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人材委員会(第48回) 議事録

1.日時

平成21年3月30日(月曜日)10時01分~12時02分

2.場所

経済産業省別館共用会議室 1028号会議室

3.議題

  1. 「科学技術関係人材の社会全体での活躍に向けて(中間まとめ)」について
  2. 最終提言に向けた具体的施策のテーマ(案)について
  3. その他

4.出席者

委員

柘植主査、有賀委員、有川委員、有信委員、井上委員、大島委員、小川委員、興委員、小野委員、フクシマ委員、室伏委員、元村委員、森下委員、吉川委員、吉見委員

文部科学省

泉科学技術・学術政策局長、土屋政策評価審議官、岩瀬科学技術・学術総括官、川端基盤政策課長、柿田科学技術・学術政策局計画官、坪田科学技術・学術政策局企画官、高比良人材政策企画官 他

5.議事録

午前10時01分 開会

 (柘植主査) 皆さん、おはようございます。ただいまから科学技術・学術審議会人材委員会第48回(実質的に今期(第5期)の第1回に当たります)を開催いたします。
 本日の会議につきましては、冒頭より公開になっておりますので、よろしくお願いいたします。
 申し遅れましたが、私は柘植と申しまして、前期に引き続きまして野依会長から、今期の第5期科学技術・学術審議会人材委員会における主査の指名を受けました者でございます。どうかよろしくお願いいたします。
 また、第5期人材委員会の主査代理についてですが、科学技術・学術審議会の運営規程第5条第7項において、主査に事故があるときは、当該委員会に属する委員等のうちから主査があらかじめ指名する者がその職務を代理するということにされております。そこで、本日はご都合によりましてご欠席でございますけれども、前期において、後ほど紹介があります中間まとめの策定にご尽力をいただきまして、かつ、名古屋大学でのリーダーシップを発揮されて人材育成を推進してこられました名古屋大学総長の平野眞一委員にご依頼をしたところ、快諾をいただきました。よって、平野委員を主査代理に指名させていただきましたことをご報告申し上げます。
 それでは、開会に当たりまして、私から一言、今期に対する思いを開陳させていただきたいと思います。
 ご存じのとおり、第3期の科学技術基本計画における基本姿勢の1つとして、「モノから人へ」という考え方が明確に示されましたように、我が国が科学技術創造立国の実現に向けて国際競争力を維持・向上させるためには、科学技術関係人材の育成が非常に重要なテーマであるということは、もう言うまでもないわけでございます。
 このような認識のもとで、私は前期(第4期)の人材委員会から、主査として審議にかかわりまして、第4期の成果としまして、「科学技術関係人材の社会全体での活躍に向けて」という中間まとめを取りまとめさせていただきました。今回、この第5期の新メンバーで中間まとめを軸足として、その充実化、あるいは欠けている視点、この両面から、平成23年度から5年間の第4期の科学技術基本計画において、施策として打ち出されるべき具体的な方策に焦点を絞って議論をして、第4期の科学技術基本計画に向けたさまざまな委員会等への議論にも反映していただけるように、今年の秋をめどに取りまとめを行いたいと考えております。
 言うまでもなく、人材育成は科学技術関連活動のすべての基盤でございまして、第4期の科学技術基本計画においても重要な課題であると考えます。ぜひとも引き続き審議を深めていただきたいと思います。
 最後に、ぜひとも新委員の皆様方、それから前期から継続して委員になっておられる方のご協力をお願いいたしまして、私のあいさつとさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入る前に、第5期の科学技術・学術審議会の人材委員会の委員にご就任いただいた方々につきまして、事務局よりご紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。

(高比良人材政策企画官) 
(委員紹介)
 引き続きまして、科学技術・学術政策局長泉より一言ごあいさつ申し上げます。

(泉科学技術・学術政策局長) 皆さんおはようございます。科学技術・学術政策局長の泉でございます。第5期の科学技術・学術審議会の人材委員会の最初ということで、一言ごあいさつを申し述べさせていただきます。
 まず、前期から引き続いて委員にご就任いただいております、主査の柘植先生初め先生方、そして今期から新しくご就任いただきました委員の先生方、改めて厚く御礼を申し上げたいと思います。
 今、この人材委員会の主要な審議事項といいますか、マンデートについての現状につきましては、柘植先生からお話があったとおりでございますけれども、科学技術・学術審議会が平成13年に発足しまして、発足以来、人材問題はやはり重要だということで、人材委員会が設置をされておりまして、各期ごとに一応リセットされますけれども、第5期目も引き続いて設置されているということでございます。この間、本委員会から3つのご提言をいただいております。第1次提言ということで、世界トップレベルの研究者の養成についての諸問題を取り上げてご議論いただいて、ご提言をいただいております。その後、第2次の提言といたしまして、研究者全体のレベルアップ、あるいはすぐれた知を社会と経済に生かしていく多様な人材の養成・確保に関わる諸問題について焦点を当てていただき、さらに第3次の提言では、科学技術と社会という視点に立って推進すべき人材養成方策について取りまとめをいただいたところでございます。
 これらの提言が、先ほどこれも柘植主査からお話がございましたように、現在の科学技術基本計画の科学技術振興にかかわる基本的な姿勢ということで言われております「モノから人へ、機関における個人の重視」ということとしてうたわれているわけでございまして、後ほどご説明することになろうかと思いますけれども、さまざまな施策が打ち出されているところでございますけれども、なお、今日、科学技術・学術人材をめぐる状況といたしましては、いわゆるポスドク問題を初め、さまざまな課題があるということは皆様方ご承知のとおりかと思いますけれども、こういった問題について、これから本委員会で具体的な方策についてご議論いただくということになるわけでございますが、前期(第4期)の人材委員会として、こういった問題を含みます「科学技術関係の人材の社会全体での活躍に向けて」という中間取りまとめをいただいておりまして、その中では、いわゆるアカデミア以外で活躍できる人材の養成等に重点を置きながら、いろいろな諸課題をかなり網羅的にご議論いただいたと認識してございます。今期の本委員会におきましては、その中で、これから第4期の科学技術基本計画に向けての文部科学省としてのいろいろな議論を深めていく段階にあるわけでございますけれども、より具体的な施策というものをピックアップして先鋭化したご議論をいただく必要があると認識しておるわけでございます。
 昨年は科学技術・学術人材という観点では、ノーベル賞日本人4人ということがあったわけで、そういったことを契機として文部科学省は、今年を基礎科学力強化年というような位置づけをしまして、研究者への支援あるいは研究環境の整備、さらには創造的な人材の育成といった総合的な方策を打ち出すべく、今、議論をしているところでございます。本委員会では、その中の人材の問題について、先ほど申し上げましたように、第4期の科学技術基本計画に向けての具体的な施策のご議論が当面の中心となろうかと思います。
 委員の皆様におかれましては、この分野でそれぞれ大変ご造詣深く、また直接いろいろな人材育成あるいは人材にかかわる諸方策に関わっていただいている先生ばかりでございますので、ぜひ忌憚のないご意見をいただき、最終的なご提言の取りまとめにお力添えを賜ればと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

(柘植主査) ありがとうございました。それでは、事務局より本日の資料配付の確認をお願いいたします。

(高比良人材政策企画官) それでは、資料等の確認をさせていただきます。
 まず、議事次第、委員名簿、座席表、お手元にございますでしょうか。次に配付資料でございます。資料1としまして「科学技術・学術審議会の概要」、資料2としまして「科学技術・学術審議会人材委員会運営規則(案)」、資料3としまして「科学技術関係人材の社会全体での活躍に向けて」という中間まとめの冊子でございます。資料4としまして「最終提言に向けた具体的施策のテーマ(案)」、資料5としまして「今後のスケジュール(案)」、資料6としまして「次回の開催予定」でございます。その他、机上資料として関係資料をファイルにとじさせていただいております。 以上でございます。

(柘植主査) ありがとうございます。それでは、本日の委員会が今期最初の人材委員会になりますので、議事に入る前に、本人材委員会の運営規則を制定させていただきたいと思います。事務局から規則案の説明をお願いいたします。

(高比良人材政策企画官) それではご説明させていただきます。
 平成21年2月1日から第5期の科学技術・学術審議会が発足したことに伴いまして、科学技術・学術審議会の運営規則第5条第9項に基づきまして、総会のもとに設置されている人材委員会においても新しく運営規則を定める必要がございます。
 資料2をごらんください。資料2としまして、この人材委員会の運営規則(案)を添付させていただきました。第1条、趣旨でございます。それから第2条、作業部会ということで、今まで第4期まではこの作業部会は設置はしておりませんが、作業部会を設置することができるということで規定をしております。それから議事、第3条でございまして、過半数の出席で会議を開く。それから第4条として、会議の公開でございます。それから第5条、議事録の公表でございまして、第6条として雑則で、その他委員会等のほかのこれの運営に必要な事項は委員会等の主査が当該委員会に諮って定めるということで、第4期の人材委員会の運営規則と同様の内容とさせていただいております。このように規則を制定したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(柘植主査) ありがとうございます。ただいま事務局から説明のありましたとおりに運営規則を定めてよろしいでしょうか。

(「異議なし」)

 (柘植主査) ありがとうございます。それではこれにて、この人材委員会の運営規則を制定いたします。
 それでは、本日の議題について説明に入りたいと思います。本日の委員会は今期最初の人材委員会になりますので、前期(第4期)人材委員会にて策定いたしました中間まとめについて事務局よりご説明いただいた後に、まず新任の委員の方々を中心にご意見をいただきたいと考えております。そしてその後、この秋にはまとめたいという、(割と時間が限られておりますが)最終提言に向けての審議の方向性について議論をしたいということでございます。
 まず議題1に入りたいと思います。「科学技術関係人材の社会全体での活躍に向けて(中間まとめ)」についてということでございます。中間まとめの冊子については、委員の皆様方に事務局から事前に送付されておりますが、既にお目通しいただけているとは思いますが、事務局から、特に重要な箇所について説明をお願いしたいと思います。お願いします。

