平成23年10月11日(火曜日)10時~12時
東海大学校友会館「望星の間」(霞ヶ関ビル35階)
野依会長、野間口会長代理、青野委員、石田委員、大垣委員、甲斐委員、樫谷委員、鎌田委員、唐木委員、小谷委員、佐々木委員、鈴木委員、田代委員、柘植委員、中小路委員、中村委員、平田委員、平野委員、本間委員、三宅委員、室伏委員、山脇委員
中川文部科学大臣、奥村文部科学副大臣、神本文部科学大臣政務官、城井文部科学大臣政務官、森口文部科学審議官、金森文部科学審議官、合田科学技術・学術政策局長、倉持研究振興局長、藤木研究開発局長、藤嶋国際統括官、桑原科学技術政策研究所長、前川総括審議官、田中政策評価審議官、渡辺科学技術・学術政策局次長、戸渡審議官(研究振興局担当)、加藤審議官(研究開発局担当)、山下大臣官房文教施設企画部計画課長、永山振興企画課長、佐野科学技術・学術政策局政策課長、塩田科学技術・学術政策局企画官 他関係官
【野依会長】 ただいまから科学技術・学術審議会第37回総会を開催いたします。ご多忙中、ご出席いただきましてありがたく存じます。
本日は、奥村副大臣、神本大臣政務官、城井大臣政務官にご出席いただいております。なお、中川大臣は公務の都合上、遅れてご出席される予定です。
今日は、主に各分科会等の審議状況に関する報告や最近の科学技術や学術の動向についてご審議いただくこととしております。
それでは、奥村副大臣からご挨拶を賜りたいと思います。よろしくお願いします。
【奥村副大臣】 おはようございます。野依会長はじめ、委員の先生方には科学技術のためにご貢献、ご助力いただいておりますことを厚く御礼を申し上げる次第でございます。
このたびの野田政権において、副大臣を拝命しました奥村と申します。微力でございますが、先生方のご指導をいただいて、文部科学省全体、また科学技術、スポーツの分野で頑張っていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
実は、先週でございますが、野依先生にお会いしました。私の顔を見るなり、科学技術は大事だぞ、人材づくりですよということをおっしゃっていただきました。
その後に、、有馬先生が文部大臣でおられた当時、私も参議院議員をしておりましたが、先週お会いしたら、奥村君、しっかり予算は確保するんだぞ、教育のために、日本の国力のためにだぞとご指導いただきました。
まさしく先生方、ほんとうにその分野でご指導いただき、そしてまた頑張っていただいていることに敬意を表すと同時に、我々も一生懸命頑張っていきたいと思っております。
私も政治生活を36年おくらせてもらっていますが、小さなときの体験といいますか、科学、理科に興味のある先生には、そのほうをしっかり教えていただいたし、また、国語の先生で書道に長けていた先生には、書道のほうでいろいろ教えていただいた、そのことがずっと残っているわけです。
やはり体験といいますか、その先生のご指導によっていろいろ人生の縁も変わるのかなというようなことを、今、振り返って思っております。
私の出身は滋賀県です。滋賀県には琵琶湖がございます。そんな関係で、私が県会議員のときに、今、琵琶湖にフローティングスクール「うみのこ」という船が浮かんでいるのですが、あのアイディアを考え出しました。これはやはり、環境体験で水というものの大切さを考えさせるべきだということで、それを提案をさせていただいて、ちょうど今年で、提案してから30年になります。
そんなことを思いますと、先生方がこれからいろいろなご経験の元でご指導いただけることは、本当にすばらしいことだと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
予算の関係も、「日本再生」の中でしっかりと総理もおっしゃっておりますように、科学技術、学術というものに対しての予算確保をできますように、神本政務官、城井政務官も今日はご出席ですが、中川大臣を筆頭に頑張っていきたいと思っておりますので、どうぞご指導をよろしくお願いいたします。
本日は大変ご苦労さまでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【野依会長】 ありがとうございました。続きまして神本大臣政務官からご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【神本政務官】 おはようございます。このたび文部科学大臣政務官を拝命いたしました、参議院議員の神本美恵子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は元小学校の教員でございまして、あらゆる政策を考えるときには現場主義あるいは当事者主義ということをモットーにして、これまでも政治活動をしてまいりました。このたび政務官になりまして、まだたくさんは行けていないんですけれども、やはり研究や様々な活動の現場にできるだけ足を運ぼうということで、先般、奥村副大臣と一緒に千葉の放医研にも行って、被曝医療等の研究施設などを見せていただきました。その前は原研が福島で実施している除染活動も見せていただいたところでございます。
科学技術といいますと、私は小学校の教員ですので、研究や開発ということはどことなく遠い感じがするんですけれども、これがいかに私たちの生活に密着しているか、あるいは未来への夢、希望を開くものであるかということを、もっと国民の皆さんにわかりやすく伝えていただけると、子供たちも学校で理科の授業だけではなくて、そのことと生活とが結びついているということをもっと身近に感じて、先ほど奥村副大臣も人材育成と言っていただきましたが、そこにつながっていくのではないかということを感じているところでございます。
来年度の概算要求におきましては、5.8パーセントの増を科学技術関係は要求しているところでございますが、政務官としてはこれを何としても確保できるように、これから財務省と闘うというのは言い方がちょっと激しすぎるかもしれませんけれども、皆さん方の研究の現場あるいは産業の現場で頑張っていらっしゃる姿を思い浮かべながら、頑張っていかなければいけないというふうに思っているところでございます。
今後とも皆様方のご指導を、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【野依会長】 ありがとうございました。続きまして城井大臣政務官からご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【城井政務官】 皆様、おはようございます。ただいまご紹介をいただきました、文部科学大臣政務官をこのたび拝命いたしました衆議院議員の城井崇と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私自身は、直接の担当は主には教育とスポーツでありますけれども、高等教育をはじめとして科学技術・学術に関しては相当に連携、橋渡しが重要だと思っておりまして、本日も伺わせていただいた次第でございます。
とりわけ科学技術・学術の部分には国民の希望、そして日本の元気の源が多くあると思っています。「はやぶさ」「スパコン」「iPS細胞」、どこを切り口にしても、我が国はここから再び世界に旗を揚げていくんだという気持ちで頑張れる部分が多くあると思っています。そうした意味では、皆様方のご指導を仰ぎながら、聞く耳を持って我々は頑張らなければいけないと思っています。
これまでも政府与党におきましては、第4期科学技術基本計画策定に当たりまして、相当に踏み込んだ内容を盛り込んだつもりでおります。とりわけに、皆様のご関心の1つ、今後の科学技術投資がどうなっていくのかというところにおきましては、今回の第4期におきましてはGDP比1パーセント、25兆円ということを明記をするということで、政治としては3歩、5歩前へ進んだつもりでおります。ここにしっかりと中身を詰めていくためには、皆様のお力添え、これまでの知恵や経験が必要になると思っておりますので、今後とものご指導をお願い申し上げたいと思います。我々もそこを受けとめてしっかり頑張ることをお誓い申し上げて、一言ごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【野依会長】 ありがとうございました。
それでは、議事に入る前に、事務局から委員の紹介と配付資料の確認をお願いします。
【塩田企画官】 今期の総会に初めてご出席いただきました委員をご紹介させていただきます。青野委員でございます。
【青野委員】 よろしくお願いします。
【塩田企画官】 鎌田委員でございます。
【鎌田委員】 鎌田でございます。よろしくお願いします。
【塩田企画官】 鈴木委員でございます。
【鈴木委員】 鈴木でございます。
【塩田企画官】 田代委員でございます。
【塩田企画官】 山脇委員でございます。
【山脇委員】 山脇でございます。
【塩田企画官】 資料につきましては、議事次第のとおり、資料1-1から資料3-9、また参考資料1から3を用意してございます。事務局で確認の上、配布しておりますが、欠落等の不備がございましたら事務局までお知らせ願います。
以上でございます。
【野依会長】 ありがとうございました。
それでは、議事に入ります。議題1は「各分科会等の審議状況について」です。事務局から分科会等の概要を説明していただき、その後、「研究計画・評価分科会」、「学術分科会」、「基本計画推進委員会」から報告いただきます。
よろしくお願いします。
【塩田企画官】 資料1-1をご説明させていただきます。資料1-1「科学技術・学術審議会の各分科会等における審議状況」でございます。
1ページは、組織図でございます。組織図につきましては、前回の総会で基本計画推進委員会の設置が決定されておりますので、一番下に追記しています。
2ページは、会長・分科会長等のお名前を記載した一覧表をつけております。
3ページは、2.主な報告等をまとめております。ここに記載のある報告については、これから各分科会等からご報告がある予定です。3.につきましては、各分科会等の審議状況を記載しておりますので、ご参照いただければと思います。
以上です。
【野依会長】 それでは、研究計画・評価分科会の大垣分科会長、お願いします。
【大垣委員】 はい。研究計画・評価分科会長の大垣でございます。三、四分いただいてご報告を申し上げます。
当分科会では、資料1-1の3ページと4ページに記載してございますが、前回の総会以降、分科会を2回開催し、研究開発課題の評価結果について審議を行うとともに、各委員会で検討を進めている推進方策について、中間報告を受けました。
今後、当分科会では、前回の総会でご報告しましたとおり、各委員会で取りまとめる推進方策を元に、第4期科学技術基本計画に基づく課題達成型の研究開発方策を検討していく予定でございます。
また、当分科会に置かれている2つの部会からの報告がありましたので、この場で加えてご報告をいたします。1つ目は地球観測推進部会で取りまとめられました、「平成24年度の我が国における地球観測の実施方針」についてでありまして、資料1-2の1枚紙がとじてあると思いますが、それをごらんください。実施方針の概略についてまとめております。
この背景でございますが、平成16年12月に総合科学技術会議が取りまとめました「地球観測の推進戦略」に基づく地球観測推進部会において、毎年、策定しているものでございます。その内容でございますが、本年8月に閣議決定されました第4期科学技術基本計画において我が国が取り組むべき課題を明確に設定し、科学技術政策を総合的かつ体系的に推進していくことが必要とされていることから、課題達成型の地球観測を重点事項として第1章に掲げています。
その第1章の中で、気候変動問題の解決に向けて地球観測の果たすべき役割は極めて重要であることに加え、東日本大震災を踏まえ、地震、津波、火山の分野での地球観測の取り組み、課題についても改めて整理をし、その被害を軽減するための役割や方向性を示す必要があるという観点から、それら災害における被害の軽減を重点事項の1つとして、この第1章の中に提示してございます。
第2章におきましては、国内の地球観測システム統合に向け、地球観測データの統合化を加速していく必要性について指摘しており、第3章においては、GEOSSをはじめとする国際的な枠組みとの連携及び協働と、衛星観測など地球観測を通じた科学技術外交の推進を示しておりまして、第4章では地球観測の長期継続の推進を提示しております。
