独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二十九条の規定により、独立行政法人国立文化財機構が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を定める。
独立行政法人国立文化財機構(以下「機構」という。)は、貴重な国民的財産である文化財の保存及び活用を図るため、多数の国宝・重要文化財をはじめとする有形文化財を収集・保存・管理・展示し、次代へ継承するとともに、文化財に関する調査・研究を行い、併せて国内外に我が国の歴史・伝統文化を発信することを使命とし、その機能を果たすナショナルセンターである。
このため機構は、1.歴史・伝統文化の保存と継承の中核的拠点として、体系的・通史的に収蔵品を整備し、次代へ継承すること、2.機構が有する文化財を活用し、歴史・伝統文化について国内外に発信すること、3.我が国の文化財研究の中核的研究機関として、貴重な文化財を次代へ継承していくために必要な知識・技術の基盤を形成するための研究を行い、その成果の普及と活用を促進すること、4.文化財の保存科学・修復技術等及び国際協力等の我が国の中核的研究機関として、機構の有する人的・物的資源を最大限活用し、一体性を確保し、調査・研究を行うこと、5.アジア太平洋地域における無形文化遺産保護に係る調査・研究を行うこと、6.国立博物館が有する収蔵品や人材を活用し、我が国の博物館の中核として、公私立博物館を含めた博物館全体の活動の活性化に寄与することが引き続き必要である。
機構は、これらの役割を果たすため、法人運営を機動的かつ効果的に展開し、文化財の収集・保存・管理・展示及び文化財に関する調査・研究、これらに関する教育普及事業等の一層の充実に努めるものとする。
機構が実施する業務は、長期的な視点に立って企画・実施する有形文化財の収集・展示、多大の労力と時間を必要とする多種多様な文化財の特質の解明や文化財に関する膨大な資料の収集・整理・分析等であり、計画、準備から成果が得られるまでに長期間を要するものが多い。これらの業務を踏まえ、中期目標の期間は、平成23年4月1日から平成28年3月31日までの5年間とする。
(1) 国の文化財保護政策との整合性、一体性を保ちつつ機構の設置する博物館各館の役割・任務に沿って収集方針を定め、これに基づき、計画的かつ適時適切な購入と寄贈・寄託の受入れを進め、体系的・通史的にバランスのとれた収蔵品の充実と保全を図ること。
(2) 収蔵品全体を常時、適切な保存及び管理環境下に置くこと。特に、施設の老朽化、耐震対策に計画的かつ速やかに取り組み、収蔵品と人の安全を守る施設・設備の整備を図ること。
(3) 収蔵品の保存技術の向上に努めること。
文化財を活用して日本及びアジア諸地域の歴史・伝統文化を国内外へ発信するため、展示、教育活動、広報の充実を図ること。
我が国の中核的拠点として、展覧事業については常に点検・評価を行うなど改善への取組みを進め、日本及びアジア諸地域の歴史・伝統文化を国内外に発信し、これらについての理解促進に寄与するものとなるように努めること。
日本及びアジア諸地域の歴史・伝統文化の理解促進に寄与するよう、子どもから成人まで、対象に応じた多彩な学習機会の提供を実施し、ボランティアを育成し、教育活動の充実に努めるとともに、次代の博物館事業を担う人材育成に寄与すること。
国民に親しまれ、他の館の見本となる施設を目指し、来館者の立場に立った観覧環境の整備や観覧料金及び開館時間の弾力化などの利用者の要望を踏まえた管理運営を行い、来館者の期待に応えること。
文化財情報の蓄積と発信の充実に努めるとともに、展示及び各種事業に関し、積極的な広報に努めること。
博物館の中核として我が国における博物館の先導的役割を果たすとともに、海外の博物館とも積極的に交流を図り、国内外の博物館活動全体の活性化に寄与する。
(1) 収蔵品等に関する調査・研究の成果を多様な方法により積極的に公表し、広く博物館関係者の知見の向上に資すること。
(2) 国内外の博物館関係者及び文化財とその活用に関する専門家と積極的に学術・人物交流等を行い、国際的な博物館の拠点となることを目指すこと。
(3) 国内外の文化財の保存・修理に関する人材育成に寄与すること。
(4) 国内外の博物館等の展覧事業の活性化を支援するため、収蔵品の貸与を実施すること。
(5) 全国の博物館等の運営に対する援助、助言を行うとともに、博物館関係者の情報交換・人的ネットワークの形成等に努めること。
我が国唯一の文化財に関する総合的な研究機関として、文化財に関する以下の調査・研究を行い、貴重な文化財を次代へ継承していくために必要な知識・技術の基盤の形成に寄与すること。
(1) 文化財の各分野に関する基礎的・体系的な調査・研究や、総合的な視点に基づく文化財の調査・研究手法の開発等を推進することにより、国及び地方公共団体における文化財保護施策の企画立案及び文化財の評価等に係る業務の基盤形成に寄与すること。
(2) 文化財の研究に関する調査手法の拡充と新たな技術開発を推進すること。
(3) 最新の科学技術の活用による保存科学に関する先端的な調査・研究や、伝統的な修復技術、製作技法、利用技法に関する調査・研究を通じて、文化財の保存・修復に係る技術・技法や材料の開発・評価等を推進し、文化財の保存や修復の質的向上に寄与すること。
