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人材委員会(第31回) 議事録

1.日時

平成17年3月31日(木曜日)13時~15時

2.場所

KKR HOTEL TOKYO 11階 孔雀の間

3.議題

  1. 第3次提言以降の人材関係施策の実施状況等について
  2. 科学技術関係人材の将来需給について
  3. その他

4.出席者

委員

小林主査、伊藤委員、小川委員、興委員、小野委員、所委員、鳥井委員、鳥養委員、中津井委員、西野委員、長谷川委員、美馬委員、三宅委員、森下委員、山野井委員、吉見委員

文部科学省

有本科学技術・学術政策局長、青山科学技術・学術政策局次長、丸山大臣官房総括審議官、大西大臣官房審議官(大臣官房担当)、木谷大臣官房審議官(研究開発局担当)、河村科学技術・学術政策局政策課長、惣脇高等教育局高等教育企画課長、榊原基盤政策課長、川端計画官、田口企画官、今井総括上席研究官(科学技術政策研究所)

5.議事録

(1)開会にあたり小林主査より挨拶

 久々の開催であるので一言挨拶を申し上げたい。当委員会は平成13年12月から審議を始め、昨年(平成16年)7月までに3度の提言をしている。第三次提言までには、知を創造する人材、知を活用する人材、知の創造・活用の基盤づくり、という3つの大きな絵を描き、科学技術関係人材の養成について全体像に当たることを中心に議論を行ってきた。
 平成18年度から第三期科学技術基本計画が実施されるが、その中で人材という点は非常に重要な計画の柱をなしており、当委員会で検討し、提言した内容も幾つか具体的に反映される方向で、現在政府で検討が行われている。大学院教育の実質の問題や、女性・外国人など多様な研究者の能力発揮の問題、産学連携による人材養成等がその例である。
 前回の委員会から9ヶ月たったが、その間にも人口問題・少子化を踏まえて、人口と国力という関係からどうするかということなど幾つかのかなり具体的な提言が出ている。その中でも、女性・外国人など多様な研究者の能力の発揮について我々が議論してきたことは、この分野に留まらず、かなり大きな意味を持っている。産学連携もまたそのような意味で非常に大きな意味があると思う。一方、中央教育審議会でも、我が国の高等教育の将来像や大学の教員組織の在り方等重要な議論が行われ、答申が出されているところである。
 人材委員会は第三次提言まで、全体的な議論を行ってきたが、少子高齢化による人材全体の需給問題や、第1回からずっと議論の対象になってきたポストドクターの実態等、幾つか具体的な課題として残された問題もある。そのような点については、事務局の方で行った調査の結果等を報告し、それを踏まえて議論を行っていきたい。
 このような流れや第三次提言までの理念・考え方を踏まえて、次はどうするのかという当面取り組むべき具体的施策について議論を進め、具体的な提言に結びつけていきたい。

(2)第3次提言以降の人材関係施策の実施状況等について(議題1)

 榊原基盤政策課長より、資料2に基づき第3次提言以降の人材関係施策について説明。続いて惣脇高等教育企画課長より資料3に基づき中教審の検討状況について説明。川端計画官より資料4に基づき基本計画特別委員会の検討状況について説明の後、意見交換。主なやりとりは以下のとおり。(○:委員 △:事務局等)

○ 研究と教育の問題は深くリンクしているが、大学や特に大学院においての教育の成果は、研究の成果と異なりどのように評価するのかが難しい。「大学の教員組織の在り方について」においても研究と教育という2つの役割のめりはりが分かりにくい。大学教員組織のあり方の見直しには、研究と教育のめりはりをはっきりさせるという思想が入っているのか。

○ 大学教員組織を見直す理由は、人材育成と学術研究の両面での使命・役割をより積極的・効果的に果たすためである。当委員会では、ポスドクや若手研究者が伸び伸びと成長することを妨げる面が制度や組織の中に相当存在し、それをなくしていかなければならないとの意見が多く出ている。