(高比良人材政策企画官) 時間の関係もございまして、どこまで十分にご説明できるか分かりませんが、特に重要な点について私のほうからご説明させていただきます。
 まず、前提となりますので、大変恐縮ですけれども、この冊子の後ろのほうにデータ集がついておりまして、そのデータ集の2ページの図の1-1というのをお開きいただけますでしょうか。冊子の真ん中より後方のデータ集の図1-1、人材委員会における議論の射程という図でございます。新任の先生方もおられますので少しご説明をしておきたいと思いますけれども、この1年かけて審議する過程の中で、この図1-1にあります色がついた部分についてアジェンダ設定をいたしまして、それぞれ第1章から第5章まで中間まとめを俯瞰的にしたものでございますが、その中でも右側の白く塗った箱の中にそれぞれ関連する文部科学省等々の審議会等の委員会や部会がございまして、本来、その中でしっかりと抽象的な部分は議論をされるところでございますけれども、人材委員会としましては、初等中等教育段階からトップレベルの研究者まで一気通貫で様々な施策を検討しなければならないということがありまして、横のつながりがこの審議会の縦割りではなかなか難しいところがございましたけれども、それを、できるだけ関連は排除しながら、ただし、そうは言いながら、本人材委員会で議論をしていかなければならないことをそれぞれの章の中でそれぞれの委員会の現状を見ながら議論を進めてきたということでございます。ですから、本来、それぞれの右側の白い箱の中で様々な議論がなされている中で、人材政策としてどういうものが必要なのかということを、それぞれの第1章から第5章までを議論をしてきたということで、この図を常に頭の中に入れながら、この中間まとめを行ったということでございます。
 中身について、今から説明を差し上げますけれども、もう冊子はそれぞれ追っていただかなくても構わないと思いますので、少しお聞きいただければと思います。
 5章立てになっておりまして、第1章で知識基盤社会が求める科学技術関係の人材像というのを整理したということです。社会が求める科学技術関係の人材像の観点に立った検討というのがいまだなされていなかったということもありますし、世界トップレベルの研究人材のみならず、知識基盤社会で活躍すべき人材等も含めた我が国の将来を担う科学技術関係人材についてどのような資質・能力が求められるべきかということを改めて議論をしたということです。特にその中でも、博士課程修了者の資質・能力と社会のニーズとの間にミスマッチが生じているという指摘がされていることなどを踏まえて、社会を支える人材が身につけるべき資質・能力等に関してまず整理をするとともに、世界をリードする研究者が身につけるべき資質・能力等についても改めて検討を行うということにしたということです。
 その能力についてですけれども、1つは、今回のWBCでもよく言われましたけれども、チーム力、チームワーク力というのが新たにここで議論をされました。基礎研究から研究成果の社会還元までの各段階と、幅広い研究分野を網羅的に統合するような資質・能力や、社会の変化に対応できる資質・能力、さらには多種多様な個々人が1つのチームとして力を最大限発揮できるようなチーム力が特に重要となるということをご提言いただきました。
 それから産業界で活躍する人材に特に求められる資質・能力としては、やはり課題探求力があるのではないかということです。例えば米国の企業が重視しているいわゆるヒューマンスキルに含まれる特性、感性、志、夢、世の中に役に立とうとする気概などを基盤にしてはぐくむことが重要であるということが指摘をされました。
 それからその最後に、チーム力、課題探求力とか統合力などの資質・能力を備えて、基礎研究等により生み出された知の創造の成果を社会に役立てる能力、すなわち社会経済的価値に具現化する能力を持つ人間、人材が特に社会から求められると考えられるということで、人材像というのをまとめたということです。
 第2章でございまして、ここを特に力を入れて議論をしていただきました。時間も十分とらせていただきまして、社会の多様な場で活躍する科学技術関係の人材の養成方策というところでございます。検討のポイントとしまして、1つは専門性の高い研究活動に従事してきた博士課程修了者が大学や研究機関だけでなくて、産業界、行政及び教育機関も含めた社会の多様な場で活躍することが期待されている。民間企業で活躍する博士号取得者は、そうは言いながらも、依然として日本の中では少ない。そういう背景として、大学が輩出する人材と産業界が必要とする人材との間に生じている質的・量的なミスマッチ、教員等の人材養成に対する意識のあり方の問題、若年者の理工系離れなどが考えられるのではないか。それから、大学が輩出する人材は国力の源泉であって、科学技術の振興のためには大学における教育の充実が極めて重要であるというようなポイント。それから、大学や公的機関だけでなくて社会全体を視野に入れて検討をしなければならないというポイントが挙げられました。
 その中で、第1節として、理工系人材のキャリアパスの充実ということで、大学院等における教育研究の質の向上ということについては、修士課程、博士課程のカリキュラムについて身につけるべき標準的な資質・能力を検討し社会に提示する必要があるのではないかということが言われた中で、学修課題を複数の科目等を通じて体系的に履修するコースワークを大学院において重視するということ。それから大学院において技術者コースとか研究者コースという2つのコースを複線的に学ぶ複線型カリキュラムを設定すべきである。それから産業界は、博士課程で養成されることが期待される資質・能力、すなわち産業界における多様な博士像というものを具体的な形で明確化し、大学や学生に情報を発信すべきである。大学が輩出する人材を活用することについて、やはり社会もその産業界も責任を持つべきであるということが提言をされました。
 それから2つ目として、博士課程に進学するインセンティブについてということで、経済的支援については、やはり欧米では、博士課程の学生が研究に従事する場合は研究者と位置づけられるけれども、責任を持ってその研究の一端を担う、その対価として給料を得るのだけれども、日本ではまだあくまで学生という位置づけであるという視点のもとに、欧米において博士学生に対して労働の対価、研究の対価として給与を払うことについての意識が高いことを踏まえて、我が国も同様の意識を醸成すべきであるということが言われました。
 それからポストドクターについて議論をいただきまして、今、一部マスコミ等では少し違ったとらえ方をされているところもあるのですけれども、ポストドクターとは、一般には、博士号を取得後に、独立した研究者を目指して任期を付して雇用されている者であって、その経歴については多種多様ではありますけれども、いわゆるポスドク問題については指導者のアカデミック指向が強いというようなことも挙げられますし、その学生や博士課程修了者自身もやはりアカデミック指向が強いことが1つの原因ではないかということであります。そういうことに向けまして、政府、大学、研究資金配分機関等は、やはり協力をしてこのポストドクターを任期付で雇用する際の労働条件や養成のあり方等を示したガイドラインを策定して示すべきではないだろうかということが提言をされました。
 第2節として、産学をつなぐ人材の養成・活躍促進方策ということで、1つ目は、質的・量的ミスマッチの解消ということが挙げられました。教員の人事の硬直化とか独立行政法人等の人件費抑制等に起因する若手研究者ポストの不足ということに伴うアカデミアへの就職難、それから産業界における博士課程修了者の採用の伸び悩み、民間企業の研究所の縮小等によって修士課程から博士課程へ進学する魅力がなくなりつつあるということを踏まえまして、その大学院のカリキュラムや定員については、大学は産業構造や我が国の科学技術政策の方向性及び学生の出口等を勘案しながら、自主的に入学定員の見直しを検討すべきであるというご提言をいただきました。
 人材養成のためのアカデミアと産業界との連携強化についてでございますけれども、教員が企業に接する機会がないのではないかということがありまして、その機会を充実する必要があるという指摘を受けました。その中で、教育に社会の接点の視点を取り入れるべきである、大学教員が産業界への異動とか産業界のインターンシップへの参加、及び産学が協働して実施する研究開発プロジェクトへの参画等を通じて、産業界のニーズに直に触れるとともに、大学が企業技術者向けに体系的な基礎研究、理論研究を実施すべきであるという提言をいただきました。さらに、教育研究及び社会貢献を有機的に連携させる活動を教員評価に反映させるべきではないだろうかという提言もいただいております。
 産業界における博士課程修了者の活用についてでございますけれども、企業は、学生を学歴とか指導教員等によって選抜するのではなくて、学生の資質・能力をより重視して採用することが必要ではないだろうかということが指摘をされまして、産業界は、博士課程修了者の有する先端的な研究成果だけでなくて、その過程ではぐくんだ課題設定能力や幅の広い科学技術的素養等の秘められた資質・能力を的確に評価した上で採用し、博士課程修了者を採用したことのない企業等については、博士課程修了者の資質・能力を重視した選抜を行って、1人でも多くの採用を試みるべきであるというご提言もいただきました。
 第3節としまして、教員等の意識改革のための取り組みでございます。ここの中では、教育、それから人材養成及び社会貢献等も評価するなど、大学の執行部自らが意識を改革し、トップダウンで主体的かつ継続的に取り組むよう促していくことが必要であるということが指摘をされております。大学や研究機関は、ポストドクターを任期付で雇用する場合に、当該ポストドクターがキャリア開発研修や就職活動に一定期間時間を割くことを指導教員等が容認するよう義務づけることを検討すべきであるというご提言。それから、研究資金配分機関は、研究費で採用するポストドクター等に研修を実施することは研究活動の質の向上に結びつくことから、その目的や特性に応じて当該研修を雇用機関の業務の一環と位置づけ、その実施を各機関に義務づけるべきであるというご提言。人材養成の観点を機関における指導教員等の評価指標の1つと位置づけて、その結果を研究費や処遇等に反映させるシステムを構築することが期待されるということ。それから、学生とかポストドクターが社会と接する機会を指導教員が十分に確保すべきであるというご提言をいただきました。
 第3章でございます。世界をリードする研究人材の養成方策ですけれども、ここは第3次の提言までさまざまご提言をいただきましたけれども、特に37歳以下の若手教員の割合が減少傾向にあるということ、それから研究資金制度を改革し、切磋琢磨するシステムを構築する必要があるということ、それから人材養成の観点を制度の中に取り込んで、教員等に人材養成の意識を持たせ、それを評価につなげるなど、研究資金制度の改革について検討をするということがポイントとして挙げられました。
 まず1つは、世界をリードする研究者のさらなる養成方策がどういうものがあるかということでございますけれども、若手教員のポストが不足しておって、若手研究者の養成が困難な状況になっている。それからまさに今、団塊の世代の大量退職によって大学は大幅な世代交代を迎えつつあるので、まさに今が人事システムを改革する絶好の機会ととらえて、若手教員のポストを増やすとともに、公正で透明性の高い人事システムを確立すべきであるという観点に立って、助教や准教授等の若手研究者のポストを増やしやすいシステムを構築することが期待されるとか、国は、博士課程修了後に自校大学以外において一定期間ポストドクターを経験した者を採用することを奨励すべきであるというご提言をいただいております。
 さらに、国は、その制度の目的や特性に応じて大学や研究機関が若手研究者の雇用を増やすインセンティブを高めるため、補助金等の配分システムの工夫ができないかを検討すべきであるというご提言もいただいております。
 第2節として、研究資金制度等の人材養成に係る改革でございます。1つは、研究資金制度等の人材養成への活用方策についてでございますけれども、ポストドクターのキャリアが次につながるようにサポートすることが重要である。それから競争的資金の中で、学生を育てる場や環境を提供するシステムを構築することが必要であるという視点に立ちまして、国は、ポストドクター自身が一定期間、自立的な研究や研究開発のための活動に専念することができるよう、そのプロジェクトの目的や特性に応じて改善を検討すべきである、国は、チーム研究に配分する研究資金について、一定割合を研究室の意思でリサーチアシスタント経費やポストドクター雇用経費等に充当できる仕組みの導入とか、人材養成の方法・内容や人材養成に充てられる経費の割合を明確にさせた上で、人材養成の評価の一指標とすることを検討すべきであるというようなこと。それから研究プロジェクトの審査基準の項目に、雇用する博士課程学生、ポストドクター等の当該プロジェクトにおける養成内容を評価対象とすることを検討すべきであるなど、間接経費を大学院学生へのフェローシップにも充てられるように期待をしたいということです。それから、国は、制度として女性研究者や外国人研究者を対象とした研究資金を設けるべきなどなど、多様な提言を受けております。
 また、競争的資金獲得等のインセンティブを高めるための方策についてですけれども、具体的な提言として、競争的資金から研究代表者等の人件費に充当できるよう、人件費を充当できる研究者の対象を拡大することを検討すべきである、断続的な支援にならないような競争的資金制度を構築すべきである、競争的資金の獲得実績を評価指標の1つと位置づけて、その実績を研究費や処遇等に反映させるシステムを構築することができないかという提言を受けております。
 第4章でございますが、次世代を担う人材育成方策としまして、課題として、初等中等教育段階において、まず理科や算数・数学に関して充実した指導が行われる必要があるということ。それから新しい学習指導要領というものは、教育内容の改善事項の柱の1つとして理数教育の充実を挙げていることから、そこに何かできないだろうか。それから、日常的に理科や算数・数学の指導に当たっている教員の指導力の向上と、教員がその能力を十分に発揮できるような教育環境の整備が必要であるという課題があるということでございます。
 第1節として、教員の指導力向上のための取り組みとしまして、まず、子供たちが理科や算数・数学に興味、関心を持つためには、教員がやはり科学技術、理科や算数・数学及びそれらの社会との関連に関して高い資質や能力を備えていることが必要であるということが指摘をされておりまして、小学校の教員の約6割が理科を指導するのが苦手という調査結果も出ているということもありまして、教員の指導能力向上のための取り組みが特に重要であるという指摘を受けました。その中で、大学は、小中学校の理科や算数・数学に関して魅力ある授業を行うことができ、地域の研修会や教材開発等において指導的役割を果たす教員を養成すべきであるという具体的提言、それから教育委員会等において、理科専科や小中学校の連携を推進することにより、理工系学部出身の教員を小学校の理科の授業で活用すべきであるというようなご提言もいただきました。
 それから第2節として、教育環境の充実のための取り組みですが、ここのところは、授業準備や教材研究等に学生等を活用することによって、授業の改善を図る必要があるのではないかということで、国は、理科支援員等を活用して教員の授業の改善を進めるべきであるとか、それから理科の授業を効果的に実施するために、観察や実験のための備品や消耗品にかかる予算の増額とか、購入のための事務手続の改善とか、教育センター等で備品や教材の管理を行い、必要に応じて貸し出すシステムの活用等の取り組みを進めるべきであるというご提言もいただいております。
 第3節ですけれども、児童生徒等が科学技術、理科や算数・数学に興味・関心を持ち、その資質や能力を伸ばしていくための取り組みとして、課題を設定し、検討の視点として、科学技術やその社会への貢献、その基盤となる理科や算数・数学にすぐれた資質や能力を有する児童生徒を伸ばすための取り組みを小中学校の段階から行う必要があるということから、国は、児童生徒が科学技術の成果や理科・数学に関して発展的な内容を学べる機会を充実するなど、すぐれた資質や能力を有する児童生徒を伸ばすための取り組みを大学等で進めることを促すべきであるとか、スーパーサイエンスハイスクールの取り組みの一層の推進、国際科学オリンピック等に参加する意欲を持つ生徒を増やすということも言われております。
 第5章でございますけれども、最後でございますが、グローバル化に対応した人材養成・確保方策ということで、国内外を問わずグローバルに活躍できる人材の養成が不可欠である。それから研究環境や生活環境をより魅力あるものにしていかなければならない。それからグローバルな規模での相互交流が活発になることが期待されているということが課題として挙げられ、1つ目の第1節で、外国人留学生や外国人研究者の受け入れという観点から、魅力ある研究拠点及び環境等についてということで、大学や研究機関において特色ある魅力的な研究を進めるとともに、すぐれた魅力ある教育研究内容を積極的に海外に向けて情報発信していくことが重要であって、より多くの優秀な外国人研究者等を受け入れることに力を注ぐべきであるということから、具体的には外国人留学生については、今、議論されておりますけれども、留学生30万人計画の方策を進めていく必要があるとか、大学や研究機関は、海外に向けた積極的な情報発信、それから宿舎や奨学金、フェローシップ等の受け入れ、環境整備に加えて、海外のようにその家族の生活、教育環境等にも配慮した研究環境等で外国人研究者等を受け入れる土壌を形成すべきであるというご指摘を受けております。
 第2節で、今度は日本から海外への日本人学生の留学、日本人研究者の派遣等でございますけれども、やはり研究者として日本に戻る場所がないというご指摘、それから海外から帰ってくる人材のポジションをつくって、意欲ある研究者が海外に挑戦できる環境を形成することが重要であるというような視点に立って、国は、優秀な日本人研究者が海外で研鑽を積むことができるよう、海外に挑戦できる環境をより一層整備すべきであるなど、国は、海外に派遣した優秀な日本人研究者が我が国に戻って活躍できるような方策を検討すべきであるというご提言をいただいているところでございます。
 すべて網羅して説明することはできておりませんけれども、事務局として少し重要な点に絞って雑駁に説明をさせていただきました。 以上でございます。