(4) 国や地方公共団体の要請に応じて、我が国の文化財保護政策上重要かつ緊急性の高い文化財の保存・修復に係る実践的な調査・研究を実施すること。
(5) 有形文化財の収集・保存・管理・展示・教育活動等に必要な調査・研究を計画的に実施すること。
文化財の保護に関する国際協力の拠点としての位置づけを明確化するとともに、その機能の充実を図り、我が国の国際貢献に寄与すること。
(1) 研究機関間の連携強化や共同研究、研究者間の情報交換の活発化、継続的な国際協力のネットワークの構築、アジア諸国等における文化財の保護協力、技術移転・専門家養成等の支援等、有機的・総合的な事業展開を行い、人類共通の財産である文化財の保護に関する国際協力を通じて、我が国の国際貢献に寄与すること。
(2) 平成23年度にアジア太平洋無形文化遺産研究センターを開設し、同地域における無形文化遺産保護に寄与すること。
国際化の推進を図るためインターネット等による情報発信を強化し、調査・研究の成果について、迅速な報告書の発行、利用価値の高いデータベースの構築等により、適時適切な公表を推進するとともに、施設の有効活用を図ることにより、研究者をはじめ広く社会に還元すること。
我が国の文化財に関する調査・研究の中核として、これまでの調査・研究の成果を活かし、地方公共団体や大学、研究機関とのネットワークや連携協力体制を構築し、機構が行った調査・研究成果の発信等を通じて、文化財に関する協力・助言の円滑かつ積極的な実施を図り、我が国全体の文化財の収集・展示、調査・研究の質的向上に寄与すること。また、地方公共団体等の指導者層を主たる対象とする高度な研修事業や、若手研究者の育成に寄与するため実践的な連携大学院教育を実施し、今後の我が国の文化財保護における中核的な人材を育成すること。
業務運営に関しては、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平成22年12月7日閣議決定)等を踏まえ、国立文化財機構の活性化が損なわれないよう十分配慮しつつ、一層の業務の効率化を推進することにより、文化財購入等の効率化になじまない特殊要因経費を除き、中期目標の期間中、一般管理費については15%以上、業務経費についても5%以上の効率化を図ること。ただし、人件費については次項に基づいた効率化を図る。
なお、19年度の法人統合に伴い、機構の業務運営に際しては、平成23年度までの統合後5年間で、19年度一般管理費(物件費)の10%相当の経費削減を図ること。
給与水準については、「公務員の給与改定に関する取扱いについて」(平成22年11月1日閣議決定)を踏まえ、国家公務員の給与水準等を十分考慮して、検証したうえで、業務の特殊性を踏まえた適切な目標水準・目標期限を設定し、その適正化に取組むとともに、検証結果や取組状況を公表すること。
総人件費についても、平成23年度はこれまでの人件費改革の取組を引き続き着実に実施するとともに、平成24年度以降は、今後進められる独立行政法人制度の抜本的な見直しを踏まえ、厳しく見直すこと。
契約については、「独立行政法人の契約状況の点検・見直しについて」(平成21年11月17日閣議決定)に基づく取組を着実に実施し、一層の競争性と透明性の確保に努め、契約の適正化を推進するとともに外部委託の活用等により、定型的な管理・運営業務の効率化を図ること。
保有資産については、その必要性や規模の適切性についての検証を適切に行うとともに、本来業務に支障のない範囲で有効利用の推進を図ること。
(1) 法令等を遵守するとともに、業務の特性や実施体制に応じた効果的な統制機能の在り方を検討し、内部統制の充実・強化を図ること。
(2) 外部有識者も含めた事業評価の在り方について適宜、検討を行いつつ事業評価を実施し、その結果を組織、事務、事業等の改善に反映させること。
(3) 管理する情報の安全性向上のため、政府の方針を踏まえた適切な情報セキュリティ対策を推進し、必要な措置をとること。
入場料収入、寄付金等による自己収入の確保、予算の効率的な執行等に努め、適切な財務内容の実現を図ること。
入場料収入、寄付金等の外部資金、本来業務に支障のない範囲で施設の有効利用により自己収入を確保することで財源の多様化を図り、法人全体として積極的に自己収入の増加に向けた取り組みを進めること。
また、自己収入額の取り扱いにおいては、各事業年度に計画的な収支計画を作成し、当該収支計画による運営に努めること。
管理業務の節減を行うとともに、効率的な施設運営を行うこと等により、固定的経費の節減を図ること。
各施設の安全かつ良好な施設環境を維持するとともに、業務の目的・内容に適切に対応するため長期的視野に立った施設・設備の整備計画、研究機器の整備・更新計画を作成し、整備を図ること。
人事管理、人事交流の適切な実施により、内部管理事務の改善を図り、効率的かつ効果的な業務運営を行うため、非公務員化のメリットを活かした制度を活用すること。
また機構の将来を見据え、専門スタッフの配置などの計画的な確保・育成を図ること。
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