△ 助教授・助手の位置付けの見直しが求められた趣旨は若手研究者が自立して活躍できるようにということであるが、大学院も含めて大学における教育・研究が、一体として行われることに変わりはない。教授・准教授・助教の職務は教育・研究面であり、自ら教育・研究を行うという点で同一の規定としている。従来助手は独立して授業科目は担当できない建前になっていたが、助教は独立して授業科目を担当できる。
 但し教員組織全体については、組織としての体制の確保や責任の明確化が必要である。従来あった講座制・学科目制の規定を削除し、かわりに、各教員の役割の分担及び連携の組織的な体制を確保し、責任の明確化についての規定を新設する予定である。

○ 21世紀COEの拠点は研究拠点であると共に重要な教育拠点でもあるが、研究だけでなく教育の評価というのは、重要な評価軸として入っているのか、あるいはどのように評価するのか。人材の成長や変化には時間がかかる。時間軸が研究の成果とずれるため、それをどのように評価するのかというのが大事である。

△ COEは、研究だけの拠点ではなく、研究・教育拠点である。また来年度開始する新たなグラントは大学院教育に重点を置いたグラントである。研究業績は比較的明確に出るが、教育は顕著な成果が早急に得られるわけではなく、自立して研究活動を行う能力の基礎が培われたかどうかということになる。その意味で研究の拠点であると同時に、そのような研究者を継続的に養成・輩出できる教育内容になっているかどうかということを見なくてはいけない。

○ 若手の研究者をなるべく育てよう、それには優秀な人たちが博士課程へ行きたくなるような環境をつくろうと様々なことをやってきているが、本当に若手が博士課程に行きたくなったのかというと、もう一つ見えないところがある。若手が博士課程へ行きたくなるような施策はと考えると確かにこのようになるが、逆に見て、これをやると本当に行きたくなるだろうかということをもう一回考えて政策をやらないと、思ったほど若手が博士課程へ行きたいという雰囲気にはならない。また、ポスドクの状況を学生が見て、博士課程へ行くのはやめようと思うような状況が多く生まれているように思われる。我々の考えてきたことには何かが欠けているのではないか。若い人たちの話も聞いて、どうしたら本当に行きたくなるのかというのをもう少し探らないといけないのでは。

○ 「教員組織の在り方について」に教授などについての現行と新しい制度の比較がある。名称について、助教というのが個人的に余り好きでないという人がいた。
 教授・助教授は英語で言うと、フルプロフェッサーとアシスタントプロフェッサー。新しい制度でも教授という名称は変わりなく、どういう人かというと、特にすぐれた知識、能力及び実績を有する者とある。准教授というのは、英語で言うとassociateかadjunctか、どういうプロフェッサーなのか。准教授は特には優れていないが、優れた知識能力を持っているとあり、助教は知識・能力を有するとある。これらの資格要件は、非常に単純化されているからであろうが、イメージがつきについ。名称は、名刺を出した時にすぐ分かるようなものがいい。准教授は英語では何と言うのか。

△ 准教授はアソシエートプロフェッサー。

○ アシスタントプロフェッサーというのはもうなくなったということか。

△ 従来の助教授をアシスタントプロフェッサーと訳すと、米国の大学では通用しないため、現在の助教授で名刺はアソシエートプロフェッサーとしている人もいる。助教という名称は、現場に混乱が生じないよう助教授や講師以外の文言から選ぶ必要があったためだが、英訳については、公定するものではないがアシスタントプロフェッサーでよいのではないかと考えている。ただ、分野によってはインストラクターと訳したいと言っているところもある。

○ フルプロフェッサーがあって、アソシエートプロフェッサーというのは、アシスタントプロフェッサーよりややランクが低いのではないかと思っていたが、そうではなく、逆なのか。

△ アソシエートプロフェッサーはフルプロフェッサーに非常に近く、少し離れてアシスタントプロフェッサーがいる。

○ 今の助教授は、特にではないが助手よりは少し上の能力を持っている人で、なおかつ教授の職務を助ける人のことであって、准教授とは助教授を単純に読みかえたものか。

△ 助教授については、名称をまず助教授から准教授に改めるということと、職務内容を教授の職務を助けるということから、自ら教育研究を行うという点では教授と同一の職務内容に改めるということ、の2点が改正点である。

