| 人クローン胚の研究目的の作成・利用のあり方について−人クローン胚研究利用作業部会中間取りまとめ− |
平成18年6月20日
科学技術・学術審議会
生命倫理・安全部会
特定胚及びヒトES細胞研究専門委員会
人クローン胚研究利用作業部会
はじめに
近年の生命科学・医学の発展により、再生医療の研究とその臨床応用が進展してきている。その一つであるヒト胚性幹細胞(ヒトES細胞)を用いる再生医療は、有効な治療法がない、また、治療法があってもドナー不足や移植可能な組織や細胞の量の確保など解決すべき諸課題が存在する、いわゆる難病の患者に対する治療法として、大きな期待がある。
このため、平成13年9月に「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」(ES指針)が策定され、その指針に沿って、余剰胚を用いてヒトES細胞が樹立・使用され、さまざまな細胞に分化誘導する研究が実施されてきている。
しかしながら、再生医療においては、移植する細胞等が他者に由来する場合、免疫拒絶反応等の問題の克服が大きな課題の一つとなっている。
人クローン胚は、ヒトの体細胞の核をヒトの除核未受精卵に移植することにより生ずる胚であり、その胚から樹立されたヒトES細胞から分化誘導した細胞を体細胞提供者に移植することにより、拒絶反応のない再生医療を実現できる可能性があるとされている。
一方、人クローン胚は、ヒト受精胚と同様に「人の生命の萌芽」と位置付けられ、倫理的に尊重されるべきものとされている。また、人クローン胚の作成は、人クローン個体の産生につながるおそれのあることから、これを事前に防止するための慎重な取扱いが求められている。
このため、平成12年11月に制定された「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」(クローン技術規制法)によって、人クローン胚等の胎内への移植が禁止されるとともに、人クローン胚等については、同法に基づく「特定胚の取扱いに関する指針」(特定胚指針)により規制されている。
国際的には、多くの国において、人クローン個体の産生の禁止の措置がとられている一方、人クローン胚については、各国様々な立場で取扱いがなされている。
これらを踏まえて、総合科学技術会議において、平成16年7月に「ヒト胚の取扱いに関する基本的な考え方」(意見)が取りまとめられ、人クローン胚の研究目的の作成・利用については、他に治療法の存在しない難病等のための再生医療の研究目的に限って認め、クローン技術規制法に基づく特定胚指針の改正等により必要な枠組みを整備すべきとされた。
これを受けて、平成16年10月に設置された本作業部会においては、人クローン胚の研究目的の作成・利用のあり方について、さまざまな有識者からヒアリングを行いつつ、慎重に検討を行い、人クローン胚の研究目的の作成・利用を認めるに当たって必要となる特定胚指針等の改正に向けての基本的な考え方についてとりまとめた。
目次
第1章 検討経緯等
|
| |
| 1. |
検討の経緯 |
| |
| (1) |
人クローン胚の作成・利用に係る規制の状況と経緯 |
| (2) |
総合科学技術会議における検討経緯 |
| (3) |
総合科学技術会議意見に対する文部科学省における検討 |
|
| 2. |
人クローン胚研究利用作業部会における審議経過 |
|
第2章 関連研究及び規制等の現状
|
| |
| 1. |
我が国における再生医療等の現状 |
| |
| (1) |
再生医療の必要性 |
| (2) |
再生医療等の現状 |
| (3) |
細胞を用いた再生医療に関する研究の現状と課題 |
| (4) |
再生医療における人クローン胚研究の意義と問題点 |
|
| 2. |
海外における人クローン胚研究の規制等の状況 |
| |
|
|
第3章 人クローン胚の作成・利用の範囲
|
| |
| 1. |
総合科学技術会議意見に示された考え方 |
| 2. |
研究の対象 |
| |
| (1) |
対象とする難病等の範囲 |
| (2) |
研究実施の科学的妥当性 |
|
| 3. |
研究の目的の範囲 |
| |
| (1) |
人クローン胚の作成・利用を行う研究の目的の範囲 |
| (2) |
ヒトES細胞の樹立を目的としない研究の取扱い |
|
|
第4章 人クローン胚研究における未受精卵の入手
|
| |
| 1. |
未受精卵の取扱いの状況 |
| |
| (1) |
未受精卵を取り扱う技術の状況 |
| (2) |
未受精卵を取り扱う研究の規制の状況 |
|
| 2. |
未受精卵の入手に関する基本的考え方 |
| |
| (1) |
総合科学技術会議意見に示された考え方 |
| (2) |
入手の対象となる未受精卵 |
| (3) |
自由意思による提供 |
| (4) |
無償提供の原則 |
| (5) |
個人情報の保護のための措置 |
|
| 3. |
未受精卵の入手方法として認められる方法 |
| |
| (1) |
手術により摘出された卵巣や卵巣切片からの採取 |
| (2) |
生殖補助医療目的で採取された未受精卵で同目的には利用されなかったものや非受精卵の利用 |
| (3) |
卵子保存の目的で作成された凍結未受精卵の不要化に伴う利用 |
| (4) |
未受精卵や非受精卵または卵巣や卵巣切片を凍結していた者が死亡した場合の取扱い |
|
| 4. |
研究に関係する者からの未受精卵の提供の取扱い |
| 5. |
未受精卵の提供に係るインフォームド・コンセント |
| |
|
|
第5章 人クローン胚研究における体細胞の入手
|
| |
| 1. |
体細胞の入手方法 |
| 2. |
体細胞の入手に当たって考慮すべき事項 |
| |
| (1) |
個人情報の保護のための措置 |
| (2) |
インフォームド・コンセント |
|
|
第6章 研究実施機関等
|
| |
| 1. |
人クローン胚取扱い機関 |
| |
| (1) |
機関の限定 |
| (2) |
必要とされる技術的能力 |
| (3) |
人クローン胚の厳格な管理のための措置 |
| (4) |
個人情報の保護のための措置 |
| (5) |
機関内倫理審査委員会 |
|
| 2. |
未受精卵の提供医療機関 |
| |
| (1) |
説明担当医師及びコーディネーターの配置 |
| (2) |
必要とされる技術的能力等 |
| (3) |
未受精卵の提供者の保護のための措置 |
| (4) |
機関内倫理審査委員会 |
|
| 3. |
人クローン胚由来のES細胞の使用機関 |
| 4. |
体細胞の提供機関 |
| 5. |
その他の重要事項 |
| |
| (1) |
人クローン胚の譲渡・譲受等 |
| (2) |
人クローン胚等の輸出入 |
| (3) |
研究に関する適切な情報の公開 |
|
|
第7章 未受精卵の提供における無償ボランティア
|
| |
| 1. |
総合科学技術会議意見に示された考え方 |
| 2. |
検討に当たって考慮した事項 |
| |
| (1) |
人クローン胚研究の状況 |
| (2) |
未受精卵の提供に係る身体的負担及び精神的負担 |
|
| 3. |
無償ボランティアからの未受精卵の提供の例外的取扱い |
|
(研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室)
|