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科学技術・学術審議会(第22回) 議事録

1.日時

平成19年9月6日(木曜日)15時~17時40分

2.場所

霞が関東京會舘「ゴールドスタールーム」

3.出席者

委員

野依会長、野間口会長代理、青野委員、飯野委員、石田寛人委員、石田瑞穂委員、石原委員、井上委員、今脇委員、上野委員、樫谷委員、唐木委員、北澤委員、佐々木委員、笹月委員、澤岡委員、白井委員、鈴木厚人委員、鈴木賢一委員、柘植委員、中西委員、西山委員、深尾委員、室伏委員

文部科学省

松浪文部科学副大臣、銭谷事務次官、林文部科学審議官、坂田官房長、森口科学技術・学術政策局長、徳永研究振興局長、藤田研究開発局長、木村科学技術政策研究所長、合田官房総括審議官、藤嶋政策評価審議官、吉川科学技術・学術総括官、藤木大臣官房審議官(研究振興局担当)、岩立計画課長、藤原高等教育企画課長、戸渡政策課長、伊藤振興企画課長、磯谷学術研究助成課長 他関係官

4.議事録

【野依会長】

 それでは時間でございますので、ただいまから科学技術・学術審議会の第22回の総会を開催させていただきます。本日は大変ご多忙の中、また、台風の迫る中、お集まりいただきまして大変ありがたく思っております。
 また、本日は松浪副大臣にもご臨席いただいておりますので、後ほどご挨拶をいただく予定になっております。
 本日の会議は、平成20年度の概算要求等の状況について説明していただいた後、各分科会等の審議状況を報告していただくこととしております。特に前回の総会でも大変多くのご意見をいただきました学術研究に関しては、学術分科会において精力的な審議が行われているようでございますので、会議の後半に少しまとまった時間をとって意見交換をお願いしたいと思っております。
 それでは、早速、松浪副大臣からごあいさつを賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

【松浪副大臣】

 皆さん、こんにちは。ご紹介を賜りました、このほど文部科学副大臣を拝命いたしました松浪健四郎でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 今日、こうして第22回の科学技術・学術審議会の総会が盛大に開催され、お忙しい中、また、台風を感じさせる足元の悪い中をご出席賜りましたことを御礼申し上げたいと思います。まことにありがとうございます。
 21世紀におきましては、我が国の持続的発展と国民の豊かな暮らしを支え、社会の活力を維持していくためには、明日への投資である科学技術・学術の振興が不可欠であります。同時にまた、それほど日の当たらない基礎的な研究に打ち込まれる、そういう分野の皆さんにも大いに活躍をしていただかなければならない、このようにも存じます。
 このために文部科学省では、昨年度から始まりました第3期の科学技術基本計画や今年6月に閣議決定されました長期戦略指針「イノベーション25」に基づきまして、人材の養成、確保、活躍の促進、そしてイノベーションを生み出すシステムの強化、加えて戦略的な科学技術への重点投資など、施策の着実な実施に取り組んでいるところでございます。
 特に、本日は学術の振興についてのご議論をいただくこととなっております。大学を中心として行われる研究者の自由な発想に基づく学術研究は、その成果自体すぐれた文化的価値を有すると同時に、イノベーション創出の基礎となり、国民生活を豊かにし、社会経済の発展に大きく貢献するものでございます。
 文部科学省におきましては、大学等への研究費の支援をはじめ、学術研究の振興に努めているところでございますけれども、多様な学術研究を推進し、厚みのある知的蓄積が形成されるよう、一層の振興が必要であると考えております。
 先生方におかれましては、深遠なる学問を極められ、多様な考えを持ってこの国の科学技術のためにこれからもご協力賜りますようにお願い申し上げたいと思います。先生方におかれましては、これからのこの国の科学技術・学術の振興方策について、大所高所からのご意見を賜りますようにお願い申し上げまして、簡単粗辞ではございますが、挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

【野依会長】

 激励のお言葉をどうもありがとうございました。
 なお、松浪副大臣におかれましては、本日、ご公務のご都合によりまして、これから退席されるそうでございます。どうもありがとうございました。

(松浪副大臣退席)

【野依会長】

 それでは、議事に入ります前に、事務局にも人事異動があったようでございますので、紹介いただきたいと思います。
 それから、あわせて配付資料の確認もよろしくお願いいたします。

【江﨑企画官】

 7月に人事異動がございまして、事務局が新しい体制になっておりますのでご紹介いたします。
 まず、銭谷文部科学事務次官でございます。

【銭谷事務次官】

 銭谷でございます。よろしくお願いいたします。

【江﨑企画官】

 坂田官房長でございます。

【坂田官房長】

 坂田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【江﨑企画官】

 合田総括審議官でございます。

【合田総括審議官】

 よろしくお願いいたします。

【江﨑企画官】

 藤嶋政策評価審議官でございます。

【藤嶋政策評価審議官】

 よろしくお願いいたします。

【江﨑企画官】

 木村科学技術政策研究所長でございます。

【木村科学技術政策研究所長】

 木村でございます。どうぞよろしくお願いします。

【江﨑企画官】

 藤原高等教育局高等教育企画課長でございます。

【藤原高等教育企画課長】

 よろしくお願いいたします。

【江﨑企画官】

 また、資料につきましては、議事次第のとおりに配付してございます。大部でございますけれども、よろしくお願いいたします。
 なお、資料1-2、2-3、3-5の冊子については番号は付しておりません。ご留意願いたいと思います。欠落等の不備がございましたら、事務局までお知らせ願います。
 以上でございます。

【野依会長】

 よろしゅうございますか。
 それでは、議事に入ります。議題1の平成20年度概算要求等について、事務局から説明してください。

【戸渡政策課長】

 それでは、私の方から科学技術・学術関係の概算要求の概要につきまして、資料1-1及び冊子でございます資料1-2に基づきまして、ご説明をさせていただきたいと思います。主に資料1-1でご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、おめくりいただきまして資料1-1、1ページ目でございますが、平成20年度概算要求における文部科学省科学技術関係予算の概要でございます。第3期の科学技術基本計画におきまして、政府研究開発投資、5年間で総額25兆を目標として科学技術関係予算の増額を図っていくということとされているわけでございますけれども、平成20年度の概算要求につきましては、一般会計、特別会計、合わせまして総額で2兆6,485億8,100万円ということで、19年度、本年度の当初予算比で14.6パーセントの伸びとなってございます。
 そのうち競争的資金等の中核的経費でございます科学技術振興費につきましては、一般会計の上から2番目のところでございますが、総額で1兆497億ということで、当初予算比23.1パーセントという増額の要求をしているところでございます。
 おめくりいただきまして2ページ目以降、4つの柱で私どもの概算要求の概要を整理させていただいております。まず第1点目、2ページ目でございますが、次世代を担う人材への投資の充実・強化という点でございます。
 ここにつきましては、まず(1)でございますが、次世代を担う若者への理数教育の充実ということで、理科好きな子どもの裾野の拡大と興味・関心の高い子どもの個性・能力の伸長という両面から施策の充実を図ることとしているところでございます。特に裾野の拡大という点では、本年度から始めております理科支援員等配置事業の充実等を図っているところでございます。
 また、興味・関心の高い子どもの個性・能力の伸長という点につきましては、科学オリンピックへの支援の充実、また、卓越した子どもに対しての学校外での高度な学習機会の提供といった新たな事業を開始することとしているところでございます。
 次に、その上に立ちまして(2)でございますが、大学における人材育成機能の強化と産学が協働した人材育成ということで、大学における人材育成につきましては、大学院教育の抜本的強化と世界的な卓越した教育研究拠点の形成ということで改革プログラム、また、グローバルCOEプログラム等の充実を図ることとしております。また、産学が協働した人材育成についても充実をしていきたいと考えているところでございます。
 それから、3点目がイノベーション創出の担い手となる若手・女性研究者への支援の強化ということで、博士課程学生への経済的支援(フェローシップ)の充実、若手研究者の自律的環境の整備といった若手の活躍を支援する施策の充実とともに、女性研究者の活躍促進のための条件整備等の推進、外国人研究者の招へいの促進といったことについて充実を図ることとしているところでございます。
 また、国民の皆さんの科学技術に関する理解と意識の醸成ということで、身近な場で科学技術に触れ学ぶ機会の充実等についても引き続き充実を図っていくこととしているところでございます。
 おめくりいただきまして3ページ目、基礎研究の充実と研究環境の整備でございます。この点につきましては、世界最高の科学水準を目指しまして、国立大学運営費交付金、私学助成等の基盤的経費を確実に措置をしました上で競争的資金を拡充するといったことなど、多様性を確保して研究開発を推進していくこととしてございます。
 また、施設整備等につきましても「緊急整備5か年計画」の推進により、基盤の強化を図っていくこととしてございます。
 まず、大きな項目といたしましては、学術研究の推進ということで、大学・大学共同利用機関等におけます独創的・先端的基礎研究の推進、アルマ計画の推進などの計画推進とともに、研究設備の整備ということで基盤的研究設備、あるいは共同利用の大型設備等の整備を図ることとしてございます。
 また、科学研究費補助金につきましては、挑戦的研究としての新学術領域研究の新設、若手研究者への投資の拡大、基盤研究の充実、あわせまして間接経費の拡充等を図ることとして262億円の増を要求してございます。
 また、人文・社会科学の振興ということにつきまして、政策、あるいは社会の要請に対応した人文・社会科学研究の推進、人文・社会科学分野におけます共同研究拠点の整備といったことなどにつきまして、充実を図っていくこととしてございます。
 また、2番目でございますが、競争的資金の拡充という点でございます。先ほど申し上げました科学研究費補助金、また、科学技術振興調整費、戦略的創造研究推進事業など継続15件につきまして拡充を図るとともに、未来挑戦研究(ハイターゲット研究)の新設など、新たに5件の競争的資金を創設するなどによりまして、競争的資金の拡充を図ることとしてございます。
 また、産学連携などによりますイノベーションを生み出すシステムの強化ということで、本年度から開始をしてございます世界トップレベル国際研究拠点形成促進プログラムにつきまして、本年度は半年予算という形になっているわけですが、その平年度化と充実を図るということ。また、基礎研究からの技術シーズの創出ということで、関連の競争的資金等の充実を図ることとしてございます。また、産学連携の戦略的展開、地域イノベーションの強化ということで、それぞれ施策の充実、拡充を図ることとしているところでございます。
 また、基盤の強化という4点目でございますが、先端研究施設共用イノベーション創出事業といったことなどの充実を図ることとしてございます。
 4ページ目でございますが、国家基幹技術などの着実な推進ということで、分野別に見ました研究開発の推進の状況、また、国家基幹技術への取り組みの状況について整理をしているものでございますが、戦略重点科学技術ということで62課題につきましての充実を図っていくということで、まずライフサイエンス分野につきましては脳科学研究の推進、橋渡し研究支援、オーダーメイド医療実現化への取り組みといったことなどで充実を図っていくこととしてございますし、情報通信関係では次世代スーパーコンピュータ、また、環境につきましては21世紀気候変動予測革新プログラムの充実を図ることなどとしてございます。
 ナノテク材料分野につきましては、共用拠点のネットワーク化、元素戦略の推進といったこと。原子力関係では、高速増殖炉サイクル技術、また、ITER(イーター)計画の推進というものを進めることとしてございます。
 それから、宇宙・航空分野につきましても、必要な衛星の推進といった取り組み、南極関係では南極地域観測計画、ドリリング計画の推進、あるいは後継船の建造の推進といったことを進めることとしてございます。
 また、地震・防災関係では、ひずみ集中帯の調査観測研究の推進等を図ることとしておりますほか、ものづくり技術、新興・融合分野の推進という、この10の分野について引き続き取り組んでまいることとしているところでございます。
 また、国家基幹技術への集中投資ということで、再掲になるわけでございますが、宇宙輸送システム、地球海洋観測探査システム、高速増殖炉サイクル技術。次のページでございますが、次世代スーパーコンピュータ、X線自由電子レーザー等の計画の推進を図ることとしているところでございます。
 また、あわせまして安全・安心に資する科学技術の推進ということで、それぞれの分野での取り組みを引き続き進めるとともに、特に関係省庁、あるいは米国等と連携をいたしましてのテロ対策に本年度からプログラムを起こしているわけでございますが、さらに加えまして、地域の課題を解決するためのシステム開発というものを新たに来年度、取り組んでいきたいということで所要の経費を要求しているところでございます。
 最後、4番目の柱でございますが、科学技術の国際活動の戦略的推進ということで、特に科学技術外交の強化ということが指摘をされております。来年度につきましてアジア諸国等との協力ということで、アジア・アフリカ科学技術協力の戦略的推進とアジア科学技術発展基盤整備事業などを新規、あるいは拡充をしてまいりたいということで要求等しているところでございます。
 6ページ以降は、今、ご説明等させていただきました内容の中で、特に学術関係予算につきまして整理をさせていただいている資料でございますが、また後ほど学術関係の審議のところでご説明させていただければと思っております。
 以上、ご説明させていただきました内容の概要及び新規、拡充事項についてのそれぞれの施策の説明、概要につきましては、お手元の冊子の方に整理をしてございますので、また後ほどご覧いただければと思っております。
 引き続きまして、恐縮でございますが、資料1-3、独立行政法人整理合理化計画の策定に係る基本方針というものにつきまして、ご報告をさせていただきます。
 去る8月10日に行政改革推進本部におきまして、行政減量・効率化有識者会議というところで「骨太の方針2007」におきまして、全独立行政法人について原点に立ち返った見直しをする。年内を目途として整理合理化計画を策定するということが決定されましたことを受けまして、その整理合理化計画策定のための基本方針というものが8月10日に有識者会議により取りまとめられております。
 方針の概要は1ページにございますとおり、総論としては独立行政法人につきまして徹底的な縮減、効率化、自律化という3点から横断的に見直しをしていくということと、各論といたしましては、それぞれ独立行政法人につきましていろいろな類型があるということで、類型分けをした上で見直しの視点というものが整理をされてございます。研究開発型につきましては、研究開発に係る国の方針等との関係について精査、あるいは成果に係る成果チェックの厳格化といったことが入っているわけでございますが、具体的にはその以下の資料に本文があるわけでございますけれども、その8ページのところが研究開発型についての個別的な見直しの視点でございます。
 この1番目のところで、長期戦略指針「イノベーション25」など国としての研究の大枠との関係を勘案しつつ、検討を行うということが冒頭に書かれているわけでございますが、この長期戦略指針「イノベーション25」に記述されております事項、一番最後のページに参考としてつけさせていただいております。この「イノベーション25」も6月1日に閣議決定されているわけでございますが、こちらにおきましては研究開発独立行政法人の研究開発活動というものにつきまして、より本来的な力と期待される役割を発揮できるようにということで、いろいろ改革のそういう観点からの取り組みが書いてございますが、一番下の3行でございます。
 「今後、イノベーション推進に果たす研究開発独立行政法人の担うべき役割、あるべき姿、研究開発能力をさらに高める方策等について検討していく」ということとされてございまして、この「イノベーション25」で示された方針を踏まえつつ、今回の独立行政法人の見直しについても取り組んでいくということが基本方針の中に、先ほど申し上げましたところで述べられているという形になっているところでございまして、研究開発型法人については「イノベーション25」のこの役割を高める方策という方針も踏まえつつ、今後、年末に向けて検討がなされるという予定になっているところでございます。
 以上、長くなりましたが、私からの科学技術・学術関係につきましてのご説明は以上でございます。
 引き続きまして、高等教育関係の概算要求につきましてご説明させていただきます。

