ここからサイトの主なメニューです

諮問第9号「ヒトES細胞の樹立及び分配に関する指針について」

21文科振第6093号
平成21年5月29日

総合科学技術会議議長
麻生太郎殿

文部科学大臣
塩谷 立

 

内閣府設置法第26条第1項第2号の規定に基づき、次の事項について、理由及び別添のとおり案を添えて諮問します。

理由

 ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(平成21年文部科学省告示第84号。以下「現行指針」という。)を改正し、ヒトES細胞の樹立及び分配に関する指針を策定するため案を作成したので、現行指針の附則第2条第2項に基づき、貴会議に意見を聴くことが必要なため。

別添 ヒトES細胞の樹立及び分配に関する指針(案)

目次

第一章 総則(第一条—第四条)
第二章 ヒトES細胞の樹立等(第五条—第二十条)
 第一節 樹立の要件等(第五条—第七条)
 第二節 樹立等の体制(第八条—第十二条)
 第三節 樹立の手続(第十三条—第十七条)
 第四節 樹立に必要なその他の事項(第十八条—第二十条)
第三章 ヒトES細胞の樹立に必要なヒト受精胚等の提供(第二十一条—第三十八条)
 第一節 第一種樹立に必要なヒト受精胚の提供(第二十一条—第二十六条)
 第二節 第二種樹立に必要な未受精卵等の提供(第二十七条—第三十二条)
 第三節 第二種樹立に必要なヒトの体細胞の提供(第三十三条—第三十八条)
第四章 ヒトES細胞の分配(第三十九条—第五十三条)
 第一節 分配の要件(第三十九条—第四十一条)
 第二節 分配機関(第四十二条—第五十一条)
 第三節 海外使用機関に対する分配(第五十二条・第五十三条)
第五章 雑則(第五十四条・第五十五条)
附則
 ヒトES細胞の樹立及び使用は、医学及び生物学の発展に大きく貢献する可能性がある一方で、人の生命の萌芽であるヒト胚を使用すること、ヒトES細胞がヒト胚を滅失させて樹立されたものであること、また、すべての細胞に分化する可能性があること等の生命倫理上の問題を有することにかんがみ、慎重な配慮が必要とされる。
 文部科学大臣は、「ヒト胚性幹細胞を中心としたヒト胚研究に関する基本的考え方」(平成十二年三月六日科学技術会議生命倫理委員会ヒト胚研究小委員会)、「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」(平成十六年七月二十三日総合科学技術会議)及び「人クローン胚の研究目的の作成・利用のあり方について(第一次報告)」(平成二十年二月一日科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会)の考え方を踏まえ、ヒトES細胞の樹立及び分配において、人の尊厳を侵すことのないよう、生命倫理上の観点から遵守すべき基本的な事項を定め、もってその適正な実施の確保を図るため、ここにこの指針を定める。

第一章 総則

(定義)

第一条 この指針において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 胚 ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律(平成十二年法律第百四十六号。以下「法」という。)第二条第一項第一号に規定する胚をいう。
二 ヒト胚 ヒトの胚(ヒトとしての遺伝情報を有する胚を含む。)をいう。
三 ヒト受精胚 法第二条第一項第六号に規定するヒト受精胚をいう。
四 人クローン胚 法第二条第一項第十号に規定する人クローン胚をいう。
五 ヒトES細胞 ヒト胚から採取された細胞又は当該細胞の分裂により生ずる細胞であって、胚でないもののうち、多能性(内胚葉、中胚葉及び外胚葉の細胞に分化する性質をいう。)を有し、かつ、自己複製能力を維持しているもの又はそれに類する能力を有することが推定されるものをいう。
六 分化細胞 ヒトES細胞が分化することにより、その性質を有しなくなった細胞をいう。
七 樹立 特定の性質を有する細胞を作成することをいう。
八 第一種樹立 ヒト受精胚を用いてヒトES細胞を樹立すること(次号に掲げるものを除く。)をいう。
九 第二種樹立 人クローン胚を作成し、作成した人クローン胚を用いてヒトES細胞を樹立することをいう。
十 樹立機関 ヒトES細胞を樹立する機関をいう。
十一 第一種樹立機関 第一種樹立を行う機関をいう。
十二 第二種樹立機関 第二種樹立を行う機関をいう。
十三 第一種提供医療機関 第一種樹立の用に供されるヒト受精胚の提供を受け、これを第一種樹立機関に移送する医療機関をいう。
十四 第二種提供医療機関 第二種樹立の用に供される人クローン胚を作成するために必要なヒトの未受精卵又はヒト受精胚(以下「未受精卵等」という。)の提供を受け、これを第二種樹立機関に移送する医療機関をいう。
十五 体細胞提供機関 第二種樹立の用に供される人クローン胚を作成するために必要なヒトの体細胞(以下単に「体細胞」という。)の提供を受け、これを第二種樹立機関に移送する機関をいう。
十六 分配機関 第三者に分配することを目的として樹立機関から寄託されたヒトES細胞の分配をし、及び維持管理をする機関をいう。
十七 使用機関 ヒトES細胞を使用する機関(日本国外にある事業所においてヒトES細胞を使用する機関(以下「海外使用機関」という。)を除く。)をいう。
十八 樹立計画 樹立機関が行うヒトES細胞の樹立及び分配(海外使用機関に対する分配を除く。)に関する計画をいう。
十九 海外分配計画 樹立機関又は分配機関が行うヒトES細胞の海外使用機関に対する分配に関する計画をいう。
二十 使用計画 使用機関が行うヒトES細胞の使用に関する計画をいう。
二十一 樹立責任者 樹立機関において、ヒトES細胞の樹立及び分配を総括する立場にある者をいう。
二十二 分配責任者 分配機関において、ヒトES細胞の分配を総括する立場にある者をいう。
二十三 使用責任者 使用機関において、ヒトES細胞の使用を総括する立場にある者をいう。
二十四 インフォームド・コンセント 十分な説明に基づく自由な意思による同意をいう。

(適用の範囲)

第二条 ヒトES細胞の樹立及び分配(基礎的研究に係るものに限る。)は、この指針に定めるところにより適切に実施されるものとする。

(ヒト胚及びヒトES細胞に対する配慮)

第三条 ヒト胚及びヒトES細胞を取り扱う者は、ヒト胚が人の生命の萌芽であること並びにヒトES細胞がヒト胚を滅失させて樹立されたものであること及びすべての細胞に分化する可能性があることに配慮し、人の尊厳を侵すことのないよう、誠実かつ慎重にヒト胚及びヒトES細胞の取扱いを行うものとする。

(ヒト胚の無償提供)

第四条 ヒトES細胞の樹立の用に供されるヒト胚は、必要な経費を除き、無償で提供されるものとする。

第二章 ヒトES細胞の樹立等

第一節 樹立の要件等

(ヒトES細胞の樹立の要件)

第五条 ヒトES細胞の樹立は、次に掲げる要件を満たす場合に限り、行うことができるものとする。
一 ヒトES細胞の使用に関する指針(平成二十一年文部科学省告示第   号)に規定する使用の要件を満たしたヒトES細胞の使用の方針が示されていること。
二 新たにヒトES細胞を樹立することが、前号に定める使用の方針に照らして科学的合理性及び必要性を有すること。

(樹立の用に供されるヒト胚に関する要件)

