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人材委員会(第2回) 議事要旨

1.日時

2002年1月23日(水曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省別館10階 第5、6会議室

3.議題

  1. 人材の養成・確保について
  2. その他

4.出席者

委員

 阿部会長、小林主査、安西主査代理、岸委員、小平委員、郷委員、佐藤委員、所委員、鳥居委員、鳥井委員、中嶋委員、似田貝委員、野依委員、藤野委員

文部科学省

 山元科学技術・学術政策局長、井上科学技術・学術政策局次長、坂田官房審議官(研究振興局担当)、磯田政策課長、泉振興企画課長、坂東高等教育企画課長、安部調査調整課長、川上計画官、渡辺科学技術・学術政策局企画官、秋葉高等教育局企画官、小嶋科学技術政策研究所総括上席研究官

5.議事要旨

(1)人材の養成・確保について(自由討議)

 資料3に沿って、事務局から説明の後、自由討議となった。主な議論は、以下のとおり。(○:委員 △:事務局等)

○ 大学院生の教育は、早い時期に専門教育に入ることによって専門領域が狭くならないことが、非常に大事なことである。プロジェクト研究のためにデータ収集に追われ、じっくり自分のアイデアを育むゆとりがなくなっているのではないか。大学院生がもっと自分の発想で研究できるよう、例えば院生に直接100万円の研究費をつけるなど、研究費の配分について検討すべきである。
 また、女性研究者については、特別研究員の育児期間措置等の具体的施策を検討する必要がある。

○ 若手研究者養成の議論の際には、厳しく育てるだけでなく経済面を含む生活面も考える必要である。若手研究者を厳しく育てるだけでは済まないことに留意する必要がある。
 また、大学、大学院の修業年限を4、2、3年というシステムよりも3、3、3年のシステムが良いのではないか。多様な人材育成のためにどのようなシステムが必要かを検討する必要がある。

○ 大学の役割として、教育と研究が両輪であると言われるが、一番大事なことは教育であるということを教官自身が意識改革することが必要である。大学の4年間は国内レベルで優れていれば良いが、大学院の教育水準はグローバル・スタンダードでなければならない。また、量よりも質の向上、維持を目指すべきであり、その意味で人材の流動化が必要である。

○ 日本は研究者が流動しにくい国である。異なる組織を経てきた人材が求められるのであって、人材が流動化する制度をきちんと整えるべき。
 資料5に沿って大学、大学院の現状について事務局から報告。加えて、博士課程の専門性の範囲が狭いとの意見に対応して、複数の教員による指導体制をとったり、一定の単位の習得をコースワークとして課したりする改革を行っている大学がある旨説明。引き続き、議論のたたき台として、資料6に基づき、目指すべき研究者、技術者像について事務局から説明。

○ 資料6にあることはもっともである。問題は一体誰が教育するかということである。大学に本当の意味での学者がいない現状は憂慮すべきである。今の教官は教育労働者ないし研究労働者になってしまっている。本来は立派な賢者たる学者が学生を教育し、志を植え付けることが重要であり、今後中堅の教官にどのように使命感を持たせるかが課題である。その際、人事上の解決策として、相対評価から資格的な絶対評価に切り替え、大学の教授には一定の資質、資格を求めるべきである。日本国内に資格があるものがいないのなら、一部国際的な受け入れも検討すべきである。

○ この手の議論を進める際には、大学院生20万人強の全体について議論するのか、上位10%について議論するのか、中堅80%について議論するのかを決める必要がある。

○ 中教審の大学分科会大学院部会では、高度職業人養成に特化した一年制の大学院や通信制の博士課程など、かなり本質的な検討を行っている。既に欧米では1年でも修士が取れるところがあり、1年でも非常に密度の高い大学院を作ることで人材供給が可能であり、留学生も来やすくなるのではないか。日本の高等教育は今後大学院へポイントがシフトしていく。そこをきちっとしないと、結局海外の大学院に学生が流れてしまい、空洞化を招くことになる。一方、教官についても欠陥教官がいることは事実であり、きちんと教育を行えるかどうか疑問である。従って、大学の設置形態だけでなく、大学教員の資質を見直すための任期制・公募制といった改革が必要である。その際、教官公募は公平に開かれたものとするべきである。また、教官の資質向上のため、社会人以外の場合は最低でも博士号を持つことを条件にすべきである。