【藤原高等教育企画課長】

 高等教育局でございます。資料1-4をお開きください。高等教育分の概算要求の主要事項についてご説明申し上げます。
 今回の20年度概算要求で高等教育局としては、主に4つの大きな柱を立てて概算要求をしております。まず大きな柱の1番目としましては、国立大学及び私立大学につきまして、まず基盤的経費について確実に措置、充実をした上で、さらに国公私立大学を通じた競争的な経費について拡充していく。こういう方針のもとでの概算要求をしている次第でございます。
 まず、国立大学については運営費交付金について、シーリングではマイナス1パーセントが掛かっておりまして、昨年の歳出改革でマイナス1パーセントの方針が示されている状況ではありますけれども、それ以降の新しい情勢の変化、すなわち緊急医師確保対策とか、あるいは9月入学の促進など、こういった新しい要素を盛り込むということで、トータル269億円増の1兆2,313億を運営費交付金として概算要求しているわけであります。
 また、私立大学につきましても、経常費補助について同じく医師確保対策など、新たな要素を見込んで、大学については70億円増の3,351億円の要求をしているということであります。
 こういった基盤的経費について確実に措置をするということに加えて、従来から国公私立大学を通じての大学教育改革の支援という観点で競争的経費を充実してきたわけでありますが、例えばグローバルCOEにつきまして来年度は2年目になりますが、大幅に拡充することをはじめとして、引き続き様々なGPものなどについて増額の要求をするというふうに考えております。これが大きな1点目でございます。
 それから、大きな2点目といたしましては、大学、あるいは大学の附属病院について充実をするという観点を通じて、今いろいろ問題になっております地域振興に資する、こういった観点での概算要求をしているわけであります。
 まず1つは、大学病院の機能強化という観点で、例えば国立大学であれば附属病院の機能強化ということで運営費交付金に必要な経費を積むというようなことをしているわけでありますが、それに加えまして、新しく運営費交付金の外に新規の補助金を立てまして、大学病院と地域医療機関が連携した医師の養成システムを構築していくということで、具体的には地域連携型の高度医療人養成推進事業を100億円要求するということを概算要求しております。
 あるいは地域の振興の核となる大学の構築ということも考えておりまして、国公私の複数の大学が多様で特色ある大学間の戦略的な共同連携をする取り組み、こういったことについて国としても支援していくということで、50億円、新たに新規の事業として要求しているということがあります。
 それから、3つ目の大きな柱としては、大学の国際化、あるいは国家戦略としての留学生政策の推進ということでありまして、まずは大学の国際化について見ますと、大学教育の国際化加速プログラムを策定しまして、例えば単位互換とか、ダブルディグリー、こういった複数の様々な取り組みを総合的、体系的に行うような相互連携のプログラムについて、国として支援していく国際共同・連携支援の事業を新しく要求しております。これは新規として45億円を積んでいるという状況でございます。
 また、留学生についても国費留学生の拡充、あるいは日本人学生の海外留学支援など、引き続き拡充を図っていくということで要求をしているわけであります。
 それから、最後の4番目の柱としては、教育費負担軽減ということで奨学金事業の充実ということで、これは無利子及び有利子の貸与事業それぞれについて、貸与人員の増額、それから、貸与月額の増額、あるいは月額の新しい枠を増やすというようなことも考えて、トータル総事業費として1,010億円の増額を図っているということでございます。
 以上、高等教育局の分でございます。

【岩立計画課長】

 続きまして、国立大学等の施設整備について、説明をさせていただきます。文教施設企画部の計画課長をしております岩立でございます。
 資料1-5でございます。表紙をめくっていただきますと、「第2次国立大学等施設緊急整備5か年計画の推進」ということで出ております。平成20年度要求額で1,402億円、対前年度約1.5倍という要求をしております。
 国立大学等の施設整備につきましては、第3期科学技術基本計画を受けて策定しました「第2次国立大学等施設緊急整備5か年計画」、これに基づいて重点的・計画的に推進をするということでございますが、平成20年はこの3年目に当たります。1兆2,000億円という5か年計画の数値目標もございますが、それに対して3年目で39パーセントという進捗になります。
 平成20年度、どういう方針で事業を実施していくかということについて、真ん中辺に3つほど書いてございます。
 1つ目は、5か年計画に基づいて重点的・計画的整備を図るということで、老朽施設の再生を最重要課題として位置付けておりまして、これについて基本的にはやっていくということでございます。
 2つ目が安全・安心ということで、耐震化を進めるということでございます。先ほどの老朽施設の再生と耐震化、これはほとんど重複するような形になりますが、56年以前の旧耐震基準でできています建物の安全・安心確保ということで、これをしっかりとやっていくということ。
 それから、3つ目に、建物の中で行われている教育研究がどんなものか、そういったことにも視点をきちっと持って、若手研究者等の人材育成、国際競争力強化のための教育研究拠点の整備といったことにも意を用いて推進していくということでございます。
 下に財源内訳として数値が載っております。文教施設費1,402億円の内訳が3つに分かれております。施設整備費補助金が893億円、対前年で2.18倍になっています。それから、施設費交付金、これは財務・経営センターの事業になりますが、土地処分収入でもって充てているもので、対前年同額の56億円。それから、長期借入金ということで、大学附属病院の再開発に入れておりますが、453億円、1.03倍となっており、要求総額1,402億円ということでございます。
 この財源を事業の内容で分けたものが次のページに載っておりまして、大きく3つ。1つ目が教育研究基盤施設の再生ということで、合計837億円になります。それから、真ん中が大学附属病院の再生ということで509億円、営繕事業が最後にありますけれども、小さな改修等を行う事業ですが、56億円という内訳になっております。
 今ほどご説明しました財源と事業の内容、この次のページに色の図にしまして19年度の予算との比較で出ております。ピンク色で塗ったのが19年度国費の施設整備費補助金の分でございますけれども、水色が財政融資資金による長期借入金、緑色が施設費交付金ということで、20年度の方は財源と事業の方に分けて、附属病院の方には国費が1割入っておりますので、こんな形になります。
 あと、参考にこれまでの予算の推移、それから、5か年計画の概要というものを次のページに付けさせていただいております。
 以上でございます。

【野依会長】

 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきましてご質問ございませんか。石田委員、どうぞ。

【石田(寛)委員】

 本件資料1-1から5までずっと見せていただきまして、全体、私どもが受けます印象は、近年の概算要求に比べて非常に全体要求額が増えているという、そういうことであると思うわけであります。もちろん、この増額をもってしても、特に科学技術予算ということになりますと、これは他省との関係もありますけれども、第3期科学技術基本計画に示されました目標を達成できるかどうかということになりますと非常に大変なのでありましょう。でも、そういう状況に関わらず、かなり大規模な増額を概算要求では達成することができたというのは、これはまさに文科大臣をはじめ、文科省の皆さん方の努力ということだと思うのであります。
 そこで、こういう概算要求が可能になったのはどういうメカニズムでそうなったのか。あるいはこれからたくさん要求はされるけれども、最後のまとまりはどうなるのか。我々は非常に大きく期待をしておるわけでありますけれども、その期待のまま、現実に予算化されるのか、あるいはそうでないメカニズムもあるのか、その辺につきましてご説明いただければ幸いです。

【野依会長】

 説明してください。どうぞ。

【戸渡政策課長】

 ただいまご指摘のありました点でございますけれども、まず、概算要求の大まかな基準につきましては、要求の段階で科学技術関係のうちの中核を占めます科学技術振興費につきましては、対前年度というか本年度同額を基礎といたしまして、その上で20パーセントの増額要求が可能となる概算要求基準の考え方になってございます。
 さらに、それに加えまして要望基礎額に加えて重点政策推進要望ということで、成長力の強化、地域活性化、環境立国戦略、教育再生、生活の安全・安心等といったものにつきましては、この20パーセントの要望額に加えまして重点施策要望ということができるということで、4.5パーセントさらに上乗せをして要望ができるという、そういう概算要求の基準の考え方を踏まえまして、科学技術・学術関係を含めてできるだけの要求をさせていただいたという姿が今回の要求の姿でございます。
 この中でこれから年末に向けましていろいろ全体の仕上がりに向けて議論等させていただくということで、なかなかこのまま要求額のままというのは難しい部分もあるかもしれませんが、私どもとして最大限の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。

【野依会長】

 私ども25兆円の達成を期待しておりますので、ひとつ頑張っていただきたいと思います。
 ほか、ございますでしょうか。柘植委員、どうぞ。

【柘植委員】

 柘植でございます。
 概算要求の資料1-1の2ページの次世代を担う人材への投資の充実・強化、かなり努力をしてもらっているのは評価しますけれども、私、人材委員会の主査を仰せつかっている関係で、特にこの左の(1)の次世代を担う若者の理数教育の充実について発言します。予算は増やしてもらっていますけれども、私、中教審の教育振興基本計画特別委員会に出ましたら、全国の小中学校にこの理数教育の先生をちゃんと配置するのには2,000億円かかると聞きました。そうすると、この115億円の中身は、裾野の拡大の方を考えると、半分としても50億円ですね。ですから、2,000億円のうちの50億円では、もう焼け石に水である数字ではないか。
 言わんとしていることは、我々の科学技術・学術審議会の直接のミッションではないけれども、一体、初等中等教育の方で幾らこの理数教育の方を増やしてくれたかを問わねばなりません。2,000億円必要な中で、ここでは50億円だが、他では幾ら増やして、総額では幾らの増額をしていると言った全体の把握と評価が必要。その辺もやはり視野に入れないと、先ほど高等教育局の方の予算の話もありましたが、2025年の姿というのは、今から小学校で育てる人たちが担ってくれるわけですね。ですから、このあたりの視点も領空侵犯と思うところもありますけれども、しかし、やはり科学技術・学術審議会としては看過できない状況だと思います。このあたり、むしろ銭谷事務次官などがどういうふうにお考えになっているのかを是非伺いたい。

