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科学技術・学術審議会(第30回) 議事録

1.日時

平成21年6月23日(火曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省第2講堂

3.出席者

委員

野依会長、野間口会長代理、有川委員、石田委員、大垣委員、唐木委員、國井委員、小池委員、小林委員、笹月委員、佐藤委員、白井委員、鈴木委員、田代委員、柘植委員、中西委員、西山委員、長谷川委員、原山委員、深尾委員、深見委員、藤井委員、三宅委員、室伏委員

文部科学省

塩谷文部科学大臣、山内文部科学副大臣、銭谷事務次官、坂田文部科学審議官、森口官房長、泉科学技術・学術政策局長、磯田研究振興局長、藤木研究開発局長、德永高等教育局長、和田科学技術政策研究所長、布村文教施設企画部長、合田総括審議官、土屋政策評価審議官、中原科学技術・学術政策局次長、岩瀬科学技術・学術総括官、倉持審議官(研究振興局担当)、川上総務課長、藤原会計課長、森本大臣官房政策課長、奈良振興企画課長、坪井開発企画課長、戸渡科学技術・学術政策局政策課長、坪田科学技術・学術政策局企画官、小川計画課長、川端基盤政策課長、柿田計画官、森田国際交流官、舟橋情報課長、勝野学術機関課長、山口学術研究助成課長 菱山ライフサイエンス課長、永山国立大学法人支援課長、他関係官

オブザーバー

金澤日本学術会議会長

4.議事録

【野依会長】それでは、時間でございますので、ただいまから科学技術・学術審議会の第30回の総会を開催させていただきます。

    ご多忙のところ、ご出席いただき、まことにありがとうございます。

    なお、この総会の開会に当たりまして、一つ残念なお知らせがございます。平成19年2月から本年1月まで本審議会の委員を務められ、また、2月からは専門委員として脳科学委員会の調査、審議に参画されておられました上野ひろ美先生が6月19日に逝去されたとの知らせを受けました。今後のご活躍が期待された大変若い人材を失ったことを大変残念に思います。哀悼の意を表したいと思います。

    本日は塩谷文部科学大臣、山内副大臣にご出席いただいております。それから、日本学術会議の金澤一郎会長にもご出席いただくことになっております。

    本日は初めに脳科学研究の基本的構想及び推進方策についてご審議いただきまして、その後、各分科会の審議状況についてご報告や最近の科学技術・学術の動向についてご審議賜りたいと思っております。

    それでは初めに、塩谷文部科学大臣からごあいさつを賜りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【塩谷文部科学大臣】皆さん、おはようございます。本日はお忙しい中、第30回の科学技術・学術審議会の総会にご出席賜りましてまことにありがとうございます。

    野依会長はじめ、委員の先生方には、日ごろから大変なご指導、ご協力を賜りまして、改めて感謝を申し上げる次第でございます。

    ご案内のとおり、100年に一度の経済危機ということで、麻生政権としてもこの回復に向けて努力をしているところでございますが、こういった厳しい状態が新たな、また大きな大転換をもたらして、また、そうしなければならないというように感じておりまして、特に低炭素社会への転換はまさに我々人類が今までもいろいろなことで指摘されておりましたが、なかなか現実にはそちらの方向へ動かなかったのが、我々大変残念に思っておりますが、こういうときこそしっかりと転換を図って、我が日本の科学技術・学術の成果をしっかりと出して、世界に貢献していくことが必要だと思っております。そういう意味では、ピンチをチャンスにかえて、改めて我が国の科学技術の発展を期していかなければならんというふうに思っているところでございます。

    先般、我が国の温室効果ガスの目標値、2020年までに15%削減ということが発表されましたが、これについてもやはり科学技術力が求められてくるわけでして、科学技術・学術に携わる多くの皆さん方の英知を結集して、しっかりとこの先進に向けて努力していかなければならないと考えておるわけでございます。

    私も就任以来、この審議会等、あるいは基礎科学力強化委員会等のご意見を賜りながら、何としても新しい時代に向けて、特に最初に申し上げましたように、こういった厳しいときこそ科学技術をしっかりと力を入れていかなければならない。将来の発展に向けて、この点を強化していかなければならんと思っておりまして、そういう点で、今努力をしているところでございますが、特に今年度の補正予算においては、新たに世界先端研究開発支援プログラム等、新しい仕組みのもとに、またこの研究開発は始まるわけでございまして、そういったもろもろのこの時代の変化に対応し、また、それを先取りし、そして、世界のトップであるこの日本の科学技術・学術に対する皆さん方の改めてのご協力を賜りたく、お願いを申し上げる次第でございます。

    現在、21年度予算あるいは補正予算の実効に向けて努力し、また、経済的にもその回復に向けて努力しているところでございまして、また改めて皆さん方のご指導、ご協力を賜りますよう心からお願いを申し上げまして、冒頭のごあいさつとさせていただきます。

    本日はほんとうにありがとうございました。

【野依会長】どうもありがとうございました。

    それでは続きまして、山内文部科学副大臣からごあいさついただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【山内文部科学副大臣】皆さん、おはようございます。文部科学副大臣の山内俊夫でございます。第30回科学技術・学術審議会総会に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げたいと思います。

    先般、平成21年度の補正予算が通過いたしました。この中で交付される補助金によりまして、先ほど大臣からもお話がありましたように、独立行政法人日本学術振興会に世界をリードする先端研究の推進のために2,700億円の基金を創設いたしました。若手研究者の海外派遣のためにも300億円という基金を創設いたします。これらの基金による事業の実施によりまして、科学技術分野において、我が国の中長期的な成長力の強化が期待されるところでございます。また、「世界の大転換期を乗り越える日本発の革新的科学技術を目指して」と題しました平成21年度の『科学技術白書』、皆さんのお手元にも今日配られていると思いますが、国民の皆様に我が国に求められる科学技術について理解を深めていただきまして、そのように科学技術に対する考え方を推進していこう、このように考えております。

    最後になりましたが、本審議会に基本計画特別委員会が設置され、第4期科学技術基本計画に向けた調査審議が開始されたと承知をいたしております。委員の皆様には、世界の大転換期における我が国の科学技術・学術の振興方策についてご意見を賜りますようお願い申し上げまして、ごあいさつにさせていただきます。

    本日はありがとうございました。

【野依会長】どうもありがとうございました。

    それでは、議事に入る前に、配付資料の確認をお願いします。

【坪田企画官】資料につきましては、議事次第のとおり入っていると思います。

    なお、『科学技術白書』を机上に配付しておりますが、これには資料番号を付しておりませんので、ご留意願います。欠落等の不備がございましたら、事務局までお知らせ願います。

    あと、今回から審議の参考としていただくために机上資料集を置いております。これには、第28回及び第29回総会で配付した資料など、科学技術に関するデータをつづっておりますので、ご活用いただければと思います。

【野依会長】どうもありがとうございました。

    それでは、議事に入りたいと思います。議題1は長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策についてであります。

    平成19年10月に渡海文部科学大臣から諮問を受け、研究計画・評価分科会及び学術分科会のもとに脳科学委員会を設けて審議が重ねられ、本年1月の総会において中間取りまとめを行ったところです。本日はその後の調査、審議の結果を答申案としてご審議いただくことになりましたので、よろしくお願いしたいと思います。

    それではまず、金澤脳科学委員会主査からご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【金澤脳科学委員会主査】はい、わかりました。それでは、ご説明申し上げます。

    これまでの経過については、ただいま野依先生からご説明ございましたけれども、この件につきましては平成19年の10月に文部科学大臣からの諮問を受けたものでございます。この資料1を見ていただきながらお話したいと思いますが、その67ページに、大臣からいただきました諮問の内容が書いてございます。そこにもございますように、少子高齢化を既に迎えております我が国の持続的発展に向けて、我が国における脳科学研究を戦略的に推進するために、長期的展望に立った考え方を示すようにという諮問がなされたものでございます。

    この答申案の策定に向けて、平成19年11月に研究計画・評価分科会と学術分科会の学術研究推進部会の合同で脳科学委員会が設置されたのでございます。メンバーは77ページに載っております。

    かなりの期間をかけて審議を続けてまいりましたが、昨年の8月の下旬から9月上旬にかけてこの審議会で経過報告もしました後に、さらに議論を重ねまして、本年の1月27日から2月26日までパブリックコメントを募集しましたところ、40名、90件のご意見をちょうだいいたしました。このパブリックコメントでは、第1次答申案の副題でございます「総合的人間科学の構築」という部分をより明確に表現すべきじゃないかとか、あるいは諸外国の研究動向について、特にアジアについて記載すべきではないかとか、さらには、精神疾患の研究についてもっと書くべきじゃないかとか、さまざまな大変建設的なご意見をちょうだいいたしました。全てではありませんが、それらを取り入れて加筆・訂正を行ったので、私どもとしては大変よい報告書になったのではないかと思っております。

    なお、個別研究分野について、詳細に記述せよというご意見もありましたが、さすがに個々の研究内容を紹介することが目的ではないということをご理解いただいたと思っております。全体のバランスをとって、今回のような案を取りまとめたものでございます。

    なお、これまでの経過については、82ページ以降、85ページぐらいまでに参考資料をつけてございます。

    それでは、第1次答申案の内容を各章ごとに簡潔にご説明いたします。まず、目次ですが、いただきました  諮問内容の1から5に即してつくってございます。従って、第1章では現状と問題点、第2章では基本的構想、第3章では推進体制、第4章で人材育成のあり方、そして第5章では、これはユニークだと思いますが、社会との調和ということを記しております。

    さて、第1章ですが、2ページから19ページをごらんいただければと思います。国内外における脳科学研究の現状と問題点についてということであります。まずは2ページから4ページあたりで、現代社会における脳科学研究の意義と重要性といたしまして、人間を理解するための科学的基盤を与えるという科学的意義と、それからもう1つは、医療・福祉、あるいは教育や産業まで幅広い貢献が期待されるという、いわゆる社会的意義の2つを記載しております。また、パブリックコメントを踏まえまして、科学的意義の中に身体を統合的に制御する機能を有する、脳というものはそういうものだということも追加してございます。