(柘植主査) ありがとうございました。前期の人材委員会の約2年にわたります多岐にわたる議論をわずか20分でブリーフィングするというなかなか難しい役を高比良人材政策企画官、ありがとうございます。
 それでは、今、説明がありました中間まとめを踏まえた上で、科学技術政策全般、特に人材育成について、まず新任の委員の方々からお1人3分を目安に意見開陳をいただきたいと思います。今後の審議の参考にさせていただきたいと考えております。お願いしたいことは、できるだけ中間まとめのどの論点に関する意見である。あるいは中間まとめにそっくり欠けている論点など、こういう視点を加えてご発言をいただきますと、大変ありがたく存じます。
 それから時間がございましたら、前期から引き続き委員になっておられます方々からも幅広いご意見をいただきたいと思います。
 それでは委員名簿の順に、まず有賀委員からお願いできますでしょうか。

(有賀委員) 北海道大学の有賀でございます。
 私は、この中間とりまとめを送っていただいて拝見して、ほとんど全部書いてあるなと正直なところ思ったのですけれども、ここは書いてないかなと思ってもしばらくすると出てきたりしているので、非常によく議論がされているとは思いました。ただ、それをやはり現実に実現するかというところは非常に問題がたくさんあるなと思いました。特に長期的な視野で継続的に育てるというところが非常に難しいと思いました。任期付のポスト、それから任期付の事業費で行っていると、なかなか長期ビジョンを持ちにくいので、そこをどのように評価していくか、継続していくかということだと思いました。
 中間まとめにも大学の恒常的な研究機能そのものの強化ということが書かれていたのですけれども、やはりスーパーサイエンスハイスクールにしても、スーパースターとか、「スーパー」なものというのにはお金を投じやすいけれども、それ以外のところに全体に底上げをするようなことが、ただし、定額給付金みたいになってもあまり効果はないだろうし、どのように進めていくかというところが非常に難しいと思って考えていたところです。
 地方大学にいますと、やはりいろいろなものが中央集権化されていることにも非常に危機感を持ちますので、優秀な人材がどこからでも、それから早くに伸びる子だけではなくて、遅くからでも、どこからでも能力を伸ばす機会が与えられるということは非常に大事なのではないかと思いました。早期の英才教育みたいなものも必要だけれども、選抜するということが切り捨てにならないということ、そしてまたその年齢、地域、経済的な状況にかかわらず伸びていく状況を整えていくことが非常に大事だと思っています。
 研究者に限らず、若手の科学技術人材の自立支援ということでは、やはりプロ意識を本人が持てるかということ、それぞれがいろいろな、全員が研究者ではなくても研究を支援する側であっても、それぞれの役割に誇りを持って取り組めるかということが非常に大事だと思っています。何がしたいか、何ができるか、教育を受けた者の社会の責任として何が求められているかということを自分のキャリアの選択として主観的、客観的に判断できるか、そのことを大学や研究機関が本人に対して支援してあげるということが非常に重要なのではないかと思っています。
 私どもは、研究者の中でも様々な負荷がかかりやすい女性研究者の支援ということの1つのモデルとして、様々な育成や支援策を考えてきたのですけれども、それを推進する過程でも様々な人材育成プログラムと連携しながら進めてきました。4月からは人材育成本部という形で総合的にやっていこうと思っているのですけれども、研究戦略と教育改革ということを基軸にして、大学の使命の根幹である人材育成を総合的に推進して、将来的な構想、大学の企画経営に直結させて反映していきたいと思っているのですけれども、まさに本委員会でもいろいろ構想したことが経営というか政策に直結して具体化されていくことを願って、私も一生懸命微力ながら考えていきたいと思っているところでございます。