第六条 第一種樹立の用に供されるヒト受精胚は、次に掲げる要件を満たすものとする。
一 生殖補助医療に用いる目的で作成されたヒト受精胚であって、当該目的に用いる予定がないもののうち、提供する者による当該ヒト受精胚を滅失させることについての意思が確認されているものであること。
二 ヒトES細胞の樹立の用に供されることについて、適切なインフォームド・コンセントを受けたものであること。
三 凍結保存されているものであること。
四 受精後十四日以内(凍結保存されている期間を除く。)のものであること。
2 第一種提供医療機関によるヒト受精胚の第一種樹立機関への提供は、ヒトES細胞の樹立に必要不可欠な数に限るものとする。
3 第一種樹立機関は、提供されたヒト受精胚を遅滞なくヒトES細胞の樹立の用に供するものとする。
4 第二種樹立の用に供される人クローン胚は、特定胚の取扱いに関する指針(平成二十一年文部科学省告示第八十三号。以下「特定胚指針」という。)に基づいて作成されたものに限るものとする。

(樹立機関内のヒト胚等の取扱い)

第七条 樹立機関におけるヒト胚及び未受精卵の取扱いは、医師又は医師の指導により適切に行われるものとする。

第二節 樹立等の体制

(樹立機関の基準)

第八条 樹立機関は、次に掲げる要件を満たすものとする。
一 ヒトES細胞の樹立及び分配をするに足りる十分な施設、人員、財政的基礎及び技術的能力を有すること。
二 ヒトES細胞の樹立及び分配について遵守すべき技術的及び倫理的な事項に関する規則が定められていること。
三 倫理審査委員会が設置されていること。
四 ヒトES細胞の樹立及び分配に関する技術的能力及び倫理的な認識を向上させるために必要な教育及び研修(以下「教育研修」という。)を実施するための計画(以下「教育研修計画」という。)が定められていること。

 
(樹立機関の業務等)

第九条 樹立機関は、ヒトES細胞を樹立することのほか、次に掲げる業務を行うものとする。
一 当該樹立機関で樹立したヒトES細胞の分配をし、及び維持管理をすること(分配機関に寄託をして分配をさせ、及び維持管理をさせる場合を含む。)。
二 一度分配をしたヒトES細胞のうち使用機関において加工されたものを譲り受け、その分配をし、及び維持管理をすること(ヒトES細胞を使用する研究の進展のために合理的である場合に限る。)。
三 使用計画(当該樹立機関が樹立したヒトES細胞を、当該樹立機関から分配を受けて用いるものに限る。)を実施する研究者にヒトES細胞の取扱いに関する技術的研修を行うこと。
2 樹立機関は、ヒトES細胞の樹立、維持管理、分配、返還及び寄託に関する記録を作成し、これを保存するものとする。
3 樹立機関は、ヒトES細胞の樹立、維持管理、分配、返還及び寄託に関する資料の提出、調査の受入れその他文部科学大臣が必要と認める措置に協力するものとする。

(樹立機関の長)

第十条 樹立機関の長は、次に掲げる業務を行うものとする。
一 樹立計画及びその変更の妥当性を確認し、第十三条から第十六条までの規定に基づき、その実施を了承すること。
二 海外分配計画の妥当性を確認し、第五十三条の規定に基づき、その実施を了承すること。
三 ヒトES細胞の樹立の進行状況及び結果並びにヒトES細胞の分配、返還及び寄託の状況を把握し、必要に応じ樹立責任者に対しその留意事項、改善事項等に関して指示を与えること。
四 ヒトES細胞の樹立、分配及び寄託を監督すること。
五 樹立機関においてこの指針を周知徹底し、これを遵守させること。
六 ヒトES細胞の樹立及び分配に関する教育研修計画を策定し、これに基づく教育研修を実施すること。
七 前条第一項第三号に規定する技術的研修について、その実施体制を整備すること。
2 樹立機関の長は、樹立責任者を兼ねることができない。ただし、第八条第二号に規定する規則により前項の業務を代行する者が選任されている場合は、この限りでない。
3 前項ただし書の場合においては、第一項、第十二条第一項、第十三条第一項及び第二項第二号、第十四条第一項、第二項及び第四項、第十五条第一項及び第二項、第十六条第一項から第三項まで、第五項、第六項及び第八項、第十七条、第二十条第一項及び第二項、第二十四条第二項及び第三項、第三十条第二項及び第三項、第三十六条第二項及び第三項、第四十四条第一項第六号、第五十三条第二項第二号及び第四項から第八項までの規定中「樹立機関の長」とあるのは「樹立機関の長の業務を代行する者」と、第五十三条第一項中「当該機関の長」とあるのは「当該機関の長(樹立機関の長の業務を代行する者を含む。)」と、それぞれ読み替えるものとする。

(樹立責任者)

第十一条 樹立責任者は、次に掲げる業務を行うもの とする。
一 ヒトES細胞の樹立に関して、内外の入手し得る資料及び情報に基づき、樹立計画又はその変更の科学的妥当性及び倫理的妥当性について検討すること。
二 前号の検討の結果に基づき、樹立計画を記載した書類(以下「樹立計画書」という。)又は樹立計画の変更の内容及び理由を記載した書類(第十六条第一項及び第六項第一号において「樹立変更計画書」という。)を作成すること。
三 海外分配計画を記載した書類(第五十三条第一項から第三項及び第八項第一号において「海外分配計画書」という。)を作成すること。
四 ヒトES細胞の樹立、分配及び寄託を総括し、並びに研究者に対し必要な指示をすること。
五 ヒトES細胞の樹立が樹立計画書に従い適切に実施されていることを随時確認すること。
六 ヒトES細胞の分配及び寄託が適切に実施されていることを随時確認すること。
七 第十七条第一項及び第二項並びに第二十条第一項に規定する手続を行うこと。
八 当該樹立計画又は海外分配計画を実施する研究者に対し、ヒトES細胞の樹立及び分配に関する教育研修計画に基づく教育研修に参加するよう命ずるとともに、必要に応じ、その他のヒトES細胞の樹立及び分配に関する教育研修を実施すること。
九 第九条第一項第三号に規定する技術的研修を実施すること。
十 前各号に定めるもののほか、樹立、分配及び寄託を総括するに当たって必要となる措置を講ずること。
2 樹立責任者は、一の樹立計画ごとに一名とし、ヒトES細胞に係る倫理的な認識を有し、動物胚を用いたES細胞の樹立の経験その他ヒトES細胞の樹立に関する十分な専門的知識及び技術的能力を有し、かつ、前項各号に掲げる業務を的確に実施できる者とする。

(樹立機関の倫理審査委員会)

第十二条 樹立機関の倫理審査委員会は、次に掲げる業務を行うものとする。
一 この指針に即して、樹立計画又はその変更の科学的妥当性及び倫理的妥当性について総合的に審査を行い、その適否、留意事項、改善事項等に関して樹立機関の長に対し意見を提出すること。
二 この指針に即して、海外分配計画の妥当性について総合的に審査を行い、その適否、留意事項、改善事項等に関して樹立機関の長に対し意見を提出すること。
三 樹立の進行状況及び結果並びに分配、返還及び寄託の状況について報告を受け、必要に応じて調査を行い、その留意事項、改善事項等に関して樹立機関の長に対し意見を提出すること。
2 樹立機関の倫理審査委員会は、前項第一号及び第二号の審査の過程の記録を作成し、これを保管するものとする。
3 樹立機関の倫理審査委員会は、次に掲げる要件を満たすものとする。
一 樹立計画の科学的妥当性及び倫理的妥当性並びに海外分配計画の妥当性を総合的に審査できるよう、生物学、医学及び法律に関する専門家、生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者並びに一般の立場に立って意見を述べられる者から構成されていること。
二 当該樹立機関が属する法人に所属する者以外の者が二名以上含まれていること。
三 男性及び女性がそれぞれ二名以上含まれていること。
四 当該樹立計画又は海外分配計画を実施する研究者、樹立責任者との間に利害関係を有する者及び樹立責任者の三親等以内の親族が審査に参画しないこと。
五 倫理審査委員会の活動の自由及び独立が保障されるよう適切な運営手続が定められていること。
六 倫理審査委員会の構成、組織及び運営並びにその議事の内容の公開その他樹立計画及び海外分配計画の審査に必要な手続に関する規則が定められ、かつ、当該規則が公開されていること。
4 前項に掲げるもののほか、第二種樹立機関の倫理審査委員会は、次に掲げる要件を満たすものとする。
一 前項第一号の医学に関する専門家に、再生医療に関して識見を有する者及び未受精卵等の提供者の受ける医療に関して優れた識見を有する医師が含まれていること。
二 委員の過半数が第二種樹立機関に所属していない者であること。
5 倫理審査委員会の運営に当たっては、第三項第六号に規定する規則により非公開とすることが定められている事項を除き、議事の内容について公開するものとする。