【野依会長】

 では、次官、よろしく。

【銭谷事務次官】

 今まさに核心のご質問をいただいたわけでございますけれども、科学技術の関係で、昨年度から理科教育支援員ということで、理科教育に大学の方とか企業の方などご参加いただけるようなシステムを作っていただいたわけでございますけれども、初等中等教育の方で、この理科教育の振興につきまして20年度どういう考え方で臨んでいるのかということをお話申し上げます。
 実は初等中等教育、とりわけ義務教育の場面で最も予算として大きいのがこの教職員の定数の問題なのでございます。来年度につきましては、今、非常に厳しい中でございますけれども、教職員の定数につきまして3年計画で2万1,000人、教職員を増員をするという概算要求を行っております。20年度については初年度分として7,000人ということを今考えております。これはもちろん、全て理科というわけではございませんで、各教科いろいろまたがるわけでございますけれども、1つはそういう意味で教職員の配置改善。
 それから、2つ目に考えておりますのが、常勤の教員ではないのでございますけれども、非常勤の教員、例えば週に何時間とか、あるいは2校かけ持ちをするとか、そういう非常勤の教員の増員ということを考えておりまして、これは小中合わせまして1万5,000校に非常勤の教員が配置できるように3年計画でやろうと。初年度は5,000校分でございます。その中には、いわゆる理科の専科の先生というのを非常に重要な要素として考えているということでございます。
 それ以外にもう一つ、今考えておりますのが地域ボランティアの方、これはなかなか先生というわけにはまいりませんけれども、いろいろな先生の活動のお手伝いをしていただける、そういう方について是非学校を応援する本部のようなものを作っていただいて、これを全中学校単位で、これもやはり計画的にやりたいなと思っております。
 ですから、結論的に申し上げますと、今、大体、小学校が2万3,000ぐらいございまして、中学校が1万ぐらいございますので、小中合わせまして、常勤、非常勤合わせて、ここ3年の間に各学校に1人ないし、学校の規模によりますけれども2人程度、常勤、非常勤の先生が増やせるような、そういう計画を今立てまして、概算要求を行っている。その中核が理科になっているということでございます。

【野依会長】

 柘植委員、どうぞ。

【柘植委員】

 大変充実したことをされています。マクロ的で良いですけれども、そうすると、大体2,000億円ぐらい科学技術面での初等中等教育費は増えると、ざっと考えていてよろしいでしょうか。

【銭谷事務次官】

 額的には、今、義務教育費というのは、教職員人件費で国の予算ベースで言いますと、1兆6,000億円強、1兆7,000億円弱でございます。ただし、これは国は3分の1の負担でございますので、実際の小中学校の教職員経費は、この3倍かかっているというふうに思っていただければ良いと思います。ですから、5兆四、五千億円は教職員の人件費にかかっている。増加分で言いますと、常勤教職員の数で言いますと、初年度で300億円ぐらい、国庫負担ベースで言いますと300億円ぐらいでございますので、3年で1,000億円弱。非常勤の方を入れても大体そんな目処でございます。

【野依会長】

 どうもありがとうございました。
 私、この問題は学校教育だけで不十分ではないかと思っております。小学校、中学校でどれだけ素晴らしい先生がいらしても、それから、いろいろな教材をそこに持ってきても、それは限られているので、やはり地域、産業界も含んで、社会総がかりで理科教育をやる必要があるんじゃないか。産業界ではたくさん学校等で共用できないような素晴らしい、目に見える展示物等もあるわけですね。ですから、例えばお台場の未来科学館のような大産業博物館のようなものを全国に作っていただくとか、そういうことも大事じゃないかと思っております。
 それから、やはり子どもだけ教育するのではだめなので、一般社会人に対して、特にお母さん達も含めて理数教育をしっかりしていただくことが小さな子ども達を理科に呼び寄せる非常に大きな力になるんじゃないかと思っております。ご承知のように、決して我が国の子ども達の科学リテラシーがそんなに低いわけではなくて、むしろ一般国民の科学技術リテラシーが低いということが日本の大きな問題になっていると思っております。柘植委員も産業界に属されているわけですから、是非社会総がかりでやっぱり理科教育を推進することにご賛同いただきたく思います。この姿勢が大変大事です。文部科学省もその方向で様々な支援をしていただくということが大事じゃないかと私は思っております。どうもありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか。室伏委員、どうぞ。

【室伏委員】

 柘植委員のご意見、ご質問と関連して、私は野依先生が仰ったように社会全体が理科教育、科学教育を支援していくことは非常に重要だと思っておりまして、いろいろな海外の事例なども調べたことがございます。
 それで、最近、大変強く思いますのが、日本の中で、そういう教育の場面に企業の方々からのいろいろな支援をいただくということについて、システムができていないなということです。それから、大学の研究者やいろいろな機関の研究者による、社会の人々を対象とした、科学技術に対する理解を醸成するための活動に対しても、あまりシステムが上手にできていない、そんなことを強く感じております。
 ですから、そういうことを推進するためのシステム作りを文部科学省の皆様にもお願いしたいと思います。例えば、研究者が国費からいただいた研究費の一部をそのように社会に還元するために使いなさいというか、そういったことをある程度義務化するようなことを推進していただくのも1つの方法ではないかなと思います。それから、企業の方々が社会に対して、特に教育の場に投資していただくことについて、何らかの優遇策のようなものも考えた上で、進めていただけたら、随分変わってくるのではないかと思っています。
 以上です。

【野依会長】

 ありがとうございます。
 私ども研究開発型の独立行政法人で働いておりますけれども、いろいろな機会をとらえて一般社会に私どもの活動を公開しています。大変関心が高くて、4月の後半の日曜日に私どものキャンパスを開放いたしますと1日に7,000人ぐらい、子ども達、家族連れでやってくるわけですね。ですから、そういうこともどんどん積極的に進めるシステムをもっと作っていくことが大事であろうかと思っております。どうもありがとうございました。
 ほか。笹月委員、どうぞ。

【笹月委員】

 今の件ですが、小学生の教育という時にいろいろなことを工夫するんですけれども、もう一つ、昨年、娘夫婦がスタンフォードに留学していて、孫の小学校を見に行きました。そうすると、小学校の先生が、おじいさんがこの子達のころ、どんな社会でしたかと言われて、それはアメリカが原爆を落としてなんて言えませんので、まあ、私は免疫学をやっているので免疫の話をしまして、子ども達に質問しますと、いろいろなことを知っているんですね。驚くようなことを知っているんです。
 どこでだれがそれを教えてくれたのかと聞くと、みんな一様に言うのはライブラリーで自分で本を読んだ。すなわち、そういう自由な時間があって、図書館で興味のある本を読む。そのことで本当にきちんとしたものを学んでいる。日本の場合を調べてみますと、そういう小学校の高学年が図書館で読んで、本当にきちんとした知識を身につけられるようなレベルの高い、かつ易しい本というのがなかなかないんですね。ですから、そういうものを作る工夫をするということが私は非常に大事じゃないかということを経験を通じて思いました。

【野依会長】

 ありがとうございました。
 時間がなくなってまいりましたけれども、何かございますでしょうか。なければ次に移らせていただきますが。
 それでは、議題2に移らせていただきます。各分科会等の審議状況についてご報告いただきたいと思います。各分科会等の審議状況につきましては、資料2-1に取りまとめていただいておりますけれども、本日は特に報告の取りまとめを行った分科会等からご説明をいただきたいと思います。研究計画・評価分科会は、澤岡分科会長、資源調査分科会は鈴木分科会長、技術・研究基盤部会は白井部会長からそれぞれご説明いただきたいと思います。
 それから、測地学分科会の深尾分科会長からも報告をなさりたいことがあるようでございますので、続いてお願いしたいと思います。
 なお、ご質問につきましては、全ての説明の後にまとめて伺うことにしたいと思います。
 それでは、まず研究計画・評価分科会の澤岡分科会長からご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【澤岡委員】

 澤岡でございます。
 研究計画・評価分科会は、3つの部会と多くの委員会から構成しておりますが、与えられた3分間で全てに触れるわけにはいきませんので、ここでは資料2-2を使わせていただきまして、簡単に地球観測推進の状況についてのみご報告させていただきたいと思います。色刷りのまとめでございますが、資料2-2でございます。
 地球観測の重要性というのは、近年の地球温暖化を含む異常気象などで非常に国民的にも関心が高い問題でございます。エビアン・サミットで国際協力10年計画、GEOSS計画が出発いたしまして、日本の計画を推進する1つの重要な役割を担う部会として3年前に発足したものでございます。1年目、2年目は手探り状態でございましたが、平成20年度、来年度の我が国の地球観測の在り方と実施方針の審議を通じまして、3年目にして相当自信を持って実施方針が検討できるようになったと感じております。ここまで来るのに3年かかったなということで、特にここでご紹介申し上げるわけでございます。
 この概要は2つからなっております第1部と第2部で、それぞれ切り口が異なっております。1枚目のオレンジ色の第1部、地球観測の基本戦略に基づく地球観測事業の推進という内容は、第1章、それから、3枚目黄色の2章と3章と3つの柱からなっています。第1章、利用ニーズ主導の統合された地球観測システム。従来、地球観測は盛んに行われておりますが、利用ニーズという視点から、しかも、統合されたものとしてシステムを構築しなければいけないという視点から検討を進めてきたものでございます。
 この1ページ目の白く囲まれた部分でございますが、連携拠点、地球観測システムを担っている府省機関が相互に連携し合うことによって、連携拠点をつくるということで、1が地球温暖化分野に関する連携拠点、括弧内の担当機関については省略させていただきます。2が地震及び火山分野に関する連携拠点、この2つの拠点が現在活発に活動しているところでございます。
 2枚目、具体的施策における分野間・機関間連携で、1、2、3とございます。観測の共同実施によるもの、それから、2が観測技術の共同開発、それぞれ1、2、3とついております。
 それから、3番目がデータ収集・共有・提供システムの開発による分野間の連携を促進するということで、データ統合やGEO Gridのような2つ大きなものについて述べられております。
 3枚目をお開きになってください。第2章、2つ目の柱でございますが、国際的な地球観測システムの統合化における我が国独自性の確保とリーダーシップの発揮、先ほど申し上げました全地球観測システム(GEOSS)でございますが、ここで日本は国際的なリーダーシップをとるべきである。それにはどうするかという議論でのまとめでございます。白く囲まれた2つのところ、地球観測に関する国際的枠組み、このようなものがあってこういう動きがございますということ。下には、地球観測に関連する国際計画や機関がございまして、それぞれに我が国の機関、システムが関与していることについてまとめてございます。
 次のページ、第3章、3番目の柱でアジア・オセアニア地域と連携の強化による地球観測体制の確立ということで、この例として中国、モンゴルからの黄砂の飛来、これは一例でございますが、様々の事例がたくさんございます。最近のインド洋における地震、津波の問題、こういうことについて国際連携を強化していこうということでございます。
 最後のページをお開きになってください。第2部、少し今までと違った切り口で地球観測の推進をまとめたものです。第1章が喫緊のニーズに対応した非常に緊急性を必要とされているものとしては、こういうものがございます。それで、地球温暖化に関わる現象解明、影響予測など、水循環。水循環については、これは緊急課題として、もっと積極的に取り上げるべきであるという議論が続けられております。その他、3、4、5とございます。
 第2章では、基盤的研究開発の推進が非常に重要で、特に今まで挙げた機関は独立行政法人が多く中心になっておりますが、個々の大学が行っている地道な研究も非常に重要なもので、そういうものの連携も深めていかなければいけないというようなことを述べております。
 第3章では、個別の分野における地球観測の推進、今申し上げましたこととも関連しますが、地球環境、生態系、大規模火災、エネルギー・鉱物資源、森林資源、農業資源、それから、気象・海象、地球科学、それぞれ非常に重要なテーマがあって、積極的に推進すべきであるというまとめをしております。

【野依会長】

 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、資源調査分科会の鈴木分科会長、よろしくお願いします。

【鈴木(厚)委員】

 それでは、資源調査分科会からご報告させていただきます。
 分科会は、光資源委員会と食品成分委員会がございますけれども、今日は光資源委員会からのまとめがありますので、それについて話をさせていただきます。
 資料は2-3で、番号が振ってございませんけれども、冊子がございます。この「光を資源を活用し、創造する科学技術の振興」という冊子がございまして、これがまとめでございますが、光資源というのは、ご存じのように太陽光からレーザー、放射光、あるいは今、光触媒等、あるいは光通信等、非常に多種多様、多岐にわたっておりますけれども、これらの光の持っているポテンシャルが十分まだ活用されていないということがこの根底にございまして、これを光全体を非常に可能性を秘めた資源であるという観点から、これを活用して科学技術を振興していくためにはどうしたら良いかというような提言がまとまったのがこの報告書でございます。
 これをページをめくってもらいますと目次がございますけれども、これをご覧になると分かると思いますが、非常に最先端の研究から、逆にまた非常に身近なところ、あるいは現実的な話から非常に夢のある話までございます。
 さっと見ますと、第1章は光と地球環境ということでございまして、これは温室ガスも含めた問題点が指摘してございます。
 第2章は、豊かなくらしに寄与する光としまして光触媒の話です。光と植物-植物工場、あるいは水産に関する、漁場に関する光を利用した工場という点が第2章でございます。
 第3章は、健康なくらしに寄与する光ということで照明です。あるいは光を利用した治療です。あるいは光を用いた非侵襲生体診断等々、健康に関する光の応用という点がニュアンスでございます。
 4章は、経済・社会の高度化に寄与する光としてネットワーク、あるいは将来の加速でございますプラズマ加速、あるいは非常に時間的に短いパルスの応用ということがございまして、最後に全体をまとめて提言という形に書いてございます。
 これを見ても分かりますけれども、非常に分かり易く、最先端から身近なものまで一見して分かるような形でまとめてございますので、是非これをいろいろな方面に活用していただきたいと思っております。
 以上でございます。