    続いて、4ページから16ページについてですが、ここは脳科学研究の主な成果を分野ごとに一応記載しております。国内外における脳科学研究の政策の現状については、先ほども申しましたように、パブコメも踏まえまして、8ページから9ページあたりで精神疾患の重要性といいましょうか、問題意識を記載しております。また、13ページでは、アジア諸国の動向についても言及しております。この章の最後、16ページから18ページあたりで、脳科学研究の推進に向けた課題といたしまして、基礎的知見の集積基盤となる研究の長期的な安定支援策の不足、あるいは、脳科学の研究成果を社会に結びつけるための推進方策の不足など、6つの点を提示しております。さらに、19ページのこのポンチ絵でありますけれども、本答申案全体を俯瞰いたしましたロードマップを書いております。これは前回ごらんに入れたとおりでございます。

    第2章に移りますが、我が国における脳科学研究の基本的構想でございます。20ページから40ページです。審議経過報告や中間取りまとめをご報告いたしました際には、近隣の学問との連携や融合についてもっと考えろというご指摘がございましたが、そうした観点を踏まえまして、20ページの第1節で、脳科学研究が目指すべき方向性として、第1には、副題にもございますように、人間の総合的理解を目指す総合的人間科学の構築という点を強く打ち出しております。また、第2には、先ほども申しましたように、社会への貢献というのを挙げまして、この2つの大きな理念を提示しております。なおこれは、本答申案のサブタイトルにもなっているわけであります。

    続いて、21ページから39ページにかかる第2節では、研究推進の具体的な考え方を基礎研究、それから基盤技術開発、社会への貢献と3つに整理して、具体的に推進すべきと考えられる研究内容について記しております。さらに40ページの、例のポンチ絵においては、脳科学の学問としての主な特徴、これは研究が非常に広がりを持っていることと、新しい技術に支えられているということですが、この観点から目標を整理いたしまして、総合的人間科学の構築に向けた協働の観点から関連諸領域を整理したタイムテーブルを示しております。これは前回とあまり大きくは変わっていないと思います。

    第3章ですが、41ページから52ページまでで、脳科学研究の効果的な推進体制についてであります。この章では、第2章で提言いたしました研究の展開を支える推進体制全般に記載しています。41ページの第1節においては、研究段階の特徴を踏まえて、科研費などの研究者の自由な発想に基づく学術研究、それから2つ目は、JSTのCRESTのような政策に基づいた将来の応用を期待し目指す基礎的な研究、3番目には、脳科学研究戦略推進プログラムなどのような政策課題対応型の研究開発のそれぞれの役割を記しております。また、44ページから48ページにかけての第2節におきましては、研究推進の基盤としての大学、それから第3節では、その他の大学共同利用機関、あるいは独法、さらには他省庁や民間等の役割を、研究機関の特徴あるいは特色を踏まえつつ、それぞれ記載しています。続く48ページから50ページにかけての第6節については、グローバル化への対応、人材の流動化促進、社会還元を目指す取り組みなどに言及して、最後の51、52ページでは、全体を見渡す脳科学委員会の役割を明記しております。

    この答申をいたしました後の脳科学委員会においての脳科学研究に関する施策の評価や、あるいはフォローアップなどの必要性について記載をしたつもりでございます。

    第4章に移ります。53ページから60ページですが、この章においては、人材育成の目標と理念として、非常に広範な学問分野を系統的に教育する体制の維持や構築の必要性、あるいは多様なキャリアパスの体制整備の必要性について提言しております。

    最後の第5章であります。先ほども申しましたように、脳科学研究と社会との調和についてという部分であります。特徴あるところだと思いますが、61ページから後のほうでございます。最初には、第1節で研究の進展に伴いまして、どうしても引き起こされる可能性がある、倫理的、法的、社会的な課題に対しまして、継続的かつ注意深い検討が必要であるということを提言しています。第2節においては、脳科学研究の社会応用の前提としまして、被験者(研究に協力してくださる方という意味でありますが)の保護と倫理審査の重要性が増しているということを述べた上で、慎重な倫理的な検討を要する課題に対応していく仕組みが非常に大事である、単に国が作ればそれで良いのではなくて、学会や、あるいはこうした政府レベルでの議論の積み重ねが大事だということを述べています。そして最後に、脳科学研究の社会への調和に向けまして、研究者と報道メディアの方、あるいは産業界、行政、消費者等が継続的にコミュニケーションを図って、お互いに理解を深めていくことが重要だということを記して、この答申を締めくくっているところでございます。

    以上でございます。

【野依会長】どうもありがとうございました。

    それでは、ただいまご説明いただいた答申案の審議を行いたいと思います。質問からでも結構ですので、よろしくお願いいたします。では、石田委員、どうぞ。

【石田委員】一言だけ申し上げます。諮問のときから議論がございました63ページ、脳科学と社会とのコミュニケーションでありますけれども、これは非常に大事な点ということで、金澤先生もそういうことでご審議重ねていただいたと思います。

    これも全体、64ページのあたりのこういう書き方は非常によろしいと思います。私はたまたま本屋へ行っておりましたら、男性脳、女性脳とあまり言わないと言っておるにもかかわらず『女脳』という本が、茂木健一郎先生と日本将棋連盟の矢内理絵子さんの共著で出ておりまして、どんなことが書いてあるんだろうと思って見たのですけれども、これはさすがにえせ科学の領域には踏み込んでいませんで、確かにキャッチコピーとしてはおもしろいんですけれども、よく書かれておるわけでありますけれども、こういう本がたくさん出て、しかも新聞に大きく広告が載っておるというようなことは、やはり、非常にこの分野は社会的にそういうことを取り上げられやすい分野であるということをいみじくも示しておるというふうに思えるわけでございます。

    ぜひ、第1次答申がまとまっておるわけでありますけれども、これからも社会との適切なコミュニケーション、特にここにも書いてありますように、なるべく社会と同じ目線で語り合う機会が非常に大事なことだと思いますので、この方向でご議論いただきたいと感じた次第でございます。

【野依会長】どうもありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。では、原山委員、どうぞ。

【原山委員】3と4の脳科学の効果的な推進体制と人材育成のあり方なんですが、拝見いたしますと、これは脳科学に特化した話ではなくて、日本の科学技術一般的な課題と、対象が脳科学であるゆえにここがというのが、ちょっと混ざっているような気がします。ですので、ここまでやられたんですから、全体的な話、また特に脳科学においてはこれが大事だというのを強調なさるとよりアピーリングになるのではないかなと思いました。コメントでございます。

【野依会長】どうもありがとうございました。では、笹月委員、どうぞ。

【笹月委員】53ページの人材育成のあり方のところですが、その中で特に脳科学大学院教育という項目があります。これは脳科学に限らず、日本における大学院教育の問題は、指摘されてほんとうに長い時間がたっておりますけれども、ちっとも改善されていないというのが現状です。

    その点の解決をどう目指すのかということと、今度は脳科学特有の、これまで出てきましたように、広い分野で総合的に問題を解決していかなければいけない脳科学では、それに特有の何か、大学院教育として工夫がなされたのか、あるいは、目指す方向があるのか、その点ここだけではちょっとよくわかりませんので、ご説明いただければと。

【野依会長】金澤会長、よろしく。

【金澤脳科学委員会主査】今、よろしいですか。

【野依会長】どうぞ。

【金澤脳科学委員会主査】大変大事なご指摘をいただきました。原山委員のご指摘と共通する部分があるんですが、かつて脳というのは、社会学におきましてもさまざまな分野で取り扱われるべきものだというところから、脳の学部があってもいいのではないかという議論さえあったところなんです。つまり、大学院教育というのを、今の現状ですぐにとなりますと、これは相当限られたものにならざるを得ないので、よほど皆さん方、つまり多くの大学の中で脳に関する興味をお持ちの方々が勉強できるシステムをそれぞれのところでおつくりいただくようなことをまず考えていただいて。その上で、特有なものを考えたらいかがかというふうな順番を考えております。今から脳だけをと言ってこうやるということは、むしろかえって多くの方々の興味を阻害してしまう危険性があるのではないかと思っておりまして、むしろ多くの教育の場で、それぞれの場所でおやりになれる最大の力を発揮していただくというフェーズがあって、次のステップに行きたいと思っております。

【野依会長】ありがとうございます。高等教育の問題が出てきたので、私も少し話をさせていただきたいと思います。私も大学院はやはり旧態依然である体制を壊して新しい体制にしなければ、新しい学問の流れについていけないのではないかと思っております。

    実は、ニューヨークタイムズの4月27日にコロンビア大学のマーク・テイラー教授が論説を書いています。彼によると、アメリカでも、古いディシプリンに基づいた学部は壊してしまわなければいけないのではないか、そして、もっと重要問題に焦点をあわせたプログラムをつくっていく必要があるのではないかと言っています。

    ちょうどその重要問題に対応しているのが、mindであるとか、body、information、network、space、time、media、lifeやwater、こういったものは今までの既存のディシプリンに基づいた学部では研究できないではないかということを書いております。mindの問題は一番前に書いてありますので金澤会長あるいは笹月委員が言われたことに通ずるのではないかと思っております。今後高等教育、特に大学院の教育の改革については考えていかなければならないことだと思っております。

    余計なことを申し上げましたが、ほかにございませんでしょうか。

    それでは、貴重なご意見を賜りましたので、文部科学省において推進方策の実施の際に、ご意見に配慮いただくこととして、原案のとおりということで決定してよいでしょうか。

                            (「異議なし」の声あり)

 

【野依会長】ありがとうございました。それでは、ご了承いただきましたので、事務局から手順について説明していただきたいと思います。

【坪田企画官】答申の手交に当たりまして、カメラの準備ができるまでしばらくお待ちください。

【野依会長】いいですか。

【坪田企画官】それでは、準備が整ったようでございます。

  野依会長から答申の手交に当たりまして、一言お願いします。

【野依会長】大臣に長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策についての第1次答申をお渡しするにあたり、一言ごあいさつ申し上げます。