第三節 樹立の手続

(樹立機関の長の了承)

第十三条 樹立責任者は、ヒトES細胞の樹立に当たっては、あらかじめ、樹立計画書を作成し、樹立計画の実施について樹立機関の長の了承を求めるものとする。
2 前項の樹立計画書には、次に掲げる事項を記載するものとする。
一 樹立計画の名称
二 樹立機関の名称及びその所在地並びに樹立機関の長の氏名
三 樹立責任者及び研究者の氏名、略歴、研究業績、教育研修の受講歴及び樹立計画において果たす役割
四 樹立の用に供されるヒト胚に関する説明
五 樹立後のヒトES細胞の使用の方針
六 樹立の目的及び必要性
七 樹立の方法及び期間
八 分配に関する説明
九 樹立機関の基準に関する説明
十 インフォームド・コンセントに関する説明
十一 細胞提供機関(第一種樹立を行う場合には、第一種提供医療機関をいい、第二種樹立を行う場合には、第二種提供医療機関及び体細胞提供機関をいう。以下同じ。)に関する説明
十二 細胞提供機関の倫理審査委員会に関する説明
十三 その他必要な事項
3 第一項の樹立計画書には、第一種樹立を行う場合には第二十四条第三項の説明書を、第二種樹立を行う場合には第三十条第三項及び第三十六条第三項の説明書を、それぞれ添付するものとする。

(樹立機関の倫理審査委員会の意見聴取)

第十四条 樹立機関の長は、前条第一項の規定に基づき、樹立責任者から樹立計画の実施の了承を求められたときは、その妥当性について樹立機関の倫理審査委員会の意見を求めるとともに、当該意見に基づき樹立計画のこの指針に対する適合性を確認するものとする。
2 樹立機関の長は、前項の規定によりこの指針に対する適合性を確認した樹立計画について、当該樹立計画に係るすべての細胞提供機関の長の了解を得るものとする。
3 細胞提供機関の長は、樹立計画を了解するに当たっては、当該機関の倫理審査委員会の意見を聴くものとする。
4 細胞提供機関の長は、樹立計画を了解する場合には、当該機関の倫理審査委員会における審査の過程及び結果を示す書類を添付して、樹立機関の長に通知するものとする。

(文部科学大臣の確認)

第十五条 樹立機関の長は、樹立計画の実施を了承するに当たっては、前条の手続の終了後、当該樹立計画のこの指針に対する適合性について、文部科学大臣の確認を受けるものとする。
2 前項の場合には、樹立機関の長は、次に掲げる書類を文部科学大臣に提出するものとする。
一 第十三条第三項の説明書を添付した樹立計画書
二 樹立機関及び当該樹立計画に係るすべての細胞提供機関の倫理審査委員会における審査の過程及び結果を示す書類、これらの機関の倫理審査委員会に関する事項を記載した書類並びにこれらの機関の倫理審査委員会の構成、組織及び運営並びにその議事の内容の公開その他樹立計画の審査に必要な手続に関する規則の写し
三 ヒトES細胞の樹立及び分配について遵守すべき技術的及び倫理的な事項に関する規則の写し
3 文部科学大臣は、第一項の確認を求められたときは、樹立計画のこの指針に対する適合性について、科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会の意見を求めるとともに、当該意見に基づき確認を行うものとする。

(樹立計画の変更の手続)

第十六条 樹立責任者は、第十三条第二項各号(第二号を除く。)に掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ、樹立計画変更書を作成して、樹立機関の長の了承を求めるものとする。
2 樹立機関の長は、前項の変更(第十三条第二項第十三号に掲げる事項に係るものを除く。)の了承を求められたときは、その妥当性について樹立機関の倫理審査委員会の意見を求めるとともに、当該意見に基づき当該変更のこの指針に対する適合性を確認するものとする。
3 樹立機関の長は、前項の規定によりこの指針に対する適合性を確認した樹立計画の変更の内容が細胞提供機関に関係する場合には、当該変更について当該細胞提供機関の長の了解を得るものとする。
4 細胞提供機関の長は、前項の了解をするに当たっては、当該機関の倫理審査委員会の意見を聴くものとする。
5 樹立機関の長は、第十三条第二項各号(第二号及び第十三号を除く。)に掲げる事項の変更の了承をするに当たっては、当該変更のこの指針に対する適合性について文部科学大臣の確認を受けるものとする。
6 前項の確認を受けようとする樹立機関の長は、次に掲げる書類を文部科学大臣に提出するものとする。
一 樹立計画変更書
二 当該変更に係る樹立機関の倫理審査委員会における審査の過程及び結果を示す書類
三 第三項に規定する場合には、当該変更に係る細胞提供機関の倫理審査委員会における審査の過程及び結果を示す書類
7 文部科学大臣は、第五項の確認を求められたときは、当該変更のこの指針に対する適合性について、科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会の意見を求めるとともに、当該意見に基づき確認を行うものとする。
8 樹立機関の長は、第十三条第二項第二号又は第十三号に掲げる事項を変更したときは、速やかに、その旨を文部科学大臣に届け出るものとする。
9 文部科学大臣は、前項の届出があったときは、当該届出に係る事項を科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会に報告するものとする。

(樹立の進行状況等の報告)

第十七条 樹立責任者は、ヒトES細胞の樹立の進行状況、ヒトES細胞の分配、返還及び寄託の状況並びに提供された未受精卵等及び体細胞の取扱いの状況を樹立機関の長及び樹立機関の倫理審査委員会に随時報告するものとする。
2 樹立責任者は、ヒトES細胞を樹立したときは、速やかに、その旨及び樹立したヒトES細胞株の名称を記載した書類(次項において「樹立報告書」という。)を作成し、樹立機関の長に提出するものとする。
3 樹立機関の長は、樹立報告書の提出を受けたときは、速やかに、その写しを樹立機関の倫理審査委員会及び文部科学大臣に提出するものとする。
4 樹立機関の長は、樹立したヒトES細胞を維持管理している間は、少なくとも毎年一回、文部科学大臣に当該ヒトES細胞の分配、返還及び寄託の状況を報告するものとする。

第四節 樹立に必要なその他の事項

(研究成果の公開)

第十八条 ヒトES細胞の樹立により得られた研究成果は、原則として公開するものとする。
2 樹立機関は、ヒトES細胞の樹立により得られた研究成果を公開する場合には、当該ヒトES細胞の樹立がこの指針に適合して行われたことを明示するものとする。

(樹立機関に関する特例)

第十九条 複数の機関が連携して樹立機関の業務を行うことができるものとする。
2 前項の場合において、各機関は、各機関ごとの役割分担及び責任体制に関する説明を樹立計画書に記載するとともに、各機関ごとに、樹立計画又はその変更(第十三条第二項第二号及び第十三号に掲げる事項に係る変更を除く。)について、当該機関に設置された倫理審査委員会の意見を聴くものとする。

