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人材委員会(第5回) 議事要旨

1.日時

平成14年4月4日(木曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省別館 第5、6会議室

3.議題

  1. 総会(第5回)への審議状況報告について
  2. ドクターの企業への就職について
  3. 大学院博士課程の改善について

4.出席者

委員

 小林主査、郷委員、佐藤委員、所委員、鳥居委員、鳥井委員、中嶋委員、中津井委員、似田貝委員、吉田委員、藤野委員、山野井委員

文部科学省

 山元科学技術・学術政策局長、井上科学技術・学術政策局次長、坂田官房審議官(研究振興局担当)、尾山政策課長、泉振興企画課長、板東高等教育企画課長、土屋基盤政策課長、安部調査調整課長、伊藤計画官、渡辺科学技術・学術政策局企画官他

5.議事要旨

(1)総会(第5回)への審議状況報告について(自由討議)

 資料3、4に沿って、事務局から説明。

(2)ドクターの企業への就職について(自由討議)

 資料5、6、追加資料に沿って事務局から説明。主なやり取りは以下のとおり。(○は委員、△ は事務局の発言。)

○ 博士の企業への就職方法の改善策(資料6)は、文系・理系で事情が異なるので一概には論ぜられないのではないか。

○ 過去3年は企業が就職を減らした時期であり、アンケートの分析には注意を要する。自分の会社では、ドクターとマスターを区別せず、大学の先生との関係で入ってくる人とインターネットでの申し込みをする人を一緒に採用テスト、面接をして採用している。多いときは100人、現在は50人ほど採用し、ドクターとマスターは半分ずつ位になっている。

○ 自分の会社では、かなり昔からインターネットでの応募を受け付けており、すでに資料6の将来図のようになっている。応募があると、専門がマッチする部門で採用を検討する。毎年2~3%がドクターである。
 大学と企業の間の総合的な人材交流をもっと深めるという視点も必要である。大学、企業間の人材交流は少なく、トップのほうに障壁があると学生に動けというのは難しい。全体的に意識を変えていく必要がある。

○ 自分の会社の場合は、ホームページを通じる場合と、大学を訪問する場合の二本立てになっており、マスターとドクターを分けていない。企業側は、マスターとドクターを区別して、どういう分野の人を何人位採用予定ということを明確に出す必要がある。
 一方、もともと博士課程に進む人は、企業を念頭に置いていないのではないか。ドクター学生に、大学と企業とどう違うのかということを、頭ではなくある程度体感的に知ってもらうため、企業がドクターに奨学金を出し研究を行ってもらうことなどが必要ではないか。

○ ドクターに対する評価のアンケートでは、企業にドクターに関する情報が不足していることがわかる。また、現場で経験することで意識が変わることも多いので、インターンシップなどをしていく制度があれば刺激になるのではないか。

○ ドクターに対する評価のアンケートについては、採用していない企業ではなく、採用している企業がなぜそれ以上博士を採らないで修士をたくさん採るのかというデータが必要である。自分の会社でも実際にドクターを採りたいと思うが、最終的には過半数が修士になる。どうして、企業がドクターを採用しないのかの本質を明らかにする必要がある。

○ インターン制度の逆になるが、自分の大学の研究室では企業からの受託研究員がおり、大学の研究室内で企業の情報がよく分かり、大学院生の企業への就職意識に影響が出ている。

○ 大学には高性能な機器があるなど、企業にとっても大学に人を派遣することは意義がある。また、アメリカでは、学会の場で企業がドクターを対象に採用活動をしているが、日本の学会はそういうことをしない。

○ ドクターといっても英語の論文が書けない人もおり、その質は学んだ先生に依るところが大きいため、企業としては採用に当たり先生をチェックすることとなる。大学側でも教育の質を高めてもらいたい。

○ アメリカでは大学院の宿題の量も多く、教師も学生も真剣勝負である。Ph.D.を採れば評価も高く就職も確保される。さらに、教員になるためにはテニュア制で競争の訓練がなされる。日本の場合は、大学院教育の高等教育政策における位置付けが不明確なままで大学院重点化を行い、人数が多くなり質が落ちた。人文社会系では優秀な学生はアメリカの大学院に流出しており、日本の大学院が空洞化している。日本の大学院について、本格的に見直していかなければならない。

○ マスターもドクターも、企業に就職してある年限が経つと、スペシャリストとジェネラリストのどちらに向いているのかというポイントが必ず来る。ドクターの場合は、スペシャリストに偏る人が非常に多い。ドクターに期待しているのは本質を見抜く物の見方であり、経営にも向いているという人が出てくることを期待しているが、現状ではマスターに比べてもそうしたタイプが少ない。

○ 求人・求職の情報がお互いに伝わりあうことは、非常に重要なことである。

○ 企業がドクターを採らないのは、ドクターまで行く人は大学の研究者になるということしか考えていないという人が多いためで、社会性のない人が博士課程に残っている率が高く、結果として企業がマスターとドクターを区別せず面接した場合には落ちてしまう。専門性がマスターに比べて極めて高く、年令にふさわしい社会性を持っていれば企業も採用する。

○ 博士学生に対して、企業においてもどういう方向に自分の専門性を生かせるかといった情報を早期に与える必要がある。企業と大学の連携を密にすることによって、より広い視点を持たせていくことを、双方でしていく必要がある。

○ 就職の状況を見ると、企業はマスターを、むしろ学部生と同じように考えているのではないか。ドクターの場合は、成果、実績があるので、マスターとドクターの区別はどこかでしているのではないか。

○ ドクターは本来自分で問題を設定して、独立にそれを解決できるはずであるが、残念ながら実際にはそういう人は少ないから採用数が減る。その理由としては、教授や助教授が自分の研究テーマの一部を分担して研究させる指導の方法があげられる。