    この答申につきましては、先ほどからもご説明ございましたように、平成19年10月に諮問をいただいて以来、脳科学委員会を中心に審議を重ねてきたところでございます。本答申におきましては、総合的人間科学の構築、それから社会への貢献という2つの方向を打ち出しています。具体的には、次の5点を提言しております。1番目が脳科学研究のあり方、2番目が大学・大学共同利用機関法人・独立行政法人等における推進体制や連携体制のあり方、3番目が学術研究・基礎研究・政策課題対応型研究開発の役割等、4番が人材育成のあり方、5番目が社会との調和です。

    文部科学大臣におかれましては、本答申を十分に尊重していただき、今後の脳科学研究関連の施策の充実に積極的に取り組んでいただきますようお願いしたいと思います。

    それでは、お渡しいたします。

                                (答申書手交)

【塩谷文部科学大臣】どうもありがとうございました。

  一言ごあいさつを。

【野依会長】どうぞ。

【塩谷文部科学大臣】ただいま野依会長より、長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策についての第1次答申をいただきました。ほんとうにありがとうございます。

    脳というのは、すべての人間の始まりで、しかも最大の課題でまだ神秘的なベールに包まれた部分が多いということで、改めてこの研究の重要性を感じておりますが、人間が人間らしく生きる心の基盤であり、また、その研究は従来の自然科学の枠組みを超えた新しい人間科学を創出する学問にとっても未知の領域であります。また、脳科学は社会が高齢化して、多様化、複雑化も進む中、医療、福祉の向上など現代社会が直面するさまざまな課題の克服への貢献に向けて社会から大きく期待をされております。

    文部科学省としましても、おまとめいただいた本第1次答申の副題にございますように、総合的人間科学の構築と社会への貢献の2つの目指すべき方向性と具体的な提言をしっかりと受けとめて、今後脳科学研究の連携施策の推進に取り組んでまいる所存でございます。

    最後になりますが、野依会長、そして脳科学委員会の金澤主査をはじめ、委員の皆さん方のこれまでご尽力に対して、改めて感謝申し上げるとともに、引き続き長期的な視点、観点で脳科学研究のあり方について精力的にご審議賜りますようお願い申し上げましてごあいさつとさせていただきます。

    ほんとうにありがとうございました。

【野依会長】大臣、お言葉ありがとうございました。

    それでは、塩谷文部科学大臣、山内副大臣におかれましては、公務のご都合によりまして、ここでご退席ということでございます。

    どうもありがとうございました。

【塩谷文部科学大臣】どうもありがとうございました。

                  (塩谷文部科学大臣・山内文部科学副大臣退席)

【野依会長】それでは、次に移ります。議題2は各分科会等の審議状況についてです。事務局から分科会等の概要の説明を受け、分科会委員長等からはご報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【坪田企画官】資料2-1をごらんいただきたいと思います。前回もお出ししました各分科会等における審議状況についてですが、前回の4月28日の総会の後、今日に至るまでさらに各分科会において、1回ないしは2回の審議が重ねられ、審議が進んでおるところでございます。またごらんいただければと思います。

    次に、資料3についてですが、こちらも前回お出ししたこれまでの総会における主な意見をまとめたものです。前回の第27回、28回でお出ししたものに第29回のご意見を追加しております。追加したご意見につきましては、下線を引いておりますので、ご確認いただき、後の審議にご活用いただければと思います。

【野依会長】どうもありがとうございます。

    それでは、私が主査をしております基本計画特別委員会について、まずご報告させていただきたいと思います。

    科学技術・学術審議会におきましては、前回4月の総会で、第4期科学技術基本計画の策定に向けた検討を行うため、基本計画特別委員会を設置いたしました。本委員会のメンバーは4ページの別紙2のとおりで、私が主査を務め、主査代理は野間口委員にお願いいたしました。

    第1回の基本計画特別委員会は6月2日に開催しました。5ページの別紙3に基づき、我が国や世界を取り巻く諸情勢の変化を踏まえて、今後の我が国の科学技術政策がどうあるべきかについて論点整理に向けた議論を行いました。そのうち特に1、基本認識に焦点を当て、8ページの別紙4に基づき、科学技術を取り巻く世界及び日本の諸情勢の変化やこれまでの科学技術政策の主な成果と課題について概観した上で、12ページにあるように、我が国が中期的に目指す国の姿について議論を行ったところです。

    ここで出された意見を取りまとめたものが1ページ及び2ページにございます。例えば、我が国が目指すべき方向としては、世界から尊敬される国、信頼される国、あるいは専門知を活用できる社会というものがあるのではないか。研究開発投資については、高等教育費の充実が不可欠ではないか。また、基礎科学と課題解決型研究という二者択一ではなくて、研究段階それぞれに施策を講じていく理念を持つべきではないか。また、人材養成について、博士課程在籍者への経済支援やキャリアパスを充実していくべきではないか。また、科学技術国際戦略として、海外からの優秀な研究者の招聘や若手研究者の海外派遣を進めるべきではないか。こういった意見が出されたところであります。

    今後の予定は、第2回を7月7日に開催し、引き続き目指すべき国の姿や第4期の基本計画の策定に向けた論点整理を行うことにしています。その後も月に一、二回程度会議を開催し、それぞれの論点について議論を進め、年内を目途に取りまとめを行うことを予定しております。

    それでは、今申し上げたような基本計画特別委員会の報告について、ご意見ございますでしょうか。では、深見委員、どうぞ。十分時間をとってございますので、忌憚のないご意見をいただきたいと思います。

【深見委員】幾つかお伺いしたいと思いますが、10ページの一番下のところに、我が国の大学に対する国際的な評価が必ずしも高くないというようなことが1行入っています。それと関連しまして、6ページの(3)のところ、国際的な研究拠点の形成ということを、グローバルCOEなどを通して、非常に拠点形成というところに力を入れてきたというところがあるわけです。

    こういう拠点形成が今まで幾つか施策により行われてきたと思うんですけれども、実際にどういうところが問題で、そういう拠点形成がどのくらいできてきたのか、できてこないのかというところの検証というのをそろそろする時期なんじゃないかなというふうに思います。

    グローバルCOEなどを見まして、幾つか問題点も挙げられます。こういう施策はとてもよかったというところもある反面、やはり教員の負担というものを非常に大きくしてきた。実際に、そういうことによって教員の本来の教育や研究に割く時間というもの非常に下がってきている。総合的な観点から拠点形成というものがほんとうにこれからどういうふうに行われていくべきかということについて、ぜひとも方向性というものを図っていただきたいと思います。

    それからもう1つ質問ですけれども、初めの目指すべき国の姿としまして、尊敬される国というところが挙げてあります。これが少し抽象的なところがありまして、どういう点で尊敬される国というものを目指しているのか、もう少しその概念的なものがもしありましたら、ご説明いただきたいと思います。

【野依会長】ありがとうございました。最初の世界的研究拠点の形成については、私は遅々として進んでいないと思っております。この問題については、中教審でも今議論が進んでいると思いますし、それから、大臣の主催される基礎科学力強化委員会でも議論が大変進んでいるところですが、文部科学省からお答えいただけますでしょうか。高等教育局長、いかがですか。計画官ですか。局長、総責任者として、ひとつよろしくお願いいたします。

【德永高等教育局長】拠点の形成ということについて、一つ確かに拠点を形成しようというその意図はありましたけれども、それをどういう形で、いわば発展させていくかということに関する認識がなかなか十分でなかったという点は反省をしております。

    確かに、グローバルCOE、その前の21世紀COE、あるいはまた別の、一方でWPIといろいろな形の拠点形成がございますが、それぞれ目的等は若干異なっておりまして、本来でありますれば、高等教育政策の中でやっております21世紀COE等については、単なる研究プロジェクトで終わるのではなくて、そのこと自体が大学院の専攻へ転換する等の組織化を伴って、いわばある程度永続的な教育研究活動の拠点として形成されていくといったことを期待したわけでございますが、実際には、多くの場合、プロジェクトで終始をしてしまって、単にそれがまたグローバルCOEにプロジェクトとして転換するということになっている場合もあるわけでございます。

    そういう意味では、もう少しフォローアップをして、それが一定の永続的な教育研究組織に転換するような働きかけといったことも必要ではなかったのかなということは、今いろいろ反省をしております。

    一方で、WPIはまた別の政策意図を持って行われたわけでございますが、そういう意味で、同じような拠点形成といっても、それぞれ意味合いなり目的が少し異なることについて、言葉同じだからということで、少しその点を明確にしてこなかったし、そのことについてきちんとフォローすることが十分でなかったという点については、ぜひこれからこの審議会の場でさまざまご検討いただいて、また私どものほうもこれから反省して、少し新しい施策を打ち出していく必要があろうと思っております。

【野依会長】どうもありがとうございました。中教審のほうはどのように進んでおりますか。どなたか。高等教育局長。

【德永高等教育局長】では、私のほうから。

    先ほどの脳科学の関連にもしまして、正直申しまして、先ほど野依会長がおっしゃいましたようなこと、これは中教審で現在、中長期的な大学教育のあり方という中で一番大きな大学制度、とりわけ大学院制度等の関連において、これまで大学では組織概念中心でさまざまな制度を構築してまいりましたが、そういう組織概念に加えて、例えば学位プログラムという観念を導入することによって、先ほど野依会長がおっしゃったような問題に対しても、従来の縦型のディシプリンに対して、いわば横型のマトリクスのような新しい学問分野を創生していくようなことも可能になっていくのではないかということで、現在大学分科会で学位プログラム制度を導入することについて、これは少し時間をかけて検討してという状況でございます。

【野依会長】どうもありがとうございました。

  ほかにございますか。文科省、よろしいでしょうか。それでは、計画官。

【柿田計画官】先ほど、ご質問のございました尊敬される国ということについてでございますが、1ページの(2)番のところの部分でございます。これは6月2日の特別委員会の会合の場で、委員の方から出された意見でございます。世界から尊敬される国というご意見の趣旨は、フルセットでの研究、つまりどの分野の研究も日本という国は行える状況にある。そういう国は世界の中でアメリカ、ヨーロッパ、また日本ぐらいである。他方で、自前ではそういったあらゆる分野の研究を準備できない国、例えばアジアやアフリカとか、たくさんの国々があるということで、日本はその中で広い分野の研究を行える国としてグローバルな責任を負う、そして世界に貢献していく。結果、尊敬される国になる。一言で言えば、日本があってよかったと思われるような国というものを目指してはどうかという趣旨のご意見でございました。