(柘植主査) ありがとうございます。中間まとめの実現に向けての幾つかの課題をご指摘いただきました。
 有川委員、よろしくお願いします。

(有川委員) 現在問題になっていることを、今、有賀委員もおっしゃっていますが、ほとんど網羅していて、かなり体系的に整理がされているというのが第一印象です。その上で、幾つかのコメントをしたいと思います。
例えば少子化や高齢化社会、若者ということはいわれていますが、もう少し高齢者に働いてもらう、高齢者を人材として考えるという視点があってもいいのではないかと思います。例えば、大学ですと、大学によって違いはありますが、定年は63歳です。そのあと3年、あるいはあと5年働いてもらったら、年金の問題等が劇的に変わってくるはずです。その人たちがいつも役職をするのではなく、もう一度現場に戻るとか、あるいは経験を生かして若手をサポートする側に回るなどすると随分違ってくると思うのです。
 また、ポスドクという言葉がありますが、私のところでは、ポストプロフというのを考えつつあります。院政を張るのではなく、自分が育ててきた後進のばりばりの教授を、これまでの経験を生かしてサポートする。そのような仕事をしっかり位置づけて、そうした文化をつくってやると活性化するのではないかと思います。それは同時に若者が研究者を志すきっかけにもなる。高齢化社会ですので、歳をとってからの生き方がはっきり見えないころには優秀な若者は近寄らないのではないかと思うのです。
 それから、特にドクターコースに関して、社会からの要請とのミスマッチといようなことが言われています。これについては様々な側面からの指摘がなされているのですが、そういう指摘や問題に個別的に対応のではなく、少し大局的に捉えて、一網打尽に、あるいは、組織的に考えて、解決をはかるという考え方が必要ではないかと思います。
 それからもう1つ、博士課程の学生たちに関して、これは私自身が言っていることでもありますが、専門家としての知識や見識はもちろん大事だけれど、課題設定してそれを解決してきたプロセスとその経験こそが社会で役に立つのだ、という考え方が大事なのではないかと思うのです。専門を生かすところだけではなくて、その経験を生かすところも進路として選ぶ。こうした視点が、先生方にもないし、学生たちにもない。極端なことを言いますと、特に理学系に多いのですけれども、4年生くらいで研究室に配属されて、3,4カ月で、「私の専門は」などという。4カ月ぐらいで専門なんてあり得えない。そうではなくて、「私の現在の関心は」というマインドが必要なのではないでしょうか。ちょっと乱暴な言い方をしましたけれども、そうした、どこかを押さえておけば、様々な問題が一挙に解決する、といった根源的なことを今期、時間はないかもしれませんが、探していければいいのではないかと思います。

(柘植主査) ありがとうございます。幾つか、ポストプロフェッショナルという言葉とか、ドクターの社会とのミスマッチをもう少し高い次元から議論するということとか、ドクターコースの学生の教育の意義明確化、ありがとうございます。
 有信委員、よろしくお願いします。

(有信委員) 有賀委員、有川委員のおっしゃったように、前期までの検討結果というのは非常に多岐にわたっていて、ほとんど全く同意見であります。3分ということなので、3点についてだけお話ししたいと思います。
 最初は、今、有川委員がおっしゃったミスマッチの問題にかかわる話ですけれども、1つは、これは科学技術政策と人材育成政策とがきちんと連動していなければいけないということでありまして、総合科学技術会議で重点化が行われて、先端技術については非常に効率的に研究資源の重点配分が行われるようになって、その結果、必要な研究分野に多くのPhDが生み出されるようになりました。しかし、ご承知のように、科学的な発見とその産業化の間にはかなりのタイムラグがあるわけですから、このタイムラグをつなぐ施策がなければいけない。ここが人材育成政策に関わってくるところでありまして、例えばアメリカではここの部分がベンチャーや国立の研究者など、こういうところでうまく回っているわけです。十分に大きな産業化ができない部分がとりあえずはベンチャーという形で回り出すという仕組みがうまくつくられるようになっています。ところが日本の場合には、いまだ大企業中心の運営になっておりますので、そこの部分をどうやって埋めていくか、具体的な施策が必要だろうと思いますし、これを日本流に考えていく必要があるだろう、これが第1点です。
 それから第2点は、スーパーサイエンスハイスクールのようなことと初等中等教育に関連して、やはりクオリティー、ユニフォーミティーとダイバーシティーの関係をどういうようにしていくかという話がありまして、人材育成には多様性が非常に重要であります。しかし、今の初等中等教育というのは、基本的には平等性、一様性を指向してきています。これを打ち破る1つの手段が、ある意味でスーパーサイエンスハイスクールのようなものですけれども、これをむしろ初等中等教育のところから、やはり吸収力のある、あるいは理解力の優れている子は、通常の初等中等教育のプロセスでは不十分だろうと思うのです。この部分について何らかの別建てのものをつくって、それをスーパーサイエンスハイスクールのようなものに結びつけていく、こういう仕組みについて、これは非常にセンシティブな問題なので、こういう議論をすると非常に危ないかもしれませんが、こういう発想が必要ではないかという気がしています。これが若い子たちのむしろやる気を起こさせてサイエンスに対する興味をわかせる1つの手段にもなるだろうと思っています。
 第3点は、さっき有川委員がおっしゃったことにもかかわるわけですけれども、日本の大学だけが大学生の中で18歳から22歳までの年齢層が際立って多い、これは極めて特殊な状況にあるのです。これは18歳人口だけを対象とした教育あるいはシステムがいまだに行われていて、その延長でしか大学院も考えられていないということでありまして、ところがこれだけ世の中の進歩が激しい時代になりますと、産業界の人間にとっても新しい知識を常に吸収していかなければいけないし、逆に学生にとっても年齢層の広い中で教育を受けるということは、極めて教育効果が高い。欧米では、特にエイジ・ディスクリネーションという話が言われ出してもうかなり久しいわけですけれども、これだけ年齢に対して厳しいシステム的な形をとっている国は、欧米・先進国の中では日本が際立っているんだろうと思っていますので、ここの部分については具体的なシステムについて何らかの手当てを打つ必要があるだろうと思います。この辺、ぜひできれば議論していただければと思います。

(柘植主査) ありがとうございます。3点ご指摘いただきましたが、特に1点目の科学技術政策と人材育成政策とのミスマッチということで、日本流のマッチングというのはすごく示唆があると思います。これは実は中間まとめでは、活字上しっかりと明確化されていなかったのですけれども、やはり同じような議論がありまして、いわゆる世界中で今、教育と研究とイノベーションの三位一体的な推進ということが非常に強くなってきている、そういう点をこの中間まとめでも出そうではないかということで、表現は少しマイルドになっているのですけれども、記載されておりますが、そのあたりをぜひ今回も掘り下げていきたいと思います。ありがとうございます。
 井上委員、よろしくお願いします。

(井上委員) 九州大学の農学研究院の井上です。農学部の立場も含めまして少しお話しさせていただきたいと思います。
 この委員をお引き受けすることになりまして、資料をいろいろお送りいただきまして、非常に興味深いデータを一応隅から隅まで見て勉強してきたつもりです。この「関係データ集」という事前にお送りいただいた資料をもとにお話をさせていただきたいと思います。もしお手元にお持ちでしたら、開いて見ていただきたいと思うのですけれども、34ページの図5-6というところにポストドクターの年齢の分布というところがございます。その中に、ポスドクの年齢層が出ているのですけれども、改めて驚いたのですが、30歳以上が75%で、さらにそのうち35歳以上では29%という数値を示しています。この数字ですけれども、結局、トータルでいうと75%からの人々のいわゆる働き盛りのこの年齢の中で、先の見えない不安というのは、我々の想像以上に、私たちが若いときには想像できなかったぐらいのもっと厳しい状況であるということを改めて感じております。その不安定な身分というのですか、頑張ったら頑張った分だけハイリスク・ハイリターンだったらいいのですけれども、ハイリスク・ローリターンという現実というのを何とか解消するのが最優先事項ではないかと考えています。
 同じくデータ集の43ページ、もしお手元にお持ちでしたら見ていただきたいのですけれども、この中の図5-18に、「採用前の学位による採用後の印象の比較」というのが出ていまして、この数字は比較的おもしろいなというか、説得力があるデータだなと思います。すなわち、「期待以上」というのがすべての項目でドクターの学生やポスドクが学部卒・修士を上回っています。特に、当たり前といえば当たり前ですけれども、論理的な思考力がポスドクで11.8%と他者を大きく引き離している。一方、採用後に逆に期待を下回ったのは、すべての項目において学部卒であり、すなわち当たり外れがありますよというのを示しているということになるだろうと思います。さらに博士号取得直後の人とポスドクとの差もやはりあるということをあらわしていて、これはポスドク経験のプラスの面として評価していいと思います。一方で、44ページですけれども、図5-19と20で、大企業であればあるほど、大企業も企業の規模にかかわらず同じなのかもしれないのですけれども、「博士やポスドクを採用していない企業の採用しない理由」という歴然とした数字を示していまして、特にポスドクでその傾向が著しい、このデータから見ますともうピンクの数値(採用活動を行う必要がそもそもない)だらけというか。それで、例えば農学系で食品会社を希望する学生が企業の研究職に行きたいと思っているわけですけれども、食品会社のほうではもうポスドクの学生、ドクターを出た学生はめったにとらないということで、仕方なく製薬会社を受ける。ですけれども、医歯薬系の職種にどうしても負けてしまって、なかなか自分たちの能力を発揮することができないということを聞いています。ですから、このようなデータというのは、おそらく文部科学省は発表されているとは思うのですけれども、もう少しポスドクやドクターを出た学生は当たり外れがない、大体期待以上の学生のほうが学部卒よりも明らかに多いのだということを宣伝していただければ、少し誤解が解けるのではないかと思います。
 つい先日、植物生理学会が名古屋大学であったのですけれども、企業やあるいは大学とポスドクとのマッチングブースというのが設けられていまして、採用する側と、それを希望する側のお見合いの席みたいなのを設けているという試みが始まっています。
 それから、話が変わるのですけれども、この資料から外れますけれども、九州大学にはポスドクの経験者で事務職員に採用された人がいまして、事務系と研究者の橋渡し役をしてくださっています。この本省にもそういうような選考採用というがあるのかどうか分からないのですけれども、そういうことがもしあるとすれば、またさらに複数の方でポスドクを経験された方がおられたほうがよりよいのではないかということを期待しています。
 それから、大学のいわゆる研究職や教職以外にも技術職員に当たる人材といたしまして、例えば英文校閲とか情報処理の専門家というような方々を各部局に配置する必要があるのではないかということを切実に思っています。例えば、インターネットのトラブルなどの対処ですが、身近に聞けるボランティア的な教員に頼っているということが非常に多くて、結局、彼らは「芸は身を滅ぼす」とか言いながら仕方なく手伝ってくれています。このようなことというのはプログラミングみたいな高度な技術じゃなくて、ウェブシステムで困ったときやホームページの立ち上げなどに協力していただけるような方というのは修士以上の人が採用されてもいいのではないかと思います。また、英語の専門家を、例えば英文の校閲の仕事をしてくれる方とか、そういう方を大学として複数抱えることができれば、人材活用や研究の活性化の両方のメリットになるのではないかと考えています。実際に英文校閲や翻訳の資格を持っている方というのは多数、もちろん福岡にもたくさんおられますけれども、年収が100万円以下であるなど、そういう話を聞いておりますので、そういう人たちの人材活用が何とかならないかということを考えています。
 これらのことから、例えば大学や企業の研究者や技術者、事務系への道の雇用の促進など人件費あるいは人事制度などの抜本的な見直しの推進などを目的としたプログラムというのを例えば文部科学省のほうから立ち上げていただいて、それが評価され、有効な運営費交付金の使途とか人事の流動化のロールモデルの成功例を示すことができれば、ポスドク問題の解消が期待されると思います。すなわち、学部卒からポスドクまですべてに採用後にその能力を精査・評価して、期待以上なら給料もちゃんと優遇して、期待以下なら適正な職種に異動するとか、そういう具体的な給与体系を明確化すれば、能力に応じて将来に不安なく安心して仕事に打ち込めて、また少子化対策にもつながっていくのではないかということを期待しています。 以上でございます。