今後の予定といたしましては、本実施方針を踏まえて実施される来年度の関係府省庁の地球観測事業の継続について、平成24年度の我が国における地球観測の実施計画として、今年度末にまとめる予定としております。
次に、研究開発評価部会からの報告について、資料1-3の冊子でございますが、それにまとめております。前回の総会において当分科会に付託されました科学技術振興調整費の評価、並びに科学技術戦略推進費の配分のための審査及び評価に係る事項については、当分科会に置かれる研究開発評価部会で審議を行っているところでございます。平野部会長がここに在席していらっしゃいますけれども、私のほうから報告を申し上げます。
冊子の1ページ目をごらんください。はじめに、科学技術戦略推進費の審査でございますが、採択プロジェクトが決定されましたのでご報告いたします。審査は部会において決定した審査要領に基づき、科学技術振興機構において7つの作業部会を設け、約1カ月かけて書面審査、ヒアリング審査等を経て採択候補プロジェクトのとりまとめを行いました。その後、8月24日の部会においてこの候補の中から採択プロジェクトを決定したところでございます。採択プロジェクトの内容等については、その資料の4ページから6ページをご確認いただければと思いますが、総提案数は80件でありまして、採択件数は13件となっております。
続きまして、科学技術戦略推進費及び科学技術振興調整費による実施プロジェクトにつきまして、部会において評価の進め方、評価の実施方法、及び追跡評価の実施方法を決定いたしました。これは、同じ資料の10ページからになりますが、まず、23年度の中間・事後評価につきましては10のプログラムで実施されました83のプロジェクトについて、プログラムごとに定める評価項目に従って実施することとしております。実施体制につきましては7つの評価作業部会を設置し、成果報告書の書面査読、ヒアリングを経て、作業部会としての評価結果を決定いたします。本結果につきましては、来年の1月に研究開発評価部会において審議し、決定される予定でございます。
次に、23年度の追跡評価につきましては資料の35ページ以降になります。対象プログラムを、14年度から19年度に実施された「産学官連携共同研究の効果的な推進」プログラムといたしました。追跡評価の実施方法につきましては、研究代表者、評価等に参加した外部有識者等の関係者へのアンケート調査やインタビューにより行い、追跡評価報告書をとりまとめの上、来年の1月に部会に報告される予定でございます。
以上、簡単ではございますが、研究計画・評価分科会からの報告といたします。どうもありがとうございました。
【野依会長】 それでは続いて、学術分科会の佐々木分科会長、よろしくお願いします。
【佐々木委員】 それでは、学術分科会のほうから簡単にこの間の活動、結果につきましてご報告申し上げます。資料の1-4、1-5がその内容でございます。
まず、資料1-4でございますが、学術の基本問題に関する特別委員会においては、第5期に取りまとめられました学術分科会の審議経過報告の指摘などを踏まえまして、戦略的な視点を持った研究推進の在り方に焦点を当てて審議を行い、学術振興上の重要な取り組みについてという意見を取りまとめたところでございます。
重要な取り組みの検討に当たりましては、5月に科学技術・学術審議会総会で決定されました「東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の検討の視点」等を踏まえながら、学術研究の意義と社会的役割、個々の学問分野の枠を超えた検討、及び諸外国の動向を踏まえた取り組みを検討の視点として取りまとめました。
その上で4つの課題。1.社会貢献に向けた研究者の知の結集。2.東日本大震災の記録保存や総合的な学術調査の実施。3.知の再構築や体系化が求められる研究テーマ等の共有。4.コアグループの形成による知の集積を、当面の検討課題として整理いたしました。
今回のまとめは、検討の観点と当面の検討課題を整理したものであり、今後、関係部会等においてもこの意見のまとめを参考として、可能なものから具体的に検討を進めていくこととしております。
もう1件、資料1-5にかかる研究費部会の審議状況についてご説明いたします。第6期の研究費部会におきましては、科研費の予算、科研費を含む研究費の在り方、科研費の研究種目の在り方、研究評価・研究成果の発信等について、審議を進めております。
このうち、平成24年度の科研費の在り方に関し、7月28日開催の第3回研究費部会において、科学研究費助成事業(科研費)の在り方について「審議のまとめ その1」という形で、科研費の基金化の対象拡大等を踏まえたとりまとめを行ったところでございます。詳細につきましては、また予算のところでご説明があろうかと思っております。
以上でございます。
【野依会長】 ありがとうございました。
それでは最後に、私から基本計画推進委員会についてご報告いたします。資料1-6にありますように、本年5月31日に開催された第36回科学技術・学術審議会総会におきまして、基本計画推進委員会の設置が議決されました。委員会は、2ページ目にあるように、科学技術・学術審議会の分科会長や主査などを務めていただいている方を中心に構成されております。
9月2日に第1回の委員会を開催し、 基本計画推進委員会の審議事項と、第4期科学技術基本計画に基づく施策の推進にかかる検討体制について議論を行いました。審議事項については、3ページ目にあるように、基本計画推進委員会は各分科会、部会、委員会等における検討内容を把握した上で、これらを整合性をもって推進するための総合調整を主たる役割としました。つまり、第4期科学技術基本計画を推進するために、科学技術・学術審議会の運営委員会的な役割を果たすということです。
そのため基本計画推進委員会から各分科会等に対して、第4期科学技術基本計画に基づく施策の推進のための検討を依頼することになります。
また、委員会では、各分科会等で行われた検討結果を受けて、分科会などの間の調整、あるいは助言をしていくということです。
また、総合調整役に加え、全分野に関係する社会と科学技術イノベーションとの関係の深化に関する事項について、検討をいたします。
検討体制については7ページ、8ページ目に「第4期科学技術基本計画に基づく施策の推進に係る検討体制について」としてまとめております。これに基づいて各分科会等で議論をお願いしたいと考えております。
第4期科学技術基本計画のポイントの一つは、分野重点化から重要課題解決型へと、方針が転換されたということです。そのためには、複数の分野が課題の解決に向けて必要な知識を収れんないし収束する”convergence”という考えが重要です。
現在の科学技術・学術審議会の組織は、分野ごとの色合いが強くなっておりますが、8ページの2.の「検討に当たっての留意事項」にあるとおり、分科会等の枠組みを横断した議論が円滑に進められるよう、既存の枠組みの特徴を生かしつつも、さらに各分科会の検討体制の工夫をお願いしたいと考えております。
また、推進方策を実現するためには、研究者に丸投げするということではなく、マネジメント体制の構築と工程管理が大変重要です。各分科会等が推進方策を取りまとめた後には、施策の実施状況のフォローアップ等を行っていただきたいと考えております。
このほかにも、各委員から多様なご意見が出されており、主な意見を9ページ以降に整理しています。非常に重要な指摘がたくさん出ておりますので、各分科会等の議論の参考にしていただければと思います。
例えば、イノベーションを推進するためには、権限を持ったリーダーの存在と全体のマネジメントが必要であるという意見がございます。 そして、国が重要と考える分野の人材育成、これは国の責任であって、どういうふうにして大学等をそのように誘導していくかということを考える必要があるというご意見も出されております。また、事前評価あるいは事後評価等の枠組みにつきましても、横断的、横ぐしを刺すような視点が重要であるというご意見がありました。
本日ご報告いたしました事項について、各分科会等にお持ち帰りいただき、それぞれで議論を行う際の参考としていただければ幸いです。
第4期科学技術基本計画には、二つの重要なポイントがあると思っております。 一つは、サイエンスとテクノロジーの推進に加えまして、イノベーションと、日本の復興、再生を重視するという点です。 もう一つは、先ほど申し上げましたけれども、従来の分野別重点化から、課題解決型の研究を重視するという点です。第4期科学技術基本計画は社会から非常に大きな期待を持たれていると思います。科学技術・学術審議会全体として、科学技術基本計画の理念を踏まえて施策が推進されるよう、基本計画推進委員会は、各分科会等から推進方策等の検討結果の報告を受け、そして全体を俯瞰する立場から各分科会等の間での調整、助言を行っていくとともに、推進方策のフォローアップを行ってまいりたいと思います。
報告は以上です。
それでは、これまでの報告につきまして、ご質問あるいはご意見がございましたらお願いします。
どなたからでも、よろしくお願いいたします。三宅委員、どうぞ。
【三宅委員】 1つ、これからの議論にも関係すると思うんですが、あまり大きな話ではないのかもしれないんですが、今、野依先生がおっしゃっていたことの中で、確かに国際的にもいろいろな分野のものを横に刺して集めていかなきゃいけないという動きは多いと思うんですが、そこの中で、今、先生がねらっていく先がconvergenceだという意見が大事とおっしゃったところが、ちょっと気になりました。convergenceというと、それぞれがやってきたものを収れんさせるという意味合いが非常に強く、日本で必要なこと、あるいは海外で今大事だと思われていることは、むしろ違うものをそのままうまく、どちらかというとintegrateしてさらに新しいものを生むという、ダイバーシティをむしろ求めていくという視点が非常に強い気がしておりまして、convergenceという言葉が求める、あるどこかにまとめていくということがこれから大事になっていくのか、もうちょっとそこから先にdivergenceを求めていくことが大事になっていくのかというと、後者ではないかと感じました。
【野依会長】 まず、問題を解決するために、今必要な知識をintegrateすることが大変大事だと思います。さらに、学術を発展させ、新しい科学技術分野を多様性を求めて展開していくという、両方の問題が必要ではないかと思っております。
いずれにいたしましても、問題解決するためにはマトリックス・マネジメント、あるいは最近ではcross function managementといいますか、そういう機能をまとめていくということは大変大事です。
ただ、今までのように構造的に縦軸と横軸をとってマトリックス化すればいいことではないので、その趣旨を十分に汲み取って進めていただくことを各分科会等にお願いしたいということです。
ほかに、ございますか。柘植委員、どうぞ。
【柘植委員】 今のお二方のお話と絡む話です。人材委員会と産学官連携推進委員会を承っております柘植でございます。
第1回の基本計画推進委員会でも同じ発言をしましたが、第4期科学技術基本計画においては基礎研究と人材育成という、非常に大きな大事な二つの柱が実は同じところで取り扱われておりまして、これが今、三宅委員がおっしゃった話と実は根っこがつながる危険性――あえて危険という言葉を私は言いますが。
基礎研究は、言うまでもなくconvergenceと関係なく、いわゆる多様性を育てていくという、それを支える人材という育成もあるし、一方、第4期科学技術基本計画の人材育成というのはそれだけじゃなくて、社会のための科学、すなわちイノベーションという言葉を今度新しく加えましたが、やはり社会に還元していくためには知の統合といいますか、convergenceという、社会的価値の創造を支える人材も必要でありまして、ポイントは第4期科学技術基本計画では、いろんな理由があったと思うんですけれども、基礎研究という純学術的重要政策と基礎研究からイノベーションまでの多様な人材育成という重要政策とをくっつけてしまっています。実はそれぞれ大事な別な話だと。両者は重なるところもあるけれども、全然違うところもあるということの認識で、私は人材委員会と産学官連携推進委員会を進めていきたいと思っております。以上です。