    特別委員会で、私ども事務局から例示としてお示しさせていただきました国の姿は今の資料の12ページの下半分のところでございます。1から5まで掲げており、今の尊敬される国というのは、いうなれば、すべての項目に、共通する、これら1から5の、さらに上位の概念とも言えるものかと思います。今ご質問がございましたように、もう少し具体的に、何をやることによって尊敬される国になるのかということにつきましては、この1から5までに掲げたような具体的なイメージを持つことが必要かと考えております。

【野依会長】これは科学技術創造立国という観点から、どういう国であるべきかということを議論しているわけですね。

    おとといぐらいですか、山崎正和先生が読売新聞に書いておられましたが、日本は外務省が今まで、相撲と歌舞伎、お茶とお花、もっぱら伝統文化の紹介しかしてこなかった。一方で、日本は自動車とかテレビとかをたくさん売りまくっているわけで、これは一体、外国からどういうふうに映るんだということで、国際広報力が全くないじゃないか、または整合性がとれていないんじゃないかというようなことを書いておられました。

    最後に、今、計画官が言われたように、やはり日本がほかの国と同じような困難を共有して、科学技術をもとに、その解消に先導的な役割を果たすというイメージを打ち出していく必要があるのではないかと思っております。

  ほかにございますでしょうか。柘植委員、どうぞ。

【柘植委員】別紙3の視点で、これはいずれも私は、視点という面では的を射ていると思うわけですが、この視点をこれから掘り下げて具体的な計画に落とし込んでいくときの見方について意見を申し上げたいと思います。

    例えば、第4期の答申目標、どうあるべきかという、これを見たときに、第3期の25兆のということをきちんと目標を掲げたわけですが、これが未達の場合には、どうしてなのだと。これは財政上の問題と同時に、いわゆる科学技術・学術のコミュニティーが果たすべきことをしていない部分と両面あろうかと思います。同じように、例えば、科学技術の次の戦略的重点化においても基礎研究、政策課題研究もどのように位置づけて、どう進むべきかという、最終的にはこういう政策になると思いますが、基礎研究なり、政策課題対応型研究は第3期の計画で、最初にねらったものに対して、やはり現状、あるべき姿から乖離している部分がある。

    それはなぜ起きているのかという一種の構造的障害という言い方をしてもいいかもしれませんが、こういうものがやはり次の科学技術システム改革にしても、人材の育成確保にしても、やはり我々が目指してきたものを妨げている構造要因、これをやはり苦しいけれどもえぐり出して、それを除去するための施策というものも第4期には必要ではないか。そういうふうに感じております。

【野依会長】どうもありがとうございました。今から言うのは早いと思いますが、ぜひ、財政の数値目標を初めから書き込む覚悟でやっていただきたいと思います。これは深見委員が先ほどおっしゃった世界的研究拠点形成は一体どうなっているのだということにかかわります。やはり拠点を形成するためにはお金がかかるわけで、これがない限り絵にかいたもちになります。さまざまな提案をするときに、一体どれぐらいお金がかかるのかということをしっかりシミュレーションしながら、それが具体化されるように書き込んでいくことが必要ではないかと思います。国際化もうたうのは勝手ですが、実現するにはさまざまな困難と、財政的な支援が必要だと思いますので、それを具体的にシミュレーションしていただくことが必要ではないかと思っております。

    計画官、よろしくお願いいたします。

    室伏委員、どうぞ。

【室伏委員】先ほど、尊敬される国という言葉が出てまいりました。これは、前回の委員会で私が発言したことですので、野依先生のご発言に加えて、少しだけ考えを述べさせていただきます。

    先ほど文科省の方からもご説明がありましたけれども、日本では、省エネ、環境保全、水、災害、また、安全・安心などにかかわる科学技術が、非常に進んでいます。こういった科学技術を世界中の国々に発信することで、世界の安心や安全、持続的発展に資するような貢献が、十分にできるだろうと思っています。

    それとともに、日本は、世界の平和や安全、そして、サステナビリティーを維持するために、教育や人材育成といった面でも貢献できるはずです。そして、日本はこれだけの科学技術力を持って、世界のために努力している、それが世界における日本の役割であるということを、大いに世界に向けて発信していくことが必要だろうと思っています。その結果として、世界からの尊敬をかち得ることができるだろうと、前回、そんなふうにお話しした覚えがございます。文科省の皆様にも、ぜひ、そういった方向で考えていただきたいと思っております。  

【野依会長】ありがとうございました。私も常々そう思っておりまして、日本の国是、日本のナショナルビジョンはどうなっているのか。私も大分年とってきましたが、戦後外国の友人たちと交流して、さまざまなことを習ってきました。アメリカから自由、平等、民主主義であるとか、あるいはフランスからは文化の尊さとか、イギリスからは議会制民主主義とか、そのようなことを習ってきたわけですが、果たして日本が世界に何を教えてきたか。確かに自動車やテレビなどを、輸出したかもしれませんが、哲学的な、あるいは思想的なことは皆無ではないかと思います。

    ですから、やはりこれからは、今室伏委員がおっしゃったようなことをナショナルビジョンとして掲げて、それを子供たちに教えていくことが必要ではないかと思います。子供たちあるいは学生たちにも日本がどんな国だと一言で言ってごらんって、なかなか言えません。これは私は戦後の歴代政府の大いなる失策だと思っております。

    私は日本という国は人類の存続に貢献する国だと、これをナショナルビジョンとして採用していただきたいと思ってます。一科学技術・学術会議の委員長としては僭越ですから申し上げないですが、個人的にはそんなふうに思っております。

    ほか。三宅委員、どうぞ。

【三宅委員】この基本問題という問題の中に、先ほどから知的な日本というものを目指していくという話が出てきていると思います。ただ、現状をどう分析して、どこにお金をかけていくかという具体的な話になったときには、安全であるとか、比較的工学的な問題として今既にみんなが一生懸命解こうとしている問題に対して、日本も一生懸命一緒にやっていきましょう、リードしていきましょうという話になっているように感じます。そういうものですと国際拠点をつくるのに幾らという計算はやりやすいのかもしれないのですけれども、先ほど計画官から指摘していただいた、12ページの4にある多様性とともに最先端の新たな知の資産をつくっていくというような少し形のないものになると、こういうレベルでの知をつくっていくために教育システムそのものにどれだけお金をかけて変えていくのかといった問題は、多分計算もしにくいし、課題としてははっきり書きにくいために書かれていないようにも感じます。そこがもう少しこの中で、やはりそういうところをしっかりやっていく必要があるんだよということが書けないものだろうかと思いました。

【野依会長】これも文部科学省に答えていただかなければなりませんが、私は先進国並みの教育投資をしない限り、立派な教育はできないと思っています。決して幾らかかるかわかりにくいことではないかと思います。

    答えていただけますか。今の教育に対する財政状況、国際ベンチマーク、いかがですか。高等教育、初等中等、それからそれ以前も含めて、ご説明いただきます。

【德永高等教育局長】全体として教育費、これはGDPに対する教育費の比率というのは、一般的に、例えば高等教育については低いという認識はあっても、初等中等教育については結構高いんじゃないかという認識を今お持ちのことと思いますが、初等中等教育レベルで見ましても、はっきり申し上げて、世界各国の真ん中ぐらい、あるいは若干低目という状況でございます。かえって先進国比較では、OECDの比較の中ではもちろん低いほうだということでございまして、自慢して言うことではありませんけれども、高等教育はとにかく最下位。OECDの中では一番低い。

    よく財政当局は、日本は1人当たりの租税負担率が低いからとか、あるいは子供の数が少ないからというようなことをいろいろ反論材料として挙げるわけでございますが、ちょっと全体については、私は所掌を超えておりますので計算しておりませんが、高等教育について申しますと、仮に租税負担率1%当たりということで割り戻してみましても、あるいはまた、人口の中に占める18歳の大学進学率で割り戻してみましても、やはり先進国の中では一番低いほうだということになっております。

    現在、そういったことに関連して、中央教育審議会のほうでは、およそ日本の国としてあるべき、あるいはふさわしい、あるいは少なく、ミニマムということのそこは明確ではございませんが、およその妥当な量的規模をきちんと算定していこう、それも分野別に、学部、修士、博士の段階別におよそこれだけの量が必要ではないかと。こういった、いわば教育の量的なおよその測定ができますと、それに対して必要な投資額もきちんと積算基礎をもって算定されていく。こういった観点から、現在大学分科会のほうでそういった量的規模に関する作業をしているという状況でございます。

【野依会長】投資額は最近下がってきたんですか。それとも、もともと低いんですか。昔は、昔といっても、佐藤委員が次官をしていらしたころはどういう情勢でしたか。

【佐藤委員】えらいとこ飛んできた。これは残念なことに、OECDの統計をずっと見てみましても、ずっと長い間低い水準でして、そういう意味では、私ども常に問題点として警鐘は鳴らしてきたんですけれども、残念ながら力不足で十分な予算が確保できなかった。

    幸いなことに、教育振興基本計画という仕組みもできたわけですので、今後そういう仕掛けをうまく使って充実していく必要があるというふうに思っております。

 ついでに1つよろしいですか。済みません。

【野依会長】どうぞ。

【佐藤委員】その話をそらすつもりではないんですけれども。重要なことは全く同感でございます。

    我が国の学術研究とか、それに関連する大学院教育のあり方の評価というのはいろいろな視点がありますけれども、今話の出ましたOECDはカントリーレビューを最近いたしまして、今年の3月に報告書を出しているわけです。これはもちろん我が国の高等教育政策のレビューなんですが、その中で学術研究にも触れていまして、もちろん我が国の大学は学術研究で大変高いパフォーマンスをしているということは評価をされておりますけれども、それに比べて大学院にはいろいろ問題がある。具体的に後継者養成のあり方でありますとか、あるいは、企業のオン・ザ・ジョブ・トレーニングのシステムを大学側がうまく適合して、つまり大学側がサボって、あまりきちんとした大学院教育をしていないとか、ちょっと耳の痛いことが幾つか書いてありまして、ご審議になるときに参照されるとよろしいのではないかと思いますので、お勧めをしたいと思います。

