| 1.開催日時 | : | 平成14年12月4日(水)15:00~17:00 |
| 2.場 所 | : | 文部科学省別館10階 第5、6会議室 |
| 3.出席委員 | : | 小林主査、阿部会長、安西副主査、大久保委員、小平委員、佐藤委員、鳥居委員、中嶋委員、中津井委員、似田貝委員、山野井委員 |
| 4.事 務 局 | : | 山元科学技術・学術政策局長、井上科学技術・学術政策局次長、坂田大臣官房審議官(研究振興局担当)、有本大臣官房審議官(生涯学習政策局担当)、尾山科学技術・学術政策局政策課長、倉持基盤政策課長、安部調査調整課長、伊藤計画官、舟橋科学技術・学術政策局企画官、岩根企画官、今井総括上席研究官(科学技術政策研究所)他 |
| 5.議 題 | : |
| 資料1 | ポストドクター等若手研究者支援の在り方に関する論点 |
| 資料2 | 若手研究者支援関連資料 |
| 資料3 | 特別研究員事業(日本学術振興会)の概要 |
| 資料4 | 女性研究者の活躍の促進に係る論点 |
| 参 考 | 「創造的研究者のライフサイクルの確立に向けた現状調査と今後のあり方」(文部科学省科学技術政策研究所) |
| (1) | ポストドクター等若手研究者の支援の在り方について 事務局から資料1~4について説明。主なやり取りは以下のとおり(以下、○は委員、△は事務局の発言)。 |
| ○ | 総合科学技術会議競争的資金制度改革プロジェクトの資料中、「現在の特殊法人によるポストドクター制度は、制度上、その派遣先が競争的資金の配分先と一致していないとの指摘があり」とあるが、これはどのような点を指摘しているのか。 |
| △ | 日本学術振興会の特別研究員と、それに一本化された科学技術振興事業団の科学技術特別研究員事業などの事業を念頭に置いており、申請者が研究する大学を選択し、大学側には誰を雇うとう選択権はないというようなことが背景にあり、そのような指摘がなされていると理解している。 |
| ○ | どこで研究をしたいかという個々の研究者の意思という側面と、プロジェクトを行う研究機関などのどちらにウェートを置くか、そして、フェローシップ型と競争的資金型のバランスをどう取るか、という議論につながるのか。 米国における博士号取得者の総数は毎年4万人程度で、様々な助成制度などによるポスドクの雇用人数も4万人程度でほぼ数が等しいが、日本もほぼ同様の状況と考えていいのか。また、日米でポスドクの在職年数の違いなどがあるのか、それとも数量面では米国と同様の状況になっていると判断していいのか。 |
| △ | ポストドクター等1万人支援計画の中の支援人数には、大学院博士課程の学生への支援人数も入っており、今回調査した文部科学省の競争的資金による雇用者数や他府省のポスドク支援制度、競争的資金による雇用を数字に加えると、ポスドクは大体7,000人程度になり、それに対して博士課程修了者が13,000人程度いるという状況であると理解している。 |
| ○ | 競争的資金の配分先とポスドク等の派遣先が一致していないという意見は確かにあるが、それはある意味で当たり前のことであり、研究者が育って行く場所と研究費を配分する場所はそれぞれ目的も異なり、一致する必要はないと考える。もちろん競争的資金を有効に使うために若手研究者の雇用とリンクした制度があってもいいが、それと同時に、研究費とは直接は結び付かない研究者の発意に基づいたアプライベースのフェローシップがないと、全体として健全な研究者養成にならない。 |
| ○ | 研究分野ごとの資金の配分は、どこでどのように決まっているのか。例えば米国では、それぞれの分野で大まかなカウンシルのようなものがあり、その予算がはっきり見えているため、そのカウンシル、団体間の競争が目に見える形で残るが、日本では研究分野間の資金の配分はどうなされているのか。 |
