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独立行政法人日本学術振興会が達成すべき業務運営に関する目標(中期目標)

平成20年2月28日(改正平成23年4月28日)
文部科学省


 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二十九条の規定により、独立行政法人日本学術振興会が達成すべき業務運営の目標(以下「中期目標」という。)を定める。

第一 独立行政法人日本学術振興会の果たすべき役割

 学術研究は、大学等の研究者を担い手として行われる、真理の探究や新しい知識の体系化などの普遍的な知的創造活動であり、人類共通の優れた知的資産の創出を通じて世界に知的貢献をしていくことが重要である。研究者の自由な発想と研究意欲を源泉として新たな知を生み出す学術研究の役割は極めて大きく、その多様かつ幅広い振興が不可欠であり、学術研究を通じて、世界共通の課題に協働して取組み、世界の発展に貢献していくことも必要である。
 独立行政法人日本学術振興会(以下、「振興会」という。)は、学術の振興を目的とする我が国唯一の独立した資金配分機関(ファンディングエージェンシー)として、科学技術基本計画など国の学術振興策を踏まえつつ、研究者の活動を安定的・継続的に支援するため、学術研究への助成、研究者の養成、学術に関する国際交流の促進、学術の応用に関する研究とともに、国内外の学術研究動向や諸外国の学術振興方策に関する調査・研究などを総合的に行う。その結果、我が国の学術研究が振興し、学術研究水準の維持・向上が図られ、国際競争力のある世界から尊敬される知的存在感のある国として、持続的に発展していくことが可能となる。
 このような役割を果たすため、振興会の中期目標は、以下のとおりとする。

第二 中期目標の期間

 振興会が実施する学術振興事業は、研究助成や研究者養成など長期的な視点に立って推進すべきものが多いことから、中期目標の期間は、平成20年4月から平成25年3月までの5年間とする。

第三 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項

1 総合的事項

 (1) 学術研究及びその振興を目的とする振興会事業の特性に配慮し、以下の諸点に留意しつつ事業を推進し、研
  究者が最適な環境の中で研究に専念できるよう支援することを基本とする。  

    1) 学術研究の成果は、人類社会共通の知的資産として文化的価値を形成するものであり、人文・社会科学
     から自然科学まで、学問領域を限定せず、分野の性格に応じた適切な支援方法により、幅広くバランスをと
      って振興する必要がある。そのため、学術研究を実際に行う研究者の意見を取り入れ、研究者コミュニティ
      の信頼を得つつ、事業を推進することが不可欠である。
       特に、実用化を直接的に目指さない基礎的な研究への支援や、将来の学術研究を担う優秀な研究者の養
      成について十分配慮する必要がある。

    2) 学術研究の発展性については無限の可能性があることから、中長期的視点を加えた継続的かつ着実な支
     援に努めるとともに、このような視点に立った評価を行うことが必要である。

    3) 事業の実施に当たっては、関連する事業を実施している機関との適切な連携・協力関係を構築する。その
     際、大学等において実施される学術研究に密接に関わる事業の特性に十分配慮する。

 (2) 業務運営上の重要事項に関する評議員会の審議及び意見も踏まえ、適切に事業を実施する。

 (3) 学術研究に対する高い識見を持つ研究者の意見を反映させることにより、業務運営の改善を図り、効果的に
  成果が上がるよう事業を展開する。

 (4) 研究経験を有する第一線級の研究者を配置し、事業の実施に必要な調査・研究機能や審査・評価業務に係る
  機能を充実・強化する。

 (5) 自己点検や外部評価を実施し、その結果を踏まえて業務運営の改善等を図る。

 (6) 研究者の負担の軽減等、業務運営を適切に実施するために必要な情報システムを整備する。併せて、政府の
    情報セキュリティ対策における方針を踏まえ、適切な情報セキュリティ対策を推進する。

 (7) 助成・支援事業の実施においては、研究費の不合理な重複及び過度の集中の排除並びに研究費の不正使用
  、不正受給及び研究活動の不正行為の防止策を強化する。
    また、研究者が所属する研究機関が研究費を適切に管理することなどにより、適正な執行等が図られるように
  する。

 (8) 適切な業務運営を図るため、内部統制を充実させる。

2 学術研究の助成

  (1) 人文科学、社会科学、自然科学の各学問分野の学術研究に対する幅広い助成を行うことにより、我が国の大
     学等の研究基盤の充実及び創造的で優れた学術研究の格段の発展に寄与する。
    また、独創的な基礎的研究から将来の学問及び社会の発展に寄与する可能性を秘める種が芽吹くのを促 し、
  重厚な知的蓄積が図られるよう助成の在り方について不断の検討を行う。
    研究費の配分業務については、国の事業としての一体性を確保しつつ、適正かつ効果的に、確実に実施する
      。