○ 教育の充実のため、学位を与える課程中心の考え方への再整理が必要とあるが、大学院の記述との関係を含めて、この課程というのはどういうことか。

△ 課程というのは、学生に対してどのようなプログラムを提供するかという意味である。従来のように初めに組織をつくるのではなく、どのようなカリキュラムを提供するのかということを、まず設計をするべきではないかという考え方である。従来学部と言っていたものを学士課程と今回言っているのは、学士の学位を与えるプログラムとしてどのような課題が必要かという観点で論点を整理するためである。

○ JABEEで考えているような教育プログラムに対して、きちんと位置づけをしていく、目標を立てた上でそれに沿った教育課程を設定すると、そのような思想に近いものと考えてよいのか。

△ JABEEの場合はプログラムの評価をするが、対象がプログラムという意味で、同じような考え方である。

(3)科学技術関係人材の将来需給について(議題2)

 榊原基盤政策課長から調査の趣旨について説明。三菱総合研究所の高谷主任研究員より資料5に基づき説明の後、意見交換。主なやりとりは以下のとおり。

○ 研究者をどうするかという政策の部分が非常に大きいにもかかわらず、そもそも研究者の需要予測を経済成長率だけで予測するということは非常に無理があるのではないか。理系大学の入学率3ケースに高位、中位、低位とあるが、例えば中位でも今後入学数が一定ということは現実には余り考えられない。将来を見越すのであれば大学への入学動向や大学の定員を含めた需給を調べないといけない。

△ 今研究者としている中には、大学の教員も民間の研究者もいるので、それぞれの需要と供給というのは違った要因で決まっている。大多数の部分は民間の研究者なので、研究者全体として推計する意味で実質GDPとの関係で見てみた。教員についてはまた違った構造があるため、それらについて細かく見ていくのは、次の段階に当然あるべきだろう。入学数、入学率一定というのは、予測というよりも極端な例を幾つか想定して計算してみたということである。

○ 研究者の大多数が民間というのはどういう前提なのか。
 供給力については多く見積りすぎている可能性がかなり高いのではないか。40歳以上の年齢層は、現在の供給状況からポジションがない以上変わらないのではないか。研究というのは創造性が必要なので、実際に原動力となるのは30代からせいぜい40代前半までで、それ以降の人は本当の意味で研究職ではない。40代以降の人が多くても本当に同じ研究能力が発揮できるのかはかなり疑問である。実際になって研究できる人の実働人数がものすごく減るという危険性があるのではないか。

△ 自然科学系の研究者約56万人の中で、たしか大学の教員は9.8万人ぐらいだった。
 研究者は若くないとだめか、高齢でもいいかということについては、企業の中でも今かなり人事制度が揺らん期にあり、どちらがいいとは言えない。企業の中でも大規模なシステムのような製品をつくっているメーカーだと、経験の多い研究者も必要だという意見もあった。若い柔軟な発想と経験とどちらが重要かというのは、議論すべき点だろう。

○ 企業の中での研究者とカウントしているのは、博士号を持っている人を指すのか。この予測についてもそのように考えて算出しているのか。

△ 今回の研究者の数自体は科学技術研究調査などの統計調査を見ているので、博士号を取ったから研究者ということではない。ただ実態として、博士号を取った人はかなりの割合で研究者になっている。修士、博士、学部卒の人がどの程度の割合で研究者になり、巣立っていくかということを考慮して算出している。