| △ | 政府全体の研究費の配分については、総合科学技術会議が重点分野を定め、それに基づいて各省が予算要求を行うこととなっている。来年度の概算要求については、各省の予算要求について、総合科学技術会議がS、A、B、Cの優先順位付けをし、各分野への資金の配分が調整されることとなる。 競争的資金の配分については、制度、資金の性格によりかなり状況が異なる。例えば、科学研究費補助金は基本的にボトムアップの申請に応じたサイエンスコミュニティーの意向に沿ったものが配分に反映される。一方、科学技術振興事業団の戦略的創造研究推進事業では、国が示す戦略目標の基に事業団が研究領域を設定し、その研究領域ごとに研究提案を募集している。結果的には、一例として競争的資金による雇用者の分野別の状況を見る限り、ライフ、IT、環境、ナノテク・材料といったいわゆる重点4分野にかなりの研究費が配分されている。 |
| ○ | そのような状況も、何らかの方針に基づいて配分した結果ではなく、結果として配分が重点化されたように見える。 |
| △ | 総合科学技術会議による各省の概算要求の優先順位付けは分野別の集計を踏まえて行われており、具体的にこの分野何%という数値目標はないが、大まかな方針に基づいて、各省、各機関の配分がなされている。 |
| ○ | 政府全体で1兆円程度の研究資金があり、そのうち競争的資金が3,000億円、さらにそのうちの1,700億円程度が科学研究費補助金であるが、科学研究費補助金の半分強くらいが基盤研究という全くのボトムアップである。しかし、その他の部分については、数値目標はないが、大まかには何らかのイニシアティブがあると言える。 |
| ○ | アメリカでは、NIH(米国国立衛生研究所)とDOE(米国エネルギー省)などの機関が競争しており、分野間の関係が見えやすいが、日本は分野ごとの関係が見えにくい。 |
| ○ | 分野ごとの競争は見えていると思うが、ボトムアップで分野ごとの競争を促している部分とトップダウンによるものと、両方を組み合わせている。 |
| ○ | 科学研究費補助金をはじめとする競争的資金、フェローシップ、21世紀COEなどは、審査を通ると莫大な資金が入り、落ちると全くゼロで、審査に通るか落ちるかで結果にものすごく違いが出てくるが、実際にはそれほど大きな差異がない場合もある。従って、紙一重の差でも結果に大きな格差が出てくることになる。また、これらの審査結果は、結果として大学の評価に関わってくることになるため、審査結果については丁寧な説明、公表などの透明性が要請されることになる。日本学術振興会のフェローシップなどは非常に役立っており大変感謝しているが、格付けや能力の判定などに結び付くこともあるため、透明性を担保する仕組みなどは実に大事なことであると考える。 |
| ○ | 確かに、各種の支援制度は当たるのと当たらないのでは大きな差があるが、その差をできるだけ埋めるためには、例えば自分の研究費の中に研究者支援の分をきちんと入れるなど、研究者あるいは大学全体で頑張って、できれば5年、10年後には、米国並にドクター課程にいる若手に何らかのフェローシップ、奨学金などを出せるようにする努力が必要である。 特別研究員制度(日本学術振興会)では、最近の制度改善として、研究者の流動性を向上させるため、出身研究室以外の研究室を受け入れ場所とすることが申請時の条件に付加されたが、若手研究者の流動化がいいのかどうかは、研究分野によって異なる。文系では、PDは事実上、オーバードクターが多く、PDの3年間を含めて、ドクターコースに入って7、8年がピークであるが、これはPDの性格上、当然望ましくない状態である。少なくともPDが終わった時点で7、8割は博士号を取得しておくべきであり、そのためには、2年間短縮してドクターコースに5、6年程度で博士論文を書くピークにする努力が必要であるが、大学院生が流動化のために研究室を移っているため、論文審査が困難になる。大学院生が、実際には元の研究室から移らずに研究をすることも考えられ、文系としては、博士課程に入ってからの5、6年をピークにすることを前提に研究室を固定するほうが、研究者を育てられるのではないかと思う。 |
| ○ | 21世紀COEの関係でも、審査に落ちたところに説明をする必要があるという議論がされた。 |
