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人材委員会(第36回) 議事録

1.日時

平成19年3月14日(水曜日)10時~12時

2.場所

霞が関東京會館シルバースタールーム

3.議題

  1. 主査代理の指名等について
  2. 研究者を取り巻く現状及び第3期科学技術基本計画を踏まえた科学技術関係人材政策(平成19年度予算案)について
  3. 今後の審議の進め方について
  4. その他

4.出席者

委員

柘植主査、鳥居主査代理、伊藤委員、大隅委員、小川委員、興委員、小野委員、小林委員、所委員、鳥井委員、鳥養委員、西野委員、平野委員、美馬委員、三宅委員、室伏委員、森下委員、山野井委員

文部科学省

森口科学技術・学術政策局長、吉川科学技術・学術総括官、田中大臣官房政策課長、戸渡科学技術・学術政策局政策課長、山脇基盤政策課長、佐藤総括上席研究官(科学技術政策研究所) 他

5.議事録

【柘植主査より開会・就任挨拶】
【事務局より新任委員の紹介】
【事務局より事務局メンバー紹介・資料の確認】

【議題1 主査代理の指名等について】

  • 鳥居宏次委員を主査代理に選出
  • 人材委員会の運営規則の制定

【議題2 研究者を取り巻く現状及び第3期科学技術基本計画を踏まえた科学技術関係人材政策(平成19年度予算案)について】

(事務局より議題2について資料1、資料2に基づき説明。その後、意見交換)

(鳥居主査代理)

 「理科好き」、「理系への進学」についての割合が、小学校卒業で7割、中学卒業で5割、高校卒業で3割なので、七・五・三と言われている事を、中学・高校の先生に聞いた。我々は今まで比較的高等教育を中心に議論してきたが、その数値を聞いてびっくりしている。どうも高等学校が問題ではないのかと思うが、高等学校への支援は具体的にはどうなっているのか。

(山脇基盤政策課長)

 高校段階の理数教育の充実ということで、スーパーサイエンスハイスクール事業を従来から行っている。この事業は理科、数学に重点を置いたカリキュラム開発や、高校・大学の接続の改善などの取組をする高校を「伸びる子を伸ばす」という観点で約100校指定し、理数教育の伸長を支援していくものである。また、国際科学技術コンテスト支援という、科学オリンピックに出場する様な非常に意欲の高い生徒をさらに伸ばし裾野を広げる目的で支援するものもあり、これも主に高校生対象の事業。
 前述の二事業は理数分野に関心の高い生徒をさらに伸ばすことを目的としているが、他にもサイエンス・パートナーシップ・プロジェクトで、高校や中学において、第一線の研究者・技術者と学校側が連携し、理科教育の充実を図るプログラムを支援することを進めている。今のような形で、小学校、中学校段階での理科授業の改善、教員支援に加え、高校段階も今後進めていきたい。

(平野委員)

 高校で物理を学ぶ生徒の割合が約20パーセントだというデータもある。これは理系分野の中でも最も低い。その結果、電気電子工学を目指す学生数がかなり落ち込んできている。電子電気工学は基幹の部分であり、この事についてはもっと細かい議論が必要。理系バランスを見ると、落ち込んでいる分野もあるので、これは国全体としての人材育成として、考えていかなければならない点である。
 一方、スーパーサイエンスハイスクールは非常にいい効果が出てきている。現場で幾つかの高校と一緒に活動しているが、理系だけでなく全体的に底上げ感があるのを実感しており、意欲が出てきている点で非常に良い。これは先の話であるが、現在、名古屋大学では、学部生と同様に講義・実験を一緒に行っており、その子たちがものすごく伸びてきているので、高校生のときに受講し、単位認定された学生が当大学に入学した場合には、単位を読みかえることいついて検討しているほどである。このスーパーサイエンスハイスクールは、単に理科だけではなく、全体のレベルアップに役に立っているとポジティブに感じている。

(山野井委員)

 スーパーサイエンスハイスクールの卒業生は、ほかの高校に比べて大学の理系学部を受験する比率が高くなっているのか、それとも変わらないのか。

(山脇基盤政策課長)