【野依会長】

 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、技術・研究基盤部会の白井部会長からよろしくお願いいたします。

【白井委員】

 それでは、「知的基盤整備計画について」と、それからもう一つ、「イノベーションの創出に向けた産学官連携の戦略的な展開に向けて(審議のまとめ)」、この2つについて報告させていただきます。
 まず、資料2-5、あるいは2-4でありますが、これは第3期科学技術基本計画において、知的基盤整備計画への指摘事項というものがありましたが、それによって技術・研究基盤部会のもとに設置された知的基盤整備委員会、これにおいて検討を重ねた結果でこれを取りまとめたものでございます。
 この経緯と取りまとめの内容については、実際ご尽力いただいた澤岡部会長代理の方から資料2-4で主にご説明していただけますか。

【澤岡委員】

 それでは、資料2-5の説明をさせていただきます。
 この知的基盤整備計画は、平成13年3月に閣議決定された第2期の基本計画を受けまして、同年に科学技術・学術審議会において策定されました。その中で2010年を目途に世界最高水準の知的基盤、すなわち研究用材料、計量標準、計測方法、機器等、データベースを我が国全体で戦略的、体系的に整備するための具体的な方策が示されました。この知的基盤整備計画に基づきまして、知的基盤は順調に整備されてきており、この基盤を整備する機関におきましては、その利用を促すための体制等が良好に構築されているところでございます。
 このような中で、平成18年3月に閣議決定されました第3期の基本計画におきまして、知的基盤の戦略的な重点整備及び効率的な整備・利用を促進するための体制構築の必要性が位置付けられました。具体的には知的基盤の戦略的な重点整備について量的観点のみならず、利用者ニーズへの対応や利用頻度といった質の観点からの指標を考えた整備を行うよう計画を見直し、また、体制構築については各領域について公的研究機関を中核的なセンターに指定し、育成することにより拠点化を図ることとされております。
 この資料2-5の計画につきましては、こうした指摘を受けまして、部会のもとに設置された委員会におきまして、本年2月以降5回の検討を重ねて、9月4日に取りまとめたものでございます。その主な内容としまして、この目次などもご覧になっていただきたいと思いますが、例えば概要の添付2-2にございますように、研究用材料領域の生物遺伝資源に関する中核的な役割を担う機関等として理化学研究所バイオリソースセンター等の関係機関を位置付けております。
 また、同様に指摘を受けた知的基盤の戦略的な重点整備につきましては、概要添付の2-3にございますように、研究用材料領域の生物遺伝資源に関する戦略目標に、例えば微生物のうち酵母については系統数840件を2010年度における利用者への目標年間提供数として取り入れたものでございます。
 以上、知的基盤整備計画に関する説明を終わらせていただきます。

【白井委員】

 それでは、続いて「イノベーションの創出に向けた産学官連携の戦略的な展開に向けて」、資料2-6でございますけれども、これについて説明させていただきます。
 資料2-6というのは厚いのですが、その真ん中ほどをおめくりいただけると、審議のまとめの概要というのがございます。そこをざっとご覧いただくと、ここにまとめてあることをご覧いただけるかと思います。
 この産学連携というのは、平成13年度の第2期科学技術基本計画等々から盛んにこういうことの必要性というものが唱えられて、こうやって現在に至っているということなんですが、先ほど文部科学副大臣の話にもありましたけれども、「イノベーション25」とか、あるいは「知的財産推進計画2007」とか、そういう政府の各種の行政方針というものにおいて、一層、産学官連携の強化を図る必要性というのが指摘されているわけです。
 さんざん議論されていることですけれども、これはイノベーションの創出ということが、こういう国際競争下では非常に重要だ。その1つの大きな手段として産学連携というものの実現は重要である。そのとおりだと思うわけですが、こういう状況を踏まえて、この産学官連携推進委員会では、今後の大学等における産学官連携の活動の推進ということについて、どうすれば良いのかということについて5年間の評価と、それから、またさらに至らない点、それから今後の可能性というようなことについて、このまとめでもってまとめさせていただいたということです。
 新たに出てきている問題では、国際的な産学官連携強化、活動の強化であるとか、あるいは地域の問題とか、そういうようなことがございました。従って、有識者ヒアリング等、この付録の方にどんな審議経過があったかがまとまっておりますけれども、そういうことをヒアリング等々実施して、資料にあるような調査結果に基づいてまとめられております。
 内容については、ちょっと長いので簡単にしますが、今後の産学官連携の基本的な考え方としては、各大学で競争的な環境の中でやることなんだ。従って、そこに選択、あるいは特色ある教育研究ということが非常に必要だろうというようなことがかなり強い意見として出され、まとめの中に反映しております。従って、それは結局、各大学の主体的な取り組みというのがもう少し明確に出てくる、強く出てくるということが非常に重要ではないかということでもあろうかと思います。
 それからもう一つ、各大学における産学官連携を支える組織の強化というのは、これは残念ながらまだやっぱり非常に弱いと言わざるを得ないだろう。これは資金計画も含んで相当強化しないと、今後、これを一層拡充するというのはなかなか難しいということです。そういうことですから、国としては組織的、戦略的な共同研究等の推進ということと、それから、国際的には産学官連携活動の推進ということの視点に立って、大学等における産学官連携活動というものが失速しないように、今後の、一応1クール、5年間終わっているわけですが、次の戦略が十分に出せるようにこれを支援するということが必要であろうというようなレポートになっております。
 以上です。

【野依会長】

 どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりましたけれども、測地学分科会の深尾分科会長、よろしくお願いいします。

【深尾委員】

 それでは、測地学分科会からご報告させていただきたいと思います。恐縮ですが、資料2-1の13ページの測地学分科会の審議状況をご覧いただきたいと存じます。
 我が国は世界有数の地震、火山大国でございます。有史以来、数多くの地震災害や火山災害に見舞われてまいりました。そのような中で地震及び火山噴火予知に関する観測研究は、平成15年7月に本審議会で建議していただきました「地震予知のための新たな観測研究計画(第2次)」及び「第7次火山噴火予知計画」によりまして、平成16年度から20年度までの5か年計画として、現在、推進されているところでございます。
 これらの計画は平成20年度で終了いたしますことから、測地学分科会では次期計画の策定に向けて現計画の実施状況、成果並びに今後の課題などについてレビューを実施いたしました。その結果は本年1月19日の本審議会総会でもご報告させていただいたところでございます。その後、このレビュー報告書をもとにいたしまして、防災の専門家や自治体の関係者、それから、学識経験者などからなります外部評価委員会を構成いたしまして、そこで第三者評価を実施していただきました。その結果、両計画のいずれにおきましても、科学技術・学術上極めて意義の高いものであり、科学的・社会的ニーズ等を踏まえて適切に遂行されているという、そういった高い評価をいただくことができました。
 また、現行の計画を途切れさせることのないよう、着実に引き継ぐために次期の計画を策定していく必要があるという、そういうご提言もいただいております。
 去る6月28日に開催いたしました測地学分科会では、これらのレビュー報告並びに外部評価報告を踏まえまして、次期計画の策定について審議を行いました結果、新たに建議(案)を策定することを決定いたしました。現在、測地学分科会のもとにあります地震部会並びに火山部会におきまして、次期計画の具体的な検討を進めておりますが、本年12月ごろには、その中間のまとめを行いまして、ご報告させていただきたいと思っております。その後、一般からの意見公募などを受けまして、さらに検討を進め、来年6月ごろには本審議会で建議をしていただけるよう作業を進めてまいりたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【野依会長】

 ありがとうございました。
 ただいまご報告いただいたもののほか、各分科会等の審議状況につきましては、資料2-1をご覧いただきたいと思います。
 なお、今回、報告がなかった分科会につきまして、何か特段のご発言はございますでしょうか。
 なければ、今、ご報告いただきましたものについてご質問いただきたいと思っております。どうぞ、何なりと。深尾委員、どうぞ。

【深尾委員】

 質問までさせていただいて大変恐縮ですが、地球観測のことで少しお願いがあります。地球観測の多くは地球のいろいろな物理量の変動を測るということが中心になりますので、3年とか、あるいは5年のプロジェクトで何かを観測して、それで完結するという、そういった類のものではないわけです。観測を継続的に行うということが大変重要になってまいります。地球温暖化で炭酸ガスが最も重要だと万人が納得しましたのは、1958年の国際地球観測年を契機に米国のキーリング博士がハワイのマウナロアという山頂で始めた炭酸ガスの連続観測です。
 それからもう一つ、南極のオゾンホールの発見の決定的な証拠になりましたのは、我が国の国立極地研究所が南極で始めた地上観測です。そういうことで、キーリングの観測も極地研の観測も、いずれも観測当初はそれをほど重要視されなかったのですが、それを継続したことによって大変重要な大発見に繋がったというわけです。それで、是非この今回の地球観測プロジェクトも、一応、10年間という長いプロジェクトとなっておりますが、地球変動を調べるためにはさらに長い観測が必要ですので、その先に繋がるようなことを是非ご配慮いただきたいということをお願いしたいと思います。

【野依会長】

 はい。では、澤岡委員、どうぞ。

【澤岡委員】

 深尾先生のご指摘、もっともでございまして、同じ趣旨の意見がこの部会の中でも何度も議論されております。通常、プロジェクトは3年、5年で終わります。稀には10年のものがありますが、それを担当する機関が独立行政法人の場合は、プロジェクトを終わるとそれを次に立ち上げるのが非常に難しい。大学においても細々と継続していた研究が法人化されてお金が回ってこなくなり、長期的な観測がどこかで途切れてしまう心配がある。そうならないようにできるかどうかというのは、ある種の文化であり、文化国家日本にとって非常に重要な問題であるという議論はされております。ありがとうございます。

【野依会長】

 どうもありがとうございました。
 では、北澤委員、どうぞ。

【北澤委員】

 今のお2人のコメントに私も賛同の上で、もう一つ違った視点からの、これは質問というよりはコメントになってしまうのですが、よろしいでしょうか。

【野依会長】

 はい。どうぞ。

【北澤委員】

 現在、文科省の地球観測は環境という名前のもとのプロジェクトとしてやられているかと思います。今から三、四十年前の日本では、公害の告発のようなことがかなり大学を中心として一生懸命なされまして、それで日本を公害に対して目を開かせて、その後いろいろな公害対策が大学も中心になって、非常に大学も活躍して、そして日本では、公害という観点からすると先進国になったと思われます。
 そして、それが現在の日本の経済的な強みの中でも、低公害、あるいは省エネルギー、そういった技術が中心になっていると思うんですが、それで、現時点でまた新たにローカルな公害というよりは、地球という単位での公害といいますか、地球環境ということが問題になっているわけですが、それで、その意味で地球観測というのは非常に大切な1つのファンクションだというふうに思うのですが、もう一つ大切なファンクションがある。そのファンクションは、ほぼ全地球的に地球が危ないということはほぼ合意ができかかってきたかなと思うわけでありますけれども、そうなりますと、その対策というのをきちんと立てていかなければならない。
 そうすると、21世紀はやっぱり環境研究の時代と言われるような時代において、これは環境省とか経産省があるから良いと言ってられる問題ではなくて、やっぱり大学人が非常に強力にこれに関わっていかなければならないと思うわけでありますが、文科省に環境に対する取り組みをもうちょっと力を入れてやっていただけたらというふうに思うんですが。観測と、それから、その対策の部分。それで、観測の方はどちらかというと大型のきちんとした体制をつくり上げていかなければなりませんから、永続性というのがものすごく重要になると思うんですけれども、一方、対策の方はどちらかというとスモール・サイエンスが多くなるかと思います。
 ですから、そのスモール・サイエンスを例のローカルな公害の時代の三、四十年前は、大型の特定研究というようなものが文部省の中のプロジェクトで走りまして、それで、その特定研究が非常に功を奏したと言われております。その意味で、現在の地球環境に対してもやはり文科省でスモール・サイエンスの方も組織化して研究していけるような、そういうことを考えていただけると非常にうれしいなと思います。

【野依会長】

 どうもありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。では、石田委員、どうぞ。

【石田(瑞)委員】

 今、地球観測の話題が出ていますので、それに関連したものとして一言お願いがあります。この地球観測に関しましては、今まで仰っていたように、中心になって進められていますのは環境、気候変動等です。ここに災害分野という項目が挙がっていまして、ここの連携拠点としては文部科学省か務めることになっています。確かに災害分野といいますのは、日本にとっては地震災害、火山噴火災害等、大きなものですが、災害としましては非常にローカルなものです。そうしますと、実際には、これはアジア・オセアニアで協力しようという場合でも、災害としてローカルですので、災害の視点で新しく予算が組まれます時の新しい計画としましても、国内だけの東南海、南海の連動性の評価などが新規としてスタートし、それだけになってしまいます。
 これは何かといいますと、スマトラ地震を契機に1つずつ起こると思っていた隣接した大きな地震が繋がって、私たちが想像できないような一つの巨大な地震となり大災害を引き起こすということが分かってきた結果です。しかし、こういうものが起こる現象というのは何百年に一度です。日本だけで待っていて、日本だけの周辺の研究をしている限り、初めて経験した時が何百年に一遍、これでは対処のしようがありません。従って、アジア・オセアニアで協力して研究すれば、この発生回数というのは10倍に増えます。
 ですから、これは災害としてはローカルで見落とされがちですが、研究対象としましては、アジア・オセアニアで連携をとって中心となって進めるような立場に日本はあると思います。現在はまだほとんどスタートしていませんが、そういうことで日本の災害を減らすためには、アジア・オセアニアの中心になって研究そのものを進めるようなことも今後文科省に考えて頂きたいと思いますので、よろしくお願いします。