(樹立計画の終了)

第二十条 樹立責任者は、樹立計画を終了したときは、速やかに、その旨及び樹立の結果を記載した書類(次項において「樹立計画完了報告書」という。)を作成し、樹立機関の長に提出するものとする。
2 樹立機関の長は、樹立計画完了報告書の提出を受けたときは、速やかに、その写しを樹立機関の倫理審査委員会及び文部科学大臣に提出するものとする。
3 樹立機関は、樹立計画が終了した場合には、その保有するヒトES細胞を分配機関に譲渡する等により、ヒトES細胞の適切な取扱いを図るものとする。

第三章 ヒトES細胞の樹立に必要なヒト受精胚等の提供

第一節 第一種樹立に必要なヒト受精胚の提供

(第一種提供医療機関の基準)

第二十一条 第一種提供医療機関は、次に掲げる要件を満たすものとする。
一 ヒト受精胚の取扱いに関して十分な実績及び能力を有すること。
二 倫理審査委員会が設置されていること。
三 ヒト受精胚を提供する者の個人情報の保護のための十分な措置が講じられていること。
四 ヒト受精胚を滅失させることについての意思の確認の方法その他ヒト受精胚の取扱いに関する手続が明確に定められていること。

(第一種提供医療機関の倫理審査委員会)

第二十二条 第一種提供医療機関の倫理審査委員会は、この指針に即して、樹立計画又はその変更の科学的妥当性及び倫理的妥当性について総合的に審査を行い、その適否、留意事項、改善事項等に関して第一種提供医療機関の長に対し意見を提出する業務を行うものとする。
2 第一種提供医療機関の倫理審査委員会は、前項の審査の過程の記録を作成し、これを保管するものとする。
3 第一種提供医療機関の倫理審査委員会は、次に掲げる要件を満たすものとする。
一 樹立計画の科学的妥当性及び倫理的妥当性を総合的に審査できるよう、生物学、医学及び法律に関する専門家、生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者並びに一般の立場に立って意見を述べられる者から構成されていること。
二 当該第一種提供医療機関が属する法人に所属する者以外の者が二名以上含まれていること。
三 男性及び女性がそれぞれ二名以上含まれていること。
四 当該樹立計画を実施する研究者、樹立責任者との間に利害関係を有する者及び樹立責任者の三親等以内の親族が審査に参画しないこと。
五 倫理審査委員会の活動の自由及び独立が保障されるよう適切な運営手続が定められていること。
六 倫理審査委員会の構成、組織及び運営並びにその議事の内容の公開その他樹立計画の審査に必要な手続に関する規則が定められ、かつ、当該規則が公開されていること。
4 倫理審査委員会の運営に当たっては、前項第六号に規定する規則により非公開とすることが定められている事項を除き、議事の内容について公開するものとする。

(インフォームド・コンセントの手続)

第二十三条 第一種提供医療機関は、ヒト受精胚を第一種樹立に用いることについて、当該第一種樹立に必要なヒト受精胚の提供者(当該ヒト受精胚の作成に必要な生殖細胞を供した夫婦(婚姻の届出をしていないが事実上夫婦と同様の関係にある者を除く。)をいう。以下この節において同じ。)のインフォームド・コンセントを受けるものとする。
2 前項のインフォームド・コンセントは、書面により表示されるものとする。
3 第一種提供医療機関は、第一項のインフォームド・コンセントを受けるに当たり、ヒト受精胚の提供者の心情に十分配慮するとともに、次に掲げる要件を満たすものとする。
一 ヒト受精胚の提供者が置かれている立場を不当に利用しないこと。
二 同意の能力を欠く者にヒト受精胚の提供を依頼しないこと。
三 ヒト受精胚の提供者によるヒト受精胚を滅失させることについての意思が事前に確認されていること。
四 ヒト受精胚の提供者が提供するかどうか判断するために必要な時間的余裕を有すること。
五 インフォームド・コンセントの受取後少なくとも三十日間は、当該ヒト受精胚を保存すること。
4 ヒト受精胚の提供者は、当該ヒト受精胚が保存されている間は、インフォームド・コンセントを撤回することができるものとする。

(インフォームド・コンセントの説明)

第二十四条 前条第一項に規定するインフォームド・コンセントに係る説明は、第一種樹立機関が行うものとする。
2 第一種樹立機関は、当該第一種樹立機関に所属する者(樹立責任者を除く。)のうちから、当該第一種樹立機関の長が指名する者に前項の説明を実施させるものとする。
3 前項の規定により第一種樹立機関の長の指名を受けた者は、第一項の説明を実施するに当たり、ヒト受精胚の提供者に対し、次に掲げる事項を記載した説明書を提示し、分かりやすく、これを行うものとする。
一 ヒトES細胞の樹立の目的及び方法
二 ヒト受精胚が樹立過程で滅失することその他提供されるヒト受精胚の取扱い
三 予想されるヒトES細胞の使用方法及び成果
四 樹立計画のこの指針に対する適合性が第一種樹立機関、第一種提供医療機関及び国により確認されていること。
五 ヒト受精胚の提供者の個人情報が第一種樹立機関に移送されないことその他個人情報の保護の具体的な方法
六 ヒト受精胚の提供が無償で行われるため、提供者が将来にわたり報酬を受けることのないこと。
七 ヒトES細胞について遺伝子の解析が行われる可能性のあること及びその遺伝子の解析が特定の個人を識別するものではないこと。
八 ヒトES細胞からヒト受精胚の提供者が特定されないため、研究成果その他の当該ヒトES細胞に関する情報がヒト受精胚の提供者に開示できないこと。
九 ヒトES細胞の樹立の過程及びヒトES細胞を使用する研究から得られた研究成果が学会等で公開される可能性のあること。
十 ヒトES細胞が第一種樹立機関において長期間維持管理されるとともに、使用機関に無償で分配をされること。
十一 ヒトES細胞(分化細胞を含む。)から有用な成果が得られた場合には、その成果から特許権、著作権その他の無体財産権又は経済的利益が生ずる可能性があること及びこれらがヒト受精胚の提供者に帰属しないこと。
十二 提供又は不提供の意思表示がヒト受精胚の提供者に対して何らの利益又は不利益をもたらすものではないこと。
十三 同意を得た後少なくとも三十日間はヒト受精胚が第一種提供医療機関において保存されること及びその方法、並びに当該ヒト受精胚が保存されている間は、同意の撤回が可能であること及びその方法
十四 その他必要な事項
4 第一種樹立機関は、第一項の説明を実施するときは、ヒト受精胚の提供者の個人情報を保護するため適切な措置を講ずるとともに、前項の説明書及び当該説明を実施したことを示す文書(次条第一項において「説明実施書」という。)をヒト受精胚の提供者に、その写しを第一種提供医療機関にそれぞれ交付するものとする。
5 第一種樹立機関は、最新の科学的知見を踏まえ、正確に第一項の説明を行うものとする。

(インフォームド・コンセントの確認)

第二十五条 第一種提供医療機関の長は、樹立計画に基づくインフォームド・コンセントの受取の適切な実施に関して、第二十三条第二項の書面、前条第三項の説明書及び説明実施書を確認するとともに、当該第一種提供医療機関の倫理審査委員会の意見を聴くものとする。
2 第一種提供医療機関の長は、ヒト受精胚を第一種樹立機関に移送するときには、前項の確認を行ったことを文書で第一種樹立機関に通知するものとする。
3 前項の通知を受けた場合には、第一種樹立機関の長は、当該通知の写しを文部科学大臣に提出するものとする。

