科学技術・学術審議会人材委員会・中央教育審議会大学分科会大学院部会合同部会(第5回) 議事録

1.日時

平成30年5月31日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 論点整理(素案)の審議
  2. その他

4.出席者

委員

宮浦主査、室伏主査代理、川端委員、髙橋委員、沼上委員、湊委員

文部科学省

伊藤文部科学審議官、小松文部科学審議官、中川大臣官房総括審議官、坂本人材政策課、石丸人材政策推進室長 他

オブザーバー

小林筑波大学元教授

5.議事録

科学技術・学術審議会人材委員会・
中央教育審議会大学分科会大学院部会 合同部会(第5回)

平成30年5月31日


【宮浦主査】  それでは、ただいまから科学技術・学術審議会人材委員会・中央教育審議会大学分科会大学院部会の合同部会の第5回を開催させていただきます。本日の会議は冒頭より公開となっておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、現時点で6名の委員が出席されておりますので、定足数を満たしております。
 また、今回は、前回、研究人材の育成・確保をめぐる諸課題につきまして御発表をいただきました小林・筑波大学元教授に分科会オブザーバーとして御出席いただいております。
 議事に入ります前に、事務局より本日の資料確認をお願いいたします。
【広瀬基礎人材企画係長】  委員の先生方のお手元に、資料1及び資料2を配付させていただいております。また、お手元に、ファイリングいたしまして、研究人材の育成・確保に関する主要な資料につきましても配付させていただいております。議事進行の過程で不備等ございましたら、事務局までお知らせ願います。
 以上でございます。
【宮浦主査】  それでは、議題1に入らせていただきます。本日は、本合同部会の論点整理の素案について審議していきたいと思っております。論点整理につきましては、本日の合同部会の後に、本日の議論を踏まえまして、人材委員会並びに大学院部会の総会で御意見を頂いた上で、次回の合同部会でさらに御審議いただいて、最終取りまとめということで考えております。
 まず、これまでの合同部会における御意見を踏まえまして、事務局において素案を作成していただいております。そちらの御説明をお願いいたします。