【野依会長】 ありがとうございました。唐木委員、どうぞ。
【唐木委員】 今、分野横断的、また課題解決的な取り組みが必要というお話をお伺いして、また学術分科会のご報告をお伺いして思いましたことを申し上げます。
これまで人文系、学術系の領域では、自然科学系の共同利用機関や共同研究と比べますと非常に連携したテーマを持つのが難しく、また、人文系と自然系間の連携というものも取りにくいと、この審議会でも話題になったことございました。本日のご報告をお伺いして、やはり震災の記録や分析や保存ということがとても大切な取り組みであり、例えば、ここで情報科学などの先進の技術との連携等非常に必要になってくると思います。報告書の4ページにあります新学術領域研究ということを学術分科会ではお考えになっているということですが、そうした連携というところまでご議論進んでおりますでしょうか。お伺いできましたらと思います。
【野依会長】 佐々木委員、どうぞ。
【佐々木委員】 この東日本大震災の記録保存にかかる事業につきましては、私の認識では、既存のいろんな枠組みをまたつくったり何なりしてますと時間がかかるものですから、至急、来年度にかけて取り組みを始めたいという、そういう気持ちでプランを練っているところでございます。
また何か枠をつくってどうするというような話をしているうちにいろんなものが失われていくということに、むしろ危惧を覚えているというのが我々の認識でございますので、これはこれで動かさせていただこうという意見が大勢でございます。
以上でございます。
【野依会長】 野間口会長代理、どうぞ。
【野間口会長代理】 話題が変わるのですが、大垣先生の報告された資料1-3の3ページですが、科学技術外交の展開云々というここで、大変いいテーマが選定されているな、評価されているなと思いながら見ております。
STSフォーラムに、私は今年は参加できなかったんですが、外国からあれだけの要人を京都まで連れてきて、いろいろ意見を開陳していただくという機会をつくるというのは、非常に日本にとって珍しいですね。少し控えめな日本としては、あれは非常にいいことだと私は思っていまして。今年は私は残念ながら参加できなかったんですが、こういったことを評価いただいたのは非常によかったと思うのですが、後ろのほうを見ましたら、これ期間が1年となっていて、どれも科学技術外交は1年の視点で見るというのはおかしいのではないか。これは先生というよりも、むしろ文部科学省の戦略として、これから本当に、単に量的な拡大を目指すのではなくて、質的な貢献を世界に科学技術の面でもやっていくべき時代ですから、こういったテーマこそじっくりと腰を落ち着けて、長期的な視点でやるべきではないかと思うんですよ。この辺の、なぜ1年になっているについて、よろしければ聞かせていただきたいなと思います。
【野依会長】 事務局、お願いします。
【大山科学技術・学術戦略官】 科学技術戦略推進費担当の科学技術・学術戦略官の大山と申します。財政的な事情等もございまして、今年度の採択プロジェクトにつきましては1年となっているところでございますが、先生のご指摘は、大変貴重なご指摘と存じますので、今後どのようにしていくかというところで生かさせていただきたいと考えております。ありがとうございます。
【野依会長】 私も科学技術外交、さらにインテリジェンスの強化という意味で大変大事だと思っております。この委員の中にも、今年ご出席された方がいらっしゃいますけれどもご意見ございますか。中村委員、柘植委員どの様にお考えになっておられますか。
【中村委員】 今回のSTSフォーラムでは、現在、地球社会が抱えている大きな問題である環境とか、あるいはエネルギー政策であるとか、あるいはエージング、高齢化社会に非常にフォーカスして、それに対して世界じゅうから集まったトップレベルの方々がほんとうに熱心に議論されたという意味では、これまでになく――これまでもよかったんですが、これまで以上に実りのある会議だったというように思います。
【野依会長】 柘植委員、いかがですか。
【柘植委員】 中村委員のおっしゃるとおりであります。
さらに一言言いますと、ご指摘のように、やはり世界中からの参加者が、「これは日本は10年続けるんだ」ということを承知の上で参加しているのか、1年限りのおつきあいか、こういうのが曖昧のままというのは、私には日本のために良くないと思います。ですから、単年度ごとの予算付けというのは止むを得ぬでしょうけれども、少なくとも長計として10年というものを踏まえているということは、ルール違反にならない限りで宣言できるのではと思います。私も中村委員の意見に賛成です。
【野依会長】 私も大事だと思っておりますが、一つお願いしたいことは、あそこに参加しているメンバーが、シニアな方が非常に多い。私は、もっと若い研究者あるいは行政官が参加すると大変いいんじゃないかと思います。
STSフォーラムで議論されていることと日本の研究者社会の価値観の間に、相当ギャップがあると感じております。そこのすり合わせをする必要があるのではないでしょうか。
特に若い世代に社会の中の科学、社会のための科学、この重要性を認識してもらうことが必要ではないかと思っておりますので、今後、お考えいただければと思います。
平野委員、どうぞ。
【平野委員】 STSの件でありますが、これは私どものところの会で選んだものですから、そのときの追記事項をここでご紹介します。
決定は今のような形で、国費等要するということになります。大変いい会であるということについては間違いないのでありますが、これまでご苦労を、恐らくされてみえると思います。国費を投入せずに、このSTSのフォーラムは行われております。今回、この科学技術外交のこの資金が投入されたということにおきましては、ぜひ国民のほうにさらに情報の発信をし、この内容について展開をいただきたい、これが附帯的な注文でございます。これ関係者の方はぜひよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
【野依会長】 ありがとうございました。大垣委員、どうぞ。
【大垣委員】 STSのことから離れますけれど、野間口会長代理からご指摘のあった予算が短いのが多いのではないかということでありますが、例えば、JSTのSATREPSという開発途上国との科学技術外交で、JICAとの予算を組み合わせて行っているものなどは継続が、予算上、10年続く形になってきておりまして、そういう意味では随分いろいろなところで改善が進んでいるのではないかと思いまして。ここに出ているのはたまたま1年でございますが、いろいろなところで国際的な活動でも変化が起きているのではないかと思います。
【野依会長】 ありがとうございました。田代委員、どうぞ。
【田代委員】 基本計画推進委員会における主な審議事項等についての、資料1-6のところで、人材育成というところで本当にすばらしいご意見が出ていると思います。
この一番上のところですが、先ほど柘植委員もおっしゃっておられましたように、基礎研究と人材育成というのが非常に重要であると思います。この最初の出だしに、「国がもっとも重要であると同定した」とありまして、「国の責任でヒト・カネ・モノ」とあります。全部重要な問題だと思いますが、具体的に何かこれだという研究計画があるのか。それから、トップダウン式のこういう研究方針というものについて、どういうふうにお考えになっているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
【野依会長】 これは一般論ですが、人材育成は大学がこれまで担ってきました。大学の立ち位置は学問の自由といいますか、大学の自律によって多様な学術を進展させていく、これが主流だと思います。
一方で、国が大事であるといった問題解決、いわゆるトップダウンとの課題の解決について、だれが担っていくのかが明確でない。今の大学の自律に任せておいただけでいいのかという議論がございました。
例を一つだけ挙げますと、恐らく日本にとって震災からの復興、あるいは原子力エネルギーの問題、これらは国にとって一番大事な課題だろうと思います。
原子力発電については、その是非、さまざまなご意見があろうかと思いますけれども、安全性を格段に向上させてこれを維持する、あるいは脱原子力発電でやめてしまう。しかしやめるにしても20年、30年という非常に長い期間がかかる。
その実現を一体だれが担うのかを考えた場合に、今の大学にただ自立性をもって人材育成を任せておいていいのかと思います。そのほかにたくさんありますが、具体的には、まだ議論はされておりません。
鈴木委員、どうぞ。
【鈴木委員】 資料1-6でいろいろな施策が掲げられていますが、これまでも関連する同様の施策があったと思います。そういうこれまでの施策の反省と評価をした上で、新たに取り組むべきと思います。特にそれに関連して、10ページにイノベーション施策がありますが、もう既に何年にわたっていろんな施策が進められてきています。これまでのどこが悪かったのか、良かったのかを評価することが重要です。
例えば、10ページのイノベーション推進の4つ目に「また、研究者と技術者、産業界が連携しないと難しい」とありますが、産業界以外に、例大学や研究所真の技術者はいるのかどうか疑問です。今、大学には技術職員はいますが、その数は定員削減の影響で以前の3分の1に減っています。また、技術職員は欧米で言われている技術者:エンジニアではなく、テクニシャンに近い人たちです。となると、一体この技術者はだれなのかという疑問が生じます
そのように、日本の現状を十分把握し評価した上で施策を企画しないと、ただ単に研究者と技術者の連携と唱っても難しいと思います。
【野依会長】 ありがとうございました。予定していた時間が過ぎましたので、次へ移らせていただきます。
議題2「最近の科学技術・我術の動向について」です。前回の総会におきましてご議論いただきました「東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の検討の視点」、参考資料3でございますが、これについては現在、各分科会においてこの視点を踏まえた審議が行われているところです。
本日は、科学技術政策研究所が幅広い分野の研究者に対して、この検討の視点についてアンケート調査を行っておりますので、説明願います。
【桑原科学技術政策研究所長】 科学技術政策研究所の桑原でございます。それでは、資料2-1に沿いまして、私どもが実施しましたアンケートの結果をご紹介申し上げます。
まず、2ページをごらんいただきますと、調査の方法等がございますが、これは私どもの研究所が持っております専門家ネットワーク、今、約1,700名のメンバーがいらっしゃいます。大部分は、そこにございますようにシニアな方が中心になっておりますけれども、この方々に2回に分けて、この検討の視点について関連する質問をさせていただきました。で、約半分強の回答が得られておりまして、ご回答いただいた方々のバックグラウンド、あるいは産学官の属性はそこにあるとおりでございます。今回、回答率が高かったこともありまして、このネットワーク全体のポートフォリオもそこのグラフのような状況でございます。1つポイントは、人文・社会系の専門家はあまりお入りになってないという、ここがちょっと偏りがございます。
以下、内容でございます。大きな論点が右上の青の白抜きのところにございますけれども、まず、科学技術・学術の観点からの検証として、3ページ、十分機能した部分、十分機能しなかった部分は何かと。機能したほうとしましては、インターネットをはじめとするさまざまな情報共有、あるいは構造物の耐震にかかわること、こういうところは予定どおり機能したのではないか。不十分だったところとしましては、各種の予測でございますとか、社会的な要因を含むリスクマネジメント、ここはまだ不十分だったと、こういう個別回答がございます。
続いて、4ページ。各回答者のご自身、あるいはご自身が所属する分野で、この一番上にあります「社会のための、社会の中の科学技術」、こういう考え方がとられているかどうかと。これについては、十分という方とある程度という方を含めますと、もうほとんどの方がそういう方向には進んでいるということで、このベクトルはそろってきているという様相が見えます。