 ある指定校では、それまでの合格者よりも理系の合格者数が増えているというデータが出てきている。また同時に、文系についても合格者が増えているというデータがある。

(山野井委員)

 本当に理系に関心を持ったのであれば、大学に進学しないと研究を活かすことは無理なので、理系の受験比率が上がれば非常に期待できたのだが、変化無しでは高校まで終わってしまう可能性がある。それで理系を目指す比率がどう変化するか知りたかったのだが。

(山脇基盤政策課長)

 その点については、今後紹介していきたい。また、せっかく高校で進んだ研究をしているのに、大学において通常のカリキュラムでは、進んだ学生にとって物足りないと言われるので、大学の学部段階を対象とした理数学生応援プロジェクトで、より理系に関心があるレベルの高い学生を、大学の学部段階においても伸ばしていくプログラムを支援し、高校と大学の接続をよりよくする取組を進めていく。

(興委員)

 スーパーサイエンスハイスクールの生徒が、科学の祭典や各地域のイベントに積極的に参加し、小・中学校の子どもを指導する場面等がよく見られるが、非常に良い事。また、科学オリンピックについても、スーパーサイエンスハイスクールに対し特に声をかけ積極的に参画を求めることで、オリンピックへの参画数は確実に増加している。スーパーサイエンスハイスクールの様なサイエンスだけではない全人格的教育等、様々な分野にこのようなプログラムを展開するのはとても良い事。今後ともこの様な施策を行っていって欲しい。
 理系分野について、産業の実態をよく知らない人が高校教育の現場を担っている所に問題があるとの指摘が、産業界から出ている。その意味で、工学部卒業生がもっと高校教育の現場を担える環境が整備されると良いと思うが、実際は単位取得という非常に大きな障害があり簡単にはいかない。農学部では理科の教員免許証は簡単に取得できるが、工学部ではほとんど取得できない。その意味で産業の実態を勉強した者が高校教育を担えるような環境整備、制度整備をすべき。関連して、筑波大で、高等学校教育現場に博士課程を取得した学生を送り込む制度について努力している。ここで大事なのは、高等学校の現場ももちろんだが、七・五・三でいえば、むしろ七の世代をどのようにキープするかが重要であり、小学校・中学校に思い切ったテコ入れが必要。その意味で、今回のように、教育の現場に大学や産業界から人を出す制度はとても素晴らしいので、それを助ける社会環境の整備が必要。

(柘植主査)

 今の議論で、科学技術創造立国を支える人材について、初等中等教育の問題、七・五・三の問題、さらにポストドクターについてもデータが出ており、産業界とドクター修了者のミスマッチ問題も顕在化している。現在のデータだけでは良い方向に向かっているかどうか判別はつきにくいが、今後の審議の進め方とも絡む話でもあるので、議題3に進み、今後の検討課題としたい。

【議題3 今後の審議の進め方について】

(事務局より議題3について資料3、資料4に基づき説明。その後、意見交換)

(【局長挨拶】)

(柘植主査)

 第4期の基本計画は5年先であるが、2010年には策定が始まることを考えると、じっくりとした議論はこの2年間ぐらいしかできない。皆さんの意見をもう一回重ね、今後の検討課題について次回に向け具体的に固めていきたい。

(小野委員)

 第3期基本計画について検証していくのも大事だが、もう一つ、大きな課題がある。昨年、教育基本法が改正されたので、文部科学省では新基本法の下、教育振興基本計画を今年中にまとめることになる。人材委員会としては、「理科教育をどのように振興していくのか」、「理科系の人材をどのように育成するか」について、まさに教育振興基本計画中にしっかり盛り込むべきである。中央教育審議会と科学技術・学術審議会はそれぞれ立場があるが、教育再生会議の中では社会総掛かりで教育を再生しようとしている。理科系博士号所持者で定職に就いていない人や、定年を迎えた団塊の世代の優秀な理系の人でも、高校や中学校の理科教育を応援したいという人がたくさんいる。そういう方も力を合わせ、今の学校教育を再生しようという議論を進めている。
 いずれにしても、教育振興基本計画をきちんと策定する場合、科学技術振興基本計画と相まって、人材育成に役立つようにすべきであると考えており、これは単に中教審だけの課題ではなく、人材委員会としても人材、サイエンスをどう伸ばしていくか考えなければならない。それは高等学校のカリキュラムの問題にも絡んでくる。スーパーサイエンスハイスクールは確かに良い取組だが、対象数が少ないので全体への影響はまだ小さい。理科だけでなく人文社会を含めたサイエンスに関心を持つような子どもを育てていく必要があるので、まさに教育全体を見直さなければいけない。教育再生会議での議論とうまくリンクしながら、総合的に人材育成を考える必要がある。