○事務局より資料1、資料2に基づいて説明

【宮浦主査】  ありがとうございました。非常に膨大な資料でございます。それでは、意見交換に移りますが、全体を通して、少し前の方から順番に眺めていただいて、御意見を頂ければと思っております。
 1ページが「はじめに」ということで導入があった後に、2ポツで「研究人材の育成・確保を巡る状況について」ということで、現状をまず把握する。現状把握を正確に書き込んだ後に、かなり長い3ポツの、それではどうするかという部分で4ページ以降、3ポツで研究人材育成・確保に向けた今後の取組の方向性という、今後やるべき方向性について議論が発展してまいりますので、量的には3ポツ以降の量が非常に多いと思います。
 3ポツ以降の議論を今後に向けて明確化していくには、やはり2ポツの研究人材の育成・確保をめぐる現状について2ページ程度しっかり書いた上で、今後の方向性について論点を整理していくという流れになろうかと思います。
 まず、2ポツの現状把握、「研究人材の育成・確保を巡る状況について」ということで御意見を頂ければと思います。現状把握の中でサブタイトルがございますので、2ページから「博士人材のキャリアパスの状況」、これ、かなり明確化した部分と、あと、「若手研究者の研究・雇用環境の状況」でございます。任期付きですとか数字が減ってきた現状について、かなり数字を入れていただいております。
 3番目の話題としては、3ページでございますが、「研究者の研究生産性の状況」で、論文数も諸外国、アジアで急激に伸びているのに、我が国は少しずつ減っているという現状。
 最後に、「博士課程への進学状況」ということで、これもかなり議論させていただいたところではあるのですが、博士後期課程への進学が近年減ってきている。一方で、社会人入学が増えている状況であることを現状把握として書き込んだ状況になっております。この現状把握につきまして、御意見いかがでしょうか。
【沼上委員】  現状把握のところの雇用環境の状況のところに研究エフォートの話が出てくるのですが、研究エフォートのところがかなり驚くべき低下だと思います。ここはあらゆる問題に関する原因のところで極めて重要な数字だと私には見えるのですが、こんな状況だと魅力的じゃないから進学しないという人もいるでしょうし、研究の成果も、研究エフォートがこれほど下がってしまっては生産性が下がるのは当然のことであると思われるので、ここの部分の数字は極めて重要な数字だと認識をしています。できれば、数字の低下がどう分解されるのか、例えば46.5%から35%に低下、あるいは、助教の部分についてはもっと著しい、ほぼ15%の低下ですが、この間、補助金申請の書類書きに消えているのが何%で何ポイントか、それから、学内の雑務で消えているのが何ポイントで、どこに何ポイント消えているのかというものの分解がある程度できていると、対策の打ちようが明確に幾つか出てくるのではないかと思います。
 もう一つは、これは平均がこれだけ落ちているということですけど、中にはベストプラクティスがあって、全然落ちてない研究室ってあるかもしれないとか、かなり高いレベルに研究エフォートを維持している、そういう研究室のベストプラクティスがどうなっているかということも、提言の中に盛り込めるとか、いろんな議論の中に盛り込めると、学問領域によってベストプラクティスは随分違ってくるのだろうと思いますが、しかし、領域ごとに研究エフォートがちゃんと維持できているところと相当大きく低下しているところはどこに違いがあるかというようなことの考察があると、その後の打ち手が明確に迫力を持って書かれるようになるのではないかと思いますので、もしそこの部分が分かればお教えいただきたいと思います。
【宮浦主査】  今の点について御意見ございますか。研究エフォートが落ちている点が、そもそも……。
【湊委員】  ただいまの御意見、私も実は非常に同感ですが、要するに、定義の問題で、ここのグラフには研究、教育、社会サービスと分けられていますが、研究時間がどういうことで実際に減っているのか、私にはよく見えない。例えば、研究というのは試験管を振るだけが研究ではないので、大学院生と一緒にいろいろ議論をすることも教育であり研究であるわけですね。その辺のところが、どのようなクライテリアでその動きが見えてきているのか。つまり、どういうパートが増えてきていて、どういうパートが減っているのかということですね。
 例えば、研究費申請などというのは、僕から見れば、これは明らかに研究の一部です。研究費申請が雑務なんていうことはあり得ない。アメリカでも、研究費申請は最も重要な研究の一部になっています。そういうことを言えば、いわゆる社会サービス・教育関連、社会サービス・その他、というその中身もよく分かりません。本当にもし減っているのだとすれば、今おっしゃったように、どこが実際に減っているのか、あるいは、どこまでが研究なのかというところがもう少し、明示的に示されないと、と思います。マスコミのアンケートでもよく若手研究者はこれを言うのですが、彼らが実際どう考えていて、どの部分が実際に減っていると思っているかというようなことは、なかなか実際には伝わっていないかも知れず、言葉だけが独り歩きするおそれがあるような気もいたします。
【宮浦主査】  ありがとうございます。今、特に御指摘の点、例えば、助教ですと社会サービスが増えていて、その分、研究エフォートが下がっている。社会サービスというのは、具体的に何なのかという議論になりがちですよね。教育は下がってなくて社会サービスが増えたために研究エフォートが落ちている。そのあたりが具体的でないので、何で落ちているかよく分からないという、そういう御指摘。
【沼上委員】  今の御意見に触発されたので、もう一度。そうだとすると、研究の中身が変わっているのではないかというところが一番エッセンスだとすると、やはりこのポイント数で押さえるだけではなくて、研究の中身がより具体的にどう変わっているかと、その時間の配分が。この部分が明らかにならないと打ち手がなかなか見えてこないところがあるのではないかと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 川端先生。
【川端委員】  まさに今のところが真ん中かなと思いながら。ただ、全体の話をすると、タイトルは「研究人材の育成・確保」ではなくて、「若手研究人材の育成・確保」である気がします。そうでなくて、「研究人材の育成・確保」だとすると、ミドルだとかシニアな人たちも含めて、彼らをどう育成してという、人生を通したディベロップメントをしなくてはならないという話になって、それに関してというと、まさにど真ん中、さっきのタイムマネジメントの話になります。要するに、さきほど言われたように、研究はどこまでで教育はどこまでとするのはそのとおりだけど、多分、研究・教育はアナログ的に、どこがどこまでとなかなか切れないもので、そう区切るよりは、そこと違うところが一体どうなっているかというところの表現になっていった方が良い気がします。
 研究人材という話になりますと、若手に環境を整えたり、彼らが独り歩きできるようにというのが我々の考え方で、次に彼らがミドルになったときとは、より大きなプロジェクトを作ったり、より全体を回したりという新しいところで活躍していくゾーンです。
 だから、若手だけではなくて、もっとミドルとシニアがやるべきことには非常に大きいところにあると。今の話がまず第1点です。だから、これ自体のフォーカスを、研究人材の育成・確保に置くのか、それとも、ここで言う大学院部会であり人材委員会では基本的に若手について議論しているから、若手をベースにして、このゾーンを一体どうするかという立ち位置で議論していくのであれば、これはこれで1つの形かなという気がします。
