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科学技術・学術審議会(第29回) 議事録

1.日時

平成21年4月28日(火曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省第2講堂

3.出席者

委員

野依会長、野間口会長代理、有川委員、石井委員、石田委員、大垣委員、樫谷委員、唐木委員、北澤委員、國井委員、笹月委員、佐藤委員、鈴木委員、田代委員、柘植委員、中西委員、西山委員、長谷川委員、原山委員、深尾委員、深見委員、藤井委員、三宅委員、室伏委員、山脇委員

文部科学省

塩谷文部科学大臣、山内文部科学副大臣、浮島文部科学大臣政務官、坂田文部科学審議官、森口官房長、泉科学技術・学術政策局長、磯田研究振興局長、藤木研究開発局長、和田科学技術政策研究所長、布村文教施設企画部長、土屋政策評価審議官、岡技術参事官、中原科学技術・学術政策局次長、岩村科学技術・学術総括官、倉持審議官(研究振興局担当)、桜井審議官(研究開発局担当)、川上総務課長、藤原会計課長、森本大臣官房政策課長、坪井開発企画課長、門岡学術企画室長、戸渡科学技術・学術政策局政策課長、柿田計画官、坪田科学技術・学術政策局企画官、近藤調査調整課長、川端基盤政策課長、森田国際交流官、舟橋情報課長、勝野学術機関課長、山口学術研究助成課長 他関係官

オブザーバー

金澤日本学術会議会長

4.議事録

【野依会長】 それでは、ただいまから科学技術・学術審議会第29回総会を開催いたします。

    ご多用のところご出席賜りまして、ありがたく思っております。

    本日は、山内副大臣、浮島政務官にご出席いただいております。

    なお、塩谷文部科学大臣におかれましては、おくれてお見えになるというふうに伺っております。また、日本学術会議の金澤一郎会長にもご出席いただいております。

    本日は、初めに各分科会等の審議状況についてご報告いただきまして、その後、第4期の科学技術基本計画に向けたご審議をいただきたいと思っております。

    それでは、まず初めに、山内文部科学副大臣からごあいさついただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【山内文部科学副大臣】 ただいま紹介いただきました文部科学副大臣の山内俊夫でございます。第29回科学技術・学術審議会総会の開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げたいと思っております。

    これまで委員の先生方をはじめ多くの研究者の方々のご意見をお聞きし、日本のすぐれた科学技術は、地球規模の課題解決へかなり貢献ができ、ひいては、国民に大きな自信と誇りを与え、そして、子供たちの未来に夢と希望を示すものと考えております。

    先日、茨城県東海村において、大強度陽子加速器施設、つまり、J-PARCでございますが、ニュートリノビームが生成されまして、すべての実験施設が稼働を始めました。この基礎科学を先導いたします国際的な拠点の誕生によりまして、ノーベル賞につながるようなすぐれた研究成果、国際競争力の強化に貢献する成果の創出が期待されているところでございます。

    昨今の厳しい経済状況にあっても、我が国が科学技術創造立国として、持てる能力を最大限に発揮していくため、研究者への支援、そして、研究環境の整備、創造的人材の育成とともに、我が国の研究開発力の強化に向けて、大臣とともに、平成21年度補正予算案の成立や関係法令の改正に取り組んでまいる所存でございます。

    どうか委員の皆様には科学技術・学術の振興方策について、さまざまな観点からご意見を賜りますようよろしくお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。

【野依会長】 どうもありがとうございました。

    続きまして、浮島文部科学大臣政務官からごあいさついただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【浮島文部科学大臣政務官】 皆さん、こんにちは。政務官の浮島とも子でございます。きょうは第29回の総会、大変にご苦労さまでございます。また、常日ごろからたくさんのご意見、そしてご指導を賜り、心から感謝申し上げます。ほんとうにありがとうございます。

    本年は、基礎科学力強化年でありまして、ガリレオが自作の望遠鏡で初めて天体を観測して400年の節目に当たるということから、ユネスコの提唱する世界天文年でもあります。

    私も子供のころ、夜空で、星を近くに見て感動したということを覚えていまして、実は私の主宰する神戸の劇団、阪神・淡路大震災でご両親を亡くした子供たちがたくさん入っておりますけれども、毎年夏に合宿を行わせていただいております。昨年の夏も岐阜の下呂市のほうに山の上の廃校になった小さい学校なんですけれども、そこに行かせていただき、何度も子供たちがほんとうに涙して感動するというのを毎年目の前で私も感動させていただくんですけれども、夜見る星が天の川からすべて見えて、子供たちが校庭に横になって上を見るんですけれども、1時間ほどみんな見て、1時間に流れ星が8個も9個もあった。生まれてからずっと流れ星なんて見たこともないのに、こんなに見えたと。子供たちが感動で涙をぼろぼろ流しているという姿を毎年目の前にさせていただいておりますけれども、子供たちがそういう中から、宇宙はどうなっているんだろうとか、行ってみたいとか、研究してみたいと、興味、関心を持つ、好奇心や夢を残すのが科学技術であると私は実感しているところでございます。

    また、先般、天体望遠鏡400年という、このようなポスターを全国の学校や科学館に配付して、各種イベントも行われると承知いたしておりますけれども、ますます子供たちが、宇宙に限らずさまざまな分野の研究を志す契機となってくれればと願っているところでございます。

    また、今月から新しい学習指導要領が一部先行に実施され、算数、数学、理科は授業数を増やしてやっているところでございますけれども、いろいろな意味で本年はほんとうに科学技術・学術にとって重要な年になると思います。ほんとうに委員の皆様方にはいつもご意見をいただき、ご指導いただいておりますけれども、今後ともご意見、ご指導賜りますよう、心からお願いさせていただきたいと思います。本日はほんとうにご苦労さまでございます。

【野依会長】 どうもありがとうございました。

    山内副大臣、浮島政務官におかれましては、ご公務の都合で、本日はここでご退席ということでございます。どうもご苦労さまでございました。

              (山内文部科学副大臣・浮島文部科学大臣政務官退席)

【野依会長】 それでは、議事に入ります前に事務局から委員等の紹介、配付資料の確認をお願いしたいと思います。

【坪田企画官】 第5期の総会に初めてご出席いただきました委員をご紹介させていただきます。

    最初に、唐木委員でございます。

【唐木委員】 唐木です。

【坪田企画官】 笹月委員でございます。

【笹月委員】 笹月です。

【坪田企画官】 深見委員でございます。

【深見委員】 よろしくお願いいたします。

【坪田企画官】 山脇委員でございます。

【山脇委員】 山脇でございます。よろしくお願いいたします。

【坪田企画官】 また、事務局に異動がございましたので、ご紹介させていただきます。4月1日付で国際交流官に森田正信が着任しております。

    資料につきましては、資料1から資料6-5、参考資料1から参考資料5までが議事次第のとおり入っていると思います。

    なお、参考資料3につきましては冊子につき資料番号を付しておりませんので、ご留意願います。

    欠落等の不備がございましたら、事務局までお知らせ願います。

【野依会長】 どうもありがとうございました。

    それでは、議事に入らせていただきます。議題の1は各分科会等の審議状況についてです。2月に第5期、最初の総会の後に各分科会や総会のもとに置く部会、委員会が開催されまして、分科会長等が選出されております。事務局から分科会等の概況の説明を受け、分科会長からご報告をお願いしたいと思っております。

【坪田企画官】 資料1をごらんいただきたいと思います。

    最初のページに組織図を示しております。この科学技術・学術審議会のもとに6分科会、2部会、2委員会が設置され、それぞれ発足いたしております。

    次のページ、2ページでございますが、こちらに分科会長、分科会長代理、主査、主査代理を一覧化したものをつけてございます。これら会長の指名によるもの、また、互選によるもので、それぞれ着任をいたしております。

    次のページ、3ページ以降でございます。今期立ち上げの総会が2月2日にございましたが、それ以降、順次、各分科会、各部会、各委員会が立ち上がり、昨日までにすべての分科会、部会、委員会で1回ないし2回の開催を見てございます。

    私のほうからは以上でございます。

【野依会長】 ありがとうございました。

    それでは、分科会等での審議について、特筆して総会に報告したいと伺っている研究計画評価分科会、学術分科会からご報告いただきたいと思います。

    初めに、研究計画評価分科会の大垣分科会長、よろしくお願いいたします。

【大垣委員】 大垣でございます。

    それでは、資料1の2ページと3ページにあります研究計画評価分科会の資料に基づきまして状況を報告いたします。

    研究計画評価分科会は、平成21年2月20日に第30回会合を開催し、2ページ上にあります科学技術振興調整費審査部会以下3つの部会、それからライフサイエンス以下9つの委員会を設置し、科学技術振興調整費の審査及び評価、また研究開発分野ごとの調査検討を引き続き実施することといたしました。本分科会では、文部科学省の研究開発課題の事前、中間、事後評価を実施することとしており、そのために必要な手順等を示した研究計画評価分科会における評価の進め方を今般改正し、さらに効果的、効率的な課題評価を実施していくこととしております。

    また、分科会の効率的、合理的な運営を進めるとともに、分野別委員会が取りまとめる評価結果などを踏まえながら第4期科学技術基本計画を見据えた中長期的な施策の検討を行うこととしております。

    以上でございます。

【野依会長】 ありがとうございました。

    次に、学術分科会からですけれども、きょうは佐々木分科会長、白井分科会長代理がご欠席でございますので、事務局から分科会長のかわりに報告していただきます。

【門岡学術企画室長】 それでは、事務局よりご報告申し上げます。

    佐々木分科会長が急遽ご欠席になりましたので、分科会長のほうから学術分科会の動きとして、これについてはきっちり説明をしておくようにと言われましたので、その部分についてご説明させていただきます。

    学術分科会のほうでは、資料1の1ページ、2ページ目、組織図とその部会の設置等ございますけれども、4ページのところに学術分科会における、まず学術分科会の第1回の委員会の内容、その主な意見等が付されております。第5期におきまして、今回新たに学術の基本問題に関する特別委員会が設置されました。この委員会は、佐々木分科会長みずからが主査を務められ、人文社会科学から自然科学に至る幅広い分野の研究者の方々にご参画いただいて、学術の意義、特性、そういった根本的なものから、学術の振興のための施策の方向性という具体的な論点までご審議をいただくことを趣旨としております。

    これまで、学術研究の意義、役割、研究環境基盤の在り方、研究費の在り方、3回審議を行っておりますが、委員の方々みずからさまざまなご発言を賜っておりまして、活発な議論が展開されております。その中で、資金の問題だけではなく、体制の問題、我が国の学術研究を推進するにはどういった体制で推進したらいいのかとか、かなり大所高所的な、今の日本の体制をどうしていくかというところまで議論を広げてやっていきたいということで、この学術の基本問題特別委員会を佐々木分科会長のほうで積極的に審議していきたいというふうに思っております。

