興委員、小野委員、小林委員、菅委員、フクシマ委員、室伏委員、元村委員、吉川委員、吉見委員

文部科学省

土屋政策評価審議官、戸渡政策課長、川端基盤政策課長、星野人材政策企画官、角田総括上席研究官(科学技術政策研究所)他

5.議事録

午後 2時01分 開会

【柘植主査】

  それでは、科学技術・学術審議会人材委員会の第50回を開催いたします。今日からクールビズということで、ネクタイを私も取らせていただいております。
  それでは、事務局より本日の配付資料の確認、説明をお願いいたします。

【星野人材政策企画官】

  それでは、資料等の確認をさせていただきます。
  まず、お手元に議事次第、委員名簿、座席表、それぞれA4の縦長1枚のものが3枚ございます。また封筒の中の資料もあわせて確認をさせていただきます。
  資料1という形で、A4の縦でホチキスでとめたもの、資料2に同様にホチキスでとめてあり審議テーマは「大学教員等の人材育成に係る意識改革のための方策」と書いているものです。資料3が、最終提言の構成(案)というもの、資料4として、A4縦で「次回の開催予定」という1枚紙。その後が参考資料です。参考資料1として補正予算(案)の概要。参考資料2として、振興調整費の審査経緯及び結果概要。参考資料3として、これは教育再生懇談会の第四次報告。参考資料4として、審議テーマの「博士号取得者の社会の多様な場における活躍促進のための方策」。参考資料5として、審議テーマの「大学教員等の人材育成に係る意識改革のための方策」。参考資料6として、「基礎科学力強化委員会(第1回)における主な意見」、同様に参考資料7として、「基礎科学力強化委員会(第2回)における主な意見」というのがございます。
  さらに、それとは別に机上配布資料という形で、ダブルクリップでとめているものが別途あります。机上配布資料1「具体的施策のテーマ」、机上配布資料2というもの。
  以上でございますが、お手元の資料、過不足等はございますか。ありましたら、事務局までお申し出くださればと思います。

【柘植主査】

  ありがとうございます。

【星野人材政策企画官】

  議事に入る前に1点説明をさせていただきたいと思いますが、実は先ほどの参考資料のシリーズの中で、参考資料1、それから参考資料2、参考資料3について、少しだけ触れさせていただければと思います。
  参考資料1は、今まさに議論になっております平成21年度の補正予算の概要というものでございますが、この中で、科学技術関係人材そのものにかかわる部分については黄色くマーカーをつけてございます。マーカーで色塗りをしている場所が大きく2カ所見えるかと思いますけれども、1つは、2ページ目の真ん中少し上のところの「教育研究高度化のための支援体制整備」というところにマーカーがついております。これは大学等において研究技術スタッフみたいな形での研究支援者、それから事務関係の管理スタッフも含めて、こういったものを配置しよう、整備していこうといったものでございます。
  ほかには、設備等の整備もございますので、予算の金額としては300億円というようなかなり大きなものになっていますけれども、その中に支援者の人件費も含んでいるものです。
  もう一つ、2ページの一番下のところに「成長力強化のための高度人材の活用」と書いてございますけれども、この中でポストドクターを産業界で積極的に活用していただくようなもの、これは17億円の内数で5億円なのですけれども、そういうものと、あるいは企業の研究者、これは大学に出向して、大学で産学融合のための研究をするといったようなもの、これが12億円、このようなところが科学技術関係人材に直接かかわるような部分ということでマーカーをつけさせていただいております。
  参考資料2で科学技術振興調整費の審査経緯及び結果概要ということで、既にプレス発表しているものでございますけれども、人材関連の施策としまして、若手研究者の自立的研究環境整備促進というのがありますが、これはいわゆるテニュア・トラック制の普及のための制度でございます。ここにあがっております機関、大学において採択が決まってございます。
  その次のページ、4ページになりますが、イノベーション創出若手研究人材養成というプログラム、こちらのほうでもここに示されているとおりの課題等が採択されている。
  5ページ目、それから6ページ目も助成関連でございます。5ページ目のほうは、女性研究者の支援モデル育成という形で、これは女性が働きやすい環境づくりのためのものでございますけれども、ここの課題、それから提案機関が採択されている。
  最後のページのところが女性研究者の養成システム改革加速というところで、これはまさに女性研究者の活躍を加速していこうというプログラムでございますけれども、こちらのほうも、これは平成21年度からの新しいプログラムですが、ここにあげられております5つの機関が採択をされているというところでございます。
  参考資料3では、教育再生懇談会のこれまでの審議のまとめがございますので、後ほど目を通していただければと思います。本人材委員会でも取り入れるべきいろいろな提言等が盛り込まれているかと思います。
  これらの参考資料につきましてのご質問等は、また個別に事務局のご照会いただければ、詳細な説明をさせていただきたいと思います。
  以上でございます。

【柘植主査】

  ありがとうございます。
  それでは、本日の議事について説明をいたします。
  前回の第49回人材委員会では、第4期の科学技術基本計画に向けて、今年の秋をめどに予定しています最終提言で打ち出すべき具体的な方策について、特に基礎科学力強化のための若手研究者の養成及び理数教育の充実について議論をいただきました。
  本日は、社会の多様な場で活躍する科学技術関係人材の育成についてのご審議をいただければと思います。
  まず、博士号取得者の社会の多様な場における活躍促進のための方策について、続いて、大学教員等の人材育成に係る意識改革のための方策について、それぞれご審議をいただいた後に、少し繰り上がっております最終提言に向けて、その構成(案)をお示ししたいと考えております。本日も活発なご議論をいただけたらと思います。
  それでは、早速審議に入りたいと思います。最終提言に向けた具体的施策につきまして、事務局のほうから説明をお願いいたします。

【星野人材政策企画官】

  資料1の審議テーマで申しますと、「博士号取得者の社会の多様な場における活躍促進のための方策」と枠囲いで書いてあるものと、それから、参考資料4、これが審議テーマに関係するデータを示した参考資料です。参考資料4と資料1の両方に基づいてまずは説明をさせていただきたいと思います。
  資料1のほうで説明をさせていただきますが、博士号を取得している高度な知識及び能力を身につけた、そういった方が社会の多様な場で活躍するための方策といたしまして、これはポストドクターも含めてでございますけれども、やはりキャリアパスを多様化していく、これはアカデミアだけではなくて、アカデミア以外の分野も含めた、そういった活躍の場を広げていくための方策についてご議論をいただきたいと思っております。
  その中で、大きく柱として2つ設けてございますけれども、まずはキャリアパスそのものを多様化するためには、どうしていったらいいだろうか。それから、さらに特に最近いろいろと取り上げられておりますポストドクター、いわゆるポスドク問題と言われているものがございますけれども、これを解決するためにどうしていったらよいのだろうかという観点からご議論いただければということでございます。
  まず、キャリアパスの多様化を促進するための方策というところですけれども、これは資料1の真ん中ぐらいのところに○が書いてございますが、優秀な博士号取得者の高度な知識や能力、こういったものを積極的に活用いたしまして、産業界や教育界、アカデミア以外の世界でも教育界というのはございますから、そういったところでもキャリアパスの多様化など進む道というものをつくっていく方策というのがあるのではないか。
  ここで、参考資料4の2ページに相当するのですけれども、図1-1というのがございます。これはポストドクター等のキャリア選択の意識のアンケート調査の結果でございます。これは科学技術政策研究所でとっていただきましたアンケート調査を取りまとめたものでございますけれども、その中を見ていただきますと、いろいろなところで活躍をしたいという意識が読み取れるというところでございます。アカデミアでの研究者というのも当然筆頭ではあるのですけれども、ほかのいろいろなところでも活躍したいという、そういった希望というものが見えるところでございます。
  こういったことを踏まえて、企業等での研究開発を強化するという観点から、企業等で博士号の取得者が雇用できるような、そういうインセンティブを与えていくような方法というのもあるのではないか、あるいは、大学や研究機関の研究支援体制、それから事務支援体制、こういったものが脆弱と言われておりますので、こういったものを強化していくような方向性。例えばリサーチアドミニストレーターみたいな形での専門知識を持ちつつも事務などの支援ができる、そういった支援職員へのキャリアパスというものもあるのではないか。
  それから、例えば必要な資質、能力といったものを身につけていただいた上で、中学校や高等学校の理数系の先生などになっていただくような、そういう道もあるのではないか。これはあくまでも例示でございますけれども、こういったことも考えられるのではないかと思ってございます。
  資料1の2ページ目のところでございますが、ポストドクターそのものに対しての課題の解決に向けた取り組みというところでございますけれども、ポストドクターの1万人の支援計画というのがかつてございましたけれども、これはもう既に達成をされている。それで、一番新しいデータ、これは平成18年度の延べ人数のデータでございますけれども、もう既に1万6,000人を超えるポストドクターが存在をしているという状況でございます。
  そういった中で、キャリアパスの多様化の一環としてポストドクターの問題というものも考えながら解決を図っていく必要があろうと思っておりますが、問題となっているのは、例えば参考資料4で言いますと、8ページ、9ページあたりになるのですが、これは非常に見にくいフロー図になってございますけれども、ポストドクターがどういった形で、例えば大学の教員、民間の機関等に流れているのか。これは学校基本調査での統計の数と、それからポストドクターの進路動向の8機関調査を実施しており、一部のポストドクターですけれども、そのときに得られたデータをもとに外挿いたしまして推定をしているデータでございます。こういったものを見ますと、ポストドクターの進み方というところで、なかなかポストドクターが産業構造と必ずしもマッチしていないのではないかといったことがうかがえるというところもございます。こういったところを何とか解消していく必要があるのではないか。
  この状況を踏まえまして、資料の2ページの下でございますけれども、ポストドクターをまずはきちんと研究者としてのキャリアパスの一つだと位置づけていく必要があろう。その研究者のキャリアパスとして位置づける方法の議論の中で、かつて総合科学技術会議の中で、ポスドクへのフェローシップを博士号取得後5年程度までに限定すべきではないか。要は、ある程度時間が限られた中での位置づけだというような意見も出されていたということがございます。ですから、あくまでもキャリアパスの通過地点というような位置づけ方というものの議論がなされていたことがある。
  あるいは、ポストドクターそのものの雇用形態というものも、常勤的なポストドクターもいれば、非常勤的なポストドクターもいたり、あるいは所属機関によってはかなり雇用条件には差があるということもございますので、そういったところをきちんと、何がポストドクターなのかというところをガイドラインみたいなものを策定して、ポストドクターというものの処遇とか、そういったものをきちんと明確にしていく必要があるのではないかというのがまず1点でございます。
  あるいは、ポストドクターという道に進む前に、まずは自らのキャリアパス、そういったものに対しての見通しというものもある程度ポストドクター自身に立てていただく。その見通しを早目に立てられるような、そのためのサポートというものも必要になってくるのではないかというところがアイデアとして考えられるところでございます。
  あくまでも例示でございますけれども、こういった考え方やデータを踏まえつつ、先生方のさまざまなご意見を承れればと思ってございます。
  まずはこの審議テーマについてご議論をいただければと思います。