 少し細かい話を言うと、URAを「研究支援」という表現は、5年前ぐらいからやめようという話になりました。要するに、経営人材として位置付けて、今されている大学経営だとかも含めた展開をするべきであってという、そういう育成の仕方もかなりの割合がそういう動きに動きつつあるというところで、是非その方向に向かってほしいです。そういう観点がまだいろいろあるからこそ、10ページぐらいに記載してある、「文科省においては、その実務能力に関する質保証」という、こういう話を文科省がする必要はなくて、これは各大学がそういう人たちをどのように育てて、どういう形で彼らを経営人材として育成していくかということを前面に出して、優秀なURAを確保しながら育成していくというのが姿であって、統一の質保証の話をし始めると、多分これはゴールに今度はなって、URAはこれの資格を取るためにこんなことをさせればいいのだという話になっていくというように個人的に思います。
【宮浦主査】  ありがとうございました。今御指摘いただいた点、非常に重要でございまして、論点整理の冠の最初に「若手」と付けるかどうか。中を見ますと、それぞれ若手研究者の雇用環境とか博士の進学ですとか若手研究者の戦略的育成とか、基本、若手でまとまっておりますが、全体のタイトルを含めまして、「若手」ということを書くか書かないかで、かなり論点といいますか、考え方が違ってくると思いますし、内容を見ますと、基本、若手でまとまっているかと思うのですけれども、そのあたり、いかがでしょう。
【室伏主査代理】  ありがとうございます。私、全ての回に出席できたわけでないので申し訳ないのですが、今までの話し合いは、大体若手にフォーカスしてきたと思います。ですから、ここに書かれていることは、若手をどうしたらすぐれた研究者として育てられるかという視点に基づいていて、中堅・シニアに関してはほとんど書かれていない状況だと思います。本当の意味で研究力を向上させるためには、若手のメンターとして、あるいは指導者として、若手が研究者としても、教育者としても自立できるための環境を整えなければいけないと思っています。そのために、中堅・シニアへの様々な配慮も必要であり、若手だけに研究費を付けるのではなくて、もっとバランスのよい資源配分なども必要です。でも、そういったことについてはここでは全く話し合われてないわけですね。
 今回は若手に絞った論点整理としてとりまとめることになりますが、もし可能ならば最後のパーツにでも、今後の日本全体の研究力の強化を図っていくためには、中堅・シニアの在り方についての検討も不可欠であるというようなことを記載しておくということがよろしいのではないかと思います。今まで議論されていませんので、留意事項として記載して頂けたらどうかと思っています。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。内容的には、かなり若手でまとまっているので、若手ということで論点整理した上で、全体の議論も最後に付け加えてみたらどうかという御意見でございます。
 髙橋さん。
【髙橋委員】  2つほどあるのですが、1つ、先ほどの図8のところの社会サービスというのは、結局、私、何だかが本当に分かってなくて、例えば、研究費の申請というのは研究活動だろうという意見もありましたし、私も個人的にはそう思っているのですが、社会的サービスって何ですか。「診療活動」と書いてありますけど、それはもちろん臨床医もやられている先生なんかはそうだと思うのですが、具体的に何ですかね。
【宮地人材政策課長補佐】  文科省の方で、こういった大学等教員の職務活動の変化ということで調査をしてございます。その中で、社会サービス活動ということで、教育関連、研究関連とございますけれども、1個1個で何時間という積み上げではなくて、総じて何時間という調査の仕方を組んでいるわけですけれども、公開講座、市民講座やセミナーへの出向、派遣ですとか、研修生の受け入れのための業務、指導、相談、情報提供といったところが社会サービス活動です。
【髙橋委員】  社会サービスの教育関連というのも別途ありますよね。
【宮地人材政策課長補佐】  そうですね。教育関連というところと研究関連とございます。
【髙橋委員】  緑は、教育関連は増えてはいるけど3%程度で。
【宮地人材政策課長補佐】  はい。一応、研究関連として挙げられているのは、学会等に関する活動、ファンディング採択の審査、評価、審議会への出席など。
【髙橋委員】  こういう委員会は社会サービス側なのですね。
 あと、もう1個ですけれども、これはまた違った視点ですけど、任期あり、なしの議論があったと思います。生産性、パフォーマンスの話と、この任期あり、なしの話に相関があるのかというデータがあれば教えていただきたいです。それこそ極端な話ですけど、プロ野球選手とか、あるいは会社の経営者なんかでもそうですけれども、数字のパフォーマンス、KPIで縛られている人間というのは基本的に任期があって、そのパフォーマンス次第で首が飛んだり給料が減ったりというのがあると思います。例えば、任期ありで35歳の方と、任期なしでPIされている方がいて、一概には比較できないかもしれませんが、任期がないというのが、もちろん雇われている本人にとってはいい環境だというのは分かった上でですけれども、一方で、この題名のところで、研究力の強化というのが目的のために人材をどうしようかという題名の書き方になっているので、そういう意味では、任期というものをどこで保障するのかとかという話と、もしかしたらパフォーマンスはリンクがあるのかなと思いましたので、場合によったら時間の使い方を含めて変わってきているかもしれないと思ったので、そういうところのデータがありましたら教えていただければと思いました。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。先ほど来問題になっている、劇的に社会的サービスが増えているのは助教の方です。図8、図7の大学教員全体を見ますと、増えてはおりますけれども、さほど大きなポピュレーションではない。研究が減っているのは事実ですけれども、研究エフォートの低下を研究力等々の大きな要因として書いた場合に、その要因を解除するための取組を書かなくてはいけないので、そうすると、そもそも原因は何だということを明確化しておく必要があるというのが先ほど来のお話で、助教の方については様々な社会サービスといいますか、例えば、高大接続で、高校に行って模擬授業をやってくるとか、そういう業務が助教の方に劇的に増えた可能性もあるとは思うのですが、この劇的な変化を説明するのはなかなか難しいと思いました。
 ただ、全体を見ますと、社会サービスは確かに増えているのですが、その他のものが少しずつ増えたのが、教育が若干増えたぐらいで大きな要因はなかなか説明しにくいですね。教育も劇的に増えているわけではないので。研究エフォートの低下が大きな要因だということで現状把握の中心に持ってきますと、なぜそうなったのか、それを解除しなくてはいけないという議論になりますので、それをどのように書いておくか。研究エフォートが低下しているのは事実ですけれども、何か主たる原因があるかというと……。
【川端委員】  今のこのエフォートの話と、それから、さっきの任期付きの話、これがさらに連動するのはどういうことかとのことですが、では、ポスドクはどうかというと、全部研究のはずです。ということは、パフォーマンスが一番いいはずです。要するに、フルタイムで研究以外、何もしません。それがポスドクです。任期付きの人という話になると、これよりも多分負担は要らない。スペシャルなお金が付いているから、研究の部分が大きいはずです。それを一般助教にすると、こうなっていくのです。任期が延びれば延びるほど、それ以外のものがだんだん増えていくという流れになっていて、全体としては、任期なしが減って任期ありが増えてということはパフォーマンスの高い方向に。ただ、任期が短いから、逆に言うと、長いスパンでの研究は全然できないという部分があって、そこは非常なる問題だけれども、エフォートだけで見ていくと、そういうような分布になっていく。