    6月の総会のときにはその審議の状況について、またご報告できるかと思っております。

    以上です。

【野依会長】 ありがとうございました。

    これまでの報告に関して何かご意見、ご質問ございますでしょうか。どなたからでも結構ですが。ございませんか。

    それでは、次の議題に参ります。議題2の最近の科学技術・学術の動向についてです。前回の総会におきまして、我が国の科学技術や学術をめぐる状況を適切に把握していくために、日本学術会議の会長にも総会にご出席いただくということにいたしました。本日はご多忙の中で、金澤一郎日本学術会議の会長にご出席いただいておりますので、まず金澤会長から日本学術会議が現在取り組んでいる主な審議課題等についてご紹介いただきまして、その後、事務局から平成21年度の補正予算及び基礎科学力強化委員会等についてご報告いただきたいと思っております。

    現在の日本学術会議での我が国の学術研究の方向、長期展望を示すために、審議は本日の第4期科学技術基本計画の検討とも関係してまいると思っておりますので、金澤会長、ご説明よろしくお願いいたします。

【金澤日本学術会議会長】 座っていてよろしいんでしょうか。

【野依会長】 どうぞ。

【金澤日本学術会議会長】 金澤でございます。本日は学術会議が現在取り組んでおります課題につきまして、まずは政府・社会等に対する提言などという、この点に関して5つほど、そして裏にありますが、国際的な活動について1つご報告を申し上げたいと思います。

    まず最初に、日本の展望ということでございますが、日本学術会議はかつて平成14年でありますが、吉川会長のころに『日本の計画』、そして、次いで平成17年に黒川会長のもとで『日本の科学技術政策の要諦』というものを取りまとめました。これは科学者の視点から社会のあり方等について提言を行ったものでございますけれども、それはいずれも中間報告という位置づけをみずからなさっておられました。それをもう少し進めようではないかということで、昨年4月に『日本の展望』というのをこれから作成していこうということで、その委員会をつくりました。現在5回ぐらいの会合を持ちまして、全体構想がまとまって、今審議が進んでいるところでございます。

    この報告の一部は、今野依会長がおっしゃいましたように、第4期の科学技術基本計画等に反映されればいいと思っている次第でございます。

    その内容につきましては、次の紙、1ページから6ページまでございまして、大まかに説明してございますが、要するに、人文・社会系及び生命科学系、さらに理工学系という3つの系からなっておりますが、それぞれの場所で、それぞれの専門性を持った議論をすると同時に、これは縦糸と申しますが、3ページにございますように、全体を通しての横糸ですね、例えば知の創造、あるいは基礎科学の長期展望といったような全体にわたるテーマを10ほど選んで、現在議論しているところでございます。

    2番目に学術の大型研究計画に関する審議ということでございます。従来、大昔は、学術会議としてはほんとうにこの問題について取り組んできたんだと思いますが、比較的最近は、自分たちの分野に、自分たちの田に水を引くというような感覚もあって、これは控えようではないかということになっていたと思います。ただ、それが考えようによっては、自分たちの中での、つまり、学者の中での議論を避けているのではないかという考え方もございまして、むしろ私の代になりましてから積極的にこの問題について取り組もうではないかという風に考えました。決して順番をつけるだけが能ではないので、賛成する人がいれば、当然計画に危惧を抱く方もあるわけでありますから、同じプラットフォームできちんと議論をしようではないか。そして学術的な意味での評価を総合科学技術会議なり、上のほうの組織に議論のための資料としてさしあげるというぐらいのつもりで、議論しています。これは現在進行形でございます。

    3番目に、研究者の立場からの知的財産政策等に関する審議、これは読んで字のごとくでありまして、現在、大変大事になっております知的財産の戦略に関して、これは毎年評価を受けるのだそうでありますが、それについての審議をしております。

    4番目に、学術誌問題に関する審議、これは要するに、外国語雑誌が大変高騰しております上に、何かパッケージでないとなかなか売ってくれないというようないろいろな問題が出ております。また、オープンアクセスの時代にもなっている、さらに、日本発の国際学術誌が必要ではないかという議論も今でもきちんとある。そのような中で、我々はどう対処すべきかについて根本から議論して、ただ、これは何回も議論していることでありますので、これを最後にしようというぐらいのつもりで議論しております。

    5番目に、大学教育の分野別質保証のあり方に関する審議、これはこの文部科学省からの審議依頼を受けたものです。これまでに医学、それから看護学に関しては、コアカリキュラムのようなものができているかと思いますが、それと同じようなことが、つまり質を担保するための議論が他の分野でどうできるだろうかというような審議の依頼を受けて、今審議をしている最中でございます。あと1年半ぐらいでまとめをする予定でおります。

    最後に、国際的な関係に関してでありますが、G8サミットというのはご存じだと思いますけれども、それに向けて、G8のアカデミーが知恵を絞りまして、サミットに向けて2つほどのテーマで共同声明を発するというのが2005年の、グレンイーグルス以降の習慣になっておりました。昨年度は日本が主催したわけでありますが、本年度はイタリアで会議が開かれまして、共同声明づくりに今取り組んでおります。今年のテーマはエネルギー問題と移民問題でありますが、これを申し上げていいかどうかわかりませんが、エネルギー問題に関してはほぼコンセンサスに至りそうなのでありますが、実は移民問題が、ちょっと各国の思いが一致しそうになくて、もしかすると流産するかもしれない。これは忘れていただきたいと思いますが。そんな状況でございます。

    以上でございます。

【野依会長】 ありがとうございました。

    それでは、今の金澤先生のご説明にご質問ございますでしょうか。

    大変多岐にわたる問題を検討いただいておりますが、お任せしておいてよろしゅうございますね。

    それでは、ご質問がないようですので、次に参りたいと思います。次に、事務局から平成21年度の補正予算及び基礎科学力強化委員会について報告してください。

【戸渡政策課長】 補正予算の概要につきまして、資料3に基づきましてご説明をさせていただきたいと思います。

    平成21年度補正予算につきましては、昨日27日に国会に提出されたところでございます。資料3は、そのうち文部科学省関係の補正予算の概要をまとめた資料でございますが、そのうち科学技術・学術関係について、ご説明させていただきます。

    2ページ底力発揮・21世紀型インフラ整備ということで、(1)のところで理科教育設備等の整備で200億円、(2)の大学等における教育研究施設設備の高度化等につきましては、先端的教育研究設備、あるいは基盤的教育研究施設設備の整備ということで、それぞれお手元の資料のような経費を計上してございます。

    また、教育研究高度化のための支援体制整備ということで、研究支援者の活用、設備等の整備ということで、300億円を計上してございます。

    また、(3)のところでは、若手研究者等の海外への留学支援として、若手研究者、大学院生等の海外派遣の支援のための基金を独立行政法人に設置するということで300億円。

    また、(4)のところでは、世界最先端研究支援強化プログラム、研究者最優先の研究システムとして、従来にない全く新しい研究者優先の制度を創設するということで、2,700億円の基金を設置し、さきに申し上げました海外派遣と合わせ、3,000億円の基金を日本学術振興会に設けるということを予定しており、今国会に関連の学術振興会法の改正法案を提出させていただいているところでございます。

    また、(5)のところでは、成長力強化のための高度人材活用ということで、ポスドクの産業界での積極的活用等のための経費として17億円を計上してございます。

    3ページに参りまして、環境制約・資源制約の突破のための研究開発の推進については、環境技術開発拠点の施設整備ということで、物質・材料研究機構の施設整備等で80億円といったことなど合わせまして158億円を計上してございます。

    また、各都道府県に地域産学官共同研究拠点を整備するということで695億円。

    先端分野の国際競争力強化と世界最高水準の研究環境整備ということで、世界トップレベル研究拠点の施設・設備等の整備、あるいは素粒子・原子核物理学の振興のための必要な施設整備等で合計276億円を計上してございます。

    つぎに、4ページに参りまして、健康長寿・子育てについては(3)健康長寿社会の実現に資する研究開発の推進ということで、iPS細胞等を用いた再生医療の実現、あるいは脳研究加速のための実験設備整備、また橋渡し研究拠点の支援機能強化といったことなどで143億円を計上しており、文部科学省全体で今回の補正関係の経費が1兆3,174億円でございますが、うち科学技術・学術関係の経費が現在まだ整理中ではございますが、約6,562億円という形になっておるところでございます。

    補正関係の概要は以上でございます。

    続きまして、基礎科学力強化委員会の関係につきまして、ご説明させていただきます。

【門岡学術企画室長】 それでは、基礎科学力強化委員会についてご報告申し上げます。

    まずお手元の資料4-1をご覧いただきたいと思います。大臣が本部長の基礎科学力強化本部が文部科学省の中に1月に設置されまして、そのもとに基礎科学力強化に向けた戦略を策定する際に大胆なご提言等をいただくため、有識者からなる基礎科学力強化委員会が設置されました。資料4-1の裏に別紙として名簿がついております。野依会長に座長をお務めいただき、科学技術・学術審議会の委員の先生方からもご参画をいただいております。

    4月8日に第1回の委員会が開催され、基礎科学力強化戦略策定に向けたスケジュール、また、戦略策定に向けた視点についてご議論いただきました。その際、委員の先生方から出ました主な意見を簡単にまとめたものが資料4-2でございます。基礎科学の意義、研究人材の養成、研究環境の整備等についてさまざまなご指摘、ご意見等をいただきました。今後、論点を絞って3回程度ご議論いただき、本部における戦略の策定に向けて提言をまとめていただくことになっております。

    以上です。

【野依会長】 ありがとうございました。

    それでは、ただいまの報告にご質問ございますでしょうか。

    1つお伺いしたいのですが、戸渡課長のご説明がありました補正予算の件、2ページの(3)、(4)ですね。この2つのことに関して、独法に基金を設置するということがありますけれども、法律的にこういうことが可能になったんですか。それとも法改正が行われるんでしょうか。つまり、今まで研究開発あるいは教育を行うについて、単年度予算で運営していくということにさまざまな問題があったわけですけれども、今後はこういう基金をつくって多年度にわたって運用していくということが可能になるのか。ちょっとそのあたりを教えてください。

【戸渡政策課長】 今回につきましては、若手研究者、大学院生等の海外派遣の支援のため300億、研究者優先のシステムのための2,700億、いずれも独立行政法人日本学術振興会にその基金を置くということで、独立行政法人日本学術振興会法につきましては基金を置くという法律改正を行う必要があるということで、そのための法案を今国会に提出したところでございます。

    それで、基金をの資金につきましては補正予算で出しますので、5年の間でその基金を使って所定の事業を行うということで、できるだけ弾力的な資金運用等ができるように、その基金の運営を図っていく。そういう制度設計を今進めているというところでございます。