(森口局長)

 同じ文部科学省中での話なので、事務的には色々と連携をとるようにしている。委員会同士としても連携をとる機会を設けるように、教育の事務局に申し入れをしたい。

(大隅委員)

 七・五・三問題で非常に大きなポイントは、大学入試であると思っている。つまり大学受験の際、理系・文系に分かれるので、理系に進学をしたい場合は、カリキュラム選択について進路指導という形でなされている。すると、理系に進学したい場合、高校の時点で理数科に行った方が良くなり、今度は中学校の時点で理数科の高校に行くためにどうすれば良いかと、どんどん前倒しになり、本当は幅広い子どもの選択肢が狭まってきているところに大きな問題がある。これは大きな問題なので、人材委員会でどこまで踏み入れられるのかわからないが、検討の論点としてはあり得るのでは。

(柘植主査)

 先ほどの小野委員のご指摘と絡め、今の問題点もぜひ盛り込んでいきたい。

(森下委員)

 ライフサイエンス分野では、医学系のポスドクが急速に減少している。今、マスコミで病院崩壊が取り上げられている様に、現場で医師不足であり、かつては基礎研究者の多くが臨床系大学院から提供されていたが、今ではほとんど回らなく、大学院生がここ数年で半分から4分の1まで減少している。一部、工学系から補っているが、それでも大学院の枠が埋まらない状態。やはり現場が最優先であり、今のところ歯止めがかかる雰囲気は無いので、このままでは医学系の大学院生がほとんどいなくなる可能性が非常に高くなってきた。第3期計画が終わる頃にはその弊害がかなり出てくるのではないか。かつてアメリカでも同様の現象が10年か15年前にあったが、その際はアジア系の留学生等が大量に枠を埋め、結果的に中国系の進出に繋がった。日本の場合、同じ結果が起こる事は難しい。このままでは、ライフサイエンスを担う人材が、特に中堅層で、数年後はいなくなる可能性が極めて高い。非常に特殊な分野だが、科学技術基本計画の中でもライフサイエンスは柱の一つであり、何らかの形で人材を回す仕組みをつくらないと非常に難しくなってきた。かつてはポスドクに関しても、学術振興会等の枠に結構医学系がいたが、今はかなり減ってきて、ほとんどは学問より臨床に行ってしまっている状況なので、ぜひこの辺を調査して、歯止めをかける試みが必要である。また、先ほど物理が減っているとあったが、逆に医学系では生物が減っていて、物理と化学を選択した学生が入学してくるので、DNAや生殖の基本的知識が無い人が非常に多い。その意味で、かなり分野ごとの隔たりもある印象を受けているので、ここもぜひ検討して欲しい。

(柘植主査)

 アメリカでは一般教養の段階でライフサイエンスが必須というところまで来ていると聞いている。

(美馬委員)

 理工系出身者、技術者の労働時間と生涯賃金について、業種別比較、国際比較、男女比較したデータを関係データ集に加えて欲しい。現在のデータは、研究者になる理工系の人たちが、現在どの様な状況であるかを示すデータであるが、研究者を増やすということはそもそも、入口である理工系に進学する人を増やすということであり、理工系卒業者達が社会に出て不公平感を持つ状況では、当然ながら理工系に人が集まらない。例として、昨年、科学技術政策研究所から出した、サイエンスキャンプやサイエンスコンテスト参加者のその後の進路についての報告書があるが、同報告書によると、せっかく理数系、特に数学が好きでも、結局それを生かせる職業に就いていないというデータが出てきている。あるいは、本当に数学・理科が好きでも、彼らが理工系の職業に持っているイメージがとても暗く、不公平感を本人たち自身が持ちながらも、理工系が好きだから理工系の職業に就くという行動が読み取れる。