(柘植主査) ありがとうございます。ポスドクの高齢化という問題、まさに我々国民の、あるいは人類のと言ってもいいのでしょうか、本当にこれを、中間まとめでもポスドクのキャリアパスを拡大していく提言が幾つかあったと思います。そういう面で、現実のポスドクの話に対してと、それからいわゆる企業的に言うと再発防止策の2点がある。それから引用された、企業がポストドクターを採用した満足度についてですけれども、私も産業人、経験者として、非常に厳選して、余人にかえがたしという形で確信的に採用していますので、当然満足度は高くなってくるわけです。そういう実情もあると思いますが、やはり私も産業人の上がりとして、44ページのアンケートに書かれていますような、産業側が博士課程修了者を採用しない理由の中に、「採用の必要が無い」という、私としては認識不足、もうそんな時代ではないと言いたい思いです。ですから、産業側をいかにトップの経営者、それから人材を育成している責任部門が、もうそんな時代ではなくなったということをいかに啓発していくか、これが人材委員会の提言の最終まとめの中にどういう形でそれを出せるか、行政だけの問題じゃないぞということをどういうように出すかということをご発言で考えました。
 それでは、大島委員、よろしくお願いします。

(大島委員) 東京大学の大島です。各委員から既にいろいろな意見が出されており、私自身、この中間取りまとめを読ませていただいて、非常に多岐にわたっていて、非常によくまとまっていると思います。中には第2章第3節のように教員等の意識改革のための取り組みという章もありまして、教員としては襟を正して臨まないといけないなとも思っております。その中で3点、まず第1章から第3章のいわゆる科学技術関係の人材に関することに対するコメントと、2つ目は次世代を担う人材育成方策と、最後の第5章グローバル化に関連したことで、3つコメントをさせていただきたいと思います。
 まず、第1章から第3章では、いわゆる研究者として今後どういう資質が必要なのかということが問われているのではないかと思います、その中で、チーム力が必要だということを言っていらっしゃいます。研究者としては研究、会社ではR&Dが大事であり、また、そのための教育、そしてアドミニストレーションという、この3つが必要と思います。そしてそれらをやりくりするためマネジメントする力というのが、今後必要になってくるのではないかと思います。マネジメントする際には、経済的なお金の面と、人的なマネジメントというのが非常に重要な点かと思います。R&Dに関しましては、専門分野を深くするとともに、学際領域の分野にもなってきていますので、横の連携というのをどうやっておこなっていくかという幅広い視点も必要になってくるかと思います。教育というのは、私は大学にいる教員ですので、従来の行っていることとともに研究者及び技術者を養成するという大学院の教育というのが必要です。今後は産業界との連携などを含めて、世界的な視点に立ち、教育の面でも新しい展開が必要であり、今後学んでいかないといけない、かつそれらを吸収していくという側面が大事だと思います。これらの点は従来、研究者が必要とされていることですが、今後はアドミニストレーティブな面が重要になってくると思います。特に競争的資金が導入されるようになり、それに対する負荷、というと語弊がありますが、やはり大きくなっているというのは事実です。そのときに、井上委員もおっしゃっていましたが、やはり研究者だけに重きを置くのでなく、それをサポートするシステムというのが非常に大事になってくると思います。テクニカルスタッフ、そして事務的人員も、最近は人員削減ということで人員が削減されています。なかなか厳しい状況ではあると思いますが、その部分が研究者にしわ寄せが来て、研究者が経営者、秘書、かつ経理までをやらないといけないという状況になっており、特に若い人にそのしわよせが来ているというのが実情ではないかと思います。したがって、研究を重要視するとともに、そのサポートシステムを充実するというのが1つのキーではないかと思っています。
 次に第4章ですけれども、次世代に関しましては、理科・数学の体系的な教育というのが大事と思いますが、サッカーではないですが、ドリブル、シュート練習だけでなく、やはりワールドカップみたいに、出口、夢が先にあるというのを見せるということも非常に大事だと思うのです。そういう意味で、いろいろな方とインタラクションをするということを教育の現場に生かすということは大事ではないかと思います。その際に、職種もそうですし、いろいろな世代、例えば高校生が中学生を教えるということでもいいですし、すでにご提案があったように、例えばシニアの方が参加するなど、いろいろな世代の方がいろいろな形で教育にたずさわるというのが必要になるのではないかと思います。
 第5章のグローバル化に対応した人材ですが、実を言うと私の研究室はもう日本人の学生よりも外国人が多くなっていて、アジア、中東及びヨーロッパの学生が多くなっています。日本人の学生にとっても非常に刺激的な環境にもなっていて、今後促進していくということは、日本人が日本にいながら視野を広めるという意味でも非常に良いと思います。ただ、1つ問題なのは、外国人が留学するというと、やはりそれは仮の住まいとの認識があり、どうしても短期的な形になってしまいます。研究にしても、特に研究でポスドクを雇うとなると、そこで業績をつくって次のステップに移るという、ある意味、非常にドライな視点で来ます。外国人も含めて長期的にどのように研究を行っていくかというシステム作りが必要になってくるのではないかと思っております。 以上です。

(柘植主査) ありがとうございました。3点のご指摘をいただきました。
 それでは、フクシマ委員、お願いいたします。

(フクシマ委員) コーン・フェリーのフクシマでございます。私も実は全くアカデミクスと関係のないビジネスの世界で生きてきた人間ですので、少し視点が変わっているかもしれませんが、やはり3点コメントさせていただきたいと思います。
 まず1点目として、私の視点をご理解いただくために、一体コーン・フェリーって何の会社だと思っていらっしゃる方もいらっしゃると思いますので説明しますと、世界で最大級の人材コンサルティングの会社です。世に言うヘッドハンティングの会社ですが、全世界に89カ所のオフィスがあり、約42ヵ国で営業をしています。そのうち17カ所が現在アジアにあります。日本への参入は1973年ですので、もう36~7年前営業してきています。私自身は91年にこの会社に入りまして、約20年間、この人材の市場というのを日本で見てまいりました。そうした経験をもとに2つだけコメントをさせていただきたいのですが、何しろ門外漢なものですので、もしかすると、過去にもう十分に検討なさられた点ではないかと思いますが。
 まず1点目は、先ほど大島委員のほうからもご指摘があったのですが、いわゆる経営者としての研究者という点です。経営のできる研究者という人材は、外資系では実はニーズがありまして、R&Dセンターの所長が欲しいとか、これは食品関係、医薬品関係、あとはお医者さんを経験された経営者が欲しいなど、そういうニーズがあるのですが、残念ながら、先ほどのミスマッチのお話のとおり、日本ではその両方を経験された方がとても少ないのが現状です。したがって、研究者としては大変すぐれている方でも、経営者になれるかというと、必ずしもそうではないというジレンマを抱えています。さらにそれにプラスアルファで国際的な経験、つまり英語ができるということになると、本当にもう5本の指に入るか入らないかという人材不足で大変苦労いたします。
 その1つの大きな理由が、研究者としてすぐれている方が全員経営者になる必要はないのではないかということです。なぜそれを申し上げるかといいますと、全員が必ずしも基礎研究から商品化に結びつけられるようなビジネス人材になる必要はなく、研究者は研究者として深める方も必要でだからです。その中からだんだんご自分の資質として経営者としての要件、(つまり戦略性ですとか、先ほどおっしゃったチームワーク力、統合力、社会経済的な力といったあたりは、これは経営者として最低限必要な資質ですが、)そういう資質を取得される方が、多分3割か4割いらっしゃればいいのだと思います。よくあるケースで、やはり研究所の所長というと、研究者としてある程度の実績がないと他の研究者の方がついてこないのですが、かといって、あまり研究というものを高めようという意識の強い方ですと、コストとベネフィットという商品化に非常に大切な観点が薄くなります。したがって、このコスト・ベネフィットをきちんと考えながら、質はある程度で良いけれども、それプラスアルファのベネフィットの部分も判断できる柔軟性が必要です。商品化するときにはもしかすると技術としてものすごく優れていなくてもいいかもしれないけれども、一般に市場でニーズのある技術に結びつけられるという、その辺の柔軟性が必要ですし、戦略性も必要です。そういった意味で本当に研究に特化されたい方とは少し違った資質が必要になると思います。したがって、研究者の方で本当に深掘りをされる方は、例えばノーベル賞をとられるような方は、やはりむしろ研究のほうを一生懸命やっていただいて、かわりに、そういった経験を積んでいくに従って経営のほうに行きたいという方にそういう教育をするということが大事なのではないかと思います。その点で、16ページに「事業経営全般に活用する発想の転換と受け入れ態勢を整備」と書いてありますが、これは必ずしも全員そうでなくてもいいのではないかと思います。
 それから3点目としては、この提案は短期的な観点では、大変よくきめ細かく様々な施策をお考えになられて網羅されていると思うのですが、もう少し長期的に、先ほど大島委員が触れられたポイントですが、国籍とか男女の差とかそういうことを分けて考えるのではなく、「本当に優秀な人材をどうやったら確保できるか」を考えたほうがよろしいかと思います。先ほど東大でもいろいろな外国人の研究者の方がいらっしゃるというお話だったのですが、それが本来の姿だと思います。つまり、国籍や性別に関係なく「優秀な人材」をどんどん採用していくと、自然に外国人が10%になったり20%になったりというのが将来の姿ではないかと思うのです。日本なので日本人で日本の国籍のある人が研究をするのではなくて、研究の世界というのは本当にグローバルだと思いますので、日本の研究のために役に立つ人であれば、国籍だ、女性だということはいずれ関係がなくなるのではないかと思います。それが最終的なゴールではないかと思いますので、そういう観点での優秀な人材の育成、活用という観点を一言お入れいただけると良いと思います。 以上です。