【野依会長】

 どうもありがとうございました。
 白井委員、どうぞ。

【白井委員】

 私の部会で産学連携を議論していたときに、大学の中には非常に大きく、確かにシーズがたくさんあって、まだまだ可能性があるというご意見、それを連続してイノベーションでやっていくやり方というのはあるという議論はもちろんあります。一方で、今、ご意見がたくさんあったように、そういう非常に大きいミッション、大学としてやらなきゃ、今取り組まなきゃいけないんだという非常に高い盛り上がりといいましょうか、問題意識というのがあると思うんですね。
 今仰ったような中で、1つだけこの審議に非常に関係するんですが、私はそういう地球環境、あるいは災害その他についての日本のイニシアチブというのを徹底的に上げるべきだと思うんですね。これは科学技術における貢献ということももちろん大事だけれども、非常に大きな、ある意味で地球全体に対する我々の貢献だと思うんですね。これを徹底的にやっていくということは、先ほどどうやってイニシアチブをとるかということもありましたけれども、そういうことを是非プロモーションするべきだ。
 そのときに文科省でやることの意義というのはやっぱり、例えば人文・社会系の研究者なんかも非常に関係するわけですね。例えば水の問題一つとっても、そこの生活というのをよく知らなければやっても、ここには雨が降らないって、ただ行っただけではしようがない。そういうことを総合的にやっていくような施策がこれから非常に重要だなと。人文・社会の方の研究というのはどうするんだという議論をやっているわけですが、そこでもそういう意識は非常に高いんですね。それを何かうまく、もっと大きく結びつけて我々は取り組めないのかなというふうに今伺っていて思うんですが。

【野依会長】

 ありがとうございました。
 よろしゅうございましょうか。それでは、次にまいります。議題3の学術研究の振興についての審議をいたしたいと思います。学術研究につきましては、冒頭にも申し上げましたけれども、前回の総会におきまして非常に多くのご意見をいただきまして、その後、学術分科会において精力的にご審議いただいたことでございます。本日はこれまでの審議状況を佐々木分科会長にご報告いただきまして、学術研究振興という観点からご意見を伺いたいと思います。
 それでは、佐々木分科会長、よろしくお願いします。

【佐々木委員】

 ありがとうございます。それでは、学術分科会の審議状況についてご説明申し上げます。
 今期の学術分科会では、これまで主として学術研究の推進体制の今後の在り方についてというのが第1点、科学研究費補助金において当面講ずべき施策の方向性についてというのが2つ目、3番目に人文学及び社会科学の振興についてという、これが3つ目でございますが、これにつきまして分科会のもとに置かれました各部会を中心に審議を重ね、9月3日の学術分科会におきまして、これまでの審議状況について報告を行ったところでございます。
 本日は、これら3つにつきまして審議状況の報告をさせていただきたいと思います。まず、学術研究の推進体制の今後の在り方についてでございます。これまでの審議経過については、資料3-2と3-3をご覧いただければ幸いでございます。本審議事項につきましては、研究環境基盤部会を中心に昨年11月より検討を行っております。国立大学、私立大学、大学共同利用機関、日本学士院等から有識者をお招きして、現在の我が国における学術研究の推進体制に関する現状と課題について、いろいろ率直なご意見を伺いながら、学術研究の意義とその政策的推進の在り方、それから、学術研究組織の整備についての考え方、大学の枠を超えた共同利用・共同研究の推進の在り方、学術研究の大型プロジェクトの推進等についてこれまで審議をしてまいりました。
 ポイントを申し上げますと、まず第1として学術研究組織の整備は各大学が主体的に実施することが原則であり、各大学が自主的・自律的な判断により機動的、弾力的に組織編成を行うことが重要であるということ。
 2つ目として、他方、大学の枠を超えた共同利用・共同研究の拠点組織等については、国全体の学術研究の発展の観点から、国として重点的に整備を推進することが必要であること。
 3つ目としまして、その際には従来のように国立のみではなく、私立大学等の研究機能も活用して国公私立大学を通じて共同利用・共同研究拠点を整備していくことが必要であること。
 4つ目として、従来のように固定的な形態の組織に限らず、ネットワーク型の共同研究も推進していくことが重要であること。
 5番目といたしまして、新たな大型プロジェクトの推進のための意思決定プロセスが必要であること等を取り上げたところでございます。
 これらにつきまして、いろいろ議論を重ねてきたわけでありまして、まだ審議の途中段階でありまして結論が出ていない点も多々ございます。本日の総会におきまして、皆様方からいろいろなご意見等をお寄せいただければ、今後の審議においてそれをさらに深めていく上で大変ありがたいと思っております。
 2つ目の大きなポイントは、「科学研究費補助金において当面講ずべき施策の方向性について」であります。これは資料3-4、3-5でございますが、研究費部会におきまして、科学研究費補助金について当面講ずべきものとして、お手元の資料3-5のとおり、科学研究費補助金において当面講ずべき施策の方向性についてを取りまとめたところでございます。この審議の取りまとめでは、科学研究、学術研究助成及び科学研究費補助金の拡充に関する基本的な考え方を整理した上で、その基本的な考え方や第3期科学技術基本計画などの各種提言を踏まえ、平成20年度に向けて科学研究費補助金において当面講ずべき制度改善方策を提言しております。
 具体的には研究費目の見直しによる異分野連携、新興・融合領域の形成や挑戦的研究への支援。2として研究分担者の在り方の見直し、3として評価の充実及び評価結果を踏まえた支援の在り方。それから、4番目として科学研究費の研究成果の取りまとめ及び社会に還元していくための方策などについて提言を行っております。
 3つ目の大きな柱として、「人文学及び社会科学の振興について」がございます。これは資料3-6、3-7をご覧いただければ幸いでございます。本審議事項につきましては、学術研究推進部会及び同部会の下に設置されました人文学及び社会科学に関する委員会を中心にしまして、おおむね次のような点について審議を行ってまいりました。
 まず、第1番目として人文学及び社会科学の社会的意義と特性について、2つ目として人文学及び社会科学の研究成果の社会還元について、3番目として現代的な課題に対応した人文学及び社会科学の振興方策について、これが大きな3つの点でございます。様々な議論を今まとめつつあるところでございますが、なお多くの課題も残されております。
 人文学及び社会科学の役割、機能としては、様々なものがあるわけでございまして、そこの審議経過にもございますように、文化や価値の継承や英知の創造、社会的な課題の解決に向けた多様な知見の提供、教育に対する様々な貢献といったようなものはありますが、特に近年、人間社会が直面する諸課題がますます複雑化、多様化してきているわけでありまして、社会的な課題の解決に向けた人文学及び社会科学の多様な知見の活用という観点から、新たな振興策、適切な振興策の検討が必要になっているといったような提言をいただいているわけでございます。
 研究方法など人文学及び社会科学の学問としての特性を踏まえた振興方策の検討が必要であるということは当然のことでありますけれども、いわゆる実証的な研究方法を用いた人文学及び社会科学の研究についての支援策というのは、従来のものとはやはり違ったものにならざるを得ないだろうということもありますし、政策や社会の要請にこたえる研究の推進のための施策について、積極的な展開を行う必要があるといったことがそこで述べられているわけであります。
 そして、先ほど申し上げましたように、国公私立大学等を通じた共同研究体制の構築によりまして、個々の研究者がばらばらの形で孤立して、その能力を十分発揮ないし貢献することができないというような状態を改めるために、共同研究体制等の構築につきましても、なお一層の支援強化が必要であるといったようなことがそこで述べられているわけでございます。
 私からの説明は以上でございますが、事務局から追加的に説明をお願いし、その上で委員各位からご意見を賜りたいと思っております。以上でございます。