(ヒト受精胚の提供者の個人情報の保護)

第二十六条 第一種樹立に携わる者は、ヒト受精胚の提供者の個人情報の保護に最大限努めるものとする。
2 前項の趣旨にかんがみ、第一種提供医療機関は、ヒト受精胚を第一種樹立機関に移送するときには、当該ヒト受精胚とその提供者に関する個人情報が照合できないよう必要な措置を講ずるものとする。

第二節 第二種樹立に必要な未受精卵等の提供

(第二種提供医療機関の基準)

第二十七条 第二種提供医療機関は、次に掲げる要件を満たすものとする。
一 未受精卵等の取扱いに関して十分な実績及び能力を有すること。
二 倫理審査委員会が設置されていること。
三 未受精卵等を提供する者の個人情報の保護のための十分な措置が講じられていること。
四 未受精卵等を提供することについての意思の確認の方法その他ヒト受精胚の取扱いに関する手続が明確に定められていること。
2 未受精卵等の提供者が第二種提供医療機関において医療を受けている場合には、第二種提供医療機関は、説明担当医師(未受精卵等の提供者に対し、当該提供の方法及び提供後の取扱いに関する説明を行う医師であって、産科及び婦人科の診療に優れた識見を有する医師をいう。)及びコーディネータ(未受精卵等の提供者に対し、当該提供に関する情報提供、相談及び関係者間の調整を行う者であって、提供者と利害関係がなく、第二種樹立並びに産科及び婦人科の診療に優れた識見を有する者をいう。)を配置するものとする。

(第二種提供医療機関の倫理審査委員会)

第二十八条 第二種提供医療機関の倫理審査委員会は、この指針に即して、樹立計画又はその変更の科学的妥当性及び倫理的妥当性について総合的に審査を行い、その適否、留意事項、改善事項等に関して第二種提供医療機関の長に対し意見を提出する業務を行うものとする。
2 第二種提供医療機関の倫理審査委員会は、前項の審査の過程の記録を作成し、これを保管するものとする。
3 第二種提供医療機関の倫理審査委員会は、次に掲げる要件を満たすものとする。
一 樹立計画の科学的妥当性及び倫理的妥当性を総合的に審査できるよう、生物学、医学及び法律に関する専門家、生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者並びに一般の立場に立って意見を述べられる者から構成されていること。
二 当該第二種提供医療機関が属する法人に所属する者以外の者が二名以上含まれていること。
三 男性及び女性がそれぞれ二名以上含まれていること。
四 当該樹立計画を実施する研究者、樹立責任者との間に利害関係を有する者及び樹立責任者の三親等以内の親族が審査に参画しないこと。
五 倫理審査委員会の活動の自由及び独立が保障されるよう適切な運営手続が定められていること。
六 倫理審査委員会の構成、組織及び運営並びにその議事の内容の公開その他樹立計画の審査に必要な手続に関する規則が定められ、かつ、当該規則が公開されていること。
七 第一号の医学に関する専門家に、再生医療に関して識見を有する者及び未受精卵等の提供者の受ける医療に関して優れた識見を有する医師が含まれていること。
八 委員の過半数が第二種樹立機関に所属していない者であること。
4 倫理審査委員会の運営に当たっては、前項第六号に規定する規則により非公開とすることが定められている事項を除き、議事の内容について公開するものとする。

(インフォームド・コンセントの手続)

第二十九条 第二種提供医療機関は、未受精卵等を第二種樹立に用いることについて、当該第二種樹立に必要な未受精卵等の提供者その他提供の意思を確認すべき者(以下この節において「提供者等」という。)のインフォームド・コンセントを受けるものとする。
2 前項のインフォームド・コンセントは書面により表示されるものとする。
3 第二種提供医療機関は、第一項のインフォームド・コンセントを受けるに当たり、提供者等の心情に十分配慮するとともに、次に掲げる要件を満たすものとする。
一 提供者等が置かれている立場を不当に利用しないこと。
二 同意の能力を欠く者及び第二種樹立を実施する者その他の関係者に未受精卵等の提供を依頼しないこと。
三 提供者等による未受精卵等を廃棄することについての意思が事前に確認されていること。
四 提供者等が提供するかどうか判断するために必要な時間的余裕を有すること。
五 インフォームド・コンセントの受取後少なくとも三十日間は、当該未受精卵等を第二種樹立機関に移送しないこと。
六 特定胚指針第九条第五項第二号又は第三号に掲げる未受精卵等(凍結されたものを除く。)の提供を受ける場合には、未受精卵等の提供者が過去に生殖補助医療を受けた経験のある者であること及び未受精卵等の提供者から事前に提供の申し出があったことを確認すること。
七 倫理審査委員会の委員又は倫理審査委員会が指定する者(当該第二種樹立に関与する者でなく、かつ、未受精卵等の提供者と利害関係を有しない者に限る。)が、未受精卵等の提供者に面接してその提供の同意に係る手続の適切性を確認していること(凍結された未受精卵の提供を受ける場合及び未受精卵等の提供者の生殖補助医療が終了した後にヒト受精胚の提供を受ける場合を除く。)。

(インフォームド・コンセントの説明)

第三十条 前条第一項のインフォームド・コンセントに係る説明は、特定胚指針第十条第二項の規定に基づき行うものとする。
2 第二種樹立機関は、当該第二種樹立機関に所属する者(樹立責任者を除く。)のうちから、当該第二種樹立機関の長が指名する者に前項の説明を実施させるものとする。
3 前項の規定により第二種樹立機関の長の指名を受けた者は、第一項の説明を実施するに当たり、提供者等に対し、特定胚指針第十条第二項各号に掲げる事項を記載した説明書を提示し、分かりやすく、これを行うものとする。
4 第二種樹立機関は、第一項の説明を実施するときは、未受精卵等の提供者の個人情報を保護するため適切な措置を講ずるとともに、前項の説明書及び当該説明を実施したことを示す文書(次条第一項において「説明実施書」という。)を提供者等に、その写しを第二種提供医療機関にそれぞれ交付するものとする。
5 第二種樹立機関は、最新の科学的知見を踏まえ、正確に第一項の説明を行うものとする。

(インフォームド・コンセントの確認)

第三十一条 第二種提供医療機関の長は、樹立計画に基づくインフォームド・コンセントの受取の適切な実施に関して、第二十九条第二項の書面、前条第三項の説明書及び説明実施書を確認するとともに、当該第二種提供医療機関の倫理審査委員会の意見を聴くものとする。
2 第二種提供医療機関の長は、未受精卵等を第二種樹立機関に移送するときには、前項の確認を行ったことを文書で第二種樹立機関に通知するものとする。
3 前項の通知を受けた場合には、第二種樹立機関の長は、当該通知の写しを文部科学大臣に提出するものとする。

(未受精卵等の提供者の個人情報の保護)

第三十二条 第二種樹立に携わる者は、未受精卵等の提供者の個人情報の保護に最大限努めるものとする。
2 前項の趣旨にかんがみ、第二種提供医療機関は、未受精卵等を第二種樹立機関に移送するときには、当該未受精卵等とその提供者に関する個人情報が照合できないよう必要な措置を講ずるものとする。

第三節 第二種樹立に必要なヒトの体細胞の提供

(体細胞提供機関の基準)

第三十三条 体細胞提供機関は、次に掲げる要件を満たすものとする。
一 倫理審査委員会が設置されていること。
二 体細胞を提供する者の個人情報の保護のための十分な措置が講じられていること。
三 特定胚指針第九条第六項第一号又は第三号に掲げる体細胞の提供を受ける場合には、医療機関であること。
四 特定胚指針第九条第六項第三号に掲げる体細胞の提供を受ける場合には、体細胞の採取に相当の経験を有し、かつ、提供者と利害関係を有しない医師を有すること。