【野依会長】どうもありがとうございました。三宅委員のご指摘や、人材養成についても数字がありますから、それはぜひ先進国並みの公財政支出をしていただきたいというのが私の考えです。

    白井委員、どうぞ。

【白井委員】この審議状況の中にも、かなりいろいろなものがバランスよく入って、今の問題点は入っているように私は受け取ったんですが、先ほど来出ているように、会長おっしゃられたように、今度の基本計画が3期に比べて、3期まではどちらかというと、産業につながっていくようなところをやはり非常に強く意識してつくられてきている。我々は少なくともそう思っているんです。4期というのは、先ほど来の意見のように、やはり科学技術というものを我々は持って、それをもって世界に貢献していくような国になるための、国の1つの姿といいましょうか、そういうものを明確にして、そのための科学技術をどういうふうにやっていくんだというようなことが強くご意見として出ていると僕は思うんです。

    ですから、できる限りやはりそういうことをしっかり、それは一体どういうことなのかということを明確にしていただくことが大事なのではないかと。ですから、科学技術で世界に貢献するというのは一体何かと、やはり、これから世界はどんな可能性があるのか、サステナビリティーという観点からいったら、やたらとものばかりたくさんつくったってどうせだめに決まっているということもはっきりしている。そうすると、どういう哲学を我々は訴えなければいけないのか、あるいは、どういう科学技術が現実に必要なのか、そういうようなことを我々としては、第4期の中ではしっかり世界に発信できる状況にするんだということが、やはり非常に大きなことじゃないかなというふうに思うんです。

    現実には、確かにものも我々はつくらなければいけないし、技術もつくらなければいけない。だけれども、それはそういうことを実現するための手段といいましょうか、あれなんだということがやはりありたいなということなんですが、ただ、現実に我々、大学のほうにいると、これの人事育成のところにもみんな書いてあるんですけれども、今の議論と全く同じで、ドクターを多くつくり過ぎて、今度はドクターの定員を減らすというようなことが出ているんですが、ほんとうにそういうことが適切なのかどうなのか。オーバードクターで困っている人がいるから減らすんだというような発想がほんとうにいいのかどうかということですよね。

    今の教育制度がぐあい悪いんだったら、どういうふうにそれを壊してつくればいいのか。あるいはその教育内容をどうすればいいか。それから、やはり私は研究セクターの全体の量が少な過ぎると思います。やはり1万6,000人ぐらいですか、ドクター卒業生が出るわけですけれども、その中で、教員というか、研究職に就ける、ほんとうの研究職に就ける人が非常に限られているんです、先を見ますと。

【野依会長】アカデミアですね。

【白井委員】アカデミアに。進める人ですね。非常に小さな数です。

    これはやはりバランスが悪過ぎます。ですから、彼らの能力が産業界から見て非常に低いんだということも言われるんだけれども、必ずしもそうとも言えないような気がする。彼らの望みがあるわけであって、その望みがある程度実現するような場所というのが、あまり極端に小さいということは、競争というような原理にも全然合わない。そういうことが一定適切に働ける場所というのをしっかりつくっていくことが今回やはり盛られるべきだなという気がするんですけれども。

【野依会長】はい。大学院の問題は大学セクターにも意識改革をしていただいて、うんと質を向上しなければいけないと思います。その上で、やはり数を保っていくということが必要ではないかと思っております。

 では、小池委員、お願いします。

【小池委員】今、大学院の問題が出ましたので、ちょっと追加させていただきたいと思います。たしか第3期のキャッチフレーズの1つして、ハードウェアからソフトウェアへの転換という話が出たと思いますが、私はやはり人材育成というのは、一番ソフトウェアとしては大事な部分だと思います。それで、ここの人材育成というところを見ますと、今までも幾つかのお話にありましたけれども、こういうことが言われて20年近くたっているにもかかわらず、依然として事態が改善されない。ドクターに行ってもなかなか先が見えないということがあります。

    それで、今会長がおっしゃられたように、おそらく大学側のほうにもかなり責任があるんだと思いますが、ここに産業のほうと大学側とのミスマッチを解消していくべきと書いています。けれども、では具体的にどうやったら解消できるのか、どうしたらいいのかということをやはりきちんと考えないといけません。最近では修士まではみんな行くようになったわけですが理科系はでもドクターになかなか行けない。やはりそこのところをきちんと解消しないと、なかなか日本の高学歴の研究を中心とした発展というのは望めないのではないかというふうに思います。

    今、地方大学を見てみますと、ほとんどが大学院のドクターというのは、社会人とか外国人なら博士過程としてもいい。その場合は職があるし、外国人は国に戻ることも出来るという感じです。そこのところは非常に問題が大きいというふうに思います。

【野依会長】どうもありがとうございました。唐木委員、さっきから手を挙げていらっしゃいますね。

【唐木委員】先ほどから語られている人材の件で産業界から少し申し上げたいんですけれども、2-2の資料の人材育成のところに書かれておりますことですが、いつもこういう議論になりますときに、大学と産業界とのミスマッチということが言われるんですけれども、私は幾多の例を見ておりまして、必ずしもミスマッチと言えないのではないかというふうに感じることも多いです。例えば研究の推進力であったり、オリジナリティーであったり、課題解決の能力であったりということを思いますと、研究者として優秀な方というのは、ほんとうに産業界が求める人材というのは、進めなくてはいけないことも高度専門化しておりますし、人材として、もしかして大学と産業界がマッチしているのではないかと考えますことも非常に多くございますので、今後キャリアパスの提示であるとか、幅広く見て、とことん意見を交わし合うような場があればと希望しております。

【野依会長】ありがとうございます。中西委員、どうぞ。

【中西委員】どうもありがとうございます。ふたつ申し上げたいことがあります。まず、第4期の科学技術の基本計画ですから、もちろん理念は非常に大切でご議論いただきたいと思っておりますが、具体策を考えるときには、第一義的に、国としての施策として、何をするべきかということをしっかり議論してほしいと思います。

    国の一番の基本は、何といっても食べ物、つまり食糧とエネルギーだと思います。これらについて具体的にどう科学技術が振興していけるのか、また持続していけるのかという視点をぜひ持っていただきたいと思います。そのためには、第2次産業で培った技術をどう第1次産業に還元できるかという面もぜひご議論いただきたいと思います。

    それからもう1つは、脳の研究でも課題となっていますように、科学技術は非常に幅広いものですから、他省庁とのまたがった分野がかなりあると思います。ですから、文部科学省だからこそですが、学術的に俯瞰できる省と思いますので、あまり踏み込むことはしにくいかとも思われますが、省庁を超えて、オールジャパンとして何をすべきかということもご議論いただけたらと思います。

【野依会長】ありがとうございます。先ほどのサステナビリティーと関連すると思います。ですから、国のライフラインを強化することは、国がやるべき最優先課題だろうと思います。

    では、田代委員、どうぞ。

【田代委員】日本で初等中等が非常に世界的にレベルが高いというのは、私がやっています歴史学の中で幕末期、男の50%が識字率がある。世界的な最高の水準を誇っていた。これが近代化の時点、日本にすばらしい結果をもたらしたことはいうまでもありません。

    ところが、高等になるとだめということは、私が現在大学院で教育して経験しているところです。恥ずかしながら私の周辺でも最近、大学院に進んでくる学生のレベルがとても落ちております。なぜそうなったのかということはいろいろ考えさせるものがあります。たとえば初等中等教育というのはトップダウンで行う。つまり訓練の場面が多くを占めております。ところが、高等になりますと、むしろ発想力、創造力といったことが求められてくるのではないでしょうか。これは上から下ではなく、人間の本来持っている知性、感性を高めること。つまり下からわき上がってくるボトムアップの部分をもっと育成してあげないといけないのではないでしょうか。

    近年意識改革の質の向上ということが叫ばれています。今までは大学院教育ということについてあまりタッチしないで来た部分があるんじゃないかと思います。しかしぜひここら辺でこれからお考えになられ、各分野での発想、創造性というものがどうあるべきか、ということを少しお考えいただくとありがたいと思います。

【野依会長】ありがとうございます。大学院では科学の知識をつくり、それを技術に展開し、さらにイノベーションを生み出すということになると思います。理科系の強化、あるいは科学技術の強化ということになりますが、私はもっとイノベーションを生み出すためには、あるいは、科学技術を活用するためには、人文社会系の人材の養成が必要だろうと思います。日本は人文社会の大学院教育が他国に比べて若干弱いのではないかと懸念していますが、田代先生、ご専門のお立場からいかがでしょうか。それを強くしない限り、ほんとうに身のあるものにはならないと思うんです。ちょっとお答えいただけますか。

【田代委員】もうおっしゃるとおりだと思います。このことは人文社会科学のほうでも叫ばれていることがらですので、ぜひこちらのほうに力を注いぎ、もう少し注目して、大学院教育のほうに関心を向けていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【野依会長】では、次期の計画にそういうことも書き込むということでございますね。

    では、鈴木委員、どうぞ。

【鈴木委員】基本計画の中で検討してもらいたい点が1点あります。資料の中に大学と大学院の役割というのが出ていますが、そこに”新たな知の創造と継承を担う大学・大学院の重要性がますます増している”とあります。確かにそうだと思います。しかし、知の創造では頭を使うとすれば、手足を使う、すなわち技の創造は一体どこでやるのでしょうか。特に日本において現在、技の創造の空洞化が懸念されます。やはり大学・大学院において、知と同時に技の創造もやらなければならないと考えます。技の創造が知の創造を押し上げることはあきらかです。

    一方で、技の創造は産業界でやればいいじゃないかと言われるかもしれませんが、資料の9ページにあるように基幹産業の国際競争力の低下が叫ばれています。この点は、我々研究現場においてまさに身近に感じております。技の創造の空洞化が懸念されるとはこのことを指しています。

    大学・大学院、産業界を巻き込んだ技の創造を重点事項として検討していただきたい。

【野依会長】科学技術のインフラをどのようにつくっていくかということだろうと思います。

    では、國井委員、どうぞ。

【國井委員】人材の養成に関しまして、イノベーションの観点で考えると、人材の多様性が非常に重要で、今回女性の活躍の推進というところが抜けているんですけれども、前に入っていたかどうかよく記憶しておりませんけれども、人材養成の中では、やはり女性がこの研究開発分野でももっと活躍できるように考えていくべきだと思います。