| ○ | 落ちたところとそうでないところで大きな差が出てくるのは必然ではあるが、問題は選定方法であり、ボトムアップのものはピアレビューを活用することが、世界的に見ても一番いい。説明責任については、来年以降より改善し、開示する範囲を広げていこうという方向になっている。 研究者の流動化については、それが望ましくない分野もあるとの主張もあるが、ボス支配は研究者育成上の問題であり、全体として流動性の向上を優先し、若手研究者の自主性を尊重する方向にかじをきっているため、その様子を見ていきたい。文系のポスドクは、引き続き論点として残っている。 |
| ○ | 博士号取得までの期間が、自然科学系は短くて、文系が長くなくてはいけないという理由が、何かあるのか。 |
| ○ | ドクターというものの解釈が、生涯研究したものに博士号がくる、という体質から依然として抜けてこなかったという問題があるが、研究者としての一人前のライセンスであるという発想が次第に浸透してきている。大学院に入ってからの、少なくとも5、6年の間をピークに持ってくる必要がある。 |
| ○ | 制度によって研究奨励金の額が随分異なるが、どのような根拠で決まっているのか。 |
| △ | 日本学術振興会の制度については、例えばSPDであれば、博士号取得者が順調に進んで助教授になった際の初任給、PDであれば助手の初任給などを目安にして設定している。それぞれの制度が色々な法人で作られているが、研究機関の給与体系などを参考にして内部規則で定めるなどしているようである。 |
| ○ | 優秀な学生は、複数の制度に申請をして、金額の安い方を辞退するなどしているが、制度ごとに金額が違うことについて基準を聞かれれば、説明しなくてはいけないと考える。 |
| △ | 特殊法人雇用型では、法人の中でどのような仕事をするかという観点から、法人ごとに設定される。日本学術振興会の事業はフェローシップ型で、教職の給与を念頭に置いてカテゴリー分けをしており、雇用型とは金額の設定方法が異なっているということを説明している。 |
| ○ | 同じプロジェクト雇用型でも月額や支援期間が随分異なるようであるが、その違いを説明できるような基準があるのか。 |
| △ | 各省でそれぞれ、機関で働いてもらう場所等を想定して、均衡を見て決めており、細かい話では、手当的なものを含める、含めない、といった差もある。 |
| ○ | もちろんある程度は差があって当然だが、違いはなぜかと聞かれたときは、説明できるようにしておいた方がいいだろう。 |
| ○ | 社会人になってからなど、いろいろな体験をしてから博士課程に進学する人もいるので、若手というときの年齢についても、制度のねらいや効果に則して見直す必要があるのではないか。 |
| △ | 制度のねらいが若手支援であるため、どこかで物理的な年齢制限があった方がよいということで、それぞれの制度ができているものと理解している。 |
| ○ | 博士課程やポスドクをある種の特性、段階とみなして、そこに入っている人は物理的年齢と関係なく若手研究者とみなす、ということはできないか。物理的年齢では支援対象から外れていても、実際には支援できるようになっていないのか。 |
| ○ | 日本学術振興会の事業については、応募資格に年齢制限があるため例外はないが、例外を設けようという議論はあると思う。 |
| ○ | 経団連の産学官連携推進部会で、大学の先生方と議論してきたが、今まで大学の先生と企業がいかにお互いをよく知らなかったかが分かり、企業の側も反省点が多い。産学官連携の次のステップとして重要なのは、やはり人の問題である。自分の企業では採用者の7割がマスターであり、卒業生の管理職をリクルーターにして採用活動をしており、ドクターについても同じことができるが、ポスドクはそのような接点がないことが問題である。大学側の協力も必要であるが、企業としてポスドクとの接点をどうするか、考える必要がある。 また、企業は事業が変わっていくことがあるため、特定の専門分野を保障することは難しいが、ポスドクとの接点がある場合には、企業のドメインは簡単には変わらないので、ドメインについて是非説明しようと思っている。 |