【柘植主査】

  ありがとうございます。
  それでは、今から約35分時間を使いまして、博士号取得者の社会の多様な場における活躍促進のための方策について活発な意見交換をしたいと思います。
  今の事務局の説明にありましたように資料1の3ページからは中間まとめの中でこれに関する関係箇所の抜粋が添付されております。このあたりも、前期の議論、それから中間まとめにどのように反映されていたかということも参考にしていただきながら議論をしていきたいと思います。
  興委員どうぞ。

【興委員】

  いろいろとすばらしい資料をお出しいただいてありがとうございます。ただ、資料を見てよく分からなかったので教えていただきたいのですが、今ご説明いただいた参考資料4の8ページのポスドク1万3,000人というのがございますね。それで、上のほうに上がっていく転職・転出者というので4,400人いる。1万3,000人の方々は、このうち、転職・転出者の上に上がっていく方々が4,400人ですよね。

【星野人材政策企画官】

  はい。

【興委員】

  4,400の人がそれぞれにいくのが薄い青色で書いたところで、それを足してみると、4,400人ぐらいになるのですが、1万3,000人のうちの残りの8,000人ぐらいというのは、この図面で言うと、どこに行くのですか。

【星野人材政策企画官】

  ポストドクターの平均の在職年数が約3年でございまして、3分の1ぐらいずつが転出対象になるということでございます。

【興委員】

  そうすると、1万3,000人のうち、該当する転出者というのは4,400人と、こういうことですね。

【星野人材政策企画官】

  はい、そのとおりでございます。

【興委員】

  転職・転出される大体4,400人のうち、それが割合で出ているのはポスドクの1万3,000人に対して割った数字のパーセンテージが出ているのですね。下にそれぞれ、例えば職業不明の者は720名というのですけれども、ポスドクのうちの約5%というのは、その1万3,000人に対する割合、そういうことですね。

【星野人材政策企画官】

  はい、そうです。総数に対しての割合です。

【興委員】

  ありがとうございました。

【柘植主査】

  今の話と絡むのですが、この8ページの絵で、私は、マクロ的な理解では、今生み出されている博士課程修了者の総数に対して、この絵でいきますと、大学に行けるポストの数として大体2割から3割だとマクロ的に見ていますけれども、その感覚は合っているか。合っているならば、この8ページでどの数字で2割か3割かという、そういう見方はできますか、この8ページの絵で。

【星野人材政策企画官】

  ポストドクターから大学教員に行く割合ということで言えば、おおよそ4人に1人ぐらいは大学教員になっているらしいという推定が可能だということかと思います。

【柘植主査】

  1,000人というのが4年ぐらいで4,000人ぐらいだからというようにマクロ的に見ておけばいいということですか。

【星野人材政策企画官】

  そのとおりです。

【柘植主査】

  いかがなものでしょうか。産業界の委員の方から口火を切っていただきたいと思いますが、もちろん大学に行く、大学ポストも非常に大事だと思うのですけれども、一方では4人に3人は産業界なりに行かないといけない数字の博士が生み出されてきているわけですけれども、有信委員から口火を切っていただけませんか。

【有信委員】

  かなりの人たちが産業界に行かなきゃいけないという主査の表現も問題だと思うのです。別に産業界に行かなきゃいけないという理由はないと思うのです。
  要するに、問題を大きく分けると、現在のポスドクで、非常に変な言い方ですけれども、余っていると言われている人たちの処遇をどうするかという問題と、今後、ドクターコースを出るような人たち、いわゆるPh.D.は社会にとって必要な存在であるという前提で、将来的にこの人たちを活用していくためのシステムづくりをどうやるかという話と2通りあると思うのです。
  特に後者の問題について言うと、例えば今の大学の人事処遇制度と、前回菅委員からもお話がありましたけれども、今の大学の教員のあり方の問題も含めて、テニュア・トラック等々を含めた大学の中での若手研究者の活躍の場を確保するという問題と、それからあわせて、今の日本の雇用状況の中で問題となっている、いわゆる単線化というのですか、企業の中でずっと今まで培われてきた年功序列の賃金体系、あるいはその処遇体系が、結果的にドクターの採用活用を難しくしている面が今まではあったのですね。だけども、ここの部分は徐々に壊れつつあるので、そういうことを前提にして人材の流動化を含めた具体的なくさびの打ち込み方を考えるという問題。産業界側としては、現実的にもう既に年功体系というのは大きく崩れてきていて、その中で、研究開発そのものの内容も変わりながらも、やはり高度な知識を持ったPh.D.に対する必要性というのは、今後とも高まっていく、こう思っていますので、そこを踏まえてPh.D.の育成の仕方を考えるということをきちんとやっていく必要があるような気がします。
  ですから、大学の教員の処遇体系と企業の処遇体系を含めて、その間での人材の流動化をどう促進していくかということで、今ここに書いてある絵も、基本的には単線的な育成というか、それを前提としているように見えるのですね。やっぱり22歳ぐらいで大学を出て、25歳ぐらいでマスターを出て、28歳でドクターを出て、その後どうしますかと、こういう数え方でいっているものだから、結局非常に出口が難しくなってしまう。
  もう少しその人間の仕事の質に応じて賃金が支払われる、あるいはその能力に応じて具体的な仕事が与えられるという仕組みで物事が回り出せば、年齢というのは関係なくなってくるはずなのですね。したがって、そういう前提で物事をもう一度組み直していかないと、結局、今一番失敗なのは、どんどん年をとってしまって、そうすると、企業の年功体系の中で、例えば40歳過ぎてどこにはめ込めるか、こういう問題になってしまうわけで、こういう議論をやっていると、多分出口がないと思うのです。
  それともう一つは、現在余っている人たちの処遇について言うと、これは現在、要するに、研究開発費の重点投資が一番の駆動力になって、社会の吸収能力のないPh.D.をたくさん生み出しているという現状が一方であって、ところが、社会の吸収能力がないPh.D.を生み出しているから、そのPh.D.が不要なわけではなくて、これは研究領域として国が重要だと思ったから研究費を重点投下しているわけで、その人たちを生かす方策は、これはまた別問題として考えないと、本来の投資が生きてこないはずですね。
  この中にも書かれていますけれども、もともと重点投資を先行的にしている研究領域が、産業化されるまでにはタイムラグが必ずあるわけですから、その間のつなぎを国策として考えていくというので、現在のPh.D.の処遇を考えるシステムが必要だろうというように思います。

【柘植主査】

  ありがとうございます。今のお話は論点としては2つあって、既に生み出されている、生み出されつつあるポストドクターの問題と、それから今後の博士修了者のキャリアパスとは別な問題として取り扱うべきであり、もう一つは、企業においても年功序列というか、単線化的な雇用形態が今壊れつつあるけれども、それはさりとて、やはり産業の中で活躍する人材を育てていくという視点は大きな命題で変わっていない。だから、単線的な考え方は変えるべき時代に入ってきている、そう受け取りました。
  吉川委員、いかがですか。

【吉川委員】

  産業界が博士号取得者に対してどのような期待を持っているかということに関して言うと、我々は非常に大きな期待を持っています。具体的な数字で申し上げますと、実は我々の研究所の採用状況というのは、博士号取得者がどんどん増えて、今、全体の30%ぐらいになっています。残りの70%が修士課程修了者です。実はこの傾向は、我々が持っている海外の研究所、中国とかアメリカ、イギリスの研究所では、博士号取得者が50%、修士が50%ぐらいになっているので、潜在的には日本においても博士号取得者のコンピテンシーを備えた人については50%ぐらいに持っていきたいということがあるのですが、現実の採用活動においては、日本の博士号取得者の資質・能力が海外の博士号取得者に比べて劣っているのか、言い方によると、日本の修士の学生が博士号取得者より優秀だということもあるのだと思うのですけれども、博士号取得者の採用比率は30%にとどまっている。
  この問題は、そういう意味では何度か議論が出ていると思うのですが、博士課程での入口管理、出口管理をしっかりして、諸外国の博士課程と同様のコンピテンシーを持った人にその学位を与えるのだという方向になっていけば、産業界での活躍の場というのは自然と増えていくだろうというのが私の見解です。
  それから、ポストドクターの問題について言うと、我々もポストドクターを採用しているケースはあるのですが、極めて例外的です。ポスドクというのがキャリアパスになるのかという原点から考えてみると、今の大学院の学生に対するアンケート調査で、“「将来の志望はポスドクです」と言っている人はゼロです”というのが文部科学省の調査で数字が出ていたかと思うのですが、今ポスドクになっている方は、意に反して仕方なくポスドクを選んでいるというのが実態ではないかと思います。
  ですから、ポスドクの問題については、ポスドクになる以前で進路指導をしっかりして、修士から博士に進学する段階、あるいは博士課程に進学した後でも、あくまでもアカデミアの道を追求するのか、あるいは産業界に就職するのか、他に行くのかということを考えながら、非常に逆説的な言い方なのですが、ポスドクにならないようにするというような進路指導がポスドク対応問題の一番の要ではないかと思います。

【柘植主査】

  ありがとうございます。今のお話の中でのヒントとしては、海外と日本と比較すると、日本は今後の道筋としては、ドクターの率がもっと増えていくのが産業の方向だろうけれども、しかし、その中で増えるのを妨げているのは2つの見方がある。1つは、修士自体が優秀な修士で、会社に入ってからのプラスのキャリアパスの中で、今はドクターの役割も果たしている。一方では、ドクター修了者の能力不足、両面があるかもしれないと。打ち手としてはこの2つがあるかなと。つまり、修士を終えてから企業に行って、またもう一回大学の教育研究に参画する、貢献するという立場での国の施策というのはあるかなと、今の吉川委員の話でありました。一方では、ドクターが産業界でやっていける資質の強化という2つのとらまえ方があるかなと今伺いました。
  興委員、どうぞ。