 だから、それも含めて、誰にとってかは別にして、これは何となく任期なしが幸せで、任期ありは悪的な、表現的に動いていっているのだけれども、全体としてのパフォーマンスをどう上げていくかは、任期とエフォートの関係はそのような関係になっているから、どういうバランスに持っていくかも、最終的には全体のエフォートを上げるための方法によっていてその辺に大学としての経営だとか、いろんなものが顔を出すような気がします。
【宮浦主査】  ちょっと書き方を工夫しないと、単に研究エフォートの低下が最も問題だとだけ書いておくと、内容の理解が難しいということになりかねない。
 小林先生。
【小林筑波大学元教授】  余り口を出すべきじゃないかと思うのですが、実は研究時間等の職務時間の調査の設計にも関わっていたことがあって、そのときの経験を踏まえて言うと、理学系、共同利用研、そして医学部の助教は非常に偏りがあります。共同利用研は、もともと研究時間は非常に長いです。一方、医学部の場合には、2004年の研修制度の改正以来、大学病院に研修医が残らない状況が起きて、大学の先生方が診療で非常に忙しくなったということがあります。これ、2013年度までなので、その後どうかというと、多分最近は若干また戻ってきているのではないかと思いますが、それにしても、従来に比べると、医学部の先生方の診療時間に対する負担、特に若い先生方の場合にはそれが大きくなっていることは現実としてあるのだろうと思います。ですから、分野別にできれば一番いいのですが、そのような解釈をしたらいいと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。背景としては、医学部で、いわゆる「助教」と名の付く方が臨床で結構いらっしゃって、それで診療を回している部分がありますので、統計を取ると社会サービスが多くなっているが、通常の教育型の部局では、社会サービスがこのような割合とは思えないという、そういう背景も含めて、ミスリーディングをすると、助教だけが社会サービスをやっているように捉えられますが、そうではないという。研究中心の助教が本来はかなり多い。若手の任期が付いている部分と研究エフォートが低下しているというのは、川端先生がおっしゃったように、分類して議論しておかないと、ポスドク等は100%のエフォートで研究している。教員になってからの部分で、若手のみならず全体の研究エフォートが低下している、そういうことですので、そのあたりを正確に書き込んでおかないと、何となく、みんな、エフォート下がってきましたねというようなことではなく、ポスドクは100%になっているということでよろしいですかね。そのあたりの表現を正確に、研究エフォートについて減少傾向が見られるというのが、単に46から35になったので10落ちたという部分が、恐らく、もう少し分析的な部分も書いておくべきかという。事務方から何か。
【石丸人材政策推進室長】  研究エフォートにつきまして様々な御助言、コメントを頂きまして、ありがとうございます。審議時間が限られていることもございまして、エフォートの分析について十分議論ができなかったこと、事務局としても恐縮しているところでございます。
 研究エフォートの分析については大変重要だという御指摘、十分理解しましたので、各種調査も踏まえつつ、研究時間の確保について加筆させていただく方向で、御検討いただければと思います。よろしくお願いします。
【宮浦主査】  ありがとうございます。それでは、もう少し書き込んでいこうという方向でよろしいでしょうか。
 そのほか、現状分析について御意見ございますでしょうか。
 それでは、重要な点、頭に「若手」を付けるかどうかという部分は、全体として事務局としていかがでしょうか。
【石丸人材政策推進室長】  その点についても、大変貴重なコメントをたくさん頂きました。とりわけ室伏先生より、若手を育てるシニア・中堅に対する議論というものが、実際に時間も足りなくて十分できなかったわけでございますが、先生から御提言いただきましたように、内容としては、これまでの議論は若手中心でございましたので、研究力強化の研究人材、とりわけ若手を中心に今回の論点整理は素案を作らせていただきましたけれども、先生おっしゃいますように、今後中堅やシニアの研究者の皆様についても議論していくことが必要だということは、最後のパーツに留意事項として追記させていただく方向で、御検討いただければありがたいと思ってございます。
【室伏主査代理】  ありがとうございます。そうしていただけるとうれしいです。
【宮浦主査】  それでは、3ポツの今後の取組の方向性、今後どのように取り組んでいくかという方に、本論に移らせていただきます。今後の研究人材の育成・確保に向けた3つの視点として、研究者コミュニティですとか生産性の向上、若手の活躍などがございます。(1)が3つの視点、(2)がコミュニティの確保、(3)が8ページあたりで研究生産性、(4)が10ページで若手がすぐれた研究者として成長し活躍できるための環境整備と続いて、(5)は今後の留意点ですが、どこか、まず、ここが気になったですとか。
 前の方からいきましょうか。 それでは(1)の3つの視点。コミュニティ、生産性、若手活躍推進。
 最初、3つの視点が整理された後に、(2)として、研究者コミュニティの持続可能性。
 川端先生。
【川端委員】  (2)の「人事給与マネジメント改革」という、このキーワードです。要するに、ここの人事給与マネジメント改革のゴールは何かというと、人件費を確保して若手を増やしましょうという流れのように読めます。
 その通りではありますが、上の方の、特に国大協では、適正な業績評価と処遇への反映とか、エフォート管理とか何とかって、これは違います。そういうお金を確保するためにやるのではなくて、それよりはどちらかというとインセンティブ型の、要するに頑張っている人を評価して、もっと元気にしましょうというようなゴールを持ったものであって、そのため、この真ん中の段落は、何のためにここにこう出てきているのかというのがよく分かりません。要するに、それよりも下の部分になると、いろんな直接経費と間接経費を合算し、いろんな使い方をして、そういうようなコストだとか、さらにはもう少し高い給与でいい人材を確保しましょうといった、いろんなやり方があります。それを弾力的に考えてねという流れかなと思うと、1つは、真ん中辺のこの制度をいっぱい並べている状態が、この制度で一体何をどうしたいのかというのと余りつながらないかなということと、この話をするということは、最初の部分の任期付きも含めた、要するに若手が多い人口分布にしたいということを言っています。
 今、確かに正規系の本務教員は人数でいうと少ないです。ただし、それを私の方で少しお話ししたように、特任教員といったポストで全部カバーしている。全体を足したら、全体としては若手の割合はある部分は増えています。シニアとミドルに比べても、私には若手が比率的にも増えているように見えますが、幾つかの大学しか見ておらず、全体がどうかというのは分からないので、その観点でいえば、ではどこまで増やせば幸せなのか分かりません。全体として、若手のポストはというところがゴールになっていく気がします。でないと、若手、若手と言ったって、10年後は皆ミドルになるのですから。だから全体を見通しながら、やはり人事政策は進めるべきというのも各大学が考えるべき部分かもしれないし、全体としてレギュレーションしなければならない部分かもしれません。
