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独立行政法人日本芸術文化振興会の中期目標

平成20年2月28日
 

(序文)

 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二十九条の規定により、独立行政法人日本芸術文化振興会が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を定める。

(前文)

 独立行政法人日本芸術文化振興会(以下「振興会」という。)は、我が国を代表する文化芸術振興の中核的拠点として、1文化芸術の豊かな広がりを実現すること、2我が国の貴重な財産である伝統芸能を後世に伝えていくこと、3多彩で豊かな芸術の創造活動を活性化させること等の役割を果たすことが求められているところであり、その基盤の整備、活動の発展は我が国の文化芸術の振興において不可欠である。
 このため、振興会は、芸術家・芸術団体等が行う文化芸術活動に対する援助を行うとともに、自らが設置する劇場施設において、我が国古来の伝統的な芸能(以下「伝統芸能」という。)の保存振興及び我が国における現代の舞台芸術(以下「現代舞台芸術」という。)の振興普及を図るための伝統芸能の公開・現代舞台芸術の公演等各種事業を実施することにより、芸術その他の文化の向上に寄与するものとする。
 文化芸術振興基本法は、文化芸術活動を行う者の自主性・創造性が十分尊重されなければならないこと、国民が等しく文化芸術を享受しこれを創造することができる環境の整備が図られること、多様な文化芸術の保護及び発展が図られること等を文化芸術の振興に当たっての基本理念として定めている。
 このような文化芸術振興の基本理念に鑑み、振興会が自らの役割を果たすためには、その主体性・自律性を十分尊重することを基本とし、かつ、今日の我が国の文化を取り巻く状況への配慮が不可欠であることから、振興会に設けられる評議員会等の審議及び意見を踏まえて、適切に事業を実施していくことが必要である。
 上記を踏まえ、振興会の中期目標は以下のとおりとする。

1 中期目標の期間

 振興会が実施する業務は、計画、準備から成果を得るまでに長期間を要するものが多いことから、中期目標の期間は、平成20年4月1日から平成25年3月31日までの5年間とする。

2 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項

1 文化芸術活動に対する援助

 振興会は、我が国の文化芸術活動への援助に関する中核的拠点として、芸術の創造又は普及を図るための活動、地域の文化の振興を目的として行う活動などに対して、多様な資金を活用した文化芸術活動に対する助成金の交付及びこれらに関する情報提供などに積極的に取り組むこと。

(1)助成金の交付

 振興会は、水準の高い活動への助成と、その普及や地域性等にも配慮した幅広く多様な助成とのバランスを図り、より効果的で戦略的な支援を行うことを目標として、次に掲げる活動に対し助成金を交付すること。
 また、助成事業の実施にあたり、交付申請書受理から交付決定までの期間については、前中期目標期間の実績以下とするとともに、より効果的かつ効率的な助成を行うために、助成対象活動の実施状況及び当該分野の現状等の調査を実施し、事業に反映させること。

  • 1 芸術家及び芸術に関する団体が行う芸術の創造又は普及を図るための公演、展示等の活動
  • 2 文化施設において行う公演、展示等の活動又は文化財を保存し、若しくは活用する活動で地域の文化の振興を目的とするもの
  • 3 その他、文化に関する団体が行う公演及び展示、文化財である工芸技術の伝承者の養成、文化財の保存のための伝統的な技術又は技能の伝承者の養成その他の文化の振興又は普及を図るための活動

 なお、効果的かつ効率的な助成事業の実施を図る観点から、文化庁の助成事業と振興会の助成事業を統合・一元化するための検討を行い、平成21年度からを目途に検討結果を踏まえた事業を実施すること。
 その際、全体の助成規模は拡大しないこととするとともに、助成金の申請手続き、審査及び助成方法等の効率化を図る観点から、地方公共団体及び教育委員会との連携協力の推進、助成の成果等に対する評価を踏まえた客観性・透明性の高い審査の充実、情報通信技術を活用した申請手続き等の合理化について所要の措置を検討すること。

(2)助成に関する情報等の収集・提供

 振興会は、文化芸術活動に対する援助に関する事業の中核的拠点として、集積した情報のデータベース化や、文化芸術活動への助成に関する情報等の収集・提供を推進すること。
 また、ホームページの中期目標期間のアクセス件数について前中期目標期間の実績以上とすること。