【興委員】

  今おっしゃられたところは、全く私も同感でございます。ポスドク1万人計画がスタートして、それで、ポスドク制度はとってもいいものだということで、第2期の科学技術基本計画策定作業の時、それをさらに推進しようとする動きがあったのですね。私は当時、科学技術庁の振興局長をしておりまして、むしろ問題を提起したのです。提起した趣旨は、ポスドク制度というのはやむにやまれず講ぜられた施策であって、それが本当にいいのかということを考える必要があると申し上げたのです。科学技術会議の場でございますが、これに対しての井村先生のご説明が非常にクリアであって、本来は、テニュア制を導入することが必要なのであって、すべてのポストに基本的にはテニュアを導入することが日本の高等教育機関も含めてあり得べき絵姿なのだと。そのためのステップ論として、そういう体制が整うまでは、やむを得ない制度で対応していくことが必要だろうと、こういう御説明の趣であったのですね。
  それで、今、非常にポスドクに対する期待感というよりもそうしたマイナスの側面が非常に強いということを理解しておくことが重要であります。そういう意味では、今、文部科学省の基盤政策課がイニシアティブをとって、そういう特色ある人材育成のいろんなプログラムがあって、テニュア・トラック制のいろんな試みがスタートしておりますけれども、テニュア・トラック制度は、テニュアに評価される人に対しては道を開くのだという制度です。前に菅委員もこのあたりのご発言をなさったと思うのですけれども、テニュアというのは、1つの大学で認められるのではなくて、どの組織であってもテニュアとしてちゃんと認証できる、そういう制度を定着させることが必要であり抜本的な制度改革をそろそろ本当にやっていかないとよくないのではないかと思っています。ですから大賛成でございます。
  それと、もう一つおっしゃった中で、産業界との関係でございますけれども、優秀な人材であるマスターの方々が本来ドクターまで行きたいけれど、ドクターまで行くことによってむしろ就職、雇用の道がふさがれる可能性があり、今であれば確実に就職できる。また、財政的に非常に厳しい状況も見込まれるし、ポスドクの道に追い込まれる可能性があるので、むしろ修士のときに就職してしまおう、という実態があります。それで、むしろ社会人留学生という形でドクターに行く道のほうが多様性が非常にあるからというような、やむを得ざる対応でアクションをとっている人が多いと私は思えるのですね。そういう意味で、繰り返し申し上げておりますけれども、産業界にとって真に必要な人材をドタクーからもちゃんと採っていただける見通しを打ち出すことが必要だろうと期待しております。
  ただ、それがこのペーパーの中に流れているように、資料1の1ページのローマ数字の1の最初の例に、「企業等における研究開発等を強化するため、企業等が博士号取得者を雇用するインセンティブを付与」、こう書いてありますけれども、インセンティブを付与して人を雇うのでは、優秀な人材はそこに来ないのですね。また、企業もそういう人を必ず欲しがらない。そうではなくて、企業にとっては本当に必要な人を採っていただきたいし、学生に博士課程に行くことが必ずバラ色なのだという、そこを示すことが重要ではないか、こう思います。

【柘植主査】

  ぜひ、今抜本的な施策がということで、中間まとめの中のここの部分を太くするとか、あるいは中間まとめではなかった、新たにこの打ち手をという、これをぜひ皆さんのお考えをいただきたいと思います。中間報告でもかなり議論しながらも、果たして今の問題に対して抜本的な施策になっているかどうか、主査としても少し見直さなければと思っています。
  元村委員、菅委員お願いします。

【元村委員】

  ありがとうございます。
  今は現実に即していろんな対策のご意見を皆さんおっしゃっているのですけれども、私がポスドク問題を取材し始めたころ、8年ぐらい前の少なくともポスドク制度をつくったときの建前論としては、たしかただ博士を取って、すぐに出身大学の教員になるよりは、いろんなところで武者修行をして、経験を積んで研究者としての知識とか人脈をつくって、それから教員になるのがよろしいと。そのための武者修行をお給料を払って支援しますという、そういうような建前論がたしかあったと思うのですね。多くの博士課程の学生はそれを信じてというか、「あっ、そうか、助けてくれるのだ」と思って、それでポスドクを選んだと記憶しているのです。
  今お聞きしていると、ポスドクにならないための進路指導が最大のポスドク対策というのは、現実そうですけれども、こういう議論を聞いていると、ポスドクを選んだ人たちはだまされたとやはり思ってしまうのだろうなと今思いました。結局バラ色の夢を見せられて、無邪気に信じたほうも信じたほうなのですけれども、結局ふたをあけてみたら余っていて、失業対策みたいな話をここでやっているというように受け取られてしまうのではないかなという感想を持ちました。
  ですので、もう一回確認したいのは、もともと本当に誠実な、崇高な理念でこのポスドク制度がつくられたのかどうかというのを、興委員も含めて、もう一回確認をしたい。
  もう一つは質問で、ポスドクも余っている業界と余ってない業界があるというのをよく聞くのですね。例えば生命科学はすごく余っていて就職難であると。その話が結構普及宣伝されて、別の分野で足りてないというか、幾らでもまだ欲しいところがポスドクが足りなくて困っているという話を聞いたので、例えばこういうフローとか、どこら辺の業界が一番余っているとか、ここは足りてないとか、もう少し細かい業界専門ごとの分析があると、具体的に話がしやすいと思いました。
  以上です。

【柘植主査】

  それでは、興委員、ご発言をお願いします。

【興委員】

  私が申し上げたいのは、もう一つ考慮しなくてはいけない要因として、任期付制度とポスドクの問題があります。一方では、ご案内のとおり第2期の科学技術基本計画のスタートの前ですけれども、任期付制度をかなり強調しようということがあったと思います。任期付ということが要件になると、任期付でない方が保障されていて、若い方々だけに負担をかけてしまいます。元村委員のおっしゃったのは、むしろポスドクというよりも任期付に対する期待感というのはそういうところがあったと思います。若手の方々がポスドクとか任期付でということになってしまうと、なぜ自分たちだけが、ということになるのだろうと思うのですね。したがって、すべてがそういう制度なのだということになってくれば、したがってテニュア制をちゃんと導入するのですよというようなことになれば、そのステップとしての制度を、社会はみんな許容してくるのだろうと思うのです。
  それが、先ほどの井村先生のご回答でありました、けれども、日本の社会はまだまだそういう社会ではないから、その時代に向けてのこういう任期付導入を巡って、実は第2期の科学技術基本計画づくりにあったのですね。
  ポスドク1万人計画というのは、それ以前からの政策であり、大学院を出て、博士学位を取得したけれども、就職の機会がない。そうしたポスドク学生に対する支援を考えましょうということで設けられた施策であり、決してバラ色の取り組みではなく、対策的な形であったと思っています。任期付制度の導入は、今申し上げたように、評価をして就労の機会は得られるが、任期を付してチャンスを与えてという、こういうことだと思います。

【元村委員】

  それでは、2カ所ぐらい違う職場を経験して、経験を積んで武者修行してということは、あれは任期付の話ですか、ポスドクではなくて。

【興委員】

  むしろポスドクの方々が任期付として雇用される……。

【元村委員】

  任期付の職の理念だったわけですか。それをポスドクに適用してみんなが考えていたということですね。

【興委員】

  そういうことですね。

【元村委員】

  分かりました。

【小野委員】

  今の件でよろしいですか。

【柘植主査】

  どうぞ。

【小野委員】

  日本学術振興会はポスドクの支援もやっていますので、ポスドクになるべくならないようにと言われると少し困るのですが、私はやはり大学の教員にドクターコースからすぐなるのではなくて、いろんな研究現場を知った上で助教あるいは准教授になっていくというのがきちんとした道だと思います、ポスドクを例えば3年間なら3年間しっかり支援するということは、私は非常に大事なことだと思うので、その上で、いろんな進路があっていいので、ポスドクから民間企業に行くということもあっていいと思いますし、大学の助教になるのもいい。さらには、ほかの職に行くのもいいと思うのですけれども、ただ、きちんとしたパーマネントな職がドクターを出たときにないからポスドクになるというだけの視点では私はないと思うのですね。あくまでも違った場所でいろんな研究活動や教育活動に従事することで、その人の資質を磨いて、それが将来の若手の人材として育っていくためのポスドクであると我々は思っているのですね。
  もちろんポスドクの数が非常に多くなり過ぎるということは問題ですけれども、ある程度の数のポスドクが常時3年間競争条件の中で鍛えられていくというのは、私は非常に大事な制度だと思っています。

【柘植主査】

  主査として、私もドクター課程を出た後、産業界に行って、産業界の雇用形態も含めて、先ほどの有信委員のおっしゃった話、あるいは吉川委員のおっしゃった話は、企業側の雇用形態は変わりつつあると言いながら、やはりポスドクを経由してから雇用するという話は、まだまだ日本の中では雇用文化としては本人にとって不利な方向になってきているわけで、私は振り返ってみると、大学等の研究職のポストのテニュアに向けた一つの準備段階という意味のポスドクの意味はあるのですが、それはポスドクの今生み出されている25%ぐらいの数字であって、それ以外のドクター修了者に対する設計が不足していたというのが今の認識で、私はみんながこの認識に立つべきではないかと思って、抜本対策という方向としては、やはり25%の学術をしっかり支えてくれる人の道と同時に、一方では、産業の中で受け入れられる博士課程を育てていく、これを2本立てにしていなかったことが、私は今の問題のルーツではないかと感じております。
  多分意見がまた小野委員と分かれるかもしれませんけれども、それで、元村委員から2つ目のポスドクの就職難、就職難という言葉を使っていいのでしょうか、ばらつきが分野によって違うのではないかということについて、私もそういう数字、意外と工学部は就職率が高いとか、そういうのを見たことはあるのですけれども、事務局、何かコメントできますでしょうか。

【星野人材政策企画官】

  お手元にドッチファイルの分厚い机上参考資料集があろうかと思います。白い表紙の中間取りまとめの冊子の中で後ろのほうにデータ集が添付されています。中間取りまとめの際のデータ集が添付されていて、そのデータ集の6ページ、7ページに相当する部分、円グラフが見えるところがあろうかと思います。その中で、ライフサイエンス分野に大変たくさんポスドクがいる状況というのは左の6ページの下のほうで見える。他方で、右の7ページの下のほうでは、アメリカなんかの場合ですと、やはりライフサイエンスの分野にポスドクはたくさんいるのですけれども、アメリカの営利企業に雇用されている博士号取得者の専門別の構成比というところで見ると、ライフ分野の比重というのはかなり大きく見える。
  他方で、実は我が国のほうは、今のところの統計データの区分というのが、理学、工学、農学といった大学の学部別の統計しかないがために、理学、工学の内訳の詳細が残念ながらわからないという状況であります。ただし、想像されるのは、農学の比重が非常に企業の研究者の功績として小さい。保健分野も小さいです。そういったところから類推すると、ライフサイエンス分野のポストドクターの受け皿としての企業の雇用の絶対数というのはかなり小さいのではないかというのが想像されるというところかと思います。
  以上でございます。

【柘植主査】

  菅委員、よろしくお願いします。

【菅委員】

  最初に主査がおっしゃったポスドクとあわせて社会の構造をというのは、私は本当に正しいと思います。まず1つ目ですけれども、現実問題としてポスドクに行く人たちは、この資料の図1-1を見てのとおり、ほとんどの人はアカデミックに行きたいというように考えているというのが現実です。一方で、日本はアカデミックポストというのは非常に限られていて、しかもそこにテニュア制度ということがない。今回、今後テニュア制度のことについてかなり導入を進めてくださるようですので、とてもいいと思うのですが、一つ勘違いをしてはいけないのは、テニュア制度と任期制度は違うということです。任期制度とは、切ることを最初から前提にして雇うことであって、テニュア制度とは、いい人を残すという制度です。ですから、今、日本の中でテニュア制度がないということは、助教の人はみんな任期制度なのですが、任期制度ということは、結局その先が見えないというところで不安を感じる。それをテニュア制度という形に変えることがもしできるのであれば、きっと今のポスドクの人たちも希望を持っていくであろうと私は思います。
  ポスドクのキャリアなのですけれども、今、意識調査を見てもお分かりのとおり、大学の研究者になりたいというのにあまりにも偏り過ぎているというのがおそらくポスドク問題の最も大きな根本的なところではないかと思うのです。したがって、それを解決するためには、一つは大学等の研究機関に行きたい人たちがたくさんいるわけですから、そこのテニュア制度をつくるということと、そのテニュア制度はやはり厳しくないといけないので、中には別の道もしっかりと歩めるように意識改革を今後ポスドクの人たちにしていかないといけない。逆にいうと、そういう道もあるよというのを、博士の課程から示していかなければ、いきなりポスドクになって、「企業に行くことも考えなさいよ」というのもかなり無理なことですので、博士課程にいるときから、自分はとりあえずアカデミックを目指したい、それはいいと。ポスドクするのだ、でも、その後には自分の能力を考えて企業に行くというのも一つの選択肢として考えていないといけないというのを、博士の教育の時点から言っていかないといけないだろうと思います。
  私側から質問なのですけれども、例えばJSTとかJSPSとかのプログラムオフィサーになる場合は、この統計の中ではどこに入るのですか。