では、5ページ。今回の震災を踏まえまして、何か変えるべき必要があるかどうかと。これは、今のままでよいという方と必要があるという方、半々でございました。変えなくてはいけないとお考えの具体的論点としましては、社会の視点をより意識しなくてはいけないとか、あるいは災害も特に想定外の事象も対応できるような取り組みが必要だ、あるいは先ほどのリスクマネジメント、こういう論点があがってきております。
続きまして、6ページ。同様に今度、政府に期待することは何かと聞きますと、戦略とか方向性を設定してほしいとか、あるいは助成、さらに研究評価でインセンティブを与えてほしいというような論点があがっております。具体的な中身、下のほうにございますけれども、まあ、似たような指摘がございました。
続いて、既にご議論が進んでおりますけれども、課題解決のための学際研究、あるいは分野間の連携になります。7ページ最初、まず、そういったものが今、十分かどうかということにつきましては、左側、自然科学の中での連携。これは約半分の方がある程度はできているという評価でございます。ただ、人文・社会と自然科学の連携となりますと、右にありますように、できているという答えは2割程度にとどまりまして、まだまだ足りないという意見が圧倒的でございます。
じゃあ、その理由は何なんだろうかというのが8ページでございまして、足りないとお答えになった方が指摘している点として、自然科学の中での連携としましては、やはり各研究分野の論文で独自性が要求されるので、なかなか分野間の連携とか評価されにくい。あるいは、そもそも大学から学会まで縦割りになってしまっているというような点。それから、人・社との関係では、研究のアプローチとか成果の出し方、こういう点で相当違いがあるということとか、なかなか交流機会がないということがあがっております。
それでは、それを進めるために何が必要かということで自由にお書きいただいたのが9ページでございます。人材の育成、これからそれが担えるような人たちをとにかく育てていく、これを早く始めなくてはいけないという議論と、それから、現在の研究費の拡充あるいは体制づくり。目標設定においては、そういった視点からの各種プロジェクトの評価、これが重要であろうというようなご議論でございました。
続いて、今度は生まれた成果が社会課題の解決に向けて適切につながっているかどうかという質問が、10ページでございます。これに対しては、まだその成果自体のつながりが弱いというお考えの方が半分ぐらいということでございました。
で、それを解決していくために何が必要かいうのが11ページでございまして、全体としての方向性あるいは枠組みを明確にしていく。それから、社会還元につながるようなシステムを整備していく。さらに、研究の段階から目標設定型の研究として進めていく。この辺は、まさにこれから第4期で取り組むべき内容かと存じます。
続いて、4番目の大きいテーマで、12ページ。科学者・技術者からの社会への情報発信という点でございます。ここの質問は、特に情報を受け取る立場に立ったよい表現あるいは方法で情報発信が行われているだろうかという質問でございまして、これに対しては6割の方が、まだ不十分であるというお考えでございます。
では、それに対してどういう対策が取られるべきかというのが13ページでございます。発信者サイドでもそれに十分な経験を持つような人を育てていくというようなこと。あるいは、中立的立場で発信できる組織を考えていく。それから、受け取るサイドにしても、例えば理系文系をあまり分けないような教育を初等中等教育でやっていくとかいうことも重要ではないか。
一番下に、発信の考え方で、リスクも含めて徹底的な情報公開をするとか、あるいは科学的にちゃんとわかっていることとわかってないことをきちんと分けていくことが大事だと、こんなご議論がございました。
最後、今後の復興・再生、あるいは安全性向上にどう貢献していくべきかということで、被災地のさまざまなニーズを科学者・技術者が十分きめ細かくとらえているかどうかということにつきましては、まだまだ足りないという意見も半分。もうある程度進んできているというという意見が半分。こういう状況でございました。
じゃあ、どんな貢献がこれから期待できるのかということにつきましては、貢献の例、そこにございますように減災からエネルギー関係、資源・食料問題、こういうことがあがっておりまして、それをどう進めるかというのが下段にございますけれども、やはり包括的な研究ができるような仕組み、あるいはハードだけではなくてハード・ソフトが両方進むような仕組み、こんなご指摘がございました。
最後、16ページに備考が書いてございますけれども、私どもがこういう調査を実施いたしますと、回答者のバックグラウンド、生命科学のご専門かものづくりかでかなり回答が違うというのが通例でございましたけど、今回の回答はそういうバックグラウンドによる相違というのは非常に少なかったということが特徴でございます。同様に、産学官の回答者で分けましても違いがなかったと。そこは非常に一致しているということが観測されたということでございます。以上でございます。
【野依会長】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの報告についてご質問ございましたらお願いいたします。
中村委員、どうぞ。
【中村委員】 大変内容のあるアンケートの結果だと思うのですが、私思いますのに、復興であるとか再生とか安全性、一言でいいますとresilienceという言葉でいっていいと思うんですが、これはコストがかかる、しかしコストはかかるけれども、こういうことをきちんとやっている国がこれから国際社会の中で評価される、そういう時代になってきたという、そこの認識が非常に大事だと思います。現に足元を見ても、なかなか優秀な研究者は日本に来てくれない、あるいはグローバルサプライチェーンが壊れて、日本を素通りして別のところにサプライチェーンをつくろうという動きが現にあるわけでございます。これを逆にしまして、今回の教訓の元にレジリアントな国をつくるということが非常に、また将来に向かっては大事じゃないか、そういうように考えております。どうぞよろしくお願いします。
【野依会長】 ありがとうございます。モデルになるような国はどこでしょうか。
【中村委員】 アメリカはやはり、9・11の後、大変この問題を検討いたしました。したがって、この間も日本にあるアメリカの半導体工場が地震で壊れたときも、最初に経営者が全部集結したのはアメリカ企業でございます。そういうシステムができております。
【野依会長】 ありがとうございました。ほかに。三宅委員、どうぞ。
【三宅委員】 特にこういう現場対応型の課題を解決していくために人文・社会と自然科学、その他の既存学問の間の融合が必要というのは、ほんとうにアメリカの9・11の後もあったと思うんですけれども、ここの中で一つ問題になってくるのが、こうやってやってみて、新しい課題を解いてというときに、それは現場対応になるので、そこから一般論を引き出すのが非常に難しい。そうすると、応用したことによって、やっぱり先ほどのconvergenceとdivergenceの話なんですが、違うものをintegrateしてdivergenceを求めていかないと、こっちでやったこととこっちでやったことって必ずしも一般化されていかない。
こういうものを評価する新しい科学の枠組みというものは、ここでやっていくためにはほんとうに必要なんだということをこの復興にかけて日本が提案できると、せっかくのこういう震災という貴重な経験をしたことが、現場指向型の問題解決研究という新しい科学をつくるという方向で生かせるんじゃないかと思います。
【野依会長】 ありがとうございました。柘植委員、どうぞ。
【柘植委員】 13ページの「社会への発信と対話」の中で、情報を受ける者に関してということで、取り組みの必要性について、前から言われている初等中等教育の充実ということが、やはり書かれております。
NISTEPにおいては、ここで「教育」というのはなかなか入れないと思うんですけれども、この初等中等教育の充実については、例えば文部科学省のどこかに頼むとか、何かそこのところの連携、あるいはNISTEP自らがここを、領空侵犯をいとわず踏み込んでほしいんですけれども、今後のこの生かし方について、初等中等教育の充実について何かお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思うんですけど。
【桑原科学技術政策研究所長】 科学技術政策研究所といたしましては、決して教育は関係ないからという戻しはございませんけれども、既に教育の行政の中でもこの点というのは強く認識され、それから理科教育の充実ということでは、先生方のご視点からするとまだ決して十分ではないかもしれませんけれども、着実に進んではいると思います。
そうしますと今後の問題は、例えば今回の震災を踏まえて、今までの流れにさらに加えるべき要素があるのかないのか、あるいは、さらに加速しなくてはいけない部分が特にあるなら、それは一体何なのか。それがもし浮かび上がるものであれば煮詰めていくことは重要であろうし、そういう部分は私どもが貢献すべき点かなと思っております。
【野依会長】 青野委員、どうぞ。
【青野委員】 今、私も同じ13ページで、社会への発信と対話のところの発信の考え方に関してというところで、リスクも含めた徹底的な情報公開というのが挙げられているんですけれども、今回の震災がらみでは、これ非常に重要かつうまく機能しなかったことだと思っているんです。こういう認識があるというのは重要だと思うんですけれども、これを、では、実際には今後どうしていくのがいいのか。この辺の何かお考えがあればお聞かせいただきたいというのが1点なんです。
あと、先ほど、分野によって今回は特に回答が変わらなかったということを前半におっしゃっていたんですけれども、そうすると例えば、情報発信が十分だったか不十分だったかとか、後は例えば5ページにある、自分の分野に関して、今後変えるべき点があるかないかといった点についても、これは回答が分野にかかわらなかったとすると、それは一体何によって回答が変わっているのかという分析がもしあれば、教えてくださいという、2点です。
【桑原科学技術政策研究所長】 最初の点につきましては2つの観点があろうかと思います。
こういった情報公開がどういうメカニズムで行われるべきなのかということについて、まさに科学的なアプローチでいろいろ研究し、その成果を行政等に発信していくという部分では、いろんなことをこれからやっていかなくてはいけない部分があろうと思います。
それから、実際に起こったこと、先ほどらい検証をしそれを記録するというご議論もございましたけれども、その点について私どもが取り組めるのは、科学技術にかかわる部分を中心ということでございますので、それをフォローしていくということが重要かと思います。
すぐにどうこうということがなかなか難しいテーマで、巨大なテーマではございますけれども、特にそういう科学をどう進めるのかという観点が重要かと思っております。
それから、分野ごとにいろいろ違う。全く差がなかったわけじゃございませんで、やはり土木建築系の分野と、例えばライフサイエンスの分野で、もちろん、多少の差はございました。ですから、そういう差もございますけれども、私の印象といたしましては、各分野の中で研究者の方々、こういう社会との関係を非常に重視して仕事をもう既にされている方と、もう少し手前にとどまっている方、これがやはりどの分野にも両サイドの方がいらっしゃって、その差というのは、ほかのテーマで質問するときほどに大きな差にはなっていないということなのかなというのが、現状の認識でございます。
もともと回答者母集団、ランダムサンプリング等で精密に設定された母集団ではございませんので、何に由来するかというところはなかなか十分に分析しきれない部分が残るというのが正直なところでございます。
【野依会長】 平田委員、どうぞ。
