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独立行政法人国立特別支援教育総合研究所の中期目標

平成23年3月1日
文部科学大臣指示

(序文)
 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二十九条の規定により、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(以下「研究所」という。)が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を次のとおり定める。

(前文)
 我が国が目指すべき社会は、障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会である。その実現のため、政府全体として、障害者基本法や発達障害者支援法等に基づき、ノーマライゼーションの理念に基づく障害者の社会への参加・参画に向けた総合的な施策が推進されているとともに、障害者の権利に関する条約に規定されている障害者を包容する教育制度の構築に向けた検討が行われている。その中で、学校教育は、障害者の自立と社会参加を見通した取組を含め、重要な役割を果たすことが求められている。
 このため、研究所は、我が国唯一の特別支援教育のナショナルセンターとして、国や地方公共団体等と連携・協力しつつ、国の政策課題や教育現場の課題に柔軟かつ迅速に対応する業務運営を行い、もって障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献することをミッション(使命)とする。
 このミッションを達成するためのビジョン(方向性)として、研究所は、マル1国の特別支援教育政策立案及び施策の推進に寄与する研究や、教育現場の喫緊の課題に対応した実際的な研究を行い、研究成果を教育現場等に還元すること、マル2都道府県等において特別支援教育の指導的な役割を果たす教職員を対象に、体系的・専門的な研修事業を実施し、各都道府県等における教職員の専門性・指導力を高める活動を支援すること、マル3都道府県等の教育相談機能を高めるための支援を行うこと、マル4特別支援教育に関する国内外の情報を収集し、情報提供するとともに理解啓発活動を行うこと等により特別支援教育の振興に寄与するものとする。
 中期目標期間においては、研究所のミッションとビジョンに基づき、障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に寄与するため、地方公共団体や大学等との役割分担を踏まえ、国の政策課題や教育現場等の喫緊の課題等に対応した研究活動を核として、研修事業、教育相談活動、情報普及活動等を一体的に実施し、特別支援教育に係る我が国唯一のナショナルセンターとしての機能のより一層の充実を図る必要がある。

 このような役割を果たすため、研究所の中期目標は、以下のとおりとする。

ローマ数字1  中期目標の期間
 中期目標の期間は、平成23年4月1日の日から平成28年3月31日までの5年間とする。

ローマ数字2  国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項
1  特別支援教育に係る実際的・総合的研究の推進による国の政策立案・施策推進等への寄与及び教育現場への貢献
(1) 国の政策課題及び教育現場のニーズ等に対応した研究の推進

 

 国内外の障害者施策を取り巻く状況の変化等を踏まえつつ、特別支援教育のナショナルセンターとして研究を戦略的かつ組織的に実施し、特別支援教育政策の充実及び教育現場の教育実践等に貢献するため、マル1国として特別支援教育政策上重要性の高い課題に関する研究、マル2教育現場等で求められる喫緊の課題に対応した実際的研究に一層精選・重点化して実施すること。
 これらの研究については、各都道府県等に対する研究ニーズ調査の結果を参考に中期目標期間を見通して計画的に進めること。また、必要な研究体制の整備を図ること。さらに研究成果を教育現場に迅速に還元するため全ての研究課題に年限を設けること。
(2) 評価システムの充実による研究の質の向上
   研究の実施に当たっては、内部及び外部評価システムを不断に見直すことにより、研究課題の精選・採択や研究計画・内容の改善、研究の効果的・効率的実施及び研究の質的向上を図ること。
 なお、研究成果が教育現場等に対し有効に提供・活用されているか否かについても検証すること。
(3) 学校長会、保護者団体、大学等の関係機関等との連携・協力体制の強化による実際的で総合的な研究の推進

 

学校長会、保護者団体、大学等の関係機関・団体と相互の課題認識・研究方法・研究資源などを共有することにより、より効率的かつ効果的に研究を推進すること。
 また、大学や民間などの研究機関との共同研究も積極的に推進し、基礎的研究との有機的な連携を図ることにより、研究所の実際的研究の質的向上を図ること。
 さらに海外の研究機関との研究交流を必要に応じて行うこと。

2  各都道府県等における特別支援教育政策や教育研究及び教育実践等の推進に寄与する指導者の養成
(1) 都道府県等の特別支援教育政策等の推進に寄与する専門性の向上

 

 第2期中期目標期間中において、1年の研修期間で行われている特別支援教育研究研修員制度については、研修成果を全国に還元する観点から、その在り方を含め見直すものとすること。
(2) 各障害種別に対応する指導者の専門性の向上

 

 各都道府県等における障害種別毎の教育の中核となる教職員を対象に、国の特別支援教育政策や研究成果等の最新の知見を踏まえ、各障害の特性等に応じた専門的かつ技術的な研修を行うことにより、各都道府県等における各障害領域の教育実践の充実に寄与するための専門性の向上を図ること。
 なお、カリキュラムの一部を構成している基礎的な科目については、インターネットを通じた講義配信を活用するなどの方法により、受講者が事前に履修できるよう措置すること。
 また、研修プログラムについては、受講者が実際の業務や活動の中でいかせるものとなるよう、研究協議等の演習形式を多く取り入れるなど、受講者等の意見等を踏まえつつ、逐次カリキュラム等の見直しを進めること。
(3) 国の重要な特別支援教育政策や教育現場の喫緊の課題等に対応する指導者の養成

 

