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人材委員会(第27回) 議事要旨

1.日時

平成16年4月21日(水曜日)14時30分~17時

2.場所

如水会館3階 富士の間

3.議題

  1. 産学官連携を支える人材の育成について
  2. 第三次提言に向けた論点整理について
  3. その他

4.出席者

委員

小林主査、石田委員、大久保委員、小野委員、鳥居委員、鳥井委員、中嶋委員、中津井委員、美馬委員、山野井委員

文部科学省

有本科学技術・学術政策局長、井上科学技術・学術政策局次長、丸山大臣官房審議官(研究振興局担当)、合田高等教育企画課長、川原田振興企画課長、土橋調査調整課長、倉持基盤政策課長、田中研究環境・産業連携課長、川端計画官、平下国際交流官、田口企画官、今井総括上席研究官(科学技術政策研究所)

5.議事要旨

(1)配付資料の確認

 事務局より配付資料の確認。その後、配付資料に関連して質疑あり。主なやりとりは以下の通り。(以下、○は委員、△は事務局)

○ 子ども科学技術白書とはどういうものか。

△ 文部科学省において、平成11年度より、毎年テーマを決めて子どもたち、特に小学校高学年を対象にわかりやすく漫画でストーリーを作っているシリーズ。今回配布したのは、その最新のもので、ナノテクのもの。昨年までに、宇宙やライフサイエンスをテーマにしたものがある。

(2)関連調査結果の報告

 今井総括上席研究官(科学技術政策研究所)より、資料1に基づき説明の後、質疑。主なやりとりは以下の通り。

○ この調査結果は、当委員会の第1次、第2次提言で議論して出た意見とほぼ一致する。この調査は、子供の時からやるのが重要な要素ではないか。

△ 政策的に常に研究者を厳しい環境に置くということがなされている。しかし、研究者が自然にやる気をもって厳しい環境に行くということもないとバランスがとれないのではないか。

○ まとめの3点は、アンケート調査から自然に浮かび上がってきた点なのか。

△ 調査結果の中から我々が特に大事だと感じたことを記載した。他にも、主観的かもしれないがインパクトがあり強調したい部分を記載している。

○ 「我々」とはどういう人か。

△ 私の研究グループの他、有識者の研究会を開いていて、東大の先生方やいろんな方に集まってもらい、まとめ方について可否を聞いている。

○ 4ページのポイントの「武者修行」について、武者修行を行うことはいいことだと思うが、海外に行ったきり帰ってこなくなった人もいるのではないか。海外での受入状態がよくて日本に帰る気がなくなってしまったという人もいるのではないか。帰ってくる人の受入態勢を整えるのが必要だと言う声は出ているのか。

△ 出ている。例えば、日本とアメリカで人が動くことに関して、大学での受入体制が違うといったことがある。また、日本の公募情報がよくわからないとか、公募に出しても、形式公募でなかなか受け入れてもらえないという回答が出ていた。

○ 第1次、第2次提言の時は、海外が良くて居ついてしまうとか、ある程度時間が経って帰国しようという時に日本の受入体制が悪かったので残ってしまったという意見があった。むしろ海外の出た先が本当に積極的な意味で良いから残ったというのならまだいいけれど、いわゆる帰国子女に似た取扱いがかなりあるという意見が第1次提言の時に随分出た。最近の調査についても、いろいろなコメントを見ると、その辺の体制はまだ変わっていないという感じがする。もう少し具体的に、セカンダリーアクションとして考えてもいいのかもしれない。

○ 一流の研究者に任期を付けるのは無意味と言った声があると書かれている。任期制というのは絶対必要だということが様々なところで言われているが、実は任期を付けることによって、長期的な課題に取り組まなくなる傾向があるので、この意見はよくわかる。特に真剣に受け止めておきたい。

 引き続き土橋調査調整課長より、資料2に基づき説明の後、質疑。主なやりとりは以下の通り。

○ ニュースや話題への関心の有無の性別について、女性の場合は平成10年まで徐々に上がっているのに、16年になると落ち込むのはなぜか。

△ 理由はわからない。女性の中では主婦層も対象にしているが、主婦層はかなり落ちている。科学技術政策研究所や理解増進活動に直接携わっている人から話を聞いて、原因とまではいかなくても、どういう認識をしたら良いのかということをつかんでいきたい。