【平田委員】 3ページのところ、震災下において、科学技術・学術の観点から機能した面と機能しなかった面というところで、機能した面として、緊急地震速報や津波警報等が挙げられて、一方、機能しなかった面として津波の予測・災害想定と、似たものが両方にあるというのですか。割とこの近い分野の者として申し上げると、緊急地震速報や津波警報というものについては、やっと認知をされてきたということで、大変評価をされていると。しかし、実際にはまだ未熟な技術でありまして、完全に防災・減災に役に立つというところまでは科学技術は成熟してないというところで、実際問題、津波については非常な被害が出たということで、この点は、これ非常に矛盾したようには思いますけれども、実体をよく反映しているのかなという感想でございます。
【野依会長】 いろいろな印象を持たれると思いますけれども、予定した時間が過ぎましたので、次に移らせていただきます。いずれにいたしましても、各分科会等において検討の視点を踏まえた審議を行っていただく際に、このアンケート調査をご参考にしていただければと思っております。
総合科学技術会議の動向について、事務局から説明願います。
【佐野政策課長】 政策課長の佐野でございます。よろしくお願いいたします。
お手元の資料の資料2-2を用いて説明します。
7月29日に第98回の総合科学技術会議が開かれまして、4つの議題が議論されました。特に今日は、参考1と参考2を使いまして、科学技術に関する予算等の資源配分の方針などについてご説明させていただくとともに、8月11日に持ち回り開催しました総合科学技術会議におきまして科学技術基本計画が決定されましたので、それについて説明させていただきます。
まず、参考1と参考2はリンクしてございますので、両方同時に見ていただければと思います。参考1は「科学技術に関する予算等の資源配分方針」というものです。これは、毎年度、概算要求前に総合科学技術会議が決めているもので、各省はこの方針に従って概算要求を行うこととなっているものです。
参考1の下のほうに「平成24年度における予算等の資源配分方針」という記載があります。「AP対象施策への最重点化」と書いておりますが、APというのは、次の参考2で説明する「科学技術重要施策アクションプラン」の略でございます。
この参考1の2枚目をごらんください。2段目に記載があるように、「第4期科学技術基本計画に掲げる政策を推進する中で、特に以下のAP1~AP4を最重点化対象としてAPを策定しこれらの取組を推進する」ということになっております。ここでAP1は復興・再生並びに災害からの安全性向上。AP2がグリーンイノベーション。AP3がライフイノベーション。AP4が基礎研究の振興及び人材育成の強化です。
続きまして参考2を説明いたします。1ページにアクションプランの趣旨が書いてあります。総合科学技術会議におきまして最も重要と考えられる施策の方向性を概算要求前に示すことによって、政府全体の科学技術予算の重点化を誘導することを目的として、例えば各省が連携する施策や特に重要な施策につきまして、あらかじめ施策の方向性を総合科学技術会議が示しているものです。
2ページに、先ほど説明しました4つの重点対象を選定してございます。23年度のアクションプランではグリーンとライフイノベーションが2つのAPとして掲げられておりましたが、24年度のAPは、グリーンとライフイノベーションに加えて、冒頭の復興・再生並びに災害からの安全性向上と基礎研究の振興及び人材育成の強化というものが掲げられているところです。
3ページ以降、具体的に重点的に取り組むべき視点というものが書かれております。3ページは復興・再生、4ページはグリーンイノベーション、5ページがライフイノベーション、6ページが基礎研究の振興及び人材育成の強化というものです。
後ほど文部科学省の概算要求について状況をご説明いたしますが、この参考1、参考2に基づいて概算要求しているところでおります。
続きまして、8月11日に持ち回りで開催されました総合科学技術会議で決定いたしました科学技術基本計画について、阿蘇計画官から説明させていただきます。
【阿蘇計画官】 参考3に概要がございます。また、科学技術基本計画の冊子も併せて配布させていただいております。第4期科学技術基本計画につきましては、東日本大震災を踏まえまして見直しを行い、8月19日に閣議決定いたしました。
その内容ですけれども、科学技術学術審議会の基本計画特別委員会でおまとめいただきましたように、こちらの概要の1ページ目の一番下のところにございます「科学技術イノベーション政策」の一体的展開、「人材とそれを支える組織の役割」の一層の重視、「社会とともに創り進める政策」の実現という、今後の科学技術政策の基本方針をまず提示いたしまして、概要の2ページ目と3ページ目にございますけれども、先ほど来話がございました、分野による重点化から課題対応の重点化へ転換すること。また、成長の柱としてライフとグリーンという2大イノベーションを推進すること。基礎研究の振興及び、若手研究者等の人材育成を強化すること。社会とともに創り進める政策を展開すること。計画期間中の政府研究開発投資の総額規模を約25兆円とすることということを掲げて、さらに、東日本大震災を受けまして東日本大震災を受けた諸情勢の変化を列挙したこと。それから、「震災からの復興、再生の実現」を最優先で取り組むべき課題として位置づけたこと。自然災害への対応強化等による安全で豊かな国民生活の実現に関する内容を充実させたこと。海外からの優秀な研究者への招聘活動の強化。震災で影響を受けた施設等の復旧・強化等の必要性を明記したこと。そして、リスクコミュニケーションの推進等を明記したことという見直しの内容となってございます。
簡単ではございますが、第4期科学技術基本計画の説明は以上です。
【野依会長】 ありがとうございます。次に、最近の文部科学省における科学技術、学術の動向について、事務局から説明願います。
【山下計画課長】 失礼します。資料2-3に基づきましてご説明をさせていただきます。
この8月26日に、第4期科学技術基本計画を受けまして「第3次国立大学法人等施設整備5か年計画」を策定いたしましたので、この場を借りてご説明をさせていただきます。
国立大学施設に関しましては、人材養成、学術研究の基盤であるとの観点から、これまで平成13年より2次にわたり、科学技術基本計画を受けた「施設整備5か年計画」を策定し、計画的な施設整備を推進してまいりました。
その結果、耐震率も65パーセントから88パーセントになり、教育研究機能についても少しずつ改善がなされ、一定の成果を達成することができましたが、まだまだ老朽化、狭隘化などの問題もございまして、また、東日本大震災でも非構造部材、ライフライン、あと研究設備等も大きな被害を受けまして、こういったものへの対応ということも必要でございますので、2.の中段にございますように、8月26日に「第3次国立大学法人等施設整備5か年計画」を策定したということでございます。
この計画策定に当たりましては、有識者会議である「今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議」における2年半にわたる検討を踏まえ、これを受けて策定したということでございます。
ページをめくっていただきますと、3ページでございますが、これまでの科学技術基本計画と国立大学法人等施設整備との関係が示されております。第2期科学技術基本計画から策定しておりますので1次ずれておりますが、「第4期科学技術基本計画」と「第3次国立大学法人等施設整備5か年計画」が対応しているということでございます。
次、5ページをごらんいただきますと、これまでの第2次5か年計画の成果・効果事例ということでご紹介させていただいております。一番上は、改修整備をすることによりまして、またスペースの見直しもするということで、グループ学習室を整備したり、ラーニングルームを設置することによって、入館者数がぐっと伸びているというものでございます。また、真ん中にございます卓越した研究拠点の整備では、狭隘改修のため増築整備を図ることにより、国際共同研究が、件数がぐっと伸びてきていると。病院についても、再開発・整備を進める中で、手術件数も伸びているということで、着実に成果が上がっているところでございます。
次、ページをめくっていただきますと、7ページでございますけれども、ここに第3次5か年計画を説明してございますけれども、若干、お時間をお借りしまして、14ページをごらんいただけますでしょうか。先ほどの、計画を策定するに当たって有識者会議で2年半にわたり検討していただいた、その概要でございます。まず、第1章でございますけれども、国立大学法人の果たす役割ということで、国立大学法人施設は人材養成や学術研究の礎であるということを記載してございます。
第2章でございますが、達成率90パーセントを第2次では達成しているということと、次、15ページでございますけれども、現状と課題がございます。老朽化が少しずつ進んできているということもありまして、現在、約1,000万平米の老朽施設(保有施設の約38パーセント)ございますと。あと狭隘化でございますが、これ若手研究者のスペースが不足して、6割の若手研究者が部屋を持てないという状況でございます。また、一番下にございますように、予算が急激に減少しているというように、多くの課題が山積みであるということでございます。
次のページをごらんいただきますと、東日本大震災における被害と課題ということを示してございます。先ほどちょっと触れさせていただきましたが、非構造部材、実験研究設備、ライフラインに大きな被害が出ているということで、これがあると教育研究が止まるということもございまして、こういったことがないようにこれから整備をしていきたいと考えております。
また、第3章には在り方が書いてございます。ここは今後の国立大学法人施設が目指すべき姿、あと長期的視点に立った施設整備、国と法人の連携・協力について記載がしてございます。
17ページでございます。こちら第4章で対応方策が書かれてございます。基本的な考え方は3Sの推進ということでございまして、山が6つある絵をごらんいただきますと説明がございますけれども、施設を整備するに当たっては各法人の個性を踏まえた教育研究機能を支援する機能の質的向上をしっかり図らなければいけない。これがあって初めて科学技術を支える人材養成というものがしっかりできるというふうに考えてございまして、この部分がStrategyでございます。併せて、施設の安全性の確保(Safety)と環境対策(Sustainability)を基本的条件として整備をしていき、一体的に整備をするということにしてございます。
恐縮でございますが、7ページのほうにお戻りいただけますでしょうか。今ご説明させていただいた検討結果を踏まえて第3次5か年計画を策定したということでございまして、左にございます基本的考え方は報告書概要と同様でございます。重点整備の対象は、老朽化した施設をこれ以上増やさないということで、400万平米。この計画期間内に建物の耐震化を完了するということを目標に掲げてございます。狭隘解消整備では、若手研究者のスペース確保や世界の最先端研究に追随するために必要な整備を80万平米。大学病院の計画的再生整備のために70万平米を計画してございます。
厳しい財源状況でございますが、施設の安全性確保や教育研究に必要な機能の確保を、補正予算や多様な財源を活用して、高等教育研究の質が下がることがないよう、支援してまいりたいと思います。
また、この整備に当たりましては、一番下にございますよう、システム改革の一層の推進と、適切な事業評価を行いながら適切に進め、結果として科学技術・学術の推進に貢献していきたいと考えております。
9ページから13ページまでは、5か年本文をつけてございますので、ご一読いただければ幸いでございます。
説明は以上でございます。ありがとうございます。
【行松科学技術・学術戦略官】 続きまして、資料2-4に基づきまして、平成23年度版の「科学技術白書」の概要について簡単にご説明をさせていただきます。
まず、ページをめくっていただきまして、平成23年度版の「科学技術白書」の位置づけということですが、科学技術基本法第8条に基づいてこの7月に閣議決定をいたしまして、国会に報告しております。今年の第1部は、これが毎年度違う特集テーマでございますけれども、今回は「社会とともに創り進める科学技術」ということです。これは平成22年度の大きなトピックスとしてノーベル化学賞を2人の先生がお受けになったということ、それから「はやぶさ」の帰還といったことで、科学技術に関する世の中の関心が非常に高まったということが1つ。