(柘植主査) ありがとうございます。私自身も産業界から来たもので、今、フクシマ委員のおっしゃったことは本当に実感を持って大事なことだと思いますので、ぜひとも、こうしたらいいんだという日本の弱点はたくさんあると思うんですが、今回の委員会の中で少しそのあたりを掘り下げてご発言いただくと、政策への落とし込みが具体的になってくるので、どうかよろしくお願いします。
 元村委員、よろしくお願いします。

(元村委員) 毎日新聞科学環境部で科学技術政策や科学技術のニュースを取材しています元村と申します。コンパクトに申し上げます。1つは、研究者の資質ということに関して、もう1つは、初等中等教育に関してコメントをします。
 最初の研究者の資質ということに関して、最近、私は、若い大学院生、若い研究者の方と接する機会が割と多いのですけれども、印象を率直に申し上げますと、サバイバル力が少ないというか、ひ弱であるというのをやはり感じてしまいます。それは毎日新聞社の新入社員にももちろん共通していることではあるのですけれども、例えば就職セミナーなどで話をしますと、その後に私の前に行列ができて質問の学生さんが並ぶ。そのときに言うことは、つまり私は何がしたいのでしょうかみたいな質問をしてくる方が多くて、それは私が考えることではなくてあなたが考えることでしょうと。あるいは私の専門はこれなんですけれども、この業界で大丈夫でしょうかというような質問をしてくる。それは、皆さん、研究者になられた方は当然承知と思いますけれども、好きなこと、やりたいことをやってきたら今のキャリアがあったということであって、それはマニュアルに沿ってやってきたからということではないわけですね。なので、若い人は何となく、何か政府なり大学の先生なり企業が用意してくれるのが自分のキャリアであると考えがちなところがあるように思います。それは、こうやって本人材委員会でたくさんいろいろな議論をして親切にしてあげればあげるほどそれに甘えるという、逆行するような逆効果が出てしまっている。そこを何とか打ち破って、サバイバルできる研究者というのをこそ支援できるようなシステムができないかと思っています。
 もう1つ気になるのは、皆さん、新聞をお読みにならないのですね。昨日も、ある学会の若手の、本当の現役の研究者の方もおられましたけれども、80人ぐらいの方を前にお話をしたんですけれども、テーマは科学技術と社会というようなテーマで、当然、社会に関心がおありだから来ているのかなと思って、試しに「新聞を読んできた人」と手を挙げてもらったら、1人か2人だったのですね。別に新聞を読めと言っているわけではないのですけれども、社会にもう少し関心を持ってほしい。というより、持つことが自分のキャリア形成とかあるいは研究の行方を左右することであるということにすら気がついていない若い方が多いことがとても気になります。
 それは1つには、専門で大学教育が行われてきたことも1つあると思いますけれども、もう1つ、ここで初等中等教育のことに絡んでコメントしたいのは、この中間まとめにも私は探せなかったのですけれども、大学受験のシステムについてもう少しきちんと掘り下げて提言をすべきではないかということです。大学受験は効率のよい選抜のシステムだと思いますけれども、効率がよすぎると、それに最適化した勉強しかしなくなる。高校まで最適化するために文系・理系と分けてしまう。高校2年生になる段階で7割の学校が文系・理系に分けています。文系と理系をどうやって選んだかという調査を2,000人規模でやったことがあるのですけれども、文系の人は、物理、数学が嫌いだから文系を選んでいるのですね。理系の人は、理科、数学が好きだからというのもありますけれども、英語が嫌いだから文系を捨てて理系になったというような傾向が見えていました。つまり、英語が苦手な人が専門のことだけ勉強して研究者になったとしても、国際的にサバイバルできる研究者になれるとは限らないわけです。ですので、大学受験システムと、それに最適化した文系・理系を分ける教育、あるいは途中で変わりたくなっても変われないという単線的なシステムこそ、もう少し掘り下げて触ったほうがいいかなと思います。 以上です。

(柘植主査) ありがとうございます。特に大学受験の注文の話で、ぜひともその視座を、事務局のほうから説明のありましたこの参考図のデータ集、薄い提言のほうの中間まとめの図1-1で、本人材委員会における議論の射程が色づけて書いてあったのですが、実はこの右のほうにもっと大事な、特に文部科学省の場合でしたら初等中等教育局を加えて高等教育局が責任を持ってやってくれているものがあるわけですけれども、ここの白のところに書いたのは、本委員会は領空侵犯をあえてするぞと。ただ、責任はこの白のところがちゃんと持ってくれ、こういう視座を今まで持っていたわけですから、ぜひともこの今後の活動の中にこの白の部分がどこまで、今、大学受験のところを考えているかというのを把握する場でもって、それで必要ならば領空侵犯をする、こういうことで行きたいと思っております。ありがとうございます。
 吉川委員、よろしくお願いします。 

(吉川委員) 富士通研究所でR&D戦略を担当しています吉川です。最終提言に向けた具体的な施策のテーマとして3つ提案したいと思います。
 1点目は、大学院教育の質の向上の具体策というものをどうするかということです。今、見ていると、やはり定員充足率と卒業率100%というのがゴールになって、本当に必要な人材の選抜、育成が行われているのかというところに非常に大きな疑問を感じております。この人材育成の問題というのは産業界にとっても非常に重要な問題で、日本経団連でも3年ぐらい前から検討を続けてきたのですが、そこでの提言の第1のポイントは、入り口管理、出口管理をしっかりしてほしいということです。定職につけない学生が40%近くいるという異常な状態、それから定職につけないで、その後ポスドクを経験して、ポスドクからまた企業に就職できればいいのですが、ポスドクに滞留して40歳を越えてしまうというような状態、これは非常に異常な状態です。人づくりと物づくりを比較するのは少し不適当かもしれないのですが、物づくりをやっている企業の感覚からいうと、良品率が60%を割っている、それから40%が流通段階の在庫として滞留している、最終顧客には届かないというような状態でいると、企業は存続はできないということで、教育産業の担い手である大学関係者は、この問題をやはり深刻にとらえていただきたいと思います。
 我々も、大学も競争しているのはグローバルな社会で、欧米の大学、それから中国の大学、やはり選抜を非常に競争的な条件でやっていますし、大学に入った後も途中でドロップアウトする人の率というのは非常に高くなっていると聞いております。一方、日本の大学では、定員充足率100%が目標なので、入るのは易しい。それから出るまではドロップアウトすることなくて課程修了まで95%の率で行くというのは、やはり少し異常な社会なのではないか。先ほどサバイバル力というお話がありましたけれども、やはり学生段階からそういうことを育成するための競争環境というのは非常に重要ではないか。最終提言ではこの点を1つ深掘りしていくのが大事じゃないかと思います。
 もう1つ、2点目は、アカデミア指向の大学教員の意識改革の問題です。これは中間報告でも論点としては挙げられているのですが、具体的にどうするのかというところをこの最終提言では深掘りしていく必要があるのではないか。この学生の指導というのは、やはり教員の指導というのが学生に対する影響力が大きいので、教員がどういう意識を持っているかというのは非常に大きい問題だと思います。このアカデミア指向というのはかなり根深い問題で、これの解決というのは非常に大きいのではないか。先ほど説明があった図1-1、人材委員会における議論の射程、これはいろいろ経緯があってこう書かれているのだと思うのですが、ここに活躍の場を、「社会」、それから「大学・研究機関」という二分法で書いてありますが、大学・研究機関は社会でないのか。大学・研究機関も産業でないのか、そういう視点からもう一回とらえ直す必要があるのではないか。教育産業、研究産業というのは、イノベーションを創出するための重要な産業であって、その前に大学も社会の一員だという認識を先生自身が持っていただかないと、多分、その先生に指導される学生のクオリティーというのは上がってこないのではないかと思います。もっと具体的に言うと、例えば教員評価のメカニズムでも、例えば、極論ですけれども、学生の就職率に応じて研究費の配分を変えるとか、給料を変えていくというような、かなりドラスティックなこともやる必要があるのではないかなという感じがしております。
 それから3点目、これは人材の問題だけではないのですけれども、科学技術政策から科学技術イノベーション政策への転換という問題です。実は先月、日本経団連がヨーロッパのイノベーション政策を調査するということで海外調査を行って、私も参加したのですが、やはり諸外国はイノベーション施策に大きくかじが切られているのではないかという感じがしております。要するにゴールはイノベーションの創出で、研究開発、投資、人材育成というのはその手段であるという位置づけがかなり明確になっているのではないか。一番具体的に参考になるのはイギリスの例で、イギリスは省庁再編を行って、日本でいうと文部科学省の高等教育局と経済産業省を一緒にした、イノベーション・大学高等教育・技能省(DIUS)というような省をつくって、やはりイノベーションを実現するために人材育成をやっていこうというのを一体で考えるような仕組みになってきて、やはり我々もこの最終提言に向けては、第4期の科学技術基本計画というのがどういう位置づけになるか分かりませんけれども、やはりそういったイノベーション政策の中に位置づけられる人材育成策というところを深掘りしていくのがいいのではないかなと思います。 以上です。

(柘植主査) ありがとうございます。中間まとめを踏まえてかなり深掘りすべき視点、包括すべき視点をご指摘いただいたと思います。今後の議論の中で焦点を当てるのに非常に的を射たご指摘をいただきました。
 予定した自由討議の時間があと約10分残りまして、前期からの委員の方々にご発言いただきたいと思いますが、おそらく3名ぐらいしか発言できないのですが、6名ご継続されておりまして、3名ぐらいどうでしょう。興委員、小野委員、それから室伏委員、とりあえず3名にご発言いただきたいと思います。
 では興委員お願いします。