  (2) 学術研究の助成は、科学研究費補助金事業及び学術研究助成基金事業により行う。すなわち科学研究費補
  助金事業として国から交付される科学研究費補助金を研究者に交付することに加えて、研究助成の一部に要す
  る費用に充てるために国から別途交付される補助金により「学術研究助成基金」を設け、文部科学大臣が財務
  大臣と協議して定める基金運用方針に基づき、学術研究助成基金事業を実施し、研究者に、その研究の進捗に
  応じ研究費の交付を行う。
    これらの事業については、国の事業としての一体性を確保しつつ、適正かつ効果的に、確実に実施する。その
  際、助成対象となる研究者の側にとってわかりやすいものとなるよう、文部科学省で行う科学研究費補助金事
  業を含め一体的に運用する必要があるため「科学研究費助成事業(科研費事業)」として実施する。

 (3) 審査・評価については、それぞれの研究種目に応じて、中長期的観点や国際的な観点も考慮して適切に行う
  。研究経験を有する者をプログラム管理者として配置し、その知見を活用しながら、審査・評価の改善策の検討、
  審査委員の公正な選考、研究者への情報提供等を行う。
    応募書類の受理から採否決定までの審査は迅速に行い、早期交付に努めることとし、府省共通研究開発管理
  システムを活用し、審査結果を他の競争的資金の配分機関に対し迅速に提供する。また、評価結果については、
  国民に分かりやすい形で公表するとともに、学術研究に関する理解増進活動を行う。

 (4) 学術研究助成基金事業について、独立行政法人日本学術振興会法(平成十四年十二月十三日法律第百五
  十九号)第18条第1項の文部科学大臣が財務大臣と協議して定めるものは、基金運用方針に定める研究事業と
  する。

 (5) 学術研究助成基金の運用開始後5年以内に、同基金の執行状況及び成果等について検討を加え、その結果
  に基づいて必要な見直しを行う。

3 研究者の養成

 自立して研究を行い得る段階に達し、研究能力が高まる時期にある若手研究者に対して、目的や対象者層等に応じた多様な方法により、研究を奨励するための資金を支給する支援事業を推進することにより、優秀な学術の研究者を養成する。
 なお、各種事業の実施に当たっては、研究者の自立性向上を図るとともに、一定の競争環境を維持しつつ、分野の特性を踏まえ、計画的・継続的に優れた研究者を養成・確保することを重視する。その際、研究者養成の重要な時期である大学院博士課程(後期)へ優秀な人材が経済的不安なく進学できるようにするための博士課程(後期)学生への支援、女性研究者が研究と出産・育児を両立するための支援、若手研究者の海外での長期研究の奨励、研鑽の機会の充実に配慮する。
 また、各種事業における支援対象者の選考審査に関し、審査の独立性、透明性、公平性を確保し、目的や対象者層等に応じた優れた研究者を的確に見極め、厳正に選考を行う。

4 学術に関する国際交流の促進

 海外の学術振興機関等との共同研究、研究者交流、セミナー・シンポジウムの開催等多様な国際交流の支援、及び優秀な外国人研究者の招へいを通じて、学術研究活動のグローバルな展開への対応、国内外の優秀な研究者が集まる世界水準の研究環境の構築による我が国の学術研究の国際競争力の強化、開発途上国の研究者養成等に貢献する。
 その際、欧米等学術先進諸国との交流については、とりわけ厳しい国際競争下にある先端研究分野における研究交流を支援することにより、若手研究者の育成や、優秀な研究者ネットワークの形成を図る。
 また、開発途上国との交流については、特に、振興会が長年培ってきた、アジア地域の学術研究ネットワークを活用し、効果的・効率的にアジア地域における学術コミュニティの形成を主導するとともに、その他の地域との交流について、学術国際交流の必要性を踏まえ、促進する。
 さらに、研究環境の国際化に資する外国人研究者の招へいにあたっては、より効果的・効率的に優秀な人材を受入れるための方策を検討し、実施する。
 加えて、学術研究活動のグローバルな展開に対応するため、大学の国際展開を支援する。