○ 平成12年から14年くらいは、ノーベル賞などがあり、国民的関心が高まったのではないか。しかし今年の1月などは、国民の関心としては、科学技術以外に心配なことがたくさんあり、男女とも関心度合いが減っている。調査途中の様々な出来事、イベント、科学技術に絡む問題、それ以外のものに国民の関心が高まるといったことが比例しているのではないか。

○ 1ページ目の「科学技術に関する知識はわかりやすく説明されれば大抵の人は理解できるか」という問いに対し、「わかりやすく説明されれば大抵の人は理解できる」と答えた人が50%を越えている。また、2ページ目の「話を聞いてみたいとは思わない理由」に対し、「専門的すぎてわからないから」と答えた人が前回の調査より減っている。こうした点についてどのように解釈しているのか。非常にわかりやすい説明ができる人が増えているということか。

△ 最初の問いは、今回初めて聞いているので、個人に聞くとある程度理解できると答えたのは、割と多いのではないか。2ページ目の問いについて、これは内閣府の分析であるが、今回これだけ大きく減ったのはなぜかわからない。そもそも科学技術への関心が全体として下がっていて、そちらの選択肢に回答が流れたのかもしれない。

○ 例えば半導体の集積路が伸びている時はみんなが着目したが、当たり前になってしまった。遺伝子でも初めてタンパク質が理解できた時は非常に興味を持ったが、いろいろなことがわかってくると、最後まで読む気もせず、「あ、またか。」という印象で、科学技術の成果に新鮮味がなくなってきているというのが、関心が下がっている理由ではないか。いわゆるブレークスルー的な発見などが余り起こっていないということではないか。

○ 相対的にいろいろなものに慣れてきてしまっていて、絶対的な印象や価値、感激性が薄れてきていると思う。

△ 我々もこんなに下がったのは驚いているので、更に分析したい。国際的には、EUの調査においてイギリスでも下がっている。アメリカは大きく下がっているということはないが、やはり関心が落ちているという話も聞くので、そうした動向も見極めながら、更に研究をしてみたい。
 また、先程も話があったが、子ども科学技術白書について、こちらは子どもにもわかりやすい科学技術白書をという指摘を受けて作成したものだが、若者の科学技術離れ対策に役立てたと思う。10万部作成し、全国の全ての小学校、あるいは科学館に配布しており、美馬委員にも白書の編集委員に加わっていただいている。更に体系的な取組みが必要かも知れないが、こういったことも進めながら、科学技術離れへの対応を図っていきたい。

○ 今までのシリーズ1から5のおかげで、非常によくなったのか、関心がどうなったのかといったフォローはどうなっているのか。

△ アンケート調査葉書が付いていて、こうしたところからカスタマーズ・サティスファクションを探ろうと思っている。しかし、必ずしも十分ではなくて、編集委員会の方でも実際これがどう使われていて、どれだけの効果があるのかといった点について、具体的にどういう意見があるのか、本当に有効なのか、あるいは何が問題なのかといったところを調べてみたらどうかという意見が出ている。

○ 第1回編集委員会からずっと関わってきているので、そうした声について、知りうる範囲で報告させていただく。読んだ人には、かなり評判はよい。この漫画と言う媒体について、私は最初懐疑的であったが、良いという評判が多い。小学校高学年を対象にして子ども向けに書かれているのだが、ストーリー性を持たせているのでそれぞれのレベルに応じて理解可能であり、興味を持つきっかけになるということがある。ライフサイエンスの白書については、大学の教養課程で教科書として利用したいという声が実際あったと聞いている。大人が「ナノテク」といった時にも15分くらいで手軽に全体像をある程度理解できるというのも利点の一つである。配り方については、これを売ったらどうかという話もあり、実際に売られている。ところが売り方に問題があり、政府の刊行物として白書のコーナーに置かれるために、誰も手に取らないということがある。さらに、図書館に配っていて「どういう形で置いているか」ということを調査したところ、「漫画だから表に出さない」と答えた公立図書館があるというのが現状である。

△ 大きな書店でも置いている。厚さが薄いので、縦に置くとなかなかわからないので、もう少し工夫は必要と認識している。初等中等教育局とも相談しながら、理科の先生が集まる機会などで宣伝などしてもらい、副読本や教材の一部として使ってもらうことを行っていけば広がりができるかと思う。

○ 全体の調査を含めて言うと、やはり社会全体の流れというのは非常に大事であって、是非この5年おきの調査で、社会現象は何であったか、総体的な社会的関心はどうであったかということも分析して欲しい。簡単ではないであろうが、関係機関を利用してでも、是非そのようにしていただきたい。子ども科学技術白書についても、効果をきちんと把握するために、比較的多く配布されている地域とそうでない地域、社会全体のレスポンスを把握して欲しい。