 ややこしい話をしてしまいましたけど、前半戦の最初の、さきほどの状況を見たところでは、どちらかというと、いないという方向の書き方しかなくて、ある割合、特任だとか若い人のポストとしては、ある程度は確保されているのだと。ただし、質が悪いことは非常に問題であって、彼らが独創的な研究をするに当たってはという論調と、それから、では人事給与マネジメントを通して一体どうするのかというと、それは当然、若手雇用のためだけに、これがあるわけではなくて、先ほどのミドルもシニアも含めた、大学全体がもっと強化されるために、いろんな経費を活用しましょうと、こういう流れになっているように見えるのですが、ここは若手だけにフォーカスを当てたから、その部分にこれをつないだ表現かなというふうに思ったとすると、真ん中の部分がよく分からないなと思った次第です。コメントです。
【宮浦主査】  今の点は、恐らく、ここに突然出てくるようなイメージがあるという御指摘だと思うのですが、人事マネジメント改革を通じて、若手人材確保の推進は何のためか。人件費の確保のためなのか、人材確保のためなのか、研究者の年代は別バランスを的確にマネジメントするために、人事制度を改革しましょうということなのかが、少し読みにくいという御指摘ですよね。
【川端委員】  はい。
【宮浦主査】  若手をここで大量に採ったら、10年後には全部ミドルになっているというふうな御指摘もありますので。
【川端委員】  間違いなく。
【宮浦主査】  そうしますと、研究者の年代別バランスに配慮した、より若手を確保することも含めた、研究者の年代別バランスを各大学のマネジメントサイドで人件費の確保という、あるいは年俸制などによって工夫をすべきだという論調で書いておけばよろしいですか。漠然としていますか。
【川端委員】  もうちょっと、前半戦の、例えば、任期が短いということが問題だとすれば、それを長くするための人件費をどこから稼ぐかというときに、この人件費の多様性だとか、人事給与マネジメントだとかというのを働かせて、そういうものにもっと展開したらどうですかみたいな提案なら理解ができます。
【宮浦主査】  ハウツーを書かなければ、どうやっていくのかということを書き込む場所ですので、何のために何をやるかだと思うのですけれども。
【川端委員】  そうそう。そういう意味だと。
【宮浦主査】  任期付きの若手が増えて、じっくり研究できないということがずっと書いてあったので、それに対する方策として、若手がじっくり研究に取り組める環境を整えるというのが重要で、それに向けて、経営マネジメント改革によって、人件費や年代別バランスの改革をしていくべきだと、そういう論調ですか。
【川端委員】  そんな論理の方がゴールははっきりしています。
【宮浦主査】  そちらがいいのではないかという御意見ですが、事務局から何かございますか。
【石丸人材政策推進室長】  ありがとうございます。
 川端先生のおっしゃっているところは、多分、2か所にわたって記述してしまったので、ちょっと誤解が生まれているところがあろうかと思います。
 先生はプレゼンテーションでも、第2回目に御発表されましたけれども、任期付き教員が増えたことに対応して、大学が様々な自由度の高い経費を用いることによって任期を確保していこうということにつきましては、ちょっと後ろになりますが、10ページの方にまとめて記載させていただきました。そこを分けてしまったものがございますから、少し混乱が起きているのかなということを事務局としても反省しているところでございます。
 その上で、今、御議論いただきました5ページ目のところでございますが。
【川端委員】  ああ、ここに出ている。
【石丸人材政策推進室長】  ええ。そこにまとめております。
【川端委員】  別にいいのですが。
【石丸人材政策推進室長】  しっかりと、そこを反映してございます。
 その上で、5ポツでございますけれども、もう少し事務局としても工夫しなければいけなかったなと思いますのは、恐らくストレートに、冒頭のところでは、若手教員の採用比率でございますとか在籍比率が減っているということを書くことによって、十分足りているかと思ったのでございますが、先生おっしゃいますように、若手だけを急激に増やしてしまいますと、人口構成自体がいびつになるということを先生御懸念されているというふうに承りました。それであれば、そういう在籍比率でございますとか、若手の採用比率が減少している中、「大学教員の年齢構成に留意しつつ」ということを一言ちゃんと明確に書いた上で、その若手の人材確保ということの前に1つ、全体の年齢構成に留意するということを補わせていただければ、十分そこの部分は対応できるのかなと思います。もし、それでよろしければ、御検討いただければありがたいと思います。
【川端委員】  はい。
【室伏主査代理】  私も国大協のこの人事給与マネジメントワーキンググループのメンバーなのですが、実は、まだきちんと固まっていません。やはり、ただ若手を増やすだけではだめだということは皆さんも分かっていらして、バランスのよい人事構成にしなければいけないので、全学的なシステムや環境整備ということを念頭に置いて、若手だけでなくて、女性や外国人などを雇用し、多様性を確保することを目的として、この人事給与マネジメントの議論を進めているということがあります。ですから、最初のきっかけは若手を何とかしよう、若手が優れた研究をするためにどうしたらいいかということから始まってはいるのですが、川端先生がおっしゃったように、若い人は毎年、年をとりますので、そういったことを考えると、バランスのよい人事構成がなければ大学の機能強化は図れないですし、研究力の強化も図れません。こういった観点から、少し記述を検討して頂いた方がよいかもしれません。
【石丸人材政策推進室長】  貴重なコメントを頂きまして、ありがとうございました。
 この点につきましては、前回でございますけれども、国立大学協会より人事マネジメントシステム改革の取組状況ということで御発表いただいたものでございますから、それを踏まえて記述をさせていただいたのでございますが、今頂きました御意見を踏まえまして、よろしければ事務局の方でも考えさせていただければと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございました。
【沼上委員】  よろしいですか。
【宮浦主査】  はい。では。
【沼上委員】  ちょっと話題が変わってしまいますが、私の勘違いかもしれないですけど、2回前ぐらいのときに湊先生がおっしゃっていたポイントの1つは、たしか巨大なプロジェクトは比較的お金が付きやすいけども、中ぐらいのところが結構お金が付かなくて、それによって設備が老朽化して、非常に全体としての生産性が上がらない状況になっていると。ここの部分に少し投資を増やすことによって、日本全体の研究の生産性が随分上がるのではないかという、そういう御指摘をされていたと思うのですが、その部分と対応するところ、もしかすると9ページの一番下の丸かなというふうに思うのですけど、ここをもう少しアグレッシブに、この部分を潤沢にするのだという強い意思を持った書き方にしていくというのも手じゃないかなというふうに思っています。このあたりに選択的な投資ができるというような予算を組んでいく必要があるというような、そういう議論はあり得るかなというふうに私は思っていますが、今の段階、設備の共用をするとかというところがちょっと表に出ている感じで、ここにアグレッシブな予算要求をしていくとかというニュアンスが少しないような印象も受けるのですが、実は内心アグレッシブに取っていくという感じなのでしょうか。
【石丸人材政策推進室長】  この点について、事務局からお答え申し上げるのが適切かどうかは判断付きかねますけれども、必ずしも予算要求ということではなくて、これまでの御議論を整理したというところがまずございまして、これは研究力の向上に向けた方向性と、その取組ということでございますので、もし、表現等について、ここでも御議論いただいて、もう少し何か具体的なお知恵等を頂ければ、それを踏まえて、またいろいろ検討させていただくことはできるかと思うのですけれども。