【野依会長】 3年か5年かかって基金を取り崩していくということですね。一たんそういうことができますと、学術振興会には、今後いろいろなものを基金として置くということはできるわけですか。

【戸渡政策課長】 今回の法改正につきましては独立行政法人日本学術振興会法の付則におきましてこれを設けるという形になってございまして、平成26年3月31日までの間、この先端研究助成基金、研究者海外派遣基金を設けるという時限つきでの設定になっておりますので、何でも使える基金という形で置かれているわけではないということでございます。

【野依会長】 本件に限るわけですか。

【戸渡政策課長】 本件に限りましては平成26年3月31日まで基金はございますので、その間での弾力的運用が行われるように制度設計していくということでございます。

【野依会長】 ほかにご意見はありますか。石田委員、どうぞ。

【石田委員】 今、分科会長からご質問がありましたように、時限といえどもとりあえず基金というメカニズムができるということにつきましては、大きな進歩であろうかと思います。

    それから、全体、ここで六千数百億の予算が補正で手当てされるということは、これをもってしてもまだ第3期25兆円には達してないと思いますけれども、とにかく補正という機会をとらまえることができたということは非常にすばらしいことかと思います。

    これにつきましてはいろいろなジャーナリズム等にも取り上げられておりますけれども、かなり政治家の先生方の主導ということもあるということだと思いますが、これも政治家の方々もこういうことに非常に関心を持たれて、こういう措置を講じられたのは極めて結構でありますけれども、他面、この審議会、あるいは総合科学技術会議等、むしろ科学技術の専門の先生方の意見もなるべくうまく吸収して、全体政策が、一面こういうことをしますから、偏るなというのは難しいんですけれども、バランスのよくとれた、なおかつ政治主導が貫けるような、なおかつ、科学者の意向が十分反映されたようなものにしていただくというのは結構難しいことだと思いますけれども、ぜひ文科省でもそういうふうに努力していただきたいと思います。

    以上です。

【野依会長】 どうもありがとうございました。

    じゃ、北澤委員、どうぞ。

【北澤委員】 今回の基金の件に関しましては、私は研究開発という立場からは非常に重大に受けとめて、ぜひ有効に生かしていただきたいと思います。この基金の考え方というのは、実は、私、文科省の不正経理問題の委員をやっておりました時以来思い入れがあります。そのときに単年度会計という「最後に使い切れ」という、こういう予算の使い方とともに、「流  用の禁止」:研究開発においては不確かなことがあるのに予算を流用してはならないという部分と、合算してはならない:小さな研究費がたくさんあるわけですが、それを合算しないと実際の研究箇所では研究できないということが多い。「年度末ゼロ」、「合算禁止」と「流用禁止」という、この3つが研究費不正経理の要素であるということがわかっていました。それを逃れるすべは、現在の単年度会計の中ではなかなか難しい。私のおりますJSTも泣く泣くかなり研究者を縛らないとならない。不正を全くなくやっていくというのは結構難しいことだというのがわかっていながら、それを強要していたわけでありますけれども、台湾が基金という方式によって予算の単年度化を逃れているということがわかりました。それを調査にも行っていただきまして、調査した人たちが内閣府や国会の議員の人たちとか、いろいろな方にどういう形でそういう基金方式というのがとられているかということをお話ししたような面があります。

    まず、単年度会計を逃れるということ。それから、合算や流用に関する方式を今回の補正を通じてぜひやってほしいというリクエストが私たちファンディングエージェンシーに対して、産業界及び国会議員の方々からあったと受け止めています。私たちはこれをほんとうに重く受けとめて、日本の科学技術行政の中で、この経理の問題というのを、ぜひ積極的に対策を立てたいと思います。そうすれば、今回の補正というのは、私たちにとっては100年に1度の危機ではあるけれども、それをチャンスにできると思います。ぜひそこのところを積極的に対処していってほしいなというふうに思います。

【野依会長】 ありがとうございました。

    じゃ、柘植委員、どうぞ。

【柘植委員】 柘植でございます。文部省関係の補正予算だけで1兆3,000億で科学技術分野が約6,500億、非常に心強く感じていますが、ぜひとも科学技術関連分でもいいので、ほかの省も含めて、科学技術的な面で俯瞰的にどういうところに力点で置かれるかというのを、本科学技術・学術審議会の場としては、文部科学省の投資分だけじゃなくて、経済産業省とか、厚生労働省、科学技術の分野の俯瞰的に見たほうがいいと思います。本来ならば、総合科学技術会議の役目だと思いますので、総合科学技術会議につくってもらって、この科学技術・学術審議会の委員も俯瞰的に見ることが必要かと感じます。

【野依会長】 ありがとうございました。

    ほかにございませんでしょうか。

【戸渡政策課長】 今の柘植委員からのご指摘でございますが、大変恐縮でございますが、関係省庁に照会しているところですが、回答を得ていない省庁もあり、全省庁の集計ができていないために本日間に合いませんでした。次回の会議等に向けまして、全省庁の概要も含めた資料を準備させていただきたいと思っております。

【野依会長】 原山委員、どうぞ。

【原山委員】 先ほどの基金の件なんですけれども、やはり新たな仕組みとして考えると非常に重要なことでありますが、緊急性を持って、今回補正予算という形でもって予算を通す。肝心なのはこれからどういう制度をつくって、どのような形でもって運用するか、非常に重要なことなので、時間がないところでというのは重々承知しておりますが、今後役に立つようなシステムというのをつくっていただきたい。何かというと、現場では混乱することが目に見えているんですね。これまでのシステムに複数のやり方が出てきて、現場でもって、まさに不正する意図はないんですけれども、実質的に結果として間違ったことをしてしまうということが多々あります。またさらに新しい仕組みであって、これは単年度でなく、ルールが全く違うということになるので、現場が混乱すると思われるので、その点はしっかりしていただきたいと思います。

    もう1点は、全体の話なんですから、これだけの額を緊急に決めたというのは非常に大変な仕事をなさったと思うんですが、問われるのはこの結果というか、成果ですね。これをやった効果がどこにあるかということが国民から問われるわけであって、これに対する答えというのは、すぐに出るものもあれば、中期的に見なくてはいけないものがある。この辺の評価体制をしっかりしていただかないと、補正予算だからといってすべてがいいというわけではないわけなんです。もちろん施設にしろ、これまで手をつけられなかったことに手をつけるというのは非常に重要なんですけれども、投資としての考え方、相当入っています。投資効果というものを、評価という視点からしっかりしていただきたいと思います。

【野依会長】 ありがとうございました。

    ほかにございますでしょうか。では、野間口委員、どうぞ。

【野間口委員】 先ほど石田委員もおっしゃいましたけど、補正という形であれ、これだけの予算を考えることができるというのは大変結構なことだと思うんですが、大学等で環境整備、施設整備を補正でやりますと、その時点では充実するのでありますけれども、期間が終わった後、施策のサステナビリティーというんですか、持続性といいますか、そういった面で少し問題があるのではないかと思います。

    私、産業界におりましたころ、我が研究室は分析機器、世界第一級のものがそろったけれども、産業界からの依頼が途絶えたので、宝の持ち腐れだ、そういう話もいろいろな大学から、特に地方の中堅大学等から聞いたことがありまして、これはやっぱりもったいないことだなと。これからやろうとすることが将来どういうふうにつながっていくんだという展望を持ちながら、生かした投資に、お金の使い方になるように、ぜひ指導して、そういうふうにガイドしていただきたいなと思います。

【野依会長】 私も野間口委員がおっしゃったとおりだと思います。サステナビリティーということが大変大事で、特に私が懸念しておりますことは人の問題です。2,700億円で膨大な人数の研究者が雇用されるわけですが、3年あるいは5年で、そのプロジェクトが終わった後に、その先どうなるんだということですね。今、分析機器のことをおっしゃったけれども、物は置いておいていいわけですけれども、人はそのまま置いていくというわけにいかないわけで、何らかの形へその先で活躍していただくことが必要です。ポスドク1万人計画、大変結構だったわけですけれども、その負の効果が出ているところです。さらにこういうプロジェクトが始まって、2,700億のうち人件費はどのぐらい、何千人分でしょうね。膨大な……。

【樫谷委員】 それは基金ですか。

【野依会長】 基金です。おそらく1,000億円ぐらいは人件費に多分なると思いますね。

【樫谷委員】 運用部分だけを使うんじゃないんですね。

【野依会長】 これですべてですけれども、人件費が相当占めることになると思います。

【樫谷委員】 基金というのはファンドでして、それを運用して、運用益だけを使えるということじゃないんですか。

【野依会長】 違うんです。3年、5年で取り崩して、みんな使う。

【樫谷委員】 そうですか。使い切りが可能な基金ということですね。

【野依会長】 そうです。

    ほかにございますでしょうか。

    それじゃ、大臣、いらっしゃいましたので、早速でございますけれども、ごあいさつを賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

【塩谷文部科学大臣】 皆さん、こんにちは。本日は第29回の科学技術・学術審議会の総会ということで、野依会長をはじめ委員の皆さん方にはほんとうにお忙しい中、ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。

    ご案内のとおり、補正予算が昨日提出されて、きょうは衆参で代表質問をやって、4時から今度参議院ということで、ゆっくり出席できてなくて申しわけないですが、皆様方には熱心な審議をお願いしたいと思っております。

    大変経済が厳しい中、平成20年度においては、第1次、第2次補正をしっかりと仕上げて、さらに21年度予算をスタートしたわけでございまして、厳しい状況の中で、新たなスタートで、我々としても、将来に向けての成長にしっかりと取り組んでいかなきゃならぬと思っているところでございます。特に科学技術、また、それに伴う人材等は将来の我が国の発展に間違いなく重要な位置づけがされるわけでございまして、ますます私どもとしては皆さん方のいろいろなご意見をもとにしっかりと科学技術政策、学術政策をやっていかなければならないと思っているところでございます。

    特に今回の補正につきましては、経済が厳しいだけに思い切った額の補正を積み上げまして、科学技術、研究開発に対しての新しい仕組みとして、学術振興会に基金を設けて長期的な研究活動をやっていただこう。また、若手の研究者にできるだけ多く海外へ出ていただくような仕組みも新たにスタートさせようということで、こういった新しい試みに向けて、皆さん方にもいろいろなご指導を賜りたく思っておるところでございます。

    また、昨年、ノーベル賞、4人の受賞者があったわけでございますが、何といっても基礎科学力というものが改めて重要だったということを我々は認識したわけでございまして、本年は私どもにとって基礎科学力強化年ということを位置づけまして、省内にも推進本部を立ち上げ、そして、つい先日、基礎科学力強化委員会ということで、改めて野依会長にもお願いして、有識者の皆さん方にご意見を伺って、6月、7月ぐらいにはその戦略構想を練り上げてまいりたいと考えているところでございます。