(伊藤委員)

 まず、前の発言に関係することについて一点、本日の資料の中の「理数学生応援プロジェクト」で、支援の対象になっているのは理工農系学部ということであり、医学・薬学が入っていない。しかし、薬学などはまさに理工農と一線を画するのは難しい領域だと思う。科学技術・学術政策局としては、医学・薬学は理工系とは違うという認識を持っているのかどうか確認したい。つまり、この人材委員会としても、科学技術・学術政策局の掌理事項ではないのであれば議論の対象から外さなければならないので、この点を予め明確にしておく必要がある。
 もう一点、これからの審議に向けての確認だが、今、若手研究者とか女性研究者など、様々な問題や具体的な提案がある。一昨年位から、この人材委員会でキャリアパスについて議論を重ねてきたが、これらが大きな深刻な問題であることは間違いなく、この委員会として一つの道筋をつくってきたと考えている。
 これまでの議論を聞く限りでは、この委員会では昨年度までのキャリアパスの様に、限りなくあるテーマの中から、まずどこに手をつけるべきか一つに絞って議論しようというスタンスであると理解しているので、今後もそのやり方を継続していくのであれば、例えば女性研究者を取り上げ、女性研究者の活躍促進の方途の開拓や提言をまとめていくというのも一つの方法としてあり得るとは思う。
 ただ、このような人材育成の問題では、大学入試から初等中等教育まで深く関わってくるので、切り離して考えることは出来ない。これまでのキャリアパスの議論の中でも、時々そこまで議論が及んだこともあったが必ずしも主題としては採り上げられてはいなかった。将来を見通した人材育成という観点では、やはり次代を担う人材の裾野の拡大が重要なマターだと私は考えているが、そこを本委員会での重要課題として取りあげるのか、それともそこは基幹的なものとして、もっと先端の上の方の、個々のマターにコミットしていくのか、そこを最初に決めた方が議論を進めやすいのではないか。

(三宅委員)

 要するに、既成の研究者パス上で足掻いている人を支援する事に重点を置くのか、あるいは今は理系に興味がないが、将来興味を持って貰いたい裾野部分を強化するのかでは、やることは随分違う。さらにそれに交差する視点として、一部のエリート候補を対象として重点的に措置し残りを置き去りにするのか、あるいは底上げという観点で全体的に強化し、トップの人たちが新技術を推進する際にそれを支えることが可能な科学的知識社会を目指すのかということもクロスさせて考えると、全部で四つの領域がある。その中のどこを議論していくかにより、随分時間のかけ方も変わってくる。私としては裾野の人を対象に、全体の底上げをねらっていくことが一番大事だと考えているが、そのためには、委員会間の意見交換程度でなく、もっと広い範囲で意見聴取し、何をどうしていきたいのか、きちんと議論してきくことが必要になる。

(室伏委員)

 ポスドクなど若手研究者たちを支援するために、彼らが日本で活躍できる場をつくることはもちろん大切であり、疎かにはできないが、これからの時代を担っていく子どもや若者を育てる事を怠ると、日本はダメになる。昨年、海外の教育事情やアウトリーチ活動などを調査したが、どの国でも子どもたちの教育に非常に力を入れており、そのための予算もかなり確保して、様々な施策を進めていた。日本には現在もまた将来も、「人」しか財産がないので、次代を担う人材の育成を疎かにしてはいけない。そのために、初等中等教育を担う教員を支援できる施策をいかに整えるかも重要な課題である。現役の教員のための教員研修や、教員支援を目的とした理科支援員の配置が始まっており、また、大学院生あるいはポスドク等の新しいキャリアパスとしての初等中等教育の場での活躍についても、種々の試みがなされている。以前、教員免許を持たない博士号取得者の初等中等教育へのキャリアパスについて検討した際、教育委員会が認めれば彼らを初等中等教育の場で雇用できるということを聞いて、実際に、教育委員会に当たってみたが、今はその余裕がないという事であった。しかし現状でも、そのような緩やかな方法で、教員免許を持たない博士号取得者を初等中等教育の場に取り入れることが可能であるということなので、裁量の範囲をさらに広げていっていただきたい。
 今後どこに焦点を当てるかは非常に難しいが、やはり10年先、20年先を考えた上で議論し、社会全体の科学リテラシーを向上させる事を目指して、教育の方向性を定めていくべきではないかと考える。