さらに、先ほど来ご説明ございましたが、第4期の科学技術基本計画、今年スタートするわけですが、科学技術イノベーション政策を社会及び公共のための主要な政策というふうに位置づけたということと、国民の科学技術に関する理解と信頼と支持を得ることができるように、社会とともに創り進める政策の展開が重要だということでありまして、こういったところから、この「社会とともに創り進める科学技術」ということを掘り下げることといたしました。
3章にわたって書いておりますけれども、左側の下に書いてございますが、論を進めるに当たりまして、まず、東日本大震災についてどうとらえるかということを特集としてまとめてございます。オレンジ色で囲っている部分でございますが、「我が国は、本事態を大きな教訓として受け止め、復興の原動力となるのも科学技術であることに思いを致し、政府や研究者・技術者等が、国民とともに、今後の科学技術の果たすべき役割について議論しつつ、その役割を果たすことを通じて、科学技術に対する国民の理解・信頼・支持を得ていくことが必要」であるというふうにまとめてございます。
続きまして、右側、「第1章 科学技術と社会」というところでございます。ここは第1節から第3節を通しまして、まず、科学技術が社会から何を期待されているのかということを、世論調査等も分析をしながら説いております。さらに続きまして、それを支える科学技術の現状、イノベーションを支える国際競争の中で論文の生産の状況がどうか、人材の育成の状況はどうか、基礎研究、予算の状況はどうか、そういったことを分析してございます。さらに、科学技術の発展に伴う問題、あるいはリスクの問題が出てきているというようなことも触れてございます。
次のページをめくっていただきまして、第2章、科学技術と社会との関係をどう深めていくか。科学技術コミュニケーションというものが重要であるということで、第1節、右側にございますような、いろいろなステークホルダー――行政や研究者、それから一般の市民・国民、メディア、そういったものが同じ平面で科学技術コミュニケーションに入っていくことが重要であるということを示してございます。
続きまして、そういった関係をつくっていくための基盤として、科学技術リテラシーが極めて重要であるということでございます。その現状、欧米に比べましてもまだ十分でないというようなことも分析をしてございます。
さらに、そういった科学技術リテラシーを涵養していくということで、各地域の科学館や博物館、さらには企業や大学、そういった多様な主体が連携をして、将来の各段階に応じた対策を取っている、そのよい例を幾つかご紹介をしてございます。
そういったことを通しまして、一番下にオレンジで囲っておりますけれども、「国民と研究者との双方向コミュニケーションの一層の推進が重要である」というふうにまとめてございます。
さらに、第3章、まとめの章でございますけれども、国民・地域住民や市民が科学技術のプロジェクトに主体的に参画をしている例を幾つかここで分析をしておりまして、加えまして、そういった国民の科学技術への参画、それから政策への参画ということで、熟議、あるいは、第4期科学技術基本計画でも触れられておりますけれども、テクノロジーアセスメントをどう進めていくか。さらに、平成23年度から始めようとしております、「科学技術イノベーション政策における『政策のための科学』」というものをどう進めていくかということについて、触れてございます。
最終的に、最後には、オレンジで囲っておりますけれども「社会・国民と研究者・技術者の双方向の『対話』に基づく『相互理解』の上に、ともに政策形成プロセスに『参画』し、よりよい科学技術ガバナンスを実現させることが重要」ということで結んでございます。
以上、簡単でございますが、「科学技術白書」の概要でございました。よろしくお願いします。
【佐野政策課長】 続きまして、資料2-5と2-6についてご説明します。
資料2-5は、「独立行政法人改革の動き」ということで、昨今の行政刷新会議の動きについてまとめております。
1ページ、冒頭にありますように、9月15日に「独立行政法人改革に関する分科会」が、行政刷新会議の元に置かれることになりました。メンバー等は後ろに載っております。この分科会の役割は、全ての独立行政法人について、法人の廃止・民営化・統廃合の可否を検証するということと併せて望ましい制度の在り方を検討するということになっております。
なお、独立行政法人は政府全体で104法人ありまして、うち文部科学省が所管する独立行政法人は、別添に記載のあるように、23法人あります。特に科学技術に関係する研究開発法人は10法人あるところです。
今後の検討スケジュールですが、分科会の下に設けられたワーキンググループにおいて、各府省・各法人から事務的にヒアリングを行っているところです。既に先週からヒアリングが始まっており、本日の午後もヒアリングがある予定です。10月にそのようなヒアリングを経て、11月には分科会で制度・組織の見直し案を検討し、12月には分科会から行政刷新会議の方に報告されて、閣議決定する予定です。そして、来年1月から始まる平成24年の通常国会に関係法案を提出するスケジュールとなってます。
資料2-6は、先週のワーキングチームで説明した資料です。
1ページは「科学技術の基本理念と研究開発法人の役割」について、科学技術が我が国の生命線ということで、研究開発法人の役割は、民間や大学では困難な研究開発を実施する重要な機関である旨を説明しております。1ページの下に記載のあるように、文部科学省所管の独立行政法人の中では、10法人を研究開発法人として掲げているところです。
2ページは、「研究開発法人を巡る現状と課題」について、3つの柱で説明しております。1つ目は「イノベーションを巡る国際競争の激化」として先進国に加えて新興国も、国を挙げて科学技術による国の発展を図っているとともに、世界的にブレインサーキュレーションが進み、人材の国際的な獲得競争がますます熾烈となっていることをまとめております。
2つ目は、震災からの復興・再生の実現のために極めて科学技術が重要であり、科学技術イノベーション政策に最も期待される役割の一つであるというふうに認識しているところをまとめております。
このような状況の中で、「研究開発法人の現状と課題」として、科学技術基本計画にも書いているように、運営費交付金や人件費が年々減少して、様々な研究活動、施設整備に支障が生じていることや研究開発等の長期性にもかかわらず、中期目標期間が定められていること、評価に関すること、卓越した内外の研究者に対する処遇、国全体の研究、科学技術戦略との整合性等々、幾つか研究開発を巡る課題を整理しております。
3ページは、これまでの研究開発法人の見直しに関する経緯についてまとめております。研究開発力強化法が平成20年に制定されて、今年の10月までに最も最適な研究開発法人の在り方について検討を行い、必要な措置を講ずることとされています。
この研究開発力強化法を受けまして、2.に書いてあるように、各府省の副大臣・政務官で構成される「研究開発を担う法人の機能強化検討チーム」が発足され、昨年4月に中間報告がなされ、世界トップレベルの国際的な競争力と世界で最も機動的な弾力的な運営の実現を目指す「国立研究開発機関」(仮称)の制度の創設等について提言がなされたところです。
この提言を得るに至っては、8ページから「有識者の御意見」として、野依会長、野間口会長代理等々、我が国の有識者の方からご意見を賜り、そのご意見に基づいてこの中間報告が取りまとめられたところです。
この中間報告の概要については、6ページにまとめております。昨年4月に中間報告がなされ、「世界トップレベルの国際的な競争力」と「世界で最も機動的で弾力的な運営」の実現を目指し、先ほども言及がございましたが、「魅力的なリーダーによるトップダウンによる運営」をなすものであること。そして、それらに応じてグローバル基準のマネジメントがなされるような研究開発法人を創設すべきだという内容になっております。
4ページは、研究開発法人に関して今年1月に閣議決定された「新成長戦略実現2011」や第4期科学技術基本計画の記載部分を抜粋しております。
5ページは「新たな制度の創設に向けて」文部科学省の現在の考えをまとめております。研究開発法人につきましては、震災から復興・再生を遂げるとともに、国の科学技術イノベーション政策を一層強力に推進する観点から、国の科学技術戦略の下でグローバル基準のマネジメントにより、研究成果の最大化を図ることを主眼とした制度であるべきと考えております。
従いまして、他の独立行政法人の制度とは別体系の法体系の制度にすべきだと考えているところです。研究開発の特性から、やはり専門的な見地からの検討が必要であるということから、現在、内閣府の科学技術政策担当のリーダーシップの下、鋭意検討が進められているところです。
新たな制度の対象となる所管の研究開発法人は、以下の8法人が対象になるのではないかと考えております。先ほども申し上げましたように、現在、ワーキングチームに説明しているところですが、評価逃れをするためのものを考えているのではないか、8法人全部を1つの法人にすべきではないか等々、いろいろなご意見がでているところです。本日の午後もヒアリングが予定されているところでございますが、1つ、1つ、丁寧に回答しているところです。
以上が独立行政法人改革の動きです。
次に資料2-7は、8月15日に閣議決定された「原子力安全規制に関する組織等の改革の基本方針」です。ご存知のとおり、規制と利用の分離の観点から、1.(1)にあるように、経済産業省資源エネルギー庁の原子力安全・保安院の原子力安全規制部門を経済産業省から分離し、内閣府にある原子力安全委員会の機能も統合して、環境省にその外局として、原子力安全庁を設置するということになっております。
(2)にあるように、原子力安全規制に係る関係業務の一元化をすることで、規制機関として一層の機能向上を図るものとして、原子力安全庁においては、原子炉、核燃料物質等の使用に関する規制、あるいは核セキュリティへの対応、環境モニタリングの司令塔機能を担う組織にすることで、現在、検討が進められております。
(6)にあるように、来年4月の設置を目指して、来年1月に法案を提出することを目指して、現在、準備が進められているところです。
一番最後に、原子力安全規制に関する新組織のイメージ案を載せていますので、ご参考にしてください。
以上です。
【野依会長】 ありがとうございました。膨大な報告がございましたけれども、二、三、ご質問がございましたらお受けしたいと思います。本間委員、どうぞ。
【本間委員】 資料2-2を中心にご質問させていただきたいのですが、これに限らず、本日これまでのご報告を聞いておりますと、ますます科学技術に対する施策が最重点課題を決め、出口を明確にした課題解決型のトップダウン式研究に集中してきており、優秀な人材をそこに集めていくという印象を強く受けますが、大学におりますと、各研究者の自由な発想によるボトムアップの研究が最も若手を元気づける研究であることをひしひしと感じ、それがトップダウン研究を推進できる人材をつくる基礎になると考えます。トップダウンとボトムアップは車の両輪のようなものであって、どちらが強くてもまずいのではないかと思います。本日のこれまでのお話はほとんどトップダウン式の研究に集中しておりましたが、今後の両方のバランスについてどのような考えでいらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
【野依会長】 今、最近の動向をいろいろご報告されましたが、基礎研究、自由な発想の研究につきましては、科研費が2,600億に大幅に拡充されており、基金化がなされました。
このことは、多くの大学の研究者にとっては大変な朗報だと思っており、今、懸念を示されたことにつきましては、昨年から十分に配慮がなされていると考えております。
ほかに、事務局、何かございますか。