【野依会長】

 どうもありがとうございました。
 それでは、事務局、よろしくどうぞ。

【伊藤振興企画課長】

 それでは、引き続き事務局より学術分科会についての審議状況のご説明をさせていただきたいと思います。
 まず1点目でございますけれども、学術研究の推進体制の今後の在り方について、お手元の資料の3-2に概要をまとめてございますので、これに沿って、もう一度ポイントをご説明させていただきたいと思います。
 まず、学術研究の意義でございますけれども、そこにございますように、学術研究はあらゆる学問分野を対象とする知識創造活動であって、研究者の自由な発想を源泉として真理の探求を目指すもの。いわゆる知識基盤社会における社会発展の基盤を形成するものである。そういったことを踏まえまして、その推進は国の重要な責務であるという指摘をいただいてございます。
 また、このような学術研究の推進に当たりましては、憲法、あるいは教育基本法等で規定されてございます学問の自由でございますとか、大学の役割、特性を踏まえ、研究者の自由な発想に基づくボトムアップが基本である。研究者コミュニティにおける議論と合意形成を学術政策に反映していくことが重要とのご提言をいただいてございます。
 2.にございます学術研究組織の整備でございますけれども、大学全体の学生数の7割、あるいは教員の5割を占め、特に人文・社会科学においてすぐれた実績を有する私立大学の研究機能の活用、この必要性でございますとか、国公私立大学の連携協力の推進の必要性について提言をいただきました。
 また、学術研究組織の整備に関する大学と国の役割分担、これにつきましては研究組織の整備は、各大学の主体的判断により実施するのが原則である。他方、大学の枠を超えた共同利用、あるいは共同研究の拠点など、国全体として学術研究の発展から必要な拠点などの組織、こういったものは国の学術政策として整備を推進すべきであるというご提言をいただいてございます。
 これに関連いたしましては、国立大学の附置研究所について、各大学の自主的・自律的な判断による機動的・弾力的な設置改廃、これを可能とする観点から、その位置付けについて検討を進める必要があるということとしてございます。
 次に、3.の共同利用・共同研究の推進についてでございます。個々の大学の枠を超えて、全国の国公私立大学などから研究者が集まりまして、共同利用、あるいは共同研究を行う全国共同利用システム、これは我が国の学術研究の発展に多大な貢献をしており、人的・物的資源の効率的活用の観点からも、その充実を図っていくことが重要である。これを踏まえまして、国公私立大学を通じた共同利用、共同研究拠点を整備し、重点的に支援していく、こういったことが必要であるという。
 そのためには、2ページ目でございますけれども、共同利用・共同研究拠点の法令等におけます制度的位置付けでございますとか支援の在り方、こういったことを明確にする必要があるとのご指摘をいただいたところでございます。その際、拠点につきましては分野の特性によって必ずしも1分野1拠点である必要はなく、複数の拠点を設置するとか、あるいはネットワーク型の共同研究を推進していくことが重要であるという提言をいただいてございます。
 最後に、学術研究の大型プロジェクトの推進についてでございますけれども、研究者コミュニティの意向を踏まえまして、国の学術政策として大学共同利用機関法人と国公私立大学の連携のもとに推進することが必要であり、新たな大型プロジェクト推進のための意思決定プロセスの検討が必要であるとの問題提起をいただいてございます。
 次に、科学研究費補助金において当面講ずべき施策の方向性について、資料3-4に審議まとめの概要がございますので、これに基づいてご説明させていただきます。
 まず、1の学術研究助成に関する基本的考え方でございますけれども、この基本的な考え方といたしましては、我が国の大学、大学共同利用機関におきましては、日常的な教育研究活動を支える基盤的経費と、それから、すぐれた研究を優先的・重点的に助成するための競争的資金との二本立て、いわゆるデュアルサポートシステムにより教育研究体制を構築することや、高等教育関係予算の総枠を拡大する中で基盤的経費を確実に措置するとともに、競争的資金の拡充を図ることが必要である。
 あるいは研究者の自由な発想に基づいて応募される研究課題、計画をピア・レビューにより審査の上、採択し支援していくのが科研費の役割である。
 4点目といたしまして、他の資金との連携強化によって、萌芽的・基礎的段階から応用・実用化段階まで研究の発展に応じてシームレスな支援を行うことが必要であるといったご提言をいただいてございます。
 2の科学研究費補助金の拡充に関する基本的な考え方でございますが、1点目といたしまして、基盤的な研究種目における採択率の向上と学術研究の裾野の拡大という視点、それから、2点目といたしましては、全ての研究種目への間接経費30パーセントの措置。3点目といたしまして、次世代を担う若手研究者への配慮。
 ページをくくりまして2ページになりますが、異分野連携、新興・融合領域の形成や挑戦的研究への支援。審査・評価システムの改善、科研費の効率的な配分・効果的な使用、不正使用等の防止、こういった点につきましてご提言をいただいてございます。
 大きな2でございますが、科研費において当面講ずべき制度改善方策につきましては、以上のようなご議論でございますとか、第3期の科学技術基本計画、あるいは各種の提言を踏まえまして、来年度に向けて科研費において当面講ずべき制度改善の方向についてご提言をいただいてございます。
 1点目が、まず研究種目の見直しによります異分野連携でございますとか、新興・融合分野の形成、あるいは挑戦的研究への支援の強化でございます。従来の、特定領域研究と学術創成研究費、これらを発展的に見直しまして新興・融合分野、異分野連携などの意欲的な研究を推進するために新学術領域研究、仮称でございますが、この新設を提言いただいてございます。
 また、研究分担者の在り方の見直しについては、研究分担者については、その定義を明確にし、原則としてその分担金の配分を受けて代表者と協力しつつ、補助事業としての研究遂行責任を分担して行う者という位置付けをしてございます。
 3点目の評価の充実、あるいは評価結果を踏まえた支援の在り方につきましては、原則として全ての研究種目におきまして3年目に自己点検による中間評価を実施し、結果をインターネットで公開する。また、大型の研究種目におきましては、中間・事後評価を統一し、研究期間の最終年度の前年度に評価を実施するとともに、その結果を次の審査に活かす仕組みを導入すること。さらに特別推進研究につきましては、試行的に追跡調査を実施するといったことも提言いただいてございます。
 3ページ目、その他のところでございますけれども、このほかにも学術振興施策の検討に資するため、緊急に実施することが必要な調査研究で、審議会で必要が認められるものにつきましては、特別研究促進費において支援するとともに、その結果を適切に活用することが重要といったような提言をいただいてございます。
 以上が科研費関係でございますが、最後に「人文学及び社会科学の振興について」の審議経過の概要につきまして3-6をご覧いただければと思います。
 既に分科会長からのお話もございましたように、人文学及び社会科学を振興する意義といたしまして、英知の創造、文化や価値の継承、社会的な課題の解決に向けた多様な知見の提供、教育への貢献、この4点に整理いただいてございます。
 2.にございます振興施策の検討に当たり踏まえるべき人文学及び社会科学の特性でございますけれども、この分野の施策の検討に当たっては、本分野における特性を踏まえた施策の展開が重要であるとのご指摘をいただいてございます。
 2ページ目にございますが、特に本分野の研究方法の特性、これはイでございますけれども、意味づけや解釈といった伝統的な研究方法とともに、人間の行動でございますとか、社会現象を測定するための実証的な研究方法、この2つの方法が主にあるであろう。実証的な研究につきましては、自然科学振興のための施策と同様の施策を適用することが考えられるとのご指摘をいただいてございます。
 3点目は、このような人文学及び社会科学の振興方策を検討する上での視点につきまして、(1)にございます研究方法の特性を踏まえた振興方策、(2)にございます研究体制や研究基盤の整備等の諸施策について視点をまとめてございますが、具体的には4以下にまとめてございます。伝統的な研究方法による人文学及び社会科学の振興施策につきましては、今後、審議会で十分その内容について検討することとしてございますが、5.にございます実証的な研究方法による人文学及び社会科学の振興施策につきましては、実証的な研究方法による具体的なご提言をいただいてございます。3ページになりますけれども、実証的な研究方法による研究の振興方策につきましては、まず研究者の自由な発想に基づく研究、いわゆる科研費における人文・社会科学研究の支援の在り方についてでございますが、ここではその研究方法の特性を十分考慮した上で、例えば科研費の分科細目等の在り方でございますとか、審査員の専門性等の審査体制の在り方の検討が必要とのご指摘をいただいてございます。また、基盤研究に着目した予算の充実の必要性もご指摘いただいてございます。
 (2)にございます政策に基づいて将来の応用を目指す基礎研究、いわゆる政策、社会要請にこたえる研究の推進でございますが、ここでは近年、そういう政策、あるいは社会の要請にこたえる研究の重要性が非常に高まっており、そのような推進に当たっては、いわゆる実証的な研究方法が不可欠であること。また、具体的には国がその政策、あるいは社会の要請を踏まえて取り組むべき課題を明らかにして、その課題に向けて優先的、戦略的に支援すべき研究の目標などを設定し、その実施に当たって公募によって競争的資金を配分するといったような提言をいただいてございます。
 次に、人文学・社会科学の研究体制や研究基盤の整備でございます。これにつきましては、先ほど申し上げました研究環境基盤部会での報告と同じようなご指摘をいただいてございます。すなわち、まず国公私立大学を通じた共同研究体制の推進でございますが、4ページにかけてでございますが、国公私を通じて共同研究の促進、あるいは研究者ネットワークの構築、学術資料の共同利用促進などによって研究体制、研究基盤の整備について、その強化を図ることが必要とのご提言をいただいてございます。また、学術資料・調査データ等のデータベース化、アーカイブ化の促進も重要であるということでございます。
 7.以下の成果の発信、人材養成、国際交流等につきましては、こういった課題があることをご指摘いただいたところでございますが、その内容については引き続き検討を行うこととしてございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【野依会長】

 どうもありがとうございました。
 それでは、ご発言がございましたらお願いしたいと思います。時間は大体35分ぐらいいただいておりますので、いろいろなご意見をいただきたいと思います。
 今脇委員、どうぞ。

【今脇委員】

 九州大学の応用力学研究所の所長の今脇です。資料3-2に載っています学術研究の推進体制に書かれているところに非常に関心がありまして、ちょっと危惧の念もありますので意見を述べさせていただきたいと思います。
 全国共同利用のシステムは非常に高く評価されていまして、これは私の研究所も全国共同利用なんですけれども、よく書いていただいたと思います。そういうコミュニティに支えられている研究所については、今後も国の方からいろいろ支援をしていただけるということだと理解しております。
 ただ、ちょっと気になるのは、この附置研究所については次期中期目標の記載事項としないというのが、これは何か非常に突き放したような言い方でして、附置研究所、多分、ここは全国共同利用のような機能を持っていない普通の附置研究所は、ということだと思うんですけれども、何か見捨てられたような感じがするんですね。こう書かれると、もう普通の附置研究所は国の方としては特別には支援しないというふうに読めます。
 大学の自主的な判断とか自律的な判断を尊重していただけるのは、それは非常にありがたいんですけれども、もともと附置研究所というのは「附置」という言葉がありますように、その大学にあるんだけれども、その大学のものではない。最初のころの附置研究所というのは、国として必要なので研究所を作るんだけれども、その大学のためだけではないという形で、多分、附置研究所を作られたのだと思うんです。
 その発展として研究者コミュニティの方も附置研究所を支えているところが結構あります。大学だけでクローズしているような附置研究所は多分どこもないと思うんです。非常に大規模に共同利用というふうな機能を一生懸命やっているところと、そうでもないところはあるかもしれませんけれども、研究者コミュニティに支えられているということでは、多かれ少なかれそうだと思うんです。この次期中期目標の記載事項としないことを検討で、まだ決まっていないような書き方なんですけれども、これはもうこの方向で収束するということなんでしょうか。

【野依会長】

 どうぞ。事務局、よろしく。徳永局長、どうぞ。

【徳永研究振興局長】

 基本的に今の附置研全体の今後の見直し、あるいは国立大学法人そのものについても、いわば次期中期計画の策定に向けて、現行の全ての組織を見直して、その上で新しい中期計画を作るという作業になっているわけでございます。さらにはまた、具体的に運営費交付金というものをどのように算定するかということにつきましても、この審議会の審議とは別なところで経済財政諮問会議の骨太方針の中で、その全てについて新しいやり方を今年度中にその方向性を打ち出し、さらに次期中期計画までに見直すということになっているわけでございます。
 そういう意味では、具体的にどのようなものを中期計画に記載し、どういったものを運営費交付金の一般的な算定基礎とし、さらにその上で現在の特別教育研究経費の基礎とするかといったことについては、附置研のみならず、全ての教育研究組織一般、全体について、そういう流動的な状況にあるということはまず1点として申し上げたいと思っております。
 その上で、今、先生が仰ったように、これまではどちらかといいますと附置研というものを極めて厳格に文部科学省の方で認定をし、それは具体的に申しますと、学術分科会研究環境基盤部会でこれを承認をするという形をとっておりましたし、さらにその上で全国共同利用ということにつきましても、かなり厳格でハードルの高い認定を行ってきたわけでございます。
 具体的に申し上げれば、全国共同利用につきましては1分野につき1つの研究所というような方針を定め、あるいはまた一定数の活動を見た上で、その基盤部会で了解をするということがございましたので、いわばどのような附置研につきましても研究者コミュニティに支えられつつも、その上で全国共同利用であるかどうかということがかなり厳格になってきたという点がございます。今回は、そういったこれまでの全国共同利用、あるいは附置研の指定ということの在り方そのものについても、これも全般的に見直すことといたします。
 そこで、詳しくは資料の3-3をご覧いただいた方がよろしいかと思います。その中では、全国共同利用の位置付け、それを5ページ、6ページのところで書いてございますが、そういう中で特に先ほど要約にもございますように、これまで1分野1研究所と限られていた全国共同利用で、もっと柔軟に認めていく。従って、いわば研究者コミュニティに支えられているようなものであれば、ある程度広く全国共同利用としていくという方向を打ち出しつつ、そうではないものについては、それは大学の自主的判断の中で、いわばそこまで文部科学省として、その設置についてコミットする必要はないのではないか。
 また同時に、従来、ともすれば附置研であるということを文部科学省がかつて政令で設置しておりました。政令で設置をしているがゆえに、それが大学内で部局として扱われるというようなこともありまして、いわば具体的な附置研の位置付けというものと大学の中でのいわば管理運営というものが理論的に関連がないにも拘わらず、実態として回っていた面がございます。
 そういった点については、これはどのようなものを部局とするかどうかということは、大学のご判断でございますので、中には、例えば中期計画に書かれなくなったら、それは評議員を選出できなくなるのではないか、あるいは部局長ではなくなるのではないかということをご懸念する方もいらっしゃいますけれども、そういうものではないので、あくまでも具体的な管理運営はそれぞれの大学でお考えいただくこととし、なおかつまた全国共同利用ということについてもかなり柔軟に考えていくということも前提としつつ、そういうことの中でそうではない附置研についてどう考えるかということで、今後さらに議論を深めていきたいということでございます。

【野依会長】

 よろしゅうございますか。ほかに。柘植委員、どうぞ。

【柘植委員】

 資料3-4、科学研究費補助金の講ずべき方向の2ページで、当面講ずべき制度改善の方策の中の1に、異分野連携、新興・融合領域の形成や挑戦的研究への支援ということで、新しく新学術領域研究(仮称)を新設する。これは第3期の基本計画の中でも非常に細分化した分野別の戦略を推進するに当たって、留意事項の中に明記されておりまして、科研費の中でこういう形を1つの枠といいますか、制度を改善することは私は非常に心強く感じるわけですが、2点ほど懸念事項があります。私、産業側のもので認識不足のこともあるという前提での発言と受け取っていただきたいんですけれども、1点は、こういう学術がどんどん細分化してきたメカニズムの中に、逆にこういう融合とか、異分野連携というものは今の学術界の中で正当に評価される土壌ができているんだろうかという素朴なものがあります。
 2点目は、それとも関連するのですけれども、人文学及び社会科学の振興についてという資料3-6でありますけれども、ここの1.に書いてあるように、近年、人間社会が直面する諸問題はますます複雑化、多様化しているということで、多様な知見の活用という観点からということになっています。私はこれも非常に勇気付けられるのですが、実は自然科学の中で今まで対処しているのだけれど、それが実は人文科学か、あるいは社会科学も入らない限り、例えば、人の心まで入らないと解決できないという問題が出てきていると思うわけです。
 従って、この新しくできた新学術領域研究というものは、実は自然科学の中のインターディシプリナリーだけじゃなくて、この資料3-6の人文学・社会科学と自然科学が組み合わさって、初めて社会の問題に対して答えられるというものが結構出てきている。そういう意味で、今度、この科研費の制度改革、異分野連携、新興・融合領域、これが学術の中で正当に評価される土壌ができているんだろうかということと、その実現は人文・社会科学、自然科学を含めた領域という、この両方の視点がどういうふうに考えられているかを問いたい。

【野依会長】

 分科会長。

【佐々木委員】

 特に後の社会科学、人文科学の点について、今、委員が言われたような観点につきましては、学術分科会の中でも委員から大変重要なポイントであるとしてご指摘を受けたところでありまして、我々の中があまり縦割りにならないようにですね。いずれにしても、こういうのはチャレンジだと思っておりまして、今、委員が言われたように、いろいろな意味で批判なり何なりというものも寄せられる可能性を排除できないだろうという感じはいたしますけれども、ちょうど人文学・社会科学の方も少し盛り上がってきたものですから、私としては何か幾つかの点でやっぱり、パイロット的にできるものをやってみた上で評価していただくということ、やる前からああでもない、こうでもないということで、尻すぼみになるということがないように、何とか配慮できないものかということについては、私としても大変強い印象を持って審議を承っているというのが今の状況でございます。とりあえず、そういう考えでおります。