| ○ | 自分の企業も最近の採用者の7、8割がマスターで、今後はドクターも必要になってくるが、確かにこれまで企業として積極的に接点を持ってこなかった。 先ほども少し質問があったが、総科学技術会議の方針など、科学技術創造立国に向けた国家戦略が、どのように予算、施策に反映されていくのか。ある程度中長期的な考え方が国家戦略として反映される形になっていないと、適正な配分が難しいのではないか。 また、先ほどピアレビューの話が出たが、支援に係る審査の際の評価基準は、どのようになっているのか。全体の国家戦略などからはそれがよく分からないので、基準のようなものがあれば教えてほしい。 |
| △ | 国家戦略ということについては、例えば、総合科学技術会議を中心とする重点分野の設定、総合科学技術会議による概算要求事項のS、A、B、Cの優先順位付けなどにより、メリハリのある予算づくりが行われている。 評価については、総合科学技術会議が政府全体の評価基準を策定し、文部科学省も6月に研究開発に係る評価指針を策定した。個々の制度によって評価の基準は異なり、例えば産学官連携を重視する制度であれば連携の効果が評価項目の大きなウェートを占め、最先端の基礎研究であれば、革新性、独創性などの占めるウェートが大きくなるような形になる。それぞれの制度の趣旨、評価の基準・項目、結果について申請者に公表していくべきという指摘もあり、そのような方向に進みつつあるところである。 |
| ○ | 総合科学技術会議での国家戦略、重点化などに関する議論は、かなり尊重されているという印象である。評価プロセスについても、なるべく客観性を持たせるようになってきている。 |
| △ | 第二期科学技術基本計画では、重点化の議論が非常になされ、いわゆる重点4分野への重点化が打ち出された。そして、各年度の概算要求前の総合科学技術会議による資源配分方針の提示、概算要求事項の総合科学技術会議による優先順位付けなどより、各省の予算は基本計画の考え方を反映して重点分野に流れてきている状況であるが、文部科学省としては、基礎研究も十分に念頭に置いて概算要求、総合科学技術会議への説明をしてきたところである。 また、第二期基本計画では競争的な研究環境の実現のため、競争的資金の倍増を掲げており、金額だけでなく、競争的資金の在り方の改革についても議論されているところである。 |
| (2) | その他 参考資料(「創造的研究者のライフサイクルの確立に向けた現状調査と今後のあり方」)について、事務局より説明。主なやり取りは以下のとおり(以下、○は委員、△は事務局の発言)。 |
| ○ | シニア研究者へのアンケート調査で、創造的で飛躍的は発想ができる頻度が低下する2つの大きな理由として、管理職業務にシフトして主体的な研究活動ができなくなってきたこと、自由に考える時間が減ったこと挙げられているが、この2つは無関係ではない。日本の大学、研究所では、不必要な管理業務的雑用が多過ぎるため、研究者の負担になっている。また、欧米の大学のシニア研究者の環境と比べると、支援職員の質が違うという気がする。今後、日本のシニア研究者を生かしていくという観点から、研究業務、管理業務の支援スタッフのレベルアップが必要である。 |
| ○ | 米国と日本の大学では、サポート体制に大きな違いがあるが、その原点にあるのは、日本の高等教育の財政基盤が脆弱であるという問題ではないかと考える。 |
| ○ | サポート機能の質の面では、企業も似たような問題を抱えており、日本は、サポート機能のレベルを上げ、認知度を上げていく必要があるのではないか。 |
| ○ | プロフェッショナルとしてのサポートスタッフの存在と、サポートのためのパートタイムを雇用する財政基盤、その2点で日本と米国は非常に違う。 |
| ○ | 国際的視点に立った人材の養成・確保、女性研究者の問題、ポスドク等若手研究者の支援の在り方については、今後さらに検討を進めていく。最後に、事務局より次回日程について説明がある。 事務局より、次回日程は調整中である旨説明をした後、閉会。 (以上)
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