(3)産学官連携を支える人材の育成について(議題1)

 田中研究環境・産業連携課長より、資料3-1、3-2に基づき説明の後、意見交換。主なやりとりは以下のとおり。

○ 産学官連携というとベンチャーということに直結してしまう可能性があるが、失敗した場合には多くを失うことも想定されるのは事実。学生や若い先生に責任を負う立場にいると、おもしろそうな研究成果が出てきたからといって、ベンチャーに直結させると責任がとれない場合がある。起業のための講義には、単位にならないようなものでも極めて多数の学生が参加するので、インセンティブは十分に与えていると思う。しかし、最後の一歩は踏み出せないし、組織の長としても踏み出させる責任が持てない。
 シリコンバレーのように、新しいものを作る時のノウハウを持っている人達が周りにいるのであればよいが、我が国にはノウハウを持っている人がいないので、聞こうとしても、なかなかあるところから前に進まない。
 産学連携即ベンチャーではなく、産学連携からNGOでもよいのではないか。また、成果が期待される場合は、学生は、大学発と言わないけれども、気が付いたら小さな会社を持っているということがある。

○ 「産学官連携」の「官」とは何か。

△ 公的研究機関。従前国立研究機関であったものはほとんど独立行政法人になっており、その場合は公的研究機関と言っている。公的研究機関というのは、国がほとんどサポートしている研究機関を官の一種としてみている。さらに、行政すなわち産学の連携を推進する方の主体も官に入ってくる。

○ コンセプトの枠組みをきちんと整理しておかないといけないのではないか。国立大も官の範疇に入るのか、法律とか仕組み作りの官の役割などをきちんと整理しておくべき。産学官というのは、英語では何というのか。

△ PUBLIC AND PRIVATE SECTOR RELATIONSHIP。PUBLICとPLIVATEの連携をうまくするということ。

○ 官は仕組みの面と公立、国立関係の研究機関が入るということか。

△ そのとおり。

○ 国立大学は法人化したけれども、従前と同じように国から運営費交付金をもらっていて、なかなか意識改革ができていない。公立大学法人も同じ。スタートして間もないので、意識の変換は急には無理だと思うが、限りなくPRIVATIZATIONが進んでいく時代に対応するような心構えをしていかないと、何年経っても従来と変わらないであろう。

○ 産学連携の企業側のメリットは、自前主義からの脱却。欧米の企業は産学連携を積極的に進めている。一方、大学のメリットはどういうことか。大学には大学としての使命があり、産学連携の中で企業はどう考えていくべきか。時間軸で「短中長」で考えるのがよいのではないか。「短」は企業側の問題で、現在まで大学が蓄積しているTLOや機関所属になってきている知見を企業がどうピックアップしていくか。「中」というのは新しい領域に必要になる基礎的研究で、5年ないし7年くらい先に芽が出てくるテーマを考えて大学とコンタクトする企業側の考え方。これは企業側の問題だが、どういう方向に進めるのか、そのためにはどういう基礎的研究が必要なのかということを考え、それが大学のメリットにもなるのだという構図が必要である。「長」は大学のミッションである基礎研究。「短」の対象のTLOを中心に現在大学の持っている知的財産については、研究のスタートが産業を考えた上でやっているわけではないので、残念ながら非情に需要が少ない。お互いに相当のコンタクトをとらなければうまくいかないケースが多い。今後更に共有化を図るために人材、すなわち大学の人が企業に、企業の人が大学にくるという双方向の人材交流が必要。
 また、大学の先生も、多くの教え子を企業に出しているが、あまり企業側の必要性、問題、特徴をご存知ないのではないか。また、人材面では、若者に対しては、将来に向かってインターンシップを企業としても是非拡大して進めたい。

○ 科学技術ばかりでなく、いろいろなことで日本の場合は人材交流がまだまだ足りないのではないか。連携のための人材ということよりも、むしろこうしたことがされていれば、結果的に連携そのものを活発にしていくのではないか。

