資料2−2 「国語に関する学術研究の推進について」報告の概要

1.はじめに

  • 国語は、我が国の文化の基盤。また、知的活動の基盤であり、学術研究の発展のためにも不可欠
  • 国語力の向上の観点からも、国語に関する調査研究の充実が求められている
  • 国語に関して、全国の大学等の研究者による共同研究の推進が必要

2.我が国の国語に関する学術研究の現状と課題

  • 国語に関する学術研究は、個々の研究者の興味関心に基づき行われることが多く、研究の知見の共有が行われにくい
  • 研究成果や学術資料等が各大学の各研究室に散在し、それら資料が研究者の退職に伴い消失
  • 学生にとって必ずしも魅力ある学問となっておらず、国語に関する研究者の養成も課題
  • これらの課題を踏まえ、大学等の関係機関が一体となって、国語に関する学術研究を推進することが必要

3.国語に関する学術研究の推進に当たっての当面の重点課題

(1)当面、特に重点を置いて推進する必要のある研究分野

  • これまで、行われてきた言語資源の収集・整理は、コーパスの構築を含めさらに推進することが必要
  • 言語資源の分析結果から法則を発見し検証する理論研究、国語の歴史的、地域的、社会的な変異についての研究、他の諸言語との対照研究を推進

(2)新たに展開する必要のある研究形態・方法

  • 知見を共有し、学問体系全体としてさらなる発展を図るため、全国の大学等の研究者による共同研究を推進
  • 情報技術を活用し学術資料等が簡便に入手できるような基盤整備や、共同研究を行う場が必要
  • 言語情報処理研究や言語習得研究など新たな学際的研究の発展を視野に入れ、関連分野の研究者が積極的に共同研究に参画できる仕組みが必要

4.国語に関する学術研究の体制

(1)大学共同利用機関の必要性

1 大学共同利用機関の必要性

  • 学術資料を収集、整理、提供するとともに、研究者コミュニティの持つ知見を集積し、共同研究を推進する中核的な機関が必要
  • データベースの構築や、方言に関する調査研究など大規模な調査研究を行う中核的な機関が必要
  • 既存の分野間の研究交流を活性化し、国語に関する学術研究全体を高めるとともに、新たな学際的分野の創成のための機関が必要
  • 中核的な研究機関では、外国人研究者を積極的に受け入れるとともに、海外の日本語研究者に対しても研究の方法等に方向性を示し得る学術研究機関となることに期待
  • 文化の研究としての観点から我が国の国語をとらえる研究も必要

2 大学共同利用機関の設置の在り方

  • 独立行政法人国立国語研究所のこれまでの研究の経験や成果を学術研究に活かす観点から、同研究所を改組・転換することが適当
  • 大学共同利用機関法人人間文化研究機構に設置されることが望ましい。また、人間文化研究機構では、大学共同利用機関にふさわしい運営体制及び研究組織を早急に構築することが求められる
  • 名称は、「国立国語研究所」を引き継ぐことが適当
  • 新しい大学共同利用機関では、日本語教育の基盤となる調査研究は行うものの、現在、国立国語研究所が行っている日本語教育に係る基準等の開発や資料の作成・提供等については、学術分科会における検討とは別に、実施主体・方法等について早急に検討を行うことが望ましい

(2)大学と大学共同利用機関との連携及び大学の役割

  • 新しい大学共同利用機関と大学とが一体となって国語に関する学術研究を進めることが必要
  • 新しい大学共同利用機関では、大学の研究者や研究組織間のネットワーク作りに努めることが重要
  • 各大学においては、国語に関する学術研究が安定的・継続的に行われるよう、研究者の養成・確保や研究環境の整備が求められる
  • 研究成果が、学部や大学院の大学教育全般に活かされることが必要

5.新しい大学共同利用機関の組織整備の基本的考え方

(1)基本方針

  • 我が国の国語である日本語を世界の諸言語の中に位置付け、その特質と普遍性の研究を推進する国際的研究拠点
  • 現代日本語研究を中核とし、歴史研究を含む言語研究諸領域を包括
  • 日本語以外の言語研究や関連する分野との共同研究を推進
  • 大学を中心とする国内外の日本語研究者に開かれた協業の場として、組織し運営

(2)研究領域

  • 理論・構造研究、空間的変異研究、時間的変異研究、言語資源研究
  • 学際的研究等のプロジェクト研究も積極的に実施

(3)主要事業

  • 日本語研究に関する資料・文献の収集、整理、提供、研究
  • 日本語研究の重要課題に関する共同研究の推進
  • 日本語研究に関する国際交流・連携の強化・推進
  • 国内外の日本語研究情報の集積、発信

(4)組織・運営

  • 運営会議の重視、柔軟な研究組織の形成、大学院教育への協力

お問合せ先

科学技術・学術政策局政策課

(科学技術・学術政策局政策課)

-- 登録:平成21年以前 --