○ 大学全入になった後に大学に入った人が4年で卒業する率というのは、かなり予測が難しいが、それはどの程度反映されているのか。

△ その部分については、これまでのトレンドを見ているだけであって、全入時代になって傾向が変わるという部分については反映していない。

○ その辺は供給を多く見積りすぎているリスクがある。

○ これからは国際化が進み、特に研究というのは国境を越えていくので、国内のGDPにこだわるというのは無理がある。少子高齢化の中で高学歴化が進み、博士課程へ進む人がふえてくることは間違いない。研究者に焦点を絞るだけでなく、もっと広く様々な分野で活動する博士課程の人たちを供給するということが、全体のレベルアップのために必要である。研究職だけでなく様々な分野に対して博士課程が進出するためにどのくらい必要かというような全体の構造をシュミレーションしたらどうか。課程別大学院制度としての発展の方向性の博士課程のところに、研究者等、大学教員の養成と書いてあるが、もっと広くとらえたい。

△ 企業の活動がグローバル化しているのをどう考えるかというのは難しい。まだ研究所を海外に持っていく企業は少ない。課程卒の学生の就職動向のトレンドを追うことができれば、もう少し精度は上げていけると思う。

○ 当委員会のベースは我が国の高等教育に置かれているが、高等教育だけの中でどうすべきかと考えていても、もう議論はほとんどされていて、世の中でのインパクトはだんだん薄まっている。外に対して、中等教育でしてほしいこと等も提言として発信していきたい。
 企業では選択と集中ということで基礎研究がどんどんカットされているが、これからはどんな分野の研究でも基礎研究をやって先頭を走っていかない限り、日本の国の発展はない。大学におけると同時に企業でも基礎研究をもっとやってほしいというようなことをどうやって発信していくか。そのためには経済産業省に連携を求める等、我々の与えられた境界を飛び越して、なるべくインパクトがある提言に持っていけないか。

○ 大学全入ということになると、質が悪くなる。それをあえて認めるのかどうか、高等学校の出口で品質管理する必要はないのかどうか。その中で、研究者の質の問題を考えたときに、魅力ある大学院というのは決して日本人ばかりではなく海外からも優秀な人が入ってきて、そこで切磋琢磨が行われる。国境を越えて活躍できるような人材の育成のために幾つか提言が出て、制度は変わったが、結果につながるような徴候が見えているかどうか。実態等についてきちんと検討しなければいけない。今回出た予測をベースに使って、何を議論して何を提言に結びつけていくかを議論していきたい。
 質を上げていくために、小中学校ひいては社会全体の科学の目指す方向性のところから我々が提言してきたことが、具体的に本当に質の向上につながっているのかどうかを確認しておく必要がある。

○ 途上国では、資源がないにもかかわらず大学がたくさんある国と、資源がこれだけしかないからちゃんとした人を選んで教育をする国というのがあったが、最近は社会的なプレッシャーがあって大学を増やさざるを得ないというところへ来ている。今の日本の状況では、全入するかどうかは関係なく、その中から質を持った人の数の確保か大事な時代になってきている。
 日本は非常に資源が少ないが、その資源を今まで公平に分配してきたところに問題がある。これは今まで日本ではほとんど議論がされてこない領域であったが、いかに質のいい人の数を確保して、そこに資源を配分していくかという話が当委員会の焦点になってきた。いかにしていい人が大学に進み、すぐれた素質を持っている人が博士課程に行くか。大学を卒業した時点で、あとは自分で稼げるという組織にしないとだめだというのが一番の極論になる。ぜひ博士課程に行ってほしいような優れた人には、勤めた人以上の給料が出るような奨学金をつけないと博士課程に進まない。そういう人が進むと、企業から見ても魅力のある人が育ち、大学の教員もそういう人を育てようという気になる。この辺のことをそろそろ議論をする時期に来たのでは。

○ 大学に全入できるような状態で、その入口のところから教育の質を根本的に上げていくことによって、大学を出ていく人、研究者になれる人の構造を変えていく必要があるという議論ではないのか。講座制を課程制にするとか、重点的に研究費を充てて育てていくなどの対策で間に合うかという議論が必要なのでは。

○ さきほどJABEEの話が出たが、JABEEというのは第三者評価をするものである。例えば、成績が悪くて退学し、転学していった学生が卒業する際の最低保証をするプログラムであって、国の科学技術を引っ張っていく主導的な人をつくるようなプログラムではない。そういう大学卒の問題は中央教育審議会で議論するもので、当委員会は科学技術創造立国である日本を引っ張っていく人材養成の議論をしている会合である。