    いずれにしましても、大変な時代を迎えて、これから日本が新たな成長に向かう、そういったことをしっかりと考えていかなければならないわけでございまして、科学技術創造立国調査会等々もやっておりますが、基本法を踏まえて、第4期に向かって新たな議論を始めていただいて、来年4期目の案をつくっていただくようになるわけでございますが、ここはほんとうに国際競争力の面、そして、時代が大変に地球的規模の環境問題、あるいは資源、エネルギー問題等々、大変な基本的な問題を抱えての状況になりますので、ぜひ我々としては日本が一番得意とする科学技術の面でしっかりと世界のリーダーシップをとって、世界に貢献していく。そして、地球、人類に対して、しっかりと取り組んでいかなければならぬと思っておりますので、野依会長をはじめ委員の皆さん方には改めて4期目に向けての議論をスタートさせていただいて、将来に向けての1つの確固たる力強い方針を打ち上げていただきたいと思っているところでございます。

    特に厳しい状況だけに、私どもとしても政治の上でしっかりと取り組んでまいる所存でございますので、今後ともよろしくお願いを申し上げまして、あいさつだけでまた国会のほうに戻りますが、よろしくお願い申し上げます。ほんとうにありがとうございます。

【野依会長】 どうもありがとうございました。大臣に熱い思いと激励のお言葉を賜りました。ご多用のところ、わざわざおいでいただきましたけれども、これからご公務でまたお帰りということでございます。どうもありがとうございました。

【塩谷文部科学大臣】 どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

                            (塩谷文部科学大臣退席)

【野依会長】 先ほど樫谷委員からのお話もございましたが、少し基金についてご説明をいただきたく思います。基金というのは、一般には元本を担保した上で運用益を活用するということでございますけれども、これは基金を設けて、それを3年あるいは5年で取り崩して使ってしまうということでございます。磯田局長からご説明があります。

【磯田研究振興局長】 研究振興局長の磯田でございますが、先ほどご説明させていただきました資料3の2ページ目をもう一度お目通しいただきたいと思います。2ページ目に、先ほど大臣からもご言及がありました事業でございますけれども、(3)の3つ目の点でございます。底力発揮・21世紀型インフラ整備の中の(3)、留学生の受入れ促進等の中の黒点の3でございますが、若手研究者・大学院生等の海外派遣支援に300億円。それから、(4)の研究者最優先の研究システムに2,700億円ということで、今回の21年度補正予算におきましてそれぞれ5年間基金を取り崩しまして300億、それから、2,700億を使うということで、予算案を今提案させていただいておりますし、また、昨日、この基金を独立行政法人日本学術振興会に設置するということで、学振法の改正法案を国会に提出させていただいているところでございます。

    それで、さらに若干、この事業の説明をさせていただきますが、1つは派遣でございますけれども、研究者、大学院生等につきまして、現在、学振で派遣事業がございますけれども、その派遣事業は個別に若手研究者を審査しておりますけれども、これを拡充するということと、機関が実施しておりますさまざまな派遣プログラム、こういうものを機関を通じて支援していくということで考えているのが1つでございます。

    2点目は、研究者最優先のシステムでございますが、先ほど北澤委員からもご説明がございましたが、これまでの制度よりも研究者の視点を中心にするということで、まず、総合科学技術会議のもとで新たにつくられます選考の委員会、有識者が加わる等で、今、委員の内容等については総合科学技術会議でご検討されていると伺っておりますが、そこにおきまして、さまざまな調査等の上で、最先端の世界をリードする研究分野、あるいは研究課題というものと中心的な研究リーダーというものを選定するということでございます。選定されました中心研究者のもとで、共同して研究を支援する支援機関を公募で募ることになります。研究支援機関につきましては、独法の研究機関、あるいはエージェンシー並びに大学、それから民間企業の研究所等も視野に入っておりまして、そのような研究支援機関の候補者が手を挙げた中から中心研究者が最も自分の適切なパートナーを選んで、そして、研究を実施するということでございます。5年間の基金をつくるということでございますので、見通しを持った人材の配置、それから研究費の使用というようなことが可能になるということでございまして、制度全体としてはこれまでなかなか壁がございました、例えば単年度主義の問題等につきまして抜本的な改善を加えるということともに、常に研究者を中心に、研究者が研究に専念できる体制、サポートシステムを、サポート機関がしっかり実施していくということを考えております。

    当然、このような柔軟なシステムでございますので、最終的に終了しますと、総合科学技術会議のほうで厳正なご審査、あるいは評価をしていただくということで考えております。基金でございますので、基本的には使途が特定されているわけではございませんが、想定されている使用先としては人件費、研究費、設備費等々が予想されるものと思っております。この制度設計については、現在、内閣府の総合科学技術会議において精力的にご検討いただいているというところでございます。

    なお、独立行政法人日本学術振興会に基金のお世話をさせていただくのは、独立行政法人日本学術振興会がこれまで若手研究者の派遣事業というプログラムと研究助成をしているということで、独立行政法人改革の中で最も効率よくこの事業を実施していただくであろうということと、それから、研究支援機関として立候補されるということがないだろうということで、独立行政法人日本学術振興会に依頼しているというものでございます。

    また、進捗状況については毎年度国会にご報告して、説明責任を果たしてもらいたいというぐあいに考えているところでございます。

    お時間をとりまして恐縮でございます。

【野依会長】 どうもありがとうございます。よろしゅうございましょうか。北澤委員。

【北澤委員】 今回の補正は、2つ本質的な問題を含んでいるかと思います。第1点は、野依会長が言われたように、今回、こういう形で、平均すれば年間600億円というエクセレントなお金が5年間だけ出る。その後をどうしていくかという問題が1つ非常に大きなことで、研究コミュニティにとっては大きなディスターバンスを受けるわけですから、その後どうしていくかということを我々としては考え努力していかなくちゃいけない。

    第2点は、これを基金という形で学振にお預けすることは単年度会計の呪縛から逃れたということを意味している。このことはものすごく大きい。つまり、今後、科研費を毎年2,000億ずつこの基金のほうにもしも入れることができるとすると、科研費は単年度会計ということに縛られなくて済む。それで、これができるか、できないかは、日本国の研究制度がどれだけフレキシビリティーを得るかどうかという観点において非常に大きい。

    さらにもう1点、補正で要求されていることは、省庁間の壁を超えて、もっと各研究プロジェクトがやりやすいようにということです。その裏には、流用の問題とか、合算の問題がありますので、そこのところをいかにファンディングエージェンシーもフレキシブルに対処できるかということは非常に大切なことです。それを今回のこの補正をきっかけに、法律的にそれが「補正なら許される」のであれば、ぜひ知恵を使って、日本の研究制度がこれからもっとやりやすくなるようにぜひ考えていっていただきたい。私自身も真摯に汗をかきたいと思います。今回の一番重要な問われるところじゃないかなというふうに思います。

【野依会長】 佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】 さまざまな問題はありますけれども、しかし、こういう機会に学術・科学技術の分野で資金を得るということは大変ありがたい、慶賀すべきことでありますし、また、今北澤委員がおっしゃいましたように、ひょっとしたらうまくブレークスルーも得られるかもしれないという、いいきっかけとしてぜひ活用していただきたいと思うわけでありますが、1つだけ気になりますのが、これまた人文社会科学系というのはまことに影が薄い。景気浮揚というようなことから考えますと、この金を使う題目といいますか、課題の選定もおそらくあまりそちらには目が行かないのではないのではないかという心配があるわけですが……。ただ、科学技術の発展も社会システムその他がうまくかみ合っていかないと力として十分発揮できないわけでありますので、どういう時点で、どういう形でという具体的なことはわかりませんけれども、ぜひ人文・社会科学の分野の学術ということについても頭に入れていただくことを希望したいと思います。

【野依会長】 どうもありがとうございました。

    それでは、次に参りたいと思います。議題3でありますけれども、第4期科学技術基本計画に向けた検討についてであります。先ほど大臣から審議要請の中にありましたように、第4期の科学技術基本計画の検討におきまして、本審議会での審議は重要な役割を果たすものと考えております。現下のもろもろの情勢を踏まえつつ、我が国の将来の科学技術政策のあり方を展望した幅広い検討が必要だろうと思います。まず、事務局から第4期の科学技術基本計画の検討に向けて用意した資料について説明してもらいたいと思います。よろしくお願いします。

【柿田計画官】 それでは、資料6-1から資料6-4まで準備しておりますが、まず資料6-1をごらんいただきたいと思います。「第4期科学技術基本計画に向けた検討スケジュールについて」でございます。

    現行の第3期科学技術基本計画は平成18年3月に閣議決定され、平成23年3月までの期間となっております。第4期基本計画が平成23年3月の閣議決定ということになりますが、総合科学技術会議における議論に先立ちまして、文部科学省として本審議会におきまして以下のスケジュールでご議論いただき、年内を目途に文部科学省としての取りまとめを行いたいというように考えております。後ほどまたご説明いたしますが、本日、基本計画特別委員会の設置をお願いしたいと思っております。6月から基本計画特別委員会での審議を開始いたしまして、年内を目途に第4期基本計画の重要事項の取りまとめを行いたいというスケジュールでございます。

    資料6-2でございますが、差し当たって4期基本計画の策定に向けた検討の視点の例ということでまとめた資料でございますが、まず基本的な考え方でございます。平成7年に科学技術基本法が成立して以降の我が国の科学技術政策の成果、課題を検証し、また我が国あるいは世界の科学技術を取り巻く状況等を踏まえ、また、将来の我が国のあるべき姿を展望しながら、今後の科学技術政策のあり方について検討し、4期基本計画の策定に資するという基本的な考え方で臨みたいと思っております。

    2番目に検討の視点例でございますが、1.基本認識の(1)ですが、我が国を巡る諸情勢ということで、世界経済の激動、あるいは地球環境問題、こういった地球的な課題の顕在化等々、さまざまな状況変化、これらをどのようにとらえ、また、どう対応していくかという視点でございます。

    (2)はこれまでの科学技術政策の評価でございます。特に第3期基本計画に基づいて進められてきた科学技術政策の主な成果、課題の評価をしっかりと行っていくということです。

    (3)は、国のビジョンと科学技術政策の在り方。我が国が中長期的に目指すべき国のビジョンとしてどのようなものを位置づけるか。そのビジョンに向けて、科学技術政策はどうあるべきか。どのような施策を講じていくべきかという視点でございます。

    (4)は政府研究開発投資ということで、現在の第3期基本計画では25兆円の投資目標を掲げておりますが、第4期基本計画における投資目標については非常に重要な議論を必要としております。