【星野人材政策企画官】

  これは産学連携のコーディネーターのような職の中に入ってくるのかなと。現実問題としては、大学の先生でありますとか、あるいは企業の研究機関の方々から出向していただいているというのが現実ですので、そういう常勤のテニュアな仕事として確立しているという状況にはないのですが、もし分類するとすれば、そういったコーディネーター職のようなところに入ると思います。

【菅委員】

  そこがまず一つあるのですけれども、今これだけ研究費が増えてきた中で、そういうプログラムオフィサーとか、そういうコーディネートする人を大学からの出向でまだやっているというのは、私側からすると、けしからんことだなと思うのですね。アメリカを含めて見ますと、例えば上の科学記者などのコミュニケーター、それから産学連携コーディネーター職、知財、それから企業、ベンチャーなんかの技術職というところに多分かなりの人たちが、それに少なくともついてもよいというのが半分以上だと思うのですね。ですから、そういう意味では全く啓蒙がされていないというか、こういう道もありますよというのがないです。
  例えば私は先週ヨーロッパに出張に行っていましたけれども、そこの会議でも、雑誌社の人たちが3人、4人出席しています。会議にずっと1週間出続けて、いろんな会議を聞いて質問をしてみたいな、Ph.D.をちゃんと持った人がそういう場で活躍して、いい研究を今後雑誌の中にどうやって取り込んでいくかとか、そういうのを見ているわけです。そういう職として、その人たちは大体ドクター、ポスドクをやっていたりする人が非常に多いのですけれども、そういう職が日本の場合はあまり定着していないということで、先ほど申し上げました4つのようなところにはもう少し希望者を増やすような、大学院の教育もしなくてはいけないでしょうし、ポスドクの人たちにもそういう啓蒙をしないといけないだろうなというように私は感じます。そうしないと、なかなか日本での研究費を出す側のレベルが上がっていかないと、研究そのもののレベルも上がっていかないということも考えられるのではないかと考えます。

【柘植主査】

  小林委員、室伏委員、フクシマ委員ということにしたいと思います。

【小林委員】

  今の菅委員の話とも関係するのですけれども、先ほどの参考資料4の8ページ目の絵で言うと、これは若干古いデータということもあるのですが、ポスドクの民間企業への就職は、かなり進んできた。おそらく、今330人と書いてありますが、これが例えば1,000人とかという規模になれば、流れが出来たという意味では十分かもしれないぐらいの規模だと思うのです。経済状況を考えれば、今は決してそれを3,000人にしようということではないと思います。ここ半年を見れば就職が難しくなっていますが、ここ数年の間には、ポスドクとか博士の民間企業での採用は非常に増えてきたということがあると思います。
  ところが、そういう中で一番進んでこなかったのが、今の菅委員のお話のとおりで、先ほどの資料1で言うと、真ん中あたりにあった大学とか、ファンディング機関あるいは研究機関です。これらの機関で、研究支援とか事務体制を強化するために、いろんな専門的な知識を持つ職員が必要だという議論があります。ありますが、例えば科学技術・学術審議会のいろいろな会合でも、国際委員会は国際委員会で必要だ、評価部会は評価部会で必要だという議論をしています。あるいは技術支援のような分野もありますし、いろいろなタイプの専門スタッフが必要だという議論があるのですけれども、実はここが全然手がついていない。定員削減という問題もあるのですけれども、なかなか手がついていなくて、本来必要なところ、あるいは拡充をしないと、今後の日本の科学技術は非常に大変になってくるだろうと思われるのですけれども、そこが手がついていない。しかも、今度の補正予算を見ると、支援者が重要な役割を果たしそうなものがたくさんあって、具体的なイメージはよくわかりませんけれども、本来そういうところにはかなり専門的なスタッフを、それこそ場合によっては1,000人規模で日本中で確保しなくちゃいけない。あるいは場合によってはもっと多いかもしれませんけれども、本質的に必要であるし、また短期的にも必要であるという状況に来ているのだと思うのです。
  ところが、従来、その部分を明確に打ち出してこなかったというのが一つ大きい課題だと思います。これは実は個々の大学では打ち出しにくいことです。予算の削減、定員の削減の中での話のことなので、こういう審議会等で明確にポスドクの行き先としてそういうカテゴリーがあるということを言っていけば、例えば毎年100人、200人でもそういう道があるということになるとかなり変わってくるだろうというのが1つです。
  もう一つは、今テニュア・トラックとか任期制の話が出たのですが、テニュア・トラックを日本で導入するときに議論しなかったのが、ノンテニュア・トラックなのですね。当然テニュア・トラックというのは、ノンテニュア・トラックがあったから、導入されたわけで、ノンテニュア・トラックというのはアメリカの大学ではたくさんあります。要するに、ノンテニュア・トラックの人材というか、先生がたくさんいます。
  どういう人かというと、一番多いのは多分病院だろうと思うのですけれども、それ以外でも、いわゆるリサーチプロフェッサーなどのリサーチ・トラックがあるわけです。この部分は、おそらく本来であれば、ポスドクの大学におけるキャリアの一つのパスになり得たものだろうと思います。ただし、日本ではもともと終身雇用制度みたいなものの中にテニュア・トラックを入れてしまったものだから、テニュア・トラックでポスドクを受けとめていくというストーリーの部分はいいのですけれども、それ以外の部分、リサーチ・トラックの部分をどうするのかという議論をしないままきてしまった。
  リサーチ・トラックについては、そんなに簡単に結論が出るものとは思えないですけれども、今後10年後くらいから、日本の大学は18歳人口の減少にまた直面します。18歳人口は、今より3割くらいは減る可能性があります。そうすれば、大学も全体として縮小していく可能性がある。そういう中で、研究をどう支えていくのかということを考えたときには、おそらく先ほどの支援人材のカテゴリーとともに、リサーチ・トラックというものも考えざるを得ないのではないかという気がします。今すぐということではないのですけれども、そこも含めて考えていく必要があるのではないかと思います。
  以上です。

【柘植主査】

  ありがとうございます。菅委員どうぞ。

【菅委員】

  リサーチ・トラックですけれども、リサーチ・トラックの場合は、1つ大きな障害があって、今、研究費から自分の雇用費を出せないのですね。アメリカがリサーチ・トラックが動いているのは、例えばNIHを取ればNIHのお金で自分の雇用ができるのです。それが今現在できないので、リサーチ・トラックというのは基本的に日本では存在できないというのが現状だと思うのです。そこを変えないと、おそらくリサーチ・トラックはスタートできない。あるいは半分は出していいから、半分は大学からとか、そういう形のマッチングみたいなこともやっていく必要があると思います。

【柘植主査】

  ありがとうございます。
  室伏委員、フクシマ委員、大隅委員の3人で打ち切りたいと思います。

【室伏委員】

  先ほどから話題になっておりますPOなどの支援人材の件ですが、最近、産業技術総合研究所(産総研)がイノベーションスクールといったものをつくって、そこでいわゆる目きき人材や、リサーチをマネージしていく人材を育てることを始めているという話を聞いております。
  JSTのいろいろな研究プロジェクトの中でも、次第にPOの方々が育っているという感じを持っております。大学ではとても担い切れない人材育成を、現在、独立行政法人が、いろいろな場所で担ってきてくださっていると感じておりますが、21年度の補正予算で、そういった人材育成に独法の幾つかが手を挙げて、実際に動かそうとしているようです。
  日本の研究のレベルを上げるためには、予算をどう配分するか、どういった研究を今後伸ばすべきかということをしっかりと見きわめる人材が必要ですので、研究を支援するといっても、もっと研究の前に出て、それを引っ張っていくような、そういう人材が非常に重要であるということを、しっかり認識すべきだと思うのです。大学等で行われている研究のもっと先を見ることで、新しい芽が見い出されたり、ある研究と別の研究とを上手にコラボレーションすることで、はるかにすばらしいものが生み出されるというようなことが実際にあるわけですので、そこまでできる人材が、ポスドクの中からも育ってほしいと思います。現実に幾つかの独法でそういったことを始めようとしていますので、もっと大学も協力して、一つ一つの独法ではなくて、いろいろな省庁の独法などがみんなで協力し合った上で、先進的な人材を育てるべきだろうと思っています。
  ぜひそういうことを本委員会でも提言しつつ、文部科学省だけでなくて、経済産業省などにも協力の輪を広げていって、先進的人材を育てていったらよいのではないかと思っています。
  また、リサーチ・トラックが動かないというお話ですが、どのようにしたらリサーチ人材が上手に働けるかということを、現在ある制度の中でも考えていけるだろうと思います。大学あるいは企業などで働く場合にも、多様な働き方ができるような選択肢を広げることは、今の制度でもできるだろうと思いますので、それについても人材委員会で少し考えてみてもよいのではないかと思いました。
  以上です。

