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文部科学省における研究及び開発に関する評価指針
概          要

1.経緯及び位置付け

平成13年11月に内閣総理大臣決定された「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(以下「大綱的指針」)により、各省が具体的な評価指針を策定することとされた。
本指針は、文部科学省の所掌に係る研究及び開発(以下「研究開発」)に関する評価の基本的な考え方を示したガイドライン。文部科学省内部部局は、本指針を踏まえて評価を実施。研究開発を行う機関等は、本指針を参考に適切に評価を実施。


2.指針の特徴

科学技術と学術の研究開発に関する評価の考え方を1つの指針として取りまとめ。
大綱的指針で指摘された、評価における公正さと透明性の確保、評価結果の資源配分への反映に対応。
優れた研究開発を進める原動力たる研究者の意欲に配慮するとともに、その自律性、自己責任を重視。
研究開発課題や研究者等の業績の評価から、機関や制度の評価、さらには研究開発戦略に至る評価の階層構造の明確化。また、企画立案、実施、評価、反映といった研究開発における循環過程(いわゆる「マネジメント・サイクル」)を強調。


3.指針の概要

(1)評価の意義  
評価は、研究開発の質を高め、成果を国民に還元していく上で重要な役割を担う。評価により、優れた研究開発の効果的・効率的推進が期待できる。
評価の主たる意義
 
研究者を励まし、優れた研究開発を積極的に見出し、伸ばし、育てる。
柔軟かつ競争的で開かれた研究開発環境の創出。
研究開発施策等について、幅広い視点から実施の適否を適切に判断するとともに、見直し、より優れたものにする。
研究開発活動の透明性を向上し、説明責任を果たし、国民の理解と支持を得る。
評価結果の資源配分への反映等、資源の有効活用を図る。既存活動の見直しにより、新たな研究への取り組みの拡大を図る。

(2)評価システムの構築等
研究開発を企画立案、実施、評価し、さらに評価結果を次の企画立案等へ反映する、という循環過程を確立。評価結果については、その反映状況も含め公表。
個々の研究開発課題や研究者の業績評価から、機関や制度の評価、さらには研究開発戦略の評価といった評価の階層構造をなす、様々な評価を有機的に連携。
科学的・技術的意義に係る評価(科学的・技術的観点からの評価)と社会・経済への貢献に係る評価(社会的・経済的観点からの評価)を区別し、研究開発の特性に応じた適切な評価を実施。

(3)評価者
評価実施主体は評価実施の全般的責任を持ち、具体的な評価は評価者が専門性を発揮して実施。
評価者は責任と自覚を持ち、厳正かつ公正に評価。適切な助言を行うなど、研究者を励まし、優れた研究を伸ばす視点。
評価実施主体は、評価の客観性を保つため、幅広く評価者を選任。
公正さを高めるため、外部評価を積極的に活用。必要に応じ、第三者評価を活用。

(4)評価に当たっての留意事項
優れている点を積極的に取り上げる。意義のある課題に挑む姿勢も評価。
研究開発の質を重視。評価者の見識に基づく判断を基本とするが、客観性のある情報・データ等を活用。
評価の過程で、評価者と被評価者による意見交換の機会を確保。
他の評価結果の活用等により、評価に伴う負担を軽減。
評価の検証を適時行い、評価の質の向上や評価システムの改善に努める。

(5)対象別事項
対象研究開発施策研究開発課題研究開発を行う機関等研究者等の業績
研究開発施策の評価
行政評価法や政策評価に関する基本計画等に基づく政策評価と整合した取組。
社会的・経済的観点からの評価では、分野間の比率や優先順位等も考慮。

研究開発課題の評価
「競争的資金」、「重点的資金」、「基盤的資金」による課題に区分。
課題の性格、内容、規模等に応じて、適切な方法や項目を設定し実施。


<競争的資金による研究開発課題>
ピア・レビューを原則。事前評価では少数意見も尊重し、斬新な発想や創造性等を見過ごさないよう配慮。若手、産業界の研究者等に対しても配慮。
優れた成果が期待され発展が見込まれる課題は、切れ目なく研究開発が継続できるよう、適切に評価を実施。

