資料1-2-1 御嶽山の噴火を踏まえた火山観測研究の課題と対応について(概要)

1.経緯

 平成26年9月27日の御嶽山の噴火を踏まえ、科学技術・学術審議会測地学分科会地震火山部会を緊急に開催し、火山観測研究や研究人材育成に関する課題及び今後の方向性に関して3回に渡り審議し、11月にとりまとめ・公表した。

2.とりまとめ概要

<観測研究体制の充実・強化等>
○ 御嶽山については、水蒸気噴火からマグマ噴火への移行可能性を踏まえ、噴火の準備過程の解明などに向けて、全国的かつ継続的な観測研究体制の充実が必要。
○ 火山観測研究全体としては、水蒸気噴火が起こる前の先行現象に関する研究を強化し、水蒸気噴火の早期把握の実現のために、マグマの関与を捉える地殻変動観測のほか、火山ガスや火山灰等の分析等の地球化学・地質学的な調査・観測や地熱の状態把握が必要。
○ これまでの重点的な観測研究対象火山(16火山)の考え方を広げ、研究的価値の大きい観測データの一層の蓄積を図るために、原則として、平成21年以降に火山情報が出された火山や比較的最近に噴火が発生し、噴気活動が継続している火山についても観測研究体制の状況に応じた観測研究を実施することが重要(例えば、御嶽山、雌阿寒岳、十和田、蔵王山、吾妻山、那須岳、弥陀ヶ原、焼岳、九重山)。
○ これらの観測研究を効率的に進める上で、全国の研究者が共同し、集中的に多項目の観測研究を行う体制の構築を検討する必要。このことにより、重点火山以外の火山も含めて緊急的な観測研究の実施にも機動的に対応出来るようにする必要。
○ 火山観測データの一元的な流通を積極的に進め、共同研究を一層推進する必要。

<研究人材の育成等>
○ 当面の取組として、地震研究者との一層の連携のほか、計算科学や人文・社会科学分野との連携の強化により、文理連携型の研究課題を着実に増やすことが必要。
○ 国際共同研究、若手人材の海外研修・派遣等の更なる推進や国際的な火山研究機関との連携による国際交流を進め、火山学の裾野を広げ、コミュニティを活性化する必要。
○ このほか観測調査実習を含んだ大学間の共同集中講義の実施や、火山学を学ぶための統合化カリキュラムの採用などの人材育成の取組と、プロジェクト研究等を組み合わせ、相乗効果を目指した総合的な人材育成プログラムの構築を検討する必要。
○ 火山研究者が地域に根ざした防災コミュニティの中で火山防災対策に貢献し、「顔の見える関係」の構築に向けて、火山防災協議会等への地元大学研究者等の積極的な参画が必要。
○ 広く国民に火山の観測データ等を公開して情報を知らせることにより、火山防災に対する理解が一層進むことが期待されることから、データの公開を進めることが必要。
○ 火山噴火予測のような不確実性を含むような情報の活用について、社会科学との連携を一層強化し、情報の発信等に関する研究を進めることが必要。

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科学技術・学術政策局政策課

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-- 登録:平成27年05月 --