【佐野政策課長】 内閣が決めましたアクションプラン、科学技術重要施策アクションプランにおきましても、基礎研究及び人材育成は、最重要課題として取り上げているところでございまして、参考2の6ページに各府省とも、世界トップレベルの基礎研究の強化、独創的で多様な基礎研究の強化、科学技術を担う人材の育成、こういったものを重点的な政策課題として取り組んでいるところで、また後ほど、文部科学省の概算要求についてご説明させていただく中で、基礎研究あるいは人材育成を重要課題としているところをご説明させていただきたいと思います。
【野依会長】 室伏委員、どうぞ。
【室伏委員】 質問ではないのですが、一言申し上げたいことがございます。
資料2-4で、社会とともに創り進める科学技術ということをご説明いただきました。第2章「社会とのコミュニケーションの深化に向けて」の図を拝見して、ここに日本学術会議がないことが残念だと思いまして、学術会議の努力を認識していただきたいと思って、発言させていただきました。
学術会議では2003年から、もう8年になりますけれども、社会に向けたコミュニケーションの深化を図り、科学リテラシーの向上を目指して活動を続けてきております。その中で、「科学技術の智」プロジェクトというものを立ち上げました。これは、150名以上の研究者・技術者による、日本における科学リテラシーの向上を目指したプロジェクトで、子どもたちが18歳になったときに身につけていてほしい科学技術に関わる知識・技能・考え方を示し、様々な提言をしてきております。また、2005年からは文部科学省との協賛で、サイエンスカフェを全国展開するということも始めております。学術会議が科学を媒介にした社会とのコミュニケーションにかなり力を入れているということを、ぜひ取り上げていただきたいという思いでお話しさせていただきました。
それから、先ほど申し上げました「科学技術の智」プロジェクトの報告書も出しておりますので、こういったものを今後の政策の中にも生かしていただきたいと思います。
なお、このプロジェクトに関しては、文部科学省の皆様からもご支援をいただいておりますので、ここで申し上げておきたいと思います。
【野依会長】 この総会には日本学術会議の会長にも、ご出席いただいております。今回、大西新会長はご所用がございまして欠席ということでございます。石田委員、どうぞ。
【石田委員】 ただいまいろいろご説明いただきましたけれども、これを科学技術・学術審議会の見地から受けとめますと、これから各行政機関あるいは研究開発機関の組織改正等々が行われるわけでございます。それに関連しまして、この審議会としましては、例えば宇宙開発をどういうことで扱っていくか、あるいは原子力に関しましても。もちろん、今までは大垣委員のところの研究計画・評価分科会の元の原子力科学委員会が、原子力をどう扱っていくかとか、その他、独立行政法人あるいは研究開発法人との関係とか、審議会自身の運営につきましても若干、新しい工夫をしていく必要があるというふうに思うわけでございます。これも野依先生の基本計画委員会でございますか、あるわけでありますから、なるべく委員会等でご議論いただいて、弾力的な運営をこれからしていただけるように、ぜひお願いしたいと思います。
以上です。
【野依会長】 ありがとうございます。野間口会長代理、よろしくお願いします。
【野間口会長代理】 簡単にやります。資料6についてでありますが、私の資料のところはえらくあっさりとまとめていただいた。経済産業省のトップオーダーからちょっと手を抜いたのではないかと思います。
私は、研究開発機関こそ非常に重要な役割だと。一口で産学官連携といいますけれども、官の研究所をこれだけたくさん持って、重要性を持って活用しているというのは。日本だけだと思います。ほかの国はメディアの皆さんもそうですが、大学と公的研究機関と一緒になって産学の連携という様な言い方をしますが、日本の場合は官の研究所の役割というのを気がついていると。これはこれまでの好奇心重視の研究のやり方、あるいは産業界の経済活動に生かすための研究のやり方、これに加え、新しくできた技術が社会の中に安心して安全に、しかも世界に向かって素早く評価される、日本の中では、そういう役割を公的研究機関はこれまで担ってきたんです。これがキャッチアップに成功し、先導的な立場になった。私は、大きな理由だと思うのですが、そういう役割を担っているということをぜひ主張していただいて、いい研究開発機関ができるように、国の研究開発ができるように頑張っていただきたいと思います。ほかの省庁よりも文部科学省の役割は非常に重要ではないかと思いますので、いい制度ができるように頑張っていただきたい。
【野依会長】 柘植委員のご意見で、最後にさせていただきます。
【柘植委員】 今の野間口会長代理のおっしゃったことそのものなのですが、大変重要なことなので、別な言い方をさせていただきます。
今、資料2-6の5ページを見ております。今、野間口会長代理もおっしゃったように、やっぱり大学と今の研究型の開発法人と、それから産業とが3つになって日本の知の創造から社会価値というイノベーションの牽引エンジンを構成している。その辺が、5ページのところでは見えないのですね。日本は今までそれがやってきたと思います。
特に問題は、5ページのところに文部科学省は以下の8法人と、こう書いてありますけれども、これは日本のイノベーション牽引エンジンの一部分です。大学と、それからほかの省が持っている研究型の法人と、それから産業界が一体となってイノベーション牽引エンジン構造を構成している。ぜひ日本のイノベーションの牽引エンジンの今までの強いところを見える化し、そして当然、弱点もあるかもしれません、強化すべきところもあるかもしれません。そういう、いわゆる、制度を変える立法根拠というのでしょうか、「何が強みで何が弱みd、だからこの弱みを強化・改革する」という論理がほとんどないままに、行政刷新会議の価値関数の場に立たされていくんじゃないかと、非常に危機感を感じております。ぜひともその源流である文部科学省としては、その点について全体像で勝負して、頑張っていただきたいと思います。
【野依会長】 ありがとうございました。守りではなくて、強みを生かすようにしなければならないと思っております。
次に参ります。議題3は、平成24年度概算要求等についてです。
事務局、説明よろしくお願いします。
【佐野政策課長】 資料3-1は、概算要求の組替え基準です。
平成24年度の概算要求に当たっての基本的考え方は、2ページ目に我が国最優先課題である東日本大震災からの復旧・復興及び原子力災害の速やかな収束並びに震災と世界的な金融経済危機に直面している我が国経済社会の再生に全力を尽くすということです。
2ページの(1)にあるように、3次補正と一体的に編成をしていくもので、3ページの(2)に、「日本再生重点化措置」という取り組みを行うこととなっております。これは、全体の規模で、7,000億円をすることにしております。その重点化措置の対象となる分野が、3ページロ)のところです。
新たなフロンティア及び新成長戦略(科学技術・エネルギー・海洋・宇宙等、インフラ整備を含めた成長基盤の強化)、教育・雇用などの人材育成、地域活性化、安全・安心社会の実現となっております。この組み替え基準に沿うように、文部科学省においても概算要求を行ったところです。
資料3-2は、「平成24年度文部科学省概算要求・要望のポイント」です。文部科学省全体としては1,609億円増の5兆7,037億円、2.9パーセントの概算要求を行っております。この額には、「日本再生重点化措置」の4,860億円を含んでおります。、下段の括弧書きはさらに「復旧・復興対策にかかる経費」も含んだ額を記載しております。これが文部科学省全体の概算要求・要望となります。
7ページに科学技術予算のポイントということで、平成24年度の要求・要望額が1兆1,298億円の615億円増、対前年度5.8パーセントということになっております。日本再生重点化措置は1,596億円です。復興・復旧にかかるお金は括弧書きのところに含まれておりますが、復旧・復興対策経費は2,331億円ということになってごおります。
文部科学省としては、まず第一に東日本大震災を踏まえた原子力災害からの復興のための環境モニタリング等の強化を図るとともに、被災地域の再生や地震・津波等の自然災害対応のための研究開発の充実を図ることとしております。
宇宙、海洋といった人類のフロンティアへ果敢に挑戦する取り組みも、野田総理の施政方針演説にもあったとおりです。
今年度が第4期科学技術基本計画の初年度であることも踏まえまして、グリーン・ライフ二大イノベーション、そして基礎研究の振興、人材育成、システム改革研究基盤の充実という、このような柱を重点的に行うための概算要求しているところです。
まず、7ページの原子力災害からの復興については、環境モニタリングの強化として、陸域・海域モニタリング、航空機によるモニタリング、詳細な土壌の調査等による「放射線量等分布マップ」の継続的な作成等を挙げております。
2つ目の○にありますように、児童生徒等のための被ばく防護の推進として、15億円計上しているところです。
原子力災害からの復興に向けた研究開発、さらに人材育成の強化として、除染技術の確立に向けた取組や廃炉までの事故収束に必要な研究開発を進めることにしております。
原子力損害賠償の円滑化ということでも予算を計上しているところです。
8ページの人類フロンティアの開拓については、宇宙科学・技術力の強化ということで707億円、 宇宙利用ということで、特に日本の強みである小型衛星・小型ロケットの開発等に485億円を計上しているほか、海洋の資源開拓の基盤開発として68億円計上しているところです。
さらに海底の地震・津波観測網の整備として13億円計上しているところです。
グリーン及びライフイノベーションの推進については、東北復興次世代エネルギー研究開発プロジェクトとして、706億円計上しております。この項目の括弧書きで(東日本大震災復興科学技術基金(仮称)の一部)と書いております。この基金全体は1,499億円ですが、後ほど説明させていただきます。
ITERについても、本格的な製作段階に移りますので、予算を大幅に計上、概算要求しているところです。
レアアース等の貴重元素代替材料を開発するための経費として、30億円を新規で計上しております。
再生医療の実現化プロジェクトとして、iPS細胞を活用した研究開発等々。
さらに、東北メディカル・バンク計画ということで493億円を計上しております。これはゲノムコホート研究等を被災地域を中心に実施することとしておりまして、東日本震災復興科学技術基金の一部として実施するよう、概算要求しているところです。
経済成長を支える科学技術基盤については、科学研究費補助成事業、科研費ですが、23年度予算では、2,633億円、24年度の概算要求は2,568億円となっておりますが今年度から基金化をしておりますので、右上に書いてございますように、24年度の科研費の配分額は2,342億円ということで、今年度より来年度は138億円増の形で概算要求をしているところです。24年度は、昨年度の「若手研究(B)(挑戦的萌芽研究)」及び基礎研究(C)に加えまして、24年度は若手研究(A)の基金化も実施するよう、概算要求しているところです。
次が産学連携、地域イノベーションの推進として、313億円計上しているところです。基礎研究と実用化段階の間にある「死の谷」を克服するという「明日に架ける橋」プロジェクトとして産学連携を図る、さらには地域の持てるポテンシャルを活用した地域イノベーション戦略の推進を図ることで313億円計上しているところでございます。
京速スパコン、SPring8等、研究施設の整備として590億円が計上されているところです。
資料の整理上、グローバルに活躍する若手研究人材の育成については、5ページの下から2つ目に書いてあるところです。頭脳循環を加速する若手研究者の海外派遣事業や海外特別研究員事業として若手研究者を2年のあいだ研究に専念してもらう事業やテニュアトラック普及・定着事業さらにはポストドクターのキャリアを開発する事業、スーパーサイエンスハイスクール支援事業については145校から160校に増加するという概算要求をしております。