5 学術の応用に関する研究の実施

 様々な学術的・社会的要請に応えるとともに、我が国の学術及び社会の発展や社会的問題の解決につながるような学術研究を行う。

6 学術の社会的連携・協力の推進

 大学等の研究者と産業界の研究者等がそれぞれの発意に基づいた相互のインターフェイス機能の充実を図るため、情報交換など研究交流を促進する。

7 国の助成事業に関する審査・評価の実施

 国の助成事業の審査・評価については、国の定めた制度・方針に従って、審査・評価における公正さ、透明性、信頼性、継続性を確保しつつ、実効性のある評価を実施する。

8 調査・研究の実施

 学術の振興を図るための各種事業を中長期的観点に立って効果的に展開するため、研究経歴を有する職員等により、国内外における学術振興施策の現状や学術研究の動向等の調査研究を行い、公表する。
 また、その結果については、事業実施や新たな事業の企画・立案に活かす。

9 広報と情報発信の強化及び成果の普及・活用

 振興会の活動状況及び調査・研究の成果を積極的に情報発信することによって、国内外の研究者、国民との相互理解を図り、社会との効果的な関係を構築するため、広報の体制を強化する。
 また、調査・研究の成果については、事業の企画立案等に的確に活かすとともに、ホームページへの掲載や出版等により、研究者をはじめ社会に積極的に提供し、広く普及させる。

10 前各号に附帯する業務

 学術研究を行う研究者に対する各種の支援など、前各号に附帯する業務を適切に実施する。

11 平成21年度補正予算(第1号)等に係る業務

  (1) 将来における我が国の経済社会の発展の基盤となる先端的な研究を集中的に推進するため、国から交付さ
  れる補助金により「先端研究助成基金」を設け、総合科学技術会議が決定した運用に係る方針を踏まえた文部
  科学大臣が定める基金運用方針(仮称)に基づき、我が国の先端的な研究の総合的かつ計画的な振興のため
  に必要な助成を行う。
    その際、研究資金の多年度にわたる柔軟な使用を可能とする。

 (2) 将来における我が国の経済社会の発展の基盤となる有為な研究者の海外への派遣を集中的に推進するため
  、国から交付される補助金により「研究者海外派遣基金」を設け、我が国の大学等研究機関の国際化を図るとと
  もに、我が国の競争力強化の源となる人材の育成を行うために若手研究者を海外に派遣する。

 (3) 学術研究活動のグローバルな展開への対応、国内外の優秀な研究者が集まる世界水準の研究環境の構築
    による我が国の学術研究の国際競争力の強化を図るために、海外の優秀な研究者を招へいする。

 (4) 上記(1)の先端的な研究を一層加速・強化するために必要な助成を行う。

 (5) 若手・女性等研究者が活躍しうる研究基盤・研究環境を充実・強化するとともに、海外の大学等研究機関との
  共同研究等を推進し、若手研究者等の海外派遣を促進する。

第四 業務運営の効率化に関する事項

 国の定めた法令等を遵守し、事業に対する研究者及び国民の信頼性を維持しつつ実施し得る機能的・効率的な体制整備や業務運営の見直しを図り、経費の効率的執行を推進する。
 法人の行う業務については、既存事業の徹底した見直し等により、効率化を進める。その際、国の基準を踏まえた随意契約の見直しや業務委託の積極的な取組を行う。
 なお、効率化に際しては、長期的視点に立って推進すべき学術研究を担う振興会の事業の特性に鑑み事業の継続性に十分留意する。
 一般管理費(人件費を含む。)に関しては、中期目標期間中の初年度と比して年率3パーセント以上の効率化に努めることとし、その他の事業費(競争的資金等を除く。)については、中期目標期間中、毎事業年度、対前年度比1パーセント以上の業務の効率化を図る。また、寄付金事業等についても業務の効率化を図る。
 人件費については、「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」(平成18年法律第47号)等を踏まえ、平成18年度以降の5年間で、平成17年度を基準として5パーセント以上を基本とする削減を引き続き着実に実施する。さらに、経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006(平成18年7月7日閣議決定)に基づき、国家公務員の取組を踏まえ、人件費改革を平成23年度まで継続する。
 また、職員の能力と実績を適正かつ厳格に評価し、その結果を処遇に反映させるとともに、適材適所の人事配置とし、職員の能力の向上を図る。

第五 財務内容の改善に関する事項

 寄付金等の外部資金や自己収入の確保、予算の効率的な執行に努め、適正な財務管理の実現を図る。

第六 その他業務運営に関する重要事項

 施設・設備の整備については、長期的視点に立って推進する。