(興委員) 恐縮でございます。
 中間報告のまとめの最後の際に問題にいたしましたのは、こういう金融危機の勃発というか、事態になって、この中間報告の基調に影響を与えるものがあるのかどうか、そのあたりに対する取り組みを行っていかなければならないかもしれないというような話でありましたが、その点は今回もつないで考えましょうということになったと思うのです。第二点は、先ほど、博士課程に対する産業界の期待感の話がございましたけれども、前回の審議の際、別に博士ではなくても、学士課程卒業生でも優秀な人は欲しいとありました。現場の問題として、わざわざ博士課程である必要はなかったという議論も産業界からあったと思うのです。この問題はとても厳しいいわゆる高等教育の現場の問題にあるのだろうと思います。
 第三の点は、初等中等教育、特に初等教育への取り組みの問題であります。元村委員から、お話があったのは、いわゆる人材の多様化への対応の問題であり、大胆に展開できる取り組みというのはとても重要だと思いますので、確かにそういう全然別途の視点で、先ほど主査から白塗りのところのお話がございましたので、小学校、中学校教育について、もっとしっかりと何か入り込んだらありがたいなと考えます。
 それと、最後は、運営費交付金の問題であります。チーム力を涵養しようとすると、技術の問題あるいは翻訳の問題など、そういう問題も必要だろうと思うのですけれども、運営費交付金の中の人件費というのはとても厳しい状況です。は22年度までに5%減ということが言われていますが、実際は23年度までにさらに深掘りして1%は削減するのです。そうしますと、人材の確保については本当に厳しいだろうと思います。そうしたことを踏まえた上で、こうした研究活動を支える社会のチーム力というのはとても重要なので、ここのところをいろいろな議論をきわめていただければありがたいと思います。

(柘植主査) ありがとうございます。
 小野委員、よろしくお願いします。

(小野委員) ありがとうございます。私も前回から引き続きの委員ですが、1つは、この委員会が人材委員会なんですが、この人材委員会の職務権限の範囲を超えて、幅広く本当に最終的に必要な人材の育成のために意見を提言しませんかということを提言したいと思います。実は、事務局は文部科学省の中でいろいろな初等中等教育局、高等教育局と必ず調整されますので、そうすると、どうしても議論がマイルドになってしまうのです。確かに、中央教育審議会がやるべきことかもしれませんが、しかし、日本の今の経済不況を考えてみますと、やはり大学院を出るところの学力が一番大事なのです。大学院を出たところの実力が世界と対抗できるかというところに焦点を絞るべきです。しかし一方、文部科学省では、学力というと初等中等教育の議論しかあまりなされていない。初等中等教育と高等教育がばらばらに議論されていますから、そして先ほど元村委員からもご意見がありましたが、大学入試というものが間に入っているのだけれども、その大学入試というのは初等中等教育の政策の中にも入っていないし、高等教育局の施策にも実はあまり入っていないのです。国の政策と無縁のところで現実の競争が行われている。それが最終的に私が言っている大学院での学力に本当につながっているのかどうかということは検証しなければいけないと思うのです。
 この中間まとめのデータ集の10ページをご覧いただきたいのですが、今、ポスドク問題や博士課程に優秀な学生が行かないということの最大の原因は、法人化その他に伴って、図3-1ですが、若手の教員の割合が減ってきているのです。これだけ世界の科学が進んでいる中で、これは逆に言えば教職員の高齢化が進んでいる。若い助教とか准教授が少ないことの実態なのです。これが減っているということは、若い人が採用されていないわけでして、それはまさにポスドク問題だし、博士課程の問題になってくると思いますので、これを何とか上向きにしなければいけない。そのためにはまさに雇用対策でもあるはずなので、そこに重点を置いた国としての大きな予算の政策が必要ではないか。そのためには、興委員もおっしゃいましたが、大学の運営費交付金ということもしっかり応援しつつ、競争的な資金を増やすことも考えなければいけないのではないかと思っております。 以上です。

(柘植主査) ありがとうございます。
 それでは、室伏委員、どうぞ。

(室伏委員) 新しい委員の方々からいただいたご意見の中で気づいたことを、お話しさせていただきます。
 有賀委員が、選抜が切り捨てにならないようにとおっしゃいました。そういったことがないためには多様な教育体制を構築していくことが必要なのだろうと思います。なかなか難しいとは思いますけれど、何らかのよい施策を考えていく必要があるだろうと思っています。
小野委員がおっしゃいました若手の雇用対策ということと、有川委員がおっしゃいましたシルバー人材の活用ということですが、シルバー人材の活用は、だんだんに進みつつあると思うのですけれども、これが若手の雇用に上手に結びつくようなよい仕組みがないだろうかと思います。良い案が浮かびませんので、今後の課題にしたいと思います。
 それから、大学院に産業界から必要なときに戻れるようなという有信委員からのご意見がございました。大学院では、社会人コースなどをつくって、社会人教育を推進する施策が進んでいるようですが、今後この人材委員会から、さらに良い制度などを提言していくことが必要だろうと思っております。その際、ヨーロッパの大学で行っているような、卒業生が自由にいつでも戻って来て、学びなおしや、先端科学を学べるような、そういうシステムを考えてみるのも必要かなと思いました。
 それから、井上委員がポスドクのキャリアパスについて、また吉川委員がアカデミア指向の大学の指導に問題があるということをおっしゃいました。机上資料の46ページには、アカデミア指向が非常に明確に見えていますが、これは今までの大学あるいは大学院教育の欠陥だと思います。大学の教員たちの意識改革、そして学生たちの意識改革に努めていく必要がありますが、なかなか時間がかかることだろうと思います。
元村委員が、社会に無関心な、甘えのある学生たちの例を挙げられて、大学受験システムを掘り下げる必要があるとおっしゃいました。これらの点は私も賛成なのですが、それをどうするかということになると非常に難しいですね。かなり根本的なところから議論しなければいけないと思います。今後、ぜひ人材委員会の議論の中で考えていきたいと思っております。

(柘植主査) ありがとうございました。
 あと3名いらっしゃいますが、ぜひとも次の議題の、つまり今後の具体的な施策を最終提言に盛り込むことの議論の中で、ご発言いただきたいと思いますので、議題2のほうに移らせていただきます。
 議題2は、最終提言に向けた具体的な施策のテーマについてであります。
 それでは、事務局のほうから資料説明をお願いいたします。

(川端基盤政策課長) まず資料5で今後のスケジュールが出ておりますけれども、スケジュールの参考ですが、科学技術・学術審議会に基本計画特別委員会というのが設けられる、これが第4期科学技術基本計画の内容を議論する文部科学省としての場になるわけでございます。そこから順番に本人材委員会でいろいろな議論がなされていって、最終的には総合科学技術会議の議を経て第4期科学技術基本計画が決まる。こういう段取りになります。それを踏まえますと、本委員会は、今日が初めですけれども、従来の議論を踏まえまして、夏ごろまでには最終提言をまとめていく必要があるだろうと考えています。そうしますと、本委員会の開催はそうそう何回もやれることはなくて、実質的には、最終文言の調整みたいなものを除きますと2回か3回程の開催になるということでございます。
 そういったことを念頭に置きながら、今後の具体的な施策のテーマということで、資料4をごらんいただきますと、これがこれまでの議論を踏まえた事務局からの提案ということになりますけれども、残り二、三回をどう使っていくか。今日いろいろな委員からご発言がありましたように、2年間の議論を経て非常に包括的なというか俯瞰的な議論をしていただきまして、論点としてはほぼ漏れがない状況だと理解しております。ただ、第4期で具体的に世の中を動かすためには、もう少しメリハリのついた、要は具体的な施策というのも盛り込んでいく必要がございますので、深掘りしていただくことが必要だと思います。
 資料4でございますけれども、1つは、若手研究者の養成と理数教育の充実ということから、若手研究者のアカデミア、大学における活躍促進のための方策、それから創造的人材を育成するための方策についてご議論いただいてはどうかというようなこと、それからもう1つの大きなくくりとしては、社会の多様な場で活躍する人材養成ということで、ポスドクのアカデミア以外における活躍の促進、それから研究指導者の意識改革の問題というようなものを例示として挙げさせていただきます。ただ、これでもやや抽象度が高いということでございまして、どんなことをご議論いただくかというと、まず初めの若手研究者の活躍促進については、先ほど小野委員からもご指摘いただきましたけれども、何といっても、全体の教員ポストは増えているのに若手は減っている、これをどう考えるかということです。団塊世代がこれから大勢退職されて世代交代が起こります。これが1つのある意味チャンスでございますので、各大学において高齢研究者をどう処遇していくか、運営費交付金を使っていく、例えば給与の問題も議論していただきまして、仕組みとして高齢研究者の扱いと若手の枠をどうつくるかということについて、もう少し具体的なご議論をいただいたほうがいいのではないかと思っています。それから社会の需要に合わせて学部・研究科などの教員の定員、人数を見直すというようなことも仕組みとして考えていただくことかなと思っております。
 それからテニュアトラック制というのが第3期で大きく取り上げられまして、現在、30程度の大学で国の支援を受けて始まっております。研究者を目指す典型的なキャリアパスというのは、博士課程を卒業してポスドクというのを経験して、テニュアトラックを経て教員になるというようなことであるべきだと思っておりますけれども、今年もまた新しく採用がされますけれども、そういう制度が定着しつつ、始まりつつありますけれども、現実、その教員ポストというのは、現時点で300程度しかないということですから、今のままでは非常に例外的な、特別な制度になってしまう可能性があります。そういった意味では、キャリアパスとしてもう少しきちんとしたものにするということで、これをしっかりと定着普及させていく必要があるのではないか。そのためにどういった手を打ったらいいかというようなこと。このポスドク問題の解決というのはいろいろなパターンがありますけれども、テニュアトラックの枠、制度をしっかりするというのは、ポスドクの世界に入っていく人たちの将来の透明性、展望が分かっていくという意味で非常に重要なものだと思っていますので、そういった観点から、若手の研究者のご議論をいただく必要があるのではないかと思います。
 それからもう1つの創造的人材を育成するための方策についてですが、これは先ほど有信委員からご指摘があって、才能を持つ人をいろいろやるというのは危険な議論だという、何となくそういう雰囲気がないわけではない、全体として画一化、平等性が重視されてきたところでありますけれども、これからはやはり理数についてすぐれた才能や資質を持つ人については、ある種の才能教育的な考えも必要でしょうし、才能を見出す仕組みといったものも重要で、その見出した児童生徒に対して高度な教育を継続的に提供していくような、そういった仕組みみたいなもの、また、大学の単位を高校で取得できるようにするとか、いろいろなアイデアがあろうかと思います。それから、今、国際科学オリンピックというものも支援しておりますけれども、その優秀な方に対しては、大学入試に対して格別の配慮をしていくようなことをやるとか、そういった伸びる子を伸ばすということについて、むしろそういう流れをつくっていくことについてご議論いただきたい。
 また、裾野の拡大ということも一方で重要だと言われております。これについては、例えば大学院生やポスドクなどに活躍していただいた理科クラブ活動みたいなもの、最近はあまりないですから、そういったようなことをやっていただくことについて支援をするというようなことも必要かなと思っています。
 下の段の社会の多様な場で活躍する人材の養成につきましては、少し難しい話かもしれませんけれども、優秀なポスドク、先ほどのようにポスドクというのはそれなりに優秀だと、食わず嫌いだという意見もありますので、企業がポスドクなどを雇用するときには、雇用経費と言うと問題がありますけれども、いろいろな助成をするようなこともあり得るかもしれない。それからポスドクを社会の多様な場で活躍するというときに、教員というのも重要な場であろうか、そういうご議論もこの場でもございましたので、ポスドク等を例えば中学校、高校の理数系の専科教員にするとか、そういったことも考えたらいいのではないかと思っています。最後に、指導教員、研究指導者の意識改革の問題、これにつきましては、先ほど吉川委員から具体的なご意見もちょうだいしましたけれども、教員の意識改革というのを、作文だけではなくて、本当に意思改革していただくためにどういったことをやったらいいのか、先ほどの教員評価の問題もありますが、そういったことを議論していただく。
 それからポスドクというものも、個別に見ると処遇とかがばらばらで、いろいろな問題が現場では起こっております。したがって、これは今の中間取りまとめにもご指摘いただいていますけれども、ポスドクの労働条件とか養成の考え方みたいなものについて、ある一定のガイドライン的なものを作成していって、それをうまく国も支援するというようなことも必要ではないかと思っております。
 事務局のほうから、幾つかの点を指摘させていただきましたが、本日、それに加えてご意見もいただいておりますので、そういったご意見を勘案しながら、夏までの間、どういったところを区別するかについて若干のご議論を賜ればというように考えております。 以上です。