【柘植主査】

  ありがとうございます。
  それでは、フクシマ委員、大隅委員とどうぞ。

【フクシマ委員】

  私は毎回門外漢だからと言い訳をして申しわけないのですが、門外漢の目からずっと今のお話をお伺いしていて、疑問に思ったことがあります。現場の方からごらんになって、修士とポストドクターに、一体どれだけの能力差があるのかということです。今ずっと皆さんのご意見を伺っている限り、現場を知らない人間としては、あんまり差がないという結論にならざるを得ません。
  その理由としては、まず1点目は、人材の業界も、需要と供給で動いています。供給とは、大学から出てきたポストドクター、あるいは修士の人材、それから需要のほうは企業です。もちろん企業のほうはニーズ、需要がなければ採用はしません。どんなに優秀なポストドクターの人材がいたとしても、私企業が必要としている人でなければ採用はしない。これまでのディスカッションの中では、そういう人たちをもっと企業が採用し、活用していくべきではないかという議論だったと思いますが、企業の場合は、経済活動として収支を合わせなければならないので、要らない人を採るという余裕はないわけです。
  とはいえ、企業も本音と建前があって、よりダイバーシティを推進しようとか、技術レベルを高めようということで優秀な人材の「外部登用」を図ろうという意向・建前はあります。しかし、一方で、「今の日本企業は修士の人で十分足りています」というご意見も何回か聞こえたと思いますし、「ポストドクターの人たちを入れるという需要はない」というメッセージも聞こえたように思います。そうであるとすると、ないところに無理に需要をつくっても、これはなかなか改善が進まないと思います。
  第二点として、その場合に、今度は供給サイドとして出てくる候補者たちの技能が、果たして本当に修士とポストドクターの差別化ができているかということです。このスキルはポストドクターでなければ持っていないものですということであれば、それが必要と企業が認めれば、当然そこに就職先は出てくるわけですから、もしかすると、ポストドクターの人たちが今持っているスキルというのは、大学で、アカデミックでさらに深めるためには必要であっても、企業の研究としては、あまり必要でないということもあるのではないでしょうか。私は全く科学技術のことはわかりませんので、るかに高度で深いものを持っているのがポストドクターだと思います。しかし、もしかすると、企業がそこまでの深さを必要としていないこともあるのではないでしょうか。これは企業の方とか研究所の方に逆に伺いたいのですが、ポストドクの技能を必要としていないのだろうかということが私の1つの疑問です。
  アメリカでは、ご存じのようにグレードインフレーションが起きていますので、企業に入ってくる人は、大抵マスターは取っている。弊社のクライアント企業なども、医薬関係は、Ph.D.を持ったビジネスマンが多いのですが、その場合は企業が必要としていたのがポストドクターなのか、それとも企業側が、そこまで高い技術は必要としなかったが、他にいないので採用したのか、どちらのケースもあるように思います。ちょっと説明がうまくできませんが、需要と供給という構図で考えたときに、ポストドクターの人たちの就職先がないということが、果たして日本企業が必要としているレベルの技術的な能力とか専門知識といったものを採用される側が持っているのか。需要と供給の間マッチングがあるのかということです。それはすぐれている、すぐれていないということではなく、企業側のニーズと、大学の教育内容の間に多少ずれがあるのではないかという疑問です。これは企業の採用サイドの方から教えていただければと思います。

【柘植主査】

  時間がないので、今の教える話は別な機会にしてよろしいでしょうか。

【吉見委員】

  関連でよろしいでしょうか。

【柘植主査】

  関連ですか。では、吉見委員。

【吉見委員】

  民間からの意見をということですから、簡単に言います。
  今、フクシマ委員からご意見がありました。まず、民間企業に果たして需要があるのかどうか、ニーズがあるのかどうかということでありますけれども、全民間企業を代表して申し上げることはできませんが、私の所属する会社では、ますます深い技術レベルでの専門性を必要とするニーズは高まっています。これが申し上げておきたい第1点です。
  ただ、MBAの人との比較について、先ほどいろいろな意見が出ていましたけれども、私自身は、ドクターを出られた人の専門性の高さというのは相当あると思います。ただ、民間企業ですから、要員管理ということについては大変厳しいわけです。つまり、専門性の高さだけでなく、すべてのことを満たしてくれる人を欲しいわけです。また、高校卒も大学卒も大学院卒もドクターコースを出た人も、どのレベルも欲しいのです。そうすると、吟味という作業が出てきます。最高レベルのドクターというコースを出ている以上は、期待値が相当高いのです。この期待値に見合っているかどうかというと、ちょっとどうかなというところがあるというように感じることがあります。
  そのちょっとどうかなというのが、どういう点においてかといいますと、例えば技術テーマのプロジェクトの中で、他の技術者と効果的に共働できるかとか、また、単にプロジェクトの一員にとどまらず、プロジェクトのリーダー役までやって欲しいと期待しているわけだけれども、そこまでやってもらえる力があるかとか、或いは、他のプロジェクトメンバーをモチベートできるかとか、そんなところであります。

【柘植主査】

  それでは、大隅委員で議論を打ち切りたいと思います。

【大隅委員】

  分かりました。2点申し上げたいと思います。
  まず1つは、基本的には私は資料1のローマ数字1の中の、例として3点挙げているところの一番上、インセンティブまで企業に与えて博士号取得者を採ってくださいということが施策として本当によいのかということに対しては疑問を感じます。
  指摘したいまず第1点は、先ほど星野企画官のほうからご説明があった中間の取りまとめのデータ集の中の6ページや7ページの後ろのところですけれども、ライフサイエンス系のポスドク等々、多分大学院生も含めて非常に多いのだけれども、その企業の受け入れ先がない。この構造的なバランスは問題ではないかというご指摘があったのですが、そのことについて1つだけ申し上げておきたいことがありまして、これはライフサイエンス系の企業といいますと、非常に多くは製薬会社、それから、いわゆるバイオ系のいろいろな試薬だったりキットだったりをつくるところ、あるいはシークェンサーなどの請負をするところとか、いろいろなところがありますけれども、製薬会社に関して言いますと、自前の研究所をどんどん閉じていることが多いのです。結局のところ、シーズ探しみたいなところを大学がやっているわけです。大学に委託費といいますか、何らかの研究費を出すというようなこと、あるいは今ですと、寄付講座とか、そういった形でやっていますので、そうすると、就職先というところにそういったものが見えてこない。だけど、実際はそれは大学の中でやってしまっているということがありますので、単純にライフサイエンス系はこんなにたくさんポスドクがいるのに、企業がないから、こちらは減らすべきだというふうにあんまり乱暴に考えるのは危険なのではないかというのがまず1点あります。
  2つ目のほうが重要な点ですけれども、先ほどの資料1に戻りまして、例の2つ目のところで、リサーチアドミニ等のキャリアパスの確立が重要であると。これは本当に非常に重要なことだと思います。
  現状が結局どうなっているかということですけれども、例えばいろいろな競争的資金により、例えば私がかかわることで言いますと、グローバルCOEを立ち上げました。そこでいろいろな人が必要ですということで、例えば科学コミュニケーション関係の人を特任准教授で雇いました。他のところで、例えば産学連携関係のいろいろなサーチをし、マッチングをするような人が、例えば東北大学の中にも実際に私の友人でいたりします。
  ただ、こういった特任の方たちというのは、全部任期制なのですね。つまり、本当に大学の中に大事な人材として残っていくようなキャリアパスが確立できていない。これは定員削減等々の問題もあって、ものすごく悩ましいことなのですけれども、そういったところを今後どうしていくかということが、実際にポスドクたちや、それを見ている大学院生たちが、どんなふうに自分のキャリアを設定していくかという上で非常に重要なことではないかなと思います。
  、 このリサーチアドミニストレーターというのは、いろいろな職種があり得ます。いろいろなレベルがありますし、例えばラボマネジャーというように私は呼んでいるのですけれども、その人は、例えば研究全体のコーディネートをするわけではないですけれども、昨今、独立行政法人化されて、安全管理など、私たちすごく忙しくなっています。ですから、研究のアイデアそのものを考えること以外のメンテをしてくださる方は本当に大事で、それはポスドク等まで経験したような高度な専門性も持っていないといけない。そういったことですから、このリサーチアドミニストレーターという中の書き込みに関しては、もう少し詳しくいろいろな、こういった例がありますというようなことを書き込んでおくことが大事なのではないかと思っております。

【柘植主査】

  ありがとうございます。
  時間が過ぎてしまいましたので、最初の議論は打ち切りたいと思いますが、今、さまざまなご意見をいただきました。議論の最初に有信委員から今まで生み出されたポストドクターのキャリアパスをこれからどうやって開くかということと、今後の博士課程取得者に対しての活躍の促進という視点は分けて議論しないといけないというのは、私は、今日のいろいろな議論の中で、どちらに対する施策かというのをはっきりとした上で施策の詳細化が必要かと思いました。
  それから、吉見委員から心強いご発言がありました。これからの産業としては、世界に通用する博士課程修了者がもっと必要になってくるはずだということであります。一部、この場にはおられないですけれども、企業のトップには、うちは博士課程修了者は要りませんと、こういう経営者がまだかなりいます。ですから、心配していますのは、行政側のほうが産業のトップに博士課程修了者の本当に必要な人数を調査するような動きを聞いておりますけれども、これは私は信用してはいけないのではないかと思っております。
  まとめになっておりませんが、このあたりで最初の議論は打ち切らせていただきたいと思います。
  それでは、次の議論について事務局のほうからオリエンテーションをお願いします。

【星野人材政策企画官】

  それでは、資料2、審議テーマで申し上げますと、「大学教員等の人材育成に係る意識改革のための方策」、その関連の参考資料は、参考資料の5でございます。これに基づきまして説明をさせていただきます。
  先ほどの審議テーマの場合でも、各委員のご意見の中で、まず博士課程学生の段階からもっとキャリアパスについての意識醸成を図っていく必要があるというご意見がございました。まさしくそのためにも、大学の先生方にも人材育成にかかわる意識の持ちようというものをもう少し考えていってはどうかというところがここの論点でございます。
  その中で、まずは、大学の先生自身が多様なキャリアパス、博士を持つような方がどういうキャリアパスが幅広くあるのかというような観点の意識をもっと持つために、どういった形でいろいろな形の評価、これは人事の評価だけではなくて、競争的資金を取るような、そういうような評価も含めてどういったものがあるのかとか、あるいはそういった意識というものを持ち続けるための取り組みとしてどういったことができるのかといったような観点で幾つか事務局としても例示をお示ししたいと思いますので、それも含めてご議論いただければと思います。
  まず、大学の先生方の意識改革につながるような評価のあり方ということで言いますと、まずは、先生個人の問題以前に、大学が組織としてキャリア支援というものをしっかり強化していくものがやはり必要であろうというように考えてございます。
  それから、あとは学生一人一人の適性といったようなものを見据えて、もう少し一人一人に合った密な進路指導みたいなものもできたらどうか。そういった教育者としての側面から見た評価みたいなものをもっと人事評価等の中に反映させるということができないものかというところがございます。
  実際、参考資料5の、3ページのところに図1-2というのが出てございます。これはポストドクターや、博士課程の学生が、自分の研究室の先生との間での就職にかかわる話をどれぐらいしたのかといったようなことを、北海道大学の中でアンケートをとっていただいた例でございますけれども、実は企業での研究といったようなものが、どのくらい大学の研究室で紹介されているのか。これは北海道大学でも理学研究科というところでございますので、工学とはもしかすると傾向が違うのかもしれませんが、必ずしも大学の研究室の中にいた場合に、その企業での研究というものを知る機会というものは多くはなさそうだなというのがうかがわれるといったようなところでございます。こういったようなデータもございますので、もう少し企業とのかかわりみたいなものが見えるような、そういった取り組みも必要になってくるのかなと思います。
  あとは、実際に競争的資金制度の中で、人材育成にかかわるような取り組みを含めた形で資金の審査に反映されている例がございます。これは資料2のちょうど真ん中ぐらいのところでございますが、先ほども出てまいりましたグローバルCOE、この場合も人材育成というものが非常に重要な観点で、評価指標の中に入ってございます。これは課題採択の際の評価指標という形で、それはそこに参加する学生のキャリアパス形成に対しての支援体制がしっかりととられているかどうかでありますとか、博士課程学生に対しての経済的支援、あるいは若手の研究者、これはポストドクターなどを含みますが、自立して活躍できるような機会がどれぐらい与えられているのか、それから、そういった自立して活躍した上での成果を能力という形で十分に発揮できるような、そういう環境を整えていますかといったような、こういった項目、人材育成にかかわるような項目というのがグローバルCOEの採択の際の指標の中に入ってございます。
  こういったように競争的資金制度の審査などの中で、そういったキャリアの多様化みたいな部分をもう少し盛り込んで、そういった観点の高い課題については高く評価するというやり方もあるのかなと考えます。
  次に、大学の先生方に進路指導にかかわる意識を持ち続けていただくためにも、具体的に学生やポストドクターのキャリアパスに対してのいろいろな取り組みといったものが深まるような、そういう方法も考えていく必要があるのではないかと思います。
  これも例示でございますけれども、例えば産業界がどういった人材を必要としているのかといったような部分をある程度先生方にも把握をしていただく。今、インターンシップというのは、学生さんだけが企業などに派遣されているといったケースが一般的だと思いますけれども、学生だけではなくて、先生方も一緒に参画をして、産学協同で連携をするような教育プログラム、企業が示すような課題に対して先生と学生が一緒になって課題解決をするような演習をするといったような取り組みとか、こういうのは一部では導入されているケースもあるようでございまして、具体的には参考資料集で申し上げますと、10ページのところにございますが、東京大学の化学システム工学専攻の例でございますけれども、従来行っていたのは左のインターンシップという大学から学生だけが企業に派遣されるというスタイルなのですけれども、プラクティススクールという形で、先生と学生が一緒に連携先の企業に行ってチームで実験などを行う。企業が提示するような課題に対して、先生と学生が一緒になって答えを出すといったような取り組みも行われているようでございます。
  こういったような形で、ある程度企業が求める人材像というものを把握しながら教育するようなプログラムというのも有効ではなかろうかと考える次第でございます。他にもいろいろなやり方があると思いますが、そういったアイデアを具体的に出していただければと思います。
  この資料の2ページ以降は、中間まとめの際の大学教員の意識改革にかかわる関係箇所の抜粋でございます。
  私からの説明は以上でございます。