○ 当委員会の三次にわたる提言や総合科学技術会議や、経済産業省の産業構造審議会の産業技術分科会等のいろいろな提言等を含め、メニューというのはもう結構出ている。それを踏まえた具体的なアクションを起こすべきではないか。
 例えば任期付き任用制度というのは本当によかったのだろうか。本来は大学を出てちゃんとした職場が保証されていれば、この制度は必要がなかったのかもしれない。しかし任期付き任用制度にはスクリーニングがきちんとできるという非常にいいところもある。質の高い研究人材の養成、それに当たって、女性・外国人など多様な研究者の活躍を促進させるために当委員会で何か具体的なアクションを起こしたいと思う。
 少子化という問題を考えたときに、再教育も含め人材を投入できるような体制をどのようにしたらよいか。また、科学技術の分野に行くことのインセンティブをどのようにして早目に与えたらいいのかということを、大胆な政策として打ち出すことも重要ではないか。戦略的な研究投資や競争的な資金倍増という政策など様々手を打っているが、関心ある若手の層から見ると、それが自分のところに来るわけではない。若い世代の視線に置いた政策を提言することがこれから重要ではないか。

○ ボトムをどうするかという話とトップのエリート層をどうするかという話の2つの議論が混在している。ボトムに関しては、大学の全入の問題、任期制の問題、ポスドクの人がアメリカへ留学して帰ってきた時にポジションがない、それをどこへ流すのか、そうした問題も議論していかないといけない。今年来年ぐらいにはポスドクが大量に余って、今40代のポスドクというのも結構ふえつつあるという状況である。ボトムの中の問題で、女性あるいは若手、高齢者の問題等も含めて議論しなければいけない。
 また数だけでなく質において、いかにしてトップのエリートコースをつくっていくかというトップの議論もしないといけない。一部、飛び級等もできてきたが、大学から出てポスドクが終わった後の研究者のエリートコースは非常に少ない。医学部系の場合だと、最近2年間の医者の臨床研修義務化というのができて実質卒業が2年おくれたため、生活が非常に厳しくなってきてほとんどの人が研究者にならなくなった。これはアメリカでは約10年前から起こってきており、今アメリカの研究者というのはほとんど外国人に置きかわっている。日本でも医学部系を中心として、ライフ分野は日本人が研究者に行かない時代がこのままいくと来ると思う。飛び級的な、30代前半で助手等になれるような仕組みを新しく作っていかないと、医者で研究をやろうという人はいなくなってしまう。ボトムの問題とトップをどう養成するかという問題で、かなり思い切った手を打たないと、どちらもかなり時期的に厳しい状況になってきている。

○ ポスドクの給与は結構高くなっている。学生の立場から見ると、実際に就職するよりも給与が高く、研究に集中できるというのは非常にいいが、結局その後が非常に不安定であるというのが問題である。実際その後はどうなるのかというと、競争的資金のつく領域は、自分が研究者として一人立ちしたときには既に別の領域に移ってしまって、自分が選んだ領域とギャップが生じているのではないか。
 またボトムということで、定員割れを起こしているような全入時代の大学院博士課程にまで大学の助成金を配分していく必要があるのか。そのお金をトップの方に回していったり、保証していくことに使えないだろうか。

○ いつの間にか国や政策に都合がいいという発想へ傾いていきがちだが、やはり若者にとって都合がいいという視点で議論をちゃんとやらないと、制度はつくったが子どもたちからはそっぽ向かれるというようなことが起こりかねない。

○ 若い人々の意見は直接何回か入れている。アメリカや海外の比較をして具体的なこともやってきたが、しかしそれが必ずしも今の提言の中に十分に生かされていないのか、それとも提言には生かされていても実施の中に生きていないのか。若い人々にどのように評価されているかを継続的にフォローしていかなければいけない。