(体細胞提供機関の倫理審査委員会)

第三十四条 体細胞提供機関の倫理審査委員会は、この指針に即して、樹立計画又はその変更の科学的妥当性及び倫理的妥当性について総合的に審査を行い、その適否、留意事項、改善事項等に関して体細胞提供機関の長に対し意見を提出する業務を行うものとする。
2 体細胞提供機関の倫理審査委員会は、前項の審査の過程の記録を作成し、これを保管するものとする。
3 体細胞提供機関の倫理審査委員会は、次に掲げる要件を満たすものとする。
一 樹立計画の科学的妥当性及び倫理的妥当性を総合的に審査できるよう、医学及び法律に関する専門家、生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者並びに一般の立場に立って意見を述べられる者から構成されていること。
二 男性及び女性がそれぞれ一名以上含まれていること。
三 当該樹立計画を実施する研究者が審査に参画しないこと 。
四 倫理審査委員会の活動の自由及び独立が保障されるよう適切な運営手続が定められていること。
五 倫理審査委員会の構成、組織及び運営並びにその議事の内容の公開その他樹立計画の審査に必要な手続に関する規則が定められ、かつ、当該規則が公開されていること。
4 倫理審査委員会の運営に当たっては、前項第五号に規定する規則により非公開とすることが定められている事項を除き、議事の内容について公開するものとする。

(インフォームド・コンセントの手続)

第三十五条 体細胞提供機関は、体細胞を第二種樹立に用いることについて、当該第二種樹立に必要な体細胞の提供者その他当該体細胞の提供の意思を確認すべき者(以下この節において「提供者等」という。)のインフォームド・コンセントを受けるものとする。ただし、特定胚指針第九条第六項第二号に掲げる体細胞であって、当該体細胞の提供者に係る情報がないものの提供を受ける場合には、この限りでない。
2 前項のインフォームド・コンセントは、書面により表示されるものとする。
3 体細胞提供機関は、第一項のインフォームド・コンセントを受けるに当たり、提供者等の心情に十分配慮するとともに、次に掲げる要件を満たすものとする。
一 同意の能力を欠く者及び第二種樹立を実施する者その他の関係者に提供を依頼しないこと。
二 提供者等が提供するかどうか判断するために必要な時間的余裕を有すること。
三 インフォームド・コンセントの受取後少なくとも三十日間は、当該体細胞を第二種樹立機関に移送しないこと。
四 特定胚指針第九条第六項第三号に掲げる体細胞の提供を受ける場合には、次に掲げる要件のすべてを満たしていることを確認すること。
イ 体細胞の提供者から事前に提供の申し出があること。
ロ 体細胞提供機関の倫理審査委員会の委員又は当該倫理審査委員会が指定する者(当該第二種樹立に関与する者でなく、かつ、体細胞の提供者と利害関係を有しない者に限る。)が、体細胞の提供者に面接してその提供の同意に係る手続の適切性を確認していること。

(インフォームド・コンセントの説明)

第三十六条 前条第一項のインフォームド・コンセントに係る説明は、特定胚指針第十一条第一項の規定により読み替えて準用する特定胚指針第十条第二項並びに特定胚指針第十一条第二項及び第三項の規定に基づき行うものとする。
2 第二種樹立機関が前項の説明を行う場合には、当該第二種樹立機関に所属する者(樹立責任者を除く。)のうちから、当該第二種樹立機関の長が指名する者に前項の説明を実施させるものとする。
3 体細胞提供機関の説明者及び前項の規定により第二種樹立機関の長の指名を受けた者は、第一項の説明を実施するに当たり、提供者等に対し、特定胚指針第十一条第一項の規定により読み替えて準用する特定胚指針第十条第二項各号及び第十一条第二項各号に掲げる事項を記載した説明書を提示し、分かりやすく、これを行うものとする。
4 第二種樹立機関は、第一項の説明を実施するときは、体細胞の提供者の個人情報を保護するため適切な措置を講ずるとともに、前項の説明書及び当該説明を実施したことを示す文書(次条第一項において「説明実施書」という。)を提供者等に、その写しを体細胞提供機関にそれぞれ交付するものとする。
5 体細胞提供機関及び第二種樹立機関は、最新の科学的知見を踏まえ、正確に第一項の説明を行うものとする。

(インフォームド・コンセントの確認)

第三十七条 体細胞提供機関の長は、樹立計画に基づくインフォームド・コンセントの受取の適切な実施に関して、第三十五条第二項の書面、前条第三項の説明書及び説明実施書を確認するとともに、当該体細胞提供機関の倫理審査委員会の意見を聴くものとする。
2 体細胞提供機関の長は、体細胞を第二種樹立機関に移送するときには、前項の確認を行ったことを文書で第二種樹立機関に通知するものとする。
3 前項の通知を受けた場合には、第二種樹立機関の長は、当該通知の写しを文部科学大臣に提出するものとする。

(体細胞の提供者の個人情報の保護)

第三十八条 第二種樹立に携わる者は、体細胞の提供者の個人情報の保護に最大限努めるものとする。
2 前項の趣旨にかんがみ、体細胞提供機関は、体細胞を第二種樹立機関に移送するときには、当該体細胞とその提供者に関する個人情報が照合できないよう必要な措置を講ずるものとする。ただし、第二種樹立機関が体細胞の提供者の疾患に係る情報を必要とする場合であって、体細胞提供機関が、提供者等の同意及び体細胞提供機関の倫理審査委員会の承認を受けたときは、この限りでない。

第四章 ヒトES細胞の分配

第一節 分配の要件

(分配に供されるヒトES細胞の要件)

第三十九条 分配に供されるヒトES細胞は、次に掲げる要件を満たすものに限るものとする。
一 この指針に基づき樹立されたヒトES細胞又はヒトES細胞の使用に関する指針に基づき海外から分配を受けたヒトES細胞であること。
二 必要な経費を除き、無償で寄託又は譲渡されたものであること。

(使用機関に対する分配の要件)

第四十条 使用機関に対するヒトES細胞の分配は、次に掲げる要件を満たす場合に限り、行うことができるものとする。
一 ヒトES細胞の使用に関する指針に基づき使用計画を実施する使用機関に対してのみ分配をすること。
二 必要な経費を除き、無償で分配をすること。
2 樹立機関又は分配機関は、ヒトES細胞の使用に関する指針に基づく使用計画を実施する使用機関がヒトES細胞の分配を要求した場合には、やむを得ない場合を除き、分配をするものとする。

(海外使用機関に対する分配の要件)

第四十一条 海外使用機関に対するヒトES細胞の分配は、次に掲げる要件を満たす場合に限り、行うことができるものとする。
一 第五十三条第七項に規定する文部科学大臣の確認を受けた海外分配計画に基づき契約を締結した海外使用機関に対してのみ分配をすること。
二 必要な経費を除き、無償で分配をすること。

第二節 分配機関

(分配機関の基準)

第四十二条 分配機関は、次に掲げる要件を満たすものとする。
一 ヒトES細胞の分配等(分配をすること、寄託を受けること及び維持管理をすることをいう。以下同じ。)をするに足りる十分な施設、人員、技術的及び管理的能力並びに財政的基礎を有すること。
二 ヒトES細胞の分配等について遵守すべき技術的及び倫理的な事項並びにヒトES細胞の管理に関する事項に関する規則が定められていること。
三 倫理審査委員会が設置されていること。
四 動物又はヒトの細胞の分配の実績を有すること。
五 ヒトES細胞の分配等に関する教育研修計画が定められていること。

(分配機関の業務等)