    産業界では、今非常に女性の活躍推進を進めております。それで、やはりそういうことをやってこなかった、例えばGMなんかはひどい状況になっているわけですし、女性が活躍しやすい会社というのは非常に経営環境もよくなっている、実績を上げているというのが、米国のNPOカタリストのデータに出ています。日本はあまりそういうデータが出ていなくてわかりにくいのですが、周りを見てみましても元気な企業というのは、非常に女性の活躍推進ということを進めております。

    研究の分野においてもこの点は極めて重要だと思います。海外と比べても、これも非常に最低のレベルにあると思います。それから、世界経済フォーラムの去年のデータを見ましても、130カ国中98位という、男女格差が大きいというデータが出ておりますので、これは強化すべきだと思います。

    それからもう1つ、先ほどドクターの話が出ておりましたけれども、優秀な人材は企業でも常に必要でありますけれども、ほかの方もおっしゃっていましたが、日本はやはり企業に入って活躍できる人材がドクター取得者で少ない。先日あるところのディスカッションで、ちょっとデータを見せていただきました。IT分野だと思うんですけれども、IT分野に多分特化してデータを出されたと思うんですが、海外でドクターをとった方と、それから日本でドクターをとった人の比較表があって、例えば柔軟性とかいろいろあるんですけれども、海外は非常に高得点なわけです。日本はバツ、バツ、バツと続いているんです。もっといろいろなアンケートをとり、科学的に分析して改善していく必要があると思います。そのためには予算が足りないとか、いろいろ課題はあると思いますが。

    以上です。

【野依会長】ありがとうございました。では、笹月委員、お待たせいたしました。

【笹月委員】先ほど来、同じことなんですが、大学院教育というときに、常に人材育成で大学院教育が重要だといっても、だれも実行しないといいますか、改革しないんです。それは、先ほど来、何人かの方がおっしゃいましたけれども、一部大学の責任だとか、大事だから何とかしてほしいとか、大学が、あるいは大学人が自分の問題だというふうに考えていないんじゃないかと思います。

    ですから、これは大学が、大学人がこの大学院教育を改革するんだという強い意識といいますか、信念を持ってやらないと、決して、いくら言っても進まないと思います。

    例えば、外国の例なんかを時々言われますけれども、では、ほんとうの先進国でどういう大学院教育がなされているのか、あるいは、教授の意識が教育に対してどういうものなのか、そういうきちんとした調査がなされているのか。何事も外国のまねをすればいいというものではありませんけれども、日本がそういう意味でどういう立場にあるのかというのは、やはり大学人がきちんと自己点検評価する必要があるんじゃないかと思います。

【野依会長】ありがとうございます。私も全く同感です。日文研の所長の猪木武徳先生が最近『大学の反省』という名著を書いていらっしゃいますので、ここにいらっしゃる方は全員読んでいただきたいと思います。

    ほかにございますか。藤井委員、どうぞ。

【藤井委員】今の問題とも関連ありますけれども、先ほど外国の大学院卒業者が日本の大学院のドクター取得生に比べてフレキシビリティーが高いということがありました。その1つの理由は、外国の場合には、大学院を出たらそのままアカデミアに入るということが必ずしも前提になっていないことにあります。だから、博士取得者のキャリアパスが非常に多様なものが最初から想定されている。それに対して日本の大学院は、後継者を育成するという形でこれまで来たんです。ですから、それが今社会と矛盾があるわけです。アカデミア以外の分野にも進もうという人材を作って、この矛盾を解消するためには、博士号取得者は厚遇で迎えるとか、やはり社会的に博士取得者に対してある種のメリットを与えないとこれは打開できないだろうと思います。

    ほんとうはそうではなくて、例えば、博士取得者が社会の中でリスペクトされるような、そういう社会でなくてはいけないと思うのですが、もし科学技術立国ということを我々が言うんだとしたら。ところが、日本はかつて末は博士か大臣かと言われたけれども、今では博士を持っていたからといってだれも尊敬しない。それよりは、裕福な人などへとリスペクトの対象が変わってきている。そういう社会的な実情があるということは、やはり我々は認識しなくてはいけないし、これを解決しようとしたら、先ほど言ったような即効的な方策に加えて、社会の概念の改革といったもう少し息の長い方策との両方を図るべきだというふうに思います。

【野依会長】ありがとうございます。もしも外国の大学院教育のほうがすぐれているとすれば、外国で学位をとった人が日本で働きやすいようにしなければいけないと思います。外国、アメリカあるいはヨーロッパで勉強した人たちは、学位をとったら独立して研究できるという前提で勉強しているわけですが、日本に帰ってきた場合には、一からでっち奉公みたいなことになるわけです。なかなか独立した研究者として活躍できる場がないんじゃないかと思うんです。

    したがって、そのままアメリカやヨーロッパに居ついたりしてしまうと思うので、日本国が外国での高等教育を推奨するのであれば、彼ら、彼女たちが帰ってきて働きやすい場をつくることが必要です。

    どうぞ。

【藤井委員】それに追加してよろしいですか。今の会長がおっしゃられたことは確かにそういう点があると思うんですが、昔はむしろインディペンデントな活躍ができる状況があったんです。それはどうしてかというと、日本の大学の中に講座制というものが存在していたときに、それはある点では弊害ではありましたけれども、講座の中では、財政的な補助は講座費という形で最低限の保障があったんです。

    ですから、外国で学位をとって戻ってきても、その講座のボスからよほど嫌われない限り、それなりに最低限の研究ができる。その中でインディペンデントな研究も萌芽的な研究もある程度できたわけです。

    ところが、その講座制が崩壊したことによって、しかも法人化によって、運営費交付金という形で一括して支給されて、大学がいろいろなものを天引きをするから、末端に行く分は生活費すらないんです。

    これはかつてアメリカが同じようなことをやったときに、学位をとったばかりの若手研究者がみんなカナダに逃げた時期があります。1970年代から80年代にかけて、実績の少ない若手にはNSFグラントの配分がされにくかったのです。カナダの場合には、イギリス連邦と同じで、基礎的な研究費を若手にも渡していたんです。だから、それでちゃんとした成果を上げて、アメリカでも研究費を獲得できるようになると今度はアメリカに戻っていく。それでアメリカでどんどん活動するということが80年代の後半ぐらいまでめだっていたことがあります。その後、NSFグラントの性格が変わって、アメリカでも若手が随分研究費をとれるようになって居つくようになりました。だから、講座費にかわるものがどこかにないと、インディペンデントな研究というのはなかなかできないと思います。

【野依会長】ありがとうございました。では、西山委員、どうぞ。

【西山委員】検討の視点例のところで取り上げられているのは、ほとんどすべて大切なポイントは列挙されていますが、少し視点が欠けている面についての問題提起ということで言わせていただきます。もちろん科学技術ですから、これはほとんど高等教育のほうに中心がありますけどもそれに至る経過として、国としての科学の基本の計画だとした場合には、高等教育から発したときの初等中等教育、また、初等中等教育から上がっていったときの高等教育、これの全体を考えなくてはならないと思います。この見方からして、初等中等教育のあり方ということについての項目があったほうが良いと思います。

    次に高等教育の大学院における研究と教育の問題です。今欠けているのは、大学院においては実質的に研究が圧倒的に価値観を占めていて、教育における価値観が非常に低い。このことが、今の問題も引き起こしていると思うし、将来の問題もあろうかと思いますので、そこにメスを入れていただければと思います。

    もう1つは、人文社会系と理科系の問題なんですけれども、人文社会系には理科系の基礎的な素養としての教育を施す必要があるということです。例えば生物学を文系の人にも教える必要がある。一方、理科系にとっては人文社会系の基礎素養の部分についても教える必要があるということをもう少し意図的にやる必要があると思います。これは教育の問題です。

    それから、先ほど来議論されている大学から出てくるドクターと産業界とのミスマッチのことについて、念のために申し上げておきます。経団連では調査しております。経団連としても。その際、経団連傘下の25%の企業がドクターを採用しておりますが、そのうち、少ないところで採用数の5%、多いところで採用数の20%を採用しております。傘下の25%の企業です。

    ところが、採用したドクターについては全くマッチングしておりまして、ミスマッチではありません。大変に高い評価です。大活躍しております。ですから、採用された方においてミスマッチはゼロです、はっきり言うと。100%マッチングしているということです。

    ところが、今喧伝されているのは、採用されていなかった方がポスドクとして残っておられるわけです。それはかなりの数を占めています。これは社会的な大きな問題です。ここについては、企業エゴの面もあろうと思いますが、ここにミスマッチがあるということがかなりあるのだと思います。従って部分的にはマッチングもしているし、多数のポスドクの人たちはミスマッチが起きているという部分があるということをご理解いただきたいと思います。

【野依会長】ありがとうございました。教育と研究の問題は根が相当深いと思います。諸外国で日本のような国立大学は極めて珍しい。例えばアメリカでもカナダでもドイツでも、その他多くの国でも教育は大体州などの地方政府が受け持っています。アメリカは私立がたくさんありますが、公教育については、地方政府の目的によってある程度存在意義が定義されるわけです。研究については、おおむね中央政府が支援いるという構造になっているところが多いと思います。

    ですから、日本も、国立大学が何をすべきかということをはっきりさせないといけません。これは将来の地方分権が実現するのか分かりませんが、そのあたりをにらんで、教育はどこが受け持つのか、研究はどうするのか明確にすべきです。つまり、国立大学は、何が目的なのかということをはっきりさせる必要があると私は思っております。どうもありがとうございました。

    では、原山委員、どうぞ。

【原山委員】手短に。先ほどの研究拠点について2点ほどコメントさせていただきます。

    1つは、研究拠点という概念が出てきた背景には、制度改革という側面がかなりあったと思うんです。先ほど野依先生がおっしゃっていたように、既存の組織体の枠組みを壊すときには、何か外部から新しいものを持ってこないとなかなか壊れない。内部から壊れないので、では拠点というものをつくりましょうというところがあったと思うんです。