 各都道府県等において特別支援教育に関する指導的立場に立つ指導主事や教職員を対象として特別支援教育のナショナルセンターにふさわしい特別支援教育政策上や教育現場等の喫緊の課題に対応した専門的かつ技術的な研修を重点化して実施すること。
 なお、これらの研修については、受講者等の意見を踏まえつつ、その必要性やカリキュラム・研修内容等について逐次見直しを行い、研究所において実施する必要性が低下した研修については廃止を含め検討すること。
(4) 各都道府県等が実施する研修に対する支援 

 

 各都道府県等で実施されている障害のある児童・生徒等の教育に携わる教員の資質向上を図るため、インターネットを通じて教員、教育関係者等が利便かつ円滑に活用できる基礎的な内容及び専門的な内容の研修講義などの研修コンテンツの提供を行い、各都道府県等の取組を積極的に支援すること。

3

 各都道府県等における特別支援教育推進のための教育相談機能の質的向上に対する支援と教育相談活動の実施
(1) 各都道府県等における特別支援教育推進のための教育相談機能の質的向上に対する支援

 

 各都道府県の特別支援教育センター等、障害のある児童・生徒等に係る教育相談実施機関に対し、教育相談に関するコンサルテーションを実施するとともに、教育相談の円滑な遂行に資するため、教育委員会、教育センター、特別支援教育センター及びセンター的機能を担う特別支援学校の利用に供するための、教育相談情報提供システム(教育相談に関する基本情報ガイド及び事例データベース)の整備を進めること。
 なお、教育相談情報提供システムについては、その利活用状況を毎年度評価し、必要な見直しを行うこと。
 整備に当たっては、研究所が行う教育相談事例のほか、全国の教育センター、特別支援教育センター等との連携を推進し、教育相談に関する事例情報やニーズ等を収集すること。
(2) 各都道府県等では対応が困難な教育相談等の実施

 

 研究所で行う教育相談については、発生頻度の低い障害等に関する教育相談及び国外に在住する日本人学校等の保護者等からの教育相談など、各都道府県では対応が困難な教育相談等を実施すること。

4  特別支援教育に関する総合的な情報提供体制を充実し、研究者・教職員等の研究や専門性、指導力の向上及び保護者等に必要な知識等を提供
(1) 研究成果の普及促進等

 

 研究成果については、特別支援教育に関する国の政策立案・施策推進等に寄与するよう国に提供するとともに、教育関係者はもとより広く一般にも公開し、研究成果等の普及を図ること。その際、研究所セミナーの開催や報告書の刊行、学会発表、インターネット等による研究成果の普及に努めること。
 また、都道府県教育委員会・特別支援教育センター等への研究成果の普及を積極的に行うこと。
(2) 特別支援教育に関する情報の収集・蓄積・提供や理解啓発活動

 

 ナショナルセンターとして特別支援教育に関する国内外の情報を収集し、特別支援教育に関する総合的な情報をインターネットを活用し国内外に提供すること。
 特に発達障害教育については、教員及び保護者をはじめとする関係者を支援するためインターネットを活用した情報提供を行うとともに、発達障害についての理解啓発活動を行うこと。

ローマ数字3  業務運営の効率化に関する事項
(1)  運営費交付金を充当して行う業務については、事業の重点化、管理部門の簡素化、効率的な運営体制の確保、契約の点検・見直し等により業務運営コストを縮減すること。
 中期目標の期間中、毎事業年度につき、対前年度比一般管理費3%以上、業務経費1%以上の業務の効率化を図ること。ただし、退職手当、特殊要因経費はその対象としない。
(2)   給与水準については、国家公務員の給与水準を十分配慮し、手当を含め役職員給与の在り方について厳しく検証した上で、業務の特殊性を踏まえた適正な目標水準・目標期限を設定し、その適正化に取り組むとともに、検証結果や取組状況を公表すること。また、総人件費についても、平成23年度はこれまでの人件費改革の取組を引き続き実施するとともに、平成24年度以降は「公務員の給与改定に関する取扱いについて」(平成22年11月1日閣議決定)に基づき、政府における総人件費削減の取組及び今後進められる独立行政法人制度の抜本的な見直しを踏まえ、厳しく見直すこと。  
(3)  内部統制及び情報セキュリティについては、適切に行うとともに、充実・強化を図ること。
 
ローマ数字4  財務内容の改善に関する事項
(1) 自己収入の確保、予算の効率的な執行に努め、適切な財務内容の実現を図ること。
マル1  自己収入の確保
積極的に競争的資金等の外部資金導入を図るとともに、受益者負担の適正化による自己収入の確保に努めること。
マル2  固定的経費の節減
管理業務の節減を行うとともに、効率的な施設運営を行うこと等により、固定的経費の節減を図ること。
(2) 財務内容の管理・運営の適正化を図ること。

ローマ数字5  重要な財産の処分等に関する事項
 財産については、その保有の必要性について不断の見直しを行うこと。

ローマ数字6  その他業務運営に関する重要事項
(1) 筑波大学附属久里浜特別支援学校との連携・協力

 

 筑波大学附属久里浜特別支援学校との連携・協力の下に、自閉症児の教育に関する指導内容・方法等についての実際的研究や共同事業などを相互の連携・協力により行うこと。
(2) 施設・整備に関する計画

 

 業務の円滑な実施に必要な施設整備を進めることとし、特に、障害者や高齢者が活用しやすい施設とすること。
(3) 人事に関する計画
マル1  質の高い研究を推進するため、研究職員の幅広い人材の確保と資質の向上を図ること。
マル2  事務職員についても人事交流や研修により人材の確保に努めること。

(初等中等教育局特別支援教育課)