○ 韓国は大学院の進学率が高く、GDPの割にものすごく博士のいる国である。ある意味では日本の先を行っているが、就職はやはり厳しく博士が行くべき職場がない。大学の改革は非常に盛んである。しかも、勉強が好きな国民で、朝から晩まで、成人も子どももみんな勉強をしているように見える。ところが韓国からすぐれた技術者、研究者というのがどの程度出て、どのように活躍しているかというと、まだ不十分ではないかと思う。
 そうすると、進学率の問題、博士をつくる、あるいは大学改革をする、留学をする等において日本以上に過激なことをやっている韓国に何かヒントがあるかもしれない。何がきちんとしたアウトプットに結びつけられるのか。核心の「ここを変えたら」というものは何だろうかということが議論できたらよい。

○ 無駄なく選んだ優秀な方たちだけに資金を集中的に投資して、本当に期待するような質の高い研究人材の養成ができるのか。教育に無駄を省くなんていうことは、本質的にできないのではないか。優秀な人だけに集中的に資金を投入するという考え方で本当に私どもが期待しているような世界をリードしていくような人材を育てることになるのだろうか。教育の無駄というのは、無駄と思わずに、その無駄があってこそ優秀な人材が育ったというふうに考えていく必要があるのではないか。

○ ここまでの議論で、本当にその通りと思うことがたくさんあるが、高等教育でどうするかという枠の中で様々なことを提案していっても、もう飽和してしまっていて、高等教育以外のところでどれほど様々なことを訴えていけるかということが鍵だろう。
 未来のことを考えると、少子化と同時に個別化がどんどん進んでいて、昔と違って国民的に一致した目標ができにくくなっているかもしれない。本当に優れた人々が自己実現としてやりたいと思う事柄は、個別化がどんどん進むだろう。若い人にとって科学技術がかつてのように格好いい夢のようにはなっていない。自分の見てきた中で、昔のように研究者・科学者になりたいといった信念を持つ若い人は随分減って、お金のためでなく何かためになることがしたいなど、漠然としている人が増えた。科学技術をやっていく先輩たちの姿を見て、自分たちもあのようになりたいと思うことをどうのようにしてつくるか。

○ この3次にわたる提言や経済産業省の産業構造審議会、産業技術分科会等の提言には、結構いい面が出ていると思う。それで様々な施策は打たれてきているが、実態は本当にどうなっているのだろうか。特に、ポスドク等1万人支援計画ということをやってきたが、その人々は本当に次なる飛躍を図るチャンスがあったのだろうか。ないとしたら、その人はたまたま受け入れ先がなかったのか、あるいは人材上の問題なのかと考えると、大学に入る際に、特別なその段階の手がまだ打たれていないのではないか、そこが大きなメスの入れ方ではないかと思う。その際、優秀な人材を本当に科学技術のコミュニティーが抱えられるかということ、その世界に入っていきたい環境をつくることが大事ではないか。

○ 大学院の問題にしても、やはり分野によるカルチャーというのは異なるところがあるのが大きな問題、懸念事項である。例えば、大学院の修士課程の位置づけというのも、学生にとっての見方は分野によって非常に違う。そこを視野に入れた議論がどうしても必要である。あまり包括的にしてしまうと、個性が失われていくのではないか。

(4)その他

 事務局より次回日程について説明の後、有本科学技術・学術政策局長より挨拶。
 当委員会は、政府全体の中で唯一の、科学技術系人材について初等中等教育からポスドクまで体系的に見られる検討会である。今までの提言がどのように施策として具体化しているかをよくまた整理して提出し、議論していただきたい。
 需給調査については、多分日本で初めてこのような研究者・技術者のものを出したと思う。産業界とも相談をしながら、また4月中旬に経済財政諮問会議から出るおよそ2030年までを見越した21世紀の日本のビジョンは希望的観測も含めてかなり具体的に出るので、それらも反映させながら、さらに研究していきたい。

(以上)

お問合せ先

科学技術・学術政策局基盤政策課

(科学技術・学術政策局基盤政策課)

-- 登録:平成21年以前 --