○ 「産学官」は、「産学公」にすべきではないか。特に地域の産業を興すためには、県とか市がかなり努力している。
 ベンチャーの危険性ということでは、危険性を分散できるようなある程度お金を持った新しい企業がベンチャーをサポートするようなチャレンジングな金融機関があるとよい。目利きなど一人がいろいろできないから、組織的な会社をつくって、目利きが利益に繋がる、いいものを生み出せば少なくとも1ないし3割は成功するというようなある程度の財政基盤がないとチャレンジングなのは出てこない。もうけにつながるという仕組みを作った上で、そういう新しい会社を興して、産と学を結びつける、いろいろな分野で人材を発掘していく。それが明らかに利益につながるということになれば、活力が生まれてくるのだから、スタートを少し支援すべき。定年後の先生なども活用すべき。個人一人一人では、あらゆる分野の企業と大学を結ぶというのは難しいが、学の持っているその分野の専門家の人的ネットワークを生かして新しい企業を作っていくことも必要ではないか。

○ 資料のデータから計算すると、受託研究金額を単純に件数で割ると30万か40万になり、極めて小さいことになるが、実際はそんなことはないと思う。国立大学ゆえに法的に研究に対する支援が出ているのか、そういった構造をもう少し説明して欲しい。

△ 共同研究で支えているものの大半は、国が進めているプロジェクトを産業界が大学と一緒にやっていくというものである。24億円というのは、産業界が自らの経費を持ってきて大学に研究投資する経費、純粋に産業界の経費として入ってくるもの。単に割るということは必ずしもできない。産学官連携の件数も増えているが、それを支えているのは、今のところ、国のいろいろなプログラムで共同研究のための支援プログラムやプロジェクト経費で牽引して進めている。

○ 海外の大学との共同研究からすると、桁が違う部分があり、まだまだという感じがする。しかし急激に日本の大学と共同研究する部分が増えており、企業もメリットがあるから大学と共同研究をやっている。科学技術立国のテーマに沿って、官などで予算などの部分でバックアップしてもらえるのであれば、産業界にも非常にメリットが出てくる。インターンシップについては、本来最先端のところが一番勉強になるだろうが、企業側の本音では受入れられないところがあって、次善策みたいなところで受け入れているのが現状である。現場の声としては、これから乗り越えなければならない課題であると思っている。

○ 日本の産学連携が進まないのは大学が悪いとずっと言われてきたわけだが、日本の産業も非常に悪い。産業人のメンタリティーをもう少し明らかにして、お互いに変わっていかないといけないだろう。しかし、企業側の問題点というのが明らかになってきていない。それから、大学のメリットというのは、実際に物をつくるとかそういったことを経験することによって、また新たな学術研究のテーマが発掘されることであろう。大学の最大のメリットは本来そこにあるが、そういうメカニズムになっていない。問題が大学の先生方にフィードバックされるようになっていないのかもしれない。
 さらに、特許が大学の帰属になるが、一つ基本的な特許を出せばオープンになり、周りを全部抑えられたらどうにもならない。産業界と一緒にやっていくとき、それは最大の辛さではないか。

(4)第三次提言に向けた論点整理について(議題2)

 倉持基盤政策課長より、資料4-1、4-2に基づき説明の後、意見交換。主なやりとりは以下のとおり。

○ これまでに提言した内容の組み替え部分と新たに提言する部分を色分けするなりして、新たに提言する部分を強調し明確にした方が良いのではないか。また、これまでの提言を踏まえて、そこで言わなかったことを強調しておくことが大事であり、整理の仕方としても組替えで表題をつけるというこが大事なのではないか。同時に、こでまでの提言で言わなかったことのどんな部分を強調するのかということも明確にするべき。

○ 科学技術活動や知的活動そのものを対象に研究している評価者や政策立案者などは、自らの経験で政策提言なりしているが、非常に特殊な研究をしているのではない。欧米などではそれが独立した技術の分野としてある。もう少しそうした人材を育て活用していくことを考えていく必要があるのではないか。また、社会学から科学技術の分野に入ってくるケースもあるが、科学技術そのものについての知識に欠けているところがあり、専門にこうした人材をプールしておくようなプロセスが必要。全体として科学技術活動そのものをインプルーブしていくところがやや弱い感じがする。

○ 学士、修士、博士、ポスドクとランクが上がるにつれて専門性は深まるが、どのランクにも共通に必要なものとして多様性がある。多様性を高めるという意味で、どのような技術分野にも共通して必要な部分があり、一方で、その上に専門性をどのように教育していくかという問題がある。インターンシップについても、アカデミアの研究者になる人も、そうした経験を踏まえた上でアカデミアの世界で基礎的な研究をして欲しいし、企業のようなテーマについて研究した上で、アカデミアの世界に進むことも良いのではないか。また、専門性が高まるに従って、例えばコミュニケーターなどの専門性をどのように教育していくか、多様性とどのように組み合わせていくかも重要。