○ 現場で改革を行っている立場からすると、大学院で供給する人材の質と量については社会の動きに柔軟に対応するべきである。IT、バイオ、ナノテクなど分野によっては就職自身は問題がなくても難しさに違いがある。予測ができない限り人材を量的に増やすということを慎み、予測を立てることが可能であれば、ある分野を流動的に増やすなどの検討を行うべきである。また、日本には独特の論文博士というものがあるが、教育になっているか疑問であり、原則として認めるべきではない。

○ 高い水準のトップレベルの人材をどのように育てるかということに特化した議論が必要である。トップレベルの研究人材を育てるということが世界から求められている課題である。優等生の研究者をそろえてもだめであり、最終的には高い能力に位置付けられ、実体を伴って「私が一番」という自信をもって活動できる研究者をどうやって育てるかということに焦点を置くべき。

○ 大きなイノベーションのきっかけを作った人は、まじめな遊び心を備えている人である事が多い。イノベーションをどうやって社会に還元してくかというのは、遊び心から出てくることが多い。優れた研究者のみならず、いわゆる「まじめな遊び心」を持った人材を育てる必要がある。

○ ソニーでは、社員の約25%が経験者(中途)採用として入社している。企業は経験者採用を増やしつつあるが、さらに研究者の労働市場の拡大を図るべき。そういう社会の中で大学の役割とは何なのかを考えるべきである。トップレベルの研究者育成は非常に重要であるので議論すべきである。一方で、大学で教育を受けた人が企業に来てどれだけ伸びるかが重要なポイントであり、その議論もして欲しい。

○ 米国や独国では、学部卒業後グラデュエイトスクールに進学する際、またグラデュエイトスクール修了後助手となる際に、同じ大学にはそのまま行かないというところが多いが、我が国では立派な大学ほどインブリーディングが高い。日本のドクターは専門性が狭いというより興味が狭いことが問題である。多様な興味を持つ人材を育成し、研究者の興味の狭さを制度的に変えるため、1大学院への進学等の際には原則として所属を変えることや、2教官人事選考にピアレビューアを加え、同一大学内に偏らないよう他大学からの任用を進めること等の改革をすべきである。

○ 多様性に対する一つの試みとして、文系、理系の教官ポストを元のところにおいたままで共同運営するの教育プログラムを作って慣らしていくという方法がある。また、新しい時代の人材を育てる際、教育組織あるいは教育プログラムを作ってからではなく、どうやったら人材養成の教育組織あるいは教育プログラムができるかを教員自身が試行錯誤する必要がある。教育組織と研究組織の分業体制がうまく行っておらず、大学の中で議論していく必要がある。

○ あるレベル以上は、異なる分野を融合体として教えることは難しい。大学院の位置付けは、分野ごとに異なるため、今後10年から20年の間に果たす役割を考えないと粗い議論になる。技術系は日本では修士を重視しているが米国では博士重視である。また、行政官にも大学院博士課程の経験が必要であり、これが不足しているために議論の際のギャップになる。量より質という議論があったが、ある質を持った大学院生がどれくらいいるかという客観的なデータはない。

○ 今の教官には余裕、自信、自由、プライドがない。教授になってからも、論文数で競争したりなど、いつも横を見て競争している。もっと余裕と自負を持つべきである。これまでの教官の評価は論文数などの量だったが、絶対評価を導入するべきである。

○ 教官が学生を啓発、スティミュレートさせることが肝要であり、研究室がどのぐらい優れた人材を輩出したかも評価につながる。資料6の目指すべき研究者像の実現には初等中等教育段階までさかのぼらなければならない問題がある。大学、修士、ドクターといくにしたがって、スティミュレートさせる幅がせまくなる。一方で、現在の教育制度でもこのような人材は輩出されており、スティミュレートしていくことによって事例を作っていけばよいのではないか。初等中等教育は科学技術・学術審議会の審議内容をはみだすが、メッセージを出していくことが必要である。

○ 理想の人材育成は今の大学の地ならしが必要で、大学改革をそれぞれの大学で粛々と進められれば地ならしはできる。各大学は、教育方針を明言・宣言することが必要である。併せて、国は全体としてのバランスを考え、全体像を作る必要がある。その時、現状の各教育機関が何を目指し、何ができるかをはっきりさせなければならない。

○ 戦後の日本の大学は、東大に右ならえという感じで個性が失われている。大学としてそれぞれの個性が必要である。論文博士は廃止し、また、アメリカ的な方向性で、修士まではあまり実験させずに徹底的に勉強させるべきである。