【柘植主査】

  ありがとうございます。
  15分ほど時間をとりまして、この点の議論をしたいのですが、主査のほうから少し口火を切らせていただきたいと思います。
  今の資料2の2ページに中間まとめの関連箇所の抜粋が書いてございますが、指導教員の意識改革とも絡む話で、2ページの一番下のところに、「その根本的解決には」というのが下から4行目に書いてございますが、教育、研究及び社会貢献の有機的な連携、一体連携による教員の教育研究活動の実践が必要である。すなわち、教員は社会の求める価値創造への参画を通した教育研究活動の実践によって、初めて、社会が求める人材を育成するための真の教育力を発揮できると、これに準じて3ページのほうでは少し具体的な提言がされているわけですが、なぜこれを発言したかといいますと、この間、別途学術の基本問題特別委員会というのに私も参加をしました。そのときに今の話と絡む話が出ました。すなわち、米国の博士課程の育成においては、日本の場合の博士課程の育成は、ここでも定義されていますように、コースワークとか、資料2の一番下でも、まだ課題解決型の演習等と演習という言葉が使われているわけですけれども、いわゆる教育と、研究と社会貢献というのがまだそれぞれ独立しているのではないか。
  一方、アメリカのほうの博士課程というのは、コースワークというのは修士1年、2年ぐらいで終わって、博士課程においてはむしろコースワークなんかはない。その実態はどうもコースワークというものではなくて、先生が産業界と一緒に取り組む問題に対して博士課程の学生も先生との契約のもとで演習ではなく、非常に厳しい学術的にも厳しく、かつコントラクトという面でも厳しい、こういう教育と研究と社会貢献の三位一体が自動的に動いていると、そういう比較の議論がされました。
  日本の博士課程教育においての教員の意識改革の中に2つある。すなわちアメリカ型の博士課程の教育、研究、社会貢献という一体指導型と、このようなまだ演習的なものをしっかりやって社会に送り出していく、この2つの選択肢が迫られているのではないか、こういう議論がされました。
  口火を切らせていただきましたが、ご発言いただきたいと思います。

【平野主査代理】

  あまり主査代理がしゃべってはいけないかもしれませんが、資料を見て、私は当然大学の教員は、自分が一緒にやっている学生の将来についてしっかりと対応すべきだ、相談すべきだと、と思って来ておりますが、常にこういう資料のときに、理工系と、まとめて言うものですから、かなりその内容が(私は工学系にいたのですが)、工学系と理学系でかなり教員を含めて意識が違う。本委員会で議論するときに、柘植主査もそうだと思いますが、工学系の方と理学純粋で来られた方とで学生の就職についてかなり意識が違うのです。理学純粋の方は、まずアカデミア、研究者としての教育、深くI字型に行く方を育てるのだという意識を持っています。工学系は、私はT字型になれとよく言っておったのですが、少し教員を含めて意識が違うものですから、このデータを一括して「理工系人材の」と言うと、やはりどこに意識を置くかによってかなり見方が違うのではないかと思います。
  ただ、私はいずれにしても教員というのは、自分が一緒にやっている人の将来を含めた教育については、親身になってしっかりと相談をすべきと、これは全然変わらないのですが、工学系では、あまりポスドクでいったり、あるいは次の就職に困って、いる学生はそんなにないのではないかなと思います。自分のことで申しわけないですが、私の研究室では、一人としてドクター修了のときに行くところがなくて困ったという人はおりませんでした。やはり必ず社会を見ながら動いていますし、本人もそういう意識で動いている。
  それから、私が知っている海外のドクターは、全部ではありませんが、かなりの人が一たん学部で就職をして、自分がある意識を持って帰ってくるというのが、私が一緒にやっていた人のかなり多くでありました。そういうことで、彼ら自身も既に社会で何があるかということを学生自身も見ながらいる。これは日本とかなり制度的に違いますので、おそらく先ほど議論のあった修士のほうがいいというのか、企業にいて使いやすいというと言葉は悪いのですが、非常にアクセプトしやすい人が多いというのと、関係があると思います。本来修士で出て行った後、ドクターにもう一度企業から問題意識を持って帰ってくると、非常にいいドクターの学生が工学系においては少なくとも育ってくるのかなと思っております。
  以上です。

【柘植主査】

  ありがとうございます。菅委員、それから大島委員。有賀委員。

【菅委員】

  まず、大学の教員の意識改革というところで、私はよくわからないところもいっぱいあったのですけれども、もちろん進路指導というのは重要だと思います。ただ、最近の修士の学生を見ると、随分意識が変わってきていまして、以前だと、修士に行くというのは絶対科学技術に進むと思っていたのですが、最近の学生はそんなことはないです。全く何も考えずに修士に進む方がたもかなりいます。私の学生も実際にそうです。
  ですので、そういう学生たちの意識を改革させるための大学の先生たちの努力を図らないといけないという意識改革であれば私は賛成いたしますが、例えば産学協同をしなければいけないというのは、私は不可能だと思います。私は好きですが、それができない先生もたくさんいますし、それを強要することによって必ずしもすぐれた人材が育成できるとは私は思いません。
  重要なことは、この前、別の委員会でも言いましたけれども、博士課程もしくは修士課程に行くときに、最終的に自分の弟子が出ていくときに自分の後継者を育成するような教育を中心に今まではやってきていたというのを、やはりそこは変えなくてはいけないだろうなと思います。もっと多様性のあるキャリアパスを意識させるように学生を教育するというのはとても重要なことだと思います。
  先ほどアメリカの話も少し出ましたが、アメリカの先生もそれぞれです。皆さんが全員産学協同を考えているわけではございません。むしろ考えてないほうが多いのではないかと私自身は思いますけれども、重要なことは、アメリカの場合は、学生に対して経済的支援というか、給料という形で出していますので、非常に責任を負わせている。それに対して学生もその責任を負って研究をしているというところが日本には欠如しています。もちろんそれは我々が給料を出していないというところが一番大きな問題だと思っておりますので、本当の意味での大学の教員の意識改革は、先ほど申しましたように、多様なキャリアパスを抱かせるような指導をしなくてはいけないというのに加えて、やはり研究費からその学生への支援を自ら出すというように大学の先生が変わっていかなければ、いつまでたっても、特に博士学生への支援は起きない。いつまでたっても行政側から出してくれた「棚からぼたもち」的なお金のみで学生を支援していこうという態度は変わらないということで、自らの研究費から学生への支援を出すという意識に変わっていくことによって学生も責任を負い、学生が社会に出るときに、そういう責任感を持って企業への就職活動をするなり、ポスドクに行くなりというところの目的意識がしっかり持てる。その責任が持てるというところが今欠如しているのではないかと思います。したがって、大学の先生に対して意識改革をするのであれば、そこが大事ではないかと私は個人的には考えています。

【柘植主査】

  ありがとうございます。
  それでは、大島委員、有賀委員、お願いします。

【大島委員】

  審議テーマが、大学、教員等の人材育成にかかわるということで、3点挙げたいと思います。正直申し上げると、キャリア育成に関しては、大学院では特に指導教員に非常に依存しているところがあるように思うのです。したがって、大学院全体で今の世相を反映した人材育成を行うのは、教育という点で非常に大事だと思います。しかし、現状としては学生に対するキャリア支援が指導教員に依存しており、指導教員一人のみの仕事になっており、非常に多大な負担になっているのではないかというのが一つ感想としてあります。
  やはり学生のキャリア支援は、大学全体としてサポートするシステムというのをきちんと打ち出すことがまず大事なのではないかと思います。特にこういうふうに意識改革及び評価となると、自分の受け持っている学生のキャリア形成の過程においてずっと面倒を見ていかないといけないという、何かそういう感じに受けとめられてしまうので、そこの点については気をつけたほうがいいのではないかと思います。
  2点目ですが、キャリアパスに対する大学教員の意識改革については、先ほどのテニュア、ノンテニュアなど任期制の話とともに、キャリアパスは今過渡期にあると思います。なかなか境界条件がはっきりしない中で、それに対して大学教員としてキャリアパスをどういうふうにその学生に対して形成していくかというのは、非常に難しい選択だと思います。
  私は工学系に所属していますが、選択になると、どうしても研究者もしくは企業の2つしかないと思います。先ほどもありましたようにアドミニストレイティブなキャリアパスというものを社会全体として築いていく、このテーマとは関係ないのかもしれないですが、やはりお願いしたいと思います。博士課程に行くと、研究者志向でないといけないという傾向が今の工学系にはあります。そのような状態ですと、就職の状況が良いので、優秀な学生で、これから自分も研究していきたいという思いがあるにしても、企業に行くという選択をとるということもあります。そのようなオプションの拡大を整えていく必要があるのではないかと思います。
  もう一つ、最後の3点目ですが、先ほど小林委員がおっしゃっていたように、大学院教育の学生の中のダイバーシティは非常に大事だと思います。日本の大学ですと、学部を卒業してそのまま修士に進む、そして、そのまま博士課程に進むということが多いため、年齢構成及び学部もそのまま持ち上がります。大学院で少し外部から入ってきますが、外部の刺激が非常に少ないと思います。インターンシップなどで最近外部の企業を知る機会というのはあります。例えば、社会人ドクターなり、いわゆる受託研究で実際に企業の方が大学の研究室に来て一緒に研究をするという、そういう機会などを設けることによって、もちろん先生の研究とともに、大学生もインボルブするような共同研究という形が必要なのではないかと思います。
  事実、私のところは社会人ドクターがいますし、あと企業から研究員が来ています。学生が企業の方の意識及びいろいろな考え方に感化されて、実際にその企業に就職するというケースもありますので、あらゆる面で企業を含めてインターラクションが、先生だけではなくて、やはり学生でも必要なのではないかと思います。
  以上です。