第四十三条 分配機関は、ヒトES細胞の分配等をすることのほか、次に掲げる業務を行うものとする。
一 一度分配をされたヒトES細胞のうち使用機関において加工されたものを譲り受け、その分配をし、及び維持管理をすること(ヒトES細胞を使用する研究の進展のために合理的である場合に限る。)。
二 ヒトES細胞の使用に関する指針に基づき使用計画(当該分配機関が分配したヒトES細胞を用いるものに限る。)を実施する者にヒトES細胞の取扱いに関する技術的研修を行うこと。
2 分配機関は、ヒトES細胞の分配等及び返還に関する記録を作成し、これを保存するものとする。
3 分配機関は、ヒトES細胞の分配等及び返還に関する資料の提出、調査の受入れその他文部科学大臣が必要と認める措置に協力するものとする。

(分配機関の長)

第四十四条 分配機関の長は、次に掲げる業務を行うものとする。
一 海外分配計画の妥当性を確認し、第五十三条の規定に基づき、その実施を了承すること。
二 ヒトES細胞の分配等及び返還の状況を把握し、必要に応じ分配責任者に対しその留意事項、改善事項等に関して指示を与えること。
三 ヒトES細胞の分配等を監督すること。
四 分配機関においてこの指針を周知徹底し、これを遵守させること。
五 分配等及び返還の状況を把握すること。
六 樹立機関から寄託を受けたヒトES細胞の分配の実績について、当該樹立機関の長に定期的に報告を行うこと。
七 ヒトES細胞の分配等に関する教育研修計画を策定し、これに基づき教育研修を実施すること。
八 前条第一項第二号に規定する技術的研修について、その実施体制を整備すること。
2 分配機関の長は、分配責任者を兼ねることができない。

(分配責任者)

第四十五条 分配責任者は、次に掲げる業務を行うものとする。
一 ヒトES細胞の分配等を総括し、及び研究者に対し必要な指示をすること。
二 ヒトES細胞の分配等が適切に実施されていることを随時確認すること。
三 ヒトES細胞の分配等及び返還の状況に関し、分配機関の長及び分配機関の倫理審査委員会に対し必要な報告をすること。
四 当該分配機関の設置に関する計画(以下「設置計画」という。)又は海外分配計画を実施する研究者に対し、ヒトES細胞の分配等に関する教育研修計画に基づく教育研修に参加するよう命ずるとともに、必要に応じ、ヒトES細胞の分配等に関する技術的能力及び倫理的な認識を向上させるためのその他の教育研修を実施すること。
五 第四十三条第一項第二号に規定する技術的研修を実施すること。
六 海外分配計画書を作成すること。
七 前各号に定めるもののほか、ヒトES細胞の分配等を総括するに当たって必要となる措置を講ずること。
2 分配責任者は、分配機関ごとに一名以上置くこととし、ヒトES細胞に係る倫理的な認識を有し、ヒトES細胞の分配等に関する十分な専門的知識及び技術的能力を有し、かつ、前項各号に掲げる業務を的確に実施できる者とする。

(設置審査委員会)

第四十六条 分配機関の設置に関する倫理審査委員会(以下「設置審査委員会」という。)は、この指針に即して、設置計画の妥当性について総合的に審査を行い、その適否、留意事項、改善事項等に関して分配機関を設置しようとする機関の長に対し意見を提出する業務を行うものとする。
2 設置審査委員会は、前項の審査の過程の記録を作成し、これを保管するものとする。
3 設置審査委員会は、次に掲げる要件を満たすものとする。
一 設置計画の妥当性を総合的に審査できるよう、生物学、医学及び法律に関する専門家、生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者並びに一般の立場に立って意見を述べられる者から構成されていること。
二 分配機関になろうとする機関が属する法人に所属する者以外の者が二名以上含まれていること。
三 男性及び女性がそれぞれ二名以上含まれていること。
四 当該設置計画を実施する研究者、分配責任者との間に利害関係を有する者及び分配責任者の三親等以内の親族が審査に参画しないこと。
五 設置審査委員会の活動の自由及び独立が保障されるよう適切な運営手続が定められていること。
六 設置審査委員会の構成、組織及び運営並びにその議事の内容の公開その他設置計画の審査に必要な手続に関する規則が定められ、かつ、当該規則が公開されていること。
4 設置審査委員会の運営に当たっては、前項第六号に規定する規則により非公開とすることが定められている事項を除き、議事の内容について公開するものとする。

(分配機関の設置に関する手続)

第四十七条 分配機関になろうとする機関の長は、設置計画を記載した書類(第三項及び第四項第一号において「設置計画書」という。)を作成し、設置計画のこの指針に対する適合性について、文部科学大臣の確認を受けるものとする。
2 前項の確認を受けようとする機関の長は、あらかじめ、設置審査委員会を設け、設置計画の妥当性について意見を求めるものとする。
3 設置計画書には、次に掲げる事項を記載するものとする。
一 機関の名称及び所在地並びに機関の長の氏名
二 ヒトES細胞の分配等を行う組織及び人員の体制
三 分配責任者の氏名、略歴、ヒトES細胞に関する取扱い実績又は研究業績、教育研修の受講歴及び分配機関において果たす役割
四 研究者の氏名、略歴、ヒトES細胞に関する取扱い実績又は研究業績、教育研修の受講歴及び分配機関において果たす役割
五 ヒトES細胞の分配等を取り扱う施設及び設備並びに管理体制(ヒトES細胞の分配等を取り扱う施設の平面図及び設備の配置図並びに管理システムの配置図を含む。)
六 寄託又は譲渡を受けるヒトES細胞に関する説明
七 ヒトES細胞の分配等について遵守すべき技術的及び倫理的な事項並びにヒトES細胞の管理に関する事項を定めた規則に関する説明
八 倫理審査委員会の体制
九 ヒトES細胞の分配等に関する教育研修計画の内容
十 その他必要な事項
4 第一項の確認を受けようとする機関の長は、次に掲げる書類を文部科学大臣に提出するものとする。
一 設置計画書
二 設置審査委員会における審査の過程及び結果を示す書類
三 設置審査委員会に関する事項を記載した書類及び前条第三項第六号に規定する規則の写し
四 分配機関の倫理審査委員会に関する事項を記載した書類及び第四十九条第二項の規定により読み替えて準用する前条第三項第六号に規定する規則の写し
五 ヒトES細胞の分配等について遵守すべき技術的及び倫理的な事項並びにヒトES細胞の管理に関する事項を定めた規則の写し
六 ヒトES細胞の分配等を継続的に行い得る財政的基礎を示す書類
七 動物又はヒトの細胞の分配の実績を示す書類
5 文部科学大臣は、第一項の確認を求められたときは、設置計画のこの指針に対する適合性について、科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会の意見を求めるとともに、当該意見に基づき確認を行うものとする。
6 文部科学大臣は、前項の確認を行ったときは、その旨を公表するものとする。

(設置計画の変更)

第四十八条 分配機関の長は、前条第三項第二号、第三号、第五号又は第六号に掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ、設置計画の変更の内容及び理由について記載した書類(第三項において「設置計画変更書」という。)を作成し、設置計画の変更のこの指針に対する適合性について、文部科学大臣の確認を受けるものとする。
2 前項の確認を受けようとする分配機関の長は、あらかじめ、その変更の妥当性について分配機関の倫理審査委員会の意見を求めるものとする。
3 第一項の確認を受けようとする分配機関の長は、設置計画変更書に分配機関の倫理審査委員会における審査の過程及び結果を示す書類を添付して、申請を行うものとする。
4 文部科学大臣は、分配機関の長から第一項の確認を求められたときは、その変更のこの指針に対する適合性について、科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会の意見を求めるとともに、当該意見に基づき確認を行うものとする。
5 分配機関の長は、前条第三項第一号、第四号又は第七号から第十号までに掲げる事項を変更したときは、その旨を文部科学大臣に届け出るものとする。この場合において、同項第四号、第七号又は第九号に掲げる事項の変更に当たっては、分配機関の長は、その妥当性について分配機関の倫理審査委員会の意見を求めるものとする。
6 文部科学大臣は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会に報告するものとする。