【沼上委員】  はい。別にここに予算要求が入っている必要はないのですけれども、ただ、ここの部分が決定的に重要な研究の生産性と、若手が博士に進学する上で非常に重要な部分だと、ここが厚くなりさえすれば、大きな問題がいっぱい解決するというような書き方になっていると、その後押しになる部分はあるのではないかと、そういう認識で言っているお話ですので。はい。
【宮浦主査】  今、御指摘いただいた、非常に基盤的な研究インフラが老朽化しているという部分は、若手が活躍しようと思っても、行った先で20年前の機械が並んでいたとか、あと管理する技官の方もいないとか、そういうようなことが各所で生じているというような傾向もあると思いますので、それが諸外国の戦略的な設備と比べて非常に見劣りがするですとか、そういう意味で、人材の取りまとめの中でも、そういう基盤的な研究インフラ、設備の投資というのが、やはり人を育成する上で重要だということをしっかり書いておくと、そういう方向でよろしいでしょうか。
 そのほか、いかがでしょうか。
 博士後期課程、女性……、博士後期課程進学、あとは定員の設定などがございます。よろしければ、8ページ以降に進めさせていただいて、先ほどもちょっとインフラの話が出ましたけれども、研究生産性の向上に向けた取組あたり、いかがでしょうか。
【川端委員】  では、すみません。少しだけ。
【宮浦主査】  はい。川端先生。
【川端委員】  博士課程の定員の再設定、これはどういう思想ですか。ベースとしては、ドクターコースが、世界的に見た場合に、日本の中でPh.D.ホルダーが非常に減ってきているという話をしていて、そういう中で、ドクターをどうリクルートしたり、優秀な人をどう集めて、さらに展開させたりするか。一方では、志願者倍率も低いし、充足率も低いしという状態があって、では、それをもっと頑張りましょうと言っている方向と、この方向は、ごめんなさい、この文書だけ見ていると、何か充足率が低いからもうやめましょうみたいな、リクルートするのもやめて、定員減らしちゃえば充足率上がるしというふうにも読めてしまうのですけど、これは思想的には何なのですかね。
【平野大学改革推進室長】  こちらの部分は、本日いらっしゃっている先生方、大学院部会の先生、ほとんどでございますので、大学院部会でもともと提案された内容のところを、こちらの取りまとめの方においてもということであるわけですが、確かに川端先生おっしゃったように、定義はさておき、研究者コミュニティの持続可能性の確保というところと、どれぐらい密接に関係しているのかというのは、よく考えていきたいと思います。
 ただ、もともとの趣旨は、博士課程というものの質の保証というものを図る観点から、しっかりリソースというものを最適な形で配分していこうということで、質の維持・向上につながる話ということではあるのですが、ここにいきなり入って、パーツとして入ってきたときに、その関係性が見えにくいというような御指摘かと思います。そのような意味において、博士課程の質の向上・保証というところと、この(2)のコンセプトという部分とがうまく結び付くのかどうか。若しくは、場合によっては、この部分は蛇足であるだろうということであれば、これはちょっと避けるということも含めて、よくこちらの事務局の側で話し合いたいと思います。
【川端委員】  はい。そうですね。この下の3行より上までは合っているのですよね。社会ニーズに合って、定員の再設定であったり、動かしたり、いろんなことをやっていこうって、これは非常にそのままの話ですが、その次は、是非御検討ください。
【宮浦主査】  それでは、ここは要検討ということで、どういう人材を作りたいかという話の間に、すぽっと定員の問題が入ってきますので、この入れ方の場所も含めて、少し検討もしていきたいと思っております。
 ほかに気になったところ、いかがでしょうか。8ページ以降、研究生産性の向上に向けた取組。
 京都大学の丸の4個目のK-CONNEX。これはコンソーシアム事業だったと思うのですが、この優れた実績というのが、何が優れた実績なのかが分からなかったのですけど。優れた研究実績なのか、優れた人材養成システムを構築されたのか、その辺、一言入れていただけると、優れた研究実績であれば、研究と入れていただいた方が分かりやすいかなと思いました。
 ほか、いかがでしょうか。研究生産性。あるいは次も含めて、10ページ以降は、若手の研究者が優れた研究者として成長して活躍できる環境の整備に向けた取組です。環境整備ですね。あと任期を少し、5年から10年程度に延ばす取組が必要じゃないかとか。ここでも、ちょっとまたエフォートが出てまいります。研究エフォート。URA。
 環境整備ですが、先ほどの設備的な環境投資は、もしかしたら、こちらの方がいい可能性もありますね。
【沼上委員】  そうですね。すみません。はい。
【湊委員】  よろしいですか。
 ここの議論の大前提は、我が国の研究についての国際的な地位が、質的・量的にともに低下しているというところから始まっているわけで、私はそれを否定するつもりは全くありません。これに付随するような参考資料、例えば総論文数というのは、国の全体現況を明らかに反映するので、それは例えば10年前、20年前の日本と現在の中国を比較するのは、それは意味があるかもしれないが、今の中国と日本の状況は歴史的にも非常に違うので、絶対数で比較する理由は余りありません。むしろ大事なのは伸び率です。こういうところが少しラフだなという感じがしています。
 量的には、そういう意味では確かに減っています。そのことをどう考えるか、それは大変なことだと思うのか、それは今この国の発展段階では当然だろうと思うかというのは、それはちょっとまた別の話になりますが。
 それから、トップテン補正論文というのも、しばしば、恐らく質的なマーカーとして使われています。これも当然、国の発展段階みたいなものを、ある種反映することがありますので、必ずしも一律には比べられません。しかし、ここにイギリスの例が書いてありますが、確かにイギリスもどんどん上がりません。日本でもイギリスでも微増するか、少なくとも落ちないというのがそれなりの形だと思うのですが、それでもイギリスと日本で、やっぱり違いが出てきているじゃないかということです、たとえまだ微妙だとはいえ。それは何だろうというところが基本的には大事なところなのであって、そこをどうして日本がサステナブルにしていくかというのが、この全体の議論の流れだと思います。
 そうすると、その違いにコントリビューションしている大きな要因は何かということになる。それには若手の割合や数など、これまで議論してきたことは当然含まれますけれども、今、沼上先生におっしゃっていただいたように、実は非常に大きな違いが明快にあって、イギリスを見てもらうと分かりますように、若手に対するサポート体制が全然違うのです。若手の研究環境、とりわけ、優秀な若手に対する研究支援の層の厚さが、これは機器、設備等、あるいは雇用条件も含めてですけど、圧倒的に違います。そこの差が、ここに僕は一番大きい要因として反映されていると思います。確かに他にも要因はたくさんありますけれども、その一番大きい要因、これだけの差がでてくるのだというところのポイントは、余り外していただきたくないなという気はしています。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 今後に向けた取組を書く欄ですので、やはりどうしてもそれを書いておきませんと、先生がおっしゃったとおり、中国が伸びていて困っているとか、そういうことは、そういう一文があってもいいけれども、では、どうするのかという部分を明記する必要があるという御意見だと思います。