(山野井委員)

 第3期科学技術基本計画の基本理念に知的・文化的価値の創出、社会的・経済的価値の創出とあるが、これにはそれぞれ人材が必要になる。大きく二つに分けて考えると、産業界からみて、大学における研究・教育の価値観は結局、一つの専門性を縦方向に深めていくところにあると思う。それが最も典型的に出ているのがドクターコースであり、細分化・先鋭化している。ところが、それが社会のイノベーションにつながるかというと、イノベーション創出の基本にはなるが、それだけではなかなかイノベーションにはならない。第3期計画の場合、一つキーワードとして人材育成があるが、もう一つの大きなキーワードはイノベーション。縦方向に深掘りし新法則や新理論を発見することは、文化国家として必要なことだが、それだけでは足らず、若手・女性・外国人の問題などすべてまとめ、融合的な形で人を育成することを検討しないと、イノベーションというもう一つのキーワードにはつながりにくいのではないか。大学の先生方には異論があるかもしれないが、私には依然としてそのような感じがある。

(西野委員)

 私は、工学系でどこに予算を措置するとより効果的であるかという研究をしている。これは人間の一生にかかわる問題につながる。若いときには夢にほだされて理科系を選ぶ可能性もあるが、将来振り返ると進路を間違えたと思うかもしれない。今の世の中、理科系を選ぶより文科系を選んだほうが利益を得がちだ。もちろん理科系が好きな人もいるが、そういう人を選ぶのであれば、国を挙げて大規模に大学院を100も200もつくるという必要はなく、10もあれば十分だという発想もある。またそれでも理科好きな人は、それこそ本当に理科系が好きでノーベル賞を取るぐらいになるかもしれない。それは損得の問題ではなく、もう本人の問題。
 そこで言いたいのは、ここの議論には、「こういうことをすればいいはず」、「こうすればよくなった」という話だけがあり、費用対効果の概念が全くないということ。世の中は競争原理で動いており、一番大事なことは需要と供給を調べること。需要があり、供給し、供給に対して一定の給料を払うという余裕を示せれば、人によっては動くかもしれない。つまり、需要に対して国あるいは企業がこれだけの予算を出すということを宣言しない限り、理科系に人が集まるとは思えない。人材が必要なことが事実だとしても、安い費用で良い人材が育つわけにはいかない。例えば、日本で司法修習生制度というのがあったが、これは必要な人数を定め、彼らが司法修習生の間、国で給料を払い、検事、弁護士や裁判官を賄うという制度だ。防衛大学校も同様。防衛大学校は、日本を防衛するためには、一定の人間が必要であり、そのためには給料を払ってでも良い人を集め育成するという仕組みになっている。やはりそういう考え方が必要。「これをすると、これだけお金がかかり、これだけの人が集まる」という実質的な調査をすべきである。また、国はこれだけのお金を出す用意があると主張することが必要。これをしないことには、次の計画も今まで同様、結局絵に描いた餅にしかならない。ちょっと暴論的かもしれないが、きちんと主張したかった。

(柘植主査)

 今の意見は、第4期科学技術基本計画を策定する上で、特に納税者からの意識としては避けて通れない論点であると思う。一方、学術という観点では、必ずしも投資効果をねらうものではないという価値観も当然あるので、この二つの価値観をこの科学技術・学術審議会で踏まえていくべきであると思っている。

(鳥井委員)