<重点的資金による研究開発課題>
課題の計画が研究開発施策と整合し、その方法が妥当か評価。
大規模プロジェクト:事前評価は特に入念に評価。中間評価は、計画外事象も考慮。事後評価は、成否の要因分析も行う。追跡評価を適時に行う。

<基盤的資金による研究開発課題>
機関長の定めたルールに従い実施。必要に応じ機関評価に活用し、機関における経常的な研究開発活動全体の改善に資する。

研究開発を行う機関等の評価
機関運営面と研究開発の実施・推進面から実施。
機関長は、評価結果を機関運営の改善や機関内の資源配分に反映。
評価結果を責任者たる機関長の評価につなげる。


研究者等の業績評価
所属する機関の長がルールを整備し、責任をもって実施。多様な活動に配慮。

(6)特性に応じた配慮事項  

大学等における学術研究  
専門家集団における学問的意義についての評価を基本。
長期的・文化的観点に立った評価が必要。
萌芽的な研究の推進とともに、柔軟で多様な発想を生かし、育てるという視点。
成果の事後的な評価だけでなく、研究者の意欲や活力、発展可能性を適切に評価。
人文・社会科学では、個人の価値観が評価に反映される部分が大きい点に配慮。
研究と教育の有機的関係へ配慮し、大学等の諸機能全体の適切な発展を目指す。
大学評価・学位授与機構による評価活動を推進。


独立行政法人通則法との整合
独立行政法人評価委員会が第三者評価を実施。本指針の考え方を参考とすることを期待。

(7)フォローアップ  
フォローアップの結果等を踏まえ、本指針の見直し。
評価推進部局は、評価結果を取りまとめ、評価システム全体の見直し。



文部科学省における研究評価システムの体系図(イメージ)
文部科学省における研究評価システムの体系図(イメージ)




研究開発のマネジメント・サイクルにおける評価の位置付け(イメージ図)
研究開発のマネジメント・サイクルにおける評価の位置付け(イメージ図)



文部科学省における研究及び開発に関する対象別の評価の枠組み

  研究開発施策の評価 研究開発課題の評価 研究開発を行う機関等の評価 研究者等の業績評価
内訳   競争的資金 重点的資金 基盤的資金 大学等 独立行政法人研究機関 特殊法人研究機関等 国立研究機関  
対象例 政策目標を達成するために策定した基本方針、研究開発推進計画、研究開発制度等 科研費、振興調整費、戦略創造、イノベーション等 宇宙、原子力等の大規模プロジェクト等国の明確な目標に沿って重点的に推進されるもの 経常研究費により行われるもの 大学、大学共同利用機関 航研、放医研、防災研、物材研等 NASDA、原研、理研等の研究実施機関及びJST等の資源配分機関 科学技術政策研究所等 研究者、 研究支援者
評価 実施 主体 文部科学省内部部局 (研究開発施策所管課) 配分機関
(公募元)
文部科学省内部部局、宇宙開発委員会、原子力委員会等の外部機関、課題実施機関、(大規模プロジェクト及び社会的に関心の高い課題の場合、第三者評価の活用) 各課題実施機関
大学:自己点検、評価
大学共同利用機関:評議員会等
大学評価・学位授与機構による第三者評価
独立行政法人評価委員会による第三者評価 (各法人が自己評価を行うことを妨げない) 各機関 各機関 各機関
評価の客観性及び公正さを高めるため、第三者評価を積極的に活用
評価 時期 事前、中間(定期的:3〜5年毎)、事後 事前、中間{3年程度毎(5年以上の期間を有すもの)}、事後 事前、中間{3年程度毎(5年以上の期間を有すもの)}、事後 機関長が決定 定期的(3〜5年毎) 機関長が定める
(少額の課題については負担軽減を配慮)

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