    それから、次のページは個々のテーマでございます。2.科学技術の戦略的重点化ということで、そもそも科学技術は知的・文化的価値をはじめ、さまざな価値を生み出すものでありまして、今後ともより一層の価値創造を図っていくことが重要でありますが、この観点からどのような重点化を進めていくかということで、(1)、学術研究をはじめとする研究者の自由な発想に基づく研究等、いわゆる基礎科学力強化の観点も含めて、基礎研究をどう位置づけ、どのように進めていくか。

    (2)、いわゆる重点化でございますが、政策課題対応型の研究開発。現在では重点推進4分野、また戦略重点科学技術という考え方で重点化が進められておりますが、この重点化の考え方について、第4期基本計画ではどのように考え、どのように進めていくかという点でございます。

    3.科学技術システム改革でございます。科学技術創造立国の実現、また地球、人類の持続的発展に貢献していくためには、科学技術によるイノベーションの創出、また、これを通じた国際競争力の強化が必要であるわけですが、これらの実現に向けて、科学技術システム改革をどのように進めていくか。

    (1)人材の育成・確保問題、(2)イノベーション・システム改革、(3)世界的研究拠点の形成、(4)研究環境・基盤整備、それぞれ重要な事項について検討していく必要があります。

    3ページでございますが、4.で、科学技術の国際活動の戦略的推進。科学技術外交の積極的な展開をはじめといたしまして、国際科学技術協力の推進、研究人材の国際的な流動化の強化。これらをはじめとして国際活動の戦略的推進をどのようにしていくか。

    5.に科学技術推進体制の在り方ということで、効果的、効率的な施策の推進のために総合科学技術会議と各省庁の連携、調整のあり方についてどう進めていくかということを視点の例としてまとめております。

    資料6-3に参りますが、「我が国の科学技術を取り巻く現状に関するデータ集」ということで、各項目別に幾つかのデータを取りそろえております。時間の関係もございますので、かいつまんでご紹介させていただきます。

    右上にページ数を打っております。まず最初のほうは研究開発投資の関係ですが、2ページ、科学技術関係経費の推移でございますが、ここ数年は横ばい傾向。当初予算ベースで3.5兆円、補正を含めて大体3.6兆円というような規模で推移している状況にございます。

    3ページは第3期基本計画期間中の予算の状況でございますけれども、これまでのところ、21年度の当初予算までのところで約16兆円になるということでございます。

    それから、6ページまで飛びますが、科学技術指標の国際比較でございます。たくさん数字が並んでおりますけれども、これは民間も含めた数字でございますけれども、我が国の研究費総額は米国に次ぐ水準であります。一方で、研究費の総額に占める政府負担の割合が欧米諸国に比べて低い。アメリカが27.7%に対して我が国は17.4%という状況にございます。

    7ページは、2000年と各国直近のデータとの比較、科学技術関係予算の伸びの状況を棒グラフで示したものでございます。各国ともに大幅に増えている。特に中国は1.9倍という勢いで伸びています。一方で、我が国の科学技術関係予算はほぼ横ばいの状況にあるということでございます。

    科学技術の戦略的重点化の関係でございますが、10ページは、平成21年度の科学技術関係予算の分類でございますけれども、3.5兆円の予算が大きく3つに分かれておりまして、一番左側が主に基礎研究を中心とする大学関係予算、真ん中が政策課題対応型研究開発、いわゆる分野別の重点化を図っている部分の予算でございます。それから、人材育成をはじめとしましてシステム改革の予算。このように分かれて予算の配分がされております。

    14ページでございますけれども、重点化の進展ということでございまして、政策課題対応型研究開発、ここが重点化の対象となる部分ですが、その中でも第3期基本計画で戦略重点科学技術という62の重点課題を掲げておりますけれども、その部分に対する予算の配分の重点化が着実に進んできているという状況でございます。

    それから、科学技術関係人材の養成確保の関係でございます。17ページは、我が国の研究関係従事者数の推移でございます。総務省の統計のデータでございますが、我が国の研究者の総数は青い丸の折れ線グラフですが、増加傾向にある一方で、研究支援者の数は増えていない。横ばい傾向にあるという状況であります。

    そして、関連ですが、19ページ、主要国の研究者1人当たりの研究支援者数で見ますと、我が国においては、研究者1人当たりの研究支援者の数が、主要国と比べて低水準ということで、1人当たり0.28というような比率になっています。

    20ページは若手研究者の需給の状況ということで、若手研究者は、ここでは博士課程修了者の供給が増大している、修了者数が増えてきているという中で、受け入れの需要は停滞、もしくは減少傾向にあるということでございます。需要というところの右に矢印が向いているところは民間企業における学位別の採用実績、過去5年間でございますけれども、学士号、あるいは修士号のところは赤色のところが毎年必ず採用、オレンジがほぼ毎年採用のところで、半分超ですけれども、博士課程修了者になりますと、この2つの部分を合わせても11%ということで、かなり少ない率になっています。

    それから、大学の関係につきましては、右の21ページになりますが、大学における若手教員の状況ということで、棒グラフ、講師を含めまして、全体的に本務教員数としては平成10年から19年の間で増えております。青い棒グラフが37歳以下の若手教員ですけれども、減少傾向にあります。国公私の内訳で見ますと、下の3つのグラフですけれども、国立、公立ともにいずれも全体、若手についてもほぼ横並びで横ばい、あるいは減少という状況ですが、私立については増加傾向にあるというような状況であります。いずれにしましても、若手教員の人数、ポストが限られているということでございます。

    それから、博士課程修了者関係で、25ページですが、博士課程修了者は増加傾向にある一方で、就職率、何らかの経常的な収入を目的とする仕事についた者、この就職した者の率は6割程度で推移しているという状況でございます。

    26ページ、任期制ですが、教員数全体に占める任期付任用の割合はこの数年で大幅な増加傾向にありまして、2007年で20%が任期付ということです。また、助手等の若手の職ほど任期付任用の適用率が高いという傾向にあります。

    27ページは女性研究者の数並びに割合でございます。女性研究者数は着実に増加しているものの、全体に占める割合という意味では、各国に比べて非常に低い水準にあります。

    イノベーション・システム改革の関係に参ります。32ページ、競争的資金です。競争的資金は増加の傾向にありますが、第2期基本計画では2000年度の倍増という目標があったわけでございますけれども、そこまではまだ至っていないという状況にあります。

    33ページは間接経費ですが、間接経費は着実に増加している。直接経費に対する割合も増加し続けているという状況であります。

    それから、38ページですが、大学等の産学連携関係、共同研究、特許、ベンチャーの設立の関係でございますけれども、大学等における共同研究、受託研究、大学等の特許出願の件数はいずれも増えてきているという状況にあります。大学発のベンチャーの数も単年度の設立数については、2004年を境に減少傾向にありますが、全体的に現時点で千七、八百社というところまで来ているということでございます。

    40ページは論文の関係ですが、主要国の論文相対被引用度の推移・論文のシェアの推移ということですが、我が国の相対被引用度は、主要国の中では6位、0.94という数字でございます。また、論文の数のシェアにつきましては、97年に9.57%ということで2位であったところが、2007年には中国に抜かれて第3位の8.1%に減少に転じているという状況でございます。中国の躍進が非常に強まってきているということであります。

    それから研究評価の関係、42ページ、43ページですけれども、これは研究評価のアンケート調査の結果ですけれども、研究評価を実施することによりまして、公正な競争的な環境が形成されるというプラスの面がある反面、評価のために研究時間が減少しているというマイナスの面もあるというような意見があります。また、43ページは、明確な評価基準、適正な評価プロセス、あるいは評価人材の養成、こういったような課題があるというような指摘が出ております。

    世界的研究拠点の形成の関係でございます。46ページに世界トップレベル研究拠点形成プログラム、WPIプログラムでは、特に外国人研究者の比率を高めるということをやっております。例えば東北大学の例でお示ししますと、平成19年度の開始当時は、60というのは全体の研究者数ですが、そのうち外国人の研究者数が19人、60人に対して31%という割合でしたが、平成20年度、一番右端の欄ですが、全体83名の中で33名、40%の外国人の研究者の雇用が進んでいまる。その他各機関においても、外国人研究者の登用が進んでいるというようなことでございます。

    その他グローバルCOEとか、先端融合領域イノベーション創出拠点といったようなことでトップレベルの拠点形成の施策が進んでおります。

    50ページは、分野別の論文被引用回数20位以内の拠点ということでございます。1990年代では我が国全体で20拠点に満たなかったのですが、2000年以降27拠点、あるいは直近の2004年から2007年に発表された論文に対して引用の回数では、20位以内のものが25拠点あるということで、トップレベルの拠点の形成が進んでいるという状況でございます。

    研究環境・基盤整備ですが、国立大学で言いますと、運営費交付金の推移、これは法人化後、毎年、減少の傾向にあります。私立大学の経常費補助金につきましても年々減少の傾向が続いています。

    54ページは大学に対する主要な財政支援の推移ということで、運営費交付金をはじめとします基盤的経費、それから競争的資金などの重点的資金、これらで大学に対する財政支援がなされているわけですが、下の円グラフを見ていただきますと、基盤的経費と競争的・重点的資金の割合が、基盤的経費が平成13年は86%占めておりましたが、20年度においては72%ということで、基盤的な部分の割合がどんどん少なくなってきているということでございます。

    55ページは、我が国の高等教育に対する公財政支出。これはOECD加盟国中、最低の水準ということで、平均1.1%のところ、我が国は0.5%という状況でございます。

    57ページは国立大学法人等施設の整備状況でございます。第3期基本計画を受けて策定されました第2次国立大学等施設緊急整備5か年計画に基づきまして整備が進められておりまして、平成21年度の補正予算案までの整備見込みを含めまして、この5か年計画の整備目標に対して70%の整備まで進んだということでございます。その中でも狭隘解消整備については全体の目標に対して51%ということで、さらなる努力が必要だという状況でございます。

    次に、我が国の国際活動の戦略的推進の関係でございます。66ページですが、日本から海外への留学生数です。日本から海外への留学生数は近年、全体で言いますと横ばい傾向でございますが、大きなグラフで示しておりますが、アメリカの大学に留学する日本人の学生数が近年急激に減少しているという状況にあります。

    また、67ページは、米国における科学技術分野の博士号取得者の国籍を示したものでございます。円グラフは、米国における外国人の博士号取得者の割合でございまして、アメリカ人は除いておりますが、2006年のデータでございますけれども、中国が非常に多い。次に、インド、韓国、あるいはヨーロッパが非常に多い。日本は222人で、非常に少ないという状況でございます。特に中国については、折れ線グラフで見ますと、かなりの勢いで博士号取得者数を増やしてきています。