 今の意見のとおり、結局、優秀な人材は確率論的に生まれるとすると、重点化・集中化はナンセンスで、広く薄くばらまいた方が効率良いという感じをうけた。それに絡むと、振興調整費のテニュア・トラック事業では、4人の採用枠に100~200人の応募があったところもあり、結果として優秀な人の採用になり、集中・重点化の点では非常に良い効果を上げていると感じるが、落選者は研究者の門は狭いと考え、自信を失ってしまうのではないか。つまり、集中・重点化した場合、モデルケースとして働けば効果があるが、モデルとして働かなければ逆効果になる可能性がある。その意味で、普通の人が下支えする研究ピラミッドの構築方法について真剣に考えなければいけない。
 スーパーサイエンスハイスクールの11校、約2,000人の高校生を対象にアンケート形式で、小中学時代にどんなところに興味を持っていたかについて調査すると、その結果は概ね7つのグループに分かれ、また、その7グループは概ね小学校のうちに既に固まっていることが分かった。さらに、「学校での理科は嫌いだけど理科そのものは好き」というグループがかなりいることもわかった。この結果の意味をよく考えなければいけないのではないか。
 また、大学の役割は何も最先端の研究をやるだけではなく、様々な知恵の継承や文化の発信も大事であり、それを担う人材をいかに育てるのかについても考えていくべき。

(所委員)

 最近、産学連携に関する委員会や会議において、大学は先へ先へと進んでしまっていて、基礎学力を学んでいないのではないかとよく聞く。どうも骨太ではなく根っこがしっかりしていない。基礎的な勉強よりも産学連携の成果を出すことに引っ張られ過ぎて、地に足のついた部分というのがおろそかになっているのではないか。最新の話題や最先端の研究はよく知っているが、隣の分野に行った途端に専門外なので分からないという人が増えていることも感じる。ここ10年~20年、そういう傾向があるのではないか。結局これは、基礎的な学力、もしくは考える力に対しての十分な涵養をしっかりと大学で学ぶことが薄れてきており、すぐに役立つこと、短期で成果が出るところに動いてきてしまっているからだと思う。一方で、企業の研究所に勤めた場合、30年間くらい研究活動を続けていかなければいけない。その間、テーマも2度、3度大きな変化というのがある。それにいかに追従していくかが、今後の科学技術政策でも極めて重要になってくるのではないか。
 私は、ダブルメジャーの重要性についてかねてから主張し、これについては一部の大学では積極的に進めていると思うが、最近、果たしてこれだけで十分なのかと考えている。スーパーサイエンスハイスクールは、対象人数は少ないが成果が出ているとあったが、単にスーパーサイエンスハイスクールを進めるよりも、もう少しマクロに見ていく時期に来ているのではないのか。高校3年間での教育は、学習範囲について色々と制限が強く、きちんと勉強をしたい人にとっては極めて不具合。一方、自分の進路と違うが、必須科目だから履修の必要がある人にとっては、それでも難しい科目がある。そういうところを全体的にどのように調整していくかが、その後の高等教育へつながっていくことだと思う。つまり、高校3年間と大学4年間の計7年間について、これをどうあるべきか検討するべき時期にまさに今来ている。第4期科学技術基本計画はだいぶ先だが、今からこういう議論を開始して、教育再生会議や中央教育審議会との関係も含め検討を進めていく。これが実際にスーパーサイエンスハイスクールで行った事の更なる展開となり、基礎科学に止まらない一般教養の扱い方の議論につながると良い。そんなところも含め7年間をどう使うか。場合によっては予備校等も含め、高校3年間と大学4年間をうまく溶け込ませることによって、例えば20歳で大学を卒業することも考えていけるのではないか。するとその先、マスターがあり、ドクターがあって、25歳で博士号を取得し、さらにダブルメジャーもうまく生かしていける。これは科学技術以外の分野にも広く応用できると思うが、より骨太な将来に向けそんなことが可能ではないかと感じている。

(鳥養委員)

 今後の審議の進め方について発言したい。最近の人材育成支援策、すなわち、若手研究者の自立支援、女性研究者の活躍促進、外国人研究者の活躍促進等の事業を競争的資金で実施したことは、各研究機関の関心を高める上で非常に役立ったと思うが、次のステップでは同じ支援の中での費用対効果を考え、センター化や機関連携を進めることが大事でないか。文部科学省や日本学術振興会の等の助成機関がイニシアティブをとって、自ら機関連携を進めたり、あるいは連携推進機関に対し支援したりすることで、普及させていく事を検討してほしい。すでに研究機関から連携の芽が生まれつつある。今後の委員会では、次の基本計画策定までの2年間に、これまでの施策、競争的資金での成果を検証するだけでなく、今期の次のステップではどういう助成の枠組みで支援するのがより有効かまで議論していただきたい。