 そういう中で、やはり間違いになってきたので、倍増、倍増をよしとするわけではない段階に来ているというのももちろんでございます。今、これから取り組むべき要因としては、やはり若手を中心とした研究支援環境の整備を強化すべきであるということを、ばしっと書いておかないと、何をすればいいかという部分が読みにくいということかと思います。
 先ほどの基盤設備の点を含めて、その後に、特に若手の研究支援、環境整備ということを、どこかで明文化して、括弧を1個作るなどして入れた方がいいのではないかと思います。例えば、若手が海外から帰国して、用意されたのが、とりあえず自分1人で五、六年やってみてくださいと言われたという。アメリカでは、いろいろなサポート体制が整っていて、エフォート100%で研究していたのに、そういう中で研究生産性が当然落ちるでしょうと、そういう課題です。その後に明記しておくべきだという御意見だと思います。
【川端委員】  今の御意見に付け足しです。10ページの、若手もそうだし、いろんな人もそうですけど、大きいバジェットをバンと取ったときに、その人がハローワークに行って、支援員を雇いに行ってという、そういうこと自体を避けるためには、要するに研究支援の体制が必要です。そういう体制を組織として持ち、それを若手がもし、若手も含めて、あるバジェットを取ったときに、その人がすぐに研究に当たれるように、例えば、リクルーティングであったり、周りの設備の環境を整えたりというようなことをやれる体制整備をやることが必要です。ここはつい、URAとその人材がどうのこうのって、人材さえいればみたいな感じですけど、それだけではなくて、そういうところが組織としての体制であり、そこの整備も入れていただけると思います。
【沼上委員】  いいですか。
 マネジメントの話が少し出てくるところなので、私自身が少し悩んでいることを申し上げておきます。これは果たして、研究のマネジメントの能力というのは、若い人に身に付けさせるべきなのか、もっと年がいってから身に付けさせるべきものなのか、あるいは場合によっては、この種のことに長けた人がいろんな大学にアドバイスをするという外部のサービスを提供する人にある程度任せるべきなのか。私はマネジメントの教師なので、多くの人に学んでいただけると需要が増えて大変うれしいのですが、若い人が本当にそこまで学べる時間があるのでしょうか。あるいは、ある年齢ぐらいから始めないと、その種の能力が身に付かないかどうかですとか、このあたりをもう少し考えないと、もっと研究にのめり込んでひたすら楽しく研究しているという時期に、マネジメント能力などいう必要が本当にあるかというところが、若干心配です。
【川端委員】  僕もそれは大賛成だと思います。例えば、若手を幾つに定義するかは別にして、30代の中盤ぐらい、ちょっと後半ぐらいまでは専念をできるだけさせてあげる。教育は、少しぐらいは経験としてさせますけど、マネジメントのしごきというのは、その後半から始めた方が、企業の中でも、大体35を越えてから始めますから、そういうものだと思えばそのような配慮がこの中に出ていていいような気がします。
【宮浦主査】  現在議論しておりますのは、10ページか11ページあたり、大学教員のマネジメントの問題ですとか、マネジメント、そもそも30歳前後からしっかりやってもらうべきかどうか疑問だということです。
 研究エフォートを確保して、若手が独創的な研究をするためには、マネジメントの時間ではなく、研究の時間をしっかり確保した方がいいという考え方。
【川端委員】  頭に「大学経営の観点から」と書いているから、そういうマネジメントはそういう年齢からするべきだと言っています。ラボの中のマネジメントは当たり前のようにしてもらわないと、助教と、多分、PDと。
【石丸人材政策推進室長】  今、並行して、10ページから11ページに掛けての、いわゆる大学のガバナンスといいますかマネジメントのところの御議論と、8ページの研究者の育成の際の研究マネジメント能力という御議論と2つをコメント頂いたところでございます。
 いずれも大切な御指摘だと受け止めているところでございまして、まず、沼上先生おっしゃられました8ページの方に掛かるところでございますが、大変重要なポイントだと思ってございます。
 実は前回の合同部会で小林先生からも、日本が独自に博士課程、ポスドク、若手、そしてPIという形で切って研究人材の育成をしていたということがございまして、9ページの上から2つ目でございますけれども、そういったステージにとらわれずに、一貫した継続的な育成を図っていくべきだという御提言を頂きまして、そこを9ページ目の2つ目のポイントに入れているところでございます。そういうことを考えますと、若手に限らず、キャリアの適切な時期にという視点もやはり重要かと思いまして、今そういった観点から、沼上先生の貴重な御意見を承ったところでございます。
 ちょっと全体の整合性にかかわるところでございますので、また事務局でも、ここのことについては引き続き検討させていただければありがたいなと思っているところでございます。
 後半のマネジメントのことは、また別の議論になるかと思いますので、引き続き御審議いただければ幸いでございます。
【宮浦主査】  後半といいますと、11ページですね。いわゆる基本的なマネジメント能力を付けておくべきだという議論ではなくて、組織としてのマネジメントの話題が後半に書かれております。
 また、URAが書いてありますけど、URAの扱いもいかがでしょうか。議論が、たしかあったように記憶しています。
【川端委員】  ごめんなさい。さっきの話を蒸し返しますけど、さきほどのマネジメントというのは2つに切り分けられていて、研究に関するマネジメント、それは当然、若い頃から順々に積み重ねて上げていきます。11ページに書かれている「大学経営の観点から、大学教員の職務時間マネジメントを行うとともに」という、この部分に関しては、若手は早い時期からやる必要はないという、そういう意味では、あるところの経験を積んだ上に、こういうような話が始まるというのは、少しでも書いた方がいいのかなというような話です。
 さきほど最初に言ったように、「URA等の研究支援人材」という表現は、もうそろそろやめた方がよく、今は非常に多様化している部分なのでという話と、下の質保証制度というのも、まだまだ議論がされるべきであって、このようなものを作ろうということ自体を、本当に作るのかどうかも含めて議論すべきだと思います。
【湊委員】  よろしいですか。
【宮浦主査】  どうぞ。
【湊委員】  今、事務の方から言われたのは、随分大事なポイントだと思います。
 9ページ等々で議論されているのは、これはPIとは何かということの定義で、PIというのは、さきほどから繰り返しますが、試験管を振るだけがPIではなくて、いろいろな資質、教育を含めてですが、が求められます。ここにはイギリスの例が出ており、図が幾つか出されていましたが、PIに求められる幾つかの資質があって、そういうものをどう総合的にやっていくというのは、これは1つの局面として大事なことだと思います。これはマネージとは言わないと思います。これは文字どおりプロフェッショナル・デベロップメントです。
 10ページからの議論になりますと、今度は若手を中心とした大学教員の研究力強化に向けて、制度を周辺からどうサポートできるかということです。今、お話があったとおりで、ここにある職務時間のマネジメントという表現に僕が余りしっくりこないのは、とくにドイツではよく言われますけれど、国や機関が研究者を管理することはあり得ません。研究体制は管理するけれど、大学は研究者を絶対に管理しないわけです。ですから、ここは包括的に、PIを制度的にどのように、特に研究力強化に向けてサポートできるか、例えば先進研究施設をいかに充実し更新していくかという問題になりますし、URA等々を含めたサポートやいろいろな事務的なサポート、それから、沼上先生がおっしゃった、プロジェクトマネジメントも非常に重要です。これは若手にはやはり無理です。そういったプロジェクトマネジメントをきちんと、代行するのではなくてサポートしていく、教えながらやっていく、そういった幾つかのフェーズの支援で、研究者に実際にフルに機能的に活動する場を与えていくかというところの全体的構図が、日本はおおむね弱いというのが私の認識です。ここで、マネジメントという言葉が突然出てくると、研究者は皆びっくりします。研究者は何を管理されるのだろうと思ってしまいます。研究者を管理することはあり得ないですよね。そこのめり張りを少し付けていただいたらいかがでしょうか。