    68ページは、海外から我が国に受け入れている研究者の数でございます。全体の数につきましては、左上のグラフで見ますと、黄色い折れ線グラフ、全体は増えておりますけれども、30日を超える長期の受け入れ研究者数については減少の傾向にあります。

    69ページは逆に海外に派遣する研究者数でございます。この関係は前回の総会でもご指摘があった部分でございます。こちらにつきましても全体の数は近年増加傾向にございますけれども、このうち30日を超える長期の派遣研究者数は減少の傾向にございます。特にエリア別で見ますと、右下のグラフですけれども、欧米に行く研究者数がかなりの勢いで年々減少しているという状況にあります。

    70ページは、我が国から海外への研究者の流動性が低い理由に関するアンケート調査でございます。特に海外へ移籍した後、日本に帰ってくるポストがあるか、非常に不安であるというところが大きな要因になっているという結果でございます。

    71ページは大学の海外拠点数の推移ということで、機関の数、実際に海外に設置する拠点の数はともに増えております。

    最後、72ページは科学技術外交の関係でございますが、地球規模の課題解決に向けた開発途上国との科学技術協力の強化ということで、平成20年度からアジア、アフリカ等の国々に対しまして、環境・エネルギー、防災、感染症の分野につきまして、研究協力を進めているという状況にございます。

    以上、駆け足でございますが第4期基本計画の検討に向けて用意した資料の説明でございます。資料6-4につきましては、前回並びに前々回のこの総会におきまして賜りました第4期基本計画に向けての関連するご意見ということで、項目別にまとめさせていただいたものでございます。これについては説明は省略させていただきます。

    以上でございます。

【野依会長】 どうもありがとうございました。

    第4期の科学技術基本計画に向けた検討の方向、我が国の科学技術を取り巻くデータについてご説明いただきました。

    ご質問、ご意見、ございますでしょうか。唐木委員、どうぞ。

【唐木委員】 博士課程修了者の就職者数であったり、民間への採用についてですけれども、きょうまとめていただきました我が国の現状に関するデータで言いますと、微増であったり、微減であったり、そう大きく変化がないようなデータになっておりますけれども、今、現時点のことを思いますと、産業界、どの業界も研究開発者数の採用ということにおきましては、例えば半分であったり、5分の1であったり、それこそゼロベースであったりというのが現実のところで、大学教育を受けて研究職につきたいという方が企業研究の場についていただけない。非常に大きな変化が生じているところでして、これが判明した時点で、来年のきょうあたりにがくんと右肩が落ちたグラフを見てがく然とするということではなく、これからの5カ年計画に、早くにそういう現状、もしかしたら2年、3年続くかもしれない。重要な研究者の人材ということの施策に反映できますように現状を見える形にしていただければと思います。

【野依会長】 どうもありがとうございました。

  ほかに。じゃ、鈴木委員、どうぞ。

【鈴木委員】 分厚い表がありますが、数字の上で少ないとか、多いとかといっても、多いからいいのか悪いのか、少ないからいいのか悪いのかの判断はできない。数の背景にある実態を明らかにしないと、単に増やせばいいというものではないと思います。

    例えば19ページに研究支援者数の表がありますが、日本は諸外国と比べて非常に少ない。だから、増やそうというわけにはゆかない。諸外国での研究支援者とは、日本でいう派遣職員や短期雇用の職員ではなく、プロ、すなわち事務のプロ、技術のプロを指している場合が多い。日本でもこの種の支援職員が必要なのであって、派遣職員やポスドクを雇用しても意味がない。実態・原因を明確にして対応策を検討することが重要です。  また、研究支援者数が少ないといっても、日本はこれだけやってきたじゃないかといえる分野もあります。例えば大型研究装置の開発において、日本は世界の先陣を走っている面もある。それは、欧米に比べて研究機関と企業とのかかわりが非常に強いためで、装置開発のR&Dの段階から最終的な建設まで企業がかかわってきています。研究者と企業の連携が非常にうまくいってことは、諸外国にない日本独自の手法です。単に数合わせではなく、日本のいいところはさらに伸ばすという弾力的な対策が必要と思います。単に数字だけ見て判断することは禁物です。

【野依会長】 どうもありがとうございました。

    原山委員、どうぞ。

【原山委員】 先ほど野依先生がおっしゃっていた科学技術システムのサステナビリティーというのは、問題が山積しているというのが今のデータだと思うんですね。特に目を引いたのが若手の話であって、先ほど21ページにありました若手の本務教員数というのは、割合がどんどん減っている。これがサステナブルだということは、流動性が高くて、数年後にはパーネントポジションが得られるという状況にあれば、これでサステナブル。でも、そういう状況になってないというのが現実であって、これはどうしたらいいか考えなくちゃいけない。

    かつ、今定年の教員の方たちを延期するという流れになっています。ということはますますこれがきつくなっている状況で、どうにかしなくちゃいけない。

    2番目が、54ページなんですけれども、基盤経費と競争的経費──国立大学ですね──の割合が進展している流れというのは、まさに基盤経費が減っているという話なんですね。これもどこまでがサステナブルか。ある程度以上行ってしまうと、完全に教育に割く教員の数というのがサステナブルでなくなってしまうんですね。この辺も非常に大きな課題であって、気をつけなくちゃいけない。

    もう1点、最後述べさせていただきたいのは拠点形成に関してです。第3期では、強いところを強くするという、重点化ということが大きな課題になっていて、実質、このように拠点形成の資金を相当出しています。また、今の補正予算でも、相当拠点形成という流れが出てきているんですけれども、果たしてこれがほんとうに科学技術システムという視点から言ってサステナブルかということも議論しなくてはいけない。1つは、ある種のマタイ効果というんですけれども、集まるところにどんどん集まっていく。そこでほんとうにモラルハザードが起こらないようにマネジメントしなくちゃいけないし、マネジメントする能力が日本の大学にあるかというと、それも疑問なところがあります。

    逆を言えば、重点化と同時に、非常に大きな目きき能力が問われるんですけれども、将来伸びそうな人たちに──若手ですね。若手といっても、ドクターを出た人よりその手前ぐらいですね。博士課程ぐらいのところから、若手に目をつけて、小さい額でもいいんですけれども、自由に研究ができるという、そういう将来的な投資をしなくてはいけない。それをやっていかないと、既にエスタブリッシュしたところにだけお金をつけていれば、トレンドが、機が熟したところですが、そこばかり追いかけていると空洞化というのがその先出てきてしまう。それは避けなくてはいけない。

【野依会長】 どうもありがとうございました。

    西山委員、どうぞ。

【西山委員】 意見です。この審議会の枠組みのみでは、できない部分がたくさんあるのですが、たまたまイノベーション・システム改革に言及された箇所がありましたものですから、それに関係して意見を申し上げたいと思います。やはりここに書かれているイノベーション・システム改革は、科学技術だけではすべてのイノベーションはできないということに基づいていることはご承知のとおりです。その際に日本は運営自体が縦型の仕組みになり過ぎており、イノベーションを達成しようと思うと、ここに書かれているアイテムだけではかなり難しい。第4期に向けては、社会全体の仕組みの改革との連動がどうしても必要になりますので、その部分はイノベーションというキーワードがある以上、もちろん科学技術についての進展を図るということは必須でありますが、イノベーションとの関連で、日本の社会全体の改革をどうするかということを、科学技術の立場からも意見具申が必要であると思います。特に規制とか法律とか、社会的な価値観とか、その辺を、急には変えられないのは当然だけれども、一歩踏み出さないと何事も変わっていかないので、社会全体の改革とのつながりの中で、オープンイノベーションをどう達成するかという視点をぜひ入れておくことが望ましいのではないかと思います。意見であります。

【野依会長】 今おっしゃったオープンイノベーションの問題は、どうでしょうか。アカデミアのほうはオープンイノベーションにしようと思っているんですけれども、企業のほうはいかがでございましょうか。イノベーションの担い手というのは、産業界、経済界が大きいと思うんですが。

【西山委員】 もちろん経団連でも取り組んでおりまして、時代はオープンイノベーションであります。その際に、今日本の中では、高度理工系人材、特にドクターについては、産業界との関わりの中で、その求める人材像について過去にミスマッチがあったことは事実でして、ポスドクが非常に増えている状態にあります。この状態は日本国全体という視点からは非常に望ましい状態ではないと思います。せっかく育成しようとしているドクターについて、産業界の受け入れが不足していることは事実であります。産業界のエゴかもしれませんが、産業界は自分達が採用したドクターの方については非常に満足度が高くて、自分たちに見合った人を採っているから採用したドクターの方については問題はないんですけれども、産業界が採らなかった人については嫌だから採らなかったということであって、総じて見るとドクターの採用は、あまり増えてないんですけれども、そういう状態ですと、何のために最高のレベルの教育をしようとしているかということになり、国としての効率は極めて悪いということでありまして、産業界としてもかなりの反省がありまして、どうしてこういう状態であるかということを考えております。もちろん産業界のみではこの状況を改善できないんだけれども、社会的仕組みの改革の中で、産業界ももっと採用を強化していくという方向で取り組もうという流れにあります。

    以上です。

【野依会長】 どうもありがとうございました。

    柘植委員、どうぞ。

【柘植委員】 第3期の科学技術基本計画、3年過ぎて、私は、非常に重大な、第4期には何とか乗り越えないといけない問題が2点あると思います。

    1つめの問題は、資料6-2の視点で、2に書いてありますように、科学技術の戦略的重点化です。ここのところで科学技術は知的・文化的価値を生み出すものでもある。一方では、別な価値としては社会・経済的な価値という、これが下に書いてある基礎研究の多様性と継続性を担保するという第3期の基本計画で書かれているにもかかわらず、2の政策課題型対応とコンタミと言っても言い過ぎじゃないことが起きている。その結果、何が起きているかというと、研究、教育の現場では、1つは、非常に短期的に、例えば5年後の成果ということで競争されてしまうというような、基礎研究がそういうようなかなり短いスパンである意味では淘汰されてしまうような症状が起きている。一方では、そういう形で非常に基礎研究をきちっと支えている方々が、言うならば怨嗟と言ってもいい思いを持っている方々の場で、イノベーション、つまり、社会的・経済的な価値を生み出すというイノベーションという言葉を使うと、ある意味ではその場がフリーズする、氷つくような、症状が起きている。この二つの症状は、日本にとって非常に不幸な事なんですね。

    知的・文化的価値の創造というのと、社会・経済的な価値創造というのは別な価値観でありますので、せっかく第3期基本計画でうたっていた基礎研究の継続性、多様性の担保、これがどうも損なわれてしまって、これを何とか第4期の中では歯どめをかけるということが必要です。