(小林委員)

 色々と現場を見ると、様々な施策の中にうまくいっていないものがある。それは、現在の各取組が断片的や調整的になりがちであり、目的や方向性が共有されていないからではないか。そこを少し考えなければいけない。例えば基本計画でいえば、基本理念があり、システム改革があり、その中に人材がある。しかし、人材の話と基本理念がどう結びついているか、あるいは人材の理念、人材のビジョンがあるのかどうか、それが必ずしも共有されていない。いろいろ考えたが、やはりその辺に問題があると思った。また、費用対効果等を検証することと、大きな目標を掲げ検討していくこととは両輪の関係であり、片方だけではダメ。皆さんの意見もごもっともであるが、同時に断片的でもあるので、もっと全体像のようなものを示していくこともやはり必要。

(興委員)

 今後の検討課題について、沢山のメニューが出てきているが、それらの成果の検証をきちんと行うことで、重点的にどこを補完したらいいかが明らかになると思う。今はそういう措置が本当に必要なこと。対がん10カ年総合戦略において、最初の目標は何ががんの遺伝子なのかだったが、第2期の目標は予防措置についてであり、がん検診を受診させる事を柱にした、万人が納得できるような目標であった。この様に、今、本当に良いメニューが沢山出ている。
 ここ数年、キャリアパス多様化について非常に多く議論があり、様々な施策が打ち出されたことは非常に良いと思う。北海道大学及び早稲田大学が前回の人材委員会で状況説明を行ったが、大学は「研究第一」という環境がまだあるのが実態。そのように多様化されるパスに進む人が不承不承としていては、社会は決してよくならない。むしろキャリアパス多様化がとても重要であるという意識を、社会に与えることが必要である。今、一方では、少子化対策が打ち出され、家庭の絆、社会の絆をどうするかに始まり、文化を変えようではないかという話まで出ている程なので、キャリアパスの多様化についても、もっと重点的にアピールすべきである。
 また、そういう流れの中で理科支援員の話がある。理数教育はとても重要だが、先生方に負担を負わせることははっきり言ってできない。つまりそれは高齢化社会の中、そういう方々を含めて抜本的に対応する必要があるのではないか。その関係で、理数学部学生の専攻分野別男女割合を見ると、薬学では女子学生が男子学生より多いが、農学ではほとんど男子と拮抗、一方、工学は圧倒的に女子学生が少ない状況である。本当に女子学生にとって魅力のある理系分野というのは何かと考えたとき、現にそういう分野にいるとしたら、なぜ工学に行けないのか。ここは「工学=ダーティ」というイメージがあるのかもしれないが、私は決してそんなことはなく可能性はあり得ると思う。そのためには親も対象とした、もっと大胆なドラスティックな対応をしても良い。これはリテラシーの向上の問題に関連するかもしれない。

(柘植主査)

 今回、人材委員会で議論を深化するための検討課題として、現行施策の各論の検証、整理、今後重点化すべき論点について皆さんから意見を頂いた。次回までに今日の意見を整理し、今までの委員会での論点と重ね合わせ作業を行う。また、意見があれば随時、事務局に投げかけて欲しい。私は、人材委員会というのは、人材という視点で、教育と研究とイノベーションという三要素をいかにうまくくっつけていくか。これが国民に還元する科学技術・学術であると思う。教育と研究とイノベーションの重大三要素をどの様に融合させていくか、今日の議論を次回までに少し整理し、これからの具体的な部分について議論を行う上で活用していきたい。

【山脇基盤政策課長挨拶】

(山脇基盤政策課長)

 今日出された意見を踏まえ、事務局で今後の進め方を考えていきたい。今日の議論は、前回の包括的な第三次提言での各分野にわたっており、それぞれ重要な課題だと認識。地に足をつけながら効率的な審議をもって人材委員会全体の使命を達成する形での審議・検討を進めていきたい。

【主査閉会挨拶】

お問合せ先

科学技術・学術政策局基盤政策課

(科学技術・学術政策局基盤政策課)

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