【野依会長】

 私はこんなふうに考えております。柘植委員が仰ったようなこと、研究分野の細分化というのは、世界の研究者全てが憂慮しているところです。世界の多くのアカデミーが憂慮するところであって、連携、融合によって何とかしなければいけない。そうしなければ新しい分野が生まれてこないということも共通認識であろうかと思います。ただ、実現が大変難しいというのもこれまた共通認識だろうと思います。従って、アカデミー、学協会、あるいは学術会議などが方向や方策の提案をして政策に乗せて、そして誘導していくかということが大事だろうと思っております。
 しかし、研究だけでは解決ができない初等教育から考えるべきですが、大学の教育では、リベラル・アーツを強化することも私は大変大事だろうと思っております。一旦分かれたものを一緒にするということは、これ、エントロピーが減少するということで、自然の大原理に反することで大変な困難がつきまとうと思っております。
 ですから、私は子どもの時から理系とか文系とか分けることなく、総合的に自然、あるいは社会というものを見ていくべきだろうと思っております。早くから理系、文系と分けるのは亡国の道以外何ものでもないので、これを文部科学省が推進するなんていうことはとんでもないことだろうと私は思っております。
 西山委員、どうぞ。

【西山委員】

 関連しまして、意見というか、お願いになります。先ほど白井委員も人文・社会科学と自然科学の連携・融合について仰いましたが、私もその部会の委員をさせていただきました。それについて、私は重要なことが2つあるように思います。一つは国家戦略として日本がイニシアチブをとってやっていくような内容について、例えば先ほど北澤委員も仰いましたけれども、地球環境については自然科学も、人文・社会科学も含めて日本がイニシアチブをとっていくというスタンスが必要かなと思っています。その際に主として自然科学的な観測が基盤的に大切であることはもちろんなのですが、具体的な対策となると自然科学は勿論のこと、人文・社会科学の面からの対策がきっちりとしていないと、最終的には人の役に立たないということになります。こういうものは個別の新領域ということではなくて、もともと自然科学と人文・社会科学が融合しなきゃできないというような大きなテーマであり、ナショナル・インタレストとしても是非やらなきゃいけないということであります。したがって、国家的なプロジェクトして定めるということが重要だと思います。
 もうひとつは自然科学の中での融合や、社会科学と自然科学の融合など、個別のテーマについてはやはり研究者の独自性に任せて、それを判断していくということが大切だと私は思います。その辺を国として振興するにあたっては、私が申し上げました両者を取り上げていくことは大いに結構なことですが、より前者に力を入れて取り組んでいただきたいというのがお願いであります。
 以上です。

【野依会長】

 ありがとうございました。
 笹月委員、どうぞ。

【笹月委員】

 人文科学の振興というところの、これは資料3-6の1ページ、社会的な課題の解決に向けた多様な知見の提供というのがありますが、この人間社会が直面する諸課題はますます複雑化云々とあり、私はこの地球規模の問題、エネルギー問題、それから社会のこの問題というのは全て人間が、大脳皮質を進化させてきた人類が大脳皮質を用いて行った人間活動の結果がこれら全ての問題の根源にあると思うんです。
 ですから、私はこれを1つ1つの問題をそれぞれ検討するのももちろん大事ですけれども、人間とは一体どういうものなのか、どういうふう戦略で進化してきたのか、その大脳皮質だけで良いのか、進化戦略としては、とにかく食べ物をほかの種よりも自分達がとる。それから、生殖ということに関して言えば、ほかのオスを食い殺しても自分がそのメスを手にする。そういう能力を蓄積して成功した者が今日地球上にいるわけですから、大脳皮質と大脳辺縁系、この2つのインタラクションが一体どうなっているのか、そういうことをきちんと研究することが大事で、そのためにこそ理系と文系、先生が仰った融合が必要だと思います。私はそれを結ぶものとして新しい人間科学、人間の理解ということがテーマになるんだろうと思います。
 ですから、実は今、学術会議ということも先生が仰ったので一言申し述べますが、学術会議に公開講演会というのがあって、そこに私は今申したようなことをテーマとして申請しているんです。ところが、なかなかそういうのは採択されないだろうというのが皆さんの意見で、私はむしろ、これを採択するかどうかで学術会議の見識が問われると思って、この間、8月末締め切りに提案したところなんです。そこには生命の理解、生命を生んだ宇宙の理解、それから、進化の戦略、脳の理解、そして哲学的に見た人間の理解、こういう人たちを糾合した公開講座を今申請しております。
 人間の科学、人間を理解する科学、これが私は、繰り返しになりますけれども、人文系と理系との融合の大きなキーワードといいますか、テーマになろうかと思いますので、文理融合ということがどこかに書かれていますけれども、その具体策は書かれていないんですね。ですから、私は是非人間の理解、あるいは人間を科学する、これがキーワードとしてどこかに書き上げていただくのが良いんじゃないかと思って提案したいと思います。

【野依会長】

 ありがとうございました。
 では、石原委員、どうぞ。

【石原委員】

 今、文理融合というようなこと、非常に重要性、指摘したのですけれども、そういう意味で言いますと、いわゆる大学附置の研究所というのは、私は京都大学に所属しておりますけれども、非常に重要だと思っております。その観点から、この資料3-2に書かれています中で国立大学の法人化以降、附置研究所とか、もう一つは研究センターがございますけれども、それの位置付けが曖昧になりつつある中でこういう提案ができたというのは非常に評価したいと思います。ありがたいと思います。
 1つ2つ質問と要望ということで言いますと、この資料の3-2の中で2番目、2の2.のところの学術研究組織の整備に関する大学と国の役割ということで指摘してありますけれども、「学術政策上、国として特に整備を推進する研究組織以外の組織については、次期中期目標の記載事項としないことを検討」とあります。先ほど今脇委員からもございましたけれども、幾つか見てみますと、規模は小さくてもやはり、先ほど松浪副大臣が仰ったような、日が当たるか当たらないかは別としまして、全国的に非常に重要な役割をしているところもありますので、これについては少し規模の小さな、そういうセンターも含めるというふうに理解して良いかどうかということ。
 それからもう一つ、要望にも関連しますけれども、ページのところの3の共同利用・共同研究の在り方に書いてあります。その2番目のところの共同利用研究者への支援体制(必要な職員、情報基盤、スペース等の整備)というのは、私どものところの共同利用等やっている観点から言うと、これは非常に重要な指摘で、これは是非しっかりと、後何らかの裏づけも持ったような形で、この提案の中で生かしていただきたいと思っております。
 以上です。よろしくお願いします。

【野依会長】

 ありがとうございます。
 では、鈴木委員、どうぞ。

【鈴木(厚)委員】

 科研費に関して資料3-4でございますけれども、この中で1ページ目、最初の基本的考え方という中の、その中のまた基本的考え方で(1)です。ここにデュアルサポートとございますけれども、これは先ほど地球観測の方もありましたが、研究にはそういうオブザーバー的な研究と、やはり長く継続してやる研究と、それから、プロジェクト型のラボラトリー型研究というのが両方あるかと思うんですね。その意味でやはり概算要求でいろいろな競争的資金が充実されると非常に頼もしいんですけれども、同時にやはり学術研究の基盤的なところも是非これを重視していただきたい。特にこのデュアルサポートは、いろいろなところでもって言われているんですけれども、なかなか実際、大学にいる方の現実を見ますと、どうもなかなかその面では感じないということで、是非科学技術・学術審議会としては、この点の充実を前面に出していただきたいと思います。

【野依会長】

 では、青野委員、どうぞ。

【青野委員】

 科研費の資料3-4の3ページで、科研費の研究成果の取りまとめと社会還元の方策ということで、こうした社会への還元が重要ということはこれまでも言われてきましたし、実際、これまで成果公開のシンポジウムというのも一部では開かれてきたと思うんですけれども、そういうものをもちろん全部把握しているわけではございませんけれども、見てきたその経験から言うと、だれに向けて発信しているのかがもう一つ明確でない。この場合にはやはり国民、市民ということだと思うんですけれども、どうしてもやっぱり専門家の間で、専門家に向けて発信しているようなものというのが多く見受けられたと思うんですね。
 ですので、こういうふうに社会への還元というふうに言うのであれば、その辺の意識をかなり明確にしてこういうことをやっていくことが重要だと思います。ここで研究成果公開発表(A)は廃止ということで、これはここに、冊子の本文の方に書いてあるように、そこだけで公開、公表が必要というわけではないので、廃止というのは妥当かとは思うんですけれども、一方、それでは、そのためのその費用なりをどういうふうに支出していくのかということで、まあ、ここでは交付を受けた研究者が採択期間中に取り組むことを奨励していて、費用は科研費の直接経費と間接経費から支出することが可能と、こういうふうになっているわけですけれども、こうなっていただけで実際に、じゃあ、それをきちんと使っていっていただけるのかというあたりの不安があるかなとは思うので、何か良いやり方、戦略があったら、それを考慮しておいた方が良いのかなと思います。
 もう一つ、これは本文の方では4で、研究成果報告書、インターネット上での公開に変更ということですけれども、これは非常に有効なというか、見やすいものになると思いますし、やるつもりさえあればできることだろうと思うんですけれども、これがどの程度のタームで可能になるのかというのを教えていただけないかというのが、最後は質問です。

【野依会長】

 事務局、よろしく。

【磯谷学術研究助成課長】

 学術研究助成課の課長でございます。
 ただいま2つご質問がありまして、1つは研究成果(A)の廃止と、その代替措置に関するご質問だったと思います。研究成果公開発表につきましては、科研費の成果を発表するという条件で競争的に毎年10件程度支援しておりましたけれども、そのかわりに科研費全体として、やはりそういう成果の発表を奨励するという方針で、例えば今年、基盤研究(B)(C)に間接経費がつきましたけれども、そういった間接経費の計上などでそうした成果の発表というのを推進してまいるというふうに考えております。
 それから、先ほどのインターネットの公開でございますけれども、これにつきましては現在、その方法について検討しておりまして、ツールとしましては、例えば今現在、既に行っておりますけれども、国立情報学研究所の公開データベースなどを使うということを考えております。

【青野委員】

 いつぐらいに。

【磯谷学術研究助成課長】

 研究成果報告書、早ければ来年度、あるいは再来年度、一、二年、準備にかかると思いますけれども、できるだけ早くというふうに考えております。

【野依会長】

 では、北澤委員、どうぞ。

【北澤委員】

 先ほどからの附置研の問題、それから、異分野融合、それから新たに出てきている新規の重要分野、そういったことに対する日本の大学の取り組みの問題なんですけれども、あるいは独法研究所の取り組みの時に、いつも我々が困ってしまうのは、アメリカだと、この研究が必要というと、その研究にワッと人を集めることができる。日本は集めたことになっているという、そういうことをいつもやっているわけです。その理由は、ポストという考え方が日本にはあって、おそらく先ほどからの附置研のことに関しても、附置研にはポストがありますから、その人たちの職はどうするんだとか、それは文科省の責任ではないかとか、そういった類の論議になってしまう。
 それで、そういうことを考えますと、そろそろ日本でもこの問題、もう幾ら話し合っても解決がつかない問題なので、もうちょっと広域にポストというのを考えていってしまうという手があるのではないか。つまり、何とか大学何々学部のポストとか、そういうことではなくて、それをもっと寄せ集めてどこかにポストを持っている大きな組織があって、それが理化学研究所に今必要だから何人というような感じで、こうやって必要で競争的研究資金とかいろいろなものをとってきた時には、それを何か使えるような、そういった組織を考えていくようなことをそろそろ考えると、本当に実質の伴った異分野、融合への取り組みとか、附置研の改廃とかいろいろなことがうまくいくようになるのではないかと私は思いますので、そろそろ考えてみたいと思うんですが。

【野依会長】

 私から1つご質問したいと思います。今回、分科会長を中心に主として学術研究の振興についてご検討いただいたと思っております。そのご検討いただいたことと教育の振興、充実との関係はどうかということをお伺いしたいんです。もちろん、大学における学術活動は研究と教育が一体となって行われていますけれども、先端的な研究の方向というものと、あるべき教育の姿とは必ずしも全く同じではないと私は思っております。
 現在、教育再生会議等の論議、あるいは一般社会の大学に対するご批判は大体こういうことだろうと思うんですね。自然科学や工学を中心に研究水準はまあまあしっかりしている、しかし、現在の活動は大学というものは研究重視であって教育軽視だと。そして、社会の要請にこたえる人材の育成を怠っている、こういうことで、私も大体、そういうふうな印象を持っているわけです。
 平成20年度の概算要求におきましても、大学における人材育成機能の強化が、柱になっています。しかし、ただいまご説明いただきました学術研究の振興を、現在の体制でやっていって果たして大学のもう一つの大義である教育、つまり、社会が求める人材の養成に繋がるのか。そのあたりのことはご議論があったんでしょうか。私は、前回学術の振興についてご議論いただく希望を申し上げました。お答えは学術研究の振興というふうになっているんですけれども、教育の振興はいかがでございましょうか。