○ ドクターをある程度採用している企業に対して調査を行い、現状と問題点などをまとめてはどうか。

△ 調査については実施したい。

○ 官庁においても、Ph.D.を持っている人が少ない。米国では、国務省などには、Ph.D.を持っている職員がざらにいる。日本も今後国際競争力を持つために、官庁がPh.D.を持っている人を採用することが必要ではないか。

○ 就職広報等も改善はかなりされているが、規模の小さいところでは遅れているところもあり、情報の中身が求職者のニーズに合っていないところもある。

○ 博士とは「絶対的な正解が存在しない、未知で困難な問題を自ら見つけて最適な解を見いだす冒険心と能力を有する人」ではないか。日本の企業は厳しい減点主義で欧米の後追い主義であり、正しい答えを早く見つければ良く、本当の意味の博士を必要としていない面がある。企業は本当にこのような人を必要としないでいいのかについて考えるべきである。同時に、大学においては、博士をどのようなレベルの人に与えるべきか品質保証の観点から考えるべきである。

(3)大学院博士課程の改善について

 資料7に沿って事務局から説明。主なやり取りは以下のとおり。

○ 多様な教育には多様な人材が必要であるが、大学教員の給料が縛られるなど公務員法の規定が大きな障害になっている。法人化するときには、そうした規制をなくす必要がある。

○ 大学院の目的は大学を中心とした研究者養成のみであったのを、設置基準の改正で高度の専門人養成という目的を付け加えたが、依然として研究者養成中心になっている。職業人養成の観点から、ロースクールやメディカルスクールのように専門学位を充実していくことが効果的かもしれない。分野によって事情は異なり、工学系にはなじまないかもしれないが、そうした学位を作ることによって、そのカリキュラムの確立を図る方法もあるのではないか。

○ 大学教員においては、ドクターの学生を研究の手助けとして使い、教育がなされていないことが問題。また、博士の学位は自分でテーマを見つけてテーマについてある程度やっていけそうだというときに出すべきだが、文系では厳密に見過ぎていてドクターを出すのが遅すぎる。

○ 多様性という観点では、生命科学などにおいても文理融合は有効である。

○ 中教審の大学院部会では、専門職大学院の可能性を検討中であるが、専門職大学院がうまくいけば、教育の問題もかなり解決し、従来の研究者養成を中心とするアカデミックな大学院の持っている問題をある程度克服できると思う。

○ 本当の意味での高いレベルの人を育てていく教育がないがしろになっているのではないかとの危惧がある。

○ 研究に必要な支援人材が少ないため、大学院生が研究の手伝いをし、教育面がおろそかになっている。研究者を養成するためのカリキュラムが必要であるとともに、研究スタッフを大学院の学生からポスドクに移すことが必要である。

○ 多様性の育成のためには、ダブルメジャーやメジャーマイナーが一番良い方法である。幅の広さや研究手法を手に入れることが大学院の一番重要なポイントであるが、現在は、1人の先生が抱え込んでしまって、場合によるとインブリーディングまでやってしまう。若いうちに、数名の優れた指導者に出会い、全然違う種類の人がいるということがわかった上で、自分が一番共感する人と仕事を続けていくことが、研究の幅の広さと研究手法を手に入れる上で重要である。ダブルメジャーなどにより、教員の側を含め、かなりの意識改革ができていくと思う。

○ 大学院教育の改善のためには、教員が研究でしか評価されず、教育とかアカデミック・アドミニストレーションが評価されないという構造そのものを変えなければいけない。

○ 異なる領域と出会いと、そこでのコミュニケーションは決定的に重要であるが、今の大学のやり方はとても臆病である。ダブルメジャー、メジャーマイナーをするためには教育組織そのものを開放する必要があり、そのためにはリーダーシップがある大学改革、教員の意識を変えていくことが必要である。

○ ドクター課程における評価において、論文ができるかどうかだけではなく、研究に取り組む姿勢、どこまで進んだかということを評価できる仕組みを取り入れるべきである。インブリーディングついては、例えば助教授になる場合は3ヵ所別のところを回ることを条件にするようなことを大学で自主的に決めれば自然に解消するのではないか。

○ 若い研究者は、大学の先生とうまくいかないとディスカレッジされてしまうなど、アカデミックハラスメントのような問題がたくさんある。独法化はいい機会であり、大学にももっと企業的な競争の原則を導入する必要がある。

○ 助手の時期から講義をできるようにすべきだということについては、大学院重点化になって助手が少なくなっている現状では助手の負担になり難しいのではないか。

○ ドクターを出たらすぐに期待するというよりも、ポスドク期間の成長が非常に重要であり、この期間を大事にすべきである。現在のポスドク制度は結構多額の給料を出しているが、魅力のある先生のところであれば安い手当でも働きたいということがあってよく、ポスドクの手当について先生側の裁量に任せる方がよいのではないか。それによって教員側の質も高まるのではないか。

○ 企業で必要とされる研究に合わせるためには、インターディシプリナリーな研究に次々と対応していかなければならないが、あまり広く浅くというのでは後で役に立たないのではないか。メジャーに加えたマイナーという方がうまく機能していくのではないか。

○ 豊田工業大学は博士課程の部分をアメリカに設け、博士課程の学生を2、3年間送ると形でスタートさせると聞いている。研究費の配分、奨学金等の在り方を含め、アメリカの大学のいいところをやるという方法もあるかと思う。

○ 国立大学の独法化の報告では、基本的にはできるような最大公約数的なものを高いレベルで提示したと思うが、今までと変わらないように解釈しようと思えばできる余地も残っている。大学の自治・自立性、あるいは学内コンセンサスといった前提による限界もあり懸念される。

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科学技術・学術政策局政策課

(科学技術・学術政策局政策課)

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