    やはりそれに対しての検証というものが必要だと思うんです。それで、試みたけれども、なぜにそれが想定したように回っていないのか。大学がそもそも持っている課題が、やはりどこかでバリアになっているのかもしれない。感触としてではなく、その辺の検証が必要だということです。

    それともう1つは、拠点をつくるというのも重要ですけれども、やはり種まきをしないと拠点はできないという話です。明日の拠点を引っ張っていけるような若手研究者をいかに育てていくかという課題です。その上にもちろん独創的な研究をしながら研究者を集めチームをつくっていく。また、チームをマネージし動かしていく、ネットワークを形成していくといった研究者プラスのスキルというものを持った研究者をいかに増やしていくか。これが大きな課題だと思います。

    そのためには、大きく目につく拠点化と同時に種まきが必要です。それは小ぶりでいいと思うんです。機会を増やしていって、その人たちが見えてきたときに、ではどうしましょうと考え、次のフェーズに移っていく。その過渡的なものも準備しないと、なかなかシステムとして回っていかないというような印象を持ちます。

【野依会長】どうもありがとうございました。

  ほかに。深尾委員、どうぞ。

【深尾委員】資料2-2の13ページから先のほうに、気温でありますとか、炭酸ガスでありますとか、水資源でありますとかの将来予測の資料が添付されておりますが、多分地球温暖化についてもいろいろな議論がされたんじゃないかという気がいたします。

    先ほど、大臣がおっしゃっていましたけれども、2020年までの我が国の温室効果ガス排出削減の中期目標を2005年比で15%減にすると我が国は表明いたしましたが、この数値では控え目過ぎるということですぐに各方面から反論が出ています。12月にコペンハーゲンで条約の締結会合、COP15というのが開催されますが、そこでは多分さらなる削減が求められることになると思います。

    この中期目標は間違いなく、我が国の将来の経済活動や国民生活にいろいろな影響を与えることになると思います。さらに、昨年の洞爺湖サミットでは、2050年に50%の削減という長期目標を共有するということで合意しています。この洞爺湖を1990年比に直しますと85%の減ということになるわけです。これは完全な脱化石燃料化ということを求められていると同じことなわけです。

    これは今私どもが持っている技術をそのまま直線的に延長していって、それを束ねてやって実現するような数値ではない。全く新しい技術、あるいは我々の持っているノウハウを総動員してやっても実現できるようなものではないような気がいたします。文字どおりのイノベーションというものが求められているわけです。

    一方で、そういったことを資源とかエネルギーとか食料とか、国際的な争奪戦が非常に熾烈になる中で、我が国もまた少子高齢化ということで人口も減ってくるわけです。そういった中でそういうことを取り組んでいくということは大変なことだと思います。

    多分社会のあり方とか、我々の生き方とか、そういうものを一変することになると思いますし、国民の負担というのは多分ものすごく増えると思います。そういったことの判断というもの、政治的な合理性とか、経済的な合理性のもとでちゃんと判断されるべきなんですが、その前に科学的な合意性を、国民すべてが納得してくれないと、そういうことを国民に求めることはできないということがあると思います。

    今回の第4期では、もちろんエネルギーとか、あるいは環境とかという問題は、それぞれ個別の重点ルールで議論されると思いますが、そういうもの以外の、例えば2050年ぐらいの国民の生き方はどういう生き方があるか、あるいは国のあり方はどういうあり方があるかという、そういうことをちゃんと議論するということが大事ではないかという。そういうもののモデルみたいなものをちゃんとつくって、国際的に提示するということが日本の国際的な大きな貢献につながるのではないかという気がいたしますので、ぜひ第4期ではそういう問題を取り上げていただきたいと思います。

【野依会長】ありがとうございました。長谷川委員、どうぞ。時間が残り少ないので、ご発言のない方にお話しいただきたいと思います。

【長谷川委員】科学技術創造立国ということであれば、先ほど来人材育成が大きな議論になってきたと思うんです。私たち大学の末端にいると、ドクターの後期課程に入ってくる学生は近年ものすごく減ってきている。その原因はいろいろ既に述べられたところだと思うんです。その中で大きく効いているのが、やはりポスドク問題で、ドクターに進学しようとしたときに、自分たちの先を見たときの、何となく閉塞感というのを非常に強く感じていると思うんです。

    ですから、第4期では、このあたりのところを何とかする仕組みを、この中にも、資料2-2にも述べられているところですけれども、キャリアパスの問題を具体的に進展するような仕組みというか策が考えられないかというのが1つ気になるところでございます。

    もう1つは、資料2-2の2ページのところにもう既に書かれていることですけれども、博士課程に進学する学生の経済的支援というのは、ぜひ報告書の中に記入していただきたい。奨学金のシステムも最近変わってきまして、システマチックに、自分が後期課程に進学しようとしたときに経済的に恵まれない学生は、こうすれば何とかなりそうだというのをなかなか見つけにくいシステムになっているんじゃなかと思うんです。その辺のところも含めて、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

【野依会長】私も常々その重要性は主張しており、大学院の入口であるマスターから支援しなければいけないと思っております。そうでないと、日本の大学院というのは国際競争力を持ち得ない、流動性も確保できないと思っております。

    では、大垣委員、そうぞ。

【大垣委員】長期的に考えたときに、構造的に何を解決するかということを考えないといけないのではないかと思っています。人材に関してなんですが、先ほど白井委員から1万6,000人がいて、結局アカデミアのポストがないという話がありましたが、アカデミアと研究型独立行政法人の両方を経験している身から言いますと、結局ポストの問題なわけです。ポストを増やすというのは簡単に行かないことは明らかですので、これを長期的な、20年、30年のレンジで考えてどう対応するかが僕は求められているのではないかと思います。

    課題解決で、さまざまな課題があって、それを今後解決しなければいけないと言うけれども、持続的に研究開発して解決するためには人材がいないと始まらないわけであって、現在の研究開発に関する投資と将来の人材を育成して、かつそのポストがあるということを結びつけて考えないと議論が5年ごとの短期で終わってしまうのではないかという気がいたします。

【野依会長】やはり一番大きなジョブマーケットは産業経済界ですから、そことの連携をきちんとすることが一番大事だろうと思います。

    ほかに。小林委員、どうぞ。

【小林委員】基本計画の構想へということですけれども、人類の課題を解決に向けて努力するというのを基本に据えるというのはよろしいかと思いますけれども、それが幾つかの重点項目が列記というような形でまた終わってしまっては困ると思います。やはり研究の基礎から応用までの重層的な構造というのをちゃんと理解して、その上でどういう形のサポートが必要かという、そこのイメージがまだちゃんとできていないのではないかという気がしますので、そこをもう少し追究する必要があるのではないかと思います。

【野依会長】ありがとうございます。

    皆さんにお話しいただいたと思います。有川委員、ご発言がなかったように思うんですが、何かございますか。

【有川委員】大事な議論は大体尽くされていると私は思っておりますが、その中でもやはり、この全体を動かしていくためには、もう少し種をまくといいますか、基盤をしっかり築き上げておかないとそびえ立つ峰も出てこないだろうと思います。

    今回は第4期ですけれども、政策課題的なことで投資をするときに必ず基礎研究に対しても配慮しておくことを、この先の5期、6期においてもやり続けることが非常に大事だと思っています。そうすることによって冒頭でありましたように、多様な研究がしっかりできることになり、その結果、よその国からも尊敬されることに繋がると思います。

    それからもう1つは、人材育成に関してですが、社会のほうがしなければいけないこと、それから大学がしなければいけないことが当然あるわけですけれども、私は当面、大学の人間ですので、大学としてちょっと発想を変えてしっかりそこは取り組んでいかなければいけないと思っております。

    つまり、博士課程の人たちは、やはり相当な努力をして学位をとっているわけでして、先ほど西山委員のほうからございましたように、その人たちが評価されないはずはないわけです。1つの大きな課題を深く研究して成果を出した人が企業なりに行って、その経験が役に立たないはずはないと思います。しかし、そうした教育を受けて育った学生たちは、当然といえば当然かもしれないのですが、自分の専門に固執することが多い傾向にあるようです。専門ではなくて、経験があるということをもう少し強調できて、そしてその経験を通じて貢献できるようにする教育方法があるのではと思っていまして、その検討を今からやっていかなければいけないと思います。同時に、経団連のデータにもあるように、社会の各層におきまして、ドクターを持った学生というのは非常に役に立つ人材なのだということで様々な方面に道を開いていただかなければいけないと思います。現在、ドクターをとった人、あるいはオーバードクターにいる人は、あたかも何か悪いことをしたような感じになってしまっています。これは非常にゆゆしい問題であって、そこにまず道筋をしっかりつけることが急務であると思います。それをやって、その先に第4期の大事なことを考えていかなければいけないのだろうと思います。

【野依会長】ありがとうございます。日本が続く限り科学技術は大事であり、こういう政策もやはりサステナブルでなければいけないと思っています。前回私が若い世代の意見を取り入れる必要があるのではないかと提案し、柿田計画官にはささやかながら、若い人たちの意見を取りまとめる、企画を立てていただいております。

  では、時間もございませんので、最後に野間口会長代理からご意見をいただきたいと思います。

【野間口会長代理】ありがとうございます。私も委員の1人でありますので、今後の検討の参考にさせていただこうと思って熱心に聞かせていただきまして、ありがとうございました。

    最初に深見委員、室伏委員のほうから、一番根幹にかかわるご指摘がありまして、国の形といいますか、目指すべき方向についてのご指摘がありまして、野依先生から、ナショナルビジョン、国是というお話もありましたけれども、ここのところがやはり、第4期でありますけれども、期が変わるごとにここをやはりきっちり押さえていくべきではないかと。その後、幾らの規模になるんだというのは、その出だしが、ナショナルビジョンがきっちりとできますと、国民的理解というお話もありましたけれども、非常に得やすい、または計画をつくる側として主張しやすいということになるのではないかと思いますので、ここをしっかり押さえた上でやってく必要があるのかなと感じました。