(柘植主査) ありがとうございます。今の川端課長の話として、1つは、8月ぐらいでまとめたいということの時間的な話、それからもう1つは、やはり政策設計に落とし込んでいく、具体的な話の包括、この2つが今の中で大事な話だったと思います。10分ほどいただいて、ぜひとも少しご意見をいただきたいと思いますが、今までご発言がなかったお三方、前期から継続の委員のお三方からまず意見をいただきます。では、森下委員、よろしくお願いします。 

(森下委員) 継続ということで、かなり前回も意見を言わせていただきましたけれども、今お話がありました若手研究者の活躍促進は非常に重要だと思います。数は、先ほど言われましたように減っていますけれども、その内訳も、多分、特任助手や客員の寄附講座などが多くて、実際のテニュアの割合を聞くともっと減っているのではないかと思います。定年延長の問題等で、シルバー人材のお話ももちろん重要だと思うのですが、正直、私はちょうど真ん中の世代に入ってきて見ていますと、上のほうに厚くて下のほうに冷たいのかなということで、決める方はまず自分のところから決めていって、どうも若者のほうが後回しになっているなという印象がどうしても残っています。特に重要なのは、今、特任になっても次がないので、特任から出るかとなった瞬間にまず皆さん考えているので、落ち着いた研究がしにくいということと、それからキャリアパスが助教になっても明確じゃない、そこはもっと明確にぜひしてほしいと思いますので、1つはやはりポジション、特にテニュアのポジションをどう応援するか、先ほど川端課長も言われましたが、これも非常に重要だろうと思います。
 もう1点は、若手の方の意識改革を何かするような方策も要るのではないか。先ほど、元村委員のほうから新聞を読まないという話も出ましたけれども、例えば海外留学をしたがる人が非常に若手は減ってきているのです。今、海外留学するぐらいだったら、もうどこか就職でもいいのではないかという人も非常に多いですし、もともとあまり海外に興味がなくなっているように思います。それから学会でも、昔はよく公開の場の質問って当たり前だったのですが、最近は、シンポジウムでもなかなか質問しなくなって、非常に座長が大変な状態になっていますし、シンポジウムを選ぶこと自体も、若手の場合、結構難しいのです、目立たない人が増えてきたので。そういう意味では、これは多分少子化の弊害もあるのだと思うのですが、何かもう少し意識改革をして、しっかりと公開の場で発言できるようなことをしていかないと、当然これは海外では通用しませんので、そういった意味では海外との交流を含めて、若手中心の事業というのも何か要るのではないかという気がします。意識改革、それからポジションの両面から私は若手に関しては少し施策が必要かと思っています。
 それからポスドクのアカデミア以外の活躍促進ですが、先ほどお話があったようにポスドクが年をとるというのが非常に重要な問題になっていますので、今、雇用対策というのは予算もつきやすいかと思いますので、それこそ補正をねらってでも、何か緊急的な政策も要るのではないか。そういう意味では、早い段階でのポスドクの方の受け皿の用意ということも少しこれは考えていただく必要があるかなと思います。
 最後に、研究指導者のほうの意識改革ですが、これは先ほどお話があったように、もちろん制度として変えるというのも大事ですが、大学として取り組むという組織体としての試みをしないと、個人では限界があるかなと思います。今も個人でも非常に意識の高い方はされていると思うのですが、結局、広がっていっていないというのが最大の問題だと思いますので、ぜひ、大学としての組織体として何かをするためにどうしたらいいか、そちらの議論をしていただく必要があるかなと思っています。具体的には先ほどお話があったようなインセンティブをどうつけるか、そうしたところへやはりつながっていくのかなという気がしています。 以上です。

 

(柘植主査) ありがとうございます。
 吉見委員、小川委員、お願いできますか。

(吉見委員) 残った時間がないようでございますので、簡潔にまいります。
 まず、中間まとめについて1つだけ申し上げますけれども、改めて中間まとめをよくよく見てみますと、環境認識なり課題なり、これからの対応の方向性みたいなものは、総じて相当なレベルまでまとまってきているなという感じがいたしました。これがまず第1点です。
 問題は、いよいよこれからは最終提言に向けてということでありますので、より具体的、現実的で実行可能というような、施策にどう仕上げて行くのかというのがキーではないかと思います。そういう観点でいきますと、議題やそれらに対する対応施策を短・中・長期に分けてというような整理というのが重要なのではないかと思います。つまり、すぐさまというものと、相当時間がかかるぞというものと大きく分けておいて、具体化施策というのをさらに詰めていくということです。
 それから、新しい委員の方々から今日いろいろなご意見が出ましたが、これから最後の詰めを行っていく上で大変大きなヒントになるようなものが多く含まれているように感じました。具体的には、もう時間がありませんから申し上げませんけれども、こういうものも本委員会の議論の中に入れながらやっていくということかなと思いました。
 具体化施策のテーマ案というのをいただきました。私は大筋としてはこんなことだろうなと思います。問題は、何度も言いますように、この中身ということになろうかと思いますが、2つだけこの関係で申し上げておきたいと思います。一つは、想像力人材の育成とそれを可能にする為の社会的仕組みについてです。私は、創造力人材というのは、ポテンシャルという観点でというと、既に社会のいろいろなところにいるのだろうというように思うのです。問題は、社会のあらゆるところにいるそうしたポテンシャルをもった人材がいつからでも、どこからでもそういう機会を得られて入っていく、または戻っていく、そういうような柔軟な社会的仕組みが、日本という国としては必要なのではないかということです。
 別に私は、欧米型のようにという心算はありません。ただ、一生涯の中で、個々人のもっとも適した時に、今までのその人の属した環境から離れ、想像力に磨きをかける機会を得て伸びる、そういう構造的・社会的な仕組みを考えておくことが不可欠ではないかと申し上げているのです。これは長期的テーマでしょうね。それからポストドクターということで申し上げますと、つまり2つ目の点ですが、社会の多様な場での活躍促進ということでいきますと、いよいよなぜ今までできてこなかったのかという議論の深掘りがキーになるのではないかと思いました。

(柘植主査) 小川委員、よろしくお願いします。 

(小川委員) 私は、先ほどの議論を聞いていて、やはり領空侵犯をせざるを得ないという、ぜひそこはチャレンジしたほうがいいと思います。特に私の場合は理数教育のほうですけれども、ここはもう絶対に引き下がらないで、ぜひ皆さんで議論をしていって、必要なものは必要というように提言をしていってほしいと思います。 以上です。

 

(柘植主査) ありがとうございます。他の委員の方々は、最初にこの中間まとめに対しての議論の中で、かなり今の議題、最終提言に向けた具体的施策のテーマに絞り込む点のご発言を既にいただいていると私は認識しております。事務局のほうでぜひとも、そういう視点で、1の議題でご発言のあったものをこの資料4の最終提言に向けた具体的政策のテーマに転写して発言があったというように受け取っていただいて、整理していただきたい。
 一言主査の私から言いますと、まず、具体的テーマの1番目、基礎科学力強化の中で、創造的人材というものが、中間まとめでは図1-2でまとめた科学技術駆動型イノベーション構造と育成すべき人材像の中で、本当にディファレンシエーターのような学術的なトップの創造的な価値という話と、それからやはりイノベーションという社会経済的な価値創造という面での創造人材と、2つあるわけでありまして、この創造的人材というものを中間提言でここまでまとめましたので、片方に偏らない視点での提言が要るかなと。基礎科学力強化という大きなテーマで、片方に偏っていってしまうのではないかということを私は今感じています。
 それからもう1つは同じようなことで、社会の多様な場で活躍する人材の中で、研究指導者の人材というのも今と全く同じでありまして、いわゆる社会で活躍できるドクターを育成する研究指導者というのと同時に、やはり図1-2でいうとType-D型の人材育成をするというこれはやはり両面が必要だと思いまして、そこのところが今後の最終提言に向けたものがかなり大きな分かれ道で偏ってしまうのはやはり私はよくないなと感じております。
 そうしましたら、時間で打ち切らざるを得ないのでございますけれども、最後に、事務局のほうから連絡をお願いいたします。

 (高比良人材政策企画官) 第49回の人材委員会ですけれども、資料6のとおり、文部科学省の東館の3階の3F1会議室で開催する予定にしております。4月21日火曜日、10時からでございます。よろしくお願いします。
 また、本日の資料につきましては、机上の封筒に入れておいていただければ、後ほど事務局より送付をさせていただきます。 以上でございます。

(柘植主査) ありがとうございました。大変お忙しいところを参加いただきまして、今後の予定について今、事務局から説明がありましたように、1カ月から2カ月に1回のペースということで、かなりタイトでございます。ぜひとも各委員におかれましては、ご協力いただきたいと思います。
 それでは、本日の委員会を閉会といたします。どうもご苦労さまでございました。

午後 0時02分 閉会

 

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科学技術・学術政策局 基盤政策課

(科学技術・学術政策局 基盤政策課)