(3)芸術文化振興基金の管理運用

 振興会は、安全性に留意しつつ、客観性及び透明性の確保を図りながら、資金の確保に努めること。

2 伝統芸能の公開及び現代舞台芸術の公演

 伝統芸能の保存振興及び現代舞台芸術の振興普及を図るため、前期中期目標期間の実績を踏まえ、より多くの人が幅広い分野の公演を鑑賞することを目標とし、伝統芸能の公開及び現代舞台芸術の公演を行うこと。また、次の観点からこれらの公演の充実等を図ること。

(1)主催公演

  • ア 伝統芸能を古典伝承のままの姿で公開するように努めること。
  • イ 国際的に比肩しうる高い水準の現代舞台芸術を自主制作により公演すること。
  • ウ 公開・公演の目的、期待する成果等を明確にし、外部の専門家等からの意見や観劇者の要望等を踏まえた評価等を行い、事業の充実に反映させること。
  • エ より幅広く多くの人が鑑賞することを目指して、分野ごとに前中期目標期間の実績を超えるよう、個々の公演において、適切な鑑賞者数の目標を設定し、その達成に努めること。
  • オ 国、地方公共団体、芸術団体、企業等との連携協力等に努めること。
  • カ 青少年等を対象とする公演の種類、回数を充実するとともに、各鑑賞事業の連携協力を強化すること。
  • キ 国際文化交流の進展に寄与するとともに、伝統芸能及び現代舞台芸術に関する日本文化の海外発信にも努めること。

(2)快適な観劇環境の形成

 各劇場の観劇者や観劇希望者の要望並びに利用実態等を踏まえたサービスを提供するとともに、高齢者、身体障害者、外国人等を含めた来場者本位の快適な観劇環境を形成することにより、来場者の満足度の向上を図ること。
 また、これらを把握する手法として、劇場モニター制度の導入を検討すること。

(3)広報・営業活動の充実

 年間の主催公演を通して購入できるシーズンシートの拡充など、より効果的な広報・営業活動を展開すること。
 なお、ホームページについては、利用者が最新の情報に容易にアクセスできるようにするとともに、アクセス件数については前中期目標期間の実績以上とすること。

(4)劇場の使用効率の向上等

 主催公演をより効率よく日程を組むなどし、劇場の使用効率の向上を図るとともに、国民の鑑賞機会の増加を図る観点から貸劇場公演の日数を増やすことも含め、公演回数の増加を図ること。なお、中期目標期間における主催公演日数と貸し劇場日数を合計した数を使用可能日数で除した率については、前中期目標期間の実績以上とすること。

3 伝統芸能の伝承者の養成及び現代舞台芸術の実演家その他の関係者の研修

 伝統芸能の保存振興、現代舞台芸術の振興普及を図るため、次のとおり伝統芸能の伝承者の養成及び現代舞台芸術の実演家その他の関係者の研修を実施すること。

  • (1) 伝統芸能の伝承者の養成については、民間団体の実施動向も踏まえ、国として支援が必要な分野に限定するものとし、関係団体の要望や外部専門家等の意見等を踏まえ、対象分野の存廃に係る定量的な方針を策定・公表するとともに、毎年度、各分野の実情を把握して不断の見直しを行うこと。
  • (2) 現代舞台芸術の実演家の研修については、高い技術と豊かな芸術性を備えたオペラ歌手、バレエダンサー及び演劇俳優を確保することを目的に、新国立劇場の公演をはじめとする水準の高い舞台に出演する実演家を養成するよう努めること。
     なお、事業の実施にあたっては外部専門家等の意見等を踏まえ、成果の検証を厳密に行い、その結果に基づき、研修分野・規模について不断の見直しを行うこと。
  • (3) (1)及び(2)の事業を実施するにあたり、次の観点から行われる事業について実施の検討を行うこと。
    • ア 学校等の連携による波及効果の拡大
    • イ 伝統芸能と現代舞台芸術の分野の相互交流
    • ウ 公演の制作及び舞台技術等に関するインターンシップや実地研修の受入

4 伝統芸能及び現代舞台芸術に関する調査研究の実施並びに資料の収集及び活用

 伝統芸能の公開及び現代舞台芸術の公演の充実等に資するとともに、その理解の促進を図るため、調査研究を実施すること。また、その成果を研究者や国民一般に提供するとともに、計画的な資料収集を行うこと。なお、事業の実施にあたっては次に掲げる事項に留意すること。

