第1回合同部会における主な意見

参考資料1


第1回合同部会における主な意見


【博士課程への進学について】

○ 博士課程への進学については、企業の採用スケジュールなど修士学生の進路決定プロセスを踏まえて学生にアプローチをすることが重要であり、その観点からは、特別研究員(DC)の採用内定の時期を前倒しすることが考えられる。

○ 博士課程に進学しなかった人は、民間企業などにおける博士課程修了者の雇用拡大が進学促進に必要であるなどと答えるが、進学した人は必ずしも博士課程修了後のキャリアパスを判断材料としているわけではない。学生が博士課程に進学する意思決定プロセスに着目することも重要である。

○ Society 5.0ということを考えた時、博士人材については、社会をどう設計するかという視点を身に付けていることが求められ、教育における文理融合が重要である。

○ 博士課程への進学状況については、例えば、社会科学分野ではようやく修士修了者の需要が出てきたところであるなど、分野により事情が異なることに留意する必要がある。

【研究人材のキャリア形成について】

○ 博士人材の企業への採用については、企業の人事部経由の一般採用でなく、研究所採用に乗せるなど工夫が必要である。

○ 大学側が産業界の考え方を理解した上で、産業界にとって魅力的な人材を提示することが重要である。例えば、企業としては、科研費に採択された研究計画ばかりではなく、科研費に落ちた研究計画にも価値があると見ており、そのような観点も踏まえて人材を提示することが重要である。

○ 企業側としては、就職したい博士人材でなく、研究をしたい博士人材を採りたい。シーズ集のような形で大量な人材情報を渡されても企業では困ってしまう。その人材がどのように優れているのが分かるようにフィルタリングされた情報を頂きたい。卓越研究員制度の改善を図ることも考えられるが、企業との共同研究を通じて人材の見極めを行うことが有効であると思う。

○ 企業のみを対象とした卓越研究員事業を用意することも考えられる。

○ 博士人材の企業へのキャリア支援については、個々の博士人材ごとにきめ細かな対応が必要であり、学部生を対象とするキャリアセンターでは対応することが困難である。企業へのマッチングのノウハウなどは担当者個人に依存しており、担当者の退職等により失われてしまう状況にある。今後は組織的な対応が必要である。

○ 博士人材のキャリア支援については、各大学で対応するには負担が大きく、規模の大きな大学においても困難である。ナショナルセンターのようなものを考えることが必要である。

【若手研究人材の研究・雇用環境について】

○ 若手研究者の雇用を巡る状況は随分と変わってきており、ポスドクは5年や10年もすれば、何らかのポストに就職できるようになっていることに留意することが必要である。

○ 多様な財源により若手研究者が雇用されるようになっていることから、財源や任期の有無ではなく、任期の長さに着目していくことが重要ではないか。

○ 教育・研究・社会貢献の各分野において大学教員の業務が増えている中、大学教員の時間の質を向上させるためには、マネジメントやアドミニストレーションの観点からの対応が必要であり、そのための大学経営人材の育成が求められる。

【その他、全般について】

○ 研究人材の量の確保なのか、質の向上なのかなど、施策の対象や目的などを整理する必要がある。例えば、トップの研究人材を対象としている卓越研究員事業によって、産業界との流動性の向上など量的な課題に対応することは困難である。

○ 研究人材の育成・確保については、研究者の研究・雇用環境が悪化し、博士課程への進学も減少し、悪循環に陥っているように思われる。このような状況下においては、経営戦略の観点からは、「選択と集中」によって重点分野を決め、3~5年間かけて集中的に対応していくことが必要である。

○ 各大学が個性を追求するようになってきた中、国では取組の方向性をあまり限定せず、各大学がそれぞれの実情に合わせて工夫できるようにして頂きたい。


以上


(参考)

科学技術・学術審議会総会(第59回)(平成30年3月23日)における主な意見

○ 研究者数について、人口減少に伴い減少してよいわけではない。イギリスやドイツ、フランス等の日本より人口の小さい国が、研究者数の確保を図り、日本より多くの論文成果を出している現状も踏まえ、我が国の研究力の維持向上に必要な研究者数を考えることが重要である。

○ 海外では給与を受け取っている博士課程学生が多い。博士課程学生の給与制についても議論することが重要である。

○ 大学の教員は、教育にかなりのエフォートを割いている。教育と研究のバランスを考えて、研究時間の確保について検討することが大切である。

○ 研究成果を出すためには、研究人材だけでなく研究支援者も重要。我が国は諸外国と比べて研究支援者数が少なく、その育成・確保が必要である。

○ 若手研究者の裾野を広げていくことが重要であり、若手研究者のポストを任期付きでない魅力的なものとするため、国立大学の人事給与マネジメント改革が必要である。

○ 修士課程から博士課程に進学する人だけを前提とするのではなく、社会人を経験してから博士課程に進学する人も増えている中、人生100年時代を見据え、多様なキャリアパスについて考えていくことが重要である。

○ 女性研究者は、その後のキャリアパスが見通せないために研究者の道を断念している。研究力向上のために女性研究者の活用は非常に重要であり、本格的に取り組むべき。

○ 中国では、研究者に1年間の海外留学を義務付けるなど、国際性の涵養に力を入れている。研究力向上のためには国際ネットワークの構築が必要であり、我が国においても、研究者の海外での研鑽の機会の確保を支援していくことが重要である。

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