    もう1つの問題は、社会的・経済的価値創出を生み出すという、言うならばイノベーション志向の研究開発を振興するときに、私は本審議会の人材委員会の主査をあずかっていまして、科学技術関係人材の育成という面で見ると、どうしても人材育成は研究とリンクせざるを得ない。当然、それは社会・経済的価値創出というイノベーションとリンクせざるを得ない。つまり、教育と研究とイノベーションというものを三位一体的に推進していくことが不可欠であります。この視点は初等、中等から高等教育までも必要です。そういう視点が今の日本にはどうもない。そうやって見回して見ますと、ほとんどの諸外国は意識的か、無意識的かはわかりませんが、教育・研究・イノベーションの三位一体的な推進のメカニズムが動いている。日本は遅れている。こういう危機感を感じています。

【野依会長】 ありがとうございました。

    笹月委員、どうぞ。

【笹月委員】 今のご意見の最初のところですけれども、要するに、研究者の自由な発想に基づく研究、研究の多様性を担保するということなんですが、その担保として、国はデュアルサポートをしていますというセリフがよく出てきます。そのデュアルサポートの1つは、もちろん競争的資金でありますし、もう1つは運営費交付金であると。ところが、きょうの午前中、私はそのデータを聞いて驚いたんですが、運営費交付金による研究者への研究費の配分状況は、わずか1人当たり数十万円だというんです。これで、デュアルサポートというのは、私は、何かイリュージョンというか、単なる言葉であって、ほんとうにデュアルサポートをするためには、運営費交付金による研究費でどれぐらいほんとうに自由な研究、あるいは研究の多様性が担保されたかという、こちら側の評価、検証ということは非常に大事だと思います。それに基づいて運営費交付金による自由な研究の担保ということを、もう少し手厚くしなければ、単に言葉の上でデュアルサポートしておりますというのでは、だめなのじゃないか。ぜひ次の計画にはその点をデータに基づいて少し提言できるようにしていただければと思います。

【野依会長】 研究と教育とイノベーションと三位一体でやらなきゃいけないということですが、少なくとも研究と教育、両方とも充実しなきゃいけないわけですね。ですから、なぜ高等教育費がOECD平均に比べて半分。GDP比0.5%なのか。何故3兆円ほどへこんでいるのか。何に3兆円要るんだということをきちんと分析、解析して、提言していかなければいけないと思うんですね。ただただ、足りない、足りないでは、やっぱりいけないと、思っております。

    じゃ、深尾委員、どうぞ。

【深尾委員】 短期的な、あるいは実用的な評価に最もなじまない研究分野は、地球科学じゃないかという気がいたします。地球温暖化とか、オゾンホールというのは人類がつくり出しました大変大きな地球環境問題でありますが、その影響は、地球システムのいろいろなところに複雑多岐に現れるということであります。地球システムというのは、固体の地球とか、大気とか、海洋とか、あるいは宇宙につながる空間とか、あるいは人類が含まれる生命圏、そういうものが全部がひとつのシステムになっているのですが、そういうところにいろいろな現れ方で影響が出てしまいます。しかも、現れ方の時間スケールが違うということがあるのですね。簡単に成果を、3年か5年で成果を出しなさいといっても、出ないということがあるのです。非常に長期間しっかりした研究を、観測を続けて、初めて重要な成果が出るという、そういう側面もございます。従来、地球科学は伝統的に新しい現象を見つける、あるいは現象のメカニズムを解明するという、そういうことでやられてきたわけですが、最近では、ともすれば、現象を解決するという、そういうところが評価されている。そういうような学問として位置づけられているという気がいたします。

    既存の問題把握の枠組みの中で、解決とか対策に関連した科学技術だけを重視するという、そういう傾向が、いろいろな競争的資金の審査とか、あるいは研究成果の評価とか、そういうところでそういうふうな傾向が強まっているように思います。地球温暖化にいたしましても、炭酸ガスだけを減らせば問題は解決するというふうな性急な論調がよくあるわけですが、温暖化を起こす気体は決して炭酸ガスだけではなくて、ほかにもいろいろあるわけです。温暖化を引き起こすシステム自体にもまだ十分わからないところがあるわけであります。

    また、私たちがおります生命圏につきましても、私たちが認識していないけれども、何か重要な現象とか、プロセスみたいなものが残っている可能性があるわけであります。それを見過ごして、そのまま置いてやっていくと、将来に非常に大きな禍根を残すという気がいたします。地球科学は今後も現象を解決するという、そういう科学であるのは重要なのですが、古典的な、あるいは伝統的な現象を見つける、あるいは現象を解明するという、そういうことをやる科学であるということをちゃんと保証していただくということは大事だという気がいたします。

【野依会長】 まだご発言いただいていない委員の先生方がいらっしゃいますけれども、少なくとも一言ずつ、いただきたいと思います。室伏委員、どうぞ。

【室伏委員】 先ほど柘植委員からご発言がありましたが、研究と教育とイノベーションというこの3つは並行して進めていくべき問題であろうと思っております。初等、中等、高等教育のすべてにおいて、国の責任として継続的な投資を行っていくべきであることを、この委員会でも確認していく必要があるのではないかと思います。

    大学で運営費交付金がどんどん減っていくことで、非常に地味な部分の研究が削られていきます。そのために、これまで日本でつくり上げられてきた知的・文化的な価値が、どんどん消えて行ってしまうといった状況にあると思いますので、何とか歯どめをかけて、疲弊している研究・教育の現場を何とかしていかなければいけないと感じております。

    もう1点、手短に申します。資料の「科学技術の国際活動の戦略的推進」という項目ですが、この科学技術外交ということは、大変大事なことだと思っています。世界の持続的発展に向けて、日本が持っている得意な技術や科学的知見などを、科学技術外交という形で世界に向けて発信していくことが必要ではないでしょうか。日本は、いろいろな技術的な協力・貢献をしているにもかかわらず、あまり世界各国から尊敬されていないという、寂しい現実がありますので、世界の各国から尊敬されるような科学技術外交を発展させるということが必要であると思います。その一端として、  世界の持続的発展に向けた科学技術を発信すると共に、人々の安全や安心を守るための科学技術教育や人材育成も、特にこれから発展していく国々や疲弊している国々の中で、日本がコアになって発展させていく必要があるのではないかと思っています。

    以上です。

【野依会長】 三宅委員、時間が押しておりますので、手短に一言いただきたいと思います。三宅委員、どうぞ。

【三宅委員】 たくさんの資料のあった6-3の中で、ご説明のなかった28、29、30ページのあたりに科学技術に対する国民意識の現状という話がありまして、あまり人数が多いデータではないこともあるのかもしれませんが、実は若い人たちの科学に対する信頼感が減ってきているというデータがあります。ここにあるものの他に15歳の科学への意識を国際的に比較したデータもありまして、それを見ますと日本の15歳だけが特異的に科学への信頼感が低くなっています。この傾向は、「科学技術が進んだために世の中にいろいろな問題が発生した」「それらの問題を解くために科学技術が役に立つとは思わない」などの項目で顕著です。この傾向は、15歳だけに特異的なものではなく、おそらく20歳、30歳、50歳など社会全体の傾向を反映しているだろうと思います。加えて今の15歳が25歳、30歳になったときはもっと大きな科学技術に対する不信感が育っているということも考えられます

    さっき委員長がおっしゃっていた3兆円をどこに使うかという問いへの答えとして、人が科学的な考え方を身につけるためにはどういう教え方をする必要があるのか、科学的な考え方とはそもそもどのようなことなのか、など、広く社会の科学観を育成する原理に立ち戻る研究を推進するために使う、という考え方もあると思います。

【野依会長】 ありがとうございました。

    じゃ、藤井委員、どうぞ。

【藤井委員】 はい、私はポスドクの問題はもう1度考え直したい思うんですね。この資料のほうで、1万6,394人というポスドクの人数があります。1万人計画がここまで来たとびっくりするんですが、実は、ここに漏れているものがもっとたくさんあるはずなんですね。科学研究費で、学術研究支援員としてポスドクはかなり雇われております。これの把握が非常に困難で、我々も学会などを通じて、いろいろな調査しておりますが、ほとんど漏れているんですね。個人のレベルで雇いますので。ですから、実際にはもっとたくさんのポスドクがいるのではないかと思います。

    こういう人たちが今後どうなるかというと、パーマネントポストを求めて走り回ることになります。例えば技術職員を我々が公募しますと、ポスドクが応募してくるんです。大量に応募してきます。技術職員の給与レベルは非常に悪い状態にあるにもかかわらず、パーマネントだからという理由で応募してくるんですね。これではせっかくドクターを出したものの、使い道が少し違うのではないかという気がします。ですから、このポスドク問題は、企業のニーズと大学の後継者の育成という2つの側面からもう1度大学院教育そのものも見直さなければいけない大きな問題だと思います。

【野依会長】 中西委員、お待たせいたしました。どうぞ。

【中西委員】 ありがとうございます。先ほどの柘植委員の発言に少しつけ加えさせていただきたいと思います。基礎研究が戦略的重点化の中に入っていることですが、基礎研究については、期が変わろうと、何年かの間でどんどん変わっていくような政策であってはいけないと思います。ずっと繋がっていくよう、またそのポリシーが継続されていくようにきちんと守っていくことが基礎研究の重要な施策だと思いますので、その点を少し付け加えさせていただければと思います。

    それから、多額の予算をかける世界的研究拠点形成ですが、これはこれでいいことだとは思いますが、基盤的経費を考えますと、先ほど笹月委員がおっしゃったように、現実は1人当たりの研究費は数十万円となります。また、科研費の採択率が20%ぐらいですから、その分を差し引きますと、実際には研究やの8割位の人が年、数十万円で研究しているのです。そこで、この額でほんとうに日本の研究が支えられているのかという疑問が残ります。ですから、まず、個々人の予算額についてももっと精査すべきだと思います。

    あと、人をできるだけ集めて拠点をつくるということですが、それでは、残ったところはどうなるのでしょうか。地方、地方にいろいろな方がおられてこそ、初めてトップが30を選べるわけです。20年後、30年後を考えますと、今何も芽が出ていないような、ありふれて見える研究もきちっと支えていかないと、疲弊してしまったトップ30以外のところからは、将来もう何も出なくなってしまいます。拠点をつくる場合にはこのような視点をきちんと持っていただきたいと思っているところです。

【野依会長】 ありがとうございました。

    田代委員、どうぞ。

【田代委員】 27ページ、きょう午前中、研究費部会でも申し上げましたが、女性研究者の数の割合がすごく日本は少ない。この数字を見てびっくりしましたが、右のほうの各国の女性の研究者の割合、韓国に負けているというのが、0.1%負けているのがとても悔しいです。やはり同じアジアのあれとして、このことは恥ずべきことだと思います。各大学で、成績優秀者、金時計といいますか、女性がほとんどとっているのが多いと思うんですけど、その優秀な方たちは一体どこに行くのか。すばらしい知能を持っている方たちが、ぜひ研究者に残ってくださるような、いろいろな、何かあるんじゃないかと。男女共同参画のあれとして、ここで一言申し上げたいと思っております。