  • (1) 調査研究については所期の目的を達成したものから見直しを行い、振興会ならではの特性のあるものに重点化を図ること。
  • (2) 成果については、インターネットなど多様な媒体を用いて公開すること。
  • (3) 公演の映像記録については、必要な著作権等の処理を行った上で、劇場上映や映像記録の販売等を行うなど有効に活用すること。
  • (4) 一般公開施設については、利用者の利便性の向上と広報活動の強化を図ること。なお、資料展示室の来場者数については、前中期目標期間の実績以上とすること。
  • (5) 伝統芸能及び現代舞台芸術に関する公開の講座、講演記録映像の鑑賞会等を実施し、参加者数については前中期目標期間の実績以上とすること。
  • (6) 一般利用者等の意見・要望等を聴取するとともに、外部の専門家等の意見を踏まえ、事業の充実に反映させること。

3 業務運営の効率化に関する事項

  • 1 運営費交付金を充当して行う業務については、既存事業の徹底した見直し、事務手続きの簡素化や、競争入札の推進、外部委託の範囲の拡大等により、業務の効率化を進め、中期目標の期間中、一般管理費15パーセント以上、業務経費毎事業年度につき1パーセント以上の効率化を図ること。ただし、退職手当、特殊要因経費はその対象としない。
     また、「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定)を踏まえ、人件費については、平成22年度において、平成17年度の人件費に比較して、5パーセント以上削減するとともに、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(平成18年7月7日閣議決定)に基づき、人件費改革の取組を平成23年度まで継続すること。
     なお、給与水準については、以下の観点から検証を行い、これを踏まえた適正化に取り組むとともに、その検証結果や取組状況について公表すること。
    • ア 国からの財政支出の大きさ、累積欠損の存在、類似の業務を行っている民間事業者の給与水準等に照らし、現状の給与水準が適切かどうか十分な説明が可能であること。
    • イ その他、給与水準についての説明が十分に国民の理解を得られるものとなっていること。
     更に、これらに取り組むにあたっては、以下の事項について留意すること。
    • (1)固定経費の節減
       国立劇場等の管理運営業務については、外部委託の範囲を拡大し、一層の経費削減を図ること。
    • (2)随意契約の見直し
       契約については、原則として一般競争入札等によることとし、以下の取組により、随意契約の適正化を推進すること。
       また、その実施にあたっては、監事による監査を受けるとともに、財務諸表等に関する監査の中で会計監査人によるチェックを要請すること。
      • ア 「随意契約見直し計画」に基づく取組を着実に実施するとともに、その取組状況を公表すること。
      • イ 一般競争入札等により契約を行う場合であっても、特に企画競争や公募を行う場合には、競争性、透明性が十分確保される方法により実施すること。
  • 2 振興会における業務運営について、外部有識者を含めて検討を行い、その結果を組織、事務、事業等の改善に反映させること。

4 財務内容の改善に関する事項

 自己収入の確保や税制措置も活用した寄附金、予算の効率的な執行等に努め、次の観点から適切な財務内容の実現を図ること。
 国民の鑑賞機会の確保、芸術活動の独創性等に十分留意しつつ、入場料、施設使用料、外部資金等自己収入の増加を図ること。
 また、自己収入の取り扱いにおいては、各事業年度に計画的な収支計画を作成し、当該収支計画による運営に努めること。

5 その他業務運営に関する重要事項

  • 1 人事管理(人件費、意識改革等)、人事交流の適切な実施により、内部管理事務の改善を図ること。
  • 2 施設設備に関する計画
    • (1) 劇場等の安全かつ良好な施設環境を維持するとともに、業務の目的・内容に適切に対応するため、長期的視野に立った施設・設備の整備計画を作成すること。
    • (2) 国立劇場おきなわの用地(未購入の部分)について、計画的に購入を進めること。
  • 3 その他振興会の業務の運営に関し必要な事項
    • (1) 特定の公益法人に対し随意契約により継続して委託している新国立劇場及び国立劇場おきなわの管理運営業務については、経費削減に資する効果の検証を厳密に行った上で、当該契約内容を見直し、更に効率化を図るとともに、透明性を確保すること。
    • (2) 劇場等の管理・運営等業務について、「公共サービス改革基本方針」(平成19年12月24日閣議決定)に基づき、民間競争入札の実施の可否等を検討し、平成20年度中に結論を得ること。