○ インブリーディングは大学をだめにした根源である。最も悪いのは、方向を間違いながら、一生懸命にやっていて、信念を持っている人である。ダメであると自覚することもできない。この問題は処遇や役職で解決できるものではなく、磨けば光るものとダメなものを区分して議論しないと、ありきたりな結論で終わってしまう。

○ 大学が研究をリードしており、教育することが研究活動によい影響を与えるのではないかと考える。研究における教育の役割を踏まえ人材について考える必要があるのではないか。

○ 研究者の現場の研究者達が教育をすると、新しいものを自分達の中に持ち込むという側面が非常に大きい。新しい人と研究することで研究者が得るものが大きく、研究現場が活性化するという面がある。しかし、研究者が自分の研究に新しいものを入れようとするあまり、教育者としての観点を忘れてはならない。研究にとって、教育は非常にプラスになる。

○ 教員のインブリーディングというとき、卒業した大学を問題にするのか、誰について博士をとったのかを問題にするのか、いずれを問題にするのか。アメリカでは誰に指導を受けたかが注目される。また、修士課程で座学で勉強することが本当にそれでいいのか。教官によっては、実験系においては実験を積み、手に覚えさせることが重要という人もいる。この点を確認したい。

○ 教育と研究の関係について、若い人と一緒に研究するということは大事なことである。また、教師経験は大切であり、教えることは自分の勉強になる。一方、現在の大学は助教授以上でないと教壇に立てないので、若い時から教える機会を確保するべく制度検討が必要である。助手から教壇に立たせることにより、若いときから視野を広めることができる。

○ 設置指針が見直され、大学の裁量権が広がり、その結果様々な大学が出てくると思う。個々の大学で努力してできることは、どんどんやるべきである。本委員会では、大きな制度や規制緩和について検討すべきである。同時に大学の個性化が進む上では、経営状況等の透明性を確保することが重要であり、両面の議論を行うべきである。

○ 議論のどこに重点を置きながら進めていくか悩ましいところであるが、大学・大学院それぞれのミッション・特徴をもつというのは有るべき姿である。人材委員会そのもののミッションの一つとして、グローバルスタンダードの中で、レベルの高い特徴のある研究成果を出していける個人、機関、システムを検討する必要がある。また、あえてエリート育成も重要との意見もでており、具体的な提案がでてきていると思う。今後、資料4,5,6を肉付けする方向で検討を進めていきたいと考えている。

△ 規制緩和が進み、また財政も厳しいことから人材問題に関し、行政的にできることは限られている。この委員会では、行政としてできることにとどまらず、現場や社会に対して求めることも含めて取りまとめていただきたい。現在、幅広な議論がなされているが、一つずつ焦点を絞って踏み込んだ討議資料を次回以降に作らせていただき、部分部分で集中して議論いただきたい。

資料7について事務局から説明。

○ 次回に全部の論点を議論するわけではないが、絶対基準や教員の問題をどうするかといった点は議論が必要。

○ 有益な議論がなされていると思うが、仮に人材育成がうまく進んだとして、勝負は国際社会の中にある。この点外国語、特に英語の運用能力が問題となるので、この点についても十分に議論することが必要である。

○ 「研究者」の定義が不明瞭である。技術者と研究者の境目にいる人とか、技術開発をする人はどうなるのか。企業の技術者や実験助手なども含めて議論するのか否か、その点を明らかにして頂きたい。

△ 大学のみならず企業の中にも研究者が存在している。大学等にいる研究支援者については研究者とは別に議論すべきと考える。問題は、企業の中での製造技術者というような人で、その点必ずしも明確でない。議論にあたって、企業の側で博士修了者を育成するのかによるものと思われる。

○ 日本語だと研究者で一括りであるが、英語ではサイエンティスト、エンジニアと概念が異なる。一方、リサーチャーはかなり広い概念だ。この点、どのように整理するかご意見を伺いたい。

○ 前回、議論のターゲットは研究者、専門家ということではなく、科学技術の最先端を担う人、理系出身の社長、行政官、いろいろなレベルで活躍してくれる人など、我が国の継続的発展を担ってくれる人材をどうやって養成するかということで合意された。一方、資料7を見ると大学、アカデミアにおける人材育成にシフトしているように見える。そこだけに焦点を当てることは、人材委員会の本当のターゲットに対する議論にならない。

○ 最終的には広くカバーしなければならないが、研究者に焦点を当てて論ずることも重要と考える。いずれにしろポイントを絞った個々の議論も必要であると考えるが、個々のフェーズは最終的に決めるとして、次回以降少し広げながら議論して頂きたい。

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科学技術・学術政策局政策課

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