【野依会長】 先生にはぜひ頑張っていただきたいと思います。

    じゃ、樫谷委員、どうぞ。

【樫谷委員】 資料6-3のデータ集の6ページの国際比較を見て思ったんですけれども、日本が一番左側に書いてあるんですけれども、研究費総額、額はともかくGDP比は一番多い。総額は。ただ、政府負担額から見ると、それほど多くはない。ただ、民間が結構頑張っているということですね。これを見て、確かに日本はそんなにひどくはないんじゃないかなと。つまり、民間が頑張っているから、工業立国というんですかね。非常に製造がすばらしいということも言える。そうすると、政府の負担割合というんでしょうかね、これはどの程度が適切なのか。政府が頑張ってもせいぜい基礎研究──せいぜいというのは、重要なんですけれども、基礎研究しかできなくて、応用で製品を売るというわけにいかないですね。ところが、民間のほうはそれをベースに製品として売っていって、ほんとうに貢献していくということですね。そうすると、研究費総額がそんなに、GDP比から見たら、むしろまさっている。民間も頑張っている。ただ、研究者の数も、ほかから見ると、人口比から見ると、非常に多いですね。多いから1人当たり少ないのかもわかりませんが。これは少なくしろということじゃなくて、もっと多くしろということだと思うんですけれども、これを見てどういうふうに反省すればいいのかちょっとわからなかったので、そういう質問をしたんですが、これはそんなに悲観することじゃないのかな。民間が頑張っているということは非常にいいことなのか。ただ、基礎研究のほんとうのところが足らないというのであれば、政府負担のほうをもう少し多くしなきゃいけないのかなということだと思います。

【野依会長】 私は、やっぱり基礎研究が割を食っていると。それから、高等教育ですね。高等教育が圧倒的に疲弊している。これは民間でやるわけにいかないわけで、大学セクターがやらなきゃいけません。これは先ほど申し上げたように、GDP比0.5%ということで、OECD平均の1.1の半分以下ということで、ここにつけがまわっていることになろうかと思います。したがいまして、人材育成ということが非常に強調されるんだろう、こんなふうに思っております。

    長谷川委員、どうぞ。

【長谷川委員】 先ほど来、基礎研究というか、大学での基盤的経費の額が数十万円という話がありますが、この額は大学によって違うと思いますね。運営費交付金が徐々に減って来て、その中で各研究者個人に最終的に配分される額というのは、小さい大学になると数十万円などという極めて少額になってしまう。

    そのような状況がこういう資料に、データとして陽に出てきてないんですね。ですから、現実に今、例えば国立大学だけで見たときに、数十万円しか配分されないような研究者の数が何人いて、それに比べたら、配分される額が大きい大学の研究者が何人いてという、そういう詳細なデータが表に示されていて、それを実際に見ることができれば、多分これは基礎研究がどうしようもない状況に置かれているということが、実感としてわかると思うんですね。今や大学の末端にいて感じるのは、運営費交付金だけで基盤的経費をまかなおうとしてももうだめで、例えば、科研費から基盤的経費を捻出するとか、何か、手を考えていただかないと、疲弊は進み、とうとう多くの研究者がつぶれるという状況になるんじゃないかという懸念を私は持っています。

【野依会長】 私は研究費と教育費を若干分けて考えなきゃいけないと思います。運営費交付金がずっと減っていることで一番割を食っているのは大学院生ですね。相当数の学生が教育を全く受けてない、あるいは受けられないという状況にあろうかと私は思っております。

    じゃ、大垣委員、どうぞ。ちょっと時間が押しておりますので、手短にお願いしたいと思います。

【大垣委員】 はい。短くやります。今まで出ていない視点で、1つだけ、環境や学術や科学などの基礎になるのは、環境にしろ、エネルギーにしろ、防災にしろ、感染症にしろ、基本データの蓄積というのは言うまでもないことなんです。その部分への予算措置というのがとかくこういう競争的資金の中では相対的に落ちる形になりますので、それをぜひ強化しないといけなくて、それをオープンアクセスにすることによって、国際貢献、あるいは特にアジア地域への貢献につながると思いますので。

【野依会長】 ありがとうございます。

    國井委員、どうぞ。

【國井委員】 イノベーションに関してですが、イノベーションを進めるためには弱いところもやらないと、結局、成功しないということを私は感じています。例えば今の産業界において、商品や、サービスは非常に複雑且つ高度になっているので、総合的なインテグレーション力とか、システム力とか、ソフト力が必要です。ここは国全体としても非常に弱いので、研究が伸びるとは限らない。ソフトウエアの生産性についてもほとんど日本には研究者がいない。したがってイノベーションを起こすまではいかない。

    もう1つは、人材の流動性です。若手の方たちが、任期付契約でモビリティが高くなる状況は出てきたわけですけれど、キーになる先生方は、必ずしもモビリティは高くなっていない。アメリカだったら、民間との共同研究などでもサバティカルで企業にいらっしゃる形態もありますが、日本ではそういう形態は、非常に少ない。イノベーションを進めるという観点でみると、2つのことをもうちょっと進めないと、産業界へのイノベーションの影響力はまだ弱いんじゃないかなと思います。

【野依会長】 ありがとうございます。雄弁な北澤委員には短くしていただきます。

【北澤委員】 ちょっと誤解を解いておきたいと思うことが1つありまして、この膨大なデータブックというお話がありましたけど、NSFでは、この10倍以上の厚みの、すさまじいきちんとしたデータがあります。そのために、非常に大きな誤解が生じるんですが、研究者の数を比べたときに、日本の研究者の定義とアメリカの研究者の定義が全然違います。先ほども「日本は人口あたりの研究者の比率が一番大きい」というのはそういう例です。日本はドクターをとってない人も研究者にカウントしています。このため研究者1人当たりのプロダクティビティーとか引用件数を考えるときには全くアンフェアだということだけお伝えしたいところです。

【野依会長】 はい。ありがとうございます。

  野間口委員、どうぞ。

【野間口委員】 いろいろな意見を聞かせていただきましたけれども、私は6-2の1の(3)ですね。国のビジョンと科学技術政策の在り方、検討の始まりですから、ここをしっかりやるべきだと。総合科学技術会議と一緒にここをしっかりとやって、ポスドク1万人とか、留学生30万人とか、あるいは運営交付金等が今の形でいいのかどうかというのを含めて棚卸しして、ビジョンの達成に向けてどうあるべきかというのを考えるべきじゃないかと。今の組織の政策のサステナビリティーだけを論じても、ほんとうの変革は出てこないんじゃないかと思いますので、ぜひそこまで踏み込んだ検討をやっていきたいものだなと思います。

【野依会長】 ありがとうございます。

    有川委員、どうぞ。

【有川委員】 資料集、データブックで言いますと、64ページなどに出ていますが、また先ほど大垣委員からも指摘があったことですが、研究成果のオープンアクセスという問題についてです。これについては学術会議からの報告にもありまして、電子ジャーナル等の問題が指摘されておりましたけど、この辺について、もう少し踏み込んだ方針を出していく必要があると思います。これは今期、第3期では3章の科学技術システム改革、その中のずっと後の方の研究情報基盤の整備というところの一番最後に、「研究者が公的な資金助成のもとで研究して得られた成果を公開する目的で出した論文等につきましては、一定の期間を経た後はインターネット等による無償で閲覧できるようになることが期待される」となっていますが、この辺をもうちょっと踏み込んでおく必要があるのではないか。電子ジャーナルの問題もありますが、それをにらみながら、一方でオープンアクセスということで税金でやった研究ですから、他の国でも先行例がありますので、だれでも見れるようにしておくといったところまで踏み込んでおく必要があるのではないかと思います。

【野依会長】 石井委員、どうぞ。

【石井委員】 40ページの資料なんですけれども、日本が論文引用数が第6位ということで、あまり好ましくないことであるというふうに言いたいのではないかと思うんですけれども、分野によっては、論文引用数が3,000ぐらい平気で行ってしまう分野もあれば、ノーベル賞級の論文であっても、200、300でとどまってしまうという分野もあるんですね。それを一緒くたにしてこういうふうな資料をつくるというのはちょっと危険だと思います。日本で非常に強い分野でも論文引用数がそう伸びない分野もありますので、研究の成果を計る正確なデータではないということを認識し、取り扱いには注意していただきたいと思います。

【野依会長】 よろしゅうございますか。もう時間がございませんので、このあたりで打ち切らせていただきたいと思います。

    さまざまな意見をいただきました。これらの意見を整理して具体化するためには総会のもとに新たな委員会を設置することが適当かと思います。事務局からその設置案について説明してください。

【柿田計画官】 資料6-5をごらんいただきたいと思います。科学技術・学術審議会における委員会の設置について(案)でございます。科学技術・学術審議会運営規則第5条第1項に基づき、科学技術・学術審議会に以下の委員会を設置するということで、第4期科学技術基本計画の策定に資するため、科学技術創造立国の実現に向けた基本的な政策に関する調査検討を行うための基本計画特別委員会の設置をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【野依会長】 ありがとうございます。

    今の説明に対して、ご意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。

    それでは、案のとおり、本審議会に基本計画特別委員会を設置いたしたいと思います。よろしゅうございましょうか。

                            (「異議なし」の声あり)

【野依会長】 ありがとうございます。

    それでは、総会におかれます委員会の委員の分属につきましては、科学技術・学術審議会運営規則の第5条第2項によりまして、会長が指名するということになっておりますので、後ほど事務局を通じてお知らせさせていただきたいと思っております。

    その他事務局から報告があるようです。

【坪田企画官】 教育再生懇談会と総合科学技術会議の審議状況についてでございます。総合科学技術会議につきましては資料5に入れておりますので、ごらんいただければと思います。

    教育再生懇談会につきましては資料は入れてございませんが、今般、懇談会自身がリニューアルしまして、当審議会からも野依会長に加えて小林委員が入って科学技術人材育成もテーマとして議論を始めております。ということを報告させていただきます。

    以上です。

【野依会長】 どうもありがとうございました。今の報告に何かご質問ございますでしょうか。──ありがとうございました。

    それでは、今後の日程等について、事務局から説明してください。

【坪田企画官】 次回、第30回の総会につきましては、6月23日火曜日10時から12時を予定しております。場所は本日と同じ場所でございます。

    本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の方々にお目通しいただき、会長にご確認いただいた上で文部科学省のホームページに掲載させていただきたいと思います。

    なお、本日の資料につきましては、机の上に残していただければ、事務局から郵送させていただきます。

【野依会長】 どうもありがとうございました。

    若干遅くなりましたけれども、きょうはこれで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

 

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藤川
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