○ 人材交流が重要。学生を超えた部分でも必要。教員の資質向上については、基本的な視点というところに入ってくるものであろう。小学校、中学校、高等学校、大学、大学院、社会人に至るまでの一貫した人材育成は必要であり、各時期における教師の役割が重要であって、その重要性が一貫して入ってくるのではないか。改革の基本的視点として、各時期において教員の役割が重要としてはどうか。

○ 産学官連携、多くの分野の人が協力する際、特に技術系の専門分野において、それぞれ言語が必ずしも統一されていないという基本的な弱さがある。お互いの情報交換の手段としての言語が極めて多様化しており、学問分野同士の連携を深めることにも障害になっているとともに、セクター別にも同じような問題があり、非常に隘路になっていると思う。
 特に比較的若いときから将来の科学技術を支え、担う人材、若い人達に対して理科好きの子をつくる、あるいは数学が嫌いの子をつくらないということが重要。特に、数学については演算目的をきちんと伝えるなど、プロセスをきちんと伝えることが非常に大事。
 いろいろな分野でそれぞれが異なった言語空間に生活しているために全体の連携がうまくいかない。民間企業と大学の間もそのようなことではないか。もう少し全体に調整のとれたもので、意思疎通が楽な言語体系を構築することが極めて大事ではないか。全体として産学官連携を促進する基盤のようなものを考えた方がいいのではないか。

○ この委員会の当初の提案は、世界トップレベルの人材育成ということだった。第二次提言になり、国際競争力向上のための研究人材の育成というようにテーマが推移してきた。第3次提言になり、科学技術に特化し、少し門戸が狭くなり非常にセペシフィックな提言になるような気がする。もちろん科学技術など大事だと思うが、もっと広いリベラルアーツや外国語の運用能力を含めた人材について考えることが当初の趣旨。人文社会科学などは、非常に多くの問題があり、ちょっと付け足すような話ではないので、全体の方向性としてはこれで良いと思うが、提言である以上、それが広く読まれ、実際に活用されることが重要。そもそも第何次提言まで出すのか、第3次で終わるのなら、もう一遍門戸を開くようなことが必要かもしれない。

○ 必ずしも第3次提言では社会科学などを除いて自然科学に特化しようと決めたとは思っていないし、また必ずしもそういった議論をしているつもりもない。本委員会のもともとのスタートは、まさに世界に通用するトップレベル。非常に高いレベルの研究者を育てる中で、その人に対する教授とか教育の密度が薄く、レベルの高い先生をもとめてポテンシャルの高い人は外に出てしまう。出たらそちらの方が良いということでそのまま残ってしまったり、帰るつもりでいたのに、受入体制がなかったりする。その辺は具体的に詰めて、日本として体制や状況が良くなっていないかを考えるべき。特に博士課程については、経済界に入ったときに期待が一致せず、本人としても博士課程まで学んだのに自分の能力が生かせない、企業としても博士課程を出てきた人たちは応用能力がないという印象。この辺は具体的な施策につながらないまま残っていると思う。
 同時に、研究者はいろいろと雑用があり研究に専念できないということで、サポート人材を専門的な能力や資格を含めて、非常に重要な役割を果たすという意味で評価していかなければならない。第2次提言ではそういったことはかなり評価されたし、多様性についても、女性の問題、福祉の問題などがあり、もっと評価していかなければならない。
 一方、本当に高いレベルでの研究意識というのは、専門分野だけに特化するのでなく、かなり広い教養などを持つことが必要。すべての人がそうなるかどうかは別としてリベラルアーツの重要性もかなり強調されており、博士課程に入ってからという性格のものではないとの指摘がなされてきた。具体的な施策は十分か考えなければならない一方で、リベラルアーツが重要と言いつつも、企業は依然として専門技術に特化した人を求めており、企業側の体制としても考えなければいけない気がする。
 また、社会的な空気を初等中等教育や社会一般の関心も含めて大きくしていかなければならない。木の絵も、もう少し大きく根が張っているようにするべき。知の創造、知の活用、その中で一体的に初等中等教育から特に高等教育に至るまで教育は重要。自然科学の分野で非常に高いところを極めることを目指している人たちも、リベラルアーツなどは非常に重要な部分として提言に含んでいくことはできるのではないか。対話型について、例えば総合的な学習の時間というのはまさにこういったものを養う一つの場。しかも日常生活との関連で、科学技術など実際に学校で習うものをを学生が身近に体験していくこととしてはかなり有効ではないか。産学共同あるいは産の知見というものはこうしたところにも有効である。それを高めるためにはどんな工夫が必要か。一般に言う学力、意味のある学力とか、そういうものに通じるものとして評価していかなければならないし、盛り込んでいくこともできるのではないか。