【柘植主査】

  ありがとうございます。有賀委員で時間の関係上打ち切りたいと思います。

【有賀委員】

  先ほど分野によっても随分温度差があるのではないかということを主査のほうからもおっしゃっていただいたのですが、すべての理工系、特に理系のほうの研究室が企業や何かとそんなに密接な関係を持っているわけではないので、研究室ごとどこかに習いにいくとか、それから連携を持って就職も全部世話をするとかということは、それを全部教員に求められたら、やはり厳しいものがあるのではないかと思っています。
  現状は、各研究室が、本当に大学は大きな組織といっても、零細企業の集まり、商店街みたいなものなので、各部屋が何かができるということは限られていて、大きな会社の下請けじゃないですけれども、いろいろ技術的な連携を持っているところはいいけれども、そうでない研究室もたくさんあるので、そういうところこそ大学が組織として人材育成ということに関わらなくてはいけないと思っています。
  だから、グローバルCOEとか、大きなものはいいですけれども、研究費そのものが一つ一つ人材育成をやっているかとか、何人ドクターをどこかに就職させたかとか、そういうことを評価されると、かなり厳しいことになるのではないかと思っています。
  あと、先ほどのポスドク問題ともつながるのですが、ドクターのコースの学生が、やはり100%エフォートで、その研究室の研究をやっているというか、やらなくてはいけないというような現状になっていて、そこの部分は、私も教員の意識は少し変えたほうがいいというようには思っています。いろいろな人材育成プログラムがあったり、科学技術コミュニケーションの講習会があったり、そういう会に学生が行くことをよしとしない先生はいっぱいいます。そんなことをやっている暇があったら、自分の研究をちゃんとやれ、論文を一個も書いてないだろうとか、そういうようなことになるので、やはりその人の適性を見出して、その人の活躍範囲を広げておく、あるいは適性に応じたものを見出すというところは教育者として必ずやるべきで、ただ、それが研究を指導するということに特化した教員というのも、そこも教員として大変大事な部分だと思うので、その人の適性を見出すとか、また、研究テーマ以外のところの適性を見出された場合に、その人を伸ばすというところを、それを研究に特化したような教員がやるというのは、また不得手なことをいろいろ抱えて、またわけがわからなくなってしまうことになるので、そういうところを大学なり研究機関の組織として方向転換のための支援というか、全部が研究者になるわけではない、テニュアとかになれるわけではないというのであれば、そこから次に向くというところの支援を組織として整えるべきではないかと思っています。各研究員というか、教員ではなくてというように思いました。

【柘植主査】

  ありがとうございます。
  予定の時間が過ぎたので、この点については議論を終了いたします。今さまざまなご意見が出ました。いずれも私は非常に大切で、この最終提言の中に盛り込むべき点があると思います。そういう認識のもとですが、一つだけ私は、この審議テーマは今のテーマだけではないのですが、今日の第1、あるいは前回も含めてですけれども、センターピンというのは何なのだろうかという、つまり、このピンを倒したら10本全部倒れるという。今の科学技術関連人材の育成という面の命題に対して、さまざまな打ち手があるけれども、その中でセンターピンは何なのだろうか、こういう視点で私も考えているのですが、今日のご発言の中で、これは多分反論もあるかもしれませんが、私は菅委員のおっしゃった、先生がみずから自分の研究費から大学院生に給料を払う、これは先生の意識、それからもらう学生の意識、そして、そうやって育ってきた学生の就職先、もちろん大学もあるし、産業もあるけれども、その産業から見たときの学生の資質に対しての評価、このあたりがいわゆるプラスの循環で回り始める一つのセンターピンかなと思って伺っておりました。
  一方では、今大島委員がおっしゃったように、アドミニストレイティブな人材育成という面、これも非常に私は大事だと思いまして、これは中間報告の中にも、科学技術関連の人材の多様化の姿を補足図面の中で書いてございまして、研究の先端を引っ張るだけの人材を育てるだけではなくて、社会を引っ張っていく、全体を引っ張っていく、まとめていく、あるいはその基盤を支える人材、その中にはアドミニストレイティブな人材も含んででございますけれども、そういう意味での多様な人材像というものについては中間報告の中である程度提言を出しております。それも含めまして、今日残った時間の中で最終提言に向けた構成についての議題2に移りたいと思います。
  事務局のほうからお願いいたします。

【星野人材政策企画官】

  それでは、お手元に資料3料をご用意いただければと存じます。
  今日いただきましたご意見は、まだこの構成(案)の中には必ずしも十分には反映されてございませんので、それももちろん今後反映させてまいりますが、とりあえずの段階で、事務局として最終提言に向けてこういった構成にしてはどうかということで説明をさせていただきたいと思います。
  これは既に3月に取りまとめました中間まとめ、これが非常に網羅的ではありますが、よくすべての論点が盛り込まれていると言ってもよいぐらい充実したものであったと考えております。ですから、その中間まとめのときの論点を上手に引き継ぎながら最終提言に向けていきたいと思っておりますので、大きな構成としては、中間まとめのときの構成を引き継ぐ形になっております。ただし、2点異なっている部分がございます。
  まず、中間まとめのとき、最後に第5章というのがございまして、そこで、「グローバル化に対応した人材」ということで、外国人の研究者をもっと導入する話でありますとか、あるいは日本人の研究者がもっと外に出ていくような話が書いてございました。これは最後の章にそういったことが書いてあるのが、最終提言としては少し取ってつけたような感じになってしまうということもございますので、第2章のダイバーシティ、多様な場で活躍する科学技術関係人材の中には、当然ながら人材の多様化という観点があろうと思います。その中でグローバル化に対応した、そういった国際性の高い人材を育成するであるとか、外国人の研究者も導入していくといったような話も含めてまとめることができるのではないかと考えておりますので、第2章の3.という形で中間まとめの5章を中に溶け込ませようと思っております。
  それから、もう一点中間まとめと違う点は、中間まとめのときには、女性研究者の活躍促進について、取り立てて強調した形では書いてございませんでした。しかしながら、私ども事務局のほうで、女性研究者の活躍促進に向けた施策を展開しているという状況もございますので、こういった部分は最終提言の際には明確に打ち出していく必要があるのではないかと思っております。この辺は、私どもで今取り組んでいる内容を、これからどういうように進めていくのか、深めていくのかという観点も含めて、最終提言の素案をお示しする段階で事務局案をお示しできればと思っております。
  それ以外の部分につきましては、基本的に中間まとめのときの各章、第1章、第2章、第3章、第4章の内容を引き継ぎつつ、最終提言として、特にここ2回のご議論をいただきました点を強調しながら、第4期の科学技術基本計画に向けての論点というものを整理させていただきたいというように思ってございます。こういった形で中間まとめを踏まえつつ、最終提言の構成を考えたいということでご意見を賜れれば存じます。
  以上でございます。

【柘植主査】

  星野企画官、今の議論の中で、我々として最終提言の時期的な話も言っていただいたほうが、議論としては焦点を合わせやすいと思います。

【星野人材政策企画官】

  分かりました。
  今後、事務局としての今の考え方といたしましては、6月の半ば過ぎくらいには最終提言のたたき台のようなものをメールを通じまして、電子媒体で先生方にお示しをしたいというように考えてございます。その上で、ほぼ素案といってもいいようなものを、先生方と個別にメールのやりとりで意見調整をさせていただきながら、7月の半ばぐらいには素案といったようなものをつくって、次の会議は7月24日を予定してございますが、その中でもう少し素案ベースでのご議論をこ本人材委員会の中でしていただくことになり、最終的に8月の末にも、今委員会の日程の調整の連絡がいっていると思いますが、そのときに本人材委員会としての案を取るといったような流れを考えてございます。
  他方、同時並行で、第4期の科学技術基本計画に向けての審議というのが別の委員会で行われます。そちらのほうの委員会に、本人材委員会の議論の状況の報告も含めて、科学技術関係人材というテーマでの議論が8月の半ば、これは8月の18日だったと思いますが、予定をされてございますので、要はその前には人材委員会としてもある程度固めておきたい。人材委員会は別の議論ではありますけれども、人材委員会としての最終的な案を取る作業というのは8月末にしたいと考えてございます。
  そういった意味で、若干、当初私どもが見込んでいたよりも作業は前倒しになってございますけれども、6月の半ばぐらいには、何とか素案を先生方にお示しすべく作業を進めているところでございます。

【柘植主査】

  今日はそういうことですので、構成についての議論をしていただくので、中身というのは、少し赤字で書いてございますけれども、中身に触れても結構でございますけれども、大きな構成という面についてのご意見をいただいて、6月の半ばにはドラフトをまた皆さん方にレビューに回す、こういう形でいきますということでお含みおいて、ご意見をいただきたいと思います。 吉川委員、よろしくお願いします。

【吉川委員】

  先ほど柘植主査からセンターピンは何なのかというご質問があったのですが、私は1番ピンというのは、「大学院の高等教育に対する公的支出の拡大」という問題ではないかと思います。今のように運営交付金がどんどん減る中で、ドクターの学生に対する支援を強化するといっても財源はないわけなので、やはりグローバルなベンチマークをした上で、諸外国並みに遜色のない予算措置が必要ではないか。現実にOECD諸国は、2000年から2005年にかけて5年間で平均的に26%高等教育に対する公的支出を増やしている。それに対して日本は7%削減されて93になっているというような状態。これをそのままに置いておいて人材育成の問題は解決しないのではないか。
  ただ、これは中間報告とか最終まとめにこのテーマを入れることが適切かどうかというのはいろいろご意見があるかと思うので、適切でないのかもしれないのですけれども、私はセンターピンというのは、1番はお金の話だと思います。
  それから、もう一つストライクを取るためには、3番ピンというのがあって、3番ピンは大学教員の意識改革だと思います。これについても方法論になるかと思うのですが、相当ドラスティックなことが必要なのではないかということで、例えば、これは乱暴な意見なのですが、民間企業はどういうことをやっているかということで一つの例を申し上げると、我々の会社では、社員を幹部社員に昇格させるときに、複数職場の経験というのを絶対要件にしております。1つの部門でずっと育ってきた人だと人間の幅に問題が出てくる場合があるので、他部門の職務経験を持つということを幹部社員昇格の条件にする。そうすると、その昇格候補者の上司は昇格させたい人間を早い段階から他の部門に出していくというようなプロセスをとることになって会社全体として非常にいい効果が出てくる。
  同じことを大学教員に当てはめると、もう既に教員になっている方は別にして、これから新規に教員を採用する際には、企業での職務経験を必要とする、あるいはもう少し緩くてもよければ、企業との共同研究をやったことがあるとか、あるいは企業でのインターンシップに参加したことがあるとか、何らかの条件をつけるというのが一つあるのではないか。
  各論はいろいろあるのですけれども、このぐらいにしておきます。