【宮浦主査】  今のマネジメント、10ページのところですね。括弧の下のところ。「大学教員の勤務時間マネジメント等による研究時間の確保」の部分に少し違和感がありますということで、「大学教員の研究時間確保のための支援体制の強化」とか。
【湊委員】  そういうことでしょうね。
【宮浦主査】  そういう感じで、本当にやるべきことをしっかり書いておく。支援体制、サポート体制もいろいろありますので、その例を示して、URAはその例でしょうし、そこでマネジメント能力を若手のときから順次付けていくのも支援体制の1つであるし、そういうちょっとポジティブな雰囲気で、勤務時間に縛られる動きではなく、縛ろうとしても縛れないのが、研究者も勝手に働きますので、そういう雰囲気でなく、むしろ支援体制というカテゴリーでまとめておいた方がいいのではないかという気がしています。
 そのほか、いかがでしょうか。任期を少し、5年から10年程度、一定期間確保することの重要性というのも書いていただいております。これは二、三年の短いものを少し長い目で見て若手を育成すべきだと考えた、たしか東京大学も10年にされるなど、試みは始まっていると思います。
 最後に、留意すべき点というのが、別立てで、(5)です。別立てといいますか、最後にまとめという感じで入っております。留意すべき点というのは、最後にちょっと重点項目を並べておくという、そういうイメージでしょうか。
【石丸人材政策推進室長】  今、宮浦先生におっしゃっていただきましたように、今後の取組を推進していくに当たっての全体に通じる留意すべき点ということで挙げさせていただきました。
【沼上委員】  これ、皆さんと意見が一致しないかもしれないので、私の勝手な意見として述べさせていただきますが、関連施策が有機的に体系化している場合、総合的に取り組むのではなくて、通常は良循環を回すために特定のところに集中することが戦略的に重要な打ち手になるというのが我々の領域のポイントなので、総合的に取り組むというよりは、全体がうまく回るように、一番のへそのところを集中的に取り組むというような表現であると、私としては望ましいと思うのですが。しかし、いろんなところで、あれは考えたか、これは考えたかとかいうようなチェックをされていくと、やはり総合的に取り組まなければならないという議論は十分あり得るとは思いますけれども、やはり選択と集中というか、ある部分に集中的にエネルギーを投入することで、全体がうまく回っていくという、そのシナリオを作っていくことが非常に重要だというふうに私は思っております。
【宮浦主査】  ありがとうございます。後で書きぶりを少し検討させていただきます。
 次の丸で、ここでもまた再び「人事給与マネジメント改革」と出てきますので、先ほどの議論がありましたので、留意事項、人事給与マネジメントを中心に、ここに書いておくかどうかは、ちょっと検討が必要かもしれません。先ほどの議論でいかがですか。留意すべき点でよろしいでしょうか。経営努力の部分。経営判断。一般論として入っているのは、留意点としていいかなとは思います。
 それから、平成30年から今後10年間で、人口構成、さらに18歳人口は減ってまいりますので、24歳人口ですかね。それを踏まえた取組が必要という、おまとめいただいた上で、最後に4ポツが「おわりに」ということになっております。
 最初に現状把握をした上で、取り組むべき課題を明確化してきたという流れですので、ここの部分が明確化できなかったというような御指摘がございましたら、ちょっと検討が必要かもしれないと思っているところですが、おおむね細かい文言はさておきまして、若手に特化ということでよろしいですかね。若手を中心に取りまとめるということですと、取組の方向性は入っているかなと思うのですが。
 また、いろいろな意見が出ましたので、1度整理をしまして、もう一度見ていただく機会が必要だと感じました。
 また、親委員会といいますか、人材委員会と大学院部会の方にも掛ける必要がございますので、こちらでまた御意見が出ると思いますので、それも含めてまとめていくという作業が必要になってくるかと思います。
 特段ないようでございましたら、本日いろいろ御意見頂きましたので、これを踏まえまして改訂をするということで、まずはこの論点整理につきまして、今申し上げましたように、人材委員会と大学院部会の御意見を頂く必要がございます。御意見頂く紙を出す前に、本日の御意見を反映させる作業が必要かと思います。反映させた上で、両委員会、親委員会に出しまして、そこの御意見をまた反映させた上で、次回の合同部会が最終になると思うのですが、そこで御確認をいただくというような方向になるかと思います。
 本日、御意見頂戴いたしました部分につきましては、私の方に御一任いただければ、その内容を確認させていただきたいと思っております。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、本日の議論の反映につきましては御一任いただいたということで、私の方で確認をさせていただきます。
 事務局の方から、何か、そのほかコメント等ございますでしょうか。
【石丸人材政策推進室長】  本日まで5回にわたりまして、十分な審議時間、確保できない中ではございましたけれども、貴重な御議論をいただき、本日、素案のお取りまとめをいただきましたことに、事務局より御礼を申し上げたく存じております。
 本日も様々な御提言を頂きました。研究エフォート、あるいは若手研究者を育成するためのシニアや中堅の役割、そのほかの構成についても様々な御意見を頂きました。事務局として真摯に取り組み、人材委員会、そして大学院部会での議論につなげて、またフィードバックしていきたいと思っております。
 今後、Society 5.0実現に向けた研究人材の在り方といった観点からも、人材委員会等において御議論を賜りたく存じておりますところ、引き続き御審議にお力添え賜れば幸いでございます。
 以上でございます。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 それでは、最後に事務局からスケジュール等の御連絡はございますか。
【広瀬基礎人材企画係長】  事務局でございます。
 今後のスケジュールでございますけれども、次回の合同部会の開催時期につきましては、人材委員会及び大学院部会、親会議の方の審議日程等を踏まえまして、主査と御相談させていただきまして、その上で委員の皆様、日程調整の上、改めて御連絡させていただきたいと思います。
 また、本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にお目通しいただきまして、主査の御確認の上、文部科学省のホームページを通じて公表させていただきます。
 本日の資料につきましては、机上に残していただきましたら、追って事務局の方より郵送させていただきます。
 以上でございます。
【宮浦主査】  それでは、委員の皆様、ありがとうございました。本日は閉会とさせていただきます。


―― 了 ――

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