○ 知の創造、知を広げてどう活用していくことに加え、3番目としては、「社会全体の知を高めていくこと」ではないか。その中身が対話型、インターラクティブな体制の社会へもっと広げていくということ。また、「産学官の連携を支える人材」、「将来の科学技術を支え、次代を担う人材」とあるが、「支える」というのはサポートするという意味なのだろうけれども、トップレベルでなく、第二次、第三次といった感じがするため、「推進する」、「進める」とかが適当な表現ではないか。

○ 年々科学技術に対する関心が非常に薄まってきている。子どもたちを含め、好奇心とか動機付けをいかに付与するかという意味で、スタートラインが大事。これから知の創造をするような人とか、それを実際に産業界などで活用して社会に還元することも大事で、いろいろ手が打たれつつあるが、その分母をつくるため、第一線にいる人や名を遂げた人が戻ってきて対話なり情報発信なりして、若者に対して科学技術に関心を持たせ、役割の重要性を知らしめていくことが非常に重要。対話型も一つかもしれないが、もう少し大きくとらえるべきではないか。

○ 科学技術と社会というのは、これから「共進化」していかなければならないと思う。共に進化していかなければならない。科学技術の進化は、どういう社会の中でそれが進化したかが非常に大きな影響を受け、逆に、科学技術の世界は社会にものすごく大きな影響を与える。共進化というものをどうやっていくか、非常に良いインターラクションがあることが極めて大事であり、その名を遂げた人が人々に知恵を与えるといった一方通行の議論から、なるべく共進化のメカニズムへ持ち込めればと思う。対話型というのはそれを表現できていると思う。

○ 国際的トップ人材を、社会のための、社会の中の科学技術のための人材ということでいえば、流動性とか広いリベラルアーツも、社会に向けての人材がよりもっと必要なので、非常に基本的なところを最初にまとめて取り上げても良いのではないか。
 また、産学官連携を支える人材というのはMOTのことのみを言っているように思えるが、産学官を融合するようなことを推進することは、結果として新産業の創造ということにもなる。都道府県レベルでは、大学とも競合していくことは新創造ということでなくても、様々なことで融合できる。一方で地元貢献ということを第一にうたう国立大学が多く、地元で産学官が進められており、こうしたことを含めて人材を考えても良いのではないか。

○ 対話型について、科学技術を担う者とそれ以外の者というのは、二元論的すぎるのではないか。共進化も含めて表現を工夫すれば、新しい基軸を打ち出せるのではないかという感じがする。

△ 先程、この委員会での報告をいつまでやるのか、あるいはまとめをどうするかという質問があったが、われわれの希望としては今年の夏までにはある種のまとめをいただきたい。これを第3次提言とするのか、あるいは最終提言とするのかはいろいろと検討が必要。人材というのはこの委員会でも、総合科学技術会議でも重要性が非常に強く言われており、多様性や横軸を切ったような話を入れてまとめてもらいたい。

○ 対話型ということに関して、研究する人がいて、それを育てる人やサポートする人、それらが対話するとなると、やや二元論的というか三元論的すぎるのではないか。例えば、交流型として、あるときは自分が研究する人で、あるときはそれを自分が育てる人になるかもしれない、それをサポートする側になるかもしれないし、そういったところでうまく回転するような仕組みが必要ではないか。

△ 人材というのは非常に多様な施策が展開していてバロック的にどんどん違いが出ているので、一旦全体像を見定めて整理した後、17年度の施策なり、第3期科学技術基本計画といった次の展開に反映させたい。提言をとりまとめた後、この委員会をどうするかはまた別の議論が必要なことと思う。

(5)その他

 事務局より、資料5に基づき総合科学技術会議科学技術関係人材専門調査会における審議状況について報告。次回日程について説明の後、閉会。

(以上)

お問合せ先

科学技術・学術政策局基盤政策課

(科学技術・学術政策局基盤政策課)

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