【柘植主査】

  ありがとうございます。今の2点を最終提言の中でもぜひ見える化したいと思います。
  有信委員、よろしくお願いします。

【有信委員】

  今の意見にも多少関連するのですが、特に教員の意識改革、評価の問題が非常に重要であるということはそのとおりだと思います。この中でやはり重要なのは、評価をするのはいいのだけれども、評価と処遇が連動してなければ、その評価というのは意味がないわけですね。したがって、その評価と処遇をどういう形で連動させるか。今の大学の評価制度だと、第1の評価は採用のときの評価、その次は助教から准教授、あるいは准教授から教授になるというところで一応は発揮されるけれども、それだけなのですね。したがって、最終的に教授になった途端に、どうであれ、あとは年功でいく。これは基本的には優秀な人たちの集団の評価は年功でやるのが一番いいという研究結果が随分昔に出されて、それにのっとってやっているのだろうと思いますけれども、現状はそうなってしまっているわけですね。
  したがって、ここですぐには結論は出ないと思いますが、今後の議論の過程の中で、その評価と処遇の問題はどういうふうに関連づけるかということを検討課題とするべきだろうと思います。そういう意味で、ここの第2章の第2項の教員の意識改革のところでの評価システムの話と、それから第3章の第2項の若手研究者のポストの拡充のための給与の据え置き等々というのがありますね。こういうところは多分関連してくるのだろうと思うのです。だから、こういうことを含めて少し先へ向けた基本的な検討課題を残しておく必要があると思っています。

【柘植主査】

  では、興委員、有賀委員、それから小野委員、井上委員ということで。

【興委員】

  今、吉川委員からおっしゃられたので、やはり本人材委員会のマンデートの問題に絡むのかもしれませんけれども、やはりあるがままの人材という問題で議論をし始めてしまうと、非常に個別具体的な問題になってしまうのですね。例えば、今のポスドクの問題にしてもなぜポスドクの問題が起こっているのだろうかとか、大学についてはなぜ大学改革なのだろうか、こういうような問題の本質を議論していかないと、問題の核心を突くことができないのではないかと思うのです。今日のこのペーパーの中の資料2の3ページの、例えば解決に向けた提言の5番目に書いてあるのですが、「指導教員等は」として、ポストドクターの役割は研究支援のみではないことを認識し、博士課程・・・、こう書いてあるのですね。今日もいろいろお話がございました研究支援員の充実について、今いろいろな予算措置が講ぜられようとしています。この研究支援等々という問題は具体的な一つの事例なのですけれども、やはり研究の環境が非常に脆弱だから、教員の方もドクターの方々を、あるいはポストドクターの人を支援員というか、研究のこまとして使ってくるところが非常に多い。だから、人が育っていかないのです。ポストドクターの方に対しては、例えば社会と科学とをつなぐ関係の立場の人材とか、研究コミュニティの中にあって、企画立案に参加することが期待される人材とかそうした機会の議論もありました。
  本来はポスドクの方に研究支援員的な仕事を頼むのではなくて、それをまさに支援員というステータスを持った人に任せるべきなのですね。ところが今、研究支援員の増強・充実だというようなことで、それをポスドクの方にそういう仕事をさせるとしたら、これは全く間違った選択につながってくるのだろうと思うのです。
  このほか、例えば大学、大学院の定員というのは一体全体どうあるべきかが重要な問題であります。どれだけの方々を修士課程で育て、ドクターの人材をどれだけ輩出すべきなのかという議論が、国として必要なのです。実は各大学とも自分の大学に対する受験者の数、それとあとはどれだけ修了できるかだけを見通して定員のあり方を議論しているのが実態なのではないでしょうか。この定員問題や大学改革も含めて、こういう問題をしっかりと受けとめた上で、人材の問題に絞って、改めてもう一度議論していただけると、非常に掘り下げたいい切り口のアウトプットが出てくるのではないかという期待の感じがしています。

【柘植主査】

  時間の関係で、有賀委員、井上委員、小野委員で打ち切りたいと思います。
  では、有賀委員、よろしくお願いします。

【有賀委員】

  多分最終提言の構成のほうは簡単に書いてあるのだと思うのですけれども、中間まとめのところのほうには、博士号取得者のキャリアパスの多様化という前に優秀な博士号取得者のキャリアパスの多様化と書いてあって、結構そこは大事なポイントなのではないかと思っているのです。
  今、興委員のほうから定員の問題がありましたけれども、大学重点化のときに、大学院の定員の学生数で教員の数が決まるということになったあたりから、なんとかしてとにかくいていただいて、ただ生徒をお出しするというようになりつつ、まあなっている部分が少なからずあるので、そこのところをきちんと大学も身を引き締めなくてはいけないと思っているのですけれども、それが即教員の数に反映されるということではなくて、もう少し適切な教員及び学生の定員ということを考えなくてはいけないのではないかと、今意見を聞いていて思いました。
  ただ、先ほどのセンターピンの話ですけれども、菅委員がおっしゃったのは、どちらにも覚悟が必要だということがおっしゃられていることだろうと思うのですね。何となくいる人と、何となく雇っている人というと、やっぱりただ働きさせられるから、もう少し学生でいたほうがいいというようなことになってしまうので、そこはすごく私も大事だと思いました。
  では、その中でアカデミアに残れた人が勝ち組で、そうじゃない人は負け組というか、残れなかったからキャリアパスの多様化を考えて、そこに行かせましょうというのではなくて、ドクターにいる間、あるいはドクターが終わってポスドクにさあ行こう、あるいはポスドク1回目ぐらいのところまでの間に、その人が何に一番適性があるかということを考える機会なり、学べる機会とか、イノベーションスクールなんかは確かにその一つかもしれないと思っているのですけれども、そういうようなものがもう少し各大学なり機関にあってもいいのかなと思っています。適性を見きわめるということが、博士を取ったからといって一色になるわけではなくて、そこまで一生懸命やってきたことをどう生かせるかというのを、各人に応じてということがもう少し強く書かれるといいのかなと思いました。

【柘植主査】

  ありがとうございました。
  井上委員、小野委員で打ち切ります。

【井上委員】

  この資料3の具体的に第2章のところの1ですけれども、赤字で書いてある産業界や教育界等へのキャリアパスと書いてありますけれども、これはやはり全く異質の問題だと思います。教育界へのキャリアパスを確立するというのは別立てにして、それで、例えばこの第3章に書いてあるような数値目標の設定、こういう数字があると、中学校や高校の先生に採用が促進されることと思いますので、そこは考えていただきたいと思います。
  それから、同様に3の赤字で書いてありますように、リサーチアドミニストレーター等の国際担当事務職員、これも同様にこの数値目標の設定というのも、具体的に入れたほうが物事は早く進むのではないかと考えます。
  それからもう一言、いただいた資料で机上配布資料2というのがあるのですけれども、11ページと12ページのところに「不明」という項目で非常に大きな数字が出ています。23%等。最後の12ページに至りましては、文系で35%、36%。これはドクターを出た学生がどこに行っているか分からないというのは、あまりにも指導教員として無責任だと思いますし、この数字が出てくるというのはやはり非常に大きな問題であると思います。この不明というのをもう少し、何をしているかというのをそれぞれの大学で明らかにせよというのを求められてもいいのではないかと思いました。
  以上です。

【柘植主査】

  それでは、最後に小野委員、よろしくお願いします。

【小野委員】

  ありがとうございます。申し上げたいのは、日本の大学全体を通じての計画的な人材育成が必要ではないかと思います。先ほど大島委員もおっしゃいましたが、大学院重点化のときに教授の数を増やして、今、頭でっかちタイプの年齢構成になっているのです。これはやはりどう考えても、ピラミッド型にして競争で上に上っていくシステムを導入しないと、日本の研究力は高まらないと私は思います。
  ですから、一番大事なのは、高等教育への投資をしっかりすることですが、今の財政状況は非常に厳しいですから、なかなか難しい。その場合、やはり年齢の高い教授の数や給与を具体的に減らすことでもして、そこまでしてでも若い助教、准教授を増やすという政策を日本国としてはとらなくてはだめだと私は思いますので、それこそが重要ではないかと思います。

【柘植主査】

  ありがとうございます。今のこの最終提言の構成について議論を打ち切らざるを得ないのですが、もし追加がありましたら、ぜひメールで事務局のほうに出していただきたいと思います。
  私のほうから、これは事務局とはすり合わせてない、今思いついたのですが、やはり各委員のご発言をそのまま反映できるものがあると思います。一方では、私は、最終提言の1章から4章までありますが、それからさらには各論がありますが、少し階層化できないか。つまり、センターピンほどクリアに、あるいはサードピンほどクリアにならないかもしれませんが、現状の問題に対してどのところから解決すると波及効果でこうなっていくと。例えば先ほどの菅委員のおっしゃった研究費から教授が院生に対する給料を出すと、すべて変わってくるぞと。これは全部じゃないかもしれません。幾つかありましたね。有賀委員がおっしゃった適応性を見きわめた教育、そういうことがありますので、それを第1章の中で少し2章以降をひもときの階層的な考え方、これを少し工夫をしてみる。これは事務局と主査とで少しやってみます。非常に難しいのですけれども、これは大事な話ではないかと思っております。
  時間が過ぎてしまいましたので、次の議題にいきたいと思います。議題3で基礎科学力強化委員会の動向についてという議題で、お手元の資料で参考資料の6、基礎科学力強化委員会(第1回)と、それから参考資料7が第2回でございます。これはお時間の関係で説明することはカットいたします。今第2回まで来まして、このような議論が行われているということだけきょうはご報告したいと思います。
  私はこの基礎科学力強化委員会のメンバーとしても参画しておりますが、まださまざまな論点が出まして、最終的にこの基礎科学力強化というものの提言にどうまとめていくかというのはこれからの話でございます。この資料6と7をご参考のためにまた見ておいていただくということで、今日はおさめてしまいたいと思います。
  それでは、時間が5分ほど過ぎてしまいましたが、最後に事務局のほうからご説明、連絡はありますでしょうか。

【星野人材政策企画官】

  それでは、次回の人材委員会についてご連絡申し上げます。
  資料4にありますとおり、次回は7月24日に、この場所で開催することといたしております。それで、先ほども若干申し上げましたけれども、これから1カ月半ぐらい期間がございますが、その間に事務局のほうで作成します最終提言のたたき台、今主査からお話もありました階層化も含めてたたき台を先生方に6月の半ばぐらいにお示しして、その後、個別にメールでのやりとりをさせていただきながら、7月24日には素案をお諮りしたいと考えてございます。よろしくお願いいたします。

【柘植主査】

  時間が過ぎてしまいまして申しわけありません。
  これにて第50回の人材委員会を閉会といたします。どうもご苦労さまでございました。

午後 4時07分 開会

お問合せ先

科学技術・学術政策局 基盤政策課

(科学技術・学術政策局 基盤政策課)

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