資料3-3は「日本再生重点化措置」の資料です。文部科学省全体としては4,860億円の要求を行っております。、そのうち科学技術関係は1,596億円になっておりまして、具体的には7ページ以降のポンチ絵にまとめております。ライフイノベーションのプロジェクト、科学技術基盤、グリーンイノベーション等々があります。詳細な説明は割愛させていただきます。
続きまして、資料3-4は「復旧・復興対策に係る経費」です。5ページ目東日本大震災からの復旧・復興ということで、2,333億円。そのうち 人件費を除くと2,331億円となります。事業内容としては、原発対応関係、被災地域の復興、さらには災害への対応の強化ということで、災害対応宇宙システム構築等々が、東日本大震災からの復旧・復興として計上しております。
先ほどから説明にたびたび出てきました東日本大震災復興科学技術基金につきましては、6ページに詳しく説明しております。「知の拠点形成プロジェクト」として約10年間で1,499億円という概算要求をしているところです。事業内容としては東北メディカル・メガバンク計画、東北復興次世代エネルギー研究開発プロジェクト、東北の強み(ナノテク・材料・光・情報)を活かした拠点形成として、いずれも関係省庁と連携しながら、東日本大震災復興科学技術基金を設け復興に役立てていき、被災地の復興を強力に推進するというものです。
そのほか、資料3-5は、概算要求の主要事項となっております科学技術に関しては24ページ以降に説明があります。
資料3-6は研究三局の概算要求についてかなり詳細な説明資料です。参考にしていただけたらと思います。
資料3-7は、これまでの1次補正、2次補正、そして3次補正の予定についての資料でございます。説明は割愛させていただきます。
以上です。
【三浦高等教育企画課課長補佐】 続きまして、高等教育局でございます。資料3-8で高等教育局の「概算要求主要事項」という資料をご用意させていただきました。時間の関係もございますので簡潔にご説明させていただきます。
まず、1ページ目。学生が安心して学べる環境の実現ということで、奨学金と授業料減免が書いてございます。そのうち奨学金につきましては、平成24年度、初めて給付型の奨学金を概算要求しておるところでございます。ちょっと小さな字ですが、対象人員のところの3行目、(うち給付2万1千人[新規])と括弧書きがございますけれども、これが給付型の奨学金ということで、要求額にいたしますと147億円を計上してございます。学部で月に5万円、大学院で8万円という積算でございます。
次のページに参ります。基盤的な経費ということで、国立大学法人の運営費交付金でございます。対前年度199億円の増、1.7パーセントの増でございます。このうち、日本再生重点化枠を488億円含んだ形での要求でございます。
次のページでございます。今度は私立大学でございます。私立大学、私学助成は大きく3つに分かれておりまして、まず1つ目の◆でございますけれども、大学の経常費の補助ということで、対前年度91億円増の3,300億円。率にいたしますと2.8パーセントの増ということになってございます。この中には、重点化要望といたしまして155億円を含んでございます。
それから、1つ飛ばしまして3つ目、一番下の施設・設備でございますけれども、107億円、対前年度△50億円ということになっておりますが、その下に小さく四角で囲ってございます、復旧・復興対策経費(150億円)。これはいわゆる耐震化対応でございますけれども、これを含めますと対前年度100億円の増になります。
次のページに参ります。国公私立大学を通じた支援ということで、幾つか新規の事項を中心にご説明させていただきます。まず1つ目は、世界的なリーディング大学院等の構築ということで、博士課程リーディングプログラム。本年度から始めた事業でございますけれども、来年度以降もまた新規公募するための経費、約30件ほど予定しておりますけれども、新規分を含めまして147億円の要求でございます。
その下、アカデミック・パイオニア養成支援事業【新規】とございます。これは、世界的な水準にあります教育研究拠点のドクターコースの学生さんを支援していきましょうというための経費でございます。RA等の経費を計上してございます。
それから、2つ目の◆でございます。大学教育の充実と質の向上ということで、「大学教育改革新展開推進事業【新規】」というのがございます。これが101億円でございますけれども、これは学部段階の全学的な教育改革、機能別分化の推進に資するための経費といたしまして、約60件ほどを選定したいというふうに考えております。
5ページでございます。グローバル人材の育成のための経費ということで、先ほどの資料でもその一部抜粋したところがございましたけれども、若い世代の内向き志向ということに対応するための経費を、今年度はかなり重点を置いて要求していくということでございます。
グローバル人材育成推進事業60件[新規]121億円とございます。これまで、その下のネットワーク形成推進事業というのは、いわゆるG30というもので、外国人留学生が外国語で学位を取れるということを中心にしてきた事業でございますけれども、それに対しまして、日本人学生が外に行きやすい環境、あるいは外で勉強してきた成果をきちんと大学あるいは社会でも評価をしてもらうための基盤づくりをしていこうというための経費として、121億円要求してございます。
また、その下の学生の双方向交流の推進というなかで、一番下のところに日本人学生の海外留学の推進というところがございますけれども、1年以上の長期派遣では100人から200人と倍増、3カ月から1年の短期派遣ということも760人から3,000人と、約4倍増ということで、特に日本人学生に海外に出ていって活躍していただくということに重点を置いて概算要求をしているところでございます。
高等教育関係、6ページ以降、それぞれもう少し細かい説明の資料がついてございますので、お時間があるときにでもごらんいただければ幸いでございます。
以上でございます。
【野依会長】 ありがとうございます。山下計画課長、時間も過ぎておりますので手短にお願いいたします。
【山下計画課長】 はい。国立大学法人等施設の整備の予算要求について、簡単にご説明させていただきます。資料3-9でございます。
要求要望額は1,242億円でございまして、これは借入金を除いておりますが、うち要求額が262億円でございます。
3つ課題がございます。まず、耐震化の問題につきましては、東日本大震災からの復旧・復興対策に係る経費、要望額692億円で要求をさせていただいております。うち46億は復旧経費でございますので、646億円で耐震化率を91パーセントまで向上させようと考えております。
老朽化、狭隘化の問題に対しましては、一番下にございますように、「日本復活に向けた知のインフラ再生整備」ということで、日本再生重点化措置で288億円を要求してございます。これで卓越した研究拠点と老朽施設の改善を行い、人材育成に不可欠な知のインフラをつくっていきたいと思っております。病院については財政融資資金、あと1割の国費補助で着実に整備していきたいと考えております。
裏面をごらんいただきますと、昨年度予算との比較がございます。財政融資資金は、これ病院の整備に係る借入金でございますが、5億円減でございます。この418億円と、先ほどお示しした1,242億円、これは四捨五入の関係ですが、足しますと、1,659億円になります。
あと施設整備補助金は、要求枠が下がっておりますが、合わせまして550億ということで、113億円増額を目指しております。
あと、一番下に692億円の復旧・復興対策のお金がございまして、合わせて1,659億円ということでございます。
説明は以上でございます。
【野依会長】 予算のことですので、たくさんご質問があろうかと思いますが、時間が過ぎております。一つだけ質問をお受けいたします。
特にないようですので、最後に、中川大臣がいらっしゃいましたので、ごあいさつを賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
【中川大臣】 文部科学大臣に就任をいたしました中川正春でございます。
副大臣当初から皆様方にはしっかりお世話をおかけしておりまして、文部科学省に復帰したような人事でありますので、引き続き頑張っていきます。よろしくお願いを申し上げたいと思います。
先ほど概算要求の説明を聞いていただきましたが、この中には運営によってもっと生きてくる資金、あるいはもっと改善をして効率的に使っていきたい資金、そのようなものが沢山ありますので、具体的にご指摘もいただいて、より資金が有効に活用できるよう、議論をぜひお願い申し上げたいと思います。
私はあとは財務省と闘うということでありまして、メリハリをはっきりさせて戦略的に一つ頑張っていきたいと思っております。
今日は、中央防災会議がございました。会議の中で、今回の震災、津波に対して、ご意見が出てきたのは、地震予知がさっぱり、出来てないのではないか。予知されているところで地震が起こるのではなくて、全然違うところで起こっているじゃないかというような、本当に素朴な疑問が提起をされました。
それだけ科学技術の知見というのが、我々の政策の中で一つの基準になっており、原子力についても言える事ですが、その基準に基づいて全ての制度が出来あがり国全体として物事が動いているということでありまして、そこの部分について科学的な知見が出てきたものをどこまで私たちは真剣に、その前提で物事をつくるか。これがまず第1の課題であります。
もう1つは、基本的に、学者の皆さんが国を動かしているんだということを前提にして議論をしていただいて、一つのスタンダードをつくっていただくんだという、そこの出発点ですね。原子力もコンセンサスをつくっていくのは本当に難しいの ですが、専門家の学者の皆さん、そういうようなところを少し原点に返って、私たちもこの震災ということを前提にして、どうそれを組み立てていくかというのを考えていかなくてはいけないのかなということ、今つくづく考えております。
そのような問題点と同時に、もう1つはノーベル賞です。今年はそれぞれ日本の候補者に期待をしていたところですが、賞を逸してしまいました。野依先生がいつもおっしゃっておられるように、基礎科学に対する投資というのは断然大事なんだということが原点にあるとは思うのですが、もう一方で、人類の歴史を変えていくような、基礎科学から引っ張り上げて、イノベーションの中で実際の我々の生活に役立っていく、さらには一大変化させていくような技術革新というものに対する評価というのもノーベル賞の状況を見ていると必要なんだと思いまして、その両面をしっかり政策の中でつかんでいく。基礎科学とそれらを応用してそれを人類の役に立っていく形にしていく戦略のようなものをつくり上げていく、このことだと思っております。
このような思いをここ何カ月かの間ですが、このポストに戻ってきまして新たにしました。そんな思いを込めて、先生方のこれからのご提言、新たなビジョンづくりに期待をしておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
以上、ご挨拶にさせていただきました。よろしくお願いします。ありがとうございました。
【野依会長】 ありがとうございました。
中川大臣は、副大臣から大臣になられ、科学技術や学術に大変造詣が深く、さらに社会の中の社会のための科学技術も大変重要視される方でございます。また、財政にも大変お詳しい方でございますので、今後とも強いリーダーシップを発揮していただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。
それでは、今後の日程について事務局からお願いします。
【塩田企画官】 次回の総会につきましては、会長とご相談させていただいた上、日程調整を行いまして、改めて委員の先生方にご連絡したいと思います。
また、本日の議事録につきましては、事務局で作成次第、委員の皆様方にお目通しいただきまして、会長確認の上、文部科学省のホームページに掲載させていただきます。なお、会議資料につきましては机上に残していただければ、事務局から後ほど郵送させていただきます。
以上でございます。
【野依会長】 それでは、今日はこれで閉会させていただきます。長時間、ありがとうございました。
以上
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