(分配機関の倫理審査委員会)

第四十九条 分配機関の倫理審査委員会は、次に掲げる業務を行うものとする。
一 この指針に即して、設置計画の変更の妥当性について総合的に審査を行い、その適否、留意事項、改善事項等に関して分配機関の長に対し意見を提出すること。
二 この指針に即して、海外分配計画の妥当性について総合的に審査を行い、その適否、留意事項、改善事項等に関して分配機関の長に対し意見を提出すること。
三 ヒトES細胞の分配等及び返還の状況について報告を受け、必要に応じて調査を行い、その留意事項、改善事項等に関して分配機関の長に対し意見を提出すること。
2 第四十六条第二項から第四項までの規定は、分配機関の倫理審査委員会の要件及び運営について準用する。この場合において、これらの規定中「設置審査委員会」とあるのは「分配機関の倫理審査委員会」と、「設置計画の妥当性」とあるのは「設置計画の変更及び海外分配計画の妥当性」と、「分配機関になろうとする機関」とあるのは「分配機関」と、「当該設置計画を実施する研究者」とあるのは「当該設置計画及び海外分配計画を実施する研究者」と、「設置計画の審査」とあるのは「設置計画及び海外分配計画の審査」と、それぞれ読み替えるものとする。

(分配の進行状況等の報告)

第五十条 分配責任者は、ヒトES細胞の分配等及び返還の状況を分配機関の長及び分配機関の倫理審査委員会に随時報告するものとする。
2 分配機関の長は、少なくとも毎年一回、文部科学大臣にヒトES細胞の分配等及び返還の状況を報告するものとする。

(分配機関の業務の終了等)

第五十一条 分配機関の長は、分配機関の業務を終了し、又は中止しようとするときは、終了後又は中止後のヒトES細胞の取扱いについて、分配機関の倫理審査委員会の意見を求めるとともに、文部科学大臣の確認を受けるものとする。
2 文部科学大臣は、前項の確認を求められたときは、分配機関の業務の終了後又は中止後のヒトES細胞の取扱いの妥当性について、科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会の意見を求めるとともに、当該意見に基づき確認を行うものとする。
3 文部科学大臣は、第一項の確認を行ったときは、当該業務が終了し、又は中止された旨を公表するものとする。

第三節 海外使用機関に対する分配

(海外使用機関の基準)

第五十二条 海外分配計画については、当分の間、次に掲げる要件を満たす海外使用機関に対する分配について策定するものとする。
一 ヒトES細胞及び分化細胞の取扱いについて、当該国の法令又はこれに類するガイドラインを遵守すること。
二 分配を受けたヒトES細胞を、他の機関に対して分配又は譲渡をしないこと。
三 ヒトES細胞の使用を完了したときは、残余のヒトES細胞を、当該ヒトES細胞の分配をした樹立機関若しくは分配機関との合意に基づき廃棄し、又は当該ヒトES細胞の分配をした樹立機関若しくは分配機関に返還若しくは譲渡すること。
四 ヒトES細胞を使用して作成した胚の人又は動物の胎内への移植その他の方法による個体の生成、ヒト胚及びヒトの胎児へのヒトES細胞の導入並びにヒトES細胞からの生殖細胞の作成を行わないこと。
五 商業目的の利用を行わないこと。
六 人体に適用する臨床研究その他医療及びその関連分野における使用を行わないこと。
七 個人情報の保護のための十分な措置が講じられていること。
八 その他ヒトES細胞の適切な取扱いに必要な措置を講ずること。
九 この条に定める海外分配計画の基準に反することなった場合においては、ヒトES細胞の分配をした樹立機関又は分配機関にヒトES細胞を返還すること。

(海外使用機関に対する分配の手続)

第五十三条 樹立責任者又は分配責任者は、海外使用機関にヒトES細胞の分配をするに当たっては、あらかじめ、海外分配計画書を作成し、海外分配計画の実施について当該機関の長の了承を求めるものとする。
2 前項の海外分配計画書には、次に掲げる事項を記載するものとする。
一 海外分配計画の名称
二 樹立機関又は分配機関の名称及び所在地並びに樹立機関の長又は分配機関の長の氏名
三 樹立責任者又は分配責任者の氏名
四 分配をする海外使用機関の名称及びその所在地並びに国名
五 分配の方法
六 分配をする海外使用機関の使用の期間
七 分配に供されるヒトES細胞の入手先及びヒトES細胞株の名称
八 海外使用機関の基準に関する説明
九 その他必要な事項
3 樹立責任者又は分配責任者は、分配をする海外使用機関のヒトES細胞の使用が当該国の法令又はこれに類するガイドラインに基づき承認されたものであることを示す書類の写し及びその日本語による翻訳文を、海外分配計画書に添付するものとする。
4 樹立機関の長又は分配機関の長は、第一項の了承を求められたときは、その妥当性について当該機関の倫理審査委員会の意見を求めるとともに、当該意見に基づき海外分配計画のこの指針に対する適合性を確認するものとする。
5 分配機関の長は、海外分配計画の実施を了承するに当たっては、当該海外分配計画による分配について、当該ヒトES細胞の樹立をした樹立機関の長の同意を求めるものとする。
6 樹立機関の長は、やむを得ない場合を除き、前項の同意をするものとする。
7 樹立機関の長又は分配機関の長は、海外分配計画の実施を了承するに当たっては、第四項及び第五項の手続の終了後、当該海外分配計画のこの指針に対する適合性について、文部科学大臣の確認を受けるものとする。
8 前項の場合には、樹立機関の長又は分配機関の長は、次に掲げる書類を文部科学大臣に提出するものとする。
一 海外分配計画書
二 樹立機関又は分配機関の倫理審査委員会における審査の過程及び結果を示す書類
9 文部科学大臣は、海外分配計画のこの指針に対する適合性について、科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会の意見を求めるとともに、当該意見に基づき確認を行うものとする。

第五章 雑則

(関係行政機関との連携)

第五十四条 文部科学大臣は、ヒトES細胞の樹立及び分配が、医療及びその関連分野と密接な関係を持つことにかんがみ、情報の提供を行う等厚生労働大臣及び経済産業大臣と密接な連携を図るものとする。

(指針不適合の公表)

第五十五条 文部科学大臣は、ヒトES細胞の樹立及び分配がこの指針に定める基準に適合していないと認める者があったときは、その旨を公表するものとする。

附則

(施行期日)

第一条 この指針は、公布の日から実施する。

(ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針の廃止)

第二条 ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(平成二十一年文部科学省告示第八十四号。次条において「旧指針」という。)は廃止する。

(経過措置)

第三条 この指針の実施の際現に旧指針の規定により文部科学大臣の確認を受けた樹立計画、設置計画又は海外分配計画については、それぞれ第十五条第一項、第四十七条第一項又は第五十三条第七項の確認を受けたものとみなす。

(指針の見直し)

第四条 文部科学大臣は、ライフサイエンスにおける研究の進展、社会の動向等を勘案し、必要に応じてこの指針の規定について見直しを行うものとする。
2 前項の見直しは、総合科学技術会議の意見に基づき行うものとする。

お問い合わせ先

研究振興局ライフサイエンス課

(研究振興局ライフサイエンス課)