    それから、では具体的にどう展開するんだという段階になりますと、実は人材の問題、教育の問題いろいろ出まして、非常に長期的に取り組むべき課題と、決断したらできるんじゃないかと思われるような課題があるような気がしてなりません。野依先生以下、日本のそうそうたるメンバーが集まっておられるので、そういうものが何でできないのかと、産業界に長いこと身を置いた者として感じた次第であります。

    先ほど、西山委員とか唐木委員のほうから、勇気ある発言で、ドクターのミスマッチの件で、実際に採用しているドクターについてはミスマッチとあまり感じていないと。西山委員の評価は若干評価しすぎかなと思うんですけれども、100%ということはないにしても、企業側はかなり高い満足度じゃないかと思います。それで、大学の研究室、教室の構造の問題で、育ち損なったドクターを産業界から見てどうだといって、それでミスマッチと言っても、これはいつまでたっても解決につながらないんじゃないかなという気がいたします。そこはどういう課題がどういうふうに問題になっているのかというのを、課題の見える化をもう少し両方コミュニケートしてやっていくと解決のための具体的方策が見えてくる。これは第4期と何とかと言わずに、今からでもチャレンジして取り組んでいくべき問題ではないかなと思いました。

    そういう課題も含めて、今後の検討に野依先生のリーダーシップのもとで参加していきたいと思っている次第でございます。大変参考になるご意見ありがとうございました。

【野依会長】ありがとうございました。適切におまとめいただいたと思っております。

    今いただきました意見は基本計画特別委員会としてしっかりと受けとめ、第4期の基本計画の取りまとめに生かしていきたいと考えております。

    それでは次に、議題3の最近の科学技術・学術の動向についてでございます。日本学術会議が取り組んでいるわけで金澤会長からご紹介いただければと思っております。

【金澤日本学術会議会長】どうもありがとうございました。簡単にご説明、ご報告申し上げたいと思いますが、資料としては資料4についてでございますが、ここに書いていないことを最初に申し上げますが、第4期の科学技術基本計画に関しましては、実は学術会議でも検討しておりまして、皆様方のこういうご意見を参考にさせていただきながら、今勉強しているところでございます。まとめに向けて、今一生懸命みんなで検討しております。また、いろいろご意見をちょうだいしたいと思いますが。

    今日は2つご報告申し上げます。1つは、対外的なことと関係することなんですが、G8学術会議というのがございまして、G8サミットに向けてG8にかかわる国々の学術団体が一堂に会しまして、共同声明をつくるというのがここ4年ぐらいの習慣になっております。今年はイタリアでございまして、イタリアのアカデミーがホストとなって、ローマで3月の終わりに会議がございました。そこでまとまりましたのが、次のページ以下のものでございます。タイトルは「気候変動と低炭素社会に向けたエネルギー技術の転換」というものでございまして、エネルギーの問題、あるいは気候変動の問題というのは、この4年間ほとんど常に取り上げられる問題でございます。

    今年については、ちょうどこれを6月11日に総理に手交いたしましたけれども、これは世界同時に手交するということになっていたんですが、ちょうど前の日に総理から、2020年に向けてCO2を15%削減するんだという声明が発表されたところだったものですから、大変ご機嫌がよい総理とお会いすることができまして、それと全く同じ方向だというようなことで、私が一しゃべる間に総理が十おしゃべりになりまして、大変有意義な会だったと思っております。内容はそこに書いてあるとおりですので、省略をさせていただきます。一言で言えば、コペンハーゲンに向けて数字を出していただきたい、そして合意していただきたいということを申し上げたんですが、その方向で進んでいるというお話でございました。

    もう1つは、最後のページになりましょうか、アジア学術会議について一言ご報告したいと思います。つい1週間ほど前から3日間にわたりまして、シンガポールでアジア学術会議が行われました。これは2000年だったと思いますが、日本が提案いたしましてつくられた会議でございます。11カ国が参加いたしまして、ASEANというか、ほんとうの東南アジアの国々が多いんですが、シンガポールのホテルで会がございましたけれども、これはシンガポールの科学技術研究庁と言うのでしょうか、A*STARと言っているんですが、そこが全面的にサポートしてくれた会でございました。

    この会はテーマを幾つか挙げて、それぞれを1年ごとに成果を報告するというスタイルでやっております。今年は水、これは大垣先生がリーダーになっておられますが、あるいは自然災害とか、あるいはジェンダーの問題、あるいは、なぜかとお思いかもしれませんが、ポップアートとか、そういう問題も取り上げられまして、ただしアジアの視点でそれを検討していくという、ある意味では非常にユニークな会だったと思っております。

    日本学術会議が全面的にこれをサポートしつつ、それぞれの国の、今年で言えばA*STARですが、そういうところのご協力もいただきながら続けている。来年はフィリピンで、おそらく感染症のことを主に取り上げることになるだろうという予告がございました。

    以上でございます。

【野依会長】どうもありがとうございました。それでは、今のご報告等について、何かご意見ありますでしょうか。ございませんか。

    それでは、どうもありがとうございました。

    それでは、次に平成21年度の補正予算案における科学技術関係の経費及び平成21年度科学技術の振興に関する年次報告等について、事務局から説明してください。

【戸渡政策課長】資料5から8につきまして簡単にご説明させていただきます。

    まず、資料5、総合科学技術会議の審議状況です。6月12日に開かれました会議におきまして、知的財産戦略が策定され、政府全体の知的財産推進計画に反映させていくということで決定され、意見具申をされております。

    それから、6月19日の会議におきまして、総合科学技術会議の中にも今後第4期基本計画の策定に向けた調査・検討を行うべく基本政策専門調査会を設置するということが決定されています。

    それから、資料8の22年度の科学技術に関する予算の配分方針が決定されています。資料8にありますような6つの最重要政策課題への重点化ということとともに、この基盤となる取り組みを強化するということで、基礎研究、人材育成、知的財産という3の取り組みの強化というものがあわせて決められています。

    また、最先端研究開発支援プログラムの執行に関連しましての基本方針の決定。中心課題の選定等に向けての最先端研究支援会議の設置と開催ということが決定されています。

    それから、資料6は科学技術関係経費の資料です。21年度補正予算案において、政府全体で1兆3,465億が科学技術関係経費として補正に盛り込まれております。これによって、第3期科学技術基本計画期間における投資額が17.3兆円になってります。

    文部科学省関係の詳細につきましては、資料をごらんいただければと思います。

    それから、既に委員の先生方のお手元に配付させていただいておりますが、20年度科学技術の振興に関する年次報告である『科学技術白書』をこの6月2日に閣議決定されまして、国会に提出しておるところです。今回の白書では、第1部で世界的な経済危機の深刻化や地球環境問題の顕在化といったことなどを経済社会の大きな変化が起きつつあるとともに、イノベーションの新たな潮流などが生じている。まさにこういった世界の大転換期に直面しているという現状認識を示した上で、このような世界の大転換期を高い研究開発力を生かしたイノベーションにより乗り越えていくための科学技術政策のあり方というものについて記述したものです。後ほどごらんいただければと思います。

【永山国立大学法人支援課長】引き続きでございますけれども、国立大学法人支援課長でございます。国立大学法人等の積立金で、当審議会の議事とは直接関係ございませんけれども、財務省の審議会でも指摘があり、報道もあり、国会でも取り上げられました。

    お手元に国立大学法人等の積立金等についてという当日配布の資料がございますでしょうか。4枚紙でございます。

    それに沿いまして、簡潔にお話をしたいと思いますが、一番最後の紙が報道ですけれども、こういった報道がなされまして、国立大学に埋蔵金が3,000億あるんだと。財務省が発掘したんだといった報道もございましたが、私どもとしては、これは埋蔵金ではないという認識でございます。

    1枚目に戻っていただきまして、確かに19年度末に国立大学法人等――これは共同利用機関も入ります――含めて90法人で3,001億の積立金等がございますけれども、2のところでございますけれども、このうちの半分以上の1,555億というのは、実際には法人には現金等が残っていない、会計上の、帳簿上の利益であるということでございます。また2ページ以降で簡単にお話し申し上げますけれども。3のところで、残りの1,446億は確かに現金ございますけれども、これは法人化の際に導入された仕組み、各法人が人件費の節減などの自己努力で、必ずしも毎年予算を使い切らないで後年度に使えるというような仕組みを活用して、各法人が大規模プロジェクト等に向けて留保しているお金でございます。

    4のところで、こういった状況ですから、運営費交付金は一方で、平成16年度から21年度で720億の減でございまして、全体的には資金状況は厳しくなっているということでございます。

    2枚目が帳簿上の観念的な利益と申しましたが、これはちょっとお時間もありますので、詳細の説明は省略しますが、別添ということで、なぜ1,555億の帳簿上の利益が出てくるのかというものの原因の分析でございますけれども、基本的にはこれは附属病院の関係なんですが、一番大きいのは、1番目の843億、附属病院の病棟整備を借入金でやっているんですけれども、その償還期間と減価償却期間のずれによる帳簿上の利益ということでございます。その概念図は3ページにございますけれども、ちょっと説明は省略いたします。

    以降、それ以外はすべて法人化時の会計上の処理によって生じた、いわゆるかぎ括弧つきの「利益」でございまして、手元に現金があるというようなものではないということでございます。

    簡単ですけれども、以上でございます。

【野依会長】私どもはこの件をよく理解できたと思います。財務省は時々こういう牽制球を投げるので、国民をミスリードすることがあると思います。文部科学省も国民にわかる形で適切なメッセージを出していただければと思っております。

    それでは、今後の日程について事務局から説明してください。

【坪田企画官】次回、第31回の総会につきましてでございますが、9月15日、火曜日の15時からを予定しております。場所は本日と同じ文部科学省第2講堂となります。また、本日の会議の議事録につきましては、作成し次第、委員の方々にお目通しいただき、会長ご確認の上、文部科学省のホームページに掲載させていただきます。なお、会議資料につきましては、机上に残していただければ、事務局から後ほど郵送させていただきます。

    よろしくお願いいたします。

【野依会長】それでは、今日はこれで閉会いたします。

  どうもありがとうございました。

お問い合わせ先

科学技術・学術政策局政策課

藤川
電話番号:03-5253-4111(内線3848)

(科学技術・学術政策局政策課)