【佐々木委員】

 何しろ研究振興局なものでございますから、そういうことでございまして、その辺は仰るように、例えば附置研の問題などについては、これは教育の問題が大変言及されまして、その役割というものについては、あながち軽視すべきではないということは繰り返し強調されました。ただ、学術教育と申しましょうか、教育全般について我々のところで扱ったかというと、残念ながら、今、会長が言われたようなことで、極めて部分的にしか扱ってこなかったということは、正直、認めざるを得ないと思います。その辺は別のところで検討しているからここでやらなくても良いというお話なのかどうかも含めて、私としては文部科学省の事務サイドにお答えいただきたいと思っております。

【野依会長】

 どうですか、事務局は。今回は教育は放っておいて研究だけの議論でよろしいですか。

【徳永研究振興局長】

 教育基本法を昨年新しく制定をいたしまして、その中で初めて、教育基本法の中で大学の意義、役割というものが明定されたわけでございます。そして、特に大学というものが教育、まず第1に教育機関であるということをはっきり基本法にも書かれ、また、様々なところで大臣からもそういったことを言われているわけでございまして、その意味では教育と研究というものを一体的に考えるということの必要性は十分認識しておりますが、ただ、これは大変弁解がましいところでございますが、まず、野依会長の方から、前期総会の最終日に学術に関する審議が全然ないというようなおしかりを受けましたので、まず当審議会の直接的な責務であるところの学術研究について、十分議論を戦わせました。
 ただ、その上で中央教育審議会、大学分科会で行われております大学教育の議論、それはどうするんだと。これまで21世紀COE等を作る時には、中央教育審議会大学分科会と本審議会の学術分科会の合同審議というようなこともありましたので、是非今日の会長のご指摘も受けまして、少し清水高等教育局長ともご相談をしながら考えていきたいと思います。

【野依会長】

 ありがとうございます。是非学術の振興を、研究と教育と一体、セットとしてお考えいただければと思っております。
 いただいた時間がもうなくなりましたけれども、ほかに。じゃあ、白井委員。

【白井委員】

 今日、非常に重要な議論が最初に、室伏先生と笹月さんのご発言なんですが、子ども向けということ、まあ、子ども向けじゃなくても良いんですが、一般に我々のやった――我々というか、大学が、研究者がやった研究というものの一部は、必ず何かの形で還元していくということ、これを義務づけるというのは私は非常に素晴らしい提案だと思うんですよ。これはどういうふうにすれば良いか、これから考えれば良いかもしれないけれども、印刷物にするというのもあるだろうし、ある放送媒体に乗せるというのもあるだろうし、そういうものを徹底して広げるということはすごく重要なことだと。
 それに対する労力がどのぐらいであるかというのは分からないんだけれども、科研費なんかでも、我々も報告書を作るわけですが、これはもちろん作らなければいけないんだけれども、これを見る人は大体専門家しか見ないんですね。専門家の仲間だけが見て、お互い交換して「うん、まあまあ」という感じで、それもあんまり読まないんですね。そのぐらいみんなよく知っちゃっているから、既に読まなくても良いということもあるんだけれども、それに努力をするぐらいでしたら、やっぱり違う、子ども達に向かっているものとか、そういうものを何か義務づける方が私は良いんじゃないかなと。是非これ、会長、次、何か具体的な形にしていただけると。

【野依会長】

 それは是非進めていく方向でお願いしたいと思います。一般社会と言いました場合に、オーディエンスターゲットが様々です。例えば文部科学省だけでなく、政治家の先生にも別途説明しなければいけません。それから、子ども達、お母さん方、学校、大学、あるいはマスメディア、様々なオーディエンスの種類によって、様々な方法で伝える必要があって、それぞれに対して大変なスキルが要るように思います。しかしながら、全般的にはやっぱり社会に広く発信し、理解していただくということは大変大事じゃないかと、こういうふうに思っております。
 深尾委員、どうぞ。

【深尾委員】

 先ほどの大学側における教育の問題にちょっと戻りたいのですけれども、私どもは、残念ながら細分化された専門分野を超える施策ができる、あるいは社会的適応力を持った学生をちゃんと生産できなかったというのは事実だと思います。学問分野が非常に細分化されて、そのためにほとんどの大学で1年次に専門科目が組み込まれているわけですね。大学院に入りましても、5年間で学位論文を書くということが必要ですので、すぐ専門の研究をやらせる。そういうことで幅広い研究というのは全然やっている余裕がないという。よく副専攻を作ったらどうかという話がありますが、この副専攻をやる余裕なんて全然ないですね。
 どういうことかといいますと、とにかく大学のドクターの間に2つ3つ国際誌に論文を出さないと、その先のポスドクのポストもないという、そういう状況なわけです。そういうことで、それぞれの学生は立派な論文を書くのですが、スペクトルが非常に狭いということで、多分、それがオーバー・ポスドクの問題になっていて、なかなか産官学の産の方で、そういう学生を受け入れていただけないという事情になっているかと思うのです。私が思いますのは、やはりかつて野依会長もご指摘になられましたけれども、大学における教養教育が完全に形骸化している、空洞化しているというところに問題があると思うのです。ただ、教養教育は既にカリキュラムの中に完全に定着しておりますので、私が思いますのは、大学院の5年間かけてちゃんと教養教育をやったらどうかと。
 かつての教養教育は専門科目の前期課程としての位置付けで、全部の学生が受けるという必要があったのですが、そうじゃなくて、専門科目の後期課程として大学院の学生に教養科目をやらせて、そこでエリート教育をするという、そういうことをしたらどうか。いろいろお話したいことはありますけれども、この辺で終わります。

【野依会長】

 ありがとうございました。
 私は大学の先生の研究における価値観と、それを通じて生産される学生が社会に満足を持って受け入れられることが一番大事だろうと思います。せっかく民間の野間口会長代理と柘植委員がいらっしゃるので、短く人材育成について、どういうふうに満足していらっしゃるか、あるいはご不満があるか、短くご意見を賜ればと思います。

【野間口会長代理】

 今日は大変インストラクティブなお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。人材育成について私は大学と企業との間で満足か満足でないか、教育の評価という面で言いますと、いつになってもこのギャップは埋まらないんだろうなと思います。評価基準が違うんじゃないか。企業は企業で活用する、事業に活用できるところまでやって初めて何かできたということになるわけですけれども、科学技術と言っている間はトップランナーといいますか、チャンピオンデータが出ることが必要です。それが1つブレークスルーになるということで、評価基準が違う。この違いはそのまま残した方が良いと私は思います。ブレークスルーが何年かたって、段々それを埋める、現実とのギャップを埋める成果が出てきて実用に繋がるということでありますので、あんまり大学教育の否定的な面だけ見るのはいけないんじゃないかなと私は思っております。
 ただ、非常に問題なのは、日本の学生さんが自らやっていこうという独立主義といいますか、チャレンジする姿勢がとみになくなってきている。全て何かプログラム化して欲しい。そうすればそれに従って一生懸命すぐれた成果を上げていきますよという形になる。これは大学の教育の問題なのか、日本社会の問題なのか、あるいは中等、初等教育時代からの問題なのか、この辺は少々掘り下げて考えた方が良いんじゃないかなという気がしております。

【野依会長】

 ありがとうございました。
 では、最後に柘植委員。

【柘植委員】

 一言。私も実は課程ドクターで出まして、産業界で何とかやってこられたということを考えますと、今のポストドクターの問題というのは他人事ではない。明らかに国の財産であるあれほどの優秀な人たちが社会的に非常に中途半端な状態に置かれているということは、本当に由々しきことで、私も自分のことだと感じています。
 これはやはり野依先生が言われたように、大学のミッションは学術研究と教育と、それから社会貢献ということもミッションに入れているわけです。社会貢献は社会的価値創造すなわち「イノベーション創造」です。ですから、結局、「教育」と「研究」と「イノベーション創出」という三要素の一体振興を文部科学省が中核となって、ほかの関連府省と一緒に考えていく場を組み立てて、それからそれぞれの審議会に責任を持たせるという、政府全体の一体的なメカニズムを、強化しないといけないのではないかとの問題意識を持ちます。
 文科省内の局長で言えば、清水さんと森口さんと徳永さんが従来の文部科学省の中のやり方を打ち破ってでも、このインテグレーション役を果たしてもらいたい。あとはそれぞれの審議会がきちっと責任を持っていく、こういうやり方を是非お願いしたいと思います。

【野依会長】

 ありがとうございました。
 今日、ご発言のない先生方――井上委員、どうぞ。

【井上委員】

 先ほどから学術研究と教育について、野依会長からもお話があるんですが、この点については今、中央教育審議会で教育課程部会を中心に新しい学習指導要領の見直しの中で、理数教育の充実という課題について取り組んでいるところでございまして、理科教育の専門部会にはもちろん、理科教育の専門家、大学の教授等入って、そういう中で最近の学術研究の成果、そういうものを生かして体系的に小中高等学校、発達段階に応じたカリキュラムの在り方、そういうものについて今検討しているわけでございますが、全く学術分科会では、どちらかというと研究と教育の一体ということで大学教育が中心だと思うんですが、初等中等教育については、そういう初等中等教育側から最近の研究成果等を取り入れた学習指導要領への改訂に向けた取り組みを現在しているというのが実態でございます。
 それから、理科系と文科系を若いうちから分けていくというのは問題だというご発言がございましたが、学術分科会からのご提案でスーパーサイエンスハイスクールなど高等学校で理科教育の振興をやって、これがかなり大きな成果を上げておりまして、ある程度、そういう科学に興味を持った学生については、そういう一種のエリート教育的に、そういう教育を高等学校段階でするということも必要じゃないかということで、そういう取り組みもしておりますので、今後は科学なり理科教育の関心を持った人が、将来、我が国を担う学術研究者、あるいは科学技術者になるということを私どもは期待しているというところでございます。
 以上です。

【野依会長】

 ありがとうございました。
 ほか、ございませんですか。唐木委員、どうぞ。

【唐木委員】

 私、企業で研究開発をやっておりますと、学術的なことに関しては申し上げられることが少ないんですけれども、先ほど来、先生方のご議論を聞いておりまして、こういうような学術の成果というものも、企業、今、様々な問題にさらされておりまして、やってはいけないこと、やるべきことという意味から、こういう成果に文部科学省で取り組まれて、良い成果を発信していただくことは非常に重要だと思っております。
 それから、先ほどの野間口会長代理のご発言に非常に同調するものなんですけれども、大学で学んだことを生かしていくという、そういうのを大学教育に期待するわけですけれども、あまり至れり尽くせりにするのもどうかなというのを最近の若い方々を見ていて思います。自由度というものを持たせるというか、本人の発露に期待して、そういうものがある人材を期待したいなと思いますので、大学教育、小学校からもそうなんですけれども、あまり至れり尽くせりいろいろなものを用意して待っているというのにはならない方が良いのではないかと、今日のご議論を聞いて思いました次第です。

【野依会長】

 よろしゅうございますか。樫谷委員。

【樫谷委員】

 発言しようかどうか迷ったんですが、科学技術関係の予算が2兆数千億円あるわけですね。私は財務屋ですので、いわゆる科学技術バブルだと言われておりまして、それはバブルなのかどうなのか私も十分わかりませんが、少なくとも野依会長が仰ったように、説明をしっかりしないと、これは無駄じゃないかというような議論が今少し出てきているわけですよね。そういう意味では、しっかり説明していただく。それは成果との関係で説明していただかないと、例えばこの2ページ目か、次世代を担う人材への投資の充実・強化とあって、(1)のところに次世代を担う若者への理数教育の充実、理数好きな子どもの裾野の拡大となっているんですが、それに115億円使いますとなっているんですね。今、実際、裾野はどの程度なのか。
 どの程度なのかちゃんと分かっているのかどうか。これ、115億円使ってどの程度拡大できるのか。そういうこともしっかり説明しないと、115億円、何かダラダラばらまいているみたいなイメージがあると非常に良くないと思いますので、これは文科省の責任なのかどうなのか分かりませんが、それは全てについてそうだと思うんですね。伸長するとか、充実する。まあ、多分、使えば少しは充実するに決まっていますけれども、このお金の使い方によく気をつけていただいて、成果が出たら、成果をちゃんと公表していただく。そういうことが大事じゃないかと思っております。

【野依会長】

 どうもありがとうございました。
 時間も過ぎておりますので、これで閉じさせていただきます。引き続きこの問題、積極的に進めて審議していただきたいと思っております。
 事務局から何かありますか。

【江﨑企画官】

 日程等についてご連絡差し上げたいと思います。次回の総会でございますけれども、既にご連絡を差し上げていますとおり、10月18日、15時より開催をする予定でございます。追って文書によりご案内を申し上げますので、よろしくお願いいたします。
 それから、参考資料1については、前回2月1日の総会の議事録でございます。これは既に文部科学省のホームページにおいて公表しております。
 それから、参考資料2に、8月1日現在の名簿を配付してございます。もし修正がございましたら、事務局までご連絡いただきたいと思います。
 以上でございます。

【野依会長】

 どうもありがとうございました。
 それでは、これで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

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科学技術・学術政策局